説明

電子機器の起動システムおよびその電子機器

【課題】
待機電力が少ないIEEE1394のインターフェースを備えた電子機器の起動システムおよびその電子機器を提供する。
【解決手段】
IEEE1394システム機器40の待機中は、サブ電源411から電力が供給され、端末側起動処理チップ47にのみ電力は供給される。一方、起動するときは、ナビゲーション装置1から起動指令信号が出力され、端末側起動処理チップ47に起動指令信号が受信される。そして、電力が供給される電源がサブ電源411からメイン電源410に切り換り、IEEE1394システム機器40の動作を制御する制御回路41などに電力が供給され、IEEE1394システム機器40は起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IEEE1394のインターフェースを備えた電子機器の起動システムおよびその電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
待機電力を完全になくすことができる周辺装置が知られている(特許文献1)。この周辺装置は、電源ラインを備えたインターフェースと電源駆動回路とを有し、インターフェースの電源ラインに電力を供給すると、電源駆動回路のトランジスタスイッチがオンすることにより電力供給部による電力供給が開始され、周辺装置が起動する。
【特許文献1】特開2002−108518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている周辺装置では、インターフェースの電源ラインが不可欠である。このため、IEEE1394の4ピンの小型コネクタ、すなわち、電源ラインが省かれたDV端子を有するコネクタによって接続される周辺装置には適用できないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の電子機器の起動システムは、IEEE1394のインターフェースを通じて他の電子機器の起動を指令する起動指令信号を出力する第1の電子機器と、IEEE1394のインターフェース、起動処理を行う起動装置、動作を制御する制御装置および電力供給を制御する電源制御装置を備えた第2の電子機器とを有し、電源制御装置は、第2の電子機器の停止中は起動装置にのみ電力を供給し、第2の電子機器の停止中に、第1の電子機器より起動指令信号が起動装置に入力されると、制御装置に電力を供給することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載された電子機器の起動システムにおいて、第1の電子機器はナビゲーション装置であることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、IEEE1394のインターフェースを備えた電子機器において、電子機器の起動処理を行う起動装置と、電子機器の動作を制御する制御装置と、電子機器の電力供給を制御する電源制御装置とを備え、電源制御装置は、電子機器の停止中は起動装置にのみ電力を供給し、電子機器の停止中に、IEEE1394のインターフェースを介して電子機器の起動を指令する起動指令信号が起動装置に入力されると、制御装置に電力を供給することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載された電子機器において、電源制御装置が制御装置に電力を供給しているときは、起動装置とIEEE1394のインターフェースのPHYデバイスとの接続が切断されることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項3または4に記載された電子機器において、起動指令信号は差動信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、IEEE1394のインターフェースを備えた電子機器の停止中は、起動処理用のチップにしか電力を供給されないので、待機電力を少なくすることができる。そして、IEEE1394ケーブルの信号線のみ使用してIEEE1394のインターフェースを備えた電子機器を起動させるので、IEEE1394ケーブルが4ピンであっても6ピンであっても関係なくIEEE1394のインターフェースを備えた電子機器を起動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態による電子機器の起動システムにおけるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、地図表示や経路誘導などのナビゲーション機能のほかにIEEE1394のインターフェース18を備えており、IEEE1394システム機器40と接続することができる。ここで、IEEE1394システム機器40は、IEEE1394のインターフェースを備えている音楽再生装置などの電子機器をいう。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、IEEE1394インターフェース18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記録されたDVD−ROM110が装填される。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、乗員の要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、IEEE1394インターフェース18は、LINKチップ181、PHYチップ182、起動側起動処理チップ183およびポート184を備えて構成されるが、詳細は後述する。