説明

電子機器における防塵構造及び防塵方法、並びに電子機器

【課題】ガスケット部材の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、内部の部品に対する干渉を回避させる。
【解決手段】経年変化によってガスケット部材33が扁平化し幅方向に伸びて、ガスケット部材3の幅の増加に伴って内壁面33aが開口14の中央部側へ変位してきた場合には、制止リブ42aの外壁面が内壁面33aを押えることによって制止する。これによって、ガスケット部材33の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、液晶表示パネル41等内部の部品に対する干渉を回避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器における防塵構造及び防塵方法、並びに電子機器に係り、例えば、表示パネルを保護するスクリーン部材を音波を放射するための振動板として用いた折畳み型の携帯電話機等の携帯型の電子機器において、スクリーン部材を兼ねる振動板が筐体にガスケット部材を介して取り付けられた電子機器における防塵構造及び防塵方法、並びに防塵構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動中や外出先でも使用可能であるという高い利便性によって、携帯電話機等の携帯型電子機器が広く普及してきている。特に、開閉自在の折畳み型の携帯電話機は、コンパクトに収納できることから、多くのユーザから支持を受けている。
さらに、2軸ヒンジ部を用いて、開閉を行うための回動軸に直交する回動軸の周りにも一方の筐体が他方の筐体に対して回動自在となるように構成した折畳み型の携帯電話機も実用化されている。
【0003】
このような携帯電話機101は、図15及び図16に示すように、上部ユニット102と下部ユニット103とが、2軸ヒンジ部104で相互に結合されて構成され、上側ユニット102の上部筐体105には、受話音声を出力する受話部106と、液晶表示装置からなる表示部107とが実装され、下部ユニット103の下部筐体108には、各種操作キー等からなる操作部109と、送話音声を入力する送話部110と、スピーカを有する音声出力部111とが実装されている。
【0004】
なお、表示部107は、図17に示すように、液晶表示パネル112と、液晶表示パネル112に照明光を与えるバックライト装置とを有し、これらは、保持フレーム113によって保持されて、上部筐体105内に実装されている。また、液晶表示パネル112を保護するためのスクリーン部材114が、上部筐体105を構成するフロントケース115に両面粘着シート116を用いて接着されている。
【0005】
ところで、携帯電話機101として、本来の通話機能のみならず、電子メールの送受信やインターネットに接続してホームページの閲覧が可能なデータ通信機能を有するものが普及している。
このような携帯電話機101において、例えば、サイトからダウンロードしたプログラムを実行して、ゲーム等を楽しむような場合に、表示部107の画面を見ながら、音声を聞くためには、筐体を開いた状態で、用いることとなる。
【0006】
しかしながら、図16に示すように、表示画面を正面に向けて折り畳んでコンパクト化した状態で、表示部107の表示画面を見ようとする場合には、音声出力部111のスピーカが隠れてしまって、音声が十分に聴き取れないという問題があった。
また、通話時には、筐体を開いた状態で、受話部106を耳部に当てて、受話音声を聴くこととなるが、音孔が比較的小さいために、確実に当てることが困難で、音孔位置から外れてしまって、音量が不足し、かつ、音声が不明瞭になってしまっていた。
そこで、最近、パーソナルコンピュータのディスプレイで、例えば、表示パネルを保護するスクリーン部材を音声を放射するための振動板として用いる技術が実用化されており、この技術を携帯電話機に適用することが提案されている(表示画面からの音声出力については、例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
この携帯電話機のフラットパネルスピーカ201は、表示部が実装された一方の筐体に取り付けられ、図18に示すように、例えばアクリル樹脂製の透明部材からなり、液晶表示パネルを保護しスクリーン部材を兼ねる振動板202と、圧電素子を有し振動板202を振動させて音波を放射させるアクチュエータモジュール203とを有してなっている。
【0008】
振動板202は、図19に示すように、振動が伝達されるように所定の部位でアクチュエータモジュール203に当接状態で取り付けられ、かつ、塵埃等の異物の侵入を防止するための枠状のガスケット部材204を介して、液晶表示パネル205の表示画面を露出させるための開口206aが中央部に形成され、上記一方の筐体を構成するフロントケース206に取り付けられている。
