説明

電子機器の構成部品、構成部品の取付構造、電子機器、及び構成部品の取付方法

【課題】 電子機器の筐体に一定の角度を持たせて構成部品を取り付ける場合に、構成部品の取り付けを円滑に行うことができ、電子機器の筐体に安定した状態で固定することができるようにする。
【解決手段】 固定式アンテナ11は、ネジ穴8の周辺部分に取付部19の主軸方向に対して斜めになるように屈曲された形状をもつ傾斜形状部12を有する。固定式アンテナ11は、リアケース13のアンテナ挿入穴7に挿入され、ネジボス9近傍にネジ穴8が位置決めされた状態で固定される。すると、ネジ穴面とネジボス面とがほぼ平行な状態で接触し、ネジ穴面とネジボス面との間に隙間が生じなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の筐体に斜めに取り付けられる構成部品、構成部品の取付構造、構成部品の取付構造を備えた電子機器、及び構成部品の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器には、その電子機器が有する機能に応じて、様々な構成部品が取り付けられている。例えば、携帯電話機などの無線通信機能を有する電子機器には、無線信号の送受信を行うためのアンテナが備えられている。図11は、電子機器の筐体に固定式アンテナ1を取り付けるアンテナ取付構造を説明するための説明図である。
【0003】
図11に示すように、携帯電話機などの電子機器では、リアケース2のアンテナ挿入穴3に固定式アンテナ1が挿入され、ネジ4を用いてネジ締めされることによって、固定式アンテナ1とリアケース2とが固定されている。この場合、リアケース2のネジボス9近傍に固定式アンテナ1のネジ穴8が位置決めされた状態で、ネジ4を用いてネジ締めされることによって、固定式アンテナ1とリアケース2とが固定される。
【0004】
一般に、携帯電話機など電子機器のリアケース2には、アンテナや回路基板、フロントケースなどを取り付けるために複数のネジボスが備えられる。一般に、リアケース2に含まれる各ネジボスは、取付作業の際の作業効率を考慮して、ネジ締めする向き(図11に示すA方向)が同じ向きになるように形成されている。すなわち、電子機器の組み立ての際に行われるネジ締めの方向をすべてのネジについて同一にすることで、作業者がネジ締め方向を確認する手間を省き、かつ、誤った方向にネジが挿入されることによるネジボス部分などの破損が発生することをを防止するようにしている。
【0005】
以下、図11に示す断面内において、リアケース2の各ネジボスの向きに対して垂直となる方向(図11に示すB方向)を、リアケースの軸方向という。
【0006】
図11に示す例では、固定式アンテナ1がアンテナ挿入穴3に挿入される際に、固定式アンテナ1がリアケース2に対してストレート方向(リアケース2の軸方向)に挿入され固定される。そのようなアンテナ取付構造によって、固定式アンテナ1が電子機器の筐体に取り付けられる。
【0007】
また、携帯電話機などの電子機器では、人体の側頭部などで電波が吸収されることによりアンテナの利得が低下することを防止するために、アンテナを人体から遠ざけるように取り付けることが好ましい。
【0008】
例えば、特許文献1には、通話時にアンテナを携帯電話機の筐体内から引き出して使用する可動式のアンテナを備えた携帯電話機が記載されている。特許文献1に記載された携帯電話機は、可動式のアンテナを、携帯電話機の筐体面に対して斜めになるように収納している。そして、通話時に可動式アンテナを筐体から斜め方向に引き出すことによって、可動式アンテナが人体から遠ざかるようにすることができる。
【0009】
【特許文献1】特開平6−188959号公報(段落0012−0014、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された携帯電話機では、可動式アンテナを筐体に対して斜めに取り付けることによって、通話時にアンテナを人体から遠ざけることができる。また、携帯電話機などの電子機器において、可動式アンテナではなく固定式のアンテナを用いる場合にも、アンテナを人体から遠ざけるために、固定式アンテナを斜めに取り付けることが考えられる。この場合、電子機器に斜めにアンテナを取り付けられるようにするために、電子機器のリアケースのアンテナ挿入穴への挿入方向が、リアケースの軸方向に対して一定の角度をもつようにしなければならない。しかし、リアケースのアンテナ挿入穴に一定の角度を付けた構造とした場合、固定式アンテナのネジ穴面とリアケースのネジボス面との間に隙間が生じ、安定した状態で固定することができないなどの不具合が発生してしまうことが想定される。
【0011】
図12及び図13は、アンテナ挿入穴7に一定の角度6が付けられているリアケース5によって筐体が構成されている電子機器において、その筐体に固定式アンテナ1を取り付けるアンテナ取付構造を説明するための説明図である。図12は、リアケース5のアンテナ挿入穴7に、固定式アンテナ1を挿入する直前の状態を示した説明図である。また、図13は、リアケース5のアンテナ挿入穴7に、固定式アンテナ1を挿入した後の状態を示した説明図である。
【0012】
図12に示す例では、リアケース5のアンテナ挿入穴7の挿入方向がリアケース5の軸方向(図12に示すB方向)に対して角度6をもつように、アンテナ挿入穴7に一定の角度がつけられている。リアケース5のアンテナ挿入穴7に一定の角度6が付けられていると、図12に示すように、固定式アンテナ1の挿入方向が、アンテナ挿入穴7の角度6に従って斜め方向となる。
【0013】
図12に示すように斜め方向に挿入した状態で固定式アンテナ1とリアケース5とのネジ締めを行なおうとすると、図13に示すように、固定式アンテナ1のネジ穴8を含むネジ穴面(接触面)と、リアケース5のネジボス9を含むネジボス面(被接触面)との間に隙間10が生じる場合がある。そのような隙間10が生じると、固定式アンテナ1を取り付けるためのネジ締め作業を円滑に行うことができなくなり、リアケース5に固定式アンテナ1を固定する際の作業効率が低下する。
【0014】
また、固定式アンテナ1のネジ穴面とリアケース5のネジボス面との間に隙間10があると、ネジ4が外れやすくなり、固定式アンテナ1をリアケース5に安定した状態で固定することができない。また、固定式アンテナ1がリアケース5に安定した状態で固定されていないと、固定式アンテナ1と電子機器内部の回路基板との接触圧が不安定となる。
【0015】
図14は、固定式アンテナ1と回路基板17との接触状態を説明するための説明図である。図14に示すように、固定式アンテナ1は、回路基板17に設けられた信号伝達部品18を介して回路基板17と接触する。ネジ穴面とネジボス面との間に隙間10があり、固定式アンテナ1がリアケース5に完全に固定されていないと、固定式アンテナ1と回路基板17の信号伝達部品18との接触圧が不安定となる。
【0016】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、電子機器の筐体に一定の角度を持たせて構成部品を取り付ける場合に、構成部品の取り付けを円滑に行うことができ、電子機器の筐体に安定した状態で固定することができる構成部品、該構成部品の取付構造、該構成部品の取付構造を備えた電子機器、及び構成部品の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による電子機器の構成部品は、電子機器(例えば、携帯電話機100)の筐体(例えば、リアケース13)に取り付けられる構成部品(例えば、固定式アンテナ11)であって、筐体内部に形成されている被取付部(例えば、ネジボス9によって実現される)に取り付けられる柄状の取付部を有し、取付部は、被取付部における被接触面(例えば、ネジボス面)近傍に取付部における接触面(例えば、ネジ穴面)が位置決めされた状態で、被取付部の形状に対応して形成されている取付部品(例えば、ネジ4)によって取り付けられ、取付部は、位置決めされたときに、被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部(例えば、取付部19の主軸部19aによって実現される)と、被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部(例えば、傾斜形状部12によって実現される)とを含み、接触面が第2軸部に形成されることを特徴とする。
