説明

電子機器の操作部材取付構造、該構造を備えた電子機器及び該電子機器の組立方法

【課題】簡素な構成としてコストを低減し、機器の小型化に寄与し、かつ、組立工数を抑制する。
【解決手段】レバー操作部材43が、接写撮影位置で、リアカバー15に組み込んだまま、リアカバー15をフロントケース13と組み合わると、レバー把持部は、凹部が切替レバー41の先端部の配置位置から外れるように配置される。このとき、切替レバー41の先端部は、レバー把持部によって把持されず、連動不能となるが、被保持部はフック部によって係止されないことにより、リアカバー15の平板部22の内面側を下向きにすると、レバー操作部材43は、リアカバー15から脱落する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器の操作部材取付構造、該構造を備えた電子機器及び該電子機器の組立方法に係り、例えば、カメラ内蔵の携帯電話機等の電子機器で用いられ、接写撮影/通常撮影等の撮影モードの切換を行うための切換レバーをスライド操作によって作動させるレバー操作部材等の操作部材が電子機器の筐体に取り付けられた電子機器の操作部材取付構造、該構造を備えた電子機器及び該電子機器の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の電子機器としての携帯電話機には、本来の通話機能や、データ通信機能のみならず、電子カメラが搭載されたものも一般化されてきており、電子メールの送受信に際して、送信者は、周囲の風景や自分自身の顔等を画像データとして添付して受信者側に送信し、受信者はディスプレイ上で相手の様子等を確認することができるようになっている。
このように多機能化された携帯電話機では、様々な切替操作が必要とされ、内部に実装された切替えレバーやスライドスイッチ等の切替操作を行う電気部品を間接的にスライド操作させる操作部材が筐体に取り付けられている。
【0003】
例えば、撮影機能を有する携帯電話機には、接写撮影/通常撮影の撮影モードの切換が可能なものがあり、カメラレンズが内蔵された鏡筒に取り付けられた切換レバーの操作により、カメラレンズの調整等を行い、かつ、撮影モード切換が行われる。
ここで、筐体内に収納された切換レバーが、操作者がスライド操作するための抓みが外部に露出した状態で筐体に取り付けられたレバー操作部材の変位に連動して変位することによって、撮影モードの切換がなされる(スイッチの連動については、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0004】
筐体は、正面側を構成するフロントケースと、裏面側を構成するリアカバーとが組み合されて構成され、鏡筒やカメラ回路モジュールを含む電子カメラユニットが、フロントケースに取り付けられ、これに伴い、上記レバー操作部材もフロントケースの側部に取り付けられる。
ところが、小型化の要請から、フロントケースにレバー操作部材を取り付けるスペースがない場合があり、この場合は、レバー操作部材を取付部材を用いてリアカバーに取り付けることとなる(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−35605号公報
【特許文献2】特開2000−284343号公報
【特許文献3】特開平9−197479号公報
【特許文献4】特開平11−163555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする第1の問題点は、上記従来技術では、レバー操作部材を取り付けるための取付部品等の部品点数が多くなって取付構造も複雑化してコストが嵩み、かつ、取付部品のための配置スペースも必要となって小型化の妨げとなり、さらに、組立工数も増加するという点である。
なお、リアカバーの背面側にレバー操作部材を取り付けることも考えられるが、レバー操作部材が目立ってしまって、美感上好ましくなく、また、部品配置上制約が課せられることとなってしまう。
また、第2の問題点は、レバー操作部材が、例えば、連動させる切換レバー等に機械的に接続されない位置で、誤ってリアカバーに組み込まれても、フロントケースと組み合わせて、電子部品を筐体内部に収納して、組立完了後、機器の動作を確認する段階でしか、組込位置の誤りが検知されないために、作業効率が悪化するという点である。
【0007】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、簡素な構成としてコストを低減し、機器の小型化に寄与し、かつ、組立工数を抑制することができる電子機器の操作部材取付構造、該構造を備えた電子機器及び該電子機器の組立方法を提供することを第1の目的としている。
また、操作部材の筐体への組込み誤りを防止し、迅速、かつ、確実に組み立てることができる電子機器の操作部材取付構造、該構造を備えた電子機器及び該電子機器の組立方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、電子機器の所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材が、上記電子機器の筐体に取り付けられている電子機器の操作部材取付構造に係り、上記筐体は、共に平板部の周縁に側壁部が立設された形状を有する第1の容器と第2の容器とが、上記側壁部の端面同士が接合するように組み合わされてなり、上記電子機器を構成する電子部品が上記筐体の内部に収納され、上記操作部材は、外部に露出される抓み部と、該抓み部に連結され上記筐体内に配置される作動部とを有し、上記第1又は第2の容器の上記側壁部にスライド可能なように取り付けられ、上記第1又は第2の容器の上記側壁部の所定の箇所には、上記操作部材が組み込まれ、上記抓み部が所定の範囲内でスライド方向に沿って変位するための切欠き部が形成され、該切欠き部の近傍の上記平板部の内面には、上記作動部をスライド可能なように保持する保持部が形成され、上記操作部材が組み込まれた一方の上記第1又は第2の容器が、他方の上記第2又は第1の容器から分離された状態で、上記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、上記保持部は、上記操作部材の脱落の防止が可能なように上記作動部を保持することを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記作動部は、所定の機能を有する機能ユニットに上記機能の切換又は選択のために設けられた切換レバーに結合し、上記操作部材のスライド操作に連動して、上記切換レバーは、上記機能の切換操作又は選択操作を行うことを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記操作部材が組み込まれた一方の上記第1又は第2の容器が、他方の上記第2又は第1の容器から分離された状態で、上記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、上記操作部材がスライド方向に沿った可動範囲のうち、所定の範囲に位置しているときに、上記保持部は、上記操作部材の脱落を防ぐように上記作動部を保持することを特徴としている。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記操作部材が、上記所定の範囲外に位置しているときに、上記保持部は、上記作動部の保持を解除することを特徴としている。