説明

電子機器処理アプリケーションで使用するための高温高強度着色可能材料

いくつかの実施形態は、電子部品、例えば読み書きヘッドの受け取りおよび格納のいずれか行うための静電気放電に対して安全なトレイ(100)を含む。そのようなトレイ(100)は、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物から製造することができる。導電性材料としての金属酸化物の使用により、明るい色の静電気放電に対して安全な材料を製造することができるので、材料性能仕様を落とすことなく、そのような材料を顔料で着色することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書内に参照の形で取り込まれている米国仮特許出願(シリアル番号:60/407,749、出願日:2002年9月3日)に対し優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
読み書きヘッドは、磁気媒体上の情報の読み取り、および磁気媒体への情報の書き込みのいずれかを行う電子部品である。読み書きヘッドは、多くの電子装置に使用されると共に、コンピュータに一般的に使用されて、コンピュータのメモリへの情報の書き込みと、該メモリからの情報の読み取りを行う。
【0003】
読み書きヘッドを製造し、それを電子部品に取り付けるために、複雑な組立ラインが一般的に用いられる。読み書きヘッドは、組立ラインにおけるヘッドの搬送および処理を容易にする特別な読み書きヘッドトレイの中に格納され搬送される。ほとんどの読み書きヘッドトレイは、いかなる静電気放電(ESD)も防がれねばならない。読み書きヘッドが載る表面を導電性表面内に製造することによって、トレイはESDに対して安全なものになる。導電性表面が静電気を逃がすので、静電気が表面上に蓄積することはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読み書きヘッドは、色が暗くて小さく、外観は黒コショウの実に似ている。それ故、トレイの色が暗ければ読み書きヘッドを見分けるのが難しい。暗い色は、特に機械視覚が使われるときは、読み書きヘッドがトレイ内にあることを確認し、それをトレイからはずすことを難しくする。
【0005】
読み書きヘッドトレイは従来、重合体にステンレス鋼を混ぜることによって製造される材料から得られる。ステンレス鋼は、重合体を導電性のESDに対して安全な材料にすることによって重合体の電気特性を補うので、充填材と呼ばれることがある。ステンレス鋼は、導電性であり、高温でよく機能するが、顔料無しでは暗い色を生じる。ステンレス鋼は、しかしながら、重合体と混ざりにくいので、ステンレス鋼を一様に分布させることは難しい。一様に分布しなければ、材料は、そのESD安全特性を損なう小さな絶縁箇所を有する傾向が一層大きくなる。また、ステンレス鋼は、読み書きヘッドを損傷する可能性のある磁気特性を有している。更に、ステンレス鋼で製造される材料は、それを着色するために高濃度の顔料を必要とするので、材料の他の特性が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの問題は、ステンレス鋼を使用しない読み書きヘッドトレイを製造することによって解決される。ステンレス鋼の代わりに金属酸化物の充填材を使用する。その結果、材料は着色可能となる。材料は明るい色をしているので着色可能であり、それを着色するために高濃度の顔料を必要としない。トレイを製造するための材料は、高温高強度重合体および金属酸化物で製造することが好ましい。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、読み書きヘッドトレイであり、そのトレイの少なくとも一部分は、読み書きヘッドを受けるための静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は、少なくとも一つの高温高強度重合体および少なくとも一つの金属酸化物の混合物で製造される。材料の色の明度は測定可能であり、CIE L*a*bインデックス(以下の記述を参照のこと)におけるL値、例えば約55より大きいL値が割り当てられる。
【0008】
いくつかの実施形態は、電子部品を受けるための着色された物品であって、複数のポケットを有するトレイに関し、前記複数のポケットのそれぞれは、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物からなる静電気放電に対して安全な表面を有する。いくつかの実施形態は、電子部品処理のためのトレイのセットに関し、該トレイのセットは、少なくとも二つのサブセットのトレイからなり、各トレイは複数のポケットを有し、各ポケットは静電気放電に対して安全な表面を備え、各サブセットは他のサブセット色と異なるサブセット色を有する。いくつかの実施形態は、電子部品を受けるための物品に関し、該物品は電子部品と接触し、該電子部品を支持するための構造を有し、該構造は、少なくとも一つの高温高強度重合体および少なくとも一つの金属酸化物の混合物からなる少なくとも一つの静電気放電に対して安全な表面を備え、該表面は約55または65よりも大きいL値を有する。
