説明

電子機器および画像形成装置

【課題】 エラー画面の画像データを短時間で画像形成装置などからサポートセンターに転送する。
【解決手段】 画像形成装置1において、所定のエラーが検出されると、表示装置11aにエラー画面が表示される。そして、エラー画面送信部36は、表示装置11aに表示されているエラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した一部画像の画像データを、通信装置21を使用してサポートセンターへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるシステムでは、オペレータが監視端末を操作して電子機器の操作ログを採取して、顧客の操作状況を把握する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、別のシステムでは、ユーザー側の画像処理装置が、ユーザー操作データを保持して、サポートPCへ送信する(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−77419号公報
【特許文献2】特開2010−74522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の例では、ユーザー操作のログがサポートサービスを受ける際に使用される。その他、別の例として、電子機器が、エラー発生時に、操作パネルに表示されるエラー画面をキャプチャーし、キャプチャーで得られた画像データをサポートセンターに送信することがある。
【0006】
エラー発生時に画像データをサポートセンターに送信する場合、画面の画像データのサイズが比較的大きくなるため、サポートセンターに画像データを転送するのに時間が掛かってしまい、電話応対などのサポートサービスに遅延が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、エラー画面の画像データを短時間でサポートセンターに転送する電子機器および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る電子機器は、通信装置と、エラー発生時にエラー画面を表示する表示装置と、エラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した一部画像の画像データを、通信装置を使用してサポートセンターへ送信するエラー画面送信部とを備える。
【0010】
これにより、エラー画面全体をキャプチャーして得られる画像データより、送信すべき画像データのサイズが小さくなるため、エラー画面の画像データが短時間でサポートセンターに転送される。
【0011】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器に加え、次のようにしてもよい。この場合、表示装置は、エラー画面に予め設定されているメッセージ領域にエラー内容を示すエラーメッセージを表示し、エラー画面送信部は、メッセージ領域の画像を上述の一部画像として抽出する。
【0012】
これにより、エラー画面の一部であってエラー内容によって変化する部分が正確に特定される。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、エラー画面送信部は、エラー画面の画面IDを、一部画像の画像データに関連付けて、通信装置を使用してサポートセンターへ送信する。
【0014】
これにより、サポートセンターにおいて、この画面IDに基づいて、ユーザー側で表示中の画面を特定することができる。ひいては、エラー画面における一部画像以外の部分をサポートセンターにおいて特定することができる。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、エラー画面送信部は、上述の画像データを圧縮し、圧縮後の画像データを、通信装置を使用してサポートセンターへ送信する。
【0016】
これにより、送信すべき画像データのサイズがより小さくなる。
【0017】
また、本発明に係る電子機器は、上記の電子機器のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、エラー画面送信部は、上述の画像データの送信時間を計測し、その画像データの送信時間に応じて、次回の画像データの送信時の画像データの圧縮率を決定する。
【0018】
これにより、送信する画像データの画質を維持しつつ、送信すべき画像データのサイズを小さくすることができる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置は、通信装置と、エラー発生時にエラー画面を表示する表示装置と、エラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した一部画像の画像データを、通信装置を使用してサポートセンターへ送信するエラー画面送信部とを備える。
【0020】
これにより、エラー画面全体をキャプチャーして得られる画像データより、送信すべき画像データのサイズが小さくなるため、エラー画面の画像データが短時間でサポートセンターに転送される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置などの電子機器からサポートセンターへ、エラー画面の画像データが短時間で転送される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1および図2に示す画像形成装置の、エラー画面通知の動作を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、エラー画面、一部画像、およびコールセンター側の基本画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。画像形成装置1は、電子機器の一種であり、複合機である。画像形成装置1は、ユーザー操作を受け付ける操作パネル11を有する。なお、画像形成装置1は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機などといった印刷機能を有する他の装置でもよい。
