説明

電子機器の開閉蓋構造

【課題】 簡単な構造で、製造コストが安く、且つ開閉操作性が良い電子機器の開閉蓋構造を提供する。
【解決手段】 機器本体1の開口部8を塞ぐ蓋本体11と、この蓋本体11の両端部側に位置して機器本体1に固定される一対の固定部12とを、一対のねじれ変形連結部13によってねじれ変形可能に連結した。従って、蓋本体11を機器本体1の開口部8に対して開閉する際に、一対のねじれ変形連結部13がねじれ変形することにより、蓋本体11を回転させて開口部8を開閉させることができるので、蓋本体11の開閉操作性が良い。また、蓋本体11の両端部に一対の固定部12を一対のねじれ変形連結部13によって連結するだけであるから、構造が簡単であり、また機器本体1の開口部8に蓋本体11を対応させて一対の固定部12を機器本体1に固定するだけ、容易に組み付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機や携帯電話機、電子カメラなどの電子機器に用いられて機器本体に設けられた開口部を開閉自在に覆う電子機器の開閉蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子カメラなどの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、機器本体にメモリカードを挿入するための細長い長方形状の開口部を設けると共に、この機器本体に開口部を塞ぐための長方形状の開閉蓋を開閉自在に設け、この開閉蓋を開いて機器本体にメモリカードを挿脱するように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−152351号公報
【0004】
このような電子機器の開閉蓋構造は、開口部の長手方向に沿う一辺部に対応する機器本体の箇所に一対の支持突起部を設け、開閉蓋の一辺部に一対の連結突起部を設け、この一対の連結突起部を一対の支持突起部の間に配置し、この状態で一対の連結突起部と一対の支持突起部とを連結軸によって回転自在に連結することにより、開閉蓋を開閉自在に機器本体に取り付けた構成になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の電子機器における開閉蓋構造では、機器本体に一対の支持突起部を設け、開閉蓋に一対の連結突起部を設け、この一対の連結突起部と機器本体の一対の支持突起部とを連結軸によって回転可能に連結する構成であるから、構造が複雑で、組立作業が煩雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、製造コストが安く、且つ開閉操作性が良い電子機器の開閉蓋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、機器本体の開口部を開閉自在に覆う電子機器の開閉蓋構造において、前記開口部を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体の両端部側に位置して前記機器本体に固定される一対の固定部と、前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部とを備えていることを特徴とする電子機器の開閉蓋構造である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記蓋本体と前記一対の固定部と前記一対のねじれ変形連結部とが、軟質材料によって一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記一対のねじれ変形連結部が、前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部との間にそれぞれ形成された一対の切込溝部によって、前記蓋本体と前記一対の固定部とが連続する方向に沿う一辺部側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記一対の切込溝部における前記一対のねじれ変形連結部に接触する箇所に、前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部とに食い込む食込み部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記一対のねじれ変形連結部が、その両者を結ぶ直線が前記開口部の領域外を通過する位置に対応する前記機器本体の箇所に位置していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記蓋本体と前記一対の固定部とに、補強板がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記蓋本体に、前記開口部に着脱可能に密着して挿入するパッキン部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、機器本体に固定された一対の固定部に一対のねじれ変形連結部によって連結された蓋本体を機器本体の開口部に対して開閉する際に、一対のねじれ変形連結部がそれぞれねじれ変形することにより、一対のねじれ変形連結部を中心に蓋本体を回転させて機器本体の開口部を開閉させることができるので、蓋本体の開閉操作性が良い。
