説明

電子機器の製造方法

【課題】残留気泡の膨張・収縮によって生じるワイヤーの断線を防止した高信頼性の電子機器の製造方法を提供する。
【解決手段】素子電極6に第1の封止樹脂12aを素子電極6の配列方向に沿って線状に塗布する。次いで、実装基板2の実装基板電極7に第2の封止樹脂12bを実装基板電極7の配列方向に沿って線状に塗布する。次いで、素子1側に塗布された第1の封止樹脂12aと、実装基板2側に塗布された第2の封止樹脂12bの一端部間を繋ぐように第3の封止樹脂12cを塗布する。最後に、前記封止樹脂12a、12b、12cからなる3辺に囲まれた空間部13に第4の封止樹脂12dを第3の封止樹脂12cの側面部から、これに対向する位置の開放部へ向かって徐々に塗布する。この動作によって、塗布時に発生する気泡14を開放部へ追い出しながら塗布できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に電子機器は、素子を実装基板に固定し、素子と実装基板とをワイヤー等により電気的に接続した後、封止樹脂をワイヤー接続部に塗布して前記ワイヤーの保護を行うようにして製造されている。
【0003】
図4は、従来技術による電子機器の一例で、液晶表示デバイスを示す図である。図4中の(A)は正面断面図、(B)は上面図、(C)は斜視図である。図4を参照し、従来技術を説明する。
【0004】
図4に示すように、素子1は実装基板2に図示しない接着材を介して固定されている。前記素子1は、例えば液晶表示素子である。前記素子1は、ワイヤー3によって電気的接続が取られている。前記ワイヤー3は、素子1に設けられた素子電極6と、実装基板2に設けられた実装基板電極7とを電気的に接続するものである。また、前記ワイヤー3は封止樹脂4及び5にて保護されている。
【0005】
図4に示す液晶表示デバイスにおいては、前記封止樹脂4の流れ出しを防止するために前記封止樹脂4の外周に塗布され、封止樹脂4の流れ防止樹脂として機能する封止樹脂5が設けられている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
図5は、従来技術による電子機器を示す図であり、半導体チップ部品の封止樹脂塗布方法を示す図である。半導体チップ部品は、基板8上にチップ9が搭載され、前記基板8に設けられた電極パッド(不図示)とチップ9上に設けられた電極パッド(不図示)がワイヤー10により電気的に接続され、封止樹脂11が塗布されて構成されている。前記半導体チップ部品の封止樹脂塗布方法は、搭載されたチップ9の周囲に間隔をおいて外壁樹脂11aを塗布して外壁樹脂11aを形成する。外壁樹脂11aは、基板8上のワイヤーとの接続部であり、前記チップ8の周囲を取り囲むようにして連続的に塗布される(a)。次に前記チップ8と外壁樹脂9の間に封止樹脂11bを流し込む(b)。最後に前記チップ8の上面に封止樹脂11cを注入する(c)。封止樹脂11が硬化してチップ部品が完成する(d)。このようにして、チップ8の壁面部(下部)からチップ8の上方に向かって樹脂を盛り上げるようにして塗布することで、樹脂をチップ8の上方から塗布する場合に生じるチップ8の壁面下部位置の気泡発生を解消した半導体チップ部品の樹脂封止方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2005−130725
【特許文献2】特開平10−50742
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4に示す構造であると、前記封止樹脂4の流れ出しを防止することは可能であるが、前記封止樹脂4形成工程において、封止樹脂4内に気泡が混入することを防止できない。封止樹脂4の形成は、ワイヤー3の上方からワイヤー3と実装基板2に向かって適量の封止樹脂4を滴下して形成するのが一般的である。前記気泡は前記封止樹脂4形成時に、前記ワイヤー3の隙間、特に前記ワイヤー3の下部に封止樹脂4を浸透させる際に生じてしまう。
【0009】
前記現象は前記封止樹脂4を塗布する工程においては一般的に生じてしまう現象であり、前記ワイヤー3下部の空気を前記封止樹脂4にて追いやる際に気泡として前記封止樹脂内に混入してしまう。特に前記ワイヤー3下部に発生した気泡は電子機器(本先行技術では液晶表示素子)の信頼性試験時にワイヤー3の断線の原因となり、高信頼性電子機器の妨げとなってしまう。
【0010】
前記信頼性試験時の前記ワイヤー3の断線は、特に温度サイクル試験時に顕著であり、温度サイクル試験実施時に前記気泡は膨張と収縮を行う。また前記封止樹脂4も同様に膨張と収縮を行うが、前記ワイヤー3は金属であるため前記気泡及び封止樹脂の膨張と収縮を追従することは困難であり、結果前記ワイヤー3部分にストレスを与えることとなり断線の原因となってしまう。
【0011】