ここで、ガスケット部材204は、内壁面204aがフロントケース206の開口206aに臨むように配置され、共に枠状の両面粘着シートを介して、それぞれ、振動板202、フロントケース206の開口206aの縁部に接着されている。
【0009】
【非特許文献1】「日経ビジネス 2004年11月1日号」日経BP社、2004年11月1日、p.90
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、ガスケット部材が経年変化によって変形して、防塵機能が低下し、かつ、内部側(開口の中央部側)に配置された、例えば、液晶表示パネルに干渉して損傷を与えてしまうという点である。
すなわち、図20に示すように、ガスケット部材204は、劣化して、さらに扁平になるように(厚さが減少し幅が増加するように)変形して、防塵機能を果たせなくなる上に、特に、内部側に広がった部位は、例えば、液晶表示パネル205に接触して損傷を与えてしまう。
【0011】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、ガスケット部材の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、内部の部品に対する干渉を回避させることができる電子機器における防塵構造及び防塵方法、並びに電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る電子機器における防塵構造は、開口が形成された電子機器の筐体に、上記開口の縁部に配置されたガスケット部材を介して、上記開口を覆うように蓋状部材が取り付けられ、上記蓋状部材の筐体内部に向いた裏面側に配置され、上記ガスケット部材の側壁面の少なくとも一部に対向する対向面を有し、上記側壁面が変位した場合に、上記側壁面の少なくとも一部に上記対向面が接触して、上記ガスケット部材を押えるガスケット押え手段を備えたことを特徴としている。
ここで、防塵とは、防塵のみの場合のほか、必要に応じて防水もなされ、さらに必要に応じて気密とされることを含む広い概念を意味する。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器における防塵構造に係り、上記ガスケット押え手段は、上記ガスケット部材の経年変化による厚さの減少又は/及び幅の増加を伴う変形を抑制することを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電子機器における防塵構造に係り、上記ガスケット部材は、上記蓋状部材を支持する略扁平な枠状部材からなり、その内壁面が上記開口に臨むように配置され、上記ガスケット押え手段は、上記ガスケット部材の幅の増加に伴う上記内壁面の上記開口の中央部側への変位を上記内壁面を押えることによって制止する制止部を有してなることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の電子機器における防塵構造に係り、上記電子機器は、所定の機能を有する機能ユニットを備え、上記開口の上記蓋状部材が配設された側に対向する側には、上記機能ユニットを保持する保持基体が配設され、上記制止部は、上記保持基体の上記開口側に突設され、上記内壁面に対向する外壁面を有していることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、請求項3記載の電子機器における防塵構造に係り、上記制止部は、上記開口の上記蓋状部材側の縁部に突設され、上記内壁面に対向する外壁面を有していることを特徴としている。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造に係り、上記電子機器は、アクチュエータによって振動板を振動させて音波を放射させるフラットパネルスピーカを備え、上記蓋状部材は、上記振動板を兼ね、上記ガスケット部材は、上記蓋状部材に接着された状態で、上記蓋状部材の振動に従って、少なくとも厚さ方向に沿って変形しながら上記蓋状部材を支持することを特徴としている。
【0018】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の電子機器における防塵構造に係り、上記アクチュエータは圧電素子を有してなり、上記蓋状部材の所定の部位に接触していることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8記載の発明は、請求項4乃至7のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造に係り、上記機能ユニットは、文字情報又は画像情報を表示するための表示ユニットからなり、上記蓋状部材は、透明部材からなり、上記表示ユニットの表示画面を保護するために用いられることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9記載の発明は、請求項4乃至8のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造に係り、上記外壁面は、上記内壁面の周回方向に沿って連続的に又は断続的に形成されていることを特徴としている。