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記操作部材のスライド方向に沿った変位に連動して、上記切換レバーが変位して、上記機能ユニットの上記機能のうち、第1の機能と第2の機能との間の切換又はオン/オフが行われ、上記抓み部がスライド方向に沿って第1のスライド位置に変位した場合に、上記作動部が上記切換レバーを操作して、第1の操作位置に変位させて上記第1の機能を実現させるか又は上記第2の機能を停止させ、上記抓み部が第2のスライド位置に変位した場合に、上記作動部が上記切換レバーを操作して、第2の操作位置に変位させ、上記第2の機能を実現させるか又は上記第1の機能を停止させることを特徴としている。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記操作部材が組み込まれた一方の上記第1又は第2の容器が、他方の上記第2又は第1の容器から分離された状態で、上記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、上記操作部材がスライド方向に沿った可動範囲内で、上記第1のスライド位置及び上記第2のスライド位置のうち、一方のスライド位置に位置しているときに、上記保持部は、上記操作部材の脱落を防ぐように上記作動部を保持し、他方のスライド位置に位置しているときに、上記作動部の保持を解除し、上記一方のスライド位置は、他方の上記第2又は第1の容器に組み込まれた上記機能ユニットに設けられた上記切換レバーが予め変位している上記第1の操作位置又は上記第2の操作位置に対応したスライド位置であることを特徴としている。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記作動部は、上記切換レバーの先端部を把持して上記切換レバーに結合したレバー把持部と、上記保持部によってスライド可能に保持される被保持部とを有していることを特徴としている。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記作動部は、上記操作部材を、上記第1のスライド位置及び上記第2のスライド位置で、上記操作部材が組み込まれた上記第1又は第2の容器に対して仮固定するための仮固定部を有していることを特徴としている。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記仮固定部には、比較的滑らかな周壁面を有する隆起部が形成され、上記操作部材が組み込まれた上記第1又は第2の容器の上記側壁部の内面又は上記平板部の内面の上記切欠き部近傍には、上記隆起部と係合し比較的滑らかな周壁面を有する突起部が形成され、上記隆起部と上記突起部とが係合することによって、上記抓み部にスライド方向に沿って所定の値以上の力が加えられなければ上記操作部材が変位しないように、上記第1のスライド位置及び上記第2のスライド位置で位置決めされて仮固定状態とされ、上記抓み部に所定の値以上の力が加えられて、上記隆起部が上記突起部を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感が与えられ、切替完了を認識させることを特徴としている。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項2乃至9のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記機能ユニットは、カメラレンズが内蔵された鏡筒及びカメラ回路モジュールを有する電子カメラユニットからなり、上記切換レバーは、上記鏡筒に取り付けられ、接写撮影と通常撮影との間の切換を行うために用いられることを特徴としている。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、請求項10記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記第1のスライド位置及び上記第2のスライド位置は、それぞれ、通常撮影を行うための通常撮影切換位置及び接写撮影を行うための接写撮影切換位置に対応していることを特徴としている。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、請求項11記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記保持部は、上記抓み部が上記通常撮影切換位置に配置された場合に、上記被保持部に対して係止状態となり、上記抓み部が上記接写撮影切換位置に配置された場合に、上記被保持部に対して係止解除状態となるように、スライド方向に沿った長さ及び配置位置が設定されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項13記載の発明は、請求項9乃至12のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記仮固定部は、上記レバー把持部の側部から突設され、先端に形成された上記隆起部が上記突起部に突き当てられ、根元部を支点として、弾性的に回動可能なロックアーム部からなり、上記第1のスライド位置と上記第2のスライド位置との間の変位は、上記隆起部と上記突起部との周壁面同士が互いに接触しながら、上記隆起部が上記突起部を乗り越えるように、上記ロックアーム部が弾性変形して行われることを特徴としている。
【0021】
また、請求項14記載の発明は、請求項13記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記切換レバーが、上記通常撮影位置に対応した上記第1の操作位置又は上記第2の操作位置に予め変位した状態で、他方の上記第2又は第1の容器に組み込まれた上記機能ユニットに設けられ、上記レバー操作部材は、上記通常撮影位置で、一方の上記第1又は第2の容器に組み込まれると、上記切替レバーの先端部は上記レバー把持部によって把持され、上記被保持部は保持部によって係止され、かつ、上記ロックアーム部の上記隆起部と上記突起部との係合によって、仮固定状態とされて、上記接写撮影位置への移行が抑えられ、上記被保持部は上記保持部によって係止されていることによって、上記レバー操作部材を、一方の上記第1又は第2の容器に組み込む際に、上記第1又は第2の容器の上記平板部の内面側を下向きにしても、上記レバー操作部材の脱落が防止され、上記レバー操作部材が、上記接写撮影位置で、上記第1又は第2の容器に組み込まれると、上記切替レバーの先端部は上記レバー把持部から外れて把持されず、上記被保持部は上記保持部によって係止されず、上記第1又は第2の容器の上記平板部の内面側を下向きにすると、上記レバー操作部材は、上記第1又は第2の容器から脱落することを特徴としている。
【0022】
また、請求項15記載の発明は、請求項9乃至12のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造に係り、上記隆起部は上記被保持部に形成され、上記突起部は上記保持部に形成されていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項16記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至15のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造を備えたことを特徴としている。
【0024】
