説明

電子機器および電子機器が設けられた電力変換装置

【課題】比較的高温の動作環境下においても、発熱部品から発生した熱を効率よく放熱させることにより、信頼性を安定して保持することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】このフィルタモジュール(電子機器)101は、コイル11、抵抗2およびコンデンサ3を含むフィルタ回路と、フィルタ回路のコイル11および抵抗2に近接して配置され、コイル11および抵抗2から発生する熱を放熱する放熱板7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器および電子機器が設けられた電力変換装置に関し、特に、フィルタ回路を備える電子機器および電子機器が設けられた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルタ回路を備える電子機器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、インバータ装置と、インバータ装置と交流電源との間に設けられたノイズフィルタ装置(電子機器)とが開示されている。また、上記特許文献1に記載のノイズフィルタ装置は、第1の基板と、第1の基板と所定の間隔を隔てて対向するように配置された第2の基板とを備えている。また、第1の基板の上面上には、交流電源に接続される入力端子部と、フィルタ回路を構成するコンデンサなどの回路部品とが配置されている。また、第2の基板の上面上には、インバータ装置に接続される出力端子部が設けられるとともに、第2の基板の下面には、フィルタ回路を構成するコンデンサなどの回路部品が配置されている。また、第1の基板と第2の基板との間には、第1の基板の下面および第2の基板の上面と所定の間隔を隔ててフィルタ回路を構成するコイルが配置されている。また、コイルは、ノイズフィルタ装置を動作させる際に発熱する発熱部品である。なお、上記特許文献1に記載のノイズフィルタ装置では、コイルなどの発熱部品に近接して配置され、コイルなどから熱を熱伝導させて積極的に放熱するような放熱部材は、特に設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−60928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、高耐圧、低損失、高速応答および高耐熱なパワーデバイスが提案されている。このようなパワーデバイスによってスイッチング動作が高速化することにより、コイルなどを有するノイズフィルタ装置からの発熱量が増加して150℃を超えるような動作環境になることが想定される。しかしながら、上記特許文献1に記載のノイズフィルタ装置では、コイルなどの発熱部品に近接して配置され、コイルなどから熱を熱伝導させて積極的に放熱するような放熱部材は、特に設けられていないため、コイルなどの発熱部品から発生した熱を効率よく放熱できない場合がある。そこで、コイルなどを有するノイズフィルタ装置から発生する熱を効率よく放熱させることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、比較的高温の動作環境下においても、発熱部品から発生した熱を効率よく放熱させることにより、信頼性を安定して保持することが可能な電子機器および電子機器が設けられた電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電子機器は、コイル、抵抗およびコンデンサを含むフィルタ回路と、フィルタ回路のコイルおよび抵抗に近接して配置され、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材とを備える。
【0008】
この第1の局面による電子機器では、上記のように、フィルタ回路のコイルおよび抵抗に近接して配置され、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材を設ける。これにより、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱する機構が設けられていない場合と異なり、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱部材に伝えることができるので、コイルおよび抵抗などの発熱部品から発生した熱を放熱部材により効率よく放熱させることができる。その結果、比較的高温の動作環境下においても、コイルおよび抵抗などの発熱部品から発生した熱を放熱部材により効率よく放熱させることにより、電子機器の信頼性を安定して保持することができる。なお、本発明において、「コイルおよび抵抗に近接して配置」とは、コイルおよび抵抗に放熱部材を直接的に接触させて配置する場合や、コイルおよび抵抗に何らかの部材を介して放熱部材を間接的に接触させて配置する場合などを含む概念である。
【0009】
この発明の第2の局面による電子機器が設けられた電力変換装置は、SiCまたはGaNを含む半導体チップが設けられた電力変換回路と、電力変換回路の前段または後段に配置された電子機器とを備え、電子機器は、コイル、抵抗およびコンデンサを含むフィルタ回路と、フィルタ回路のコイルおよび抵抗に近接して配置され、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材とを含む。
【0010】
