説明

電子機器のパネル構造

【課題】超音波診断装置のような電子機器において、オプショナルケーブルが生じても、その本数や物量に応じてパネル上のケーブル通過開口のサイズを可変できるようにする。
【解決手段】超音波診断装置の本体において、その背面パネルにはケーブル取出口構造20が設けられ、それは開口部24と目隠し蓋26とにより構成される。目隠し蓋26は、ベースセグメント28と、複数のセグメント30乃至40と、により構成される。各セグメント間には凸部と凹部との噛み合い構造が構成されており、凸部と凹部との間には凸部の先端と凹部の底辺とを結ぶ連結細片が設けられている。連結細片は人為的な力により容易に破断することが可能である。分離優先度にしたがって1又は複数のセグメントが取り除かれ、これによってケーブルの通過開口の大きさを自由に設定することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器のパネル構造に関し、特に、1又は複数のオプショナルユニットを収容可能な電子機器において化粧板を構成するパネルに設けられたケーブル取出口の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な医療用電子機器として超音波診断装置があげられる(特許文献1,2参照)。超音波診断装置の装置本体内には多数の電子基板が収容されている。それらは送受信基板、画像形成基板、バックプレーン(主基板)、等を含む。装置本体からは、基本セットを構成する電源ケーブル、操作パネル用ケーブル、表示器用ケーブル等が装置本体外へ引き出されている。具体的にはそれらは装置本体のパネル(外装カバーあるいは化粧板)に設けられた専用のケーブル取出口を経由して引き出されており、ケーブルの物量や本数が事後的に変動することはないから、当該ケーブル取出口のサイズや形状を可変にしておく必要は基本的にない。通過するケーブルに合わせて取出口を設計しておけば足りる。
【0003】
一方、装置本体内には、必要に応じて、電子基板としてあるいは電子ユニットとして、1又は複数のオプショナルユニットが組み込まれる。そのようなオプショナルユニットとしては、記録装置、印刷装置、通信装置、計測装置(例えば心電計)、等があげられる。各オプショナルユニットから信号ケーブル、電源ケーブルが引き出される。すなわち、オプショナルユニットが装置本体内に組み込まれた場合には装置本体内から1又は複数のケーブルを外に引き出す必要がある。その本数及び物量は、設置したオプショナルユニットの個数や構成によって変動する。オプショナルユニットが一切設けられない場合もある。このような背景の下、ケーブル取り出し上は、装置本体のパネルに予め大きな開口部(ケーブル通路)を形成しておくのがよいと言えるが、そのような場合、引き出すケーブルの本数が少なくあるいは物量が小さい場合、開口部に大きな隙間が存在し、見栄えが悪いばかりではなく、装置内部に異物が進入しやすくなる。オプショナルのケーブルがまったく存在しない場合には意味のない開口部が存在してしまう。その一方、オプショナルケーブルの構成に応じて、それに適合したケーブル取出口(あるいは他種類の隠蔽部品)を設計するのは煩雑であるし、製造コストの増大という問題を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−10253号公報
【特許文献2】特開2010−220802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、電子機器のパネル構造として、特に、内部の仕様が変動する電子機器のパネル上に形成されたケーブル取出口構造においては、内部から外部へ取り出されるケーブルの構成の変化に柔軟に対応できることが要望されている。更に、ケーブルの取り出しに際しては、ケーブル保護及び安全性を向上することが要望されている。これらの要望は、超音波診断装置以外の医療上の機器の他、電子機器一般においても指摘できるものである。もっとも、近時、超音波診断装置の多機能化の傾向から、超音波診断装置において上記要望が特に指摘されている。
【0006】