【0015】
また、蓋本体の両端部に一対の固定部を一対のねじれ変形連結部によって連結するだけであるから、構造が簡単であると共に、機器本体の開口部に蓋本体を対応させて一対の固定部を機器本体に固定するだけで、簡単に組み付けることができる。このため、簡単な構造で、組み立て作業性が良く、製造コストを安くすることができると共に、蓋本体の開閉操作性が良いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明を携帯端末機に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1の携帯端末機を斜め下側から見た斜視図である。
【図3】図2の携帯端末機において要部を示した拡大斜視図である。
【図4】図3の開閉蓋を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大裏面図、(c)は蓋本体を回転させて開いた状態を示した拡大正面図である
【図5】図3のA−A矢視において一部を省略した拡大断面図である。
【図6】図3のB−B矢視における拡大断面図である。
【図7】図2の携帯端末機において蓋本体を開いた状態を示した斜視図である。
【図8】図7の携帯端末機において要部を示した拡大斜視図である。
【図9】図4の開閉蓋において切込溝部の各変形例を示し、(a)はその第1変形例を示した要部の拡大正面図、(b)はその第2変形例を示した要部の拡大正面図、(c)はその第3変形例を示した要部の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図8を参照して、この発明を携帯端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯端末機は、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)であり、図1および図2に示すように、機器本体1を備えている。この機器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成されている。
【0018】
上部ケース2の上面には、図1に示すように、入力表示部4とキー入力部5とが設けられている。入力表示部4は、透明なタッチパネルの下に表示パネルを重ね合わせたものであり、透明タッチパネルを通して表示パネルに表示された情報を見ながら、タッチペンで透明なタッチパネルをタッチ操作することにより、情報を入力するように構成されている。キー入力部5は、テンキー、決定キーなどの各種のキーを備え、この各種のキーをキー操作することにより、そのキー操作に応じて情報を入力するように構成されている。
【0019】
また、このキー入力部5側に位置する機器本体1の内部には、図7および図8に示すように、メモリカード6が挿脱可能に挿入するカード装着部7が設けられている。この場合、カード装着部7に対応する機器本体1の下部ケース3は、その底部が下側に少し膨らんだ状態で形成されている。この下部ケース3におけるキー入力部5側に位置する端部の側面には、図7および図8に示すように、メモリカード6が挿通する開口部8が設けられている。この開口部8は、下部ケース3の端部の側面(図7では左側の側面)に横方向(図7では左右方向)に細長い長方形状に形成されている。
【0020】
また、この下部ケース3の端部側面には、図2〜図8に示すように、開口部8を開閉自在に覆う開閉蓋10が取り付けられている。この開閉蓋10は、図4〜図6に示すように、開口部8を塞ぐ蓋本体11と、この蓋本体11の両端部側に位置して機器本体1の下部ケース3の端部側面に固定される一対の固定部12と、蓋本体11の両端部と一対の固定部12とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部13とを備えている。
【0021】
蓋本体11は、図2〜図8に示すように、開口部8の外形よりも少し大きい横長のほぼ逆台形状に形成されている。一対の固定部12は、その一辺の長さが蓋本体11の両端部における上下方向の長さとほぼ同じ長さの四角形状に形成されている。一対のねじれ変形連結部13は、蓋本体11の両端部における上部と一対の固定部12の上部との間に形成されている。
【0022】
これら蓋本体11と一対の固定部12と一対のねじれ変形連結部13とは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、塩化ビニルなどの軟質材料によって一体に形成されている。この場合、軟質材料としては、靭性の高いシリコーンゴムが好ましい。これにより、蓋本体11は、図4(a)〜図4(c)に示すように、一対のねじれ変形連結部13がそれぞれ弾力的にねじれ変形することにより、この一対のねじれ変形連結部13を中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0023】
