説明

電子機器の組立構造及び該構造を備えた電子機器

【課題】筐体内の実装効率を高める。
【解決手段】アンテナ用嵌合凹部26及びケース用嵌合凹部は、アンテナ用嵌合凹部26の最奥部と、ケース用嵌合凹部の最奥部とは、嵌合用リブ23の厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又はこの厚さ方向に沿って互いの最奥部を越えた位置まで配置されるように形成されている。このため、嵌合用リブ23の厚さが抑制され、実装効率を高めることができると共に、内蔵アンテナ15の所定の特性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器の組立構造及び該構造を備えた電子機器に係り、電子機器の筐体を構成する例えばリアケースに形成した嵌合用リブを用いて、リアケースの内部に電気部品としての内蔵アンテナを固定するとともに、リアケースにフロントケースを結合させる電子機器の組立構造及び該構造を備えた携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線通信機能を有する携帯型の電子機器としての携帯電話機等においては、そのアンテナは、電波放射特性の確保のために、携帯電話機本体からロッドを必要に応じて引き出して突出させた状態で用いる形式のものが一般的である。
しかしながら、突出型のアンテナでは、意匠設計上の制約が課せられる上に、例えば、落下させて破損させてしまう虞があるために、内蔵アンテナを備えた携帯電話機が普及してきている(例えば、特許文献1参照。)。
内蔵アンテナとしては、例えばモジュール化されたチップ状のものが用いられ、この内蔵アンテナは、筐体の一方の端部(上端部又は下端部)に、位置決めされた状態で格納される。内蔵アンテナは、容易に交換可能なように、筐体に対して着脱可能とされる。
【0003】
内蔵アンテナ101は、例えば、図17に示すように、筐体102を構成するリアケース103の内表面の上端側周縁部から内部側に突設された一対の嵌合用リブ104,104によって、一対の爪部101a,101aが嵌合されて、リアケース103の内表面に固定される。
同時に、筐体102を構成するフロントケース105も、一対の嵌合用リブ104に一対の爪部105a,105aが嵌合されることによって、リアケース103に結合するように構成することができる。
この場合に、各嵌合用リブ104には、その内面に、内蔵アンテナ101の上端側に設けた爪部101aを嵌合する嵌合凹部104aが形成され、外面にフロントケース105の側壁部の上端部の内表面から内部側に突設された爪部105aを嵌合する嵌合凹部104bが形成される。
【特許文献1】特開2003−229709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、上記従来技術では、所定の強度を確保するために、リアケースに形成した嵌合用リブの厚さを十分に取る必要があり、例えば、筐体内の実装効率の向上の妨げとなるという点である。
【0005】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、筐体に形成され、例えば、内蔵アンテナとフロントケースとを同時に固定する嵌合用リブの厚さを薄くすることができ、例えば、筐体内の実装効率を高めることができる電子機器の組立構造及び該構造を備えた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、一方が基体、他方が蓋体を構成する第1のフレームと第2のフレームとが組み合わされ結合されてなる筐体の内部に、所定の電子部品が実装されている電子機器の組立構造に係り、上記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍には、所定の部品を係止して固定するための部品固定部と、上記第2のフレームを係止して固定するためのフレーム固定部とが設けられた固定用リブが突設され、該固定用リブの上記部品固定部には、上記所定の部品が係止されて固定され、上記固定用リブの上記フレーム固定部には、上記第2のフレームが係止されて固定され、上記部品固定部と上記フレーム固定部とは、互いに重なる部位を避けて上記固定用リブに設けられていることを特徴としている。