【0021】
また、請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造に係り、上記ガスケット部材は、上記開口から上記筐体の中に、少なくとも塵埃を含む異物が入るのを防止するために用いられることを特徴としている。
【0022】
また、請求項11記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至10のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造を備えたことを特徴としている。
【0023】
また、請求項12記載の発明は、開口が形成された筐体に、ガスケット部材を介して、上記開口を覆うように蓋状部材が取り付けられた電子機器における防塵方法に係り、上記蓋状部材の筐体内部に向いた裏面側に、上記ガスケット部材の側壁面の少なくとも一部に対向する対向面を有し、上記ガスケット部材を押えるガスケット押え手段が配置され、上記ガスケット押え手段は、上記側壁面が変位した場合に、上記側壁面の少なくとも一部に上記対向面が接触して、上記ガスケット部材を押えることによって、上記ガスケット部材の寸法及び形状の変化を伴う変形を抑制することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
この発明の構成によれば、ガスケット部材の側壁面が変位した場合に、ガスケット押え手段の対向面が、側壁面の少なくとも一部に接触して、ガスケット部材を押えるので、ガスケット部材の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、内部の部品に対する干渉を回避させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ガスケット部材の側壁面が変位した場合に、ガスケット押え手段の対向面が、側壁面の少なくとも一部に接触して、ガスケット部材を押えることによって、ガスケット部材の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、内部の部品に対する干渉を回避させるという目的を実現した。
【実施例】
【0026】
図1は、この発明の一実施例である携帯電話機の上部ユニットを分解して表面側から見た図であって、同上部ユニットの構成を示す分解斜視図、図2は、同携帯電話機の上部ユニットを分解して裏面側から見た図であって、同上部ユニットの構成を示す分解斜視図、図3は、同携帯電話機の構成を示すブロック図、図4は、同上部ユニットの構成を示す平面図、図5は、図4のA−A線に沿った断面図、図6は、図4のB−B線に沿った断面図、図7は、同携帯電話機の音声出力部のガスケット部材及び防塵クッションの取付方法を説明するための分解斜視図、図8は、図6のC部を拡大して示す拡大断面図、図9は、同音声出力部の構成を示すブロック図、図10は、同音声出力部の振動板の構成を示す平面図、図11は、同ガスケット部材の構成を示す平面図、図12は、同振動板に同ガスケット部材が取り付けられた状態を示す下面図、図13は、同振動板に同ガスケット部材及びアクチュエータモジュールが取り付けられた状態を示す下面図、また、図14は、同携帯電話機の変形防止用リブの機能を説明するための説明図である。
【0027】
この例の携帯電話機1は、折畳可能な筐体を備えると共に、本来の通話機能のほか、例えば電子メールの送受信やインターネットに接続してホームページの閲覧が可能なデータ通信機能を有し、図1乃至図3に示すように、上部ユニット2と下部ユニット3とが、互いに開閉自在で、かつ、開閉を行うための回動軸に直交する回動軸の周りにも一方のユニットが他方のユニットに対して回動自在に2軸ヒンジ部4で相互に結合されて構成されている。
【0028】
上側ユニット2は、図1乃至図3に示すように、折畳可能な扁平な筐体を構成する上部筐体6に、例えば受話音声を出力する音声出力部7と、音声出力部7を駆動するための圧電駆動部8と、液晶表示装置からなり例えば機能設定画面や、待受画面等が表示される表示部9と、LEDを有し例えば着信時や通話時に発光する発光部11とが実装されて概略構成されている。
上部筐体6は、共に例えばマグネシウム合金製のダイカスト成形品からなり、正面側を構成するフロントケース12と、裏面側を構成するリアカバー13とを有し、組み合されたフロントケース12とリアカバー13とが嵌合によって、又は雌ねじや雄ねじ等の固定具による締付けによって、音声出力部7や表示部9、発光部11が内部に収納され、又は取り付けられた状態で、組み立てられてなっている。
【0029】
フロントケース12は、液晶表示パネル41の表示画面を露出させるための開口部14が中央部に形成された矩形状の平板部15の周縁に側壁部16が立設された形状に概略成形されている。