この場合、一対のねじれ変形連結部13は、図2〜図4に示すように、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間にそれぞれ形成された一対の切込溝部14によって形成されている。この切込溝部14は、図4(a)および図4(b)に示すように、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間において下端部から上辺側に向けて形成されている。この場合、切込溝部14は、全体がほぼT字形状に形成されている。
【0024】
すなわち、この切込溝部14の上部には、蓋本体11と一対の固定部12とに食い込む食込み部14aが形成されている。これにより、一対のねじれ変形連結部13は、図4(a)に示すように、一対の切込溝部14の上部に形成された食込み部14aが蓋本体11と一対の固定部12とに食い込んでいることにより、蓋本体11と一対の固定部12とが連続する方向(図4(a)では左右方向)に沿う一対のねじれ変形連結部13の長さ(L)が、一対の切込溝部14の下部側の各溝幅(W)よりも長く形成されている。
【0025】
すなわち、一対のねじれ変形連結部13は、図4(a)および図4(b)に示すように、一対の切込溝部14における一対のねじれ変形連結部13に接触する箇所が、食込み部14aによって蓋本体11と一対の固定部12とが連続する方向(図4(a)では左右方向)に沿って長く形成されていることにより、蓋本体と一対の固定部12とが連続する方向の長さが切込溝部14の下部側の各溝幅(W)よりも長い所定の長さ(L)に形成されている。
【0026】
これにより、一対のねじれ変形連結部13は、その断面形状が一定の状態で、所定の長さ(L)に形成されていることにより、一対の固定部12に対して蓋本体11が上下方向に回転する際に、弾力的にねじれ易くなり、蓋本体11の回転力が最適になると共に、蓋本体11が元の位置に戻る復帰力も最適になるように構成されている。
【0027】
この場合、一対のねじれ変形連結部13は、その長さが所定の長さ(L)よりも短いと、一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、ねじれ難くなり、蓋本体11の回転力が大きくなると共に、蓋本体11が元の位置に戻る復帰力も大きくなるので、蓋本体11の開閉操作性が低下する。また逆に、一対のねじれ変形連結部13は、その長さが所定の長さ(L)よりも長く形成されていると、一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、伸び易くなるため、蓋本体11の回転動作が不安定になると共に、耐久性が低下し、破損し易くなる。
【0028】
また、一対のねじれ変形連結部13は、図7および図8に示すように、その両者を結ぶ直線が開口部8の領域外における上部側を通過する位置、つまり開口部8の上辺部よりも少し上側に位置する箇所に対応した状態で、下部ケース3の端部側面に位置している。すなわち、この一対のねじれ変形連結部13は、開口部8の上辺部よりも少し上側に位置する箇所に対応していることにより、蓋本体11を上方に回転させた際に、開口部8が完全に露出するように構成されている。
【0029】
一方、蓋本体11と一対の固定部12とには、図4〜図6に示すように、補強板15がそれぞれ設けられている。この補強板15は、蓋本体11と一対の固定部12とを補強するためのものであり、硬質の合成樹脂または金属からなり、蓋本体11と一対の固定部12との各内面に接着剤または嵌め込みによって取り付けられている。
【0030】
この場合、一対の固定部12に取り付けられた補強板15には、図4〜図6に示すように、一対の固定部12を下部ケース3の端部側面に固定するためのビス16が挿入するビス挿入孔15aがそれぞれ設けられている。これに伴って、一対の固定部12には、ビス16の頭部が配置する座ぐり孔12aが設けられている。
【0031】
また、蓋本体11の内面には、図4〜図6に示すように、機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8に着脱可能に密着して挿入するパッキン部17が一体に形成されている。このパッキン部17は、蓋本体11と同じ軟質材料からなり、全体が枠形状に形成されている。すなわち、このパッキン部17は、その外周面が開口部8の内周面とほぼ同じ大きさに形成され、その内部にカード装着部7に装着されてカード装着部7から突出したメモリカード6の端部が挿入するように構成されている。
【0032】
この場合、パッキン部17の外周部には、図5および図6に示すように、パッキン部17が下部ケース3の開口部8に挿入された際に、開口部8の周縁部における内面に弾接して蓋本体11の内面を開口部8の周縁部における外面に弾接させて弾力的に挟み付けるための弾接突起部18が、パッキン部17の全周に沿って連続して設けられている。
【0033】
この弾接突起部18には、図5および図6に示すように、下部ケース3の内側に位置する先端部から蓋本体11側に向けて傾斜する傾斜面18aが形成されている。これにより、弾接突起部18は、パッキン部17が開口部8内に挿入する際に、開口部8の縁部が傾斜面18aに沿って相対的に移動しながら弾性変形して開口部8内に挿入し、またパッキン部17を開口部8内から抜き出す際に、傾斜面18aによって容易に弾性変形して抜け出すように構成されている。