ここで、「固定」とは、本固定と、本固定に先立つ仮固定とを含む広い概念を意味するものとする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、一方が基体、他方が蓋体を構成する第1のフレームと第2のフレームとが組み合わされ結合されてなる筐体の内部に、所定の電子部品が実装されている電子機器の組立構造に係り、上記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍には、所定の部品を係止して固定するための部品固定凹部と、上記第2のフレームを係止して固定するためのフレーム固定凹部とが設けられた固定用リブが突設され、該固定用リブの上記部品固定凹部には、上記所定の部品に設けられた部品固定凸部が係止されて、当該所定の部品が固定され、上記固定用リブの上記フレーム固定凹部には、上記第2のフレームに設けられたフレーム固定凸部が係止されて、当該第2のフレームが固定され、上記部品固定凹部と上記フレーム固定凹部とは、互いに重なる部位を避けて上記固定用リブに設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の電子機器の組立構造に係り、上記固定用リブは、相対向する2つの主面を有すると共に、一方の面には、上記部品固定凹部が設けられていて、他方の面には、上記一方の面側の上記部品固定凹部と重なる部位を避けて、上記フレーム固定凹部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の電子機器の組立構造に係り、上記固定用リブは、上記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍に一体的に形成され、上記部品固定凹部及び上記フレーム固定凹部は、それぞれ、所定の深さに形成され、上記部品固定凹部の最奥部と、上記フレーム固定凹部の最奥部とは、上記固定用リブの厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又は上記固定用リブの厚さ方向に沿って互いの上記最奥部を越えた位置まで形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項2、3又は4記載の電子機器の組立構造に係り、記部品固定凹部は、上記固定用リブの高さ方向に沿って下位部に形成され、上記フレーム固定凹部は、上記高さ方向に沿って上位部に形成され、上記フレーム固定凹部の形成箇所の上記固定用リブの肉厚は、所定の厚さ以下に設定されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1に記載の電子機器の組立構造に係り、なくとも上記第1のフレームは、樹脂成形品からなり、上記部品固定凹部は、製造の際に、肉厚が非均一な箇所で、冷却速度の差異によって、樹脂材料が成形用型から引っ込んで表面に欠陥が発生することを防止するために形成される欠陥防止用の凹部が兼用されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1に記載の電子機器の組立構造に係り、上記固定用リブは、上記部品固定凹部に上記所定の部品の上記部品固定凸部が挿入されたときに、根元部に対して先端部が外部側に回転して倒れるように弾性的に変形し、かつ、上記フレーム固定凹部に上記第2のフレームの上記フレーム固定凸部が挿入されたときに、根元部に対して先端部が内部側に回転して倒れるように弾性的に変形するように形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1に記載の電子機器の組立構造に係り、上記所定の部品は、モジュール化されたアンテナ装置からなることを特徴としている。
【0014】
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の電子機器の組立構造に係り、上記アンテナ装置は、アンテナ素子が樹脂成形体に埋設されて構成され、主として上記固定用リブが配置された前方側から到来した電波を受信し、主として上記前方側へ電波を放射することを特徴としている。
【0015】
また、請求項10記載の発明に係る電子機器は、請求項1乃至9のいずれか1に記載の電子機器の組立構造を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
この発明の構成によれば、部品固定部又は部品固定凹部と、フレーム固定部又はフレーム固定部凹とは、互いに重なる部位を避けて固定用リブに設けられているので、所定の部品と、第2のフレームとを同時に固定する固定用リブの厚さを薄くすることができ、例えば、筐体内の実装効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