【0025】
図2は、図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、この画像形成装置1は、操作パネル11、通信装置21、印刷装置22、画像読取装置23、および演算処理装置24を備える。
【0026】
操作パネル11は、液晶ディスプレイなどの表示装置11a、およびタッチパネルなどの入力装置11bを備え、ユーザーに対する操作画面の表示およびユーザー操作の検出を行う。
【0027】
また、通信装置21は、ネットワーク2を介して図示せぬホスト装置やコールセンター端末装置3に接続可能であって、所定の通信プロトコルでデータ通信を行う装置である。なお、ネットワーク2は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどを含むコンピューターネットワークである。コールセンター端末装置3は、コールセンター(つまり、サポートセンター)に設置されているパーソナルコンピューターなどの端末装置であって、ネットワーク2に接続されており、画像形成装置1についてのサポートサービス提供時に、エラー画面に関する画像データを画像形成装置1から取得する。
【0028】
また、印刷装置22は、例えば電子写真方式で原稿画像を印刷用紙に印刷する内部デバイスである。
【0029】
また、画像読取装置23は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部デバイスである。
【0030】
また、演算処理装置24は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、ROMまたは図示せぬ記憶装置に記憶されているプログラムをRAMへロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。
【0031】
画像形成装置1の起動後に、各種プログラムが演算処理装置24により適宜実行される。この実施の形態では、演算処理装置24において、表示制御部31、通信処理部32、要求処理部33、画像処理部34、コントローラー35、エラー画面送信部36などの処理部が実現される。
【0032】
表示制御部31は、表示装置11aに画面を表示させるとともに、入力装置11bに対するユーザー操作に従って表示装置11aの画面遷移を行う。また、表示制御部31は、所定のユーザー操作を検出すると、そのユーザー操作に対応する要求を要求処理部33に供給する。また、表示制御部31は、当該画像形成装置1内で発生した所定のエラーが要求処理部33などにより検出されると、そのエラーの内容を示すエラー画面を表示装置11aに表示させる。この実施の形態では、表示制御部31は、表示装置11aに、エラー画面に予め設定されているメッセージ領域にエラー内容を示すエラーメッセージを表示させる。
【0033】
通信処理部32は、通信装置21を制御してホスト装置などとデータ通信を実行する処理部である。例えば、通信処理部32は、ホスト装置から印刷要求としての原稿データを受信する。
【0034】
また、要求処理部33は、操作パネル11に対するユーザー操作に基づく印刷要求やホスト装置から供給される印刷要求、コピー要求などを受け付け、その要求に応じたジョブを実行させる。
【0035】
例えば、ホスト装置から、PDL(Page Description Language)、PDF(Portable Document Format)などの所定のデータ形式の原稿データが印刷要求として受信されると、要求処理部33は、その原稿データから画像データを生成する。また、要求処理部33は、操作パネル11に対するユーザー操作によるコピー要求を、表示制御部31から受け付けると、画像読取装置23により読み取られた原稿画像の画像データを取得する。
【0036】
なお、印刷時に適用される印刷設定は、ホスト装置から供給される印刷要求、操作パネル11に対するユーザー操作などで指定される。
【0037】
また、画像処理部34は、その画像データに対して所定の画像処理を実行し、印刷データ(例えば色ごとに2値化された印刷画像データ)を生成する。
【0038】
また、コントローラー35は、印刷装置22、画像読取装置23などの内部デバイスを監視および制御する処理部である。
【0039】
また、エラー画面送信部36は、エラー発生時に、表示装置11aにおけるエラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した一部画像の画像データを、通信処理部32および通信装置21を使用してネットワーク2を介してコールセンター端末装置3へ送信する処理部である。
【0040】
また、この実施の形態では、エラー画面送信部36は、上述のメッセージ領域の画像を上述の一部画像として抽出する。
【0041】
また、この実施の形態では、各画面に画面IDが割り当てられており、エラー画面送信部36は、エラー画面の画面IDを、一部画像の画像データに関連付けて、通信処理部32および通信装置21を使用してコールセンターへ送信する。
【0042】
また、この実施の形態では、エラー画面送信部36は、上述の画像データを圧縮し、圧縮後の画像データを、通信処理部32および通信装置21を使用してコールセンターへ送信する。さらに、エラー画面送信部36は、上述の画像データの送信時間を計測し、その画像データの送信時間に応じて、次回の画像データの送信時の画像データの圧縮率を決定する。
【0043】
次に、上記画像形成装置1の動作について説明する。
【0044】
図3は、図1および図2に示す画像形成装置1の、エラー画面通知の動作を示すシーケンス図である。
【0045】
要求処理部33は、例えばジョブを実行しているときにエラーが発生すると、表示制御部31を制御して、そのエラーの種別に応じたエラー画面を表示装置11aに表示させる(ステップS1)。
【0046】