【0009】
いくつかの実施形態は、電子部品を受けるための物品に関し、該物品は、複数のポケットを有するトレイからなり、前記複数のポケットのそれぞれは、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物からなる少なくとも一つの静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は約55または65より大きいL値を有する。いくつかの実施形態は、電子処理用の物品を製造する方法に関し、該方法は、ポケットを有するトレイを成形する工程を備え、該ポケットは、高温高強度重合体および導電性充填材からなる静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は、少なくとも約55または65のL値と、10から1014オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率とを有すると共に、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)または0.015インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である。いくつかの実施形態は、電子処理用の物品を製造する方法に関し、該方法は、ポケットを有するトレイを成形する工程を備え、該ポケットは、高温高強度重合体および導電性充填材からなる静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は、少なくとも約55または65のL値と、10から1014オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率とを有すると共に、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)または0.015インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、色が明るく、ESDに対して安全な読み書きヘッドトレイであり、該トレイは、高温高強度重合体で製造され、かつ金属酸化物の充填材を含む。金属酸化物の充填材は好ましくはセラミックを含む。
【0011】
材料の色の明度は、国際照明委員会(Commission Internationale d'Eclairage)のL*a*b*表色系[CIELab:K.McLarenによる「CIE 1976 (L*a*b*)均等色空間および色差公式の開発(The Development of the CIE 1976 (L*a*b*) Uniform Colour-Space and Colour- Difference Formula)」、J. Society of Dyers and Colourists, 92:338-341 (1976))と、G.A.Agostonによる「美術と意匠における色理論およびその応用(Color Theory and Its Application in Art and Design)」、Hedelberg, 1979とを参照のこと]を用いて客観的に測量可能である。図1に示すように、前記1976 CIE L*a*b*系は、すべての色に3座標軸上の点を割り当てる。Lは明度の度合であり、0(黒)から100(白)の範囲の値を持つ。本明細書では、1976 CIE L*a*b*系に対して「L」を用いている。ほかでは、「L」として本明細書で述べられたのと同じ値を言うのにL*を用いることができる。a*軸は赤または緑の量を示し、b*軸は黄または青の量を示す。従って、「a*」および「b*」の両方に対する0の値は平衡灰色を示す。CIELab系は装置とは無関係であるので、コンピュータ画像アプリケーションに対して一般的な選択である。CIELab値は、当業者にとって周知の標準的な試験機、例えば反射率計を用いて定量可能である。例えば、反射率計は、ミネソタ州ミネアポリスにあるPhotovolt Instruments, Inc.(Photovolt Model 577)およびニュージャージ州ラムゼーにあるMinolta Corporation(model Minolta CM 2002)によって製造されている。従って、Lは、すべての色の客観的、定量可能かつ再現可能な明度の度合である。
