電子機器の取付構造、及びその取付構造を有する電子装置
【課題】ゴムダンパを用いなくても、電子機器内の主要構造物への振動伝播を好適に抑制できるようにする。
【解決手段】シャーシ1と、シャーシ1に結合する少なくとも3つの固定支点部を有する剛性マウント部材3とを備える。剛性マウント部材3は、ベースユニット2を固定する据付面31を有し、その据付面31を水平面に沿う基準面として、前記固定支点部の少なくとも1つが据付面31の一端縁31a側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられていると共に、前記固定支点部の少なくとも他の一つが据付面31の他端縁31b側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられている。
【解決手段】シャーシ1と、シャーシ1に結合する少なくとも3つの固定支点部を有する剛性マウント部材3とを備える。剛性マウント部材3は、ベースユニット2を固定する据付面31を有し、その据付面31を水平面に沿う基準面として、前記固定支点部の少なくとも1つが据付面31の一端縁31a側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられていると共に、前記固定支点部の少なくとも他の一つが据付面31の他端縁31b側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用オーディオ機器など、主として振動環境下で用いられる電子機器に係わり、特に外的な衝撃に対応して耐振性能の向上を図った電子機器の取付構造、及びその取付構造を有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を外的衝撃から保護するために、機器の耐衝撃性、耐振性を高める様々な工夫がされている。
【0003】
例えば、機器ケース内の底面に4つのボルトを立て、その各ボルトにゴムダンパを介してフロッピー(登録商標)ディスクドライブユニットを締結するという耐振構造をもつ電子装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−121194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ゴムダンパにより振動(特に高周波振動)がドライブユニットに伝播するのを抑制することはできても、ボルトの直交方向から振動(特に低周波振動)が作用した場合、ドライブユニットの下方に広がる同一平面上に立てられた4つのボルトの全てに同方向の曲げモーメントが作用するため、構造上横揺れに弱く、高周波振動もゴムダンパなくして好適に抑制することはできない。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的はゴムダンパを用いなくても、電子機器内の主要構造物への振動伝播を好適に抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、以下に記載するような電子機器の取付構造及びその取付構造を有する電子装置を提供する。
(1)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記ベースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記ベースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(2)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ベースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(1)記載の電子機器の取付構造。
(3)
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする上記(1)、又は(2)記載の電子機器の取付構造。
(4)
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする上記(3)記載の電子機器の取付構造。
(5)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記ベースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(6)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(5)記載の電子機器の取付構造。
(7)
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする上記(5)、又は(6)記載の電子機器の取付構造。
(8)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記トラバースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記トラバースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(9)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記トラバースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(8)記載の電子機器の取付構造。
(10)
前記トラバースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする上記(8)、又は(9)記載の電子機器の取付構造。
(11)
前記トラバースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする上記(10)記載の電子機器の取付構造。
(12)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記トラバースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(13)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(12)記載の電子機器の取付構造。
(14)
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする上記(12)、又は(13)記載の電子機器の取付構造。
(15)
上記(1)〜(14)のいずれかに記載の電子機器の取付構造と、
前記ベースユニットと、
を有することを特徴とする電子装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取り分け据付面に沿う前後左右方向からの衝撃荷重に対する耐振性能に優れ、ゴムダンパを用いずにベースユニットへの振動伝播も好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視透視図
【図2】シャーシの一形態を示す斜視分解図
【図3】本発明に係るベースユニットの内部構造を示す概略図
【図4】剛性マウント部材を示す平面図
【図5】ベースユニットが固定された剛性マウント部材の斜視図
【図6】固定支点部の位置を示す説明図
【図7】剛性マウント部材の断面概略図
【図8】本発明に係る剛性マウント部材に固定したベースユニットの振動態様を示すグラフ
【図9】本発明に係るベースユニット内での光ピックアップの振動態様を示すグラフ
【図10】本発明に係る剛性マウント部材の動的応力を示すグラフ
【図11】本発明の剛性マウント部材に対応する比較用モデルを示す斜視図
【図12】図11の比較用モデルでのベースユニットの振動態様を示すグラフ