【0034】
このような携帯端末機の開閉蓋構造によれば、開閉蓋10が、機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8を塞ぐ蓋本体11と、この蓋本体11の両端部側に位置して下部ケース3に固定される一対の固定部12と、蓋本体11の両端部と一対の固定部12とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部13とを備えた構成であるから、簡単な構造で、製造コストが安く、且つ開閉操作性が良いものを提供することができる。
【0035】
すなわち、機器本体1の下部ケース3に固定された一対の固定部12に一対のねじれ変形連結部13によって連結された蓋本体11を下部ケース3に設けられた開口部8に対して開閉する際に、一対のねじれ変形連結部13がそれぞれねじれ変形することにより、一対のねじれ変形連結部13を中心に蓋本体11を回転させて下部ケース3の開口部8を開閉させることができるので、蓋本体11の開閉操作性が良い。
【0036】
また、蓋本体11の両端部に一対の固定部12を一対のねじれ変形連結部13によって連結しただけの構成であるから、構造が簡単であり、また機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8に蓋本体11を対応させて一対の固定部12を機器本体1の下部ケース3にビス16によって固定するだけで良いので、容易に組み付けることができる。これにより、構造が簡単で、組み立て作業性が良く、製造コストを安くすることができると共に、蓋本体11の開閉操作性の良いものを提供することができる。
【0037】
この場合、蓋本体11と一対の固定部12と一対のねじれ変形連結部13とは、シリコーンゴムなどの軟質材料によって一体に形成されているので、蓋本体11と一対の固定部12とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部13を備えていても、簡単に開閉蓋10を成形することができる。このため、生産性の向上を図ることができると共に、部品点数を最小限に減らすことができ、これにより低価格化を図ることができる。
【0038】
また、一対のねじれ変形連結部13は、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間にそれぞれ形成された一対の切込溝部14によって、蓋本体11と一対の固定部12とにおける両者の連続方向に沿う一辺部側、つまり蓋本体11と一対の固定部12との上辺部側に形成されているので、開閉蓋10を製作する際に、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間にそれぞれ切込溝部14を形成すだけで、簡単に蓋本体11と一対の固定部12とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部13を形成することができる。
【0039】
この場合、一対の切込溝部14における一対のねじれ変形連結部13に接触する箇所は、蓋本体11の両端部と一対の固定部12とに食い込む食込み部14aがそれぞれ形成されているので、この食込み部14aによって蓋本体11と一対の固定部12とが連続する方向に沿う一対のねじれ変形連結部13の長さを一対の切込溝部14の各溝幅(W)よりも長い所定の長さ(L)に形成することができ、これにより一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、一対のねじれ変形連結部13が容易にねじれるようにすることができる。
【0040】
すなわち、一対のねじれ変形連結部13は、その長さが食込み部14aによって所定の長さ(L)に形成されていることにより、一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、弾力的にねじれ易くことができ、これにより蓋本体11の回転力を最適な状態にすることができると共に、蓋本体11が元の位置に戻る復帰力も最適な状態にすることができ、このため蓋本体11の開閉操作性を向上させることができる。
【0041】
すなわち、蓋本体11を開く際には、一対のねじれ変形連結部13のねじれに伴う弾性力が蓋本体11に付与されるので、蓋本体11を安定した状態で良好に開く方向に回転させることができる。また、蓋本体11を閉じる際には、一対のねじれ変形連結部13のねじれ変形に伴う弾性復帰力が蓋本体11に付与されるので、蓋本体11を閉じる方向に自動的に且つ良好に回転させることができる。
【0042】
この場合、一対のねじれ変形連結部13の長さが所定の長さ(L)よりも短く形成されていると、一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、一対のねじれ変形連結部13がねじれ難くなり、蓋本体11の回転力が大きくなると共に、元の位置に戻る復帰力も大きくなるので、蓋本体11の開閉操作性が低下する。また逆に、一対のねじれ変形連結部13の長さが所定の長さ(L)よりも長く形成されていると、一対の固定部12に対して蓋本体11が回転する際に、一対のねじれ変形連結部13が伸び易くなるため、蓋本体11の回転動作が不安定になると共に、耐久性が低下し、破損し易くなる。