【0012】
図1を参照すると、材料のいくつかの実施形態が本明細書で述べられており、それらは本質的に0から約100までの範囲のL値を与える。例えば、重合体にカーボンブラックを混ぜて0に近いL値を達成することによって、非常に暗い黒に近い色を得ることができる。また、白色顔料、例えばチタン酸化物を加えて、100に近い白色を得ることができる。明るい色を有する電子部品処理用支持材としての使用に適した静電気放電に対して安全な材料の例としては、ポリエーテルエーテルケトンに約54重量%のアンチモン添加酸化錫の導電性材料を混ぜたものがあり、これは、CIELab系のためにプログラムされた出力を有する反射率分光光度計を用いて測定したときに、64.9のL値(図1の「65」を参照)を有している。本明細書で述べる他のサンプルは目視で判定されて、以下に述べるような範囲に入っている。
【0013】
関連する技術分野における従来の処理方法とは著しく異なり、本明細書で述べたいくつかの実施形態は、高いL値を有する一方で、適切な機械的特性と静電気放電に対して安全な導電性特性とを維持する材料を提供する。また、いくつかの実施形態は、平坦性などの成形適正特性を保持している。これらの実施形態の一態様は、金属酸化物またはセラミックを使用して、静電気放電に対する安全特性および着色特性を達成することである。これらの実施形態の別の一態様は、高温高強度重合体を使用することである。これらの実施形態の別の一態様は、等方性流動粒子を使用することである。約0から約100までの連続したすべての範囲が意図されている。他の実施形態は、少なくとも約33、約45、約66、または約80のL値を有する色合いを達成する。いくつかの実施形態は、約45から約100までと、約55から約99までと、約66から約90までの範囲のL値の色合いを有している。例えば、約55より大きいL値を有する材料は、当該問題となっている材料が、約55のL値を有する材料よりもCIELabスケール上で白に近いことを意味する。本明細書で説明するように、導電性で重合体の導電性材料の濃度は、機械特性、色特性、または導電特性の望ましい組み合わせが、意図されたアプリケーションに対して達成されるまで、調節される。そのような調節は、当業者がこの開示を読んだ後に容易に行うことができる。
【0014】
高温高強度重合体は、熱および化学薬品に対する高度な耐性を有するものであることが好ましい。重合体は、化学溶剤であるNメチルピリリドン、アセトン、ヘキサノン、および他のアグレッシブな極性溶剤に対して耐性があることが好ましい。高温高強度重合体は、約150℃より高いガラス転移温度および融点のいずれかを有する。また、高強度高温重合体は、少なくとも2GPaの剛性を有することが好ましい。
【0015】
高温高強度重合体の例としては、ポリフェニレンオキシド、アイオノマー樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン6,6樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、トリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリスルホン(PSF)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、ポリエーテルスルホン(PES)、高温アモルファス樹脂(HTA)、ポリアリルスルホン(PASF)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶重合体(LCP)、弗化ポリビニリデン(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロアルコキシエチレン三元共重合体(EPE)などがある。ここで述べた重合体を含む混合物および共重合体を使用することもできる。特に好ましくは、PEK、PEEK、PES、PEI、PSF、PASF、PFA、FEP、HTA、LCPなどである。高温高強度重合体の例は、例えば米国特許第5,240,753号明細書、米国特許第4,757,126号明細書、米国特許第4,816,556号明細書、米国特許第5,767,198号明細書、特許出願公開第 1 178 082号および国際公開第00/34381号パンフレット(PCT/US99/24295)の中にも与えられており、それらは参照の形で本明細書に取り込まれる。
【0016】