本発明の目的は、内部から外部へ引き出されるケーブル構成の変動に柔軟に対応できるパネル構造を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、内部から外部へ引き出されるケーブルの有無及び本数(物量)に応じてケーブル通路のサイズを段階的に容易に変更可能なパネル構造を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、ケーブル取出口に関してケーブル保護及び安全性を高められるパネル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子機器に設けられ、当該電子機器の内部から引き出される1又は複数のケーブルを通すことが可能な開口部を有するパネルと、前記電子機器の内部から引き出されるケーブルの本数又は物量に応じて前記開口部の隠蔽面積を可変可能とするために二次元的配列をもって相互に分離可能に連結された複数のセグメントからなる蓋部材と、を含み、前記複数のセグメントにおける少なくとも1つの隣接セグメント間において、分離優先度が相対的に高い一方のセグメントが他方のセグメント側へ突き出た凸部を有し、分離優先度が相対的に低い又は不分離の他方のセグメントが前記凸部を受け入れる凹部を有し、前記凸部の先端と前記凹部の底とが連絡細片を介して連結され、前記一方のセグメントを前記他方のセグメントから分離する場合には前記連絡片が切断される、ことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、蓋部材が複数のセグメントからなり、それらの内の少なくとも1つが分離可能であって、セグメントの分離除去によってケーブル通過開口の有無又はサイズを変更することが可能である。すなわち、実際に挿通させるケーブル数等に応じて適当な開口が形成されるようにセグメントの分離除去を行えばよい。よって、事後的にケーブル通過口の形態を変更して必要な開口量及び適切な隠蔽量を確保できる。
【0011】
また、上記構成によれば、セグメント間における連絡細片の破断によって、一方のセグメントを分離除去した場合において、連絡細片の一部としての在留片が他方のセグメントにおける凹部の底、つまり、両側の壁に囲まれた奥部分に残留することになり、基本的に残留片がケーブルの表面に接することを阻止できるから、ケーブル表面が傷つくことを防止できるし、指先が残留片に触れることを防止して安全性を高められる。残留片に対してケーブルや指が接しないように凹部の深さ(両壁の高さ)や幅(特に開口幅)を設定するのが望ましい。なお、凸部側にも残留片が生じるが、それは分離除去されるセグメントと共に除去されることになる。つまり、凸部の先端に残留片があっても問題とはならない。セグメントは相互に密集配置可能な形状に構成するのが望ましい。段階的に分離優先度が設定されている場合に、最上位のセグメントの形状は四辺を有する矩形であるのが望ましいが、円形、半円形等であってもよい。
【0012】
望ましくは、前記複数のセグメントは、分離優先度が最上位の第1セグメントと、分離優先度が中位の第2セグメントと、分離優先度が低位又は不分離の第3セグメントと、を含み、前記第1セグメントは、前記第2セグメント側へ突出した第1凸部を有し、前記第2セグメントは、前記第1凸部を受け入れる第2凹部を有し、且つ、前記第3セグメント側へ突出した第2凸部を有し、前記第3セグメントは、前記第2凸部を受け入れる第3凹部を有し、前記第1凸部の先端と前記第2凹部の底とが第1連絡細片を介して連結され、前記第2凸部の先端と前記第3凹部の底とが第2連結細片を介して連結される。
【0013】
この構成によれば、いずれのセグメントも分離除去しない場合に開口部が全面的に隠蔽され、第1セグメントだけを分離除去した場合にケーブル通過路として小開口が形成され、更に第2セグメントも分離除去した場合にケーブル開口として中開口が形成される。複数の第2セグメントが設けられており、それらが同列の順位にあれば、第2セグメントの分離除去数によってケーブル開口のサイズや形態が変動することになる。引き出し必要なケーブルの本数等に応じて分離除去するセグメント構成を変更すればよい。なお、いったん除去してしまったセグメントを再び装着することはできないが、それを可能とする構成を採用するようにしてもよい。
【0014】
望ましくは、前記第1セグメントの三辺を取り囲んで複数の第2セグメントが設けられ、前記第1セグメントは前記複数の第2セグメントによって支持され、前記複数の第2セグメントは前記第3セグメントによって支持される。この構成において、第1セグメントは全体として矩形の形態を有し、それが有する四辺の内で三辺が複数の第2セグメントによって取り囲まれる。残りの一辺は開口部の縁に接触し又は近接する。第1セグメントを中心として(半)同心円状に開口形態を広げることが可能となる。
【0015】