平板部15のうち、側壁部16の内壁面からは側方(内部側)に突設された開口部14の縁部17の上面は、後述するガスケット部材33を介して振動板31を載せる載置面17mとされている。
また、リアカバー13は、矩形状の平板部18の周縁に側壁部19が立設された形状に概略成形されてなっている。
【0030】
下部ユニット3は、折畳可能な扁平な筐体を構成する下部筐体に、図3に示すように、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する制御部22と、制御部22が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部23と、アンテナ25を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部26と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部27と、送話音声を入力するマイクロフォンからなる送話部28と、着信時に着信音を発生するためのリンガ発生部29とが実装されて概略構成されている。
【0031】
音声出力部7は、図1乃至図13に示すように、例えばアクリル樹脂製の透明部材からなり、液晶表示パネル41を保護するスクリーン部材を兼ねる振動板31と、圧電素子を有し振動板31を振動させて音波を放射させるアクチュエータモジュール32と、例えばシリコーンゴムからなり上部筐体6内部への塵埃等の異物の侵入を防止するための扁平な枠状のガスケット部材33と、ガスケット部材33の内側に配置され例えば発泡ウレタンからなり内部への塵埃の侵入を防止して、液晶表示パネル41表面への塵埃の付着を防止するための枠状の防塵クッション部材34とを備えてなっている。ここで、振動板31とアクチュエータモジュール32とは、フラットパネルスピーカ35を構成している。
【0032】
アクチュエータモジュール32は、制御部22によって制御される圧電駆動部8を介して、増幅された駆動信号を受け取って、電気信号としての駆動信号を音響信号に変換して振動板31を振動させる。
この例では、アクチュエータモジュール32は、振動板31の裏面の所定の部位に例えば両面粘着テープを用いて接着されている。なお、アクチュエータモジュール32の裏面側には、フレキシブルプリント配線板(以下、FPC(Flexible Printed Circuit)という)を保護するためのクッション部材45が配置される。
【0033】
また、振動板31の表示画面領域に対応する領域の外部領域は、遮光材料が塗布されている。防振クッション部材34は、ガスケット部材33の内側(この例では、ガスケット部材33の内壁面33aによって、その側部が囲まれ、上方が振動板31によって覆われ、かつ、下方には液晶表示パネル41が配置された隙間空間内)に、表示画面領域の周縁部を囲むように配置される。
振動板31は、この例では、その側壁面31aの所定の角部31mが、フロントケース12の側壁部16の開口14側に形成された対応する隅部16aに当接されるように、位置決めされてガスケット部材33を介して載置面17m上に配置されている。
ガスケット部材33は、図6及び図7に示すように、共に枠状の両面粘着シート37,38を介して、それぞれ、振動板31、フロントケース12の載置面17mに接着されている。
【0034】
両面粘着シート37(38)は、図8に示すように、PETからなる基体37a(38a)の両面にアクリル系接着剤層37m(38m)とシリコン系接着剤層37n(38n)とが形成されてなっている。
振動板31は、このように、ガスケット部材33を介して、フロントケース12に取り付けられている。
このガスケット部材33は、振動板31に接着された状態で、振動板31の振動に従って、少なくとも厚さ方向に沿って比較的容易に変形しながら振動板31を支持すると共に、開口14から上部筐体6の中に特に水分が入るのを防止する
なお、ガスケット部材33は、振動板31よりもその外形寸法が若干小さく設定されている。
【0035】
この例のフラットパネルスピーカ実装構造36は、図5乃至図7に示すように、振動板31が、振動が伝達されるように所定の部位でアクチュエータモジュール32に当接状態で取り付けられ、かつ、例えばシリコンゴムからなる枠状のガスケット部材33を介して、フロントケース12に取り付けられ、ガスケット部材33が保持フレーム42に形成された平面視で略コ字状の制止リブ42aによって幅方向(開口14の中央部へ向かう方向)への変形が抑えられて、概略構成されている。
ここで、ガスケット部材33は、共に枠状の両面粘着シート37,38を介して、それぞれ、振動板31、フロントケース12の載置面17mに接着されている。
【0036】
これによって、ガスケット部材33は、振動板31の振動を妨げずに支持し、かつ、上部筐体6内部への塵埃等の異物の侵入を防止する。