部品固定部又は部品固定凹部と、フレーム固定部又はフレーム固定部凹とは、互いに重なる部位を避けて固定用リブに設けられていることによって、所定の部品と、第2のフレームとを同時に固定する固定用リブの厚さを薄くし、例えば、筐体内の実装効率を高めるという目的を実現した。
【実施例1】
【0018】
図1は、この発明の第1の実施例である携帯電話機の下部ユニットの構成を分解して示す分解斜視図、図2及び図3は、同携帯電話機の構成を示す斜視図、図4は、同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図、図5及び図6は、同下部ユニットの構成を分解して示す分解斜視図、図7は、同下部ユニットの構成を示す断面図、図8は、図7のA部を拡大して示す拡大断面図、図9は、同下部ユニットに組み込まれた内蔵アンテナの構成を示す斜視図、図10は、同内蔵アンテナの構成を示す正面図、図11は、同内蔵アンテナの構成を示す背面図、図12は、同内蔵アンテナの構成を示す平面図、図13は、同内蔵アンテナの構成を示す下面図、図14は、同内蔵アンテナの構成を示す右側面図、また、図15は、同内蔵アンテナの構成を示す左側面図である。
【0019】
この例の携帯電話機1は、図2及び図3に示すように、上部ユニット2と下部ユニット3とが、折畳可能なようにヒンジ部4で相互に結合されて構成されている。
上側ユニット2は、図2乃至図4に示すように、折畳可能な筐体を構成する扁平な上部筐体5に、液晶表示装置からなり例えば機能設定画面や待受画面等が表示される表示部6と、LEDを有し例えば着信時や通話時に発光する発光部7と、通話時に受話音声を出力する受話部8とが実装されて概略構成されている。
【0020】
下部ユニット3は、図1乃至図7に示すように、折畳可能な筐体を構成する扁平な下部筐体11に、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する制御部12と、制御部12が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部13と、例えば着信時に着信音を出力する音声出力部14と、内蔵アンテナ15と、内蔵アンテナ15を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部16と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部17と、送話音声を入力するマイクロフォンからなる送話部18とが実装されて概略構成されている。
【0021】
表示部6は、上側筐体5の折畳時に内側となる面に配設され例えば透過型の液晶表示装置を有してなっている。液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルに照明光を与えるバックライト装置と、液晶パネルを駆動する駆動回路とを有している。
液晶パネルは、例えばTFT(Thin Film Transistor)構造の透過型の液晶表示パネルであり、TFTと透明画素電極とが多数形成されているTFT基板と、TFT基板と数[μm]の間隙を介して対向して固定され、着色層(カラーフィルタ)が形成された対向基板と、上記間隙に封入された液晶層と、TFT基板、対向基板の外側に配設された一対の偏向板とを有している。
【0022】
制御部12は、共にCPU(中央処理装置)等からなり、記憶部13に記憶された各種処理プログラムを実行し、記憶部13に確保された各種レジスタやフラグを用いて、構成各部を制御し各種制御処理を実行する。
記憶部13は、ROM、RAM等の半導体メモリからなり、制御部12が実行する操作制御処理プログラムや、通信制御処理プログラム、表示制御処理プログラム、ホームページを閲覧するためのプログラムとしてのブラウザ、電子メールを作成したり送受信するためのプログラムとしてのメーラ等の各種処理プログラム等をが記憶されたプログラム記憶領域と、各機能の設定情報や通信履歴情報、電話帳情報等の各種情報が記憶された情報記憶領域とを有すると共に、この記憶部13には、制御部12がプログラム実行時に用いる各種レジスタやフラグが確保されている。
【0023】