望ましくは、前記電子機器は、複数のオプショナルユニットを収容可能な装置本体を有する超音波診断装置であり、前記装置本体内に収容された1又は複数のオプショナルユニットから引き出される1又は複数のケーブルが前記開口部におけるセグメント欠落部分を通過して外部に導かれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内部から外部へ引き出されるケーブル構成の変動に柔軟に対応できるパネル構造を提供できる。あるいは、内部から外部へ引き出されるケーブルの有無及び本数(物量)に応じてケーブル通路のサイズを段階的に容易に変更可能なパネル構造を提供できる。あるいは、本発明によれば、ケーブルを保護でき、また安全性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の概略的な斜視図である。
【図2】ケーブル取出口構造を示す平面図である。
【図3】図2に示す中間部と上部との間を表した拡大図である。
【図4】図2に示す上部の拡大図である。
【図5】使用例その1を示す図である。
【図6】使用例その2を示す図である。
【図7】使用例その3を示す図である。
【図8】ベースセグメントの取付構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には、本発明に係る超音波診断装置が斜視図として示されている。超音波診断装置は、医療の分野において用いられ、生体に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。本発明は専ら以下に詳述するケーブル取出口構造を特徴事項とし、本発明に係る電子機器は超音波診断装置には限られない。ただし、超音波診断装置においては、その装置本体内に各種のオプショナルユニットが設けられるから、本発明に係るケーブル取出口構造は特に超音波診断装置に設けるのが望ましい。
【0020】
図1において、超音波診断装置は本体10を有する。本体10の内部には複数の電子基板が収容されている。それらには送受信基板、画像形成基板等が含まれる。本体10内には電源等も設けられている。更に、本体10内には必要に応じてオプショナルユニットが1又は複数組み込まれる。そのようなオプショナルユニットは、記録ユニット、印刷ユニット、計測ユニット等である。それぞれのオプショナルユニットからは信号ケーブル及び電源ケーブルが引き出されている。オプショナルユニットが1つも設けられない場合もあるし、オプショナルユニットが多数設けられる場合もある。
【0021】
本体10は、図示されるように4つの側面を有し、それぞれの側面にはパネルが設けられている。図においては側面パネル10B及び背面パネル10Cが示されている。また上面パネル10Dも示されている。本体10の下部はベース10Aであり、それには4つのキャスタ12が設けられている。操作部16は支柱14によって昇降自在に支持されており、操作部16の奥側にはアーム機構を介して表示器18が搭載されている。操作部16はキーボードやトラックボールなどを含み、ユーザーは操作部16を利用して入力や操作を行える。
【0022】
本体10は、上述したように複数の化粧板あるいは外装としてのパネルを有しており、背面パネル10Cにおいては複数のケーブルコネクタの他、本実施形態においては、以下に詳述するケーブル取出口構造20が設けられている。そのようなケーブル取出口構造20が側面パネルに形成されてもよい。図1においては、背面パネル10Cの左側上方にケーブル取出口構造20が設けられているが、その位置は必要に応じて変更可能である。
【0023】
図2には、ケーブル取出口構造20の全体が示されている。ケーブル取出口構造20は背面パネル10Cに形成され、それは開口部24と、それを塞ぐ目隠し蓋26とからなるものである。目隠し蓋26は、上方から下方にかけて上部26A、中間部26B及び下部26Cに区分にされる。
【0024】
中間部26Bは本実施形態において単一のセグメントとしてのベースセグメント28によって構成される。ベースセグメント28は後に説明するように背面パネル10Cに対して着脱自在に装着されるものである。このベースセグメント28は開口サイズ可変にあたっては基本的に分離除去されないセグメントである。
【0025】