また、経年変化によってガスケット部材33が扁平化し幅方向に伸びて、ガスケット部材3の幅の増加に伴って内壁面33aが開口14の中央部側へ変位してきた場合には、制止リブ42aの外壁面42mが内壁面33aを押えることによって制止し、ガスケット部材33の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、液晶表示パネル41等内部の部品に対する干渉を回避させる。
【0037】
表示部9は、上側筐体6の内側の面に配設され例えば透過型の液晶表示装置を有してなっている。液晶表示装置は、液晶表示パネル41と、液晶表示パネル41に照明光を与えるバックライト装置と、液晶表示パネル41を駆動する駆動回路と、液晶表示パネル41やバックライト装置を保持する保持フレーム42とを有してなっている。
液晶表示パネル41は、例えばTFT(Thin Film Transistor)構造の透過型の液晶表示パネルであり、TFTと透明画素電極とが多数形成されているTFT基板と、TFT基板と数[μm]の間隙を介して対向して固定され、着色層(カラーフィルタ)が形成された対向基板と、上記間隙に封入された液晶層と、TFT基板、対向基板の外側に配設された一対の偏向板とを有している。
【0038】
バックライト装置は、点状光源としての複数のLEDからなる光源ユニットと、光源ユニットから出射した光を受光し面状の照明光を液晶表示パネル41へ向けて出射する導光板、輝度のばらつきを補正するための拡散シート及び導光板側から入射した照明光を集光するプリズムシートを含む光学部材群とを有してなり、液晶表示パネル41に裏面側から照明光を照射して、液晶表示パネル41を透過した光を観察者に視認させる。
保持フレーム42の表面側(振動板31側)には、光学部材群が配設され、光学部材群を保持フレーム42との間に挟んだ状態で、例えば、枠状の両面粘着シートを介して液晶表示パネル41が固定されている。
【0039】
この例では、保持フレーム42の表面側には、図1及び図7に示すように、液晶表示パネル41を囲むように、経年変化によってガスケット部材33が扁平化し幅方向に伸びて内壁面33aが接近してきた場合に、外壁面42mでガスケット部材33の内壁面33aを抑える平面視で略コ字状の制止リブ42aが形成されている。
なお、制止リブ42aの高さは、先端が振動板31の裏面に触れないように設定されている。
また、制止リブ42aの内壁面42nには、防塵クッション部材34の外壁面が当接して、防塵クッション部材34が、液晶表示パネル41の表面の周縁部上に配置される。
【0040】
保持フレーム42の背面側(リアカバー側)には、絶縁性基板に所定の回路パターンが形成され電子部品が搭載されてなる配線基板43が取り付けられ、この配線基板43と、液晶表示パネル41及び光源ユニットとは、それぞれ、FPCを介して電気的に接続されている。
液晶表示パネル41や光源ユニット、配線基板43等は、保持フレーム42に取り付けられた状態で、上部筐体6を構成するフロントケース12とリアカバー13とによって、固定具を用いて上下方向から押さえられるようにして、上部筐体6内に格納される。
【0041】
制御部22は、CPU(中央処理装置)等を有してなり、記憶部23に記憶された各種処理プログラムを実行し、記憶部23に確保された各種レジスタやフラグを用いて、構成各部を制御し、通信制御処理や、表示・操作制御処理等を実行する。
記憶部23は、ROM、RAM等の半導体メモリ等からなり、制御部22が実行する通信制御処理プログラムや、表示・操作制御処理プログラム、ブラウザ、メーラ等の各種処理プログラム等が記憶されたプログラム記憶領域と、各機能の設定情報や、通信履歴情報、電話帳情報、文字メッセージ情報、音声付き動画ファイル等の各種情報が記憶された情報記憶領域とを有すると共に、この記憶部23には、制御部22がプログラム実行時に用いる各種レジスタやフラグが確保されている。
【0042】
無線通信部26は、RF回路や、変復調回路、ベースバンド処理回路等からなり、音声やデータを変調してアンテナ25を介して無線電波として送信すると共に、無線電波をアンテナ25を介して受信して音声やデータに復調し、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる。
【0043】
操作部27は、ブラウザを起動させてホームページを閲覧するためのブラウザモード選択キー、操作を決定するために用いられる決定キー、操作メニューを表示させるためのメニューキー、文字入力モードを切り換えるための入力モード切替えキー、電話帳を登録したり検索するための電話帳キー、音声通話を行うために用いる通話開始キー、操作を1つ前の状態へ戻すクリアキー、及び電源の入切りを行った各種操作を中止するために用いられる電源キーを含む機能キー群と、表示部9に表示された表示画面上のカーソルを上下左右方向へ移動させるためのカーソルキーと、例えば数字等を入力するためのテンキー群とを有している。
【0044】
2軸ヒンジ部4は、図1及び図2示すように、上部筐体6に取り付けられて上部筐体6に固定された基台板51と、基台板51によって回動自在に軸支されて、先端部が上部ユニット2の表示部9の表示画面に対して平行に突出する回動軸部52と、この回動軸部52の先端部で回動軸部52に対して直角に配置されて回動自在に軸支された回動軸部53とを有している。