また、請求項17記載の発明は、筐体を構成し、共に平板部の周縁に側壁部が立設された形状を有する第1の容器と第2の容器とを、構成部品としての電子部品を上記筐体の内部に収納した状態で、かつ、所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材が、上記筐体に取り付けられた状態で、上記側壁部の端面同士が接合するように組み合わせて、請求項16記載の電子機器を組み立てる方法に係り、外部に露出される抓み部と、該抓み部に連結され上記筐体内に配置される作動部とを有する上記操作部材を、上記側壁部に上記抓み部が所定の範囲内でスライド方向に沿って変位するための切欠き部が形成され、該切欠き部の近傍の上記平板部の内面には、上記作動部を、スライド可能なように、かつ、上記平板部の内面側を下方に向けた状態で、上記操作部材の落下の防止が可能なように保持する保持部が形成された一方の上記第1又は第2の容器の上記側壁部に取り付けた後、上記操作部材が取り付けられた一方の上記第1又は第2の容器を、上記平板部の内面側を下方に向けた状態で、上記平板部の内面を上方に向けた状態で配置した他方の上記第2又は第1の容器に上記側壁部の端面同士が接合するように組み合わせることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
この発明の構成によれば、電子機器の所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材を、筐体に形成された保持部によってスライド可能なように保持するので、簡素な構成としてコストを低減し、機器の小型化に寄与し、かつ、組立工数を抑制することができる。
また、保持部は、操作部材が組み込まれた一方の第1又は第2の容器が、他方の第2又は第1の容器から分離された状態で、平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、操作部材の脱落の防止が可能なように作動部を保持するので、操作部材の筐体への組込み誤りを防止し、迅速、かつ、確実に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
電子機器の所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材を、筐体に形成された保持部によってスライド可能なように保持することによって、簡素な構成としてコストを低減し、機器の小型化に寄与し、かつ、組立工数を抑制するという第1の目的を実現した。
また、保持部が、操作部材が組み込まれた一方の第1又は第2の容器が、他方の第2又は第1の容器から分離された状態で、平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、操作部材の脱落の防止が可能なように作動部を保持することによって、操作部材の筐体への組込み誤りを防止し、迅速、かつ、確実に組み立てるという第2の目的を実現した。
【実施例1】
【0027】
図1は、この発明の第1実施例である携帯電話機の構成を分解して示す斜視図、図2は、同携帯電話機の構成を示す正面図、図3は、同携帯電話機の構成を示すブロック図、図4及び図5は、同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図、また、図6及び図7は、同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための断面図である。
【0028】
この例の携帯電話機1は、図1乃至図3に示すように、例えば合成樹脂製の扁平な筐体2を備えると共に、本来の通話機能やデータ通信機能に加えて、内蔵された電子カメラによる撮影機能を有し、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する制御部3と、制御部3が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部4と、例えば周囲の風景や人物等を撮影するための電子カメラユニット5と、電波の送受信を行うためのアンテナ6と、アンテナ6を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部7と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部8と、正面側に配設され液晶表示装置からなる表示部9と、受話音声出力用スピーカからなる受話部11と、音声入力用のマイクロフォンからなる送話部12とを備えてなっている。
【0029】
筐体2は、共に例えば射出成形によって、概略、矩形状の平板部の周縁に側壁部が立設された形状に成形され、正面側を構成するフロントケース13と、裏面側を構成するリアカバー15とを有し、組み合されたフロントケース13とリアカバー15とが嵌合によって、又は雌ねじや雄ねじ等の固定具による締付けによって、内部に電子カメラユニット5や制御部3及び記憶部4等を構成する電子部品が搭載された主回路基板16等が収納された状態で、組み立てられてなっている。
フロントケース13の平板部17の内面の上部には、電子カメラユニット5の鏡筒34及びカメラ回路モジュール35を固定するためのモジュール固定枠18が形成されている。
また、リアカバー15の側壁部19の上端側(組み立てられた際に受話部11が配置される側)の領域には、後に詳述するレバー操作部材43を嵌め込むための切欠き部21が形成され、リアカバー15の平板部22の内面側の上部(切欠き部21が形成された部位近傍)には、図4乃至図7に示すように、レバー操作部材43をスライド可能に保持するフック部23が形成されている。
【0030】
また、側壁部19の切欠き部21が形成された部位の内面側には、切欠き部21の一端側(接写撮影切換時にレバー操作部材43の抓み部45が寄せられる側)に対応した位置に、半円柱状の突起部24が内部側に突出するように形成されている。
また、リアカバー15の平板部22の外面側には、所定のエンブレムを表示する平板状のロゴプレート25が配設される凹部26が形成されている。
なお、この例では、成形用の金型を用い押切りによりフック部23を形成する際に、平板部22のフック部23近傍には開口27が形成される。この開口27は、ロゴプレート25によって隠されて外部から視認できないようにされている。
【0031】
制御部3は、CPU(中央処理装置)等からなり、記憶部4に記憶された各種処理プログラムを実行し、記憶部4に確保された各種レジスタやフラグを用いて、構成各部を制御し、通信制御処理や、操作制御処理、撮像情報処理、表示制御処理等を行う。
記憶部4は、ROM、RAM等の半導体メモリからなり、制御部3が実行する上記通信制御処理プログラムや、操作制御プログラム、撮像情報処理プログラム、表示制御プログラム、ホームページを閲覧するためのプログラムとしてのブラウザ、電子メールを作成したり送受信するためのプログラムとしてのメーラ等の各種処理プログラム等をが記憶されたプログラム記憶領域と、各機能の設定情報や通信履歴情報、電話帳情報、電子カメラユニット5によって撮影された画像情報等の各種情報が記憶された情報記憶領域とを有すると共に、この記憶部4には、制御部3がプログラム実行時に用いる各種レジスタやフラグが確保されている。
【0032】
