説明

電子機器の外部電源装置

【課題】装填される電池パックを容易に特定することができると共に、正しく電池の温度を測定することのできる電子機器の外部電源装置を提供することである。
【解決手段】バッテリホルダ80内の第1、第2の電池室110a、110b内には、挿入検出レバー115、挿入防止シャッタ121を有するトランスファスイッチが設けられ、サーミスタを有する電池パックが装填可能である。第1の電池室110a内には、電池パックが挿入されると押圧を受けて電池パックの挿入を許容する挿入検出レバー115が突出されている。第2の電池室110bには、挿入検出レバー115が電池パックによる押圧を受けていないときに第2の電池室110b内に突出して電池パックの挿入を防止し、上記押圧を受けているときは第2の電池室110b内から退避して電池パックの挿入を許容する挿入防止シャッタ121が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の外部電源装置に関し、より詳細には、カメラ等の電子機器に電源を供給するための複数のバッテリパックを内蔵した電子機器の外部電源装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラ本体に装填されている電池の電圧をチェックして、その電池の残量を告知するカメラが一般に使用されている。
【0003】
例えば、カメラの動作回路毎に消費電流値テーブルを備えておき、ダミーロードにより電池の内部抵抗を求め、内部抵抗値と消費電流から電圧値を算出し、電池の電圧と比較して残量警告を出力するチェック回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、ダミーロードに所定電流を流して電池電流を予測する技術は周知である。
【特許文献1】特開2003−344922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、カメラ本体に着脱が自在で大容量の電池パックを内蔵する外部電源装置が開発されている。こうした外部電源装置は、複数個の電池パックを内蔵している。
【0006】
一方、電池は化学反応を利用しているために、環境温度の影響を受けやすいものであった。こうした温度変化については、温度によって予測してテーブルを参照するという技術が公知である。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のカメラでは、パラメータとして温度が存在していないものであった。そのため、温度変化が生じた場合、正確な電池残量の警告を行うことができないものであった。
【0008】
また、複数個の電池パックを装填可能な外部電源装置の場合、電池室の数より少ない数の電池パックが装填された場合、どの電池室に電池パックが装填されたかを検知するには複雑な構成を必要として、故にコストが高くなるものであった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、複数個の電池パックを内蔵する外部電源装置であって、装填される電池パックを容易に特定することができると共に、正しく電池の温度を測定することのできる電子機器の外部電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち請求項1に記載の発明は、電子機器の外部電源装置に於いて、温度検出手段を有する複数の電池を別々に挿入するための複数の電池室と、上記複数の電池室のうちの1つである所定の電池室内に突出し、該所定の電池室に電池が挿入されるとこの電池により押圧を受け、常に電池の挿入を許容する被押圧部と、該被押圧部が電池による押圧を受けていないときは、残りの他の電池室内に突出して、上記残りの他の電池室への電池の挿入を防止し、該被押圧部が電池による押圧を受けているときは、該被押圧部に連動して残りの他の電池室内から退避して、上記残りの他の電池室への電池の挿入を許容する連動突出部と、を有する電池挿入制御機構と、上記所定の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた上記温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記電子機器はカメラであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、電子機器の外部電源装置に於いて、温度検出手段を有する電池を装填可能な第1の電池室と、電池を装填可能な第2の電池室と、上記第1の電池室に電池が装填されると、この装填に連動する第1の連動部材と、上記第1の電池室に電池が装填されていないとき、上記第2の電池室内に突出して、上記第2の電池室に電池が装填されることを禁止し、上記第1の電池室に電池が装填されているときは、上記第1の連動部材に連動して上記第2の電池室から退避して電池の装填を許容する第2の連動部材と、上記第1の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、を具備することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明に於いて、上記電子機器はカメラであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、電子機器の外部電源装置に於いて、温度検出手段を有する第1の電池を装填可能な第1の電池室と、温度検出手段を有する第2の電池を装填可能な第2の電池室と、上記第1の電池室に上記第1の電池が装填され互い中の装填状態を検知する検知部材と、上記外部電源装置内に配置された温度検出手段と、上記第1の電池室内に設けられ、上記第1の電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、上記第1の電池室の温度検出手段若しくは上記外部電源装置内に配置された温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、上記検知部材が上記第1の電池室に電池が装填されていることを検知すると上記第1の電池室の温度検出手段と外部接点との導通を行い、上記検知部材が、上記第1の電池室に電池が装填されていないことを検知すると、上記外部電源装置内に配置された温度検出手段からの出力を外部に接続する切り換え手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明に於いて、上記電子機器はカメラであることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明に於いて、上記切り換え手段は、トランスファスイッチであることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、電子機器に外部より電源供給を可能とする外部電源装置に於いて、温度検出手段を有する第1の電池の装填が