上部26Aと下部26Cは線対称の構成を有している。上部26Aは、上部中央に設けられたセグメント30と、それが有する四辺の内で三辺を取り囲むように設けられた2つのセグメント32,34と、からなっている。2つのセグメント32,34はベースセグメント28に連結され、そのベースセグメント28のみによって支持されている。セグメント30は2つのセグメント32,34に連結されており、また支持されている。セグメント30の上辺は開口部24の縁に近接しているが、そこにおいて連結関係は生じていない。このことは2つのセグメント32,34についても同様である。すなわち支持の面において階層的な構造が構築されており、あるいは分離優先度が設定されている。分離優先度が最も高い最上位のセグメントがセグメント30であり、分離優先度が中位のセグメントがセグメント32,34であり、分離優先度が最も低い(又は不分離の)セグメントがベースセグメント28である。本実施形態においてはこのように三段階の階層が設定されているが、その段数は任意に設定できる。
【0026】
本実施形態において、セグメント30はおよそ四角形の形態を有し、その上辺を除く3辺が2つのセグメント32,34によって取り囲まれている。セグメント30が例えば半円の形態をもって構成される場合には、その形態に応じてセグメント32,34の形態が設定される。
【0027】
下部26Cは上述したように上部26Aと線対称の構造を有しており、すなわち下部26Cはセグメント36及び2つのセグメント38,40を有している。下部26Cにおいても上述した階層的関係が構築されている。
【0028】
上部26Aにおいて、必要に応じて1又は複数のセグメントが分離除去され、これによってケーブル挿通エリアが自在に設定される。上部において3つのセグメント30,32,34の全部を取外せば最大の通過開口を得ることができ、更に必要であれば下部についても同様に必要なセグメントを除去するようにすればよい。本実施形態においては複数のセグメントが2次元的にすなわち面状に配列されており、上述したように階層的な関係をもって相互に連結されている。上記実施形態においては、例えばセグメント30が次の順位の2つのセグメント32,34によって保持されていたが、セグメント30と開口部24とを連結させるようにしてもよい。いずれにしても、本実施形態の構成を採用することにより、各セグメントを分離優先度に従って容易に取り外すことが可能である。
【0029】
なお、目隠し蓋26は、本実施形態において、垂直方向におよそ70mmの大きさを有しており、水平方向におよそ38mmの大きさを有している。目隠し蓋26は四角形の形態を有しているが、もちろんそれが円形あるいは多角形であってもよい。
【0030】
次に、図3乃至図4をい用いて目隠し蓋の細部構造について詳述する。図3には、図2に示した中間部と上部との間が拡大図として示されている。目隠し蓋26と開口部24との間には一定の隙間が形成され、その隙間の大きさGはおよそ0.5mmである。もちろん両者がぴったり合うように構成してもよい。ベースセグメント28は上辺28Aを有しており、ベースセグメント28の上部には上辺28Aに沿って4つの凹部42が形成されている。凹部42の水平方向の幅X1はおよそ3.5mmであり、凹部42の垂直方向の高さZ1はおよそ2.8mmである。
【0031】
セグメント32は下辺32Aを有し、そのセグメント32は、下辺32Aからベースセグメント28側へすなわち下方側へ突出した2つの凸部44を有する。また、セグメント34は下辺34Aを有し、そのセグメント34も2つの凸部46を有する。各凸部44,46の垂直方向の高さすなわち突出量Z2はおよそ2.8mmであり、その幅X2はおよそ2.1mmである。
【0032】
図3に示されるようにベースセグメント28と2つのセグメント32,34との間に水平方向に並んだ4つの凹凸噛み合い構造が形成されており、各噛み合い構造は凸部44,46とそれを受け入れる凹部42とからなる。以下に説明する連絡細片48を除いてみた場合、各凸部44,46と各凹部42とは非接触の関係にある。各凸部44,46の先端中央と各凹部42の底辺中央とが連絡細片48によって繋がっている。この連絡細片48は容易に切断可能な幅及び厚みを有している。ただし、各セグメントの支持を行える限りの剛性を備えている。ユーザーによる人為的な力によりセグメント32,34のいずれか一方又は両方を折り曲げ運動させることにより、応力がかかった連絡細片48が破断することになる。この結果として残留片としてのバリが生じる。ただしそのバリは後に詳述するように残されるセグメント側において凹部の底辺上に存在しており、そこにケーブル表面や指の表面が到達することは基本的にない。すなわちケーブルの保護及び生体安全性の観点から凹部42の深さや幅が設定されており、また連絡細片48の長さ等が設定されている。
【0033】
なお、図2に示されていたように、目隠し蓋26を構成するセグメント間には多数の凹凸噛み合い構造が構成されており、各噛み合い構造は互いに同一の形態をもっているが、それらを互いに異ならせることも可能である。