電子カメラユニット5は、フロントケース13の平板部17の上部に設けられ、カメラレンズ31等を保護するためのスクリーン部材32を介して被写体から到来した光が入射する撮影窓部33と、撮影窓部33を介して被写体から到来した光が入射し、例えば標準レンズからなるカメラレンズ31が内蔵された鏡筒34と、所定の画像信号を得るためのDSP(digital signal processor)等が内蔵されたカメラ回路モジュール35と、カメラ回路モジュール35と主回路基板16とを接続するフレキシブル基板36とを有している。
【0033】
カメラ回路モジュール35は、図3に示すように、カメラレンズ31を介して結像した画像を光電変換して電気信号としての画像信号を出力するCCD撮像素子等からなる撮像デバイス36と、撮像デバイス36から送られてきた画像信号をA/D変換するA/D変換部37と、デジタル化した信号にガンマ変換、色空間変換等の画像処理を施す画像処理部38とを有している。
この例では、接写撮影/通常撮影の撮影モード切換が、鏡筒34に取り付けられた切換レバー41の操作により可能とされている。
無線通信部7は、RF回路や、変復調回路、ベースバンド処理回路等からなり、音声やデータを変調してアンテナ6を介して無線電波として送信すると共に、無線電波をアンテナ6を介して受信して音声やデータに復調し、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる。
【0034】
操作部8は、電子カメラユニット5による撮影を可能とする撮影モードを選択すると共にシャッタ釦を兼ねる撮影モードキーや、電子メールの作成や送受信を行うためのメールモード選択キー、ブラウザを起動させてホームページを閲覧するためのブラウザモード選択キー、操作を決定するために用いられる決定キー、操作メニューを表示させるためのメニューキー、文字入力モードを切り換えるための入力モード切替えキー、電話帳を登録したり検索するための電話帳キー、音声通話を行うために用いる通話開始キー、操作を1つ前の状態へ戻すクリアキー、及び電源の入切りを行ったり各種操作を中止するために用いられる電源キーを含む機能キー群と、表示部9に表示された表示画面状のカーソルを上下左右方向へ移動させるためのカーソルキーと、例えば数字等を入力するためのテンキー群等が、フロントケース13の平板部17から先端が露出した状態で配列され、かつ、例えば、接写撮影/通常撮影の切換を行うための撮影モード切換スイッチ42が筐体2の上端部に配置されてなっている。
撮影モード切換スイッチ42は、電子カメラユニット5の鏡筒34に取り付けられ接写撮影/通常撮影の切換を行うための切換レバー41と、リアカバー15の側壁部19の上端部に取り付けられ切換レバー41を操作するためのレバー操作部材43とを有している。
【0035】
この例の操作部材取付構造44は、フロントケース13に固定された鏡筒34に取り付けられ、例えば接写撮影/通常撮影の切換を行うための切換レバー41を作動させるレバー操作部材43が、フック部23によってリアカバー15にスライド可能に保持されて概略構成されている。
リアカバー15の上端部に形成された切欠き部21は、側壁部19の外部側に形成され、抓み部45が所定の範囲(接写撮影切換位置と、通常撮影切換位置との間)でスライド変位可能なように配置される外側切欠き21aと、外側切欠き21aに連設され、連結部49が抓み部45と共にスライド方向に沿って移動可能なように配置される内側切欠き21bとを有している。
【0036】
フック部23は、リアカバー15の平板部22の内面側に突出状態(図6では垂下状態)で形成され、先端にレバー操作部材43の被保持部47の折曲された先端部47aを係止するための爪部23aが形成され、根元部を支点として、弾性的に回動可能とされ、レバー操作部材43を組み込む際には、内部側(切欠き部21から離反する側)に撓ませられる。なお、爪部23aの先端側には、被保持部47の円滑な挿入のために傾斜面が設けられている。
このフック部23は、レバー操作部材43が、通常撮影切換位置(抓み部45が外側切欠き21aの一方の端部(図4に示す位置、組込み時の位置)に寄せられた状態)に配置された場合に、被保持部47に対して係止状態となり、レバー操作部材43が、接写撮影切換位置(抓み部45が外側切欠き21aの他方の端部(図5に示す位置)に寄せられた状態)に配置された場合に、被保持部47に対して係止解除状態となるように、そのスライド方向に沿った長さ(幅)や、配置位置が設定されている。
【0037】
切換レバー41は、通常撮影位置と接写撮影位置との間で、その先端が所定の円弧に沿って変位するように操作されることによって、撮影モードの切換えが行われ、先端部41aは、図1及び図7で上方(組立て時にリアカバー15に向かう側)に向けて突出するように、かつ、フロントケース13とリアカバー15とが組み合わされた際に、レバー把持部46の凹部46aに遊嵌されるように高さ(フロントケース13の平板部17の面に直交する方向の位置、すなわち、筐体2の厚さ方向の位置)が合わせられるように形成されている。
この例では、切換レバー41は、フロントケース13とリアカバー15とが組み合わされた際に、通常撮影切換え位置(初期状態位置)に配置される状態にして、レバー把持部46によって把持される。このとき、抓み部45は、外側切欠き21aの一方の端部(図4及び図5で右端部)に寄せられた状態となっている。
【0038】
レバー操作部材43は、手指によってスライド変位される扁平な略直方体形状の抓み部45と、切替レバー41の先端部41aを遊嵌させる断面U字状の凹部46aを有するレバー把持部46と、レバー把持部46の一方の側部に形成され、フック部23によって係止されて保持されると共にスライド方向に沿ったレバー操作部材43の変位を案内する断面L字状の被保持部47と、レバー把持部46の他方の側部(被保持部47の反対側)から突設され、先端が突起部24に突き当てられ、根元部を支点として、弾性的に回動可能なロックアーム部48と、リアカバー15の側壁部19の外面側に配置される抓み部45と側壁部19の内面側に配置されるレバー把持部46等とを連結する連結部49とを備えている。
【0039】
抓み部45は、略扁平な直方体形状の基部45aと、基部45aの中央部に形成され手指が掛けられる突起部45bとを有している。
レバー把持部46の凹部46aには、切換レバー41の先端部41aがスライド方向に直交する方向への若干の変位が可能なように、すなわち、先端部41aの所定の円弧に沿った変位(運動)を許容するように、クリアランス(余裕部)が設けられている。
ロックアーム部48は、先端に半円柱形状の隆起部48aが設けられ、隆起部48aと突起部24とが係合することによって、所定の値以上の力を加えなければ変位しないように(すなわち、所望の切換え位置からずれないように)、例えば通常撮影位置と接写撮影位置とで位置決めされて仮固定状態とされる。さらに、所定の値以上の力が加えられて突起部24を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感(クリック感)が与えられ、切替完了を認識させる。
なお、ロックアーム部48は、レバー操作部材43が組み込まれた際に、隆起部48aが側壁部19の内壁面に押し付けられるように付勢される。
【0040】
この例では、通常撮影位置では、被保持部47はフック部23によって係止され、接写撮影位置では、係止が解除される。
また、通常撮影位置では、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行(図4で左端側への変位)が抑えられ、接写撮影位置では、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、通常撮影位置への移行(図5で右端側への変位)が抑えられる。