可能な第1の電池室と、第2の電池の装填が可能な第2の電池室と、上記第1の電池室内に突出し、該第1の電池室に電池が挿入されるとこの電池により押圧を受け、常に電池の挿入を許容する被押圧部と、該被押圧部が電池による押圧を受けていない際は、上記第2の電池室内に突出して該第2の電池室への電池の挿入を防止し、上記被押圧部が電池による押圧を受けている際は、該被押圧部に連動して上記第2の電池室内から退避して上記第2の電池室への電池の挿入を許容する連動突出部と、を備える電池挿入制御機構と、上記第1の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた上記温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、を具備することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明に於いて、上記電子機器はカメラであることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、電子機器の外部電源装置に於いて、第1の温度検出手段を有する第1の電池を装填可能であり、第2の温度検出手段を有する第1の電池室と、第2の電池を装填可能な第2の電池室と、上記第1の電池室に第1の電池が装填されると、この装填に連動する第1の連動部材と、上記第1の電池室に第1の電池が装填されていない場合に上記第2の電池室内に突出して、上記第2の電池室に第2の電池が装填されることを禁止し、上記第1の電池室に第1の電池が装填されている場合は上記第1の連動部材に連動して上記第2の電池室から退避して第2の電池の装填を許容する第2の連動部材と、上記第1の電池室内に設けられるもので、上記第1の電池室に第1の電池が装填されている場合は上記第1の温度検出手段と電気的導通を行い、上記第1の電池室内に第1の電池が装填されていない場合は上記第2の温度検出手段と電気的導通を行う切り換え手段と、上記切り換え手段と電気的に接続され、上記第1若しくは第2の温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、を具備することを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明に於いて、上記電子機器はカメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装填される電池パックを容易に特定することができると共に、正しく電池の温度を測定することのできる電子機器の外部電源装置を提供することができる。
【0022】
複数個の電池パックを内蔵する外部電源装置であっても、装填される電池パックの状態に関わらず正しく電池の温度を測定することのできる外部電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの構成を示すもので、後方より見た外観斜視図である。
【0025】
図1に於いて、この一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ(以下、カメラと略記する)1は、交換レンズとしてのレンズ鏡筒10と、カメラ本体20から主に構成されており、該カメラ本体20の前面に対して、所望のレンズ鏡筒10が着脱自在に設定されている。
カメラ本体20の上面には、レリーズ釦21と、モードダイヤル22と、パワースイッチレバー23と、コントロールダイヤル24等が設けられている。
【0026】
レリーズ釦21は、撮影準備動作及び露光動作を実行させるための釦である。このレリーズ釦21は、第1レリーズスイッチと第2レリーズスイッチの2段式のスイッチで構成されており、レリーズ釦21が半押し操作されることによって、第1レリーズスイッチがオンされて測光処理や測距処理などの撮影準備動作が実行される。また、レリーズ釦21が全押し操作されることによって、第2レリーズスイッチがオンされて露光動作が実行される。
【0027】
モードダイヤル22は、撮影時の撮影モードを設定するための操作部材である。このモードダイヤル22が所定方向に回転操作されることによって、撮影時の撮影モードが設定される。パワースイッチレバー23は、当該カメラ1の電源のオン/オフをするための操作部材である。このパワースイッチレバー23が回動操作されることにより、当該カメラ1のメイン電源のオン/オフが切り換えられる。
【0028】
コントロールダイヤル24は、撮影情報の設定を行うための部材である。このコントロールダイヤル24が操作されることにより、撮影時に種々の設定が行われる。
【0029】
ボディユニット20の背面部には、撮影画像やメニュー等を表示するための表示手段としての液晶モニタ26と、再生釦27と、メニュー釦28と、十字キー30と、OK釦31と、接眼光学系のファインダ33等が配置されている。
【0030】
上記再生釦27は、カメラ1の動作モードを、後述するFlashROM62や記録メディア63に記録されたJPEGファイルから画像を再生できる再生モードに切り換えるための釦である。メニュー釦28は、液晶モニタ26にメニュー画面を表示させるための釦である。このメニュー画面は、複数の階層構造から成るメニュー項目によって構成されている。ユーザは、所望のメニュー項目を十字キー30で選択することができ、OK釦31で選択した項目を決定することができる。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に於いて、上記レンズ鏡筒10は、上記カメラ本体20の前面に設けられた、図示されないレンズマウントを介して着脱自在に装着可能である。そして、上記レンズ鏡筒10は、撮影レンズを有する撮影光学系11と、絞り12と、レンズ駆動機構13と、絞り駆動機構14と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと略記する)15とから構成されている。
【0033】
上記撮影光学系11は、レンズ駆動機構13内に存在する図示されないDCモータによって、光軸方向に駆動される。絞り12は、絞り駆動機構14内に存在する図示されないステッピングモータによって駆動される。また、Lμcom15は、上記レンズ駆動機構13や絞り駆動機構14等、レンズ鏡筒10内の各部を駆動制御する。このLμcom15は、通信コネクタ35を介して、後述するボディ制御用マイクロコンピュータ65と電気的に接続がなされ、該ボディ制御用マイクロコンピュータ65の指令に従って制御される。
【0034】
一方、カメラ本体20は、以下のように構成されている。
【0035】
レンズ鏡筒10内の撮影光学系11、絞り12を介して入射される図示されない被写体からの光束は、可動ミラーである反射鏡40で反射され、図示されないフォーカシングスクリーン、ファインダ光学系41等を介して、接眼レンズ42に至る。また、上記反射鏡40内のハーフミラーの部分を透過した被写体光束の一部は、該反射鏡40とは独立して作動するサブミラー47で反射されて、自動測距を行うためのAFセンサユニット48に導かれる。
