説明

電子機器におけるキャップの構造

【課題】電子機器において、筐体とキャップを接続している接続部材が破断などしてその構成パーツが脱落せず、キャップの着脱時などに巻きついたりせずに扱いやすいキャップの構造を提供すること。
【解決手段】電子機器の筐体2から外部に表出した機能部7と、機能部7を覆うようにこの機能部7に装着されるキャップ8と、基端部14が機能部7の内部に係合するとともに先端部15がキャップ8に係合してこれら機能部7とキャップ8を接続し、キャップ8が機能部7から一定距離以上離れることを規制し、キャップ8の装着時にはこのキャップ8と機能部7の間に収容される接続部材13とを備えた。また、接続部材13を単一部材で構成した。さらに、キャップ8を、機能部7周辺の所定領域外に退避可能となるように接続部材13を介して機能部7に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器が備える、USBメモリなどの記録媒体の装着部のような何らかの機能を付与する部位を覆うためのキャップの構造に関する。なお、以下では、この機能を付与する部位のことを機能部と称する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、屋外設置される電子機器の機能部に着脱自在なキャップが開示されている。図5にこのキャップを示している。図5(a)に示すように、符号101は電子機器である共聴機器のケースであり、符号102は機能部であるモニタ端子としてのコネクタ(F型コネクタ)102である。F型コネクタ102は、ケース101の外側に設けられている。また、F型コネクタ102は、ケース101の外部に接続ねじ部103を有し、接続ねじ部103にはキャップ(防水キャップ)104が着脱自在に設けられている。防水キャップ104は、チェーン105でケース101側に繋がれることで脱落しないようになっている。また、防水キャップ104に対してはチェーン105の一端がキャップ側取付金具106及びピン107により固定され、チェーン105の他端がケース側取付金具108によりF型コネクタ102に対して固定されている。ケース側取付金具108は、ケース101に固定されたF型コネクタ102の接続ねじ部103に押し込まれている。
【0003】
図5(b)に示すように、ケース側取付金具108には、接続ねじ部103に対する取付穴109の内周に沿って複数のストッパ片110が設けられている。ケース側取付金具108は、治具による押込みで取付穴109の内周のストッパ片110が接続ねじ部103のねじ穴に当たって押込み側に変形しながら接続ねじ部103の付け根のネック部103aに向けて押し込まれている。ネック部103aにケース側取付金具108のストッパ片110が押し込まれることで、押込み側に変形していたストッパ片110が平らな状態に戻り、ネック部103aから抜け出すことを妨げるくさびとしての作用を果たす。これにより、ケース101に加工を必要とせずに、チェーン105によりケース101側に防水キャップ104を繋げていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−68332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のキャップの構造では、チェーン105が外部に露出しているため、このチェーン105が使用者の身体などに引っ掛かって破断することがあり、チェーン105が破断すると、チェーン105を構成している複数の環状パーツが脱落する虞があった。もしも、食品を扱う場所でこのようなことがあれば、食品中に金属片などが混入する可能性があり、大変危険である。
【0006】
また、従来は、防水キャップ104の着脱時などにチェーン105が他の部材などに巻きついて扱いにくいものであった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、電子機器において、筐体とキャップを接続している接続部材が破断などしてその構成パーツが脱落せず、しかも、キャップの着脱時などに巻きついたりせずに扱いやすいキャップの構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載の電子機器におけるキャップの構造は、電子機器1の筐体2から外部に表出した機能部7と、
前記機能部7を覆うように該機能部7に装着されるキャップ8と、