【図13】図11の比較用モデルでの光ピックアップの振動態様を示すグラフ
【図14】図11の比較用モデルの動的応力を示すグラフ
【図15】本発明に係る剛性マウント部材の変更例を示す図
【図16】本発明に係る剛性マウント部材の他の変更例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態として、ディスク状の情報記録媒体(以下、ディスクと称する)に楽曲などの情報を記録したり、その記録情報を再生したりする情報記録再生装置を示す。
【0011】
図1において、1は外装ケースとなるシャーシ、2はシャーシ1内に設けられるベースユニット(電子機器)であり、このベースユニット2は剛性マウント部材3に固定され、その剛性マント部材3はネジ4によりシャーシ1に取り付けられている。つまり、ベースユニット2は、剛性マウント部材3を介してシャーシ1に固定されている。尚、本発明でいう電子機器とは、剛性マウント部材3に固定されるもの(本例においてベースユニット2)であり、その電子機器とその取付構造(シャーシ1および剛性マウント部材3を有する構造体)を備える構造物を電子装置と総称する。
【0012】
シャーシ1は、金属板をプレス加工するなどして形成されるものであり、その形態は図2に示されるよう背面板11および天蓋12を含む箱型とされている。特に、本例において、シャーシ1には、その前側上部を内側に折り曲げた屈曲片13が形成され、その屈曲片13と側面の下側後部にはネジ4をねじ込むためのネジ孔14が穿設されている。
【0013】
また、図2および図3に示されるように、シャーシ1の前端には横長のスロット51を有するフロントパネル5が取り付けられ、そのスロット51を通じてディスクの出し入れが可能とされている。
【0014】
図3から明らかなように、ベースユニット2は、スロット51を通じて内部に搬入されたディスクDの中心部を支持して当該ディスクを回転駆動させるターンテーブル21、ターンテーブル21で支持されたディスクDの盤面(以下、ディスク面とする)に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ22、ターンテーブル21と協同してディスクDの中心部をチャッキングする回転自在なクランプ盤23、及びディスクDの搬出入を行うディスク搬送部(本例において上下一対の送りローラ24)を備えた構造物であり、このうちターンテーブル21および光ピックアップ22は、昇降台25に組み付けられてターンテーブル21の軸線方向に沿って昇降可能とされている。
【0015】
そして、ディスクDの回転駆動に際して昇降台25がクランプ盤23に向けて上昇し、これによりターンテーブル21とクランプ盤23でディスクDのチャッキングが行われる構成とされている。従って、ベースユニット2の重心は定位になく、上下方向に変位する。すなわち、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態ではベースユニット2の重心が上方側にあり、昇降台25が降下している時やディスクDの未装填時では、ディスクDを回転可能に保持している状態よりもベースユニット2の重心が下方に移動する。
【0016】
ここで、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態とは、昇降台25が上昇端にあって、ディスクDがターンテーブル21とクランプ盤23とでチャッキングされた状態であり、この状態でディスクDが回転されていても回転されていなくともベースユニット2の重心位置は変わらない。
【0017】
尚、ディスクDの中心部をチャッキングする方式は、上記のような方式に限定されず、回転自在なクランプ盤が昇降装置(図示せず)に組み付けられてターンテーブルの軸線方向に沿って昇降する構造を用いてもよい。例えば、本出願人が先に出願した特開2006−185528号公報に開示されているようなディスククランプ機構を用いることもでき、その種のチャッキング方式を採用すれば、ディスクのチャッキング前とチャッキング後での重心位置の変化をより小さくすることができる。
【0018】
加えて、ディスクDは光ピックアップ22による情報の読み出しや書き込みに際して回転され、このときディスクDの半径方向に光ピックアップ22が移動されるために、ベースユニット2の重心も厳密にはディスクDの半径方向に変位するが、光ピックアップ22はベースユニット2の全重量に対して極軽量であるから、光ピックアップ22がディスクDの半径方向に移動することによる重心の変位は小さい。
【0019】
また、光ピックアップ22が内周にある状態、すなわち光ピックアップ22がディスク中心に近い位置で情報の読み出しや書き込みをしている状態では、ディスクの回転中心から光ピックアップ22の質量中心までの距離が短いために、ディスク面と光ピックアップ22のレーザ光射出面との距離変化が小さくなる。このため、情報の読み出しや書き込みのエラーが少ない。それに対して、光ピックアップ22が外周にある状態、すなわち光ピックアップ22がディスク中心から遠い位置で情報の読み出しや書き込みをしている状態では、ディスクの回転中心から光ピックアップ22の質量中心までの距離が長いために、振動による加速度が生ずると、ディスク面と光ピックアップ22のレーザ光射出面との距離変化が大きくなることから、情報の読み出しや書き込みのエラーが多くなる。
【0020】
従って、本発明の取付構造を用いず、シャーシにゴムダンパを介してベースユニットを取り付けるだけの構造では、光ピックアップ22が外周にある場合に振動による加速度が増幅されるため、情報の読み出しや書き込みのエラーがさらに多くなる虞がある。
【0021】
この点、本発明の取付構造を用いれば、特定構造の剛性マウント部材にベースユニットが固定されることにより、光ピックアップ22の位置による影響を小さく抑え、光ピックアップ22がディスクの半径方向に移動することによる重心の変位をベースユニット2の振動抑制上の観点において無視することもできる。
【0022】
次に、剛性マウント部材3について言及すれば、係る剛性マウント部材3は、シャーシ1と同じく金属板をプレス加工するなどして形成されるもので、ベースユニット2を固定する据付面31とその一端縁31a(前端縁)より直角に立ち上がる壁面部32とを有する断面略L字形の形態とされている。
【0023】
図4〜図6から明らかなように、据付面31はベースユニット2の底面より若干大きな面積を有する平坦面であり、その左右両側には下向きに折り曲げられた前後一対の脚片33が連ねられ、その各脚片33に回路基板6(図4では省略)がネジ止めされている。回路基板6は、ベースユニット2との間で信号を遣り取りするべく種々の電子部品を実装した制御用プリント基板であり、ベースユニット2とは図示せぬ配線を介して電気的に接続されている。尚、ベースユニット2が回路基板6を有するような構成にしてもよい。また、据付面31が平坦であることを例とするが、これに限らず、凹凸形状を有する据付面、階段形状を有する据付面等であってもよい。
【0024】
また、剛性マウント部材3の壁面部32には、図2および図3に示したフロントパネル5のスロット51に対応してベースユニット2内に連通する横長の長孔32aが穿設されており、これによりベースユニット2の内外でディスクの遣り取りが可能とされている。
【0025】
加えて、剛性マウント部材3には、据付面31の両側縁後部と壁面部32の上縁両側より張り出す4つの突片34,35が形成され、その各突片34,35にそれぞれ貫通孔34a,35aが穿設されている。それら貫通孔34a,35aとその周縁部分は、シャーシ1に結合するための固定支点部となるものであり、その各貫通孔34a,35aはシャーシ1に穿設したネジ孔14(図2参照)に対応している。特に、それら貫通孔34a,35aは、ベースユニット2の周辺にあってベースユニット2を囲むように配置されている。