【0036】
光軸上で上記反射鏡40の後方には、フォーカルプレーン式のシャッタ50と、光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像光学系の光電変換素子であり、CCD等で構成される撮影用撮像素子51が設けられている。つまり、反射鏡40が撮影光路より退避した場合、撮影光学系11及び絞り12を通った光束は、撮影用撮像素子51の撮像面上に結像される。
【0037】
また、上記ファインダ光学系41の近傍には、スルー画を表示するための表示用撮像素子43と、測光センサを含む測光回路44が配設されている。上記表示用撮像素子43と上記撮影用撮像素子51は、インターフェイス回路59を介して、画像処理を行うための画像処理コントローラ60に接続されている。そして、この画像処理コントローラ60には、上述した液晶モニタ26と、記憶領域として設けられたSDRAM61、FlashROM62及び記録メディア63等が接続されている。これらは、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0038】
上記インターフェイス回路59は、ボディ制御用マイクロコンピュータ65にも接続されている。このインターフェイス回路59からは、表示用撮像素子43と撮影用撮像素子51から入力された撮像のタイミングを示す信号が、ボディ制御用マイクロコンピュータ65に供給される。
【0039】
上記記録メディア63は、図示されないカメラのインターフェイスを介してカメラ本体20に対し脱着可能な各種のメモリカードや外付けのハードディスクドライブ(HDD)等の外部記録媒体である。
【0040】
上記画像処理コントローラ60は、測光回路44と、AFセンサ駆動回路53と、ミラー駆動機構54と、シャッタチャージ機構55と、シャッタ制御回路56と、不揮発性メモリ(EEPROM)67と共に、このカメラ本体20内の各部を制御するための制御手段であるボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと略記する)65に接続されている。
【0041】
上記Bμcom65には、また、当該カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するための動作表示用LCD68と、カメラ操作スイッチ(SW)69と、電源回路70が接続されている。更に、Bμcom65及び電源回路70には外部接点である接点群75を介して、後述するバッテリホルダ80が接続される。
【0042】
尚、上記Bμcom65とLμcom15とは、レンズ鏡筒10の装着時に於いて、通信コネクタ35を介して通信可能に電気的接続がなされる。そして、デジタルカメラとして、Lμcom15がBμcom65に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0043】
上記測光回路44は、図示されない測光センサの電気信号に基づいて測光処理する回路である。上記AFセンサ駆動回路53は上記AFセンサユニット48を駆動制御するための回路であり、ミラー駆動機構54は反射鏡40を回動自在に駆動制御する機構である。また、シャッタチャージ機構55は、上記シャッタ50を構成する図示されない先幕と後幕を駆動するばねをチャージするものである。シャッタ制御回路56は、上記シャッタ50の先幕と後幕の動きを制御すると共に、Bμcom65との間でシャッタの開閉動作を制御する信号の授受を行う。
【0044】
不揮発性メモリ67は、上述したSDRAM61、FlashROM62、記録メディア63以外の記憶領域として、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶するものであり、Bμcom65からアクセス可能に設けられている。
【0045】
動作表示用LCD68は、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するためのものである。上記カメラ操作スイッチ69は、例えば撮影動作の実行を指示すると共に後述するように反射鏡40を撮影光路の内外に切り換えるレリーズスイッチ、撮影モードと画像表示モードを切り換えるモード変更スイッチ及びパワースイッチ、等、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群で構成される。更に、電源回路70は、電源として後述するバッテリホルダ80内に装填された電池の電圧を、当該カメラシステムの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給するために設けられている。
【0046】
上記バッテリホルダ80は、複数個の電池パックを装填することが可能であるが、本実施形態に於いては、第1の電池としての電池パック1(以下、電池パック(1)と記す)90aと、第2の電池としての電池パック2(以下、電池パック(2)と記す)90bの2つが装填可能なものとする。
【0047】
バッテリホルダ80内は、カメラ本体20との接点群75と、電池パック(1)90a、電池パック(2)90bとの接点群(電池室内接点)82a、82bとの間に、第1レリーズスイッチ(1RSW)85、第2レリーズスイッチ(2RSW)86、ロックスイッチ(SW)87と、逆流防止用のダイオードD1及びD2が、図示の如く接続されている。
【0048】
第1レリーズスイッチ85及び第2レリーズスイッチ86は、図8に示されるように、バッテリホルダ80に設けられたレリーズ釦121に対応するもので、上述したカメラ本体20のレリーズ釦21の機能と同じである。また、ロックスイッチ87は、図8に示されるロックレバーに対応したスイッチであり、バッテリホルダ80がカメラ本体20に装填された後にロックレバー120が操作されることにより、バッテリホルダ80がカメラ本体20から外れないようにロックされる。このとき、ロックスイッチ87がオン状態となる。
【0049】
電池パック(1)90a及び(2)90bは、それぞれ接点群82a及び82bを介してバッテリホルダ80内の回路と電気的に接続される。また、それぞれ直列接続された電池セル91a及び92bと、温度検出手段であるサーミスタ(第1の温度検出手段)92a及び92bとを有して構成される。
【0050】
図3は、上述した電池パックの外観斜視図である。
【0051】
尚、図3に於いては電池パック90として示しているが、図2に於ける電池パック(1)90a、電池パック(2)90bとは同じ構成であり、ここでは代表的に電池パック90として説明する。
【0052】
電池パック90は、内部に電池セルとサーミスタを有し、その外部はケース95によって密閉されている。そして、ケース95の所定箇所に上述した接点群82aまたは82bと対応する接続端子96〜98が設けられている。このうち、接続端子96は陽極(+)端子であり、接続端子97はサーミスタ(T)用の端子であり、接続端子98は負極(−)端子である。