金属酸化物の充填材は導電性材料であり、該導電性材料は、金属酸化物を含み、高温高強度重合体に付加されて、読み書きヘッドトレイとしての使用のための明るい色と十分な機械的特性を有するESDに対して安全な材料を生成することができる。金属酸化物は、セラミックに混ぜられるか、あるいは金属酸化物添加セラミックのようなセラミック上にコーティングされるかすることが好ましい。そのような充填材は、一般的に明るい色を有しているので、明るく着色された材料を製造するために使用することができる。この充填材は、明るい色を有しているので、他の着色剤を加えて、特定の色を材料に付与することができる。また、セラミックは耐久性があり、金属酸化物/セラミックの組み合わせ材料は一般的に、湿気の影響を受けない導電性特性を有している。セラミックは、非金属元素と結合した金属の化合物からなる材料である。セラミックは金属酸化物を含む。
【0017】
適切な金属酸化物の例としては、硼酸アルミニウム、酸化亜鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、および硫酸カルシウムがある。これらの酸化物は例示的なものであって、本発明の範囲を制限するものではない。充填材の更なる例は、米国特許第6,413,489号明細書、米国特許第6,329,058号明細書、米国特許第5,525,556号明細書、米国特許第5,599,511号明細書、米国特許第5,447,708号明細書、米国特許第6,413,489号明細書、米国特許第5,338,334号明細書、および米国特許第5,240,753号明細書の中に与えられており、これらは参照の形で本明細書に取り込まれる。一般に、金属酸化物に、必要に応じて別の金属を添加またはコーティングすることにより、導電性を付与または増大させることができる。
【0018】
好ましい充填材は、酸化錫、詳しくはアンチモン添加酸化錫であり、例えば、Milliken Chemical Co.によって商品名Zelec(登録商標)で提供されている製品群である。これらの製品は小さなほぼ球形であり、明るい青灰色から明るい緑灰色までの色のものがある。これらの色により、白を含む広範囲の明るい色の材料を製造することができる。また、アンチモン添加酸化錫は、透明な膜を製造するために使用することができ、たいていのセラミックの利点、例えば、非腐食性と、酸、塩基、酸化剤、高温、および多くの溶剤に対する抵抗性とを有している。
【0019】
別の好ましい種類の充填材は、ウィスカー、詳しくはチタン酸塩のウィスカー、より詳しくはチタン酸カリウムおよび硼酸アルミニウムのウィスカーであり、これらは、例えば、米国特許第5,942,205号明細書および米国特許第5,240,753号明細書の中で述べられており、これらの特許は参照の形で本明細書に取り込まれる。ウィスカーとは、最大約8×10−5平方インチ(6.452×10−4)の断面積と、平均直径の少なくとも約10倍の長さとを有する単一結晶フィラメントをいう。ウィスカーは、一般的に傷がないので、類似の組成を有する多結晶体よりも強い。従って、いくつかのウィスカー充填材は、合成材料の強度を改善するのみならず、改善された剛性、耐摩耗性、および静電気発散のような他の特性を付与することができる。好ましい種類のウィスカーは、Otsuma Chemical Co., Japanによって商品名DENTALLで提供されており、これらは、酸化錫の薄い層でコーティングされたセラミックウィスカーである。
【0020】
充填材のサイズおよび形状は制限されず、例えば、ウィスカー、球体、粒子、ファイバー、または他の形状とすることができる。充填材のサイズは制限されないが、ウィスカーや同等サイズの球体のような小さな粒子または非常に小さいサイズであることが好ましい。例えばナノテクノロジーを用いて、非常に小さな粒子を製造する技術を採用することができる。
【0021】
適切な金属酸化物の充填材を種々の構成で配置することができる。例えば、不活性なコア粒子を金属酸化物でコーティングすることができる。このように、不活性な粒子によって金属酸化物のコーティングを広げると、安価な製品をもたらす。あるいは、中空コアを不活性な粒子の代わりに使用することができる。あるいは、コアを省略することによって粒子のサイズを小さくすることができる。あるいは、セラミックに金属酸化物を添加することができる。添加される材料は、導電性である一方で、セラミックの機械特性および着色特性を維持することができる。
【0022】
金属酸化物の導電体が材料内に支出されるので、導電体の三次元相互接続ネットワークが形成される。このネットワークは、静電荷を排出するための回路として働く。金属酸化物の導電体の濃度は、材料のESD特性に関係がある。非常に低い濃度の金属酸化物の導電体は、表面抵抗率を高くする。抵抗率は、金属酸化物の導電体が互いに接触し始める「浸透閾値」に達するまで、金属酸化物の導電体の濃度が増すにつれて徐々に低下し、それから金属酸化物の導電体の濃度が更に増加すると、抵抗率が急速に低下する。結局、金属酸化物の導電体が、最適数のネットワークをすでに形成しているため、金属酸化物の導電体の濃度の更なる増加により抵抗率の実質的な低下を生じさせないようなセラミック濃度に達する。一般的に、金属酸化物の導電体よりも少ない導電率を有する材料を追加すると、表面抵抗率は増加する。従って、顔料の追加は、表面抵抗率に影響を与える可能性があるが、顔料および導電性充填材の量を調節することによって、望ましい抵抗率を有する合成物を製造することができる。