この第2の局面による電子機器が設けられた電力変換装置では、上記のように、SiCまたはGaNを含む半導体チップが設けられた電力変換回路の前段または後段に、フィルタ回路のコイルおよび抵抗に近接して配置され、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材を含む電子機器を設けることによって、コイルおよび抵抗から発生する熱を放熱部材に伝えることができるので、コイルおよび抵抗などの発熱部品から発生した熱を効率よく放熱させることができる。これにより、比較的高温の動作環境下においても、コイルおよび抵抗などの発熱部品から発生した熱を放熱部材により効率よく放熱させることにより、電子機器の信頼性を安定して保持することができる。その結果、半導体チップがSiCまたはGaNを含むことにより比較的高温になる電力変換回路の前段または後段に配置される電子機器の信頼性を保持することが可能な電力変換装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による電力変換装置を上方から見た場合の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による電力変換装置を下方から見た場合の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるフィルタモジュールを上方から見た場合の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるフィルタモジュールを下方から見た場合の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるフィルタモジュールの分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態によるフィルタモジュールの上面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるフィルタモジュールの下面図である。
【図8】図6の200−200線に沿った断面図である。
【図9】図6の300−300線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による電力変換装置の回路図である。
【図11】本発明の一実施形態の第1変形例による複数のフィンを有するヒートシンクが設けられた電力変換装置を上方から見た場合の斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態の第1変形例による複数のフィンを有するヒートシンクが設けられた電力変換装置を下方から見た場合の斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態の第2変形例によるフィルタモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。
【0014】
本発明の一実施形態による電力変換装置100は、図1に示すように、三相のフィルタモジュール101(図3参照)と、三相のコンバータ回路102aおよび三相のインバータ回路102bを含む電力変換回路102とを備えている。なお、フィルタモジュール101は、本発明の「電子機器」の一例である。また、コンバータ回路102aおよびインバータ回路102bは、本発明の「電力変換回路」の一例である。
【0015】
また、電力変換装置100では、フィルタモジュール101と、電力変換回路102とは、互いに隣接するように配置されている。また、フィルタモジュール101および電力変換回路102に隣接するように、電力変換回路102に電力を供給する電源回路103などが配置されている。また、電力変換装置100全体は、上方から見て(Z1方向)、略矩形形状を有している。
【0016】
また、電力変換回路102のコンバータ回路102aおよびインバータ回路102bは、それぞれ、SiC(炭化ケイ素)またはGaN(窒化ガリウム)を含む半導体チップが設けられたパワーモジュールを備えている。このようなパワーモジュールによってスイッチング動作が高速化することにより、フィルタモジュール101から発生する発熱量が増加することとなる。
【0017】
また、図2に示すように、フィルタモジュール101および電力変換回路102の裏面には、フィルタモジュール101および電力変換回路102から発生する熱を冷却するための後述する水冷式の冷却ジャケット6が取り付けられている。なお、冷却ジャケット6は、本発明の「冷却部」の一例である。
【0018】
また、図5に示すように、フィルタモジュール101は、配線基板1と、フィルタ回路を構成する3つの抵抗2および3つのコンデンサ3と、金属製の3つのスタッド4と、熱伝導性樹脂などにより構成される熱伝導性シート5と、水冷式の冷却ジャケット6とを備えている。また、フィルタモジュール101は、銅などの金属からなる平板状の放熱板7と、放熱グリース8(図8参照)と、熱伝導性樹脂を含む熱伝導性シート9と、各部品を収納する枠状の樹脂製のケース10と、フィルタ回路を構成する3つのコイル11と、ブスバー12と、ブスバー13と、ネジ14、15および16と、蓋部17とを備えている。
【0019】
また、3つの抵抗2と、3つのコンデンサ3と、3つのスタッド4とは、配線基板1の表面上に所定の間隔を隔てて配置されている。3つのスタッド4は、U字形状を有しており、スタッド4の上面(矢印Z2方向側)には、ネジ穴4aが形成されている。また、図4および図7に示すように、スタッド4の配線基板1側(矢印Z1方向側)の部分には、4つの接続部4bが形成されており、4つの接続部4bが配線基板1に取り付けられることにより、スタッド4と配線基板1とが電気的に接続されている。
【0020】