【0026】
ここに、本例では剛性マウント部材3の据付面31を水平面に沿う基準面として(据付面31が立てられる使用態様の場合でも、これを水平状態としてみて)、突片35に穿設した前側2つ(据付面31の一端縁31a側)の貫通孔35aの中心が据付面31に固定したベースユニット2の重心よりも高い位置に設けられ、突片34に穿設した後ろ側2つ(据付面31の他端縁31b側)の貫通孔34aの中心が据付面31に固定したベースユニット2の重心よりも低い位置に設けられている。特に、図6から明らかなように、貫通孔34a,35aは各々その中心がベースユニット2の重心Cを通る仮想の同一平面F上に位置付けられることが好ましく、しかも重心Cを通って平面Fに直交する面が貫通孔34a,34aおよび貫通孔35a,35aを結ぶ線分の中点A,Bを通り、その中点A,Bと重心Cとの距離L1,L2が同一とされていることが好ましい。
【0027】
なお、据付面31が水平面に沿っているとは、据付面31が水平面と平行になっていることを意味する。また、本実施形態においては、据付面31を水平面に沿う基準面としたときの、重心に対する固定支点部の位置について説明するが、これは、ベースユニット(電子機器)を使用する際に、据付面31を水平面に沿うような姿勢にして使用することが最も多いためである。よって、据付面31を水平面に沿うようにした状態を基準とすることに限らず、ユーザに使用されるときのベースユニット(電子機器)の姿勢における重心の位置を基準に固定支点部の位置を決めてもよい。据付面31を水平面に沿う基準面とすることの要旨はユーザが電子機器を使用する際の電子機器の姿勢を規定するためである。
【0028】
これによれば、各固定支点部にかかる負荷を均等にすることができる。また、例えばベースユニット2に前方(図7の矢印方向)から衝撃荷重が作用した場合、ベースユニット2が固定された剛性マウント部材3には、シャーシ1との結合点である前側高位の貫通孔35aの周辺において重心Cを中心とする図7の反時計回りの回転モーメントが作用し、後ろ側低位の貫通孔34aの周辺では重心Cを中心とする図7の時計回りの回転モーメントが作用するために、ディスクに情報を書き込んだりディスクから情報を読み出したりしている最中に剛性マウント部材3とベースユニット2に振動が発生し難く、それ故に情報の記録再生を支障なく行え、しかも4つの固定支点部に衝撃荷重が均等に分散されるために、応力集中による剛性マウント部材3の破損を防止することが可能となる。尚、図3、図4、及び図7において、7はベースユニット2を剛性マウント部材3に固定するためのアングルプレートである。
【0029】
尚、図6などに示される重心Cは、上記のようにターンテーブルでディスクが回転可能に保持された状態(ディスクチャッキング状態)での重心であるが、好ましくはディスクの質量も考慮した重心である。つまり、ベースユニット2とディスクDとを合わせた物体である一体物を想定したときのその一体物の重心であり、その重心Cを通る同一平面F上に貫通孔34a,35aが位置付けられている構成では、ベースユニット2への振動伝播をより好適に抑制することができる。特に、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態での重心を基に固定支点部の位置設定がされていれば、情報の読み書きが行われている最中でのベースユニットの振動を重点的に抑制できるため、装置の信頼性を向上させ得る。
【0030】
また、ベースユニット2が、トラバースユニット(ターンテーブル21及び光ピックアップ22を一体として備えるユニット)をベースユニット2の内部でベースユニット2の筐体にゴムダンパなどを介して弾性支持した構成(フローティングされた構成)とされる場合、前述した重心Cは前記トラバースユニットの重心とされることが好ましく、この場合もディスクチャッキング状態でのディスクの質量を考慮した重心であることがより好ましい。つまり、トラバースユニットがベースユニット2の内部に弾性支持されている構造のベースユニット2である場合、上記重心Cは、トラバースユニットとディスクDとを合わせた物体である一体物を想定したときのその一体物の重心であることが好ましい。これによれば、ベースユニット2の筐体が振動した場合でも、その主要部を構成するトラバースユニットへの振動伝播がゴムダンパにより抑制される上、高速回転されるディスクDの慣性力も手伝ってトラバースユニットの振動が抑制されるために、情報の読み出しや書き込みのエラーを少なくすることができる。
【0031】
加えて、前述のように、光ピックアップ22が外周にある状態では、情報の読み出しや書き込みのエラーが多くなる傾向にあるため、前述した重心はディスクの情報記録領域のうち、中心位置から最も離れた位置で光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることが、ベースユニット2の振動抑制上さらに好ましい。
【0032】
尚、各固定支点部のうち少なくとも一つを、以上説明してきたような重心よりも高い位置に設け、各固定支点部のうちの他の一つを、以上説明してきたような重心よりも低い位置に設けることで、ベースユニットへの振動伝播も好適に抑制することができる。また、その固定支点部が、以上説明してきたような重心を通る仮想の同一平面上に位置する構成にすれば、さらに好適にベースユニットへの振動伝播を抑制することができる。
【0033】
ここに、以上のように構成される本願装置について、左右方向(図1のX方向)、前後方向(図1のY方向)、および上下方向(図1のZ方向)に加振する振動試験を行ったところ、光ピックアップ近傍におけるベースユニット2の表面部において、図8のように上下方向の加振時に周波数187Hzで加速度が最大となることが認められたものの、光ピックアップの中心部に作用する加速度は、図9のようにXYZ方向のいずれの加振でも35Hz前後の加振時点をピークに漸減し、ディスクに記録された楽曲を再生しながらの試験において音飛びの発生に至るような情報の読み出しや書き込みのエラーは認められなかった。また、剛性マウント部材3に、XYZ方向のそれぞれについて加速度のピークに対応する周波数(共振周波数)を与え、シャーシ1との結合部付近(突片35,35の部分各1箇所と突片34,34の並び方向に沿う6箇所)における8箇所での剛性マウント部材3の動的応力(ミーゼス応力)を調べたところ、図10のように、いずれの箇所でも応力は小さく、すなわち応力が好適に分散されており、優れた耐振性を有することが認められた。
【0034】
一方、比較として、図11に示されるような剛性マウント部材30にベースユニット2を固定し、上記と同様の振動試験を行ったところ、100〜200Hzの周波数帯域において、左右方向(図11のX方向)、前後方向(図11のY方向)、および上下方向(図11のZ方向)のいずれの加振でも、図12および図13(図8、図9、図12、図13の縦軸スケールは同じ)のように光ピックアップ近傍におけるベースユニット2の表面部や光ピックアップの中心部に大きな加速度の発生が認められた。また、剛性マウント部材30に、XYZ方向のそれぞれについて加速度のピークに対応する周波数(共振周波数)を与え、上記と同様にシャーシとの結合部付近における8箇所での剛性マウント部材30の動的応力(ミーゼス応力)を調べたところ、図14のように、いずれの箇所でも応力は大きく、シャーシとの結合部付近に応力集中が生ずることが確認された。
【0035】