この例の電子機器組立構造21は、図1、及び図5乃至図8に示すように、例えば、下部筐体11を構成する合成樹脂製のリアケース22の上端部(ヒンジ部4側)に突設状態で形成された一対の嵌合用リブ23,23によって、リアケース22の内部に内蔵アンテナ15が位置決めされた状態で固定されているともに、リアケース22に下部筐体11を構成するフロントケース24が結合されて概略構成されている。
下部筐体11は、内部に内蔵アンテナ15を含む電子部品が格納された状態で、共に合成樹脂製で、概略、平板状部材の周縁部に側壁部が形成された形状のリアケース22とフロントケース24とが組み合され結合されてなっている。
【0024】
リアケース22は、その側壁部の上端部に形成され、内蔵アンテナ15の前面(正面)とフロントケース24の側壁部の上端部(ヒンジ部4側)の内表面(裏面)とを同時に押えるための一対の嵌合用リブ23,23と、裏面側の所定の箇所に形成され、内蔵アンテナ15の背面を押えて、一対の嵌合用リブ23,23と共に内蔵アンテナ15をリアケース22に固定するために用いられる一対の爪部25,25とを有している。
【0025】
各嵌合用リブ23は、それぞれ所定の深さに形成され、内蔵アンテナ15を固定するためのその内面の部品嵌合固定面23aに設けられたアンテナ用嵌合凹部26と、フロントケース24を結合するための外面の対向ケース嵌合固定面23bに設けられたケース用嵌合凹部27とを有している。
また、アンテナ用嵌合凹部26は、所謂「ひけ」(樹脂成形品を製造する際に、肉厚が非均一な箇所で、冷却速度の差異によって、材料が金型から引っ込んで表面に発生する欠陥としての窪み)防止のために形成される凹部が兼用されている。
【0026】
ここで、アンテナ用嵌合凹部26及びケース用嵌合凹部27は、アンテナ用嵌合凹部26の最奥部26mと、ケース用嵌合凹部27の最奥部27mとが、嵌合用リブ23の厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又は嵌合用リブ23の厚さ方向に沿って互いの最奥部を越えた位置まで配置されるように形成されている。この例では、実装時に、ケース用嵌合凹部27の最奥部27mと、内蔵アンテナ15の先端面(前面)の爪部32の先端とが、略同一鉛直面上に位置するように、形状寸法が設定されている。これによって、各嵌合用リブ23の厚さが抑制される。
また、アンテナ用嵌合凹部26の形成箇所の肉厚は、各嵌合用リブ23の所定以上の強度(曲げ強度等)を確保しつつ所定の厚さ以下に設定されている。
【0027】
また、各嵌合用リブ23は、アンテナ用嵌合凹部26に内蔵アンテナ15の爪部32が挿入されたときに、根元部に対して先端部が外部側に回転して倒れるように弾性的に変形し、かつ、ケース用嵌合凹部27にフロントケース24が爪部34が挿入されたときに、根元部に対して先端部が内部側に回転して倒れるように弾性的に変形するように形成されている。
【0028】
これによって、各嵌合用リブ23によって、内蔵アンテナ15及びフロントケース24が固定された状態で、すなわち、組み合されたフロントケース24及びリアケース22の内部に内蔵アンテナ15が実装された状態で、各嵌合用リブ23の弾性的変形による復元力によって、各嵌合用リブ23の形成箇所が補強される構造とされているので、例えば、各嵌合用リブ23の肉厚が抑えられても、所定の強度が確保される。
かつ、各嵌合用リブ23と対応する爪部25によって、内蔵アンテナ15はリアケース22の内表面に押し付けられ、部品収納領域22aに位置決めされた状態で固定されると共に、フロントケース24は、リアケース22に対して引き寄せられてリアケース22と結合される。
【0029】
この例の内蔵アンテナ15は、図8乃至図15に示すように、インサート成形によって帯状の薄膜アンテナ素子29が略直方体形状の樹脂成形体31に埋設され、チップ状に成形されてなり、前面には、一対の嵌合用リブ23,23に嵌合される一対の爪部32,32が形成され、背面には、一対の爪部25,25によって嵌合される一対の段差部33,33が形成されている。
また、フロントケース24の側壁部の上端部の内表面には、一対の嵌合用リブ23のケース用嵌合凹部27,27に嵌合される一対の爪部34が形成されている。
また、フロントケース24の側壁部の上端部においては、その中央部には、切欠き部が形成されて、さらに、この切欠き部の両側は、肉厚が薄く設定され、内蔵アンテナ15のアンテナ素子29が前方に寄せて配置されるように工夫が施されている。
【0030】