通常撮影位置と接写撮影位置との間の変位は、隆起部48aと突起部24との半円柱形状の周壁面同士が互いに接触しながら、隆起部48aが突起部24を乗り越えるように、ロックアーム部48が(根元部を支点としてその先端が回転するように)弾性変形して行われる。
【0041】
レバー操作部材43は、通常撮影位置(図4に示すように、抓み部45が右端側に寄せられた状態)で、リアカバー15に組み込まれる。このとき、切替レバー41の先端部41aはレバー把持部46によって把持され、被保持部47はフック部23によって係止され、かつ、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行が抑えられる。
被保持部47はフック部23によって係止されていることによって、レバー操作部材43を、リアカバー15に組み込んだ際に、リアカバー15の平板部22の外面側(凹部26が形成された側)を上向きにしても、レバー操作部材43が脱落することはない。
これに対して、レバー操作部材43が、接写撮影位置(図5に示すように、抓み部45が左端側に寄せられた状態)で、リアカバー15に組み込まれると、切替レバー41の先端部41aはレバー把持部46から外れて把持されず、被保持部47はフック部23によって係止されていない。このため、リアカバー15の平板部22の外面側を上向きにすると、レバー操作部材43は、リアカバー15から脱落してしまう。
【0042】
表示部9は、上側筐体19の折畳時に内側となる面に配設され例えば透過型の液晶表示装置を有してなっている。液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルに照明光を与えるバックライト装置と、液晶パネルを駆動する駆動回路とを有している。
液晶パネルは、例えばTFT(Thin Film Transistor)構造の透過型の液晶表示パネルであり、TFTと透明画素電極とが多数形成されているTFT基板と、TFT基板と数[μm]の間隙を介して対向して固定され、着色層(カラーフィルタ)が形成された対向基板と、上記間隙に封入された液晶層と、TFT基板、対向基板の外側に配設された一対の偏向板とを有している。
【0043】
次に、図1と、図4乃至図7とを参照して、この携帯電話機の組立方法について説明する。
まず、図1に示すように、フロントケース13を、その平板部17の内面側を上向きとして配置し、このフロントケース13に、操作部8を構成するキーシート等や表示部9を構成する液晶表示装置等と共に、切換レバー41が通常撮影位置(初期状態)に切り換えられた電子カメラユニット5が接続された主回路基板16等を組み付ける。
【0044】
次に、リアカバー15の凹部26にロゴプレート25を取り付け、平板部22の内面側を下向きとした状態で、フック部23を内部側に撓ませて、レバー操作部材43を下方から、図4に示すように、抓み部45が外側切欠き21a内で、図4中右端側に寄せられた状態で、リアカバー15に圧入して嵌め込み、フック部23を元の状態に戻して、被保持部47をフック部23によって係止させる。
この状態では、被保持部47はフック部23によって係止されていることによって、リアカバー15の平板部22の外面側(凹部26が形成された側)を上向きにしても、リアカバー15に組み込まれたレバー操作部材43が脱落することはない。
【0045】
なお、このとき、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行(図4で左端側への変位)が抑えられる。
これに対して、レバー操作部材43が、接写撮影位置(図5に示すように、抓み部45が左端側に寄せられた状態)で、リアカバー15に組み込まれると、切替レバー41の先端部41aはレバー把持部46から外れて把持されず、被保持部47はフック部23によって係止されていない。このため、リアカバー15の平板部22の外面側を上向きにすると、レバー操作部材43は、リアカバー15から脱落してしまう。
【0046】
次に、リアカバー15をフロントケース13と組み合わせる。すなわち、フロントケース13と、リアカバー15とを嵌合することによって、又は雌ねじや雄ねじ等の固定具による締付けによって、内部に電子カメラユニット5や制御部3及び記憶部4等を構成する電子部品が搭載された主回路基板16等が収納された状態で、組み立てられる。
ここで、図7に示すように、切替レバー41の先端部41aは、凹部46内に遊嵌されて、レバー把持部46によって把持され、レバー把持部46のスライド操作に連動して切替レバー41の操作が可能とされる。
また、図6に示すように、レバー操作部材43の抓み部45は、リアカバー15の側壁部19に設けられた切欠き部21と、フロントケース13の側壁部14の端面との間に形成された収納部内にスライド可能に配置される。
【0047】
なお、レバー操作部材43が、接写撮影位置で、リアカバー15に組み込んだまま、リアカバー15をフロントケース13と組み合わると、レバー把持部46は、凹部46が切替レバー41の先端部41aの配置位置から外れるように配置されるので、切替レバー41の先端部41aは、レバー把持部46によって把持されず、連動不能となる。
この例では、被保持部47はフック部23によって係止されないことにより、リアカバー15の平板部22の外面側を上向きにすると、レバー操作部材43は、リアカバー15から脱落してしまい、このような不具合が未然に防止される。
【0048】
こうして組み立てられた携帯電話機1において、抓み部45を通常撮影位置から接写撮影位置へ向けて(図4中矢印bに示す方向)スライド変位させると、レバー把持部46は切替レバー41を把持しながら接写撮影切換位置に変位させる。
また、隆起部48aと突起部24との半円柱形状の周壁面同士が互いに接触しながら、隆起部48aが突起部24を乗り越えるように、ロックアーム部48が(根元部を支点としてその先端が回転するように)弾性変形して行われる。
接写撮影位置では、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、通常撮影位置への移行(図5で右端側への変位)が抑えられる。
ここで、所定の値以上の力が加えられて突起部24を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感(クリック感)が与えられ、切替完了を認識させる。
【0049】
抓み部45を接写撮影位置から通常撮影位置へ向けて(図5中矢印aに示す方向に)スライド変位させると、レバー把持部46は切替レバー41を把持しながら通常撮影切換位置に変位させる。
また、隆起部48aと突起部24との半円柱形状の周壁面同士が互いに接触しながら、隆起部48aが突起部24を乗り越えるように、ロックアーム部48が(根元部を支点としてその先端が回転するように)弾性変形して行われる。
通常撮影位置では、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行(図4で左端側への変位)が抑えられ、接写撮影位置では、ロックアーム部48の隆起部48aと突起部24との係合によって、仮固定状態とされて、通常撮影位置への移行(図5で右端側への変位)が抑えられる。
【0050】