回動軸部53の周りの下部筐体に対する上部筐体6の回動によって、上部ユニット2と下部ユニット3とが折り畳まれ、回動軸部52の周りの上部筐体6に対する下部筐体の回動によって、上部ユニット2の表示面を含む平面と下部ユニット3の操作面を含む平面とが交差しながら上部ユニット2が回動する。
【0045】
この例の携帯電話機1を組み立てるには、まず、図1、図2及び図12に示すように、振動板31の裏面の周縁部に枠状の両面粘着シート37を介してガスケット部材33を接着し、ガスケット部材33の振動板31に対向する側に両面粘着シート38を貼り付ける。
次に、図1、図2及び図13に示すように、アクチュエータモジュール32を、振動板31の裏面の所定の部位に、例えば両面粘着テープを用いて接着する。
次に、図1、図2及び図5に示すように、振動板31を、側壁面31aの所定の角部31mが対応するフロントケース12の側壁部16の隅部16aに当接されるように、位置決めして、両面粘着シート38を介してガスケット部材33をフロントケース12の載置面17mに接着して、振動板31をフロントケース12に取り付ける。
【0046】
また、図1及び図2に示すように、保持フレーム42の表面側(振動板31が取り付けられる側)に、光学部材群を保持フレーム42との間に挟んだ状態で、例えば、枠状の両面粘着シートを介して液晶表示パネル41を固定する。
次に、図1、図2及び図7に示すように、防塵クッション部材34を、液晶表示パネル41の周縁部に配置されるように、保持フレーム42に取り付ける。
次に、裏面側に配線基板43を重ねて組み付け、配線基板43の端部に配置されたコネクタにFPCの端部を接続する。
次に、液晶表示パネル41や光源ユニット、配線基板43等が取り付けられた保持フレーム42に、振動板31側からフロントケース12を組み付ける。
【0047】
次に、図1及び図2に示すように、振動板31やアクチュエータモジュール32、ガスケット部材33等が取り付けられた部品群をフロントケース12に貼り付け、アクチュエータモジュール32と配線基板43とをコネクタ接続する。次に、リアカバー13を、組み合わせて、嵌合することによって、又は雌ねじや雄ねじ等の固定具によって締め付けて、携帯電話機1を組み立てる。
これによって、振動板31は、所定の部位でアクチュエータモジュール32に当接して、振動の伝達が可能となる。
【0048】
こうして組み立てられた携帯電話機1において、筐体を開いた状態で、例えば着信があると、制御部22は、リンガ発生部29を制御して、着信音を発生されると共に、発光部11を制御してLEDを発光させ、着信通知を行う。
次に、操作部27の通話開始キーの押下によって、通話が開始され、通話相手からの音声は、音声出力部7から出力される。
すなわち、制御部12は、圧電駆動部8を制御して、増幅された駆動信号がアクチュエータモジュール32に供給されるようにする。アクチュエータモジュール32は、増幅された駆動信号を受け取って、電気信号としての駆動信号を音響信号に変換して振動板31を振動させる。振動板31からは、音波が直接放射される。
【0049】
操作者(ユーザ)は、振動板31を耳に当てなくても、例えば、携帯電話機1を正面に向けて、受話音声を聞き、送話部28に向けて発声して、通話を行うことができる。ここで、受信データのなかに、画像(動画又は静止画)が付加されている場合は、操作者は、表示部9の表示画面を見ながら通話を行うことができる。
また、例えば、サイトからダウンロードしたプログラム(音声付き動画ファイル等)を実行する場合に、筐体を開いた状態で、画像が表示部9に表示されると共に、音声は音声出力部7の振動板31から放射される。
また、メール読上機能を用いる場合にも、振動板31から音声が放射される。
【0050】
また、ガスケット部材33が、振動板31の振動を妨げずに支持することによって、振動板31からは確実に音声が放射され、比較的離れていても操作者(ユーザ)は、音声を明瞭に聴くことができる。
また、経年変化によってガスケット部材33が扁平化し幅方向に伸びて、図14に示すように、ガスケット部材3の幅の増加に伴って内壁面33aが開口14の中央部側へ変位してきた場合には、制止リブ42aの外壁面42mが内壁面33aを押えることによって制止し、ガスケット部材33の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、液晶表示パネル41等内部の部品に対する干渉を回避させる。
【0051】
このように、この例の構成によれば、保持フレーム42に制止リブ42aを設けたので、ガスケット部材3の幅の増加に伴う内壁面33aの開口14の中央部側への変位を、制止リブ42aの外壁面42mが内壁面33aを押えることにことによって制止するため、ガスケット部材33の劣化による変形を確実に抑制して、防塵機能を維持すると共に、液晶表示パネル41等内部の部品に対する干渉を回避させることができる。