【0053】
図4は、電池パック内の電池の放電特性を示した図である。
【0054】
図4に示されるように、この電池は、電圧値が略8Vから徐々に放電されて減少し、所定の判定スレッシュ値にてカメラの駆動に必要な電圧値を下回るため、充電を必要とする。この場合、上記判定スレッシュ値は、例えば0℃の場合は6.6V、20℃の場合は6.8V、45℃の場合は7.0Vとなっている。
【0055】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るカメラのバッテリホルダ80の構成を示した外観斜視図であり、図6は、図5のバッテリホルダに電池パックが装着される様子を示した外観斜視図である。
【0056】
カメラ本体20のグリップ部内に有する電池室(図示せず)内には、通常、カメラの電源としての電池が装填されている。そして、バッテリホルダ80を使用する際は、この電池室内の電池に代えてバッテリホルダ80の接点支柱100が挿入される。
【0057】
バッテリアダプタ80は、上述したカメラ本体20の図示されない電池室に挿入される部分として、該電池室に対応して接点支柱100が設けられている。そして、この接点支柱100の所定箇所、すなわち上記電池室内に設けられた図示されない電気接点と電気的に接触する箇所には、対応する接続端子101〜103が形成されている。このうち、接続端子101は陽極(+)端子であり、接続端子102はサーミスタ(T)用の端子であり、接続端子103は負極(−)端子である。カメラ本体20内の上記接続端子と接点支柱の接続端子101〜103により、上述した接点群75が構成される。
【0058】
また、上記接点支柱100には、上記接続端子101〜103に隣接して、もう一方の上記接点群75を構成するものとして、信号線111〜113が設けられている。これらは第1レリーズスイッチ用の信号線111、第2レリーズスイッチ用の信号線112及び起動信号線113で構成される。
【0059】
バッテリホルダ80は、また、カメラ本体20の底面部と相対する面で、三脚ネジ(図示せず)と相対する位置に、三脚ネジ105が形成されている。この三脚ネジ105は、カメラ本体20側の三脚ネジと螺合する雄ネジで構成されている。
【0060】
尚、上記接点支柱100の水平方向の断面形状は、カメラ本体20の電池室(図示せず)の水平方向の断面形状に相似してやや小さい。また、三脚ネジ105は、バッテリホルダ80の上面部の三脚ネジ用の穴とは遊嵌している状態である。
【0061】
また、バッテリホルダ80の前面部には、三脚ネジ105をカメラ本体20の三脚ネジ(図示せず)と螺合させるための三脚ネジダイアル106が設けられている。この三脚ネジダイアル106を所定方向に回転させることにより、三脚ネジ105とカメラ本体20の図示されない三脚ネジの螺合状態が調節されて、バッテリホルダ80とカメラ本体20との装着、取り外しがなされるようになっている。
【0062】
更に、バッテリホルダ80に於いて、三脚ネジダイアル106の下方には、複数個の電池パック90、本実施形態では2つの電池パックを装填可能にした第1及び第2の電池室110a及び110bが形成されている。これら第1及び第2の電池室110a及び110bには、開閉自在なカバー107が設けられている。このカバー107は、ロックレバー108の操作によって開閉が可能になる。電池パック90を装填する際には、カバー107を開けて、図6の矢印A方向に電池パック90を挿入した後、カバー107を閉じ、ロックレバー108を操作する。これによって、カバー107が固定されて電池パック90の脱落を防止している。
【0063】
また、バッテリホルダ80の側面部には、図示されないリモコンスイッチ接続用の接続端子を覆うためのコネクタキャップ109を有している。
【0064】
上記第1及び第2の電池室110a及び110b内には、また、該第1及び第2の電池室110a及び110b内に装填される電池パック90の挿入状態を検出するための、図7に示されるようなトランスファスイッチ(電池挿入制御機構)114が設けられている。
【0065】
このトランスファスイッチ114は、第1の電池室110a側に設けられた第1の連動部材である第1の部材114aと、第2の電池室110b側に設けられた第2の連動部材である第2の部材114bとにより構成される。第1の部材114aは、第1の電池室110a内に突出する、被押圧部としての切片状の挿入検出レバー115と係合片118が、軸部116に回動可能に取り付けられた構成となっている。そして、この軸部116にはバネ117が巻回されており、第1の部材114aはこのバネ117が開く方向に付勢されている。
【0066】
一方、第2の部材114bは、係合片118の先端部と当接する係合片119と、第2の電池室110b内に突出して電池パック90の挿入を許容する連動突出部である挿入防止シャッタ121とが、軸部120を中心に回動可能に構成されている。また、係合片119と軸部120との間には、他端がバッテリホルダ80内の固定部(図示せず)に取付けられたバネ122の一端が取り付けられている。したがって、第2の部材114bは、通常、係合片119が第1の部材の係合片118を下方に押し下げるように付勢されている。
【0067】
そして、このような構成のトランスファスイッチ114は、図8に示されるように、バッテリホルダ80内の電池パックの挿入口近傍に組み込まれている。そして、例えば、第1の電池室110aの底面部に、第1の部材114aの挿入検出レバー115が突出するための開口部123が形成されている。同様に、第2の電池室110bの底面部には、第2の部材114bの挿入防止シャッタ121が突出するための開口部124が形成されている。
【0068】
バッテリホルダ80内の何れの電池室の何れにも電池パックが装填されていない場合は、第1の電池室110a内に挿入検出レバー115が、そして第2の電池室110b内に挿入防止シャッタ121が、それぞれ突出されている。
【0069】
いま、図6に示されるように、電池パック90が矢印A方向に挿入されると、電池パック90の外壁(ケース95)面が挿入検出レバー115に当接する。そして、電池パック90が第1の電池室110a内に押し込まれることにより、該挿入検出レバー115が図7の矢印B方向に回転する。この回転に伴い、軸部116を中心にして係合片118が図示矢印C方向に回転する。すると、この係合片118の回転運動に連動して、係合片119もバネ122の付勢とは反対方向に回転し、更に軸部120を中心に挿入防止シャッタ121が図示矢印D方向に回転する。これにより、挿入防止シャッタ121は、第2の電池室110b内の開口部124より退避される。つまり、第2の電池室110b内への電池パック90の挿入が可能な状態となる。
【0070】