【0018】
上記のように構成したことにより、電子機器の筐体に一定の角度を持たせた状態で円滑に取り付けることができ、電子機器の筐体に安定した状態で固定することができる。
【0019】
また、電子機器の構成部品は、電子機器の筐体に取り付けられる構成部品であって、柄状の取付部を有し、取付部は、構成部品の主要部(例えば、固定式アンテナ11の放射部33)につながる第1軸部と、第1軸部につながる第2軸部とを含み、第2軸部の長手方向が第1軸部の長手方向に対して平行でない向きとなることを特徴とする。
【0020】
また、電子機器の構成部品は、取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部(例えば、傾斜形状部12の先端部分に角R15をつけることによって実現される)が形成され、筐体に取り付けられる際に、筐体内部に形成されている誘導部(例えば、傾斜部31によって実現される)に被誘導部が摺接することによって取付部が誘導され、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の取付部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができ、構成部品が引っかかりにくくすることができるため、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0021】
また、電子機器の構成部品は、電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板(例えば、回路基板17)に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部(例えば、取付部19の信号伝達部19bによって実現される)を含むものであってもよい。
【0022】
また、電子機器の構成部品において、取付部は、金属材料によって一体形成されるものであってもよい。
【0023】
本発明による構成部品の取付構造は、柄状の取付部を有する構成部品を電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付ける構成部品の取付構造であって、被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされた状態で、被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって、取付部が被取付部に取り付けられ、取付部は、位置決めされたときに、被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含み、接触面が第2軸部に形成されることを特徴とする。
【0024】
また、構成部品の取付構造は、筐体内部に誘導部が形成され、取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部が形成され、筐体に取り付けられる際に、誘導部に被誘導部が摺接することによって取付部が誘導され、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の取付部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができ、構成部品が引っかかりにくくすることができるため、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0025】
また、構成部品の取付構造は、筐体内部に、丸み形状をなす誘導部が形成され、取付部における第2軸部の端部に被誘導部が形成され、筐体に取り付けられる際に、誘導部に被誘導部が摺接することによって取付部が誘導され、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の第2軸部の端部が誘導部の丸み形状に接触するようにすることができ、構成部品の被誘導部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0026】
また、構成部品の取付構造は、筐体内部に形成される誘導部(傾斜部31の端部、あるいはネジボス面の傾斜部31と接する部分)は、半径0.5ミリメートル乃至1.0ミリメートルの範囲内の丸み形状をなすものであってもよい。
【0027】
また、構成部品の取付構造において、取付部は、取付部品に加えて、取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品(例えば、アンテナ固定プレート14)によって、被取付部に取り付けられ、固定部品は、挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有するものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品の取付作業を行う作業者が固定部品を持ちやすく、固定部品の取り外しがしやすくなる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性をより向上させることができる。
【0028】
また、構成部品の取付構造は、被取付部が形成されている筐体面(例えば、リアケース13の面のうちのネジボス9が形成されている面)が被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなるように、筐体が形成されているものであってもよい。
【0029】
また、構成部品の取付構造において、構成部品は、電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部を含むものであってもよい。
【0030】
また、構成部品の取付構造において、電子機器は、例えば、携帯電話機として構成される。
【0031】
また、本発明による構成部品の取付構造を備えた電子機器は、筐体に取り付けられる構成部品を含む電子機器であって、構成部品は、電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付けられる柄状の取付部を有し、取付部は、被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされた状態で、被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって取り付けられ、取付部は、位置決めされたときに、被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含み、接触面が第2軸部に形成されることを特徴とする。
【0032】
また、電子機器は、筐体内部に誘導部が形成され、取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部が形成され、筐体に取り付けられる際に、誘導部に被誘導部が摺接することによって取付部が誘導され、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の取付部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができ、構成部品が引っかかりにくくすることができるため、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0033】