尚、比較用モデルとしての剛性マウント部材30は、シャーシと結合する4箇所(図11のJ1〜J4)全てをベースユニット2の重心より高い同一平面F上に設定したものであるが、この種の剛性マウント部材30に比べ、本発明に係る剛性マウント部材3では上記の試験結果から耐振性能を大幅に改善できると言える。また、本発明によれば、固定支点部の少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心よりも高い位置に設けられ、固定支点部の少なくとも他の一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心よりも低い位置に設けられることから、剛性マウント部材3をシャーシ1に固定する場合にベースユニット2が作業障害となり難く、ベースユニット2を剛性マウント部材3に固定する際にも固定支点部箇所が作業障害となり難いという効果を得られる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を図示して説明したが、シャーシ1に結合する剛性マウント部材3の固定支点部として、例えば図15のように固定支点部となる2つの貫通孔34a,35aを据付面31の相対する両端縁中央から上下に折り曲げた突片34,35に穿設する一方、据付面31の他の相対する両端縁中央より上向きに折り曲げた突片36に貫通孔36aを穿設し、それら貫通孔34a,35a,36aの中心がベースユニット2の重心Cを通る同一平面上に位置するようにしてもよい。尚、図15に示す例では、2つの貫通孔36aが、ベースユニット2に隣接する突片36に対してベースユニット2の重心と同じ高さ位置に穿設されるため、ベースユニット2の着脱に際して突片36が作業障害になるという不利があるものの、耐振性の観点では上記例と同様の性能を得ることができる。
【0037】
また、固定支点部となる貫通孔は、4箇所に穿設することに限らず、図16のように貫通孔34a,35aを3箇所に穿設するだけでもよい。但し、図16のように2つの貫通孔35aをベースユニット2の重心Cより高い位置で据付面31の一端縁上に設けた場合、重心Cより低位の貫通孔34aは、貫通孔35a,35aの中間点と重心Cとを通る直線上で据付面31の他端側に設けることが好ましい。
【0038】
要するに、固定支点部が最低限3つあり、このうち少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられ、他の少なくとも一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられていればよい。
【0039】
更に、それら固定支点部を含む平面がベースユニット2の重心C、又はその近くを通ることがより好ましいが、必ずしも重心の近くを通る必要は無く、上述のように固定支点部が最低限3つあり、このうち少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられ、他の少なくとも一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられていればベースユニット2への振動伝播を好適に抑制することができる。
【0040】
一方、本発明は、情報記録再生装置に限らず、機器本来の働きが振動によって大きく損なわれる虞のある電子機器に好適に用いることができる。例えば、情報再生装置、ハードディスクドライブ(HDD)、各種計測機器、表示装置、音響装置、あるいはCPUを有する制御装置などに好適に用いることができる。
【0041】
また、上記ではゴムダンパを用いない構造を例に説明したが、ゴムダンパを介してシャーシ1と結合する部分があってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 シャーシ
2 ベースユニット(電子機器)
21 ターンテーブル
22 光ピックアップ
23 クランプ盤
3 剛性マウント部材
31 据付面
34,35,36 突片
34a,35a,36a 貫通孔(固定支点部)
D ディスク状の情報記録媒体
C ベースユニットの重心
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用オーディオ機器など、主として振動環境下で用いられる電子機器に係わり、特に外的な衝撃に対応して耐振性能の向上を図った電子機器の取付構造、及びその取付構造を有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を外的衝撃から保護するために、機器の耐衝撃性、耐振性を高める様々な工夫がされている。
【0003】
例えば、機器ケース内の底面に4つのボルトを立て、その各ボルトにゴムダンパを介してフロッピー(登録商標)ディスクドライブユニットを締結するという耐振構造をもつ電子装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−121194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ゴムダンパにより振動(特に高周波振動)がドライブユニットに伝播するのを抑制することはできても、ボルトの直交方向から振動(特に低周波振動)が作用した場合、ドライブユニットの下方に広がる同一平面上に立てられた4つのボルトの全てに同方向の曲げモーメントが作用するため、構造上横揺れに弱く、高周波振動もゴムダンパなくして好適に抑制することはできない。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的はゴムダンパを用いなくても、電子機器内の主要構造物への振動伝播を好適に抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、以下に記載するような電子機器の取付構造及びその取付構造を有する電子装置を提供する。
(1)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記ベースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記ベースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(2)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ベースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(1)記載の電子機器の取付構造。
(3)
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする上記(1)、又は(2)記載の電子機器の取付構造。
(4)
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする上記(3)記載の電子機器の取付構造。
(5)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記ベースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(6)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(5)記載の電子機器の取付構造。
(7)
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする上記(5)、又は(6)記載の電子機器の取付構造。
(8)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記トラバースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記トラバースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(9)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記トラバースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(8)記載の電子機器の取付構造。