また、図8に示すように、抵抗2の矢印Z2方向側の表面上には、熱伝導性および弾力性を有する熱伝導性シート5が配置されている。なお、熱伝導性シート5は、本発明の「第1熱伝導性部材」の一例である。また、抵抗2は、フィルタモジュール101の動作時に熱が発生する発熱部品である。また、抵抗2は、熱伝導性シート5に面接触状態で密着するように配置されている。また、抵抗2は、冷却ジャケット6の矢印Y1方向側の側方に配置されている。また、図7に示すように、冷却ジャケット6は、上方から見て(Z1方向)、抵抗2およびコンデンサ3とはオーバラップしないように配置されている。
【0021】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、熱伝導性シート5の表面上には、銅などの金属からなる平板状の放熱板7が配置されている。この放熱板7は、コイル11および抵抗2から発生する熱を放熱するために配置されている。また、本実施形態では、放熱板7は、熱伝導性シート5を介して抵抗2と近接し、抵抗2から放熱板7に熱伝導するように配置されている。なお、放熱板7は、本発明の「放熱部材」の一例である。
【0022】
また、放熱板7は、矢印Y1方向側の第1部分7aと、第1部分7aよりも厚みが小さい矢印Y2方向側の第2部分7bとを有している。また、放熱板7の第1部分7aの裏面側(矢印Z1方向側)の表面は、抵抗2の表面上に配置された熱伝導性シート5に面接触状態で密着するように配置されている。つまり、放熱板7の第1部分7aは、熱伝導性シート5を介して抵抗2と近接し、抵抗2から放熱板7の第1部分7aに熱伝導するように配置されている。
【0023】
また、放熱板7の第2部分7bの裏面側(矢印Z1方向側)には、放熱グリース8が塗布されている。また、放熱板7の第2部分7bの裏面は、放熱グリース8を介して冷却ジャケット6の表面と近接し、放熱板7の第2部分7bの裏面から冷却ジャケット6に熱伝導するように配置されている。なお、放熱グリース8は、本発明の「第2熱伝導性部材」の一例である。
【0024】
また、図9に示すように、放熱板7には、放熱板7の裏面から下方(矢印Z1方向)に向かって突出する突部7cが形成されている。また、放熱板7は、配線基板1上に配置された3つの抵抗2を覆うように配置されている。
【0025】
また、図8に示すように、放熱板7の矢印Z2方向側の表面上には、熱伝導性を有するとともに、弾力性を有する熱伝導性シート9が配置されている。なお、熱伝導性シート9は、本発明の「第1熱伝導性部材」の一例である。また、放熱板7の矢印Z2方向側の表面は、熱伝導性シート9に面接触状態で密着するように配置されている。
【0026】
また、3つのコイル11は、フィルタモジュール101の動作時に発熱する発熱素子であり、コイル11から発生する熱は、抵抗2から発生する熱よりも大きい。また、図6および図9に示すように、3つのコイル11は、X方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、図9に示すように、3つのコイル11の各々は、3つの抵抗2の各々とオーバラップするように配置されている。
【0027】
また、図8に示すように、3つのコイル11は、それぞれ、矩形形状を有する金属製のコア11aと、コア11aに巻回された導線11bとから構成されている。また、導線11bは、1つのコア11aに対して、2つ設けられているとともに、コア11aの延びる方向(Y方向)と略直交する方向(X方向)に沿って巻回されている。また、コイル11は、熱伝導性シート9、放熱板7および放熱グリース8を介して冷却ジャケット6とオーバラップするように配置されている。
【0028】
また、コイル11は、熱伝導性シート9の矢印Z2方向側の表面に面接触状態で密着するように配置されている。つまり、コイル11は、熱伝導性シート9を介して放熱板7と近接し、コイル11から放熱板7に熱伝導するように配置されている。また、本実施形態では、コイル11から発生した熱は、熱の伝導経路Aとして熱伝導性シート9、放熱板7(第2部分7b)および放熱グリース8を介して冷却ジャケット6に伝わることにより放熱される。また、抵抗2から発生した熱は、熱の伝導経路Bとして熱伝導性シート5、放熱板7(第1部分7a)および放熱グリース8を介して冷却ジャケット6に伝わることにより放熱される。
【0029】
ここで、一般には、コイル11の方が抵抗2よりも発熱量が大きいので、コイル11から発生する熱を抵抗2から発生する熱よりも優先して放熱するのが良い。したがって、本実施形態では、冷却ジャケット6とコイル11との間の放熱板7における熱の伝導経路Aの長さは、冷却ジャケット6と抵抗2との間の放熱板7における熱の伝導経路Bの長さよりも小さくなるように構成されている。また、コンデンサ3は、熱に弱いため、発熱量の大きいコイル11からできるだけ遠くに配置するのが良い。したがって、本実施形態では、コンデンサ3は、コイル11とコンデンサ3との間の距離D1が、抵抗2とコンデンサ3との間の距離D2よりも大きくなるように配線基板1の表面上に配置されている。また、配線基板1の表面上に配置されたコンデンサ3は、放熱板7および抵抗2から矢印Y1方向に離間した(所定の間隔を隔てた)位置に配置されている。
【0030】
また、コイル11の矢印Y1方向側の端部には、交流電力を入力する入力端子となる金属製の平板状のブスバー12が設けられている。また、コイル11の矢印Y2方向側の端部には、出力端子となる金属製の平板状のブスバー13が設けられている。また、ブスバー12およびブスバー13は、コイル11のコア11aにかしめ加工されることにより固定的に取り付けられている。
【0031】