また、電子機器は、筐体内部に、丸み形状をなす誘導部が形成され、取付部における第2軸部の端部に被誘導部が形成され、筐体に取り付けられる際に、誘導部に被誘導部が摺接することによって取付部が誘導され、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面が位置決めされるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の第2軸部の端部が誘導部の丸み形状に接触するようにすることができ、構成部品の被誘導部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0034】
また、電子機器は、筐体内部に形成される誘導部は、半径0.5ミリメートル乃至1.0ミリメートルの範囲内の丸み形状をなすものであることが望ましい。
【0035】
また、電子機器において、取付部は、取付部品に加えて、取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品によって、被取付部に取り付けられ、固定部品は、挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有するものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品の取付作業を行う作業者が固定部品を持ちやすく、固定部品の取り外しがしやすくなる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性をより向上させることができる。
【0036】
また、電子機器は、被取付部が形成されている筐体面が被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなるように、筐体が形成されているものであってもよい。
【0037】
また、電子機器において、構成部品は、電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部を含むものであってもよい。
【0038】
また、電子機器は、例えば、筐体に取り付けられる構成部品を含む携帯電話機として構成される。
【0039】
本発明による構成部品の取付方法は、柄状の取付部を有する構成部品を電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付ける構成部品の取付方法であって、被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含む、取付部における接触面が第2軸部に形成されるように、被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面を位置決めし、位置決めした状態で、被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって、取付部を被取付部に取り付けることを特徴とする。なお、本発明による構成部品の取付方法では、例えば、電子機器を組み立てる組み立て装置が、構成部品を電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付ける。
【0040】
また、構成部品の取付方法は、筐体内部に誘導部を形成し、取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部を形成し、筐体に取り付ける際に、誘導部に被誘導部を摺接することによって取付部を誘導し、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面を位置決めするものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の取付部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができ、構成部品が引っかかりにくくすることができるため、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0041】
また、構成部品の取付方法は、筐体内部に、丸み形状をなす誘導部を形成し、取付部における第2軸部の端部に被誘導部を形成し、筐体に取り付ける際に、誘導部に被誘導部を摺接することによって取付部を誘導し、筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に取付部における接触面を位置決めするものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品を筐体内に挿入して固定位置に位置決めする際に、構成部品の第2軸部の端部が誘導部の丸み形状に接触するようにすることができ、構成部品の被誘導部を筐体の誘導部に滑らかに接触させることができる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0042】
また、構成部品の取付方法は、取付部品に加えて、取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有する、挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品によって、取付部を被取付部に取り付けるものであってもよい。そのような構成によれば、構成部品の取付作業を行う作業者が固定部品を持ちやすく、固定部品の取り外しがしやすくなる。従って、構成部品を取り付ける際の作業性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、構成部品の取付部に第1軸部に対して平行でない向きとなる第2軸部を含み、取付部の接触面が第2軸部に形成されている。また、第2軸部は、被取付部の被接触面近傍に取付部の接触面が位置決めされたときに、被接触面と接触面とが略平行となるように形成される。従って、電子機器の筐体に一定の角度を持たせた状態で構成部品が取り付けられる場合に、構成部品側の接触面と筐体側の被接触面との間に傾きが生じることを防止することができ、安定した状態で固定することができないなどの不具合が発生することを防止することができる。このため、構成部品の取り付けを円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、電子機器に構成部品を取り付ける場合の例として、無線通信機能を有する電子機器である携帯電話機(本例では、折畳式携帯電話機)に、固定式アンテナを取り付ける場合を説明する。
【0045】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるアンテナ取付構造を説明するための説明図である。図1には、携帯電話機の筐体に固定式アンテナ11を取り付けるためのアンテナ取付構造が示されている。
【0046】
なお、本実施の形態では、折畳式携帯電話機の上側筐体のうち、受話部や表示部のある面を含む部分をフロントケースといい、受話部や表示部のある面とは反対側の面を含む部分をリアケース13という。本実施の形態では、固定式アンテナ11を携帯電話機のリアケース13に取り付ける場合を説明する。
【0047】
まず、図1を参照して、本実施の形態におけるアンテナ取付構造の概要について説明する。図1に示すように、携帯電話機のリアケース13には、固定式アンテナ11を挿入するためのアンテナ挿入穴7と、固定式アンテナ11をネジ止めするためのネジボス9とが設けられている。
