説明

電子機器と充電器との接続構造

【目的】 充電器の電源端子と接触させられる充電端子が電子機器の筐体側面に設けられ、しかも、充電器に対する電子機器の挿抜を円滑に行える電子機器と充電器との接続構造の提供。
【構成】 電子機器21の筐体22の底面22aから側面22bに沿うようにして前記電子機器21に設けられた板状の充電端子25と、前記電子機器が前記底面側から装着される充電器41に設けられ前記充電端子25のうちの前記側面22bに位置する部分と接触させられる電源端子43とを具備し、前記充電端子25及び電源端子43のうちのいずれかのうちの一方は他方を押圧する方向にバネ性をもたされている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、電子機器とこの電子機器を充電するための充電器との接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5乃至図7に従来のコードレス電話機(電子機器)及びこの電子機器充電用の従来の充電器の接続構造を示す。
【0003】
電子機器1の筐体は、図6に示す如く、上ケース2、下ケース3等により構成されており、上ケース2の底面2aに一対の充電端子4,4が設けられている。
この充電端子4,4の電子機器1への取付けは図7に示す構成とされている。
【0004】
上ケース2は、底面2aに充電端子4を挿入するための角穴2bが設けられ、又、充電端子4をねじ6で固定するためのボス7が設けられている。充電端子4は金属板を屈曲形成してなり、角穴2bに挿入される突起部4aとねじ6挿入用の穴部4cが形成された取付部4dとを有している。この充電端子4は突起部4aが角穴2bに挿入された後、ねじ6にてボス7に固定される。また、筐体内に設けられた電子回路部(図示せず)にはリード線等により電気的に接続される。そして、下ケース3が上ケース2に取付けられ組立が完了する。
【0005】
充電器9は、図5に示す如く、電子機器1の下端側を受けるための凹部10が上部に形成されており、凹部10の底面には、電子機器1の一対の充電端子4,4に対応させて、板バネで形成された一対の電源端子11,11が設けられている。
【0006】
上記構造では、電子機器1の下端側を充電器9の凹部10に乗せると、充電端子4,4が電源端子11,11に接触し、電子機器1への充電が可能な状態となる。
【0007】
しかし、この従来の構造によると、充電端子4が電子機器1の下端にあるので、水滴が付着すると水滴が落ち難いため、この水滴により充電端子4に酸化被膜が生じ易く、この酸化被膜により、接触不良を起こすおそれがあった。
【0008】
上記接続構造の欠点を解消したのが、図8に示す接続構造である。この構造では、電子機器1Aの充電端子4Aは電子機器1Aの下端側の両側面に設けられている。一方、充電器9Aの電源端子11Aは、充電端子4Aと対応させて、凹部10の側壁に設けられ、電源端子11Aのバネ力は、充電端子4Aに酸化被膜が生じた場合にこの酸化被膜を除去し得るように十分強くされている。尚、充電端子4Aは電子機器1Aの回路部13に電気的に接続され、電源端子11Aは回路基板14に立設されている。
【0009】
この構造では、充電端子4Aは電子機器1Aの筐体側面16に設けられており、水滴が付着してもこの水滴は落下し易いので、酸化被膜は生じ難い。また、充電端子4Aに酸化被膜が生じても、図8(a)の位置から図8(b)の位置まで電子機器1Aを移動させる過程で充電端子4Aと電源端子11Aとが擦れ合い充電端子4Aの酸化被膜が除去されるので酸化被膜が原因で接触不良は生じ難い。
【0010】
しかしこの構造では、電子機器1Aを充電器9Aから引抜く場合に、図8(C) に示す如く、電子機器1Aの筐体側面16と充電端子4Aとの間に生ずる段差の部分16aを電源端子11Aが乗り込えねばならないので、大きな力で電子機器1Aを引抜く必要がある。また電子機器を引き抜く際に、充電器9Aを押さえていないと充電器9Aまで持ち上がってしまうという不具合がある。
【0011】
【考案が解決しようとする問題】
上述の如く従来の構造では、電子機器筐体の底面に充電端子を設けた場合は充電器の電源端子との間に接触不良が生じ易く、電子機器筐体の側面に充電端子を設けた場合は、電子機器筐体側面と充電端子との境界部分で電源端子が引掛かるので、充電器に対する電子機器の挿抜を円滑に行えないという問題点がある。
【0012】
本考案はこのような従来の欠点を解決するべくなされたものであり、充電器の電源端子と接触させられる充電端子が電子機器の筐体側面に設けられ、しかも、充電器に対する電子機器の挿抜を円滑に行える電子機器と充電気との接続構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本考案の接続構造は、電子機器の筐体の底面から側面に沿うようにして前記電子機器に設けられた板状の充電端子と、前記電子機器が前記底面側から装着される充電器に設けられ前記充電端子のうちの前記側面に位置する部分と接触させられる電源端子とを具備し、前記充電端子及び電源端子のうちのいずれかのうちの一方は他方を押圧する方向にバネ性をもたされた構成となっている。
【0014】
【作用】
本考案の接続構造では、充電端子は電子機器の筐体の底面から側面に沿うようにして設けられているので、電子機器を充電器に挿入し或いは充電器から抜き取る場合に、充電器の電源端子は充電端子との間でのみ摺動する。また、電子機器を充電器に装着した状態では、電源端子は筐体側面に位置する充電端子の部分と接触するので接触不良は生じ難い。
【0015】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図1乃至図4を参照して詳述する。
【0016】
図1は電子機器が充電器に装着された状態の断面図、図2は電子機器を充電器に装着する状態の断面図、図3(a)、(b)及び(c)は電子機器の正面図、側面図及び底面図、図4は充電端子の取付けを説明する斜視図である。
【0017】