一方、第1の電池室110aに電池パック90が挿入されない状態では、挿入検出レバー115は第1の電池室110a内に露出されている。この状態では、第2の部材114bの係合片119はバネ122によって付勢されているので、挿入防止シャッタ121は、第2の電池室110b内に露出されたままである。したがって、第2の電池室110b内に電池パック90を装填しようとしても、挿入防止シャッタ121が第2の電池室110b内に突出しているため、該電池パック90の挿入を防止するようになっている。
【0071】
図9及び図10は、カメラ本体20にバッテリホルダ80が装着される際の状態を示す外観図であって、図9はカメラ正面側下方より見た斜視図、図10はカメラの背面側から見た図である。
【0072】
上述したように、カメラ本体20内の電池室にバッテリホルダ80の接点支柱100が挿入され、三脚ネジダイアル106が、図10に於いて矢印E方向に回転されることにより、三脚ネジ105とカメラ本体20の図示されない三脚ネジが螺着されて、バッテリホルダ80がカメラ本体20に装着される。そして、バッテリホルダ80の下面に設けられたロックレバーが操作されることにより、バッテリホルダ80がカメラ本体20から外れないようにロックされる。
【0073】
尚、上述したカメラ本体20及びバッテリホルダ80は、モールドまたはプラスチック等により構成されている。
【0074】
図11は、電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【0075】
カメラ本体20に於いて、Bμcom65のADポート1は、抵抗R11を介して電源回路70に接続されると共に、接点群75のサーミスタ用接点752 に接続されている。一方、Bμcom65のADポート2は、分圧抵抗R12を介して上記電源回路70と接点群75の正極用接点751 に接続されると共に、分圧抵抗R13を介してグラウンドに接続される。また、電源回路70及び接点群75のうちの第1レリーズスイッチ用の信号線111、第2レリーズスイッチ用の信号線112及び起動信号線113に対応した接点754 、755 及び756 が、それぞれBμcom65と接続されている。
【0076】
バッテリホルダ80内は、カメラ本体20の上記接点751 と電池パック(1)90aの正極用接点82a1 との間にダイオードD1が接続されている。また、カメラ本体20の上記接点752 と電池パック(1)90aのサーミスタ用接点82a2 との間には、トランスファスイッチ(SW)83が接続されている。そして、カメラ本体20の負極用接点753 は、電池パック(1)90aの負極用接点82a3 と接続されている。同様に、上記接点751 と電池パック(2)90bの正極用接点82b1 との間にはダイオードD2が接続され、上記接点752 と電池パック(2)90bのサーミスタ用接点82b2 との間にはトランスファスイッチ(SW)83が、それぞれ接続されている。そして、上記負極用接点753 と電池パック(2)90bの負極用接点82b3 とが接続されている。
【0077】
更に、上記接点754 には第1レリーズスイッチ(1RSW)85を介して、上記接点755 には第2レリーズスイッチ(2RSW)86を介して、それぞれロックスイッチ(SW)87が接続され、更に電池パック(1)90aの負極用接点82a3 及び電池パック(2)90bの負極用接点82b3 と接続されている。
【0078】
また、電池パック(1)90aに於いては、上記接点82a1 と接点82a3 との間に、スイッチング素子127aと電池セル91aの直列回路が接続され、上記接点82a2 と接点82a3 との間にはサーミスタ92aが接続されている。そして、制御回路128aが、スイッチング素子127aの動作を制御するようにして接続されている。同様に、電池パック(2)90bに於いては、上記接点82b1 と接点82b3 との間に、スイッチング素子127bと電池セル91bの直列回路が接続され、上記接点82b2 と接点82b3 との間にはサーミスタ92bが接続されている。そして、制御回路128bが、スイッチング素子127bの動作を制御するようにして接続されている。
【0079】
次に、図12のフローチャートを参照して、第1の実施形態に於けるカメラの基本的な動作について説明する。
【0080】
カメラ本体20に装着されたバッテリホルダ80に電池パックが装填されると、カメラが起動されて、先ずステップS1にてBμcom65による初期設定が行われる。次いで、ステップS2にて、装填されている電池パック内のサーミスタの抵抗値がA/D変換される。サーミスタの抵抗値は、プルアップ抵抗R11とサーミスタの抵抗値とから、Bμcom65内で算出される。
【0081】
例えば、抵抗R11を10kΩとした場合、下記表1より、温度が25℃の場合の抵抗値が10kΩのサーミスタに於いて、100℃の場合のサーミスタの抵抗値は0.97kΩであり、60℃の場合の抵抗値は3.02kΩ、0℃の場合の抵抗値は27.28kΩ、−20℃の場合の抵抗値は67.77kΩである。そして、これらのサーミスタの抵抗値のA/D変換値は、3.3Vを入力した場合に255になるとすると、100℃で22、60℃で59、25℃で127、0℃で186、−20℃で222となる。これらのA/D変換値が用いられて、ステップS3及びS5にて、サーミスタの判定が行われる。
【表1】

【0082】
すなわち、ステップS3に於いて、上記ステップS2で得られたサーミスタのA/D変換値が“222”より小さいか否かが判定される。ここで、A/D変換値が“222”を超える値であれば温度が−20℃より低い低温状態、若しくは接触不良が考えられる。したがって、ステップS4に移行して、今回得られたA/D変換値のデータは使用せずに、前回得た温度データが記憶され、その後ステップS8に移行する。一方、上記ステップS3にてA/D変換値が“222”以下であると判定された場合は、次にステップS5に於いて、A/D変換値が“186”以下であるか否か、或いはA/D変換値が“59”以上であるか否かが判定される。その結果、A/D変換値が“59“より小さければ、60℃以上の高温であるので、ステップS6へ移行して電池異常の表示がなされる。その後、動作が停止される。
【0083】
上記ステップS5に於いて、A/D変換値が“59”〜“186”の間、すなわち0〜60℃の間であれば、ステップS7へ移行して、当該A/D値から温度が算出される。そして、ステップS8にて、算出された温度から、該温度に応じた判定スレッシュ、すなわち最低駆動電圧が演算される。次いで、ステップS9にて、Bμcom65のポートから電池電圧がA/D変換される。
【0084】
そして、ステップS10に於いて、上記ステップS8で得られた判定スレッシュと上記ステップS9で得られた電池電圧とが比較される。その結果、電池電圧が判定スレッシュを下回っている場合は、ステップS11に移行して、装填されている電池の電圧値が下がっているので使用できない(弱っている)旨の警告表示が、液晶モニタ26等になされる。その後、動作が停止される。
【0085】