この例の構成によれば、従来技術のように、操作部材としてのレバー操作部材を保持するために、専用の取付部材を別に必要としないので、部品点数が増加させることがなく、コストを低減させることができ、かつ、取付部材のために余分な配置スペースも不用であるので、機器の小型化に寄与することができる。また、組立工数も低減することができる。
また、レバー操作部材43が、接写撮影位置で、リアカバー15に組み込まれたまま、リアカバー15をフロントケース13と組み合わると、レバー把持部46は、凹部46aが切替レバー41の先端部41aの配置位置から外れるように配置されるので、切替レバー41の先端部41aは、レバー把持部46によって把持されず、連動不能となるが、被保持部47はフック部23によって係止されないことにより、リアカバー15の平板部22の外面側を上向きにすると、レバー操作部材43は、リアカバー15から脱落してしまい、このような不具合を未然に防止することができる。したがって、迅速かつ確実に組み立てることができる。
【0051】
また、ロックアーム部48は、先端に半円柱形状の隆起部48aが設けられ、隆起部48aと突起部24とが係合することによって、所定の値以上の力を加えなければで変位しないように(すなわち、所望の切換え位置からずれないように)、例えば通常撮影位置と接写撮影位置とで位置決めされて仮固定状態とされるので、正確な撮影モードで撮影を行うことができる。
また、所定の値以上の力が加えられて突起部24を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感(クリック感)が与えられ、切替完了を確実に認識させることができる。
【実施例2】
【0052】
図8及び図9は、この発明の第2実施例である携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図である。
この例が上述した実施例1と大きく異なるところは、ロックアーム部を廃し、フック部に形成した突起部と、被係止部に形成した隆起部との係合によって、通常撮影位置と接写撮影位置とでの仮固定と、操作感(クリック感)の付与を行うように構成した点である。
これ以外の構成は、上述した実施例1の構成と略同一であるので、その説明を簡略にする。
【0053】
この例の携帯電話機では、図8及び図9に示すように、筐体を構成するリアカバー51の側壁部52の上端側の領域には、後に詳述するレバー操作部材43Aを嵌め込むための切欠き部53が形成され、リアカバー51の平板部54の内面側の上部(切欠き部53が形成された部位近傍)には、レバー操作部材43Aをスライド可能に保持するフック部23Aが形成されている。
【0054】
また、リアカバー51の平板部54の外面側には、所定のエンブレムを表示する平板状のロゴプレート25が配設される凹部56が形成されている。
リアカバー51の上端部に形成された切欠き部53は、側壁部52の外部側に形成され、抓み部59が所定の範囲(接写撮影切換位置と、通常撮影切換位置との間)でスライド変位可能なように配置される外側切欠き53aと、外側切欠き53aに連設され、連結部64が抓み部59と共にスライド方向に沿って移動可能なように配置される内側切欠き53bとを有している。
【0055】
フック部23Aは、リアカバー51の平板部54の内面側に突出状態で形成され、先端にレバー操作部材43Aの被保持部62の折曲された先端部を係止するための爪部57が形成され、根元部を支点として、弾性的に回動可能とされ、レバー操作部材43Aを組み込む際には、内部側(切欠き部53から離反する側)に撓ませられる。
このフック部23Aは、レバー操作部材43Aが、通常撮影切換位置(抓み部59が外側切欠き53aの一方の端部(図8に示す位置)に寄せられた状態)に配置された場合に、被保持部62に対して係止状態となり、レバー操作部材43Aが、接写撮影切換位置(抓み部59が外側切欠き53aの他方の端部(図9に示す位置)に寄せられた状態)に配置された場合に、被保持部62に対して係止解除状態となるように、そのスライド方向に沿った長さ(幅)や、配置位置が設定されている。
また、フック部23Aの爪部57の先端側(レバー操作部材43Aに対する係止部位の反対側)には、半円柱状の突起部55が切欠き部53側に突出するように形成されている。
【0056】
レバー操作部材43Aは、手指によってスライド変位される扁平な略直方体形状の抓み部59と、切替レバー41の先端部41aを遊嵌させる断面U字状の凹部61aを有するレバー把持部61と、レバー把持部61の一方の側部に形成され、フック部23Aによって係止されて保持されると共にスライド方向に沿ったレバー操作部材43Aの変位を案内する断面L字状の被保持部62と、リアカバー51の側壁部52の外面側に配置される抓み部59と側壁部52の内面側に配置されるレバー把持部61等とを連結する連結部64とを備えている。
【0057】
抓み部59は、略扁平な直方体形状の基部59aと、基部59aの中央部に形成され手指が掛けられる突起部59bとを有している。
被保持部62の基部59aに対して平行に形成された扁平な基部63の側端部には、リアカバーに51に組み込んだ際に、突起部55と係合し、その周壁面の形状が円筒の周壁面の一部からなる隆起部63aが形成されている。
突起部55と隆起部63aとが係合することによって、所定の値以上の力を加えなければで変位しないように、例えば通常撮影位置と接写撮影位置とで位置決めされて仮固定状態とされる。さらに、所定の値以上の力が加えられて突起部55を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感(クリック感)が与えられ、切替完了を認識させる。
【0058】
この例では、通常撮影位置では、被保持部62はフック部23Aによって係止され、接写撮影位置では、係止が解除される。
また、通常撮影位置では、隆起部63aと突起部55との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行(図8で左端側への変位)が抑えられ、接写撮影位置では、隆起部63aと突起部55との係合によって、仮固定状態とされて、通常撮影位置への移行(図9で右端側への変位)が抑えられる。
通常撮影位置と接写撮影位置との間の変位は、隆起部63aと突起部55との周壁面同士が互いに接触しながら、隆起部63aが突起部55を乗り越えるように、被保持部62及びフック部23Aが弾性変形して行われる。
【0059】
レバー操作部材43Aは、通常撮影位置(図8に示すように、抓み部59が右端側に寄せられた状態)で、リアカバー51に組み込まれる。このとき、切替レバー41の先端部41aはレバー把持部61によって把持され、被保持部62はフック部23Aによって係止され、かつ、隆起部63aと突起部55との係合によって、仮固定状態とされて、接写撮影位置への移行が抑えられる。
被保持部62はフック部23Aによって係止されていることによって、レバー操作部材43Aを、リアカバー51に組み込んだ際に、リアカバー51の平板部54の外面側を上向きにしても、レバー操作部材43Aが脱落することはない。
これに対して、レバー操作部材43Aが、接写撮影位置(図9に示すように、抓み部59が左端側に寄せられた状態)で、リアカバー51に組み込まれると、切替レバー41の先端部41aはレバー把持部61から外れて把持されず、被保持部62はフック部23Aによって係止されていない。このため、リアカバー51の平板部54の外面側を上向きにすると、レバー操作部材43Aは、リアカバー51から脱落してしまう。
【0060】
この例の構成によれば、上述した実施例1と略同様の効果を得ることができる。