【0034】
図4には、目隠し蓋の上部が拡大図として示されている。開口部における上部中央にはセグメント30が設けられている。そしてその上辺を除く三辺、すなわち左側辺30A、下辺30C及び右側辺30Bを取り囲むように、あるいは上部においてセグメント30以外のエリアを塞ぐように2つのセグメント32,34が設けられている。セグメント32は、セグメント30側に接する右側辺32Bと段差辺32Cを有する。同様に、セグメント34は、セグメント30側に接する左側辺34Bと段差辺34Cとを有する。セグメント30の左側辺30Aとセグメント32の右側辺32Bとが近接対向しており、同じくセグメント30の右側辺30Bとセグメント34の左側辺34Bが近接対向している。更に、セグメント30の下辺30Cと、セグメント32,34の段差辺32C,34Cとが近接対向している。
【0035】
セグメント30の左側辺30Aから左方向に突出したものとして凸部58が形成されており、セグメント30の右側辺30Bから突出したものとして凸部62が形成されている。またセグメント30の下辺から下方に突出する形態をもって2つの凸部60,64が形成されている。一方、セグメント32においては、左側辺32Bから奥側へ引っ込んだ形態として凹部50が形成されており、また段差辺32Cから奥側へ引っ込んだ形態をもって凹部52が形成されている。同様に、セグメント34において、左側辺34Bから奥側へ引っ込んだ形態をもって凹部54が形成されており、段差辺34Cから奥側へ引っ込んだ形態をもって凹部56が形成されている。凸部58と凹部50とが凹凸噛み合い構造を構成し、同様に凸部60と凹部52、凸部64と凹部56、凸部62と凹部54、がそれぞれ凹凸噛み合い構造を構成している。それぞれの構造においては凸部と凹部との間が連結細片48によって連結されている。それは一定の幅及び厚みを有する板状の部分である。本実施形態においては、図示されるように、ベースセグメント28によって2つの中位セグメント32,34が支持され、それらによって上位セグメント30が支持されている。
【0036】
装置の出荷時において、あるいは出荷後において、本体内に組み込むオプショナルユニットの有無あるいは個数、具体的にはオプショナルケーブルの本数あるいは物量に応じてセグメントの分離除去を行うか否か、あるいはそれを行う場合における分離数が適宜設定され、これによって必要量のケーブル通過開口を確保することが可能である。これについて以下に図5乃至図7を用いて例示する。
【0037】
図5においては、最上位のセグメント30だけが除去されており、これによって開口部24にはその上部中央に通路66が形成されている。通路66のサイズは小である。図示されるようにそこには2つのケーブル68,70が挿通されている。2つのケーブルは辺32B,32C,34C,34B及び開口部24の上辺で囲まれる四角形の空間に収容されている。その場合において、各凹部50の内部には連絡細片の破断の結果により生じた残留片48Aが生じているが、それがケーブル68,70の表面に接触することが防止されている。すなわちバリとしての残留片48Aにケーブル表面が接触しないような条件をもって凹部50の横幅及び高さが設定されている。もちろんケーブルのみならず指等がそのような残留片48Aに接触することが防止される。
【0038】
図6に示す例においては、最上位のセグメントと、中位の1つのセグメントとが除去されており、これによって中レベルの通路72が構成されている。そこにはケーブル74乃至82が挿通されている。この場合においても残されるセグメントあるいはベースセグメント28においてバリが生じていたとしてもそれはケーブルの表面には接触しない。
【0039】
更に、図7には、上部に存在する3つのセグメントが全て除去されている。これによって大きな通路84が構成されている。その内部にはケーブル86乃至98が挿通されている。これによって多くのオプショナルユニットを装着したような場合においても、十分な開口を確保することが可能である。更に必要であれば、目隠し蓋の下方においても開口面積を広げることにより、より多くのケーブル通路を確保することが可能である。
【0040】