無線通信部16は、RF回路や、変復調回路、ベースバンド処理回路等からなり、音声やデータを変調して内蔵アンテナ15を介して無線電波として送信すると共に、無線電波を内蔵アンテナ15を介して受信して音声やデータに復調し、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる。
操作部17は、ブラウザを起動させてホームページを閲覧するためのブラウザモード選択キーや、操作を決定するために用いられる決定キー、操作メニューを表示させるためのメニューキー、文字入力モードを切り換えるための入力モード切替えキー、電話帳を登録したり検索するための電話帳キー、音声通話を行うために用いる通話開始キー、操作を1つ前の状態へ戻すクリアキー、及び電源の入切りを行った各種操作を中止するために用いられる電源キーを含む機能キー群と、表示部6に表示された表示画面状のカーソルを上下左右方向へ移動させるためのカーソルキーと、例えば数字等を入力するためのテンキー群とを有している。
【0031】
携帯電話機本体に内蔵アンテナ15を取り付けるには、まず、内蔵アンテナ15の前面側下部に突出状態で形成された一対の爪部32,32を、リアケース22の一対の嵌合用リブ23,23のアンテナ用嵌合凹部26,26に挿入し、この状態で、内蔵アンテナ15の背面に形成された一対の段差部33,33を一対の爪部25,25の下側に潜り込ませるように押し込んで、内蔵アンテナ15を部品収納領域22aに固定する。
ここで、内蔵アンテナ15は、一対の爪部32,32は一対の嵌合用リブ23,23をアンテナ用嵌合凹部26,26で、一対の段差部33,33は一対の爪部25,25を若干上方へ押した状態で、リアケース22の平板状部の内表面の一対の嵌合用リブ23,23と一対の爪部25,25との間の領域に嵌め込まれる。
【0032】
この際、各アンテナ用嵌合凹部26の係止面としての上部側壁面26aと内蔵アンテナ15の爪部32の被係止面としての上面32aとは接触し、かつ、爪部25の係止面としての下面25aと、内蔵アンテナ15の段差部33の被係止面としての上面33aとは接触し、各嵌合用リブ23及び各爪部25の変形の結果としての元の状態に戻ろうとする復元力によって、上面32aは上部側壁面26aから、上面33aは下面25aから押圧力を受けて、内蔵アンテナ15は、リアケース22の平板状部の内表面に押し付けられて固定される。
【0033】
内蔵アンテナ15をリアケース22に固定した後、フロントケース24をリアケース22と組み合わせる。すなわち、フロントケース24の側壁部の上端部の内表面に形成された一対の爪部34,34を、一対のケース用嵌合凹部27,27に嵌合させて、フロントケース24とリアケース22とを結合させる。
ここで、各ケース用嵌合凹部27の係止面としての上部側壁面27aと、フロントケース24の各爪部34の被係止面としての上面34aとは接触し、嵌合用リブ23の変形の結果としての元の状態に戻ろうとする復元力によって、上部側壁面27aと上面34aとは、互いに押圧力を及ぼし、フロントケース24とリアケース22とが結合される。
【0034】
こうして組み立てられた携帯電話機1において、各アンテナ用嵌合凹部26及び各ケース用嵌合凹部27は、各アンテナ用嵌合凹部26の最奥部26mと、ケース用嵌合凹部27の最奥部27mとは、嵌合用リブ23の厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又はこの厚さ方向に沿って互いの最奥部を越えた位置まで配置されるように形成されていることによって、嵌合用リブ23の厚さが抑制される。
したがって、筐体内の実装効率を高め、さらに、内蔵アンテナ15のアンテナ素子29を比較的外部側(前方側)に配置することが可能となる。このため、内蔵アンテナ15の所定の特性が確保される。
【0035】
この例の構成によれば、各アンテナ用嵌合凹部26及び各ケース用嵌合凹部27は、アンテナ用嵌合凹部26の最奥部26mと、ケース用嵌合凹部27の最奥部27mとは、嵌合用リブ23の厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又はこの厚さ方向に沿って互いの最奥部を越えた位置まで配置されるように形成されているので、嵌合用リブ23の厚さが抑制される。このため、筐体内の実装効率を高めて、機器の小型化に寄与することができる。
【0036】
