説明

電子機器の筐体、金型、インサート成形装置、電子機器の筐体の成形方法、及び電子機器

【課題】金属板をインサート成形して表面に取付台部を形成した電子機器の筐体について、反りの発生を抑制する。
【解決手段】本発明は、周縁部に屈曲された補強部を一体に備えた金属板20と、補強部を覆うようにインサート成形により形成された樹脂製の枠体21とを備え、枠体21は、金属板20の表面側の表面に段差状の取付台部21aが形成されるとともに、金属板20より表面側の肉厚T12と裏面側の肉厚T13とが等しく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形により金属板の周囲に樹脂製の枠体を形成した電子機器の筐体、その成形金型及び成形方法、インサート成形装置、並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器には、例えば、図7(A)に示すように、本体部1と表示部2とを別々に構成し、ヒンジ部3を介して折り畳み可能とした携帯電話端末が周知である。
【0003】
ここで、例えば、表示部2の周縁部では、例えば、図8(A),(B)に示すように、防水機能を有する携帯電話端末としての剛性の確保や薄肉化・小型化を実現する構成を採用している。具体的には、薄肉の金属板4の周縁部にR状に屈曲した補強部4aを一体に形成し、この補強部4aを覆うようにインサート成形により樹脂製の枠体5を形成している(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ところが、補強部4aを枠体5で覆った場合、例えば、枠体5で保持する液晶パネル2a等の表示部2の構成部品を設置するための取付台部5aが必要となる。したがって、防水機能を有する携帯電話端末等に用いられる枠体5は、全体的に内側(内周)に取付台部5aを確保した額縁状(化粧フレーム枠状)の断面形状に形成される。
【0005】
このため、金属板4の表面側(例えば、図8で上方)と裏面側(例えば、図8で下方)とでは、金属板4を挟む位置での枠体5は、肉厚T1と肉厚T2、肉厚T3と肉厚T4、で示すように、異なった肉厚となってしまう。
【0006】
そして、このように金属板4の表面側と裏面側とで肉厚が異なる枠体5を成形する場合、図9(A)に示すように、金属板4をインサートして溶融樹脂材料6を金型7内に供給する。そうすると、図9(B)に示すように、硬化に伴う収縮によって枠体5は金型7よりも小さくなるとともに、肉厚の差に起因して枠体5には反りが発生してしまう。
【0007】
したがって、このような溶融樹脂材料6の収縮に伴う肉厚T1,T3と肉厚T2,T4のように差に起因する反りの発生は、例えば、図7(B)に示すように、表示部2の反りとなってしてしまい、高品質を確保することができないという問題が生じていた。また、このような反りの発生は、本体部1の先端に設けられた突当部品1aに表示部2の表面が当接しなくなる。結果として、操作部の操作ボタン(図示せず)と表示部2の液晶パネル2aとが当接してお互いに傷付くという不具合の要因となってしまう。
【0008】
なお、図8(C)に示すように、金属板8の周縁部に直角状に屈曲する補強部8aを形成し、補強部8aを覆うように取付台部9aと肉抜き部9bを一体に有する枠体9を形成すると共に、その補強部8aを挟む肉厚T5,T6とを略均一とすることが考えられる(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−071461号公報
【特許文献2】特開2010−016327号公報
【特許文献3】特開2010−073833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、補強部8aを挟む内外方向の肉厚T5,T6を略均一としても、上述した表示部2の反りの発生要因となり得る表裏方向の肉厚に関しては、例えば、肉厚T7とT8、肉厚T9とT8、肉厚T10とT11のように、全体としては不均一であった。
【0011】
なお、肉抜き部9bはヒケ防止等のために形成されたものであって、枠体9の内側の取付台部9aとして形成したものではなく、枠体9の断面形状を機能的又は意匠的に所定形状に確保するための枠体9の断面形状及び補強部8aの屈曲形状とはなっていない。
【0012】
すなわち、液晶パネル2aを設置するために取付台部5a(9a)を枠体5(9)の内側に形成した場合にあっては、上述した補強部4aのように、表面側と裏面側とに複数回屈曲させた構成を採用する必要があることと、プレス加工後のスプリングバック等を考慮する必要がある。
【0013】
したがって、図8(C)に示すように、内側から外側(外縁側)に向かう程、表面側に向けて階段状に直角に屈曲形成させることは実現可能であるかもしれないが、表面側と裏面側とに複数回直角に屈曲させることは困難であった。
【0014】