【0048】
なお、本実施の形態では、リアケース13には、ネジボス9の他に、固定式アンテナ11や回路基板、フロントケースなどを取り付けるための複数のネジボス(図示せず)が設けられている。リアケース13に設けられている各ネジボスは、取付作業の際の作業効率を考慮して、ネジ締めする向きが同じ向きになるように形成されている。本実施の形態では、図1に示すA−A断面で切断した面内において、リアケース13の各ネジボスの向き(ネジ締めする向き)に対して垂直となる方向を、リアケース13の軸方向という。
【0049】
本実施の形態では、リアケース13のアンテナ挿入穴7の挿入方向がリアケース13の軸方向に対して斜めになるように、アンテナ挿入穴7に一定の角度がつけられている。また、本実施の形態では、ネジボス9において、固定式アンテナ11を取り付ける際に固定式アンテナ11と面する部分をネジボス面という。
【0050】
また、本実施の形態では、図12及び図13で示したリアケース5と同様に、アンテナ挿入穴7につけられた角度に応じて、軸方向に対して斜めになるようにリアケース13が形成されている。すなわち、リアケース13の面のうちのネジボス9が形成されている面が、ネジボス9のネジボス面に対して平行でない向きとなるように、リアケース13が形成されている。また、本実施の形態では、図12及び図13で示したリアケース5と同様に、リアケース13は、軸方向に対して斜めになるとともに湾曲された形状に形成されていてもよい。
【0051】
ここで、リアケース13への固定式アンテナ11の取付方法の概要について説明する。固定式アンテナ11の取付作業は、例えば作業員によって行われる。
【0052】
まず、図1に示すように、固定式アンテナ11がリアケース13のアンテナ挿入穴7に挿入される。アンテナ挿入穴7に挿入されると、固定式アンテナ11における柄状の取付部(図4参照)が、リアケース13のネジボス面に接した位置決めされた状態となる。固定式アンテナ11が位置決めされると、アンテナ固定プレート14をリアケース13に取り付けて固定式アンテナ11を固定する。アンテナ固定プレート14とは、固定式アンテナ11の挿入方向に対するガタツキ(位置ずれ)を防止するため、固定式アンテナ11をリアケース13に固定するための部品である。
【0053】
次に、固定式アンテナ11とリアケース13とが、ネジ4を用いてネジ締めされる。この場合、リアケース13のネジボス9近傍に固定式アンテナ11のネジ穴8が位置決めされた状態で、ネジ4を用いてネジ締めされることによって、固定式アンテナ11とリアケース13とが固定される。本実施の形態では、固定式アンテナ11は、アンテナ固定プレート14が取り付けられることによってリアケース13に仮止めされ、ネジ4を用いてネジ締めされることによって、リアケース13に完全に固定される。
【0054】
図2は、閉じた状態の折畳式携帯電話機100の外観構成の例を示す外観図である。図2に示すように、携帯電話機100を形成する筐体110は、ヒンジ部(図示せず)で相互に結合された上側筐体(リアケース13を含む)111と下側筐体112とで構成される。ヒンジ部は、上側筐体111と下側筐体112とを回転自在に結合して携帯電話機100に折畳可能な構成を付与している。
【0055】
図3は、携帯電話機100の構成の例を示すブロック図である。図3に示すように、携帯電話機100は、電波の送受信を行う固定式アンテナ11と、制御部121と、記憶部122と、無線通信部123と、操作部124と、表示部125と、カメラユニット(以下、「カメラ」という。)126と、リンガー発生器127と、リンガー駆動部128と、音声出力用のスピーカ129と、音声入力用のマイクロフォン130とを備えている。
【0056】
制御部121は、例えばCPU(中央処理装置)と、図示しない各種の周辺回路とで構成され、携帯電話機100が備える各部の制御を行う機能を有する。
【0057】
記憶部122は、例えばRAMなどの記憶媒体によって構成され、制御部121が実行する制御プログラムなどの各種のデータが格納される。なお、記憶部122の一部がROMによって構成されていてもよく、ROM部分に制御プログラムが格納されていてもよい。
【0058】
無線通信部123は、所定の通信プロトコルに従って信号の変復調を行う機能を有する。具体的には、無線通信部123は、無線信号を、固定式アンテナ11を介して受信して復調する処理を行う。また、無線通信部123は、制御部121から出力された信号を変調し、固定式アンテナ11を介して無線信号を送信する処理を行う。
【0059】
操作部124は、例えば、電話番号の入力などを行うためのボタンや、カメラ126での撮像を指示するためのシャッタなどの入力装置によって構成される。操作部124は、ユーザの操作に応じた入力信号を制御部11に出力する機能を有する。
【0060】
表示部125は、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)によって構成され、携帯電話機100の折畳時に筐体110の内側となる位置に配設される。表示部125には、例えば待ち受け画面や機能設定画面などが表示される。
【0061】
カメラ126は、例えばディジタルカメラが備える各種の機能を有し、被写体を撮像するCCDなどの撮像素子や、撮像によって得た画像データを制御部121に出力する回路などを備えている。
【0062】
リンガー駆動部128は、制御部121の制御に従ってリンガー発生器127に駆動信号を出力する機能を有する。
【0063】
リンガー発生器127は、リンガー駆動部128からの駆動信号に従って、着信音を出力する機能を有する。
【0064】
図4は、固定式アンテナの形状の一例を示す説明図である。本実施の形態では、固定式アンテナ11において、固定式アンテナ11をリアケース13に取り付けた場合にリアケース13のネジボス9に面する側を背面といい、ネジボス9に面しない側を表面という。図4(a)は、固定式アンテナを表面方向から見た平面図である。また、図4(b)は、固定式アンテナを側面方向から見た側面図である。また、図4(c)は、固定式アンテナを背面方向から見た背面図である。
【0065】
図4(a)〜図4(c)に示すように、固定式アンテナ11は、電波の送受信を行う放射部33と、リアケース13に取り付けられる柄状の取付部19とを含む。取付部19は、固定式アンテナ11とリアケース13とをネジ締めする際にネジ4を挿入するネジ穴8を含む。また、取付部19は、アンテナ固定プレート14を取り付けるための溝部30を含む。なお、本実施の形態では、ネジ穴8を含む面のうち、ネジ締めする際にリアケース13のネジボス面と面する側をネジ穴面という。
【0066】
図4(d)は、固定式アンテナの取付部を拡大して示した説明図である。図4(d)は、図4(b)に示す側面図のX部分を拡大したものに相当する。また、図4(e)は、図4(a)から図4(d)に示す固定式アンテナの斜視図である。
【0067】
図4(d)及び図4(e)に示すように、固定式アンテナ11は、長手方向が取付部19の主軸方向(図4(d)に示すY方向)に対して斜めになるような形状をもつ傾斜形状部12を有する。なお、「長手方向」とは、柄状や棒状の部材の長い方の方向をいう。また、図4(d)及び図4(e)に示すように、傾斜形状部12は、ネジ穴面を含む。また、図4(d)及び図4(e)に示すように、傾斜形状部12には、ネジ穴8が形成されている。
【0068】