【0023】
明るく着色された材料を読み書きヘッドトレイのために有することには多くの利点がある。一つの利点は、読み書きヘッドを視覚化できることである。別の利点は、トレイが着色可能であることである。従って、色を最適化してヘッドをより一層容易に見えるようにすることができる。あるいは、異なる種類の読み書きヘッドトレイを異なる色で製造することができるので、ユーザがトレイの異なるモデルおよび適用を容易に識別することができる。あるいは、種々の形式またはサイズのヘッドを異なる色のトレイに格納することができるので、ヘッドの搬送および使用が効率的になる。
【0024】
いくつかの実施形態は更に顔料を含んでおり、望ましいL値のみならず、特定の色、例えば、赤、緑、青、黄、またはその組み合わせを得る。顔料は、望ましい色を得るのに適した濃度で追加される。当業者にとって周知の顔料を追加することと、それを本明細書で述べたような導電性材料および重合体に混ぜて、望ましい色、導電性、および機械的特性を得ることとによって、望ましい着色を行うことができる。顔料の例としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロムグリーン、紺青、クロムグリーン、スルホ珪酸アルミニウム、アルミン酸コバルト、マンガン酸バリウム、クロム酸鉛、硫化カドミウム、およびセレン化物がある。黒色が望ましい場合、または過度に暗い色もしくは黒色を生じない濃度でカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックを使用することができる。顔料の使用によって得ることができる色は、白を含む可視光のスペクトルの範囲に及んでいる。
【0025】
充填材は、約10から約1014オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の表面抵抗率、即ちESD安全特性を有する表面を実現する範囲の表面抵抗率を読み書きヘッドトレイに持たせるのに十分な量であることが好ましい。表面抵抗率は、約10オーム/平方インチ(6.452×10−4)以上で約10オーム/平方インチ(6.452×10−4)未満の範囲にあることがより好ましい。また、充填材は、材料のESD安全特性を損なう小さな絶縁スポットを生じないように、材料を通じて均一に分散されることが好ましい。また、充填材は、材料内に黒色を生じない濃度、より好ましくは材料内に暗色を生じない濃度で存在することが好ましい。ESDに対して安全な材料を製造するために必要なカーボンブラックの濃度は、材料を暗い色、本質的には黒にする。マイクロチップトレイは従来、カーボンブラックで製造されている。
【0026】
重合体およびカーボン充填材で製造された材料は、一般的に、マイクロチップを保持するためのマイクロチップトレイを製造するために使用される。しかしながら、従来技術のマイクロチップトレイは、カーボン充填材の存在によって非常に暗い色になるので、読み書きヘッドトレイとしての使用に適していない。読み書きヘッドは小さくて暗く、かつマイクロチップトレイは暗いため、マイクロチップトレイの中で読み書きヘッドを見つけることは困難である。この結果、そのような従来技術のトレイを読み書きヘッドと共に使用することは難しい。また、許容可能なチップトレイの表面抵抗率は、通常、平方インチ(6.452×10−4)当たり少なくとも約10から10の範囲にある。それとは対照的に、許容可能な読み書きヘッドトレイの表面抵抗率は、通常、約10オームから約10オーム/平方インチ(6.452×10−4)未満の範囲にある。ESDに対して安全な材料を製造するために導電性材料を重合体に加えなければならないので、例えば10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の抵抗率を有する材料は、例えば10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の抵抗率を有する材料よりも多くの充填材を有する。充填材の量を高いレベルまで増やすことに伴う不確実性の故に、コンピュータチップトレイのためのESDに対して安全な材料を製造するためのアプローチを、読み書きヘッドトレイに転用可能であると仮定することはできない。更に、コンピュータチップ処理での使用に用いられる材料、例えばウェハーキャリアは、抽出可能な金属イオンを非常に低いレベルにしなければならないが、このことは読み書きヘッドトレイの材料にとっては重要な問題ではない。それ故、マイクロチップトレイを製造するための技術およびアプローチは、読み書きヘッドトレイを製造するために適用可能ではない。