しかも、図8に示した構成のように、その表裏で肉厚が異なる場合、インサート成形時の金型への溶融樹脂材料の充填量は、金属板4,8の表面側と裏面側とで大きく異なっている。これにより、例えば、成形機の射出ノズルからスプルー、ランナー、ゲート等を経由する溶融樹脂材料の経路設計等が複雑化し、溶融樹脂材料を満遍なく金型8に導き難いという問題も生じていた。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属板をインサート成形して表面に取付台部を形成した電子機器の筐体について、反りの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電子機器の筐体は、周縁部に屈曲された補強部を有する金属板と、前記補強部を覆うようにインサート成形により形成された樹脂製の枠体と、を備えた電子機器の筐体において、前記枠体は、前記金属板の表面側の表面に段差状の取付台部が設けられるとともに、前記金属板より表面側の肉厚と裏面側の肉厚が略等しいことを特徴とする。
【0017】
本発明の構成によれば、筐体全体としての反りの発生を抑制し得て、高品質化に貢献することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子機器の筐体によれば、筐体全体としての反りの発生を抑制し得て、高品質化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器としての携帯電話端末の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器の表示部の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体としての表示枠体の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を示し、(A)は図3のH−H線に沿う拡大断面図、(B)は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器としての携帯電話端末の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を形成するための金型を示し、(A)は溶融樹脂材料を供給した直後の金型の断面図、(B)は溶融樹脂材料が硬化して枠体を形成した状態の金型の断面図である。
【図6】(A)は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を形成するための金型と金属板の補強部との位置関係を示す金型の断面図、(B)は図5(B)のI−I線に沿う金型の断面図である。
【図7】従来の電子機器としての携帯電話端末を示し、(A)は折り畳み状態の携帯電話端末の側面図、(B)は表示部に反りが発生した状態の形態電話端末の側面図である。
【図8】従来の電子機器の枠体を示し、(A)は従来例1の要部の断面図、(B)は従来例2の要部の断面図、(C)は従来例3の要部の断面図である。
【図9】従来の電子機器の枠体を形成する金型と金属板との関係を示し、(A)は溶融樹脂材料供給直後の金型の断面図、(B)は溶融樹脂材料が硬化して枠体を形成した状態の金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体、金型、インサート成形装置、電子機器の筐体の成形方法について、折り畳み式の携帯電話端末に適用し、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明の電子機器の筐体、金型、インサート成形装置、電子機器の筐体の成形方法における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器としての携帯電話端末の斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器の表示部の分解斜視図、図3は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体としての表示枠体の斜視図、図4は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を示し、図4(A)は図3のH−H線に沿う拡大断面図、図4(B)は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を備えた電子機器としての携帯電話端末の側面図、図5は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を形成するための金型を示し、図5(A)は溶融樹脂材料を供給した直後の金型の断面図、図5(B)は溶融樹脂材料が硬化して枠体を形成した状態の金型の断面図、図6(A)は本発明の一実施形態に係る電子機器の筐体を形成するための金型と金属板の補強部との位置関係を示す金型の断面図、図6(B)は図5(B)のI−I線に沿う金型の断面図である。