基端部14が前記機能部7の内部に係合するとともに先端部15が前記キャップ8に係合して前記機能部7と前記キャップ8を接続し、前記キャップ8が前記機能部7から一定距離以上離れることを規制し、前記キャップ8の装着時には該キャップ8と前記機能部7の間に収容される接続部材13と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このようなキャップの構造では、機能部7からキャップ8が外されたとき、キャップ8は、基端部14が機能部7に係合し、且つ、先端部15がキャップ8に係合している接続部材13によって、一定距離以上の離反が規制された状態となって機能部7に繋がれている。また、キャップ8が機能部7に装着されると、接続部材13は、キャップ8と機能部8の間に収容され、筐体2の外部に露出しなくなる。
【0010】
請求項2記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項1記載の電子機器におけるキャップの構造において、
前記接続部材13が単一部材により構成されたことを特徴としている。
【0011】
このようなキャップの構造では、接続部材13が単一部材からなることで、チェーンのような複数の環状パーツなどがなくなる。すなわち、接続部材13には連結部分がなくなる。
【0012】
請求項3記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項1又は2記載の電子機器におけるキャップの構造において、
前記キャップ8が、前記機能部周辺の所定領域X1 外に退避可能となるように前記接続部材13を介して該機能部7に接続されたことを特徴としている。
【0013】
このようなキャップの構造では、機能部7から外されたキャップ8が、接続部材13によって機能部7に接続されたまま機能部7周辺の所定領域X1 外の退避位置X2 に移動し、機能部7周辺の所定領域X1 内に機能部7に対するアクセス空間が確保される。これにより、機能部7を使用するときにキャップ8が邪魔になることがなくなる。
【0014】
請求項4記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項1又は2又は3記載の電子機器におけるキャップの構造において、
前記機能部7が、前記筐体2から外部に表出するとともに外周面にねじ加工が施された略円筒形状の基部10を有し、
前記キャップ8が、内周面にねじ加工が施された有底の略円筒形状に形成され、前記基部10に螺着することにより前記機能部7に装着されることを特徴としている。
【0015】
このようなキャップの構造では、例えば、基部10の外周面に雄ねじ11が設けられ、キャップ8の内周面に雌ねじ12が設けられ、基部10に被せられたキャップ8が回転されることで、キャップ8は機能部7に螺着される。なお、基部10とキャップ8に施されるねじ加工は逆であってもよい。すなわち、基部10に雌ねじ12が設けられ、キャップ8に雄ねじ11が設けられてもよい。
【0016】
請求項5記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項4記載の電子機器のキャップ構造において、
前記接続部材13における、前記機能部7に係合する基端側係合部19、前記キャップ8に係合する先端側係合部20のいずれか一方が相対回転自在に構成されたことを特徴としている。
【0017】
このような構成では、機能部7(基部10)に被せられたキャップ8が回転されると、機能部7と接続部材13との基端側係合部19、又は接続部材13とキャップ8との先端側係合部20のいずれかが相対回転する。これにより、キャップ8は、接続部材13を介して基部10に接続されたまま機能部7に螺着可能となる。
【0018】
請求項6記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項5記載の電子機器のキャップ構造において、
前記キャップ8の内周面には溝部21が設けられ、前記接続部材13の前記先端部15には前記溝部21に回転自在に係合する係合鍔部22が設けられたことを特徴としている。
【0019】
このような構成では、接続部材13の先端部15に設けられた係合鍔部22が、キャップ8の溝部21に嵌まることで、キャップ8は接続部材13の先端部15に回転自在に接続されるようになる。
【0020】
請求項7記載の電子機器におけるキャップの構造は、請求項2乃至6の何れか一つに記載の電子機器のキャップの構造において、
前記接続部材13は、杆状に形成され、前記基端部14に係合突起16が設けられ、
前記機能部7の内部に前記係合突起16が摺動するガイド溝17が設けられ、
前記ガイド溝17の外側端部に前記係合突起16の離脱を規制するストッパ部18が設けられたことを特徴としている。
【0021】