しかも、各嵌合用リブ23は、アンテナ用嵌合凹部26に内蔵アンテナ15の爪部32が挿入されたときに、根元部に対して先端部が外部側に回転して倒れるように弾性的に変形し、かつ、ケース用嵌合凹部27にフロントケース24が爪部34が挿入されたときに、根元部に対して先端部が内部側に回転して倒れるように弾性的に変形するように形成されているので、各嵌合用リブ23によって、内蔵アンテナ15及びフロントケース24が固定された状態で、すなわち、組み合されたフロントケース24及びリアケース22の内部に内蔵アンテナ15が実装された状態で、嵌合用リブ23の弾性的変形による復元力によって、嵌合用リブ23の形成箇所が補強される構造とされているため、例えば、嵌合用リブ23の肉厚が抑えられても、所定の強度を確保することができ、かつ、嵌合用リブ23によって、内蔵アンテナ15はリアケース22の裏面に押し付けられ、固定されると共に、フロントケース24は、リアケース22に対して引き寄せられてリアケース22と確実に結合することができる。
【0037】
また、例えば各アンテナ用嵌合凹部26に、内蔵アンテナ15の爪部32が挿入されることによっても各嵌合用リブ23を補強することができる。
このように、所定の強度を確保しつつ、嵌合用リブ23の肉厚を抑えて、筐体内の実装効率を高めることができる。
また、各嵌合用リブ23の肉厚が抑えられることによって、内蔵アンテナ15のアンテナ素子29を比較的外部側(前方側)に配置することができる。したがって、内蔵アンテナ15の所定の特性を確保することができる。
【0038】
また、リアケース22の上端部に突設状態で形成された一対の嵌合用リブ23,23によって、リアケース22の内部に内蔵アンテナ15が位置決めされた状態で固定することができるとともに、同時にリアケース22にフロントケース24を結合させることができるので、一体的に形成された単一の部材に、複数の機能を担わせることができ、構成を簡略化することができる。また、内蔵アンテナ15の前方側に配置される部材数を抑えて、内蔵アンテナ15の特性に悪影響が及ぼされることを回避することができる。
また、各アンテナ用嵌合凹部26を、所謂「ひけ」防止のために形成される凹部と兼用させることができる。
また、内蔵アンテナ15はリアケース22に対して着脱可能とされているので、内蔵アンテナ15を容易に交換することができる。
【実施例2】
【0039】
図16は、この発明の第2の実施例である携帯電話機の下部ユニットの要部の構成を拡大して示す拡大断面図である。
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、嵌合用リブにケース嵌合用として、凹部に代えて、嵌合爪部を設け、フロントケースには、被嵌合用の凹部を設けた点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、その説明を簡略にする。
【0040】
この例の携帯電話機の電子機器組立構造は、図16に示すように、例えば、下部筐体を構成する合成樹脂製のリアケース22Aの上端部に突設状態で形成された一対の嵌合用リブ23A,23Aによって、リアケース22Aの内部に内蔵アンテナ15が位置決めされた状態で固定されているともに、リアケース22Aに下部筐体を構成するフロントケース24Aが結合されて概略構成されている。
下部筐体は、内部に内蔵アンテナ15を含む電子部品が格納された状態で、共に合成樹脂製で、概略、平板状部材の周縁部に側壁部が形成された形状のリアケース22Aとフロントケース24Aとが組み合され結合されてなっている。
【0041】
リアケース22Aは、その側壁部の上端部に形成され、内蔵アンテナ15の前面と、フロントケース24Aの側壁部の上端部の内表面とを同時に押えるための一対の嵌合用リブ23A,23Aと、内表面の所定の箇所に形成され、内蔵アンテナ15の背面を押えて、嵌合用リブ23A,23Aと共に内蔵アンテナ15をリアケース22Aに固定するために用いられる一対の爪部25,25とを有している。
各嵌合用リブ23Aは、所定の深さに形成され内蔵アンテナ15を固定するためのその内面に設けられたアンテナ用嵌合凹部26と、フロントケース24Aを結合するための外面に設けられたケース嵌合用爪部41とを有している。
フロントケース24Aの側壁部の上端部の内表面には、嵌合用リブ23Aのケース用嵌合爪部41に固定される一対の凹部42,42が形成されている。
【0042】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