【0022】
図1において、本発明の電子機器としての携帯電話端末10は、操作部11と表示部12とがヒンジ部13を介して回動可能に連結されている。ヒンジ部13は、表示部12の液晶表示パネル14が表面に露出した使用状態である展開状態(図1の状態)と、液晶表示パネル14が操作部11と対面した折り畳み状態(図4(B)の状態)とに切り替え可能とする。なお、電子機器10の電話機能等の通信機能は公知の機能を具備している。具体的には、操作部11は、その表面に通信等に関わる各種操作のためのスイッチ15が配置されているとともに、その内部にはバッテリや通信制御回路等(共に図示せず)を具備している。
【0023】
また、表示部12は、例えば、図2に示すように、表面側から順に、傷付き防止用のスクリーン16、液晶表示パネル(液表表示ユニット)14、液晶表示パネル14を支持する支持筐体17、表示機能(及びタッチパネル機能)を司る制御回路基板18、樹脂製のリヤカバー19を備えている。なお、表示機能(又はタッチパネル機能)は公知の機能を具備しているため、スクリーン16、液晶表示パネル14、制御回路基板18、リヤカバー19の具体的な構成や機能等の説明は省略する。
【0024】
本発明の電子機器の筐体としての支持筐体17は、図3に示すように、表示部12の外形に沿う略矩形の薄肉金属プレートからなる金属板20と、金属板20の周囲にインサート成形により設けられると共に液晶表示パネル14を支持するために内周側に段差状に形成された取付台部21aを一体に形成した樹脂製の枠体21と、を備えている。
【0025】
金属板20は、図4(A)に示すように、平面部20a、下向傾斜面部20b、裏面側水平面部20c、上向傾斜面部20d、表面側水平面部20e、垂直面部20f、が縁部に向かってこの順に連続して屈曲形成されている。
【0026】
平面部20aは、枠体21の内側に位置して平面状に形成されている。下向傾斜面部20bは、平面部20aの外縁から金属板20の縁部側(外側)に向かい且つ表面側から裏面側に向かって図4で下向きに傾斜している。裏面側水平面部20cは、下向傾斜面部20bの外縁から金属板20の縁部側に向かって略水平に延びている。上向傾斜面部20dは、裏面側水平面部20cの外縁から金属板20の縁部側に向かい且つ裏面側から表面側に向かって図4で上向きに傾斜している。表面側水平面部20eは、上向傾斜面部20dの外縁から金属板20の縁部側に向かって略水平に延びている。垂直面部20fは、表面側水平面部20eの外縁から金属板20の裏面側に向かって略直角に延びている。
【0027】
なお、下向傾斜面部20bから垂直面部20fに至る部分は補強部30を構成している。また、下向傾斜面部20bから上向傾斜面部20dに至る屈曲部分は金属板20の表面側に向かって断面略山形状に拡開する第1の屈曲部分31を形成している。また、上向傾斜面部20dから垂直面部20fに至る屈曲部分は金属板20の裏面側に向かって断面略山形状に拡開する第2の屈曲部分32を形成している。ここで、第1の屈曲部分31の一部を構成する裏面側水平面部20cは、リヤカバー19の表面と略平行している。また、第2の屈曲部分32の一部を構成する表面側水平面部20eは、液晶表示パネル14の表面と略平行している。
【0028】
これにより、液晶表示パネル14(又はスクリーン16)やリヤカバー19を貼り付ける面を平滑面とすることができ、液晶表示パネル14やリヤカバー19との密着性が高まるため、携帯電話端末10の防水機能を容易に確保することができる。しかも、防水のためのシールパッキン等を不要若しくは薄型化することができ、結果的に表示部12の薄型化や軽量化が可能となる。
【0029】
一方、このような金属板20の補強部30としての各面部20b〜20fは、図5(A),(B)に示すように、金型の上型(キャビティ)22と下型23(コア)とにインサートされた状態で射出成形される。この際、図5(A)に示すように、金型内に溶融樹脂材料24を供給し、その溶融樹脂材料24が硬化することによって、図5(B)に示すように、所定形状の枠体21が形成される。
【0030】
この際、金型内の空間は、枠体21が形成される際の溶融樹脂材料の硬化時の収縮を考慮した断面形状に形成されている。本実施の形態においては、図6(A)に示すように、金型は、例えば、下向傾斜面部20bと略直交する方向で金属板20の表面側と裏面側とで枠体21の外面までの肉厚が略等しくなるように溶融樹脂材料24の流入スペースAが設定されている。同様に、裏面側水平面部20cと略直交する方向で金属板20の表面側と裏面側とで枠体21の外面までの肉厚が略等しくなるように流入スペースBが設定されている。また、上向傾斜面部20dと略直交する方向で金属板20の表面側と裏面側とで枠体21の外面までの肉厚が略等しくなるように流入スペースCが設定されている。また、上向傾斜面部20dの表面側と垂直面部20fの先端との関係においても、金属板20の表面側と裏面側とで枠体21の肉厚が略等しくなるように流入スペースDが設定されている。なお、これら各流入スペースA〜Dは、枠体21の表裏方向の厚さに対して略等しい関係としたが、例えば、上向傾斜面部20dと垂直面部20fとで分割される流入スペースE(三ヵ所)においても収縮を考慮して均一に設定されている。また、図6に示す矢印F,Gに示す位置においても、金属板20を挟む水平面内において流入スペースの均一化が図られている。