【0027】
これらの理由から、読み書きヘッドトレイを製造する科学者は、コンピュータチップトレイを製造するための技術と異なる技術を開発しなければならない。カーボン充填材を使用する代わりに、従来、ステンレス鋼のような金属充填材を用いて読み書きヘッドが製造されている。ステンレス鋼は、導電性であって、高温で良く機能し、材料内に暗い色を作らない。材料は暗くないので、読み書きヘッドを容易に見分けることができる。
【0028】
本発明者は、高温高強度重合体に約40重量%より多いセラミックを混ぜて、成形性および流動性のような望ましい処理特性を失うことなく、また、圧縮・伸張強度や適切な剛性のような望ましい機械的特性を失うことなく、ESDに対して安全な材料を得ることができるという驚くべき結果を思いがけなく発見した。これは驚くべきことである。なぜなら、最終製品における重合体の望ましい特性を失うことなく、重合体に適量の非高分子材料を混ぜることができるにもかかわらず、大量の、即ち約40重量%より多い非高分子材料の追加が、重合体の特性と似ていない特性を持った最終製品を生じると予想されるからである。金属酸化物で処理されるか金属酸物が添加されたセラミックは、ESDに対して安全な材料を製造するために好ましい。しかしながら、大量のそのようなセラミックは、材料における望ましい導電性を得るために一般的に必要とされる。セラミックの好ましい濃度範囲は、約40%と約75%との間であり、より好ましい濃度範囲は約45%と約70%との間であり、更に好ましい範囲は約50%と約60%との間である。
【0029】
更に、驚いたことに、金属酸化物およびセラミックのいずれかを約40重量%より多く高強度高温重合体に追加することにより、平坦な表面、更にもっと驚いたことに、ステンレス鋼によって得られる表面よりも平坦な表面を有する材料を生じる。しかしながら、実際には、高強度高温重合体に金属酸化物を使用すると、ステンレス鋼で製造されたトレイよりも平坦な読み書きヘッドトレイを生じる。用語「滑らか」は、ときには、本出願の優先権書類の場合と同様に、そりのないことを表すために使用することができるが、理解しやすくするために、用語「平坦(flat)」が、そりのないことを表すために本明細書で採用される。そりは、成形する工程または他の処理工程において、表面にときには好ましくなくもたらされる曲げである。従って、用語「平坦」は、粗さの基準と混同されるべきではない。平坦さは、読み書きヘッドトレイの望ましい特徴である。予期しない平坦さに対する考えられる理由の一つは、平坦な表面において使用される金属酸化物が等方性流形を有していることである。等方性流形は、流動する流体によって生成する力の結果として、いずれか特定の方向に向けられるようになることに抵抗する形状である。言い換えれば、粒子の流動特性は、すべての方向においてほぼ同じである。従って、球形粒子は、流動する流体に混ぜられたときにいずれかの特定の方向に向けられるようにならないので、等方性流形を有している。それとは対照的に、棒状粒子は、流れの方向と平行な方向にその最長軸を合わせる傾向にあるので、等方性流形を有しない。
【0030】
本明細書における多くの実施形態は、読み書きヘッドトレイについて述べられている。なぜなら、それが好ましい実施形態だからである。しかしながら、これらの記述はまた、電子処理において使用されるすべての種類のトレイに、より一般的に当てはまると理解されるべきである。例えば、トレイは、マイクロチップ、コンピュータ部品、およびオーディオ部品プロセスに対して使用される。2002年9月11日に出願された米国特許第6,079,565号明細書および米国特許出願番号10/241,815号を更に参照のこと。これらは参照の形で本明細書に取り込まれる。電子処理には、電子工業用部品の組み立てを含むそれらの製造プロセスが含まれる。トレイはそのようなプロセスにとって有用である。なぜなら、便利な方法であって、かつ部品を汚染および静電気放電から保護する方法で、部品の移動および格納のいずれかを行なわれなければならいからである。トレイは、電子部品を受け取り、電子部品と接触する静電気放電に対して安全な表面を含み、それによって電子部品を支持する。トレイは、例えば、図2および図3に示すように、複数のポケットを有している。部品はトレイのポケットに収容され、トレイのポケットは、例えば、くぼみ、または壁、柱もしくは突起によって囲まれた空間、または溝、あるいはトレイ上にある間の部品の移動を制限する他の構造とすることができるので、部品をトレイから移動させずに、トレイをうまく動かすことができる。トレイは積み重ね可能であることが好ましく(図4)、前記スタックされたトレイもまた、処理を容易にするように、例えばパレット上に積み重ね可能であることが好ましい。