また、コイル11の矢印Y1方向側に設けられたブスバー12には、ネジ穴12aが形成されており、ネジ14がブスバー12のネジ穴12aおよびスタッド4のネジ穴4aに取り付けられることにより、ブスバー12がスタッド4に固定されている。これにより、ブスバー12に入力された交流電力が、ブスバー12を介してコイル11に供給されるとともに、スタッド4および配線基板1を介してコンデンサ3および抵抗2に供給される。
【0032】
また、ブスバー12の矢印Y1方向側の端部には、ネジ穴12bが形成されており、ネジ15がブスバー12のネジ穴12bおよびケース10のネジ穴10aに取り付けられることにより、ブスバー12がケース10に固定されている。また、ブスバー13の矢印Y2方向側の端部には、ネジ穴13aが形成されており、ネジ16がブスバー13のネジ穴13aおよびケース10のネジ穴10bに取り付けられることにより、ブスバー13がケース10に固定されている。また、コイル11の上方(矢印Z2方向側)には、樹脂製の蓋部17が取り付けられている。また、コイル11は、樹脂などによりケース10内に封止されることにより、周辺の電子部品と電気的に絶縁されている。
【0033】
次に、図10を参照して、本実施形態による電力変換装置100の電気的な接続関係について説明する。
【0034】
電力変換装置100では、フィルタモジュール101の入力端子18として機能する3つのブスバー12は、それぞれ、3つのコイル11および3つのコンデンサ3と接続されている。また、3つのコンデンサ3は、それぞれ、3つの抵抗2と接続されている。また、3つの抵抗2は、互いに接続されている。
【0035】
また、電力変換回路102のコンバータ回路102aの3つのパワーモジュールは、インバータ回路102bの3つのパワーモジュールの前段に接続されている。
【0036】
また、フィルタモジュール101は、コンバータ回路102aの前段に接続されており、フィルタモジュール101の出力端子として機能する3つのブスバー13の各々は、コンバータ回路102aの3つのパワーモジュールの各々と接続されている。
【0037】
本実施形態では、上記のように、コイル11および抵抗2に熱伝導性シート9および5を介して間接的に接触するように近接して配置され、コイル11および抵抗2から発生する熱を放熱する金属製の板状の放熱板7を配置する。これにより、コイル11および抵抗2から発生する熱を熱伝導性シート9および5を介して放熱板7に伝えることができる。これにより、コイル11および抵抗2などの発熱部品から発生した熱を放熱板7により効率よく放熱させることができる。その結果、比較的高温の動作環境下においても、コイル11および抵抗2などの発熱部品から発生した熱を放熱板7により効率よく放熱させることができる。これにより、フィルタモジュール101の信頼性を安定して保持することができる。その結果、SiCまたはGaNを含むことにより比較的高温になるコンバータ回路102aおよびインバータ回路102bの前段に配置されるフィルタモジュール101の信頼性を保持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、放熱板7と間接的に接触するように配置し、放熱板7に伝えられたコイル11および抵抗2から発生した熱を冷却する水冷式の冷却ジャケット6を配置する。これにより、放熱板7に伝えられた熱を冷却ジャケット6に伝えることができる。その結果、コイル11および抵抗2などの発熱部品から発生した熱を冷却ジャケット6により効率よく放熱させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ジャケット6とコイル11との間の放熱板7における熱の伝導経路Aの長さを、冷却ジャケット6と抵抗2との間の放熱板7における熱の伝導経路Bの長さよりも小さくする。これにより、抵抗2から発生する熱に対してコイル11から発生する比較的大きい熱を冷却ジャケット6に伝え易くすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、コイル11を、放熱板7を介して冷却ジャケット6とオーバラップするように配置し、抵抗2を冷却ジャケット6の側方に配置する。これにより、コイル11から発生した熱の冷却ジャケット6に伝わる伝導経路と、抵抗2から発生した熱の冷却ジャケット6に伝わる伝導経路とを異ならせることができる。これにより、コイル11および抵抗2から発生した熱の各々を異なる伝導経路を介して冷却ジャケット6に伝えることができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、コイル11とコンデンサ3との間の距離が、抵抗2とコンデンサ3との間の距離よりも大きくなる位置にコンデンサ3を配置する。これにより、抵抗2から発生する熱よりも大きい熱を発生するコイル11からの熱を熱に弱いコンデンサ3に伝わりにくくすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、コイル11を放熱板7の一方表面に近接して配置し、抵抗2を放熱板7の他方表面に近接して配置する。これにより、コイル11および抵抗2から発生する熱が放熱板7の一方表面または他方表面のいずれか一方に局所的に集中するのを抑制することができるので、放熱板7に伝えられた熱を効率よく放熱させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、抵抗2の上面(配線基板1側とは反対側の表面)を放熱板7の他方表面に熱伝導性シート5を介して配置する。