なお、本実施の形態では、取付部19のうち、固定式アンテナ11の主要部である放射部33につながる部分19aを主軸部という。すなわち、本実施の形態では、取付部19は、固定式アンテナ11の主要部である放射部33につながる主軸部19aと、主軸部19aにつながる傾斜形状部12とを含む。そして、傾斜形状部12の長手方向が主軸部19aの長手方向に平行でない向きとなるように、取付部19が形成されている。また、取付部19の先端部分19bは、図14で示したように、回路基板17に設けられた信号伝達部品18に接触する。そして、取付部19は、回路基板17からの信号を放射部33に伝達する給電部として機能する。本実施の形態では、回路基板17の信号伝達部品18に接触する取付部19の先端部分19bを信号伝達部ともいう。
【0069】
本実施の形態では、固定式アンテナ11の取付部19は、金型成形によって一体形成される。例えば、取付部19は、マグネシウム合金や亜鉛合金など金属材料を用いて、金型成形によって製作される。この場合、ネジ穴8の周辺部分が取付部19の主軸方向に対して斜めになるように金型成形されることによって、傾斜形状部12が一体成形される。
【0070】
図5は、アンテナ固定プレート14を示す斜視図である。アンテナ固定プレート14は、比較的小さい荷重で弾性変形可能な合成樹脂を用いて作製された部品である。図5に示すように、アンテナ固定プレート14は、固定式アンテナ11をリアケース13に固定する際に、固定式アンテナ11の溝部30に嵌め込むための嵌入部14aを含む。
【0071】
出願人は、特願2004−150800において部品留め具を用いることによって、構成部品を取り付ける際の作業性を向上させることを提案している。本実施の形態では、後述するように、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入した後に、部品留め具であるアンテナ固定プレート14の嵌入部14aを、固定式アンテナ11の溝部30に嵌め込むことによって、固定式アンテナ11を固定する。
【0072】
また、アンテナ固定プレート14は、固定式アンテナ11の取付作業を行う作業員が手でつまむための柄部14bを含む。本実施の形態では、図5に示すように、アンテナ固定プレート14は、固定式アンテナ11の挿入方向に対して斜めになるように柄部14bが形成されている。
【0073】
柄部14bが斜めに形成されていることによって、斜めに取り付けられる固定式アンテナ11の取付作業や取外し作業を行う作業者がアンテナ固定プレート14を持ちやすくなる。また、柄部14bが斜めに形成されていることで、修理・解体時にアンテナ固定プレート14の取り外しがしやすくなる。
例えば、柄部14bが斜めに形成されているため、作業者が柄部14bに指や爪を引っ掛けることができ、小さい部品であるアンテナ固定プレート14を容易に取り外すことができる。従って、固定式アンテナ11を取り外しする際の作業性をより向上させることができる。
【0074】
次に、固定式アンテナ11をリアケース13に取り付ける取付方法を説明する。図6は、固定式アンテナをリアケースのアンテナ挿入穴に挿入する場合の挿入経過の一例を示す説明図である。図6(a)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入する直前の状態を示す図である。また、図6(b)及び図6(c)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入している途中の状態を示す図である。また、図6(d)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入し終えた状態を示す図である。なお、図6は、図1における固定式アンテナ11及びリアケース13のA−A断面(アンテナ挿入穴7の中心を通る面)を示す断面図に相当する。
【0075】
図6に示すように、リアケース13には、固定式アンテナ11を挿入する際に固定式アンテナ11の挿入方向をガイド(誘導)するための傾斜部31が設けられている。また、図6(a)に示すように、固定式アンテナ11の挿入方向がリアケース13の軸方向(図6(a)に示すB方向)に対して斜めになるように、リアケース13のアンテナ挿入穴7に一定の角度6がつけられている。
【0076】
なお、軽量化等を図るため、傾斜部31にはスリットが設けられている。そのため、リアケース13をA−A断面で切断すると、スリット部分に該当しA−A断面内においては見かけ上傾斜部31が含まれない状態となる。そのため、図6では、傾斜部31を破線で表現している。また、A−A断面内ではネジ穴8の空洞部分に該当するので、図6では、傾斜形状部12のネジ穴8部分を破線で表現している。
【0077】
まず、図6(a)に示すように、固定式アンテナ11のアンテナ挿入穴7への挿入を開始する。すると、図6(b)に示すように、固定式アンテナ11の取付部19がリアケース13の傾斜部31にあたる。そして、取付部19は、図6(c)に示すように、傾斜部31によって固定式アンテナ11の表面方向(図6(c)に示すZ方向)にガイドされる。この場合、図6(b)及び図6(c)に示すように、取付部19に設けられた傾斜形状部12の先端部分12bが傾斜部31に摺接することによって、取付部19の挿入方向が誘導される。なお、「摺接」とは、傾斜形状部12の先端部分12bが傾斜部31に滑る状態で接していることをいう。
【0078】
挿入が完了すると、図6(d)に示すように、固定式アンテナ11のネジ穴8とリアケース13のネジボス9との位置が合い、固定式アンテナ11のネジ穴面とリアケース13のネジボス面とが位置決めされた状態となる。
【0079】
固定式アンテナ11の挿入が完了しネジ穴面とネジボス面とが位置決めされた状態となると、アンテナ固定プレート14が固定式アンテナ11の溝部30に取り付けられる。この場合、アンテナ固定プレート14の嵌入部14aを固定式アンテナ11の溝部30に嵌め込むことによって、アンテナ固定プレート14が取り付けられる。そして、ネジ4を固定式アンテナ11のネジ穴8に挿入してネジ締めすることによって、固定式アンテナ11がリアケース13に固定される。
【0080】
図7は、固定式アンテナ11の取り付けを完了した状態のリアケース13の断面A−Aを示す断面図である。図7に示すように、本実施の形態では、ネジ穴面とネジボス面とが位置決めされ固定された状態で、固定式アンテナ11の取付部19の主軸方向がネジボス面に対して平行でない向きとなる。しかし、固定式アンテナ11の取付部19がネジ穴8の周辺部分に傾斜形状部12を含むことによって、固定式アンテナ11のネジ穴面とリアケース13のネジボス面とは、ほぼ平行な状態で接触する。
【0081】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、固定式アンテナ11は、取付部19のネジ穴8の周辺部分に、取付部19の主軸部に対して平行でない向きとなる傾斜形状部12を含む。傾斜形状部12を有することによって、固定式アンテナ11をリアケース13に取り付けた場合にネジ穴面とネジボス面とがほぼ平行となり、ネジ穴面とネジボス面との間に隙間が生じなくなる。ネジ穴面とネジボス面とが平行になる構造としたので、ネジ穴面とネジボス面とに傾きが生じることを防止することができ、安定した状態で固定することができる。このため、構成部品の取り付けを円滑に行うことができる。
【0082】