また、要求処理部33は、エラー画面送信部36を制御して、そのエラー画面の一部画像の画像データをコールセンターへ送信させる。エラー画面送信部36は、まず、表示装置11aのエラー画面をキャプチャーし、キャプチャーで得られた画像データ(例えばビットマップデータ)のうち、上述のメッセージ領域部分の一部画像の画像データを抽出する(ステップS2)。次に、エラー画面送信部36は、抽出した画像データを所定の圧縮方式(例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式)で圧縮する(ステップS3)。
【0047】
エラー画面送信部36は、コールセンター端末装置3のネットワーク識別子(IPアドレス、URL(Uniform Resource Locator)、電子メールアドレスなど)を予め記憶しており、そのネットワーク識別子を宛先として、圧縮後の画像データを、そのエラー画面の画面IDおよび画像形成装置1の機器ID(画像形成装置1の識別子)とともに送信する(ステップS4)。
【0048】
このとき、エラー画面送信部36は、これらのデータの送信時間を計時する。具体的には、エラー画面送信部36は、送信開始時刻から、コールセンター端末装置3からの受信通知の受信時刻までを、送信時間と特定する(ステップS5)。エラー画面送信部36は、今回測定された送信時間から、次回のステップS3でのデータ圧縮の圧縮率を決定し、送信時間が所定の閾値(またはそれ以下)となるように圧縮率を決定する(ステップS6)。
【0049】
一方、コールセンター端末装置3は、圧縮後の画像データを、そのエラー画面の画面IDおよび画像形成装置1の機器IDとともに受信すると、受信通知を送信する(ステップS7)。そして、コールセンター端末装置3は、受信した画面IDに対応する画面の基本画面データを図示せぬ記憶装置から読み出すとともに(ステップS8)、受信した画像データを伸張し(ステップS9)、基本画面データによる基本画面のメッセージ領域部分に、伸張して得られた一部画像の画像データによる画像を嵌め込んで、エラー画面を再現して表示する(ステップS10)。
【0050】
図4は、エラー画面、一部画像、およびコールセンター側の基本画面の一例を示す図である。例えば、図4(A)に示すエラー画面51が画像形成装置1において表示された場合、エラー画面51のメッセージ領域52に対応して、図4(B)に示す一部画像53の画像データが抽出され、コールセンターへ送信される。そして、コールセンター端末装置3は、図4(C)に示す基本画面54に、図4(B)に示す一部画像53を嵌め込んで、エラー画面(図4(A))を再現する。
【0051】
以上のように、上記実施の形態によれば、エラー画面送信部36は、エラー画面51の一部であってエラー内容によって変化する一部画像53を抽出し、抽出した一部画像53の画像データを、通信装置21を使用してコールセンターへ送信する
【0052】
これにより、エラー画面全体をキャプチャーして得られる画像データより、送信すべき画像データのサイズが小さくなるため、エラー画面の画像データが短時間でコールセンターに転送される。ひいては、円滑なサポートサービスが実施される。
【0053】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、画像データを圧縮した後に画像形成装置1からコールセンター端末装置3へ送信しているが、画像データを圧縮しないで送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、画像形成装置のサポートサービスに適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置(電子機器の一例)
11a 表示装置
21 通信装置
36 エラー画面送信部
51 エラー画面
52 メッセージ領域
53 一部画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、
エラー発生時にエラー画面を表示する表示装置と、
前記エラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した前記一部画像の画像データを、前記通信装置を使用してサポートセンターへ送信するエラー画面送信部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示装置は、前記エラー画面に予め設定されているメッセージ領域に前記エラー内容を示すエラーメッセージを表示し、
前記エラー画面送信部は、前記メッセージ領域の画像を前記一部画像として抽出すること、
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記エラー画面送信部は、前記エラー画面の画面IDを、前記一部画像の画像データに関連付けて、前記通信装置を使用してサポートセンターへ送信することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記エラー画面送信部は、前記画像データを圧縮し、圧縮後の前記画像データを、前記通信装置を使用してサポートセンターへ送信することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記エラー画面送信部は、前記画像データの送信時間を計測し、前記画像データの送信時間に応じて、次回の前記画像データの送信時の前記画像データの圧縮率を決定することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
通信装置と、
エラー発生時にエラー画面を表示する表示装置と、
前記エラー画面の一部であってエラー内容によって変化する一部画像を抽出し、抽出した前記一部画像の画像データを、前記通信装置を使用してサポートセンターへ送信するエラー画面送信部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−46126(P2013−46126A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181193(P2011−181193)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】