すなわち、矢印Fに示す位置では、下向傾斜面部20bの表面側と上向傾斜面部20dの表面側との間の流入スペースと、上向傾斜面部20dの裏面から枠体21の外面までの流入スペースとが略等しい。また、矢印Gに示す位置では、下向傾斜面部20bの裏面から枠体21の外面までの流入スペースと、上向傾斜面部20dの裏面から枠体21bの外面までの流入スペースとが略等しい。
以上の条件を満たすために、枠体21の取付台部21aの内側に段差を設け、リヤカバー19との嵌合部に凹み26を設けている。
従って、枠体21の断面において、金属板20より表面側の断面積と裏面側の断面積とが同程度である、すなわち、近似した面積となる。なお、垂直面部20fの端部から延在した領域では、垂直面部20fの端部から垂直方向に伸ばした仮想的な線に対し、金属板20と同様に表面側と裏面側とを分けている。
【0031】
従って、金型内の溶融樹脂材料24が硬化した際には、例えば、図6(B)に示すように、金属板20(裏面側水平面部20c)を挟む枠体21の表面側と裏面側の肉厚も略等しくすることができ、反りが発生し難くなっている。これにより、例えば、図4(A)に示すように、流入スペースBに対応する枠体21の部分では、その表面側の肉厚T12と裏面側の肉厚T13とを略等しくとすることができる。
【0032】
このように、金型(上下型22,23)の断面方向に対して、枠体21の成形時の断面方向の肉厚が金属板20の表面側と裏面側とで略等しくなるように流入スペースA〜D(E〜G)が設定されている。したがって、金型の断面方向での溶融樹脂材料24を金属板20の表面側と裏面側とで略均一に供給することができる。また、枠体21の全周に対して、例えば、図4(B)に示すように、表示部12の肉厚が自由端側(ヒンジ部とは逆側)に向けて先細り形状としていても、金属板20の表面側と裏面側とで枠体21の肉厚が略等しくなるように配置する。これにより、溶融樹脂材料24の全体供給量においても金属板20の表面側と裏面側とで略均一とすることができる。また、図示を略する射出ノズルから溶融樹脂を金型に注入し、その溶融樹脂材料がスプルー、ランナー、ゲート、キャビティ(上型22)等へと供給する流路設計の容易化に貢献することができるうえ、溶融樹脂が不測に供給されない等の不具合も抑制することができる。
【0033】
このように、本発明の電子機器の筐体にあっては、周縁部に屈曲された補強部30を一体に備えた金属板と、補強部30を覆うようにインサート成形により形成された樹脂製の枠体と、を備えた電子機器の筐体において、枠体21は金属板20の表面側の表面に段差状の取付台部21aが形成されるとともに、金属板20より表面側の肉厚と裏面側の肉厚が等しい。
【0034】
ところで、上記実施の形態では、本発明の電子機器に折り畳み方式の携帯電話端末10の表示部12を例に説明したが、例えば、操作スイッチとしてスイッチ15を配置した操作部11や操作スイッチとしてのテンキー等を備えた電卓等の各種電子機器、或いは、液晶表示パネルとしてタッチパネル方式の液晶表示パネルを備えたスマートフォンやタブレット端末、パーソナル・コンピュータ、または、PDA等の電子機器のように、金属板を用いるとともに、その金属板の周縁部に額縁状の枠体を備え、その枠体に操作スイッチや液晶表示パネル等を配置した電子機器全般に適用することができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、補強部30を構成する各面部20b〜20fに対応した断面方向で直交する流入スペースA〜Gを均一とした例を開示したが、例えば、流入スペースBを均一化し、対応する枠体21の肉厚T12,T13を略等しくする等、その場所や設定数は限定されるものではなく、例えば、肉厚T12,T13に対応する部位のみを均一としても反りの発生を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、枠体21に樹脂材料を用いたが、金属板20の材料よりも硬化時に収縮率が大きい材料であれば樹脂材料に限るものではなく、金属材料でもよい。
【符号の説明】
【0036】
10…携帯電話端末(電子機器)
11…操作部
12…表示部
13…ヒンジ部
14…液晶表示パネル
15…スイッチ
16…スクリーン
17…支持筐体(電子機器の筐体)