【0043】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、合成樹脂製の筐体を用いる場合について述べたが、合成樹脂製に限らず、例えば、マグネシウム合金製のダイカスト成形品でも良いし、他の金属製としても良いし、合成樹脂に金属を被覆した構成としても良い。
また、上端側(ヒンジ部側)に限らず、内蔵アンテナを筐体の下端側に配置する場合にも適用することができる。
【0044】
また、所定の特性を確保するために、携帯電話機の電気部品として内蔵アンテナの固定に用いて好適であるが、内蔵アンテナに限らず、例えば、電池パック等他の電子部品や機能ユニットを固定するために適用するようにしても良い。
また、単に開閉のみ可能な折畳式の携帯電話機に限らず、2軸ヒンジで、上部ユニットと下部ユニットとが、互いに開閉自在で、かつ、開閉を行うための回動軸に直交する回動軸の周りにも一方のユニットが他方のユニットに対して回動自在に相互に結合された携帯電話機にも適用できるし、折畳式以外のストレートタイプの携帯電話機にも適用できる。
また、嵌合用リブは、1対に限らず、3つ以上設けても良いし、単数でも良い。
また、この発明の電子機器組立構造は、本固定のために適用しても良いし、本固定に先立つ仮固定のために適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
携帯端末としては、携帯電話機のほか、簡易型携帯電話(PHS)端末や、携帯情報端末(PDA)、携帯型のコンピュータに対して適用できる。また、電子機器として、携帯端末のほか、無線通信機能を有するコンピュータ等に対して適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の第1の実施例である携帯電話機の下部ユニットの構成を分解して示す分解斜視図である。
【図2】同携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図3】同携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図4】同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】同下部ユニットの構成を分解して示す分解斜視図である。
【図6】同下部ユニットの構成を分解して示す分解斜視図である。
【図7】同下部ユニットの構成を示す断面図である。
【図8】図7のA部を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】同下部ユニットに組み込まれた内蔵アンテナの構成を示す斜視図である。
【図10】同内蔵アンテナの構成を示す正面図である。
【図11】同内蔵アンテナの構成を示す背面図である。
【図12】同内蔵アンテナの構成を示す平面図である。
【図13】同内蔵アンテナの構成を示す下面図である。
【図14】同内蔵アンテナの構成を示す右側面図である。
【図15】同内蔵アンテナの構成を示す左側面図である。
【図16】この発明の第2の実施例である携帯電話機の下部ユニットの要部の構成を拡大して示す拡大断面図である。
【図17】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯電話機(電子機器)
5 上部筐体
11 下部筐体(筐体)
15 内蔵アンテナ(部品、アンテナ装置)
21 電子機器組立構造
22,22A リアケース(基体、第1のフレーム)
23,23A 嵌合用リブ(固定用リブ)
23a 部品嵌合固定面(一方の面)
23b 対向ケース嵌合固定面(他方の面)
24,24A フロントケース(蓋体、第2のフレーム)
26 アンテナ用嵌合凹部(部品固定部、部品固定凹部)
26m 最奥部
27 ケース係止用凹部(フレーム固定部、フレーム固定凹部)
27m 最奥部
29 アンテナ素子
31 樹脂成形体
32 爪部(部品固定凸部)
34 爪部(フレーム固定凸部)
41 ケース嵌合用爪部(フレーム固定部)
42 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が基体、他方が蓋体を構成する第1のフレームと第2のフレームとが組み合わされ結合されてなる筐体の内部に、所定の電子部品が実装されている電子機器の組立構造であって、
前記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍には、所定の部品を係止して固定するための部品固定部と、前記第2のフレームを係止して固定するためのフレーム固定部とが設けられた固定用リブが突設され、