(10)
前記トラバースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする上記(8)、又は(9)記載の電子機器の取付構造。
(11)
前記トラバースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする上記(10)記載の電子機器の取付構造。
(12)
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記トラバースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
(13)
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする上記(12)記載の電子機器の取付構造。
(14)
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする上記(12)、又は(13)記載の電子機器の取付構造。
(15)
上記(1)〜(14)のいずれかに記載の電子機器の取付構造と、
前記ベースユニットと、
を有することを特徴とする電子装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取り分け据付面に沿う前後左右方向からの衝撃荷重に対する耐振性能に優れ、ゴムダンパを用いずにベースユニットへの振動伝播も好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視透視図
【図2】シャーシの一形態を示す斜視分解図
【図3】本発明に係るベースユニットの内部構造を示す概略図
【図4】剛性マウント部材を示す平面図
【図5】ベースユニットが固定された剛性マウント部材の斜視図
【図6】固定支点部の位置を示す説明図
【図7】剛性マウント部材の断面概略図
【図8】本発明に係る剛性マウント部材に固定したベースユニットの振動態様を示すグラフ
【図9】本発明に係るベースユニット内での光ピックアップの振動態様を示すグラフ
【図10】本発明に係る剛性マウント部材の動的応力を示すグラフ
【図11】本発明の剛性マウント部材に対応する比較用モデルを示す斜視図
【図12】図11の比較用モデルでのベースユニットの振動態様を示すグラフ
【図13】図11の比較用モデルでの光ピックアップの振動態様を示すグラフ
【図14】図11の比較用モデルの動的応力を示すグラフ
【図15】本発明に係る剛性マウント部材の変更例を示す図
【図16】本発明に係る剛性マウント部材の他の変更例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態として、ディスク状の情報記録媒体(以下、ディスクと称する)に楽曲などの情報を記録したり、その記録情報を再生したりする情報記録再生装置を示す。
【0011】
図1において、1は外装ケースとなるシャーシ、2はシャーシ1内に設けられるベースユニット(電子機器)であり、このベースユニット2は剛性マウント部材3に固定され、その剛性マント部材3はネジ4によりシャーシ1に取り付けられている。つまり、ベースユニット2は、剛性マウント部材3を介してシャーシ1に固定されている。尚、本発明でいう電子機器とは、剛性マウント部材3に固定されるもの(本例においてベースユニット2)であり、その電子機器とその取付構造(シャーシ1および剛性マウント部材3を有する構造体)を備える構造物を電子装置と総称する。
【0012】
シャーシ1は、金属板をプレス加工するなどして形成されるものであり、その形態は図2に示されるよう背面板11および天蓋12を含む箱型とされている。特に、本例において、シャーシ1には、その前側上部を内側に折り曲げた屈曲片13が形成され、その屈曲片13と側面の下側後部にはネジ4をねじ込むためのネジ孔14が穿設されている。
【0013】
また、図2および図3に示されるように、シャーシ1の前端には横長のスロット51を有するフロントパネル5が取り付けられ、そのスロット51を通じてディスクの出し入れが可能とされている。
【0014】
図3から明らかなように、ベースユニット2は、スロット51を通じて内部に搬入されたディスクDの中心部を支持して当該ディスクを回転駆動させるターンテーブル21、ターンテーブル21で支持されたディスクDの盤面(以下、ディスク面とする)に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ22、ターンテーブル21と協同してディスクDの中心部をチャッキングする回転自在なクランプ盤23、及びディスクDの搬出入を行うディスク搬送部(本例において上下一対の送りローラ24)を備えた構造物であり、このうちターンテーブル21および光ピックアップ22は、昇降台25に組み付けられてターンテーブル21の軸線方向に沿って昇降可能とされている。
【0015】
そして、ディスクDの回転駆動に際して昇降台25がクランプ盤23に向けて上昇し、これによりターンテーブル21とクランプ盤23でディスクDのチャッキングが行われる構成とされている。従って、ベースユニット2の重心は定位になく、上下方向に変位する。すなわち、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態ではベースユニット2の重心が上方側にあり、昇降台25が降下している時やディスクDの未装填時では、ディスクDを回転可能に保持している状態よりもベースユニット2の重心が下方に移動する。
【0016】
ここで、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態とは、昇降台25が上昇端にあって、ディスクDがターンテーブル21とクランプ盤23とでチャッキングされた状態であり、この状態でディスクDが回転されていても回転されていなくともベースユニット2の重心位置は変わらない。
【0017】
尚、ディスクDの中心部をチャッキングする方式は、上記のような方式に限定されず、回転自在なクランプ盤が昇降装置(図示せず)に組み付けられてターンテーブルの軸線方向に沿って昇降する構造を用いてもよい。例えば、本出願人が先に出願した特開2006−185528号公報に開示されているようなディスククランプ機構を用いることもでき、その種のチャッキング方式を採用すれば、ディスクのチャッキング前とチャッキング後での重心位置の変化をより小さくすることができる。
【0018】
加えて、ディスクDは光ピックアップ22による情報の読み出しや書き込みに際して回転され、このときディスクDの半径方向に光ピックアップ22が移動されるために、ベースユニット2の重心も厳密にはディスクDの半径方向に変位するが、光ピックアップ22はベースユニット2の全重量に対して極軽量であるから、光ピックアップ22がディスクDの半径方向に移動することによる重心の変位は小さい。
【0019】
また、光ピックアップ22が内周にある状態、すなわち光ピックアップ22がディスク中心に近い位置で情報の読み出しや書き込みをしている状態では、ディスクの回転中心から光ピックアップ22の質量中心までの距離が短いために、ディスク面と光ピックアップ22のレーザ光射出面との距離変化が小さくなる。このため、情報の読み出しや書き込みのエラーが少ない。それに対して、光ピックアップ22が外周にある状態、すなわち光ピックアップ22がディスク中心から遠い位置で情報の読み出しや書き込みをしている状態では、ディスクの回転中心から光ピックアップ22の質量中心までの距離が長いために、振動による加速度が生ずると、ディスク面と光ピックアップ22のレーザ光射出面との距離変化が大きくなることから、情報の読み出しや書き込みのエラーが多くなる。