【0031】
材料から表面を成形することにより、その表面はその材料を含み得る。このように、表面を成形する材料が周知であれば、表面内の材料は周知である。従って、表面は材料の大部分の組成に似ていると仮定することはできるが、表面の最上部分は材料の大部分と異なる組成を有することができることは明らかである。また、インチ(2.54cm)当たりのインチ(2.54cm)で測定可能な平均平面度を有するように表面を決定することができる。表面のかなりの部分に対する平均を与える従来の平面度測定法またはL値比色測定法を用いることができる。従って、そのような測定法は、表面の非常に小さな部分に対する平均を与える測定法、例えば、原子間力顕微鏡法と区別され得る。
【0032】
複数のポケット180を有するトレイ100を示す図2から図4を参照する。ポケット180は底面120を有する。この底面120は、その底面120上の物体を収容する側面102を形成する。トレイ100の上面132は連続していて、ポケット180間の分離を区画する。上面132の外端116は上方のトレイの側面122と連続していて、それに垂直である。トレイの側面122はリップ112と垂直である。リップ112は下方のトレイの側面114と垂直である。図4に示すように、トレイ100は積み重ね構成101で置くことができ、下側のトレイの表面126は、例えば208によって示される電子部品に当たらない。リップ112は、下側のトレイの表面126に対する停止手段として働く。
【実施例】
【0033】
実施例1
読み書きヘッドトレイの試作品を、表1に示すように、金属酸化物セラミックおよびPEEKの混合物から成形することによって準備した。成形プロセスは、ステンレス鋼を混ぜたPEEKに対して用いられるプロセスと基本的に同じであったが、成形温度をやや低く調節した。これらの実験の結果は、Zelec(登録商標) ECP 1410Tが、明るい色の読み書きヘッドトレイを製造する際に使用するための好ましい金属酸化物セラミックであったことを示している。更に、読み取りヘッドトレイに必要な機械的特性を損なうことなく、高温高強度重合体に40%より多い充填材を混ぜることができた。また、読み書きヘッドを保持するための表面が、驚いたことに、ステンレス鋼の充填材によって得られる平面度を上回る平面度を有していたことがわかった。
【0034】
【表1】

実施例2
読み書きヘッドトレイの試作品を、表2に示すように、金属酸化物セラミックおよびPEEKの混合物から成形することによって準備した。成形プロセスは、ステンレス鋼を混ぜたPEEKに対して用いられるプロセスと基本的に同じであったが、成形温度をやや低く調節した。これらの実験の結果は、金属酸化物セラミックを用いてESDに対して安全な明るい色の読み書きヘッドトレイを製造することができたことを示している。更に、読み取りヘッドトレイに必要な機械的特性を損なうことなく、高温高強度重合体に40%より多い充填材を混ぜることができた。
【0035】
【表2】

実施例3
金属酸化物セラミックを混ぜた種々の組成のPEEKの特性を、表3に示すように、カーボンファイバー組成(18重量%)、およびコントロールとして用いられるPEEKのニート混合物と比較した。Zelec(登録商標) ECP 1410T (52%)を金属酸化物セラミックとして用いた。成形プロセスは、ステンレス鋼を混ぜたPEEKに対して用いられるプロセスと基本的に同じであったが、ほとんどの組成に対して成形温度をやや低く調節した。ヘッドトレイの試作品における収縮率は、許容量である0.008から0.013インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)の範囲であった。また、この試作品は著しく平坦であった。第1試作ヘッドトレイモデルは、0.004±0.001インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)の平均平面度と、0.007インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)の最大平面度とを有する読み書きヘッドを受けるための表面を持ち、第2試作ヘッドトレイモデルは、0.013±0.010インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)の平均平面度と、0.017インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)の最大平面度とを有する読み書きヘッドを受けるための表面を持っていた。
【0036】