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ19によって読み込まれるDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0010】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてナビゲーション装置1の乗員に提供する。入力装置17は、車両の目的地などを乗員が設定するための入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。乗員は、表示モニタ16の表示画面の指示に従って入力装置17を操作することにより、目的地を選択して目的地を設定する。
【0011】
目的地が乗員により設定されると、ナビゲーション装置1は、GPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、探索ルートという)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、乗員は地図上の探索ルートを画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、探索ルートに従って車両が走行できるように、乗員に対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0012】
IEEE1394インターフェース18は、LINKチップ181と、PHYチップ182と、起動側起動処理チップ183と、ポート184とを備えている。ポート184は、IEEE1394ケーブル140を介してIEEE1394システム機器40とナビゲーション装置1とを接続する。IEEE1394は、TPAとTPBとの2つのツイストペア線により通信を行う規格であり、それぞれの通信線に対応した接続部がポート184に設けられている。PHYチップ182は、ポート184を介してIEEE1394ケーブル140から入力された信号をデコードしてLINKチップ181に出力するとともに、LINKチップ181から入力した信号をエンコードしてポート184を介してIEEE1394ケーブル140に出力する。LINKチップ181は、PHYチップ182から入力した信号を抽出して制御回路11へ出力するとともに、制御回路11から入力した信号をパケット化してPHYチップ182へ出力する。起動側起動処理チップ183は、IEEE1394システム機器40の起動指令信号を生成し、ポート184およびIEEE1394ケーブル140を介してIEEE1394システム機器40へ起動指令信号を送信する。
【0013】
ディスクドライブ19は、装填されたDVD−ROM110から、表示モニタ16に地図を表示させるための地図データを読み出す。なお、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0014】
次に、図1のIEEE1394インターフェース18について、図2を参照して詳細に説明する。ポート184は、3つのポート184a〜184cで構成され、それぞれのポート184a〜184cは、TPA+、TPA−、TPB+およびTPB−の4ピンから構成されている。各ポートの4つピンのうちのTPA+およびTPA−、またはTPB+およびTPB−は、それぞれライン21a〜21fによってPHYチップ182および起動側起動処理チップ183と接続されている。なお、各ライン21a〜21fは、図2では1本のラインで示しているが、実際は、21a、21cおよび21eはTPA+、TPA−の2つの信号線を有しており、21b、21dおよび21fはTPB+、TPB−の2つの信号線を有している。
【0015】
起動側起動処理チップ183の詳細な構成を図3に示す。起動側起動処理チップ183は、起動側起動処理チップ制御部1831と、起動側切換えスイッチ1832a〜1832fを有するスイッチ群1832とから構成される。起動側起動処理チップ制御部1831は、起動側起動処理チップ183の動作を制御する。起動側切換えスイッチ1832a〜1832fは、ライン21a〜21fと起動側起動処理チップ制御部1831との間の接続状態を切り換えるスイッチである。
【0016】
起動側切換えスイッチ1832a〜1832fの切換え動作を、起動側切換えスイッチ1832fを一例として説明する。起動側切換えスイッチ1832fは常開スイッチであり、破線側1833の位置に切り換えられており、起動側起動処理チップ制御部1831とライン21fとは切断されている。しかし、起動側起動処理チップ183からポート184へ信号を出力する場合は、起動側切換えスイッチ1832fは実線1834の閉位置に切換られ、起動側起動処理チップ制御部1831とライン21fとは接続される。他の起動側切換えスイッチ1832a〜1832eも同様に開閉する。
【0017】
IEEE1394システム機器40の構成を図4に示す。IEEE1394システム機器40は、制御回路41、ROM42、RAM43、ポート44、PHYチップ45、LINKチップ46、端末側起動処理チップ47および電源制御部48を有している。ポート44、PHYチップ46および端末側起動処理チップ47からなる部分を以下、フロントエンド部49と呼ぶ。
【0018】
制御回路41は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM43を作業エリアとしてROM42に格納された制御プログラムを実行して、IEEE1394システム機器1の各種の動作の制御を行う。