【0052】
また、操作者は、振動板31を耳部に当てなくても、例えば、携帯電話機1を正面に向けた状態で、受話音声を聴くことができるので、従来技術のように、音孔位置から外れて音声が不明瞭になることなく、確実にかつ明瞭に受話音声を聴くことができると共に、耳部を携帯電話機1から離して、送話部28に向けて発生して、通話を行うことができる。 また、画像(動画又は静止画)が付加されている場合は、操作者は、表示部9の表示画面を見ながら音声を聴くことができる。
また、フラットパネルスピーカの採用によって、機器の薄型化及び小型化に寄与することができる。
【0053】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、振動板が表示部のスクリーン部材を兼ねる場合について述べたが、専用に設けるようにしても良い。この場合、振動板は透明でなくても良い。
また、制止リブを保持フレームに限らず、フロントケースに設けるようにしても良い。
また、制止リブは、平面視略C字状に限らず、ロ字状でも良いし、所定の閉曲線に沿って間欠的に配置されるように形成しても良い。また、筐体は、金属製でも良いし、樹脂製としても良い。
また、音声出力部7を1箇所に設ける場合について述べたが、2箇所以上に設けるようにしても良い。この場合、設置位置は、上部ユニットでも下部ユニットでも良い。
【0054】
また、電子カメラユニットを付加して、撮影機能や、テレビ電話機能を持たせるようにしても良い。この場合、音声出力部7から撮影時に擬似シャッタ音を発生させるようにしても良い。
また、着信時に、音量を調整した上で、音声出力部7から着信音を出力させるように構成しても良い。
また、振動板は、両面粘着シートを用いずに、直接接着層を介してガスケット部材に接着するようにしても良いし、熱溶着によって接着するようにしても良い。
【0055】
また、ガスケット部材は接着以外の方法で、フロントケースに取り付けるようにしても良い。
また、回動軸部52を上部筐体6の主面に対して平行である場合について述べたが、上側筐体6の主面に対して垂直であっても良い。この場合、上部ユニット2の表示面と下部ユニット3の操作面とが略平行関係を保ちながら上部ユニット2が回動する。
また、2軸ヒンジに限らず、開閉のみ可能な折畳式の携帯電話機にも適用できるし、折畳式以外のストレートタイプの携帯電話機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
携帯型電子機器としては、携帯電話機のほか、簡易型携帯電話(PHS)端末や、携帯情報端末(PDA)、携帯型のコンピュータに対して適用できる。また、携帯型の電子機器のほか、一般に、筐体に形成された開口からの塵埃を含む異物の侵入を防止するための防塵構造を有するコンピュータ等の電子機器に対して適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一実施例である携帯電話機の上部ユニットを分解して表面側から見た図であって、同上部ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図2】同携帯電話機の上部ユニットを分解して裏面側から見た図であって、同上部ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図3】同携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図4】同上部ユニットの構成を示す平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図である。
【図6】図4のB−B線に沿った断面図である。
【図7】同携帯電話機の音声出力部のガスケット部材及び防塵クッションの取付方法を説明するための分解斜視図である。
【図8】図6のC部を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】同音声出力部の構成を示すブロック図である。
【図10】同音声出力部の振動板の構成を示す平面図である。
【図11】同ガスケット部材の構成を示す平面図である。
【図12】同振動板に同ガスケット部材が取り付けられた状態を示す下面図である。
【図13】同振動板に同ガスケット部材及びアクチュエータモジュールが取り付けられた状態を示す下面図である。
【図14】同携帯電話機の変形防止用リブの機能を説明するための説明図である。
【図15】従来技術を説明するための説明図である。
【図16】従来技術を説明するための説明図である。
【図17】従来技術を説明するための説明図である。
【図18】従来技術を説明するための説明図である。
【図19】従来技術を説明するための説明図である。
【図20】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯電話機(電子機器)
2 上部ユニット
3 下部ユニット
4 2軸ヒンジ部
6 上部筐体
7 音声出力部
9 表示部