これにより、配線基板1を介さない分、抵抗2から発生した熱を熱伝導性シート5を介して放熱板7に伝え易くすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、抵抗2が配置された配線基板1上に、抵抗2および放熱板7から離間した位置にコンデンサ3を配置する。これにより、抵抗2から発生した熱がコンデンサ3に伝わりにくくすることができる。また、コンデンサ3は、放熱板7を介して、コイル11の反対側の位置に配置されているので、コイル11から発生した熱がコンデンサ3に伝わることを最大限抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、コイル11および抵抗2を、それぞれ、熱伝導性シート5および熱伝導性シート9を介して放熱板7に間接的に接触するように配置する。これにより、熱伝導性シート5および熱伝導性シート9により、コイル11および抵抗2と、放熱板7との間に空気層(非接触空間)が形成されないようにすることができるので、コイル11および抵抗2から発生した熱を放熱板7に伝え易くすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、放熱板7を放熱グリース8を介して冷却ジャケット6に間接的に接触するように配置する。これにより、放熱グリース8により、放熱板7と冷却ジャケット6との間に空気層(非接触空間)が形成されないようにすることができるので、放熱板7から冷却ジャケット6に熱を伝え易くすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、コイル11および抵抗2と放熱板7とを弾力性を有する熱伝導性シート5および熱伝導性シート9に面接触状態で密着するように配置する。また、放熱板7と冷却ジャケット6とを弾力性を有する放熱グリース8に面接触状態で密着するように配置する。これにより、コイル11および抵抗2の表面と放熱板7の表面とが凹凸形状である場合でも、弾力性を有する熱伝導性シート5および熱伝導性シート9により、コイル11および抵抗2と放熱板7とを密着させることができる。その結果、コイル11および抵抗2と放熱板7との間の熱伝導性を向上させることができる。また、放熱板7の表面と冷却ジャケット6の表面とが凹凸形状である場合でも、弾力性を有する放熱グリース8により、放熱板7と冷却ジャケット6とを密着させることができる。その結果、放熱板7と冷却ジャケット6との間の熱伝導性を向上させることができる。
【0048】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
たとえば、上記実施形態では、放熱板7の裏面上に水冷式の冷却ジャケット6を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11および図12に示す第1変形例のように、電力変換装置100aのフィルタモジュール101および電力変換装置102の裏面上に、Y方向に延びるように形成された複数のフィン106aを有する空冷式のヒートシンク106を配置してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、放熱板7の裏面上に冷却ジャケット6を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放熱板7の裏面上に冷却ジャケット6やヒートシンク106を配置しなくてもよい。この場合、コイル11および抵抗2から発生した熱を放熱板7から放熱することが可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、放熱板と、コイルおよび抵抗とを熱伝導性シートを介して間接的に接触して配置させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放熱板と、コイルおよび抵抗とを直接接触するように配置してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、本発明の第1熱伝導性部材の一例として、熱伝導性樹脂などにより構成される熱伝導性シートを適用する例を示したが、本発明ではこれに限られない。たとえば、熱伝導性部材であれば、熱伝導性樹脂などを含まない熱伝導性シートを適用してもよい。また、熱伝導性部材であれば、熱伝導性シート以外の熱伝導性部材でも適用可能である。
【0053】
また、上記実施形態では、銅からなる放熱板を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、銅以外のアルミニウムなどからなる放熱板を配置してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、金属製の板状の放熱板を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図13に示す第2変形例のフィルタモジュール101aのように、金属製の放熱板107を箱状に形成してコイルの周囲を覆うように形成してもよい。これにより、コイルから放射される電磁波ノイズがコイルの周囲を覆う放熱板107により遮蔽されるので、周辺の電子部品に電磁波ノイズの影響を与えてしまうのを抑制することが可能となる。その結果、周辺の電子部品の動作の安定性が低下するのを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 配線基板
2 抵抗
3 コンデンサ
5 熱伝導性シート(第1熱伝導性部材)
6 冷却ジャケット(冷却部)
7 放熱板(放熱部材)
8 放熱グリース(第2熱伝導性部材)
9 熱伝導性シート(第1熱伝導性部材)
11 コイル