【0019】
ポート44は、IEEE1394ケーブル140を介してIEEE1394システム機器40をナビゲーション装置1のポート184と接続する。PHYチップ45は、IEEE1394ケーブル140とポート44を介して、ナビゲーション装置1から送信されてくる信号をデコードしてLINKチップ46に出力する。また、LINKチップ46から入力した信号をエンコードして、ポート44を介してIEEE1394ケーブル140に出力する。LINKチップ46は、PHYチップ45から入力した信号を抽出して制御回路41へ出力するとともに、制御回路41から入力した信号をバケット化してPHYチップ45へ出力する。
【0020】
端末側起動処理チップ47は、IEEE1394ケーブル140から入力される信号によりIEEE1394システム機器40の起動を制御する。電源制御部48は、メイン電源410とサブ電源411とに接続されている。メイン電源410は、IEEE1394システム機器40が稼働しているときに制御回路41などに電力を供給するものである。サブ電源411は、IEEE1394システム機器40が停止しているときに起動処理チップ47にのみ電力を供給するものであり、起動待機状態のIEEE1394システム機器40で必要最小限の電力を供給する。電源制御部48は、IEEE1394システム機器40に供給される電力の供給元をメイン電源410とサブ電源411との間で切り換える。また、電源制御部48は、現在の電力の供給元がメイン電源410であるかサブ電源411であるかの情報を起動処理チップ47へ出力する。
【0021】
IEEE1394システム機器40のフロントエンド部49の詳細な構成を図5に示す。ポート44は、3つのポート44a〜44cで構成され、それぞれのポート44a〜44cは、TPA+、TPA−、TPB+およびTPB−の4ピンから構成される。各ポートの4つのピンTPA+およびTPA−、またはTPB+およびTPB−は、それぞれライン51a〜51fによってPHYチップ45および起動処理チップ47と接続している。なお、各ライン51a〜51fは、図5では1本のラインで示しているが、実際は、51a、51cおよび51eは、TPA+、TPA−の2つの信号線を有しており、51b、51dおよび51fは、TPB+、TPB−の2つの信号線を有している。
【0022】
端末側起動処理チップ47の詳細な構成を図6に示す。端末側起動処理チップ47は、端末側起動処理チップ制御部471と、端末側切換えスイッチ472a〜472fを有するスイッチ群472とから構成される。端末側起動処理チップ制御部471は、端末側起動処理チップ47の動作を制御する。端末側切換えスイッチ472a〜472fは、ライン51a〜51fと端末側起動処理チップ制御部471との間の接続状態を切り換えるスイッチである。
【0023】
端末側切換えスイッチ472a〜472fの切換え動作を、切換えスイッチ472fを一例として説明する。IEEE1394システム機器40がサブ電源411から電力の供給を受けているときは、端末側切換えスイッチ472fは実線473の閉位置に切り換えられている。このため、端末側起動処理チップ制御部471とライン51fとは接続される。一方、IEEE1394システム機器40がメイン電源410より電力の供給を受けているときは、端末側切換えスイッチ472fは破線474の開位置に切り換えられ、端末側起動処理チップ制御部471とライン51fとが切断される。端末側切換えスイッチ472a〜472eも同様に開閉する。
【0024】
上記のように端末側切換えスイッチ472a〜472fが動作するので、IEEE1394システム機器40がサブ電源411から電力供給を受けているときは、ポート44に入力される信号は端末側起動処理チップ47によって受信され、メイン電源410より電力供給を受けているときは、PHYチップ45によって受信される。IEEE1394システム機器40がサブ電源411から電力の供給を受けているとき、PHYチップ45もポート44と接続しているが、PHYチップ45には電力が供給されないため、起動指令信号が入力されてもPHYチップ45は認識することはできない。
【0025】
本発明の実施形態による電子機器の起動システムにおけるナビゲーション装置1は、停止しているIEEE1394システム機器40に対し、起動指令信号を出力することによってIEEE1394システム機器40を起動する。
【0026】
次に、図1および図4を参照して停止しているIEEE1394システム機器をナビゲーション装置1により起動する手順を説明する。
【0027】
ナビゲーション装置1は、図1に示すようにメイン電源410と接続しており、エンジンのイグニッションスイッチがオンになると自動的に起動する。一方、IEEE1394システム機器40は、図4に示すようにメイン電源410およびサブ電源411と接続している。そして、起動しているときはメイン電源410より電力供給を受け、停止中はサブ電源411より電力供給を受ける。ここで、IEEE1394システム機器40は停止中であり、サブ電源411より電力供給を受けているものとする。
【0028】
ナビゲーション装置1から、起動指令信号がIEEE1394システム機器40に出力されると、起動指令信号を受信したIEEE1394システム機器40は、電力供給を受けている電源をサブ電源411からメイン電源410へ切り換える。これにより、電力がIEEE1394システム機器40の制御回路41に供給され、IEEE1394システム機器40が起動する。
【0029】
図7を参照して、ナビゲーション装置1からIEEE1394機器40へ出力される起動指令信号について説明する。