すなわち、本実施の形態によれば、角度6のついたリアケース13のアンテナ挿入穴7に固定式アンテナ11を挿入した場合に、リアケース13のネジボス面と固定式アンテナ11のネジ穴面とが平行となり、ネジ締め時にネジ穴面とネジボス面との間で傾き不具合が発生するのを解消できる。従って、リアケース13のアンテナ挿入穴7に一定の角度6が付けられている場合に、固定式アンテナ11のネジ穴面とリアケース13のネジボス面との間に傾きが生じることを防止することができ、固定式アンテナ11を取り付けるためのネジ締めを円滑に行えるようにすることができるとともに、固定式アンテナ11を安定した状態でリアケース13に固定することができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、アンテナ挿入穴7につけられた角度6に応じてリアケース13が斜めになるように形成されていたり湾曲された形状に形成されていても、ネジ4を軸方向に対して垂直にになるようにネジボス9に挿入することができる。従って、リアケース13の外形にかかわらず、ネジ4をネジボス面に対して垂直に挿入することができ、固定式アンテナ11の取り付けを円滑に行うことができる。また、安定した状態で固定することができるので、回路基板17に設けられた信号伝達部品18と固定式アンテナ11の信号伝達部19bとの接触圧を安定化させることができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、固定式アンテナ11が傾斜形状部12を含む場合を説明したが、リアケース13のネジボス9側に傾斜形状を設けてもよい。ネジボス9部分が、例えばインサートナットのように金属を含む形状の加工が困難な構造とされている場合でなく、例えばタッピングネジを用いたネジ締め構造のような加工が可能な構造とされている場合には、ネジボス9のネジボス面を斜めに形成するようにしてもよい。
【0085】
図8は、ネジボス9に傾斜形状を設けた場合に、固定式アンテナ11をリアケース13に取り付けた状態を示す断面図である。図8に示すように、リアケース13は、ネジボス9にネジボス面が斜めになるように形成された傾斜形状部9aを含む。図8に示すように、ネジボス9が傾斜形状部9aを含むことによって、固定式アンテナ11のネジ穴面とリアケース13のネジボス面とが平行な状態で接触し、ネジ穴面とネジボス面との隙間がなくなる。従って、ネジ穴面とネジボス面とに傾きが生じることを防止することができ、固定式アンテナ11を取り付けるためのネジ締めを円滑に行うことができるようになる。
【0086】
ただし、ネジボス9に傾斜形状部9aを設けた場合、固定式アンテナ11をリアケース13にネジ締めすると、ネジ4とリアケース13の取付部19との間に隙間32が生じる。そのため、固定式アンテナ11に傾斜形状部12を設ける場合とリアケース13に傾斜形状部9aを設ける場合とを比較すると、固定式アンテナ11に傾斜形状部12を設ける場合の方が、固定式アンテナ11を取り付けるためのネジ締めをより円滑に行うことができる。また、固定式アンテナ11に傾斜形状部12を設ける場合の方が、回路基板17に設けられた信号伝達部品18と固定式アンテナ11の信号伝達部19bとの接触圧をより安定させることができる。
【0087】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図9は、固定式アンテナの形状の他の例を示す説明図である。図9(a)は、固定式アンテナを側面方向から見た側面図である。また、図9(b)は、固定式アンテナの取付部を拡大して示した説明図である。図9(b)は、図9(a)に示す側面図のS部分を拡大したものに相当する。
【0088】
本実施の形態では、固定式アンテナ11aの傾斜形状部12aの先端部(固定式アンテナ11aをアンテナ挿入穴7に挿入した場合にリアケース13の傾斜部31にあたる部分)に丸み(以下、角Rという)15がつけられている。なお、角R15は、固定式アンテナ11aの取付部19を製作する際に、傾斜形状部12aの先端部が丸みを帯びるように金型成形されることによって形成される。
【0089】
図10は、第2の実施の形態における固定式アンテナをリアケースのアンテナ挿入穴に挿入する場合の挿入経過の例を示す説明図である。図10(a)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入する直前の状態を示す図である。また、図10(b)及び図10(c)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入している途中の状態を示す図である。また、図10(d)は、固定式アンテナをアンテナ挿入穴7に挿入し終えた状態を示す図である。なお、図6と同様の理由により、図10では、傾斜部31及び傾斜形状部12aのネジ穴8部分を破線で表現している。
【0090】
まず、図10(a)に示すように、固定式アンテナ11aのアンテナ挿入穴7への挿入を開始する。すると、図10(b)に示すように、固定式アンテナ11aの取付部の角R15がリアケース13の傾斜部31にあたる。そして、角R15が傾斜部31に摺接することによって、固定式アンテナ11aの取付部は、図10(c)に示すように、固定式アンテナ11aの表面方向(図10(c)に示すZ方向)にガイドされる。
【0091】
挿入が完了すると、図10(d)に示すように、固定式アンテナ11aのネジ穴8とリアケース13のネジボス9との位置が合い、固定式アンテナ11のネジ穴面とリアケース13のネジボス面とが位置決めされた状態となる。
【0092】
以上のように、本実施の形態によれば、固定式アンテナ11aに角R15をつけることによって、固定式アンテナ11aをアンテナ挿入穴7に挿入する際に、固定式アンテナ11aがリアケース13の傾斜部31によってスムーズにガイドされる。そのため、固定式アンテナ11aをアンテナ挿入穴7に挿入する際に、固定式アンテナ11aが引っかかりにくくなり、固定式アンテナ11aをアンテナ挿入穴7に入れやすくなる。従って、傾斜形状部12aの先端部に角R15をつけることにより、固定式アンテナ11a挿入時にリアケース13のネジボス部の傾斜部31に滑らかにあてることで、固定式アンテナ11aを取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、固定式アンテナ11a側に角R15を設ける場合を説明したが、リアケース13の傾斜部31側に角Rを設けてもよい。そのようにすれば、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入した場合に、固定式アンテナ11の傾斜形状部12の先端部12bが傾斜部31の角Rに摺接することによって、固定式アンテナ11を傾斜部31に滑らかにあてることができる。
【0094】
この場合、傾斜部31の終端部分(傾斜形状をなす部分と、ネジボス面と接する面との境界部分)に角Rをつけることによって、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入する際に、固定式アンテナ11aが引っかかりにくくなり、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入しやすくなる。従って、固定式アンテナ11a側に角R15を設ける場合と同様に、固定式アンテナ11を取り付ける際の作業性を向上させることができる。なお、固定式アンテナ11の傾斜形状部12の先端部12bと、リアケース13の傾斜部31との両方に、角Rを設けるようにしてもよい。
【0095】
また、傾斜部31の終端部分が、ネジボス面に接する面を有しない構成とされている場合、すなわち、傾斜部31の傾斜形状をなす部分の終端がネジボス面の外輪と接する形状とされている場合には、ネジボス面に角Rを形成するようにしてもよい。なお、インサートナットによるネジ締め構造が採用されている場合には、ネジボス9が、合成樹脂などのプラスチックで形成された円筒形の内輪側に、ネジ溝を有する円筒形の金属部材が嵌め込まれた構造とされるため、外輪側に形成されているプラスチック部分に角Rを形成するようにすればよい。ネジボス面における上記のような角Rが形成された部分が、傾斜部31とともに「誘導部」を形成する。
【0096】