図5に示す半導体チップ部品の封止樹脂塗布方法も同様であり、外壁部9に囲まれた範囲に塗布される樹脂11cを流し込む際に、前記流し込み時には少なからず外部雰囲気との接触により気泡が発生する可能性があり、前記樹脂11c注入時に発生した気泡は前記外壁部9により取囲まれてしまうため逃げ場所がなく、結果、気泡の除去は困難である。さらに、樹脂11b注入時に発生した気泡も前記チップ周辺部に滞在してしまい、前記気泡の除去は困難である。
【0012】
本発明は、残留気泡の膨張・収縮によって生じるワイヤーの断線を防止した高信頼性の電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明の電子機器の製造方法は、基板上に素子を実装した後、前記基板上に設けられた基板電極と前記素子上に設けられた素子電極をワイヤーボンディングにて接続し、前記ワイヤーボンディング部分に封止樹脂を塗布してワイヤーを保護する電子機器の製造方法において、少なくとも、前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程と、前記取囲まれた封止樹脂領域の内側に、前記開放部に対向する部位より前記開放部側に向かって漸次封止樹脂を塗布する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程は、前記素子電極側に封止樹脂を塗布した後に、前記基板電極側に封止樹脂を塗布し、さらに前記素子電極側に塗布した封止樹脂と前記基板電極側に塗布した封止樹脂の一端部を繋ぎ合わせるようにして封止樹脂を塗布する工程からなることを特徴とする。
【0015】
また、前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程は、前記素子電極側に封止樹脂を塗布した後に、前記封止樹脂の両端部の各々から前記基板電極側に延在するよう封止樹脂を塗布する工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、素子と実装基板の電気的接続を行うワイヤー部分保護の封止樹脂形成時に、前記封止樹脂内に気泡を残存させることのない高信頼性の電子機器製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る電子機器を示す図であり上面図と正面断面図。
【図2】本発明の一実施例で、図1の電子機器の製造工程を示す図で上面図
【図3】本発明の一実施例で、図1の電子機器の製造工程を示す図で上面図
【図4】従来技術による液晶表示デバイスを示す図で、(A)は上面図、(B)は断面図、(C)は斜視図。
【図5】半導体チップ部品の封止樹脂塗布方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の一実施例に係る電子機器を示す図であり上面図と正面断面図(上面図に示すX−X断面)である。1は素子であり、例えば半導体チップ、固体撮像素子、液晶表示素子等である。素子1は、実装基板2に、例えば熱伝導性の高い両面接着剤(不図示)で固定されており、素子1上の素子電極6と実装基板2上の実装基板電極7とは金属性のワイヤー3にて接続され電気的接続が取られている。
【0019】
前記ワイヤー3は、外部からの応力に起因する断線等を防止するため、封止樹脂12が塗布され保護ている。
【0020】
図2は、図1の電子機器の製造工程を示す図で上面図ある。図中の(1)〜(5)は、封止樹脂12が塗布される工程を示すものである。
【0021】
図2の本実施例に係る電子機器の製造工程は、下記(1)〜(4)の4工程に細分され、(1)〜(4)の順に実施されるものである。
(1)まず、素子電極6に第1の封止樹脂12aを素子電極6の配列方向に沿って線状に塗布する。当該第1の封止樹脂12aは、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(2)次いで、実装基板2の実装基板電極7に第2の封止樹脂12bを実装基板電極7の配列方向に沿って線状に塗布する。当該第2の封止樹脂12bは、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(3)次いで、素子1側に塗布された第1の封止樹脂12aと、実装基板2側に塗布された第2の封止樹脂12bの一端部間を繋ぐように第3の封止樹脂12cを塗布する。当該第3の封止樹脂12cも、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(4)最後に、前記封止樹脂12a、12b、12cからなる3辺に囲まれた空間部13に第4の封止樹脂12dを第3の封止樹脂12cの側面部から、これに対向する位置の開放部へ向かって徐々に塗布する。この動作によって、塗布時に発生する気泡14を開放部へ追い出しながら塗布できるのである。
【0022】
上述の工程にて樹脂封止を行えば、気泡14を残存させることなく封止樹脂12を塗布することができ、図2の(5)に示す電子機器が完成する。また、前記工程においては、素子電極6部分から第1の封止樹脂12aの塗布を行うことにより、素子1と実装基板2の高低差を利用して、気泡14を下方部に追いやることが可能となり、樹脂12dにて効率的に樹脂10内の気泡14の残存を防止することが可能である。