加えて、ロックアーム部を省略することができるので、レバー操作部材を簡素化かつ小型化し、配置スペースをさらに縮小することができる。したがって、一段と機器の小型化に寄与することができる。
【0061】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、電子機器として、携帯電話機に適用した場合について述べたが、携帯電話機に限らず、例えば、簡易型携帯電話(PHS)端末でも、無線通信機能を有した携帯情報端末(PDA)でも良く、携帯電話機の場合と略同一の効果を得ることができる。
【0062】
また、必ずしも無線通信機能を有していなくても良く、デジタルカメラでも良いし、特に腕時計型のデジタルカメラでも良い。また、カメラが内蔵されたノート型パーソナルコンピュータ等であっても良い。また、携帯電話機の場合は、折畳式やスライド式の携帯電話機であっても良い。
また、この例の操作部材取付構造は、接写撮影/通常撮影を選択する撮影モード切替スイッチのみならず、撮影を可能とする撮影モードを選択する撮影モードキーや、着信通知のための発光表示又はエンブレムのイルミネーション表示を行う表示モードとストロボ発光が可能なストロボ発光モードとを切り換えるためのモード切換キーに適用しても良い。
【0063】
また、接点のオン/オフ(接続/切断)用のスイッチのみならず、複数の切替接点の選択をするスイッチに適用することもできる。
また、操作部材を、切換レバーに連動させる場合に限らず、接点を直接作動させるために用いても良い。
また,フック部は、スライド等の金型を用いて形成するようにしても良い。また、射出成形によって形成しても良いし、プレス加工によって形成しても良い。
また、フック部をリアカバーに形成する場合について述べたが、レバー操作部材にフック部を形成しても良い。
また、抓み部を、単に摺接させて変位させる場合に限らず、抓みを回転させて、歯車でスライドさせるように構成しても良い。
また、外側切欠き部を設けずに、抓み部全体を筐体から突出させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
筐体としては、合成樹脂製のもののほか、例えば、マグネシウム合金製のダイカスト成形品を用いたもの等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の第1実施例である携帯電話機の構成を分解して示す斜視図である。
【図2】同携帯電話機の構成を示す正面図である。
【図3】同携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図4】同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図である。
【図5】同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図である。
【図6】同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための断面図である。
【図7】同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための断面図である。
【図8】この発明の第2実施例である携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図である。
【図9】同携帯電話機の操作部材取付構造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯電話機(電子機器)
2 筐体
5 電子カメラユニット(機能ユニット)
8 操作部
13 フロントケース(第2の容器又は第1の容器)
14 側壁部
15,51 リアカバー(第1の容器又は第2の容器)
17 平板部
19,52 側壁部
21,53 切欠き部
22,54 平板部
23,23A フック部(保持部)
24 突起部
31 カメラレンズ
34 鏡筒
35 カメラ回路モジュール
41 切換レバー
42 撮影モード切換スイッチ
43,43A レバー操作部材(操作部材)
44 操作部材取付構造
45,59 抓み部
46,61 レバー把持部(作動部の一部)
47,62 被保持部(作動部の一部)
48 ロックアーム部(仮固定部)
48a 隆起部
55 突起部
63 基部
63a 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材が、前記電子機器の筐体に取り付けられている電子機器の操作部材取付構造であって、
前記筐体は、共に平板部の周縁に側壁部が立設された形状を有する第1の容器と第2の容器とが、前記側壁部の端面同士が接合するように組み合わされてなり、前記電子機器を構成する電子部品が前記筐体の内部に収納され、
前記操作部材は、外部に露出される抓み部と、該抓み部に連結され前記筐体内に配置される作動部とを有し、前記第1又は第2の容器の前記側壁部にスライド可能なように取り付けられ、
前記第1又は第2の容器の前記側壁部の所定の箇所には、前記操作部材が組み込まれ、前記抓み部が所定の範囲内でスライド方向に沿って変位するための切欠き部が形成され、該切欠き部の近傍の前記平板部の内面には、前記作動部をスライド可能なように保持する保持部が形成され、
前記操作部材が組み込まれた一方の前記第1又は第2の容器が、他方の前記第2又は第1の容器から分離された状態で、前記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、前記保持部は、前記操作部材の脱落の防止が可能なように前記作動部を保持する
ことを特徴とする電子機器の操作部材取付構造。
【請求項2】
前記作動部は、所定の機能を有する機能ユニットに前記機能の切換又は選択のために設けられた切換レバーに結合し、前記操作部材のスライド操作に連動して、前記切換レバーは、前記機能の切換操作又は選択操作を行うことを特徴とする請求項1記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項3】
前記操作部材が組み込まれた一方の前記第1又は第2の容器が、他方の前記第2又は第1の容器から分離された状態で、前記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、前記操作部材がスライド方向に沿った可動範囲のうち、所定の範囲に位置しているときに、前記保持部は、前記操作部材の脱落を防ぐように前記作動部を保持することを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項4】
前記操作部材が、前記所定の範囲外に位置しているときに、前記保持部は、前記作動部の保持を解除することを特徴とする請求項3記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項5】
前記操作部材のスライド方向に沿った変位に連動して、前記切換レバーが変位して、前記機能ユニットの前記機能のうち、第1の機能と第2の機能との間の切換又はオン/オフが行われ、
前記抓み部がスライド方向に沿って第1のスライド位置に変位した場合に、前記作動部が前記切換レバーを操作して、第1の操作位置に変位させて前記第1の機能を実現させるか又は前記第2の機能を停止させ、
前記抓み部が第2のスライド位置に変位した場合に、前記作動部が前記切換レバーを操作して、第2の操作位置に変位させ、前記第2の機能を実現させるか又は前記第1の機能を停止させる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項6】