この場合、ネジボス面において外輪側に形成されているプラスチック部分が有する幅の範囲内で、かつ固定式アンテナ11の円滑な挿入が実現できるように、ネジボス面に形成する角Rを、半径0.5mm〜1.0mmの範囲内で形成することが望ましい。このように、ネジボス面に角Rを形成するようにした場合であっても、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入する際に、固定式アンテナ11aが引っかかりにくくなり、固定式アンテナ11をアンテナ挿入穴7に挿入しやすくなる。
【0097】
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、固定式アンテナ11,11aを携帯電話機に取り付ける場合を説明したが、本発明は、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)などの携帯電話機以外の電子機器に構成部品を取り付ける場合にも適用できる。また、構成部品は、固定式アンテナに限らず、電子機器の筐体に斜めに取り付けられる他の部品であってもよい。例えば、本発明は、所定の電気的機能を備えた玩具の筐体に、所定の構成部品を斜めに取り付ける場合にも適用可能である。
【0098】
また、上述した実施の形態では、折畳式の携帯電話機を例に説明したが、折畳式でない携帯電話機に適用することができることは勿論である。
【0099】
また、上述した実施の形態では、作業員が固定式アンテナの取り付け作業を行うものとして説明したが、携帯電話機を組み立てる組み立て装置によって、固定式アンテナがリアケースに取り付けられてもよい。例えば、組み立て装置として、携帯電話機を組み立てるための制御プログラムを搭載したロボット等が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、無線通信機能を有する携帯電話機や、簡易型携帯電話端末(PHS:Personal Handyphone System)、携帯情報端末(PDA)などの電子機器に適用できる。特に、本発明は、固定式アンテナなどの構成部品を電子機器の筐体に斜めに取り付ける用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるアンテナ取付構造を説明するための説明図である。
【図2】固定式アンテナが取り付けられた携帯電話機の外観構成の例を示す外観図である。
【図3】携帯電話機の構成の例を示すブロック図である。
【図4】固定式アンテナの形状の一例を示す説明図である。
【図5】アンテナ固定プレート14を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における固定式アンテナをリアケースのアンテナ挿入穴に挿入する場合の挿入経過の例を示す説明図である。
【図7】図1において、固定式アンテナ11の取り付けを完了した状態のリアケース13の断面A−Aを示す断面図である。
【図8】ネジボス9に傾斜形状を設けた場合に、固定式アンテナ11をリアケース13に取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における固定式アンテナの形状の例を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における固定式アンテナをリアケースのアンテナ挿入穴に挿入する場合の挿入経過の例を示す説明図である。
【図11】電子機器の筐体に固定式アンテナ1を取り付けるアンテナ取付構造を説明するための説明図である。
【図12】リアケース5のアンテナ挿入穴7に、固定式アンテナ1を挿入する直前の状態を示した説明図である。
【図13】リアケース5のアンテナ挿入穴7に、固定式アンテナ1を挿入した後の状態を示した説明図である。
【図14】固定式アンテナ1と回路基板17との接触状態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1 固定式アンテナ
2,13 リアケース
3,7 アンテナ挿入穴
4 ネジ
6 角度
8 ネジ穴
9 ネジボス
10 隙間
9a 傾斜形状部
11,11a 固定式アンテナ
12,12a 傾斜形状部
14 アンテナ固定プレート
15 角R
17 回路基板
18 信号伝達部品
19 取付部
19a 主軸部
19b 信号伝達部
30 溝部
31 傾斜部
100 携帯電話機
110 筐体
111 上側筐体
112 下側筐体
121 制御部
122 記憶部
123 無線通信部
124 操作部
125 表示部
126 カメラ
127 リンガー発生器
128 リンガー駆動部
129 スピーカ
130 マイクロフォン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体に取り付けられる構成部品であって、
前記筐体内部に形成されている被取付部に取り付けられる柄状の取付部を有し、
前記取付部は、前記被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされた状態で、前記被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって取り付けられ、
前記取付部は、前記位置決めされたときに、前記被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、前記被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含み、
前記接触面が前記第2軸部に形成される
ことを特徴とする電子機器の構成部品。
【請求項2】
電子機器の筐体に取り付けられる構成部品であって、
柄状の取付部を有し、
前記取付部は、当該構成部品の主要部につながる第1軸部と、前記第1軸部につながる第2軸部とを含み、
前記第2軸部の長手方向が前記第1軸部の長手方向に対して平行でない向きとなる
ことを特徴とする電子機器の構成部品。
【請求項3】
取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部が形成され、
筐体に取り付けられる際に、筐体内部に形成されている誘導部に前記被誘導部が摺接することによって前記取付部が誘導され、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされる
請求項1または請求項2記載の電子機器の構成部品。
【請求項4】
電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、
前記取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部を含む
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の電子機器の構成部品。
【請求項5】
取付部は、金属材料によって一体形成される請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の電子機器の構成部品。
【請求項6】
柄状の取付部を有する構成部品を電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付ける構成部品の取付構造であって、
前記被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされた状態で、前記被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって、前記取付部が前記被取付部に取り付けられ、
前記取付部は、前記位置決めされたときに、前記被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、前記被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含み、
前記接触面が前記第2軸部に形成される
ことを特徴とする構成部品の取付構造。