本考案に係るコードレス電話器(電子機器)21の筐体は、図3に示す如く、上ケース22、下ケース23等により構成されており、上ケース22の底面22a から側面22bに沿うようにして、上ケース22のコーナー部に一対の充電端子25が設けられている。この充電端子25の電子機器21への取付けは、図4に示す構成となっている。
【0018】
充電端子25は、金属板を略「コ」字形に屈曲形成してなり、上ケース22の底面22a側に位置付けられる底面端子部25a、側面22b側に位置付けられる側面端子部25b、及び上ケース22の内側へ向けて突出させられるアーム部25cで構成されている。アーム部25cには、水密用のパッキン27が取付けられ、又、アーム部25cの先端には、電子機器21の回路部29と電気的に接続されたリード31の先端が半田付けされる。また、側面端子部25bは後述の電源端子43との接触圧を確保すべく、接触部25dが突出形成されている。
【0019】
一方、上ケース22のコーナー部分には、充電端子25を装着し得る形状とされた凹部221が形成され、かつ、アーム部25cを挿入するための切欠222が形成されている。また、上ケース22の内壁面側にはパッキン27の収納部 223が設けられている。
【0020】
充電端子25は、アーム部25cにパッキン27を取付けた後にアーム部25c にリード31が半田付けされる。そして、底面端子部25a、側面端子部25bが上ケース22の凹部221に位置付けられ、アーム部25cが切欠222に挿入され、かつ、収納部223内に収納されたパッキン27で切欠222が塞がされた状態とされて、上ケース22に取付けられる。そして、下ケース23が上ケース22にねじ止めされ、電子機器筐体への充電端子25の取付けは完了する。
【0021】
充電器41は、図1及び図2に示す如く、電子機器21の下端側を受けるための凹部41aが上部に形成されており、凹部41aの側壁には、充電端子25の側面端子部25bに対応させて、一対の電源端子43,43が設けられている。
この電源端子43は板バネにて形成されており、基端側は充電機41の回路基板45に電気的、機械的に接続されている。
【0022】
次に上記接続構造の作用につき説明する。
【0023】
電子機器21は、図2に示す如く、その下端側から充電器41の凹部41aに挿入され、図1に示す如く、凹部41a底面に載置されることにより充電器41に装着される。これにより、充電器41の電源端子43は充電端子25の側面端子部25bに形成された接触部25dと接触した状態となり、充電可能状態となる。
【0024】
この場合に、電子機器21を充電器41の凹部41aに挿入すると、電源端子43は、まず充電端子25の底面端子部25a側と接触し、充電端子25とのみ接触しながら、最終的に側面端子部25bと接触することになる。また、電子機器21を充電器41から抜き取る場合には、電源端子25は充電端子25の側面端子部25b側から底面端子部25a側へと摺動することになる。従って、電子機器21を充電器41に装着し或いは離脱させる場合に、電源端子43は充電端子25以外のものに接触することがないので、その装着、離脱を容易に行える。
【0025】
また、電源端子43と最終的に接触させられる充電端子25の部分は側面端子部25bであり、この側面端子部25bに付着した水滴は下方へ落下し易いので、側面端子部25bには水滴が原因で酸化被膜が生じ難い。また、側面端子部25b に酸化被膜が生じた場合でも、充電器41に対する電子機器21の挿抜の過程で電源端子43と側面端子部25bとが擦れ合い酸化被膜は除去されるので、接触不良は生じ難い。従って、生活防水タイプの機器にも本例の接続構造を用いることができる。
【0026】
【考案の効果】
以上説明したように本考案の接続構造では、充電端子は電子機器筐体の底面から側面に沿うようにして設けられているので、電子機器を充電器に挿入し或いは充電器から抜き取る場合に、充電器の電源端子を充電端子とのみ接触し得る状態にすることができる。従って、電源端子と充電端子との間のバネ力を強くしても、電源端子と電子機器との間に引掛りはなくなるので、電子機器の挿抜を円滑に行える。また、電子機器を充電器に装着した状態では、電源端子は筐体側面に位置する充電端子の部分と接触するので、接触不良は生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を説明する図であり、電子機器が充電器に装着させられた状態の断面図。
【図2】上記電子機器を充電器に装着する状態を示した断面図。
【図3】上記電子機器を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図4】上記電子機器に対する充電端子の取付けを説明する図。
【図5】従来の電子機器と充電器との接続を示す断面図。
【図6】上記電子機器の斜視図。
【図7】上記電子機器に対する充電端子の取付けを説明する図。
【図8】別の従来の電子機器と充電器との接続構造を説明する図。
【符号の説明】
21…電子機器 22…筐体
22a…底面 22b…側面
25…充電端子 41…充電器
43…電源端子

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 電子機器の筐体の底面から側面に沿うようにして前記電子機器に設けられた板状の充電端子と、前記電子機器が前記底面側から装着される充電器に設けられ前記充電端子のうちの前記側面に位置する部分と接触させられる電源端子とを具備し、前記充電端子及び電源端子のうちのいずれかのうちの一方は他方を押圧する方向にバネ性をもたされていることを特徴とする電子機器と充電器との接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】実開平5−91153
【公開日】平成5年(1993)12月10日
【考案の名称】電子機器と充電器との接続構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−32487
【出願日】平成4年(1992)5月18日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)