【0020】
従って、本発明の取付構造を用いず、シャーシにゴムダンパを介してベースユニットを取り付けるだけの構造では、光ピックアップ22が外周にある場合に振動による加速度が増幅されるため、情報の読み出しや書き込みのエラーがさらに多くなる虞がある。
【0021】
この点、本発明の取付構造を用いれば、特定構造の剛性マウント部材にベースユニットが固定されることにより、光ピックアップ22の位置による影響を小さく抑え、光ピックアップ22がディスクの半径方向に移動することによる重心の変位をベースユニット2の振動抑制上の観点において無視することもできる。
【0022】
次に、剛性マウント部材3について言及すれば、係る剛性マウント部材3は、シャーシ1と同じく金属板をプレス加工するなどして形成されるもので、ベースユニット2を固定する据付面31とその一端縁31a(前端縁)より直角に立ち上がる壁面部32とを有する断面略L字形の形態とされている。
【0023】
図4〜図6から明らかなように、据付面31はベースユニット2の底面より若干大きな面積を有する平坦面であり、その左右両側には下向きに折り曲げられた前後一対の脚片33が連ねられ、その各脚片33に回路基板6(図4では省略)がネジ止めされている。回路基板6は、ベースユニット2との間で信号を遣り取りするべく種々の電子部品を実装した制御用プリント基板であり、ベースユニット2とは図示せぬ配線を介して電気的に接続されている。尚、ベースユニット2が回路基板6を有するような構成にしてもよい。また、据付面31が平坦であることを例とするが、これに限らず、凹凸形状を有する据付面、階段形状を有する据付面等であってもよい。
【0024】
また、剛性マウント部材3の壁面部32には、図2および図3に示したフロントパネル5のスロット51に対応してベースユニット2内に連通する横長の長孔32aが穿設されており、これによりベースユニット2の内外でディスクの遣り取りが可能とされている。
【0025】
加えて、剛性マウント部材3には、据付面31の両側縁後部と壁面部32の上縁両側より張り出す4つの突片34,35が形成され、その各突片34,35にそれぞれ貫通孔34a,35aが穿設されている。それら貫通孔34a,35aとその周縁部分は、シャーシ1に結合するための固定支点部となるものであり、その各貫通孔34a,35aはシャーシ1に穿設したネジ孔14(図2参照)に対応している。特に、それら貫通孔34a,35aは、ベースユニット2の周辺にあってベースユニット2を囲むように配置されている。
【0026】
ここに、本例では剛性マウント部材3の据付面31を水平面に沿う基準面として(据付面31が立てられる使用態様の場合でも、これを水平状態としてみて)、突片35に穿設した前側2つ(据付面31の一端縁31a側)の貫通孔35aの中心が据付面31に固定したベースユニット2の重心よりも高い位置に設けられ、突片34に穿設した後ろ側2つ(据付面31の他端縁31b側)の貫通孔34aの中心が据付面31に固定したベースユニット2の重心よりも低い位置に設けられている。特に、図6から明らかなように、貫通孔34a,35aは各々その中心がベースユニット2の重心Cを通る仮想の同一平面F上に位置付けられることが好ましく、しかも重心Cを通って平面Fに直交する面が貫通孔34a,34aおよび貫通孔35a,35aを結ぶ線分の中点A,Bを通り、その中点A,Bと重心Cとの距離L1,L2が同一とされていることが好ましい。
【0027】
なお、据付面31が水平面に沿っているとは、据付面31が水平面と平行になっていることを意味する。また、本実施形態においては、据付面31を水平面に沿う基準面としたときの、重心に対する固定支点部の位置について説明するが、これは、ベースユニット(電子機器)を使用する際に、据付面31を水平面に沿うような姿勢にして使用することが最も多いためである。よって、据付面31を水平面に沿うようにした状態を基準とすることに限らず、ユーザに使用されるときのベースユニット(電子機器)の姿勢における重心の位置を基準に固定支点部の位置を決めてもよい。据付面31を水平面に沿う基準面とすることの要旨はユーザが電子機器を使用する際の電子機器の姿勢を規定するためである。
【0028】
これによれば、各固定支点部にかかる負荷を均等にすることができる。また、例えばベースユニット2に前方(図7の矢印方向)から衝撃荷重が作用した場合、ベースユニット2が固定された剛性マウント部材3には、シャーシ1との結合点である前側高位の貫通孔35aの周辺において重心Cを中心とする図7の反時計回りの回転モーメントが作用し、後ろ側低位の貫通孔34aの周辺では重心Cを中心とする図7の時計回りの回転モーメントが作用するために、ディスクに情報を書き込んだりディスクから情報を読み出したりしている最中に剛性マウント部材3とベースユニット2に振動が発生し難く、それ故に情報の記録再生を支障なく行え、しかも4つの固定支点部に衝撃荷重が均等に分散されるために、応力集中による剛性マウント部材3の破損を防止することが可能となる。尚、図3、図4、及び図7において、7はベースユニット2を剛性マウント部材3に固定するためのアングルプレートである。
【0029】
尚、図6などに示される重心Cは、上記のようにターンテーブルでディスクが回転可能に保持された状態(ディスクチャッキング状態)での重心であるが、好ましくはディスクの質量も考慮した重心である。つまり、ベースユニット2とディスクDとを合わせた物体である一体物を想定したときのその一体物の重心であり、その重心Cを通る同一平面F上に貫通孔34a,35aが位置付けられている構成では、ベースユニット2への振動伝播をより好適に抑制することができる。特に、ターンテーブル21でディスクDが回転可能に保持された状態での重心を基に固定支点部の位置設定がされていれば、情報の読み書きが行われている最中でのベースユニットの振動を重点的に抑制できるため、装置の信頼性を向上させ得る。
【0030】
また、ベースユニット2が、トラバースユニット(ターンテーブル21及び光ピックアップ22を一体として備えるユニット)をベースユニット2の内部でベースユニット2の筐体にゴムダンパなどを介して弾性支持した構成(フローティングされた構成)とされる場合、前述した重心Cは前記トラバースユニットの重心とされることが好ましく、この場合もディスクチャッキング状態でのディスクの質量を考慮した重心であることがより好ましい。つまり、トラバースユニットがベースユニット2の内部に弾性支持されている構造のベースユニット2である場合、上記重心Cは、トラバースユニットとディスクDとを合わせた物体である一体物を想定したときのその一体物の重心であることが好ましい。これによれば、ベースユニット2の筐体が振動した場合でも、その主要部を構成するトラバースユニットへの振動伝播がゴムダンパにより抑制される上、高速回転されるディスクDの慣性力も手伝ってトラバースユニットの振動が抑制されるために、情報の読み出しや書き込みのエラーを少なくすることができる。
【0031】
加えて、前述のように、光ピックアップ22が外周にある状態では、情報の読み出しや書き込みのエラーが多くなる傾向にあるため、前述した重心はディスクの情報記録領域のうち、中心位置から最も離れた位置で光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることが、ベースユニット2の振動抑制上さらに好ましい。
【0032】
尚、各固定支点部のうち少なくとも一つを、以上説明してきたような重心よりも高い位置に設け、各固定支点部のうちの他の一つを、以上説明してきたような重心よりも低い位置に設けることで、ベースユニットへの振動伝播も好適に抑制することができる。また、その固定支点部が、以上説明してきたような重心を通る仮想の同一平面上に位置する構成にすれば、さらに好適にベースユニットへの振動伝播を抑制することができる。