図8には図2に示したAで示す位置の断面が示されている。すなわち図8にはベースセグメントの取付構造が断面図として示されている。背面パネル10Cにはリブ102が構成されている。ベースセグメント28はその左端側にフック100を有し、それは奥行方向に伸長し、その先端には爪部100Aが設けられている。爪部100Aはリブ102の奥側面に引っかかる形態をもっている。ベースセグメント28の右端側には奥側に引っ込んだ段差形状を有する差込片104が設けられており、その差込片104は背面パネル10Cの裏側に差し込まれる。すなわちこのような形態によってベースセグメント28を背面パネルに対して着脱自在に取り付けることが可能である。もちろん図8に示す構造は一例であって、様々な取付構造を採用することが可能である。ベースセグメントそれ自体が分離可能な構造を有していてもよい。本実施形態においては、目隠し蓋26それ自体を着脱可能にしているので、ケーブルの本数が決まった上で、目隠し蓋26の取り外し状態において必要なセグメント数の除去を行った上で、下降後の目隠し蓋26を開口部に装着するといった作業を行うことが可能であり、その作業性を向上することが可能である。
【0041】
本実施形態において、セグメントの取り除きによってケーブル通路を形成した場合において、ケーブルとケーブル通路周囲との間に隙間が生じてしまうような場合には、そこにゴムパッキンなどを配置するようにしてもよい。上述した実施形態においては、基本的に各セグメントが垂直辺と水平辺とにより構成されていたが、例えば六角形の形態あるいは円形の形態をもっていずれかのセグメントを構成することも可能である。図2に示す実施形態においては、セグメント30を中心として同心円状の配列が構成されており、すなわちケーブル通過路を徐々に外側に広げていくことが可能である。
【符号の説明】
【0042】
20 ケーブル取出口構造、24 開口部、26 目隠し蓋、28 ベースセグメント、30,32,34,36,38,40 セグメント、48 連絡細片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられ、当該電子機器の内部から引き出される1又は複数のケーブルを通すことが可能な開口部を有するパネルと、
前記電子機器の内部から引き出されるケーブルの本数又は物量に応じて前記開口部の隠蔽面積を可変可能とするために二次元的配列をもって分離可能に連結された複数のセグメントからなる蓋部材と、
を含み、
前記複数のセグメントにおける少なくとも1つの隣接セグメント間において、分離優先度が相対的に高い一方のセグメントが他方のセグメント側へ突き出た凸部を有し、分離優先度が相対的に低い又は不分離の他方のセグメントが前記凸部を受け入れる凹部を有し、
前記凸部の先端と前記凹部の底とが連絡細片を介して連結され、前記一方のセグメントを前記他方のセグメントから分離する場合には前記連絡細片が切断される、
ことを特徴とする電子機器のパネル構造。
【請求項2】
請求項1記載のパネル構造において、
前記複数のセグメントは、
分離優先度が最上位の第1セグメントと、
分離優先度が中位の第2セグメントと、
分離優先度が低位又は不分離の第3セグメントと、
を含み、
前記第1セグメントは、前記第2セグメント側へ突出した第1凸部を有し、
前記第2セグメントは、前記第1凸部を受け入れる第2凹部を有し、且つ、前記第3セグメント側へ突出した第2凸部を有し、
前記第3セグメントは、前記第2凸部を受け入れる第3凹部を有し、
前記第1凸部の先端と前記第2凹部の底とが第1連絡細片を介して連結され、
前記第2凸部の先端と前記第3凹部の底とが第2連結細片を介して連結された、
ことを特徴とする電子機器のパネル構造。
【請求項3】
請求項2記載のパネル構造において、
前記第1セグメントの三辺を取り囲んで複数の第2セグメントが設けられ、
前記第1セグメントは前記複数の第2セグメントによって支持され、
前記複数の第2セグメントは前記第3セグメントによって支持された、
ことを特徴とする電子機器のパネル構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパネル構造において、
前記電子機器は、複数のオプショナルユニットを収容可能な装置本体を有する超音波診断装置であり、
前記装置本体内に収容された1又は複数のオプショナルユニットから引き出される1又は複数のケーブルが前記開口部におけるセグメント欠落部分を通過して外部に導かれる、ことを特徴とする電子機器のパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−139462(P2012−139462A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−995(P2011−995)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】