このような構成では、機能部7の基部10からキャップ8が外されると、キャップ8は、係合突起16をガイド溝17に摺動させる接続部材13を介して引き出される。また、キャップ8は、所定の距離だけ引き出されると、接続部材13の係合突起16がストッパ部18に当接し、それ以上の引き出しが規制され、機能部7から一定距離以上離れることが規制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、接続部材が破断などしてその構成パーツが脱落することを防ぐことができる。また、キャップの着脱時などに接続部材が巻きついたりしないため、扱いやすくなる。
【0023】
請求項2記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、接続部材は、絡まりにくく扱いやすいとともに、破断しにくいものとなる。
【0024】
請求項3記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、例えば、機能部がUSBメモリの装着部である場合、機能部への装着部品(この場合はUSBメモリ)の着脱作業に対してキャップが邪魔することがなくなる。
【0025】
請求項4記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、機能部に対するキャップの装着強度を大きくすることができる。
【0026】
請求項5記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、接続部材が剛性を有する単一部材であっても、キャップを機能部に螺着させることができる。
【0027】
請求項6記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、キャップを簡素な構造で基部の軸回りに回転自在に接続することができ、且つ、基部の軸方向には移動規制して接続することができる。
【0028】
請求項7記載の電子機器におけるキャップの構造によれば、接続部材を機能部の内部に引き出し自在に収容可能にするとともに、機能部から一定距離以上の離反を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)本発明の実施の形態において、機能部にキャップが装着された状態の斜視図、(b)機能部からキャップが外された状態の斜視図である。
【図2】機能部からキャップが引き出された状態の斜視図(縦断面図)である。
【図3】図2に示すA−A線方向の断面図(横断面図)である。
【図4】(a)機能部にキャップが装着された状態の縦断面図、(b)機能部からキャップが引き出された状態の縦断面図、(c)キャップが退避位置に移動した状態の縦断面図である。
【図5】(a)従来のキャップの縦断面図、(b)従来のキャップに設けられたケース側取付金具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
この実施の形態では、USBメモリ30などの記録媒体にデータ記録可能なデジタル指示計を電子機器の例として説明する。なお、本発明の要旨のキャップの構造は、デジタル指示計の他に、食品を扱う場所で取り扱われる検査装置など筐体の一部に設けられた外部から操作可能な部位を覆うキャップを有する様々な電子機器に適用することができる。
【0031】
図1に示すように、デジタル指示計1は、図示しない計量台で計量された被計量物の重量などのデータを、USBメモリ30に記録する機能を有している。デジタル指示計1は、筐体2と、筐体2の前面パネル3に設けられた表示部(表示画面)4と、前面パネル3に設けられた操作部(操作ボタン)5と、それぞれの操作ボタン5に対応して設けられた表示灯(LEDランプ)6と、機能部7と、機能部7に装着されるキャップ8と、を備えている。
【0032】
なお、機能部7とは、電子機器に何らかの機能を付与する部位であり、機能部7を覆うキャップ8を外すことによりこの機能部7への操作が可能となる部位である。この実施の形態では、機能部7がUSBメモリ30の装着部となる。この機能部7にはUSBメモリ30の差込口9が設けられている。差込口9から差し込まれたUSBメモリ30は、筐体2の内部に配設された図示しないUSBコネクタに接続される。なお、機能部7としては、USBメモリ30の装着部の他、筐体2外部からのケーブルを接続するためのコネクタ、筐体2の内部を視認するための窓部などでもよい。
【0033】