【0033】
ここに、以上のように構成される本願装置について、左右方向(図1のX方向)、前後方向(図1のY方向)、および上下方向(図1のZ方向)に加振する振動試験を行ったところ、光ピックアップ近傍におけるベースユニット2の表面部において、図8のように上下方向の加振時に周波数187Hzで加速度が最大となることが認められたものの、光ピックアップの中心部に作用する加速度は、図9のようにXYZ方向のいずれの加振でも35Hz前後の加振時点をピークに漸減し、ディスクに記録された楽曲を再生しながらの試験において音飛びの発生に至るような情報の読み出しや書き込みのエラーは認められなかった。また、剛性マウント部材3に、XYZ方向のそれぞれについて加速度のピークに対応する周波数(共振周波数)を与え、シャーシ1との結合部付近(突片35,35の部分各1箇所と突片34,34の並び方向に沿う6箇所)における8箇所での剛性マウント部材3の動的応力(ミーゼス応力)を調べたところ、図10のように、いずれの箇所でも応力は小さく、すなわち応力が好適に分散されており、優れた耐振性を有することが認められた。
【0034】
一方、比較として、図11に示されるような剛性マウント部材30にベースユニット2を固定し、上記と同様の振動試験を行ったところ、100〜200Hzの周波数帯域において、左右方向(図11のX方向)、前後方向(図11のY方向)、および上下方向(図11のZ方向)のいずれの加振でも、図12および図13(図8、図9、図12、図13の縦軸スケールは同じ)のように光ピックアップ近傍におけるベースユニット2の表面部や光ピックアップの中心部に大きな加速度の発生が認められた。また、剛性マウント部材30に、XYZ方向のそれぞれについて加速度のピークに対応する周波数(共振周波数)を与え、上記と同様にシャーシとの結合部付近における8箇所での剛性マウント部材30の動的応力(ミーゼス応力)を調べたところ、図14のように、いずれの箇所でも応力は大きく、シャーシとの結合部付近に応力集中が生ずることが確認された。
【0035】
尚、比較用モデルとしての剛性マウント部材30は、シャーシと結合する4箇所(図11のJ1〜J4)全てをベースユニット2の重心より高い同一平面F上に設定したものであるが、この種の剛性マウント部材30に比べ、本発明に係る剛性マウント部材3では上記の試験結果から耐振性能を大幅に改善できると言える。また、本発明によれば、固定支点部の少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心よりも高い位置に設けられ、固定支点部の少なくとも他の一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心よりも低い位置に設けられることから、剛性マウント部材3をシャーシ1に固定する場合にベースユニット2が作業障害となり難く、ベースユニット2を剛性マウント部材3に固定する際にも固定支点部箇所が作業障害となり難いという効果を得られる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を図示して説明したが、シャーシ1に結合する剛性マウント部材3の固定支点部として、例えば図15のように固定支点部となる2つの貫通孔34a,35aを据付面31の相対する両端縁中央から上下に折り曲げた突片34,35に穿設する一方、据付面31の他の相対する両端縁中央より上向きに折り曲げた突片36に貫通孔36aを穿設し、それら貫通孔34a,35a,36aの中心がベースユニット2の重心Cを通る同一平面上に位置するようにしてもよい。尚、図15に示す例では、2つの貫通孔36aが、ベースユニット2に隣接する突片36に対してベースユニット2の重心と同じ高さ位置に穿設されるため、ベースユニット2の着脱に際して突片36が作業障害になるという不利があるものの、耐振性の観点では上記例と同様の性能を得ることができる。
【0037】
また、固定支点部となる貫通孔は、4箇所に穿設することに限らず、図16のように貫通孔34a,35aを3箇所に穿設するだけでもよい。但し、図16のように2つの貫通孔35aをベースユニット2の重心Cより高い位置で据付面31の一端縁上に設けた場合、重心Cより低位の貫通孔34aは、貫通孔35a,35aの中間点と重心Cとを通る直線上で据付面31の他端側に設けることが好ましい。
【0038】
要するに、固定支点部が最低限3つあり、このうち少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられ、他の少なくとも一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられていればよい。
【0039】
更に、それら固定支点部を含む平面がベースユニット2の重心C、又はその近くを通ることがより好ましいが、必ずしも重心の近くを通る必要は無く、上述のように固定支点部が最低限3つあり、このうち少なくとも1つが据付面31の一端縁側でベースユニット2の重心Cよりも高い位置に設けられ、他の少なくとも一つが据付面31の他端縁側でベースユニット2の重心Cよりも低い位置に設けられていればベースユニット2への振動伝播を好適に抑制することができる。
【0040】
一方、本発明は、情報記録再生装置に限らず、機器本来の働きが振動によって大きく損なわれる虞のある電子機器に好適に用いることができる。例えば、情報再生装置、ハードディスクドライブ(HDD)、各種計測機器、表示装置、音響装置、あるいはCPUを有する制御装置などに好適に用いることができる。
【0041】
また、上記ではゴムダンパを用いない構造を例に説明したが、ゴムダンパを介してシャーシ1と結合する部分があってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 シャーシ
2 ベースユニット(電子機器)
21 ターンテーブル
22 光ピックアップ
23 クランプ盤
3 剛性マウント部材
31 据付面
34,35,36 突片
34a,35a,36a 貫通孔(固定支点部)
D ディスク状の情報記録媒体
C ベースユニットの重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記ベースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記ベースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項2】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ベースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1記載の電子機器の取付構造。
【請求項3】
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする請求項1、又は2記載の電子機器の取付構造。
【請求項4】
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする請求項3記載の電子機器の取付構造。
【請求項5】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記ベースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項6】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項5記載の電子機器の取付構造。
【請求項7】
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする請求項5、又は6記載の電子機器の取付構造。