12 フロントケース(筐体)
13 リアカバー
14 開口
31 振動板(蓋状部材)
32 アクチュエータモジュール(アクチュエータ)
33 ガスケット部材
33a 内壁面
34 防塵クッション部材
35 フラットパネルスピーカ
36 フラットパネルスピーカ実装構造
37,38 両面粘着シート
41 液晶表示パネル(機能ユニットの一部、表示ユニットの一部)
42 保持フレーム(保持基体)
42a 制止リブ(ガスケット押え手段、制止部)
42m 外壁面(対向面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された電子機器の筐体に、前記開口の縁部に配置されたガスケット部材を介して、前記開口を覆うように蓋状部材が取り付けられ、前記蓋状部材の筐体内部に向いた裏面側に配置され、前記ガスケット部材の側壁面の少なくとも一部に対向する対向面を有し、前記側壁面が変位した場合に、前記側壁面の少なくとも一部に前記対向面が接触して、前記ガスケット部材を押えるガスケット押え手段を備えたことを特徴とする電子機器における防塵構造。
【請求項2】
前記ガスケット押え手段は、前記ガスケット部材の経年変化による厚さの減少又は/及び幅の増加を伴う変形を抑制することを特徴とする請求項1記載の電子機器における防塵構造。
【請求項3】
前記ガスケット部材は、前記蓋状部材を支持する略扁平な枠状部材からなり、その内壁面が前記開口に臨むように配置され、前記ガスケット押え手段は、前記ガスケット部材の幅の増加に伴う前記内壁面の前記開口の中央部側への変位を前記内壁面を押えることによって制止する制止部を有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器における防塵構造。
【請求項4】
前記電子機器は、所定の機能を有する機能ユニットを備え、前記開口の前記蓋状部材が配設された側に対向する側には、前記機能ユニットを保持する保持基体が配設され、前記制止部は、前記保持基体の前記開口側に突設され、前記内壁面に対向する外壁面を有していることを特徴とする請求項3記載の電子機器における防塵構造。
【請求項5】
前記制止部は、前記開口の前記蓋状部材側の縁部に突設され、前記内壁面に対向する外壁面を有していることを特徴とする請求項3記載の電子機器における防塵構造。
【請求項6】
前記電子機器は、アクチュエータによって振動板を振動させて音波を放射させるフラットパネルスピーカを備え、前記蓋状部材は、前記振動板を兼ね、前記ガスケット部材は、前記蓋状部材に接着された状態で、前記蓋状部材の振動に従って、少なくとも厚さ方向に沿って変形しながら前記蓋状部材を支持することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造。
【請求項7】
前記アクチュエータは圧電素子を有してなり、前記蓋状部材の所定の部位に接触していることを特徴とする請求項6記載の電子機器における防塵構造。
【請求項8】
前記機能ユニットは、文字情報又は画像情報を表示するための表示ユニットからなり、前記蓋状部材は、透明部材からなり、前記表示ユニットの表示画面を保護するために用いられることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造。
【請求項9】
前記外壁面は、前記内壁面の周回方向に沿って連続的に又は断続的に形成されていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造。
【請求項10】
前記ガスケット部材は、前記開口から前記筐体の中に、少なくとも塵埃を含む異物が入るのを防止するために用いられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1に記載の電子機器における防塵構造を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
開口が形成された筐体に、ガスケット部材を介して、前記開口を覆うように蓋状部材が取り付けられた電子機器における防塵方法であって、
前記蓋状部材の筐体内部に向いた裏面側に、前記ガスケット部材の側壁面の少なくとも一部に対向する対向面を有し、前記ガスケット部材を押えるガスケット押え手段が配置され、
前記ガスケット押え手段は、前記側壁面が変位した場合に、前記側壁面の少なくとも一部に前記対向面が接触して、前記ガスケット部材を押えることによって、前記ガスケット部材の寸法及び形状の変化を伴う変形を抑制することを特徴とする電子機器における防塵方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−186691(P2006−186691A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378312(P2004−378312)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】