100、100a 電力変換装置
101、101a フィルタモジュール(電子機器)
102a コンバータ回路(電力変換回路)
102b インバータ回路(電力変換回路)
106 ヒートシンク(冷却部)
107 放熱板(放熱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル、抵抗およびコンデンサを含むフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の前記コイルおよび前記抵抗に近接して配置され、前記コイルおよび前記抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材とを備える、電子機器。
【請求項2】
前記放熱部材に近接して配置され、前記放熱部材に伝えられた前記フィルタ回路の前記コイルおよび前記抵抗から発生した熱を冷却する冷却部をさらに備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記冷却部と前記コイルとの間の前記放熱部材における熱の伝導経路の長さは、前記冷却部と前記抵抗との間の前記放熱部材における熱の伝導経路の長さよりも小さくなるように構成されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記フィルタ回路の前記コイルは、前記放熱部材を介して前記冷却部とオーバラップするように配置され、
前記フィルタ回路の前記抵抗は、前記冷却部の側方に配置されている、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記フィルタ回路の前記コンデンサは、前記コイルと前記コンデンサとの間の距離が、前記抵抗と前記コンデンサとの間の距離よりも大きくなる位置に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記フィルタ回路の前記コイルは、前記放熱部材の一方表面に近接して配置され、
前記フィルタ回路の前記抵抗は、前記放熱部材の他方表面に近接して配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記フィルタ回路の前記抵抗は、配線基板上に設けられており、
前記抵抗の前記配線基板側とは反対側の表面は、前記放熱部材の他方表面に近接して配置されている、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記抵抗が配置された前記配線基板上には、前記抵抗および前記放熱部材から離間した位置に前記コンデンサが配置されている、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記フィルタ回路の前記コイルまたは前記抵抗のうちの一方または両方と、前記放熱部材との間に設けられた第1熱伝導性部材をさらに備え、
前記コイルまたは前記抵抗のうちの一方または両方は、前記第1熱伝導性部材を介して前記放熱部材に近接して配置されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記放熱部材に伝えられた前記フィルタ回路の前記コイルおよび前記抵抗から発生した熱を冷却する冷却部と、
前記放熱部材と、前記冷却部との間に設けられた第2熱伝導性部材とをさらに備え、
前記コイルまたは前記抵抗のうちの一方または両方は、前記放熱部材および前記第2熱伝導性部材を介して前記冷却部に近接して配置されている、請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1熱伝導性部材および前記第2熱伝導性部材は、弾力性を有し、
前記コイルまたは前記抵抗のうちの一方または両方と前記放熱部材とは、弾力性を有する前記第1熱伝導性部材に面接触状態で密着するように配置されているとともに、前記放熱部材と前記冷却部とは、弾力性を有する前記第2熱伝導性部材に面接触状態で密着するように配置されている、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記放熱部材は、金属製の板状の放熱板を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記放熱部材は、前記コイルの周囲を覆うように形成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記冷却部は、水冷式の冷却ジャケットまたは複数のフィンを有するヒートシンクを含む、請求項2、3、4、10および11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項15】
SiCまたはGaNを含む半導体チップが設けられた電力変換回路と、
前記電力変換回路の前段または後段に配置された電子機器とを備え、
前記電子機器は、コイル、抵抗およびコンデンサを含むフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の前記コイルおよび前記抵抗に近接して配置され、前記コイルおよび前記抵抗から発生する熱を放熱する放熱部材とを含む、電子機器が設けられた電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−238794(P2012−238794A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108277(P2011−108277)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】