【0030】
ナビゲーション装置1から出力される起動指令信号は起動側起動処理チップ183から出力され、IEEE1394システム機器40の端末側起動処理チップ47に入力される。起動指令信号は、起動を指令するデータ信号と、データ信号と同期するためのクロック信号から構成される。データ信号は、TPA+から出力される信号およびTPA−から出力される信号による差動信号として出力され、クロック信号は、TPB+から出力される信号およびTPB−から出力される信号の差動信号として出力される。そして、出力されたデータ信号は、端末側起動処理チップ47のTPB+およびTPB−に入力され、クロック信号は、TPA+およびTPA−に入力される。
【0031】
端末側起動処理チップ47に起動指令信号が入力されると、端末側起動処理チップ47は、電源制御部48に対して、IEEE1394システム機器40に供給される電力の供給元をサブ電源411からメイン電源410へ切り換える指令信号を出力する。そして、端末側起動処理チップ47内の端末側切換えスイッチ472a〜472fを開位置474に切換え、PHYチップ45のみがライン51a〜51fと接続するようにする。その結果、IEEE1394システム機器40に供給される電源がサブ電源411からメイン電源410に切り換わり、制御回路41にも電力が供給される。そして、IEEE1394システム機器40は起動する。
【0032】
ナビゲーション装置1の制御回路11における起動指令処理を図8のフローチャートを参照して説明する。図8の処理は、ナビゲーション装置1に接続されているIEEE1394システム機器40に何らかの動作を開始させるときにスタートするプログラムを制御回路11で実行して行われる。たとえば、ナビゲーション装置1に、IEEE1394インターフェースを介して音楽を演奏するCDプレーヤーが接続されている場合、ナビゲーション装置1のCD再生ボタン(不図示)を操作したときに上記プログラムが実行される。
【0033】
ステップS801では、PHYチップ182のTPA+、TPA−のラインを用いてIEEE1394システム機器40に対して、起動確認信号を出力する。ここで、起動確認信号とは、IEEE1394システム機器40が起動していることを確認するための信号である。IEEE1394システム機器40が起動しているときは、起動確認信号はIEEE1394システム機器40のPHYチップ45に入力され、PHYチップ45は、TPA+、TPA−のラインを用いて応答信号を出力する。この応答信号は、ナビゲーション装置1のPHYチップ182で受信される。一方、IEEE1394機器40が起動していないときは、起動確認信号は端末側起動処理チップ47に入力されるが、起動確認信号が入力されても端末側起動処理チップ47は応答信号を出力しないように構成されている。このため、IEEE1394システム機器40から応答信号を受信したか否かによって、ナビゲーション装置1は、IEEE1394システム機器40が起動しているか否かを知ることができる。
【0034】
ステップS802では、応答信号が入力されたか判定を行う。応答信号が入力された場合は、ステップS802は肯定判定され、すでにIEEE1394システム機器40は起動しているので、起動指令処理は終了する。応答信号が入力されない場合は、ステップS802は否定判定され、ステップS803へ進む。ステップS803では、起動側切換えスイッチ1832a〜1832fを閉じて、起動側起動処理チップ制御部1831とライン21a〜21fとを接続する。ステップS804では、起動側起動処理チップ183より起動指令信号を出力する。ステップS805では、起動側切換えスイッチ1832a〜1832fを開放して、起動側起動処理チップ制御部1831とライン21a〜21fとを切断する。そして、ステップS801へ戻る。
【0035】
次にIEEE1394システム機器40の端末側起動処理チップ47における起動処理を図9のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、起動指令信号を受信したときにスタートするプログラムを端末側起動処理チップ47で実行して行われる。
【0036】
ステップS901では、ナビゲーション装置1から出力された起動指令信号が受信されたか判定を行う。起動指令信号が受信された場合は、ステップS901は肯定判定され、ステップS902へ進む。起動指令信号が受信されない場合は、ステップS901を繰り返す。ステップS902では、端末側起動処理チップ47は、電源制御部48に対して、IEEE1394システム機器40に供給される電源をサブ電源411からメイン電源410へ切り換えることを指令する指令信号を出力する。
【0037】
ステップS903では、電源制御部48からの信号によりIEEE1394システム機器40に供給される電源がサブ電源411からメイン電源410に切り換ったか判定する。サブ電源411からメイン電源410に切り換った場合は、ステップS903は肯定判定され、ステップS904へ進む。まだ切り換わっていない場合は、S903は否定判定され、ステップS903の判定を繰り返す。ステップS904では、端末側起動処理チップ47に設けられた端末側切換えスイッチ472a〜472fを開放することによって、端末側起動処理チップ制御部471とライン51a〜51fとを切断する。そして、起動処理を終了する。
【0038】
以上説明した本発明の実施の形態による電子機器の起動システムは次のような作用効果を奏する。
(1)IEEE1394システム機器40の停止中は、電力は端末側起動処理チップ47にのみ供給される。このため、IEEE1394システム機器40の停止中の待機電力を低減することができる。