【0043】
また、一対のねじれ変形連結部13は、その両者を結ぶ直線が開口部8の領域外を通過する位置に対応する下部ケース3の箇所に位置しているので、一対のねじれ変形連結部13を中心に蓋本体11を回転させた際に、蓋本体11を機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8の領域外に回転移動させることができ、これにより開口部8を完全に露出させた状態で良好に開くことができる。
【0044】
すなわち、一対のねじれ変形連結部13は、機器本体1の下部ケース3における開口部8の上辺部の両側上方に対応する箇所に位置しているので、一対のねじれ変形連結部13を中心に蓋本体11を上方に回転させた際に、蓋本体11を機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8の上方に回転移動させることができ、これにより開口部8を完全に且つ良好に露出させることができる。このため、メモリカード6を下部ケース3の開口部8から機器本体1内のカード装着部7に容易に且つ良好に挿入させることができる。
【0045】
また、蓋本体11と一対の固定部12とには、補強板15がそれぞれ設けられていることにより、蓋本体11と一対の固定部12とがシリコーンゴムなどの軟質材料で形成されていても、補強板15によって蓋本体11と一対の固定部12とを補強することができる。このため、蓋本体11を開閉する際に、その開閉力を一対のねじれ変形連結部13に集中させることができ、これにより良好に一対のねじれ変形連結部13をねじれ変形させることができるほか、一対の固定部12を機器本体1の下部ケース3にビス16によって固定する際に、一対の固定部12を下部ケース3に確実に且つ強固に固定することできる。
【0046】
さらに、蓋本体11には、機器本体1の下部ケース3に設けられた開口部8に着脱可能に密着して挿入するパッキン部17が一体に形成されているので、開口部8を確実に且つ良好に密閉することができ、これにより水滴や塵埃が機器本体1内に侵入するのを確実に防ぐことができる。この場合、蓋本体11を開閉する際に、パッキン部17が開口部8内に挿入して密着する構成であっても、蓋本体11に補強板15が設けられていることにより、蓋本体11を円滑に且つ良好に開閉することができる。
【0047】
また、このパッキン部17の外周部には、パッキン部17が下部ケース3の開口部8に挿入された際に、開口部8の周縁部における内面に弾接して蓋本体11の内面を開口部8の周縁部における外面に弾接させる弾接突起部18が、パッキン部17の全周に沿って連続して設けられているので、パッキン部17を開口部8に確実に密着させることができ、より一層、気密性を確保することができる。
【0048】
この場合、弾接突起部18には、下部ケース3の内側に位置する先端部から蓋本体11側に向けて傾斜する傾斜面18aが形成されていることにより、弾接突起部18が開口部8内に挿入する際に、開口部8の縁部が傾斜面18aに沿って相対的に移動しながらパッキン部17を弾性変形させることができるので、パッキン部17を開口部8内に円滑に且つ容易に挿入させることができる。また、パッキン部17を開口部8内から抜き出す際には、傾斜面18aによって弾接突起部18を容易に弾性変形させることができるので、パッキン部17を開口部8内から容易に且つ円滑に抜き出すことができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、蓋本体11と一対の固定部12との間に設けられた切込溝部14をT字形状に形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図9(a)〜図9(c)にそれぞれ示す第1〜第3の各変形例のように形成しても良い。すなわち、図9(a)に示された第1変形例のように、切込溝部20の幅(W1)を広くして、ねじれ変形連結部13の長さを所定の長さ(L=W1)に形成しても良い。
【0050】
また、図9(b)に示された第2変形例のように、切込溝部14の上部に逆三角形状または逆台形状の食込み部21を形成して、ねじれ変形連結部13の長さを、切込溝部14の溝幅(W)よりも長い所定の長さ(L)に形成しても良い。さらに、図9(c)に示された第3変形例のように、切込溝部14の上部に円形状または楕円形状の食込み部22を形成して、ねじれ変形連結部13の長さを、切込溝部14の溝幅(W)よりも長い所定の長さ(L)に形成しても良い。
【0051】