一方、上記ステップS10にて、電池電圧が判定スレッシュよりも高い場合は、充電動作が可能であるので、ステップS12に移行してレリーズ釦21の状態が検出される。ここで、レリーズ釦21が操作されない(レリーズ釦がオフ)状態の場合は、上記ステップS2へ移行して、上述した処理動作が繰り返される。一方、レリーズ釦21が操作された(オンされた)場合は、ステップS13へ移行して撮影動作が行われる。その後、上記ステップS2へ移行する。
【0086】
このように、第1の実施形態によれば、第1の電池室に電池パックを装填していない状態では第2の電池室に電池パックを装填することができないので、バッテリホルダに装填された電池パックを容易に特定することができると共に、正しく電池の温度を測定することができる。
【0087】
(第2の実施形態)
次に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
【0088】
上述した第1の実施形態では、第1の電池室に電池パックが装填されている場合にのみ電池パック内の温度を測定していたが、本第2の実施形態では第1の電池室に装填されていた電池パックが抜かれた場合の温度の測定例について説明する。
【0089】
以下、この第2の実施形態について説明するが、カメラの基本的な構成については、図1乃至図12に示される第1の実施形態と同じであり、基本的な撮影動作についても同様である。したがって、これらの構成及び動作については、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明は省略するものとし、異なる部分の構成及び動作についてのみ説明する。
【0090】
図13は本発明の第2の実施形態に於けるトランスファスイッチ132の構成を示した図であり、図14は図13の構成のトランスファスイッチ132が組み込まれたバッテリホルダ80の例を示した図である。また、図15は、第2の実施形態に於ける電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【0091】
図13に於いて、第1の部材114aの係合片118の下方に、切り換え手段としてのスイッチ(SW)133が設けられている。このスイッチ133は、押下された状態でオンとなるスイッチである。図14に示されるように、第1の電池室110aに電池パックが装填されていない状態では、第1の部材114aはバネ117の付勢力によって係合片118がスイッチ133を押圧するため、このスイッチ133はオン状態となる。この場合、図15に示されるように、バッテリホルダ80′内に設けられたサーミスタ88が使用されて温度測定がなされるようになっている。
【0092】
但し、最初から第1の電池室110aに電池パックが装填されていない場合は、上述したように、挿入防止シャッタ121によって、第2の電池室110bへの電池パックの挿入が防止される。つまり、第1の電池室110aにのみ電池パックが装填されている状態とは、第1及び第2の電池室110a及び110bの両方に電池パックが装填されている状態から、第1の電池室110a内の電池パックのみを取り外した状態である。
【0093】
このとき、第1の電池室110の電池パック(1)90a内のサーミスタ92aが測定されていた状態から、電池パック(1)90aが取り外されることによりスイッチ133がオンされる。すると、スイッチ133の接続先が電池パック(1)90aのサーミスタ92aからバッテリホルダ80′内のサーミスタ88に切り替わり、該サーミスタ88の温度が測定されるようになる。
【0094】
次に、図16のフローチャートを参照して、第2の実施形態に於けるカメラの基本的な動作について説明する。
【0095】
カメラ本体20に装着されたバッテリホルダ80′に電池パックが装填されると、カメラが起動されて、先ずステップS21にてBμcom65による初期設定が行われる。次いで、ステップS22にて、装填されている電池パック内のサーミスタの抵抗値がA/D変換される。サーミスタの抵抗値とそのA/D変換値については上述した通りであるので説明は省略する。
【0096】
そして、ステップS23に於いて、上記ステップS22で得られたサーミスタのA/D変換値が“186”以下であるか否か、或いはA/D変換値が“59”以上であるか否かが判定される。その結果、A/D変換値が“186”を超えるか“59“より小さければ0℃未満、若しくは60℃以上であるので、ステップS24へ移行して電池異常の表示がなされた後、動作が停止される。
【0097】
上記ステップS23に於いて、A/D変換値が“59”〜“186”の間、すなわち0〜60℃の間であれば、ステップS25へ移行して、当該A/D値から温度が算出される。そして、ステップS26にて、算出された温度から、該温度に応じた判定スレッシュ、すなわち最低駆動電圧が演算される。次いで、ステップS27にて、Bμcom65のポートから電池電圧がA/D変換される。
【0098】
そして、ステップS28に於いて、上記ステップS26で得られた判定スレッシュと上記ステップS27で得られた電池電圧とが比較される。その結果、電池電圧が判定スレッシュを下回っている場合は、ステップS29に移行して、装填されている電池の電圧値が下がっているので使用できない(弱っている)旨の警告表示が、液晶モニタ26等になされる。その後、動作が停止される。
【0099】
一方、上記ステップS28にて、電池電圧が判定スレッシュよりも高い場合は、充電動作が可能であるので、ステップS30に移行してレリーズ釦21の状態が検出される。ここで、レリーズ釦21が操作されない(レリーズ釦がオフ)状態の場合は、上記ステップS22へ移行して、上述した処理動作が繰り返される。一方、レリーズ釦21が操作された(オンされた)場合は、ステップS31へ移行して撮影動作が行われる。その後、上記ステップS22へ移行する。
【0100】
このように、第2の実施形態によれば、第1及び第2の電池室110a及び110bの両方に電池パックが装填されている状態から、第1の電池室110a内の電池パックのみを取り外された場合は、第1の電池室110aに近いバッテリホルダ内のサーミスタの温度を測定するので、電池の温度に近い温度を測定することができる。
【0101】
(第3の実施形態)
次に、本願発明の第3の実施形態について説明する。
【0102】
上述した第2の実施形態では、第1の電池室に装填される電池パックの有無に応じたサーミスタの切り替えを機械的スイッチによって行っていたが、この第3の実施形態では、マイクロコンピュータを利用して切り替えるようにしている。
【0103】
以下、この第3の実施形態について説明するが、カメラの基本的な構成については、図1乃至図16に示される第1及び第2の実施形態と同じであり、基本的な撮影動作についても同様である。したがって、これらの構成及び動作については、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び説明は省略するものとし、異なる部分の構成及び動作についてのみ説明する。