18…制御回路基板
19…リヤカバー
20…金属板
20a…水平面部
20b…下向傾斜面部(補強部・第1の屈曲部分)
20c…裏面側水平面部(補強部・第1の屈曲部分)
20d…上向き傾斜面部(補強部・第1,第2の屈曲部分)
20e…表面側水平面部(補強部・第2の屈曲部分)
20f…垂直面部(補強部・第2の屈曲部分)
21…枠体
21a…取付台部
22…上型(キャビティ)
23…下型(コア)
24…溶融樹脂材料
26…凹み
30…補強部
31…第1の屈曲部分
32…第2の屈曲部分
T12…肉厚(表面側)
T13…肉厚(裏面側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に屈曲された補強部を有する金属板と、前記補強部を覆うようにインサート成形により形成された樹脂製の枠体と、を備えた電子機器の筐体において、
前記枠体は、前記金属板の表面側の表面に段差状の取付台部が設けられるとともに、前記金属板より表面側の肉厚と裏面側の肉厚が略等しく形成されていることを特徴とする電子機器の筐体。
【請求項2】
前記枠体の断面において、前記金属板より表面側の断面積と裏面側の断面積とが略等しいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の筐体。
【請求項3】
前記金属板の補強部は、当該端部が前記枠体の内側から外側に向かって延びると共に、前記枠体の内側付近は略水平とされ、その水平部分から前記端部に向かって前記枠体の断面形状が前記金属板の表面側と裏面側とで略二分するように屈曲されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器の筐体。
【請求項4】
前記金属板の補強部は、前記金属板の表面側に向かって断面略山形状に拡開する第1の屈曲部分と、前記金属板の裏面側に向かって断面略山形状に拡開する第2の屈曲部分と、が隣接して形成され、前記各屈曲部分の傾斜面部間に位置する水平面部の一方を前記取付台部の水平面と平行に対向させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器の筐体。
【請求項5】
前記枠体は、前記取付台部の内側に段差を有するとともに、前記取付台部の反対側に凹みを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電子機器の筐体。
【請求項6】
前記金属板の補強部は、前記枠体の全周の前記金属板の表面側と裏面側との肉厚に対して均一であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電子機器の筐体。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の前記補強部を一体に備えた金属板を用い、前記補強部を覆う前記枠体の形状に対して溶融樹脂材料の硬化に伴う収縮を考慮したうえで、前記金属板をインサートして前記枠体を射出形成するように所定形状に形成されていることを特徴とする金型。
【請求項8】
前記補強部の屈曲形状に伴う前記枠体の前記金属板に対する表面側と裏面側とに対応した溶融樹脂の流入スペースが均一であることを特徴とする請求項7に記載の金型。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の金型を用い、請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の前記補強部を備えた前記金属板をインサートして前記枠体を形成することを特徴とするインサート成形装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の前記補強部を予め前記金属板にプレス成形するプレス成形ステップと、
請求項7又は請求項8に記載の金型を有するインサート成形装置に前記金属板をインサート下後に溶融樹脂材料を前記金型に供給するインサート成形ステップと、
を備えていることを特徴とする電子機器の筐体の成形方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の前記補強部を前記枠体で覆った枠体と、該枠体に保持された操作パネルと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の前記補強部を前記枠体で覆った枠体と、該枠体に保持された液晶表示パネルと、を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89879(P2013−89879A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231073(P2011−231073)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】