機能部7は、筐体2の前面パネル3から外部に表出している。機能部7は、筐体2から外部に表出した部分となる略円筒形状の基部(円筒基部)10を備えている。また、キャップ8は、有底の略円筒形状に形成されている。円筒基部10とキャップ8とは、螺合構造によって結合される。この実施の形態においては、円筒基部10の外周面とキャップ8の内周面にねじ加工が施されている。この実施の形態では、円筒基部10の外周面に雄ねじ11が設けられ、キャップ8の内周面に雌ねじ12が設けられている。これにより、円筒基部10に被せられたキャップ8が回転されることで、キャップ8は機能部25に螺着される。なお、円筒基部10とキャップ8のねじ加工は逆であってもよい。すなわち、円筒基部10に雌ねじ12が設けられ、キャップ8に雄ねじ11が設けられてもよい。また、このような螺合構造の他、例えば、ゴムなどの弾性部材を用いて押し込んで装着されるようにしてもよい。
【0034】
図2及び3に示すように、機能部7とキャップ8とは、接続部材13によって接続されている。接続部材13は、基端部14が機能部7の内部に係合するとともに、先端部15がキャップに係合し、キャップ8が機能部7から一定距離以上離れることを規制している。
【0035】
接続部材13は、単一部材により構成されている。ここで、単一部材とは、複数部材を構成要素としない一体部材のことを言う。そのため、単一部材には軟質樹脂からなる部材なども含まれるが、他の部材などに絡まりにくくする必要があるため、所定の剛性は有するものとする。したがって、接続部材13の材料としては金属や硬質樹脂などが好ましい。この実施の形態では、接続部材13は、金属板を板金加工することにより形成されている。
【0036】
接続部材13は、杆状に形成され、基端部14には係合突起16,16が設けられている。図3に示すように、係合突起16,16は、接続部材13が平面視で略T字形となるように、接続部材13の両側部から外側に突出している。また、機能部7の内部には、係合突起16,16が摺動するためのガイド溝17,17が設けられている。ガイド溝17,17の外側端部には、係合突起16,16の離脱を規制して抜け止めとなるストッパ部18が設けられている。
【0037】
機能部7の円筒基部10からキャップ8が外されると、キャップ8は、係合突起16をガイド溝17に摺動させる接続部材13を介して前方(図2における右方)に引き出される。キャップ8は、一定距離だけ引き出されると、接続部材13の係合突起16,16がストッパ部18,18に当接し、機能部7からそれ以上の引き出しが規制される。すなわち、接続部材13は、機能部7とキャップ8の間に引き出し自在に収容されているとともに、機能部7から外部への一定距離以上の離反が規制されている。
【0038】
図1(b)に示すように、キャップ8は、機能部7周辺の所定領域X1 外の退避位置X2 (図4(c)参照)に移動可能となるように接続部材13を介して機能部7に接続されている。機能部7周辺の所定領域X1 とは、具体的には機能部7の前方の領域(図4(c)参照)のことであり、この領域(以下、前方領域X1 という)はUSBメモリ30が装着されるために空けておく必要がある領域である。キャップ8は、ガイド溝17,17の外側端部に配置された接続部材13の係合突起16,16を中心に回転されることで、図4(c)に示すように、略90°の回転範囲で退避位置X2 に移動可能となる。
【0039】
また、キャップ8を接続部材13を介して機能部7に回転自在に接続させるために、機能部7と接続部材13を係合する基端側係合部19と、接続部材13とキャップ8を係合する先端側係合部20とのいずれか一方が相対回転自在となる。この実施の形態では、接続部材13とキャップ8を係合する先端側係合部20が相対回転自在に構成されている。円筒基部10に被せられたキャップ8が回転されると、接続部材13とキャップ8が相対回転する。これにより、キャップ8は、接続部材13を介して円筒基部10に接続されたまま機能部7に螺着又は螺着解除可能となる。
【0040】
先端側係合部20の相対回転は、具体的には、キャップ8の内周面に設けられた環状の溝部21と、接続部材13の先端部15に設けられ、溝部21に回転自在に係合する係合鍔部22とにより可能となる。図2に示すように、係合鍔部22は、その形状が弦21aと円弧(優弧)21bからなり、接続部材13の杆状部が略直角に屈曲されて設けられている。また、キャップ8の内部には、係合鍔部22が溝部21に配置された後に係合鍔部22を抜け止めするためのストッパリング23が取り付けられる。係合鍔部22は、その弦21aがストッパリング23の直径よりも小さいので、溝部21から脱落せずにキャップ8の内部に保持される。接続部材13の先端部15に設けられたこの係合鍔部22は、キャップ8の溝部21に嵌まることで、接続部材13の先端部15とキャップ8とを回転自在に接続している。また、係合鍔部22は、溝部21に嵌まることで、接続部材13とキャップ8とをその軸方向に移動規制して接続している。