【請求項7】
筐体内部に誘導部が形成され、
取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部が形成され、
筐体に取り付けられる際に、前記誘導部に前記被誘導部が摺接することによって前記取付部が誘導され、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされる
請求項6記載の構成部品の取付構造。
【請求項8】
筐体内部に、丸み形状をなす誘導部が形成され、
取付部における第2軸部の端部に被誘導部が形成され、
筐体に取り付けられる際に、前記誘導部に前記被誘導部が摺接することによって前記取付部が誘導され、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされる
請求項6記載の構成部品の取付構造。
【請求項9】
筐体内部に形成される誘導部は、半径0.5ミリメートル乃至1.0ミリメートルの範囲内の丸み形状をなす請求項8記載の構成部品の取付構造。
【請求項10】
取付部は、取付部品に加えて、当該取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品によって、被取付部に取り付けられ、
前記固定部品は、前記挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有する
請求項6から請求項9のうちいずれかに記載の構成部品の取付構造。
【請求項11】
被取付部が形成されている筐体面が当該被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなるように、筐体が形成されている請求項6から請求項10のうちのいずれかに記載の構成部品の取付構造。
【請求項12】
構成部品は、電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、
前記取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部を含む
請求項6から請求項11のうちいずれかに記載の構成部品の取付構造。
【請求項13】
電子機器は、携帯電話機である請求項6から請求項12のうちいずれかに記載の構成部品の取付構造。
【請求項14】
筐体に取り付けられる構成部品を含む電子機器であって、
前記構成部品は、
前記電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付けられる柄状の取付部を有し、
前記取付部は、前記被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされた状態で、前記被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって取り付けられ、
前記取付部は、前記位置決めされたときに、前記被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、前記被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含み、
前記接触面が前記第2軸部に形成される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
筐体内部に誘導部が形成され、
取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部が形成され、
筐体に取り付けられる際に、前記誘導部に前記被誘導部が摺接することによって前記取付部が誘導され、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされる
請求項14記載の電子機器。
【請求項16】
筐体内部に、丸み形状をなす誘導部が形成され、
取付部における第2軸部の端部に被誘導部が形成され、
筐体に取り付けられる際に、前記誘導部に前記被誘導部が摺接することによって前記取付部が誘導され、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面が位置決めされる
請求項14記載の電子機器。
【請求項17】
筐体内部に形成される誘導部は、半径0.5ミリメートル乃至1.0ミリメートルの範囲内の丸み形状をなす請求項16記載の電子機器。
【請求項18】
取付部は、取付部品に加えて、当該取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品によって、被取付部に取り付けられ、
前記固定部品は、前記挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有する
請求項14から請求項17のうちいずれかに記載の電子機器。
【請求項19】
被取付部が形成されている筐体面が当該被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなるように、筐体が形成されている請求項14から請求項18のうちのいずれかに記載の電子機器。
【請求項20】
構成部品は、電波の送受信を行う放射部と取付部とを備えるアンテナとして構成され、
前記取付部は、筐体に取り付けられたときに筐体内に配設された基板に設けられている信号伝達部品に接触する信号伝達部を含む
請求項14から請求項19のうちいずれかに記載の電子機器。
【請求項21】
筐体に取り付けられる構成部品を含む携帯電話機である請求項14から請求項20のうちいずれかに記載の電子機器。
【請求項22】
柄状の取付部を有する構成部品を電子機器の筐体内部に形成されている被取付部に取り付ける構成部品の取付方法であって、
前記被取付部の被接触面に対して平行でない向きとなる第1軸部と、前記被取付部の被接触面と略平行となる向きとなる第2軸部とを含む、前記取付部における接触面が前記第2軸部に形成されるように、前記被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面を位置決めし、
前記位置決めした状態で、前記被取付部の形状に対応して形成されている取付部品によって、前記取付部を前記被取付部に取り付ける
ことを特徴とする構成部品の取付方法。
【請求項23】
筐体内部に誘導部を形成し、
取付部における第2軸部の端部に、丸み形状をなす被誘導部を形成し、
筐体に取り付ける際に、前記誘導部に前記被誘導部を摺接することによって前記取付部を誘導し、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面を位置決めする
請求項22記載の構成部品の取付方法。
【請求項24】
筐体内部に、丸み形状をなす誘導部を形成し、
取付部における第2軸部の端部に被誘導部を形成し、
筐体に取り付ける際に、前記誘導部に前記被誘導部を摺接することによって前記取付部を誘導し、前記筐体内部に形成されている被取付部における被接触面近傍に前記取付部における接触面を位置決めする
請求項22記載の構成部品の取付方法。
【請求項25】
取付部品に加えて、取付部を筐体内に挿入する際の挿入方向に対して斜めに取り付けられた柄部を有する、前記挿入方向に対する位置ずれを防止するための固定部品によって、前記取付部を被取付部に取り付ける請求項22から請求項24のうちのいずれか1項に記載の構成部品の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−109204(P2006−109204A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294719(P2004−294719)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】