該固定用リブの前記部品固定部には、前記所定の部品が係止されて固定され、
前記固定用リブの前記フレーム固定部には、前記第2のフレームが係止されて固定され、
前記部品固定部と前記フレーム固定部とは、互いに重なる部位を避けて前記固定用リブに設けられている
ことを特徴とする電子機器の組立構造。
【請求項2】
一方が基体、他方が蓋体を構成する第1のフレームと第2のフレームとが組み合わされ結合されてなる筐体の内部に、所定の電子部品が実装されている電子機器の組立構造であって、
前記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍には、所定の部品を係止して固定するための部品固定凹部と、前記第2のフレームを係止して固定するためのフレーム固定凹部とが設けられた固定用リブが突設され、
該固定用リブの前記部品固定凹部には、前記所定の部品に設けられた部品固定凸部が係止されて、当該所定の部品が固定され、
前記固定用リブの前記フレーム固定凹部には、前記第2のフレームに設けられたフレーム固定凸部が係止されて、当該第2のフレームが固定され、
前記部品固定凹部と前記フレーム固定凹部とは、互いに重なる部位を避けて前記固定用リブに設けられている
ことを特徴とする電子機器の組立構造。
【請求項3】
前記固定用リブは、相対向する2つの主面を有すると共に、一方の面には、前記部品固定凹部が設けられていて、他方の面には、前記一方の面側の前記部品固定凹部と重なる部位を避けて、前記フレーム固定凹部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の電子機器の組立構造。
【請求項4】
前記固定用リブは、前記第1のフレームの内側エッジ部又はその近傍に一体的に形成され、前記部品固定凹部及び前記フレーム固定凹部は、それぞれ、所定の深さに形成され、前記部品固定凹部の最奥部と、前記フレーム固定凹部の最奥部とは、前記固定用リブの厚さ方向に沿って、略同位置にあるか、又は前記固定用リブの厚さ方向に沿って互いの前記最奥部を越えた位置まで形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の電子機器の組立構造。
【請求項5】
前記部品固定凹部は、前記固定用リブの高さ方向に沿って下位部に形成され、前記フレーム固定凹部は、前記高さ方向に沿って上位部に形成され、前記フレーム固定凹部の形成箇所の前記固定用リブの肉厚は、所定の厚さ以下に設定されていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の電子機器の組立構造。
【請求項6】
少なくとも前記第1のフレームは、樹脂成形品からなり、前記部品固定凹部は、製造の際に、肉厚が非均一な箇所で、冷却速度の差異によって、樹脂材料が成形用型から引っ込んで表面に欠陥が発生することを防止するために形成される欠陥防止用の凹部が兼用されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1に記載の電子機器の組立構造。
【請求項7】
前記固定用リブは、前記部品固定凹部に前記所定の部品の前記部品固定凸部が挿入されたときに、根元部に対して先端部が外部側に回転して倒れるように弾性的に変形し、かつ、前記フレーム固定凹部に前記第2のフレームの前記フレーム固定凸部が挿入されたときに、根元部に対して先端部が内部側に回転して倒れるように弾性的に変形するように形成されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1に記載の電子機器の組立構造。
【請求項8】
前記所定の部品は、モジュール化されたアンテナ装置からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の電子機器の組立構造。
【請求項9】
前記アンテナ装置は、アンテナ素子が樹脂成形体に埋設されて構成され、主として前記固定用リブが配置された前方側から到来した電波を受信し、主として前記前方側へ電波を放射することを特徴とする請求項8記載の電子機器の組立構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1に記載の電子機器の組立構造を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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