【0041】
なお、このような係合鍔部22によれば、円弧(優弧)21bの部分によって溝部21を円滑に摺動させることができる。係合鍔部の形状は、上述したような弦21aと優弧21bからなる形状以外であってもよく、例えば、溝部21の直径と略同等の長さのアームなどを備えた形状でもよい。この形状では、係合鍔部は溝部21に二点で保持される。また、一点が溝部21の一方の半円部に位置し、他の二点が溝部21の他方の半円部に位置した三角形状でもよい。この形状では、係合鍔部は溝部21に三点で保持される。このように様々な形状がある。
【0042】
さらに、係合鍔部22には、USBメモリ30が差し込まれたままでも、キャップ8の内部にUSBメモリ30を収容して機能部7にキャップ8を装着可能となるように、USBメモリ30が挿通可能な貫通穴24が設けられている。
【0043】
ここから、図4を参照してこの実施の形態における作用を説明する。
図4(a)に示すように、デジタル指示計1では、機能部7の不使用時、接続部材13がガイド溝17に沿って機能部7の後方(図4における左方)に押し込まれ、キャップ8が機能部7に螺着されている。
【0044】
機能部7を使用するときには、キャップ8が回転される。キャップ8は、係合鍔部22に対して溝部21が回転することで、接続部材13に対して回転し、機能部7の円筒基部10との螺着が解除される。
【0045】
図4(b)に示すように、円筒基部10との螺着が解除されたキャップ8は、機能部7の前方(図4における右方)に引かれることで、接続部材13がガイド溝17を摺動して引き出される。引き出された接続部材13は、係合突起16がストッパ部18に当接することで、止まり、それ以上のキャップ8の引き出しが規制される。
【0046】
すなわち、機能部7から外されたキャップ8は、基端部14が機能部7に係合するとともに、先端部15がキャップ8に係合する接続部材13によって、一定距離以上離れることが規制されて機能部7に繋がれることになる。
【0047】
図4(c)に示すように、キャップ8は、引き出された接続部材13がガイド溝17の外側端部にて係合突起16を中心に回転されることで、退避位置X2 へと移動する。すなわち、機能部7の前方領域X1 に移動したキャップ8は、接続部材13によって機能部7に接続されたまま機能部7の前方領域X1 外の退避位置X2 に移動する。
【0048】
なお、この状態(キャップ8が退避位置X2 に移動した状態)のときに、機能部7にはUSBメモリ30が差込口9から差し込まれて装着される。
【0049】
また、USBメモリ30が機能部7に装着された状態、あるいはUSBメモリ30が機能部7から抜き取られた状態で、接続部材13が係合突起16を中心に回転されて図4(b)に示した位置に戻され、機能部7の前方に配置されたキャップ8が円筒基部10に向かって移動することで、接続部材13がガイド溝17を摺動して機能部7の内部へと押し込まれる。キャップ8は、機能部7の円筒基部10に到達した後に回転されることで、円筒基部10に螺着されて装着が完了する。キャップ8が機能部7に装着されたときは、接続部材13は、キャップ8と機能部7の間に収容されている。
【0050】
上述した実施の形態によれば、機能部7からキャップ8が外されたとき、キャップ8は、一定距離以上の離反が規制された状態となって機能部7に繋がれている。キャップ8が機能部7に装着されると、接続部材13は、キャップ8と機能部7の間に収容され、筐体2の外部に露出しなくなる。これにより、接続部材13が破断などしてその構成パーツが脱落することを防ぐことができる。また、キャップ8の着脱時などに接続部材13が巻きついたりしないため、扱いやすくなる。仮に、接続部材13をヒンジなどが設けられた屈曲可能な構成としても、このような効果が得られる。
【0051】
また、接続部材13が、単一の金属部材により構成されていることにより、チェーンのような複数の環状パーツなどの連結部分がなくなり、絡まりにくく扱いやすいとともに、破断しにくいものとなる。
【0052】
さらに、機能部7から外されたキャップ8が、接続部材13によって機能部7に接続されたまま機能部7の前方領域X1 外の退避位置X2 に移動することにより、USBメモリ30の着脱作業に対してキャップ8が邪魔することがなくなる。
【0053】
また、機能部7の円筒基部10の外周面に雄ねじ11が設けられ、キャップ8の内周面に雌ねじ12が設けられていることで、機能部7にキャップ8を螺着させることができるようになり、機能部7に対するキャップ8の装着強度を大きくすることができる。