【請求項8】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記トラバースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記トラバースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項9】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記トラバースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項8記載の電子機器の取付構造。
【請求項10】
前記トラバースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする請求項8、又は9記載の電子機器の取付構造。
【請求項11】
前記トラバースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする請求項10記載の電子機器の取付構造。
【請求項12】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記トラバースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項13】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項12記載の電子機器の取付構造。
【請求項14】
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする請求項12、又は13記載の電子機器の取付構造。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子機器の取付構造と、
前記ベースユニットと、
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項1】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記ベースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記ベースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項2】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ベースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1記載の電子機器の取付構造。
【請求項3】
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする請求項1、又は2記載の電子機器の取付構造。
【請求項4】
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記ベースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする請求項3記載の電子機器の取付構造。
【請求項5】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルを含む構造物であり、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記ベースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項6】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項5記載の電子機器の取付構造。
【請求項7】
前記ベースユニットは、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップを含む構造物であり、
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする請求項5、又は6記載の電子機器の取付構造。
【請求項8】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせたとき、前記トラバースユニットの重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記トラバースユニットの重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項9】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記トラバースユニットの重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項8記載の電子機器の取付構造。
【請求項10】
前記トラバースユニットの重心は、前記ターンテーブルで前記情報記録媒体が回転可能に保持された状態における重心であることを特徴とする請求項8、又は9記載の電子機器の取付構造。
【請求項11】
前記トラバースユニットの重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置に記録されている情報を読み出すときの位置に、前記光ピックアップがあるときの重心であることを特徴とする請求項10記載の電子機器の取付構造。
【請求項12】
シャーシと、
前記シャーシに結合する少なくとも3つの固定支点部と、ベースユニットを固定する据付面とを有し、前記ベースユニットを固定する剛性マウント部材と、
を備え、
前記ベースユニットは、ディスク状の情報記録媒体を回転駆動させるターンテーブルと、前記情報記録媒体に記録されている情報を読み出すための光ピックアップとを有するトラバースユニットを含む構造物であり、
前記トラバースユニットは、前記ベースユニットの内部において弾性支持されており、
前記少なくとも3つの固定支点部は、前記据付面を水平面に沿うようにさせた場合において前記ターンテーブルが前記情報記録媒体を回転可能に保持したときの、前記トラバースユニットと前記情報記録媒体とを合わせた一体物の重心よりも高い位置に位置し前記据付面の一端縁側に設けられている第1の固定支点部と、前記一体物の重心よりも低い位置に位置し前記据付面の他端縁側に設けられている第2の固定支点部とを含むことを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項13】
前記第1の固定支点部と前記第2の固定支点部とは、前記一体物の重心を通る同一平面上に位置していることを特徴とする請求項12記載の電子機器の取付構造。
【請求項14】
前記一体物の重心は、前記情報記録媒体における情報記録領域のうち、前記情報記録媒体の中心位置から最も離れた位置において、前記光ピックアップが情報を読み出しているときの重心であることを特徴とする請求項12、又は13記載の電子機器の取付構造。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子機器の取付構造と、
前記ベースユニットと、
を有することを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−210309(P2011−210309A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76266(P2010−76266)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
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