【0104】
図17は、本発明の第3の実施形態を示すもので、電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【0105】
バッテリホルダ80″内には、電池室110a、110bの何れに電池パックが装填されているかを検出するためのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略記する)137を有している。このマイコン137には、リセットIC138と、電源スイッチ137と、スイッチ133と、スイッチ素子141、142が接続されている。上記スイッチ素子141はカメラ本体20の上記接点752 と電池パック(1)90aのサーミスタ用接点82a2 との間に接続され、スイッチ素子142は上記接点752 とサーミスタ88の一端との間に接続されるもので、それぞれマイコン137によってオン、オフが制御される。また、サーミスタ88の他端は、接点82a3 及び82b3 に接続されている。
【0106】
次に、図18のタイミングチャートを参照して、本発明の第3の実施形態によるカメラの電池室に装填された電池パックの認識について説明する。尚、始めに第1の電池室110a及び第2の電池室110bに電池パックが装填されているものとする。
【0107】
電源スイッチ139がオンされるとカメラが起動され、電源電圧VEが所定電圧に達したならばリセットIC138が起動する。これによって、マイクロコンピュータ137が起動され、Bμcom65による初期設定が行われる。次いで、マイコン137のポートP1がオンされ、スイッチ素子141がオンになることにより、マイコン137にて第1の電池室110aの電池パック(1)90a内のサーミスタ92aが認識され、これにより該サーミスタ92aの温度が測定される。
【0108】
そして、あるタイミングで第1の電池室110から電池パック(1)90aが取り外されると、スイッチ133がオンされる。すると、マイコン137のポートP2がオンになると共にポートP1がオフになる。これにより、スイッチ素子142がオンになると共にスイッチ素子141がオフになる。したがって、マイコン137ではバッテリホルダ80″内のサーミスタ88が認識されて、該サーミスタ88の温度が測定される。
【0109】
更に所定時間が経過して、再度電池パック(1)90aが第1電池室110aに装填されると、スイッチ133がオンからオフに切り替わり、これを受けてマイコン137のポートP1がオンになると共にポートP2がオフになる。これにより、スイッチ素子141がオン、スイッチ素子142がオフとなって、バッテリパック80″内のサーミスタ88から電池パック(1)90aのサーミスタ92aに、マイコン135の認識が切り替わる。つまり、サーミスタ92aの温度が測定される。
【0110】
このように、第3の実施形態によれば、サーミスタをマイコンが認識するので、装填された電池パックの状態に応じて正しく電池の温度を測定することができる。
【0111】
尚、上述した第1乃至第3の実施形態に於いて、バッテリホルダ内の電池室に装填される電池パックは同じ構成として説明したが、これに限られるものではなく、サーミスタを検出可能であれば、例えば形状が異なる等、同じ構成のものでなくとも良い。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施形態による一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの構成を示すもので、後方より見た外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】電池パックの外観斜視図である。
【図4】電池パック内の電池の放電特性を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るカメラのバッテリホルダ80の構成を示した外観斜視図である。
【図6】図5のバッテリホルダに電池パックが装着される様子を示した外観斜視図である。
【図7】バッテリホルダ80内に設けられたトランスファスイッチ114構成例を示した図である。
【図8】図7のトランスファスイッチ114をバッテリホルダ80に組み込まれた状態の例を示した図である。
【図9】カメラ本体20にバッテリホルダ80が装着される際の状態を示す外観図であって、カメラ正面側下方より見た斜視図である。
【図10】カメラ本体20にバッテリホルダ80が装着される際の状態を示す外観図であって、カメラの背面側から見た図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に於けるカメラの基本的な動作について説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態に於けるトランスファスイッチ132の構成を示した図である。
【図14】図13の構成のトランスファスイッチ132が組み込まれたバッテリホルダ80の例を示した図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に於ける電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に於けるカメラの基本的な動作について説明するフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態による電池パックの温度検出を説明するための概略的な電気回路図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による電池室に装填された電池パックの認識について説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1…カメラ、10…レンズ鏡筒、11…撮影レンズ、12…絞り、13…レンズ駆動機構、14…絞り駆動機構、15…レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)、20…カメラ本体、21…レリーズ釦、22…モードダイヤル、23…パワースイッチレバー、24…コントロールダイヤル、26…液晶モニタ、33…ファインダ、35…通信コネクタ、40…反射鏡、41…ファインダ光学系、43…表示用撮像素子、44…測光回路、48…AFセンサユニット、50…シャッタ、51…撮影用撮像素子、53…AFセンサ駆動回路、54…ミラー駆動機構、55…シャッタチャージ機構、56…シャッタ制御回路、59…インターフェイス回路、60…画像処理コントローラ、61…SDRAM、62…FlashMemory、63…記録メディア、65…ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、67…不揮発性メモリ(EEPROM)、68…動作表示用LCD、69…カメラ操作スイッチ(SW)、70…電源回路、75…接点群、80…バッテリホルダ、82a、82b…接点群、85…第1レリーズスイッチ(1RSW)、86…第2レリーズスイッチ(2RSW)、88、92a、92b…サーミスタ、90a…電池パック(1)、90b…電池パック(2)、91a、91b…電池セル、110a…第1の電池室、110b…第2の電池室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の外部電源装置に於いて、