【0054】
さらに、円筒基部10に被せられたキャップ8が回転されるときに、接続部材13とキャップ8との先端側係合部20が相対回転することにより、キャップ8は、接続部材13を介して円筒基部10に接続されたまま機能部7に螺着可能となり、接続部材13が剛性を有する単一部材であっても、キャップ8を機能部7に螺着することができる。
【0055】
また、接続部材13の先端部15に設けられた係合鍔部22が、キャップ8の溝部21に嵌まることで、キャップ8は接続部材13の先端部15に回転自在に接続され、これにより、キャップ8を簡素な構造で円筒基部10の軸回りに回転自在に接続することができ、且つ、円筒基部10の軸方向には移動規制して接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る電子機器におけるキャップの構造は、接続部材13が破断などしてその構成パーツが脱落することを防ぐことができ、キャップ8の装着時などに接続部材13が巻きつかず扱いやすいという効果を有するので、特に筐体からキャップの取り外しを頻繁に行う電子機器に有効である。
【符号の説明】
【0057】
1…電子機器であるデジタル指示計
2…筐体
7…機能部
8…キャップ
10…基部(円筒基部)
13…接続部材
14…基端部
15…先端部
16…係合突起
17…ガイド溝
18…ストッパ部
19…基端側係合部
20…先端側係合部
21…溝部
22…係合鍔部
1 …(機能部周辺の)所定領域となる機能部の前方領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器(1)の筐体(2)から外部に表出した機能部(7)と、
前記機能部を覆うように該機能部に装着されるキャップ(8)と、
基端部(14)が前記機能部の内部に係合するとともに先端部(15)が前記キャップに係合して前記機能部と前記キャップを接続し、前記キャップが前記機能部から一定距離以上離れることを規制し、前記キャップの装着時には該キャップと前記機能部の間に収容される接続部材(13)と、
を備えたことを特徴とする電子機器におけるキャップの構造。
【請求項2】
前記接続部材(13)が単一部材により構成されたことを特徴とする請求項1記載の電子機器におけるキャップの構造。
【請求項3】
前記キャップ(8)が、前記機能部(7)周辺の所定領域(X1 )外に退避可能となるように前記接続部材(13)を介して該機能部に接続されたことを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器におけるキャップの構造。
【請求項4】
前記機能部(7)が、前記筐体(2)から外部に表出するとともに外周面にねじ加工が施された略円筒形状の基部(10)を有し、
前記キャップ(8)が、内周面にねじ加工が施された有底の略円筒形状に形成され、前記基部に螺着することにより前記機能部に装着されることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の電子機器におけるキャップの構造。
【請求項5】
請求項4記載の電子機器のキャップ構造において、
前記接続部材(13)における、前記機能部(7)に係合する基端側係合部(19)、前記キャップ(8)に係合する先端側係合部(20)のいずれか一方が相対回転自在に構成されたことを特徴とする電子機器におけるキャップの構造。
【請求項6】
請求項5記載の電子機器のキャップの構造において、
前記キャップ(8)の内周面には溝部(21)が設けられ、前記接続部材(13)の前記先端部(15)には前記溝部(21)に回転自在に係合する係合鍔部(22)が設けられたことを特徴とする電子機器におけるキャップの構造。
【請求項7】
前記接続部材(13)は、杆状に形成され、前記基端部(14)に係合突起(16)が設けられ、
前記機能部(7)の内部に前記係合突起(16)が摺動するガイド溝(17)が設けられ、
前記ガイド溝の外側端部に前記係合突起の離脱を規制するストッパ部(18)が設けられたことを特徴とする請求項2乃至6の何れか一つに記載の電子機器のキャップの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−114998(P2013−114998A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262399(P2011−262399)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】