また、上述した実施形態では、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間に切込溝部14を下端部から上辺部側に向けて形成することにより、蓋本体11と一対の固定部12との上辺部側に一対のねじれ変形連結部13を設けた場合について述べたが、これに限らず、蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間に切込溝部14を上端部から下辺部側に向けて形成することにより、蓋本体11と一対の固定部12との下辺部側に一対のねじれ変形連結部13を設けた構成でも良い。要するに、一対のねじれ変形連結部13は、その両者を結ぶ直線が開口部8の領域外を通過する位置に対応する箇所に位置していれば良い。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、蓋本体11と一対の固定部12と一対のねじれ変形連結部13とをシリコーンゴムなどの軟質材料によって一体に形成した場合について述べたが、必ずしも同じ軟質材料で一体に形成する必要はなく、例えば2色成形によって異なる軟質材料で一体的に形成した構成であっても良く、またねじれ変形連結部13は必ずしも軟質材料である必要はなく、コイルばねであっても良い。この場合には、コイルばねをインサート成形によって蓋本体11の両端部と一対の固定部12との間に一体的に形成すれば良い。
【0053】
また、上述した実施形態では、蓋本体11と一対の固定部12とに補強板15を接着剤または嵌め込みによって取り付けた場合について述べたが、これに限らず、蓋本体11と一対の固定部12とに補強板15をインサート成形によって一体に形成しても良い。
【0054】
さらに、上述した実施形態では、機器本体1内にメモリカード6が挿入するカード装着部7を設け、このカード装着部7に対応する下部ケース3の箇所に開口部8を設けた場合について述べたが、これに限らず、外部機器と電気的に接続するためのUSBコネクタや電源ジャックなどのコネクタが設けられた機器本体1の箇所に開口部8を設け、この開口部8に開閉蓋10を取り付ける場合にも適用することができる。
【0055】
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの携帯端末機に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯端末機である必要はなく、例えば携帯電話機や電子カメラ、電子辞書などの携帯型の電子機器に適用することができるほか、携帯型の電子機器に限らず、電子レジスタやパーソナルコンピュータなどの各種の電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 機器本体
2 上部ケース
3 下部ケース
6 メモリカード
7 カード装着部
8 開口部
10 開閉蓋
11 蓋本体
12 一対の固定部
13 一対のねじれ変形連結部
14、20 切込溝部
14a、21、22 食込み部
15 補強板
17 パッキン部
18 弾接突起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の開口部を開閉自在に覆う電子機器の開閉蓋構造において、
前記開口部を塞ぐ蓋本体と、
前記蓋本体の両端部側に位置して前記機器本体に固定される一対の固定部と、
前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部とをねじれ変形可能に連結する一対のねじれ変形連結部と
を備えていることを特徴とする電子機器の開閉蓋構造。
【請求項2】
前記蓋本体と前記一対の固定部と前記一対のねじれ変形連結部とは、軟質材料によって一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の開閉蓋構造。
【請求項3】
前記一対のねじれ変形連結部は、前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部との間にそれぞれ形成された一対の切込溝部によって、前記蓋本体と前記一対の固定部とが連続する方向に沿う一辺部側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器の開閉蓋構造。
【請求項4】
前記一対の切込溝部における前記一対のねじれ変形連結部に接触する箇所には、前記蓋本体の前記両端部と前記一対の固定部とに食い込む食込み部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の開閉蓋構造。
【請求項5】
前記一対のねじれ変形連結部は、その両者を結ぶ直線が前記開口部の領域外を通過する位置に対応する前記機器本体の箇所に位置していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造。
【請求項6】
前記蓋本体と前記一対の固定部とには、補強板がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造。
【請求項7】
前記蓋本体には、前記開口部に着脱可能に密着して挿入するパッキン部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子機器の開閉蓋構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−96698(P2011−96698A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246061(P2009−246061)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】