温度検出手段を有する複数の電池を別々に挿入するための複数の電池室と、
上記複数の電池室のうちの1つである所定の電池室内に突出し、該所定の電池室に電池が挿入されるとこの電池により押圧を受け、常に電池の挿入を許容する被押圧部と、該被押圧部が電池による押圧を受けていないときは、残りの他の電池室内に突出して、上記残りの他の電池室への電池の挿入を防止し、該被押圧部が電池による押圧を受けているときは、該被押圧部に連動して残りの他の電池室内から退避して、上記残りの他の電池室への電池の挿入を許容する連動突出部と、を有する電池挿入制御機構と、
上記所定の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、
上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた上記温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、
を具備することを特徴とする電子機器の外部電源装置。
【請求項2】
上記電子機器はカメラであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の外部電源装置。
【請求項3】
電子機器の外部電源装置に於いて、
温度検出手段を有する電池を装填可能な第1の電池室と、
電池を装填可能な第2の電池室と、
上記第1の電池室に電池が装填されると、この装填に連動する第1の連動部材と、
上記第1の電池室に電池が装填されていないとき、上記第2の電池室内に突出して、上記第2の電池室に電池が装填されることを禁止し、上記第1の電池室に電池が装填されているときは、上記第1の連動部材に連動して上記第2の電池室から退避して電池の装填を許容する第2の連動部材と、
上記第1の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、
上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、
を具備することを特徴とする電子機器の外部電源装置。
【請求項4】
上記電子機器はカメラであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の外部電源装置。
【請求項5】
電子機器の外部電源装置に於いて、
温度検出手段を有する第1の電池を装填可能な第1の電池室と、
温度検出手段を有する第2の電池を装填可能な第2の電池室と、
上記第1の電池室に上記第1の電池が装填され互い中の装填状態を検知する検知部材と、
上記外部電源装置内に配置された温度検出手段と、
上記第1の電池室内に設けられ、上記第1の電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、
上記第1の電池室の温度検出手段若しくは上記外部電源装置内に配置された温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、
上記検知部材が上記第1の電池室に電池が装填されていることを検知すると上記第1の電池室の温度検出手段と外部接点との導通を行い、上記検知部材が、上記第1の電池室に電池が装填されていないことを検知すると、上記外部電源装置内に配置された温度検出手段からの出力を外部に接続する切り換え手段と、
を具備することを特徴とする電子機器の外部電源装置。
【請求項6】
上記電子機器はカメラであることを特徴とする請求項5に記載の電子機器の外部電源装置。
【請求項7】
上記切り換え手段は、トランスファスイッチであることを特徴とする請求項5に記載の電子機器の外部電源装置。
【請求項8】
電子機器に外部より電源供給を可能とする外部電源装置に於いて、
温度検出手段を有する第1の電池の装填が可能な第1の電池室と、
第2の電池の装填が可能な第2の電池室と、
上記第1の電池室内に突出し、該第1の電池室に電池が挿入されるとこの電池により押圧を受け、常に電池の挿入を許容する被押圧部と、該被押圧部が電池による押圧を受けていない際は、上記第2の電池室内に突出して該第2の電池室への電池の挿入を防止し、上記被押圧部が電池による押圧を受けている際は、該被押圧部に連動して上記第2の電池室内から退避して上記第2の電池室への電池の挿入を許容する連動突出部と、を備える電池挿入制御機構と、
上記第1の電池室内に設けられ、上記電池に設けられた温度検出手段と電気的導通を行う電池室内接点と、
上記電池室内接点と電気的に接続され、上記電池に設けられた上記温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、
を具備することを特徴とする電子機器の外部電源装置。
【請求項9】
上記電子機器はカメラであることを特徴とする請求項8に記載の電子機器の外部電源装置。
【請求項10】
電子機器の外部電源装置に於いて、
第1の温度検出手段を有する第1の電池を装填可能であり、第2の温度検出手段を有する第1の電池室と、
第2の電池を装填可能な第2の電池室と、
上記第1の電池室に第1の電池が装填されると、この装填に連動する第1の連動部材と、
上記第1の電池室に第1の電池が装填されていない場合に上記第2の電池室内に突出して、上記第2の電池室に第2の電池が装填されることを禁止し、上記第1の電池室に第1の電池が装填されている場合は上記第1の連動部材に連動して上記第2の電池室から退避して第2の電池の装填を許容する第2の連動部材と、
上記第1の電池室内に設けられるもので、上記第1の電池室に第1の電池が装填されている場合は上記第1の温度検出手段と電気的導通を行い、上記第1の電池室内に第1の電池が装填されていない場合は上記第2の温度検出手段と電気的導通を行う切り換え手段と、
上記切り換え手段と電気的に接続され、上記第1若しくは第2の温度検出手段からの出力を外部に接続するための外部接点と、
を具備することを特徴とする電子機器の外部電源装置。
【請求項11】
上記電子機器はカメラであることを特徴とする請求項10に記載の電子機器の外部電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−80617(P2007−80617A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265459(P2005−265459)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】