【0023】
また、本実施例による工程は、前記素子1と前記実装基板2の外形サイズが同じ際にも使用可能であり、前記実装基板2の外形寸法を損ねることなく、且つ、前記封止樹脂12塗布時の発生気泡14を前記封止樹脂12内に残存させること無く形成が可能である。
【0024】
図3は、他の実施例による電子機器の製造工程を示す図である。本工程は、下記(1)〜(4)の4工程に細分され、(1)〜(4)の順に実施されるものである。
(1)まず、素子電極6に第1の封止樹脂12aを素子電極6の配列方向に沿って線状に塗布する。当該第1の封止樹脂12aは、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(2)次いで、前記線状に塗布された第1の封止樹脂12aの一端部から、実装基板2の実装基板電極7に延在するようにして第2の封止樹脂12bを塗布する。当該第2の封止樹脂12bは、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(3)次いで、前記線状に塗布された第1の封止樹脂12aの端部で、前記第2の封止樹脂12bが塗布されていない他端部から、実装基板2の実装基板電極7に延在するようにして第3の封止樹脂12cを塗布する。当該第3の封止樹脂12cもまた、封止樹脂塗布領域の外周部の一辺をなすものである。
(4)最後に、前記封止樹脂12a、12b、12cからなる3辺に囲まれた空間部13に第4の封止樹脂12dを第1の封止樹脂12aの側面部から、これに対向する位置の開放部へ向かって徐々に塗布する。この動作によって、塗布時に発生する気泡14を開放部へ追い出しながら塗布できるのである。
【0025】
上述の工程にて樹脂封止を行えば、気泡14を残存させることなく封止樹脂12を塗布することができ、図3の(5)に示す電子機器が完成する。また、前記工程においては、素子電極6部分から第1の封止樹脂12aの塗布を行うことにより、素子1と実装基板2の高低差を利用して、気泡14を下方部に追いやることが可能となり、樹脂12dにて効率的に樹脂12内の気泡14の残存を防止することが可能である。
【0026】
また、本実施例による工程は、前記素子1と前記実装基板2の外形サイズが同じ際にも使用可能であり、前記実装基板2の外形寸法を損ねることなく、且つ、前記封止樹脂12塗布時の発生気泡14を前記封止樹脂12内に残存させること無く形成が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 素子
2 実装基板
3 ワイヤー
4 封止樹脂
5 流れ出し防止用封止樹脂
6 素子電極
7 実装基板電極
8 基板
9 チップ
10 ワイヤー
11 樹脂
11a 外壁樹脂
12 封止樹脂
12a 第1の封止樹脂
12b 第2の封止樹脂
12c 第3の封止樹脂
12d 第4の封止樹脂
13 空間部
14 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に素子を実装した後、前記基板上に設けられた基板電極と前記素子上に設けられた素子電極をワイヤーボンディングにて接続し、前記ワイヤーボンディング部分に封止樹脂を塗布してワイヤーを保護する電子機器の製造方法において、
少なくとも、前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程と、
前記取囲まれた封止樹脂領域の内側に、前記開放部に対向する部位より前記開放部側に向かって漸次封止樹脂を塗布する工程と、
を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項2】
前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程は、前記素子電極側に封止樹脂を塗布した後に、前記基板電極側に封止樹脂を塗布し、さらに前記素子電極側に塗布した封止樹脂と前記基板電極側に塗布した封止樹脂の一端部を繋ぎ合わせるようにして封止樹脂を塗布する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の製造方法。
【請求項3】
前記封止樹脂塗布領域の外周部位に、一部に開放部を有した状態で封止樹脂を塗布して前記封止樹脂塗布領域を取囲む工程は、前記素子電極側に封止樹脂を塗布した後に、前記封止樹脂の両端部の各々から前記基板電極側に延在するよう封止樹脂を塗布する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−38947(P2012−38947A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178262(P2010−178262)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】