(2)IEEE1394システム機器40の起動処理には、TPA+、TPA−、TPB+、TPB−の信号線を使用するため、電力ラインを持たない4ピンのIEEE1394ケーブルを介してIEEE1394システム機器40を起動させることができる。
(3)PHYチップ45が稼働しているときは、端子側切換えスイッチ472a〜472fを開放して、PHYチップ45と端末側起動処理チップ制御部471とを切断するようにしたので、PHYチップ45と端末側起動処理チップ制御部471の誤動作を防ぐことができる。
(4)IEEE1394システム機器40へ送信される起動指令信号は差動信号であるので、耐ノイズ性に優れ、起動する必要のないIEEE1394システム機器40がノイズで起動することを防止することができる。
【0039】
以上の実施形態では、IEEE1394システム機器40を起動させる装置はナビゲーション装置1であったが、起動指令信号をIEEE1394ケーブルの信号ラインを介してIEEE1394システム機器40に送信できる電子機器であれば、本発明はナビゲーション装置1に限定されない。たとえば、パーソナルコンピュータなどでもよい。
【0040】
以上の実施形態では、起動指令信号は、データ信号とクロック信号で構成されたが、データ信号とストローブ信号で構成してもよい。
【0041】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の第1の電子機器はナビゲーション装置1に対応し、第2の電子機器はIEEE1394システム機器40に対応する。起動装置は端末側起動処理チップ47に対応し、制御装置は制御回路41に対応する。電源制御装置は電源制御部48に対応し、PHYデバイスはPHYチップ45に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置のIEEE1394インターフェースを説明するための図である。
【図3】起動側起動処理チップを説明するための図である。
【図4】本発明のIEEE1394システム機器の構成を説明するための図である。
【図5】フロントエンド部の詳細な構成を説明するための図である。
【図6】端末側起動処理チップを説明するための図である。
【図7】起動指令信号を説明するための図である。
【図8】ナビゲーション装置の起動指令処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】IEEE1394システム機器の起動処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
140 IEEE1394ケーブル
18 IEEE1394インターフェース
181,46 LINKチップ
182,45 PHYチップ
183 起動側起動処理チップ
1831 起動側起動処理チップ制御部
1832a〜1832f 起動側切換えスイッチ
184,44 ポート
40 IEEE1394システム機器
47 端末側起動処理チップ
471 端末側起動処理チップ制御部
472a〜472e 端末側切換えスイッチ
48 電源制御部
410 メイン電源
411 サブ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IEEE1394のインターフェースを通じて他の電子機器の起動を指令する起動指令信号を出力する第1の電子機器と、
IEEE1394のインターフェース、起動処理を行う起動装置、動作を制御する制御装置および電力供給を制御する電源制御装置を備えた第2の電子機器とを有し、
前記電源制御装置は、前記第2の電子機器の停止中は前記起動装置にのみ電力を供給し、前記第2の電子機器の停止中に、前記第1の電子機器より前記起動指令信号が前記起動装置に入力されると、前記制御装置に電力を供給することを特徴とする電子機器の起動システム。
【請求項2】
請求項1に記載された電子機器の起動システムにおいて、
前記第1の電子機器はナビゲーション装置であることを特徴とする電子機器の起動システム。
【請求項3】
IEEE1394のインターフェースを備えた電子機器において、
前記電子機器の起動処理を行う起動装置と、
前記電子機器の動作を制御する制御装置と、
前記電子機器の電力供給を制御する電源制御装置とを備え、
前記電源制御装置は、前記電子機器の停止中は前記起動装置にのみ電力を供給し、前記電子機器の停止中に、前記IEEE1394のインターフェースを介して前記電子機器の起動を指令する起動指令信号が前記起動装置に入力されると、前記制御装置に電力を供給することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載された電子機器において、
前記電源制御装置が前記制御装置に電力を供給しているときは、前記起動装置と前記IEEE1394のインターフェースのPHYデバイスとの接続が切断されることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3または4に記載された電子機器において、
前記起動指令信号は差動信号であることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−201852(P2006−201852A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10412(P2005−10412)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】