前記操作部材が組み込まれた一方の前記第1又は第2の容器が、他方の前記第2又は第1の容器から分離された状態で、前記平板部の内面側を下方に向けて配置された場合に、前記操作部材がスライド方向に沿った可動範囲内で、前記第1のスライド位置及び前記第2のスライド位置のうち、一方のスライド位置に位置しているときに、前記保持部は、前記操作部材の脱落を防ぐように前記作動部を保持し、他方のスライド位置に位置しているときに、前記作動部の保持を解除し、
前記一方のスライド位置は、他方の前記第2又は第1の容器に組み込まれた前記機能ユニットに設けられた前記切換レバーが予め変位している前記第1の操作位置又は前記第2の操作位置に対応したスライド位置である
ことを特徴とする請求項5記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項7】
前記作動部は、前記切換レバーの先端部を把持して前記切換レバーに結合したレバー把持部と、前記保持部によってスライド可能に保持される被保持部とを有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項8】
前記作動部は、前記操作部材を、前記第1のスライド位置及び前記第2のスライド位置で、前記操作部材が組み込まれた前記第1又は第2の容器に対して仮固定するための仮固定部を有していることを特徴とする請求項7記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項9】
前記仮固定部には、比較的滑らかな周壁面を有する隆起部が形成され、前記操作部材が組み込まれた前記第1又は第2の容器の前記側壁部の内面又は前記平板部の内面の前記切欠き部近傍には、前記隆起部と係合し比較的滑らかな周壁面を有する突起部が形成され、
前記隆起部と前記突起部とが係合することによって、前記抓み部にスライド方向に沿って所定の値以上の力が加えられなければ前記操作部材が変位しないように、前記第1のスライド位置及び前記第2のスライド位置で位置決めされて仮固定状態とされ、前記抓み部に所定の値以上の力が加えられて、前記隆起部が前記突起部を乗り越えて変位した場合に操作者に操作感が与えられ、切替完了を認識させる
ことを特徴とする請求項8記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項10】
前記機能ユニットは、カメラレンズが内蔵された鏡筒及びカメラ回路モジュールを有する電子カメラユニットからなり、前記切換レバーは、前記鏡筒に取り付けられ、接写撮影と通常撮影との間の切換を行うために用いられることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項11】
前記第1のスライド位置及び前記第2のスライド位置は、それぞれ、通常撮影を行うための通常撮影切換位置及び接写撮影を行うための接写撮影切換位置に対応していることを特徴とする請求項10記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項12】
前記保持部は、前記抓み部が前記通常撮影切換位置に配置された場合に、前記被保持部に対して係止状態となり、前記抓み部が前記接写撮影切換位置に配置された場合に、前記被保持部に対して係止解除状態となるように、スライド方向に沿った長さ及び配置位置が設定されていることを特徴とする請求項11記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項13】
前記仮固定部は、前記レバー把持部の側部から突設され、先端に形成された前記隆起部が前記突起部に突き当てられ、根元部を支点として、弾性的に回動可能なロックアーム部からなり、前記第1のスライド位置と前記第2のスライド位置との間の変位は、前記隆起部と前記突起部との周壁面同士が互いに接触しながら、前記隆起部が前記突起部を乗り越えるように、前記ロックアーム部が弾性変形して行われることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項14】
前記切換レバーが、前記通常撮影位置に対応した前記第1の操作位置又は前記第2の操作位置に予め変位した状態で、他方の前記第2又は第1の容器に組み込まれた前記機能ユニットに設けられ、
前記レバー操作部材は、前記通常撮影位置で、一方の前記第1又は第2の容器に組み込まれると、
前記切替レバーの先端部は前記レバー把持部によって把持され、前記被保持部は保持部によって係止され、かつ、前記ロックアーム部の前記隆起部と前記突起部との係合によって、仮固定状態とされて、前記接写撮影位置への移行が抑えられ、前記被保持部は前記保持部によって係止されていることによって、前記レバー操作部材を、一方の前記第1又は第2の容器に組み込む際に、前記第1又は第2の容器の前記平板部の内面側を下向きにしても、前記レバー操作部材の脱落が防止され、
前記レバー操作部材が、前記接写撮影位置で、前記第1又は第2の容器に組み込まれると、前記切替レバーの先端部は前記レバー把持部から外れて把持されず、前記被保持部は前記保持部によって係止されず、前記第1又は第2の容器の前記平板部の内面側を下向きにすると、前記レバー操作部材は、前記第1又は第2の容器から脱落する
ことを特徴とする請求項13記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項15】
前記隆起部は前記被保持部に形成され、前記突起部は前記保持部に形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1に記載の電子機器の操作部材取付構造を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項17】
筐体を構成し、共に平板部の周縁に側壁部が立設された形状を有する第1の容器と第2の容器とを、構成部品としての電子部品を前記筐体の内部に収納した状態で、かつ、所定の機能の切換又は選択のために用いられる操作部材が、前記筐体に取り付けられた状態で、前記側壁部の端面同士が接合するように組み合わせて、請求項16記載の電子機器を組み立てる方法であって、
外部に露出される抓み部と、該抓み部に連結され前記筐体内に配置される作動部とを有する前記操作部材を、前記側壁部に前記抓み部が所定の範囲内でスライド方向に沿って変位するための切欠き部が形成され、該切欠き部の近傍の前記平板部の内面には、前記作動部を、スライド可能なように、かつ、前記平板部の内面側を下方に向けた状態で、前記操作部材の落下の防止が可能なように保持する保持部が形成された一方の前記第1又は第2の容器の前記側壁部に取り付けた後、
前記操作部材が取り付けられた一方の前記第1又は第2の容器を、前記平板部の内面側を下方に向けた状態で、前記平板部の内面を上方に向けた状態で配置した他方の前記第2又は第1の容器に前記側壁部の端面同士が接合するように組み合わせる
ことを特徴とする電子機器の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−129089(P2006−129089A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314844(P2004−314844)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】