これらの実験の結果は、金属酸化物を用いて、40重量%より多い金属酸化物の充填材を有する明るい色のESDに対して安全な読み書きヘッドトレイを、ヘッドトレイに必要な機械的特性を損なうことなく、製造することができたことを示している。また、これらの実験は、金属酸化物セラミックのような、金属酸化物と組み合わせた高温高強度重合体を用いて、予想外に平坦な表面を得ることができたことを示している。
【0037】
【表3】

実施例4
金属酸化物セラミックを混ぜた種々の組成のPEEKの樹脂純度特性を、表4に示すように、カーボンファイバー組成(18重量%)、およびコントロールとして用いられるPEEKのニート混合物と比較した。Zelec(登録商標) ECP 1410T (52重量%)を金属酸化物セラミックとして用いた。サンプルを30分間、10テナックスチューブ内で100℃に維持し、自動熱脱離ユニットガスクロマトグラフ/質量分析器を用いて、放出されたガスを解析することによって、ガスの放出を測定した。材料のプラークを85℃の希硝酸の中に1時間置き、抽出された金属をICP/MS誘導結合プラズマ/質量分析器で解析することによって、金属を解析した。材料を85℃の希釈水に1時間曝したのち、その水をイオンクロマトグラフィーで解析することによって、陰イオンを解析した。表5は回収された金属を示す。表6は回収された陰イオンを示す。
【0038】
これらの実験の結果より、金属酸化物セラミックは、カーボンファイバーを用いて形成された同様の材料よりも、著しく多くの抽出可能な金属を有していることが示された。しかしながら、抽出された金属の量は、読み書きヘッドトレイの使用に対して適切な量であった。
【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

本明細書で説明した実施形態は、本発明の例として提供されており、本発明の範囲と精神を制限するものではない。この出願で述べられたすべての特許および出願は、参照の形で本明細書に取り込まれる。
【0042】
本発明の一実施形態は、読み書きヘッドトレイであり、そのトレイの少なくとも一部分は、読み書きヘッドを受けるための静電気放電に対して安全な表面を有し、その表面は少なくとも一つの高温高強度重合体および少なくとも一つの金属酸化物の混合物で製造されている。本発明の別の実施形態は、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルスルホンからなる群から選択された高温高強度重合体で製造されたトレイである。本発明の別の実施形態はトレイであり、該トレイにおいては、前記少なくとも一つの金属酸化物が、硼酸アルミニウム、酸化亜鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、硫酸カルシウム、およびアンチモン添加酸化錫からなる群から選択される。本発明の別の実施形態はトレイであり、該トレイにおいては、前記金属酸化物が粒子状に配置され、その粒子が、少なくとも40重量%の濃度、または50重量%と70重量%との間の濃度で、混合物内に存在する。前記粒子は更にセラミックで構成されることも可能である。また、金属酸化物をウィスカー状に配置することができる。更に、前記ウィスカーは、チタン酸カリウムおよび硼酸アルミニウムで製造されたウィスカーからなる群から選択することができる。本発明の別の実施形態は、粒子状に配置された金属酸化物を含む充填材であり、前記粒子は等方性流形を有する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】1976 CIE L*a*b*空間に対する配位系およびいくつかの実施形態に対するL値を示す。
【図2】電気部品を受けるためのマルチポケットトレイを示す。
【図3】図2の3−3線から見た図2の断面図を示す。
【図4】積み重ね構成の複数の図2のトレイを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を受けるための着色された物品であって、該物品は、
複数のポケットを有する着色されたトレイからなり、前記複数のポケットのそれぞれは、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物からなる静電気放電に対して安全な表面を有する物品。
【請求項2】
前記高温高強度重合体は、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルスルホンからなる群のうちの一つからなる請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記金属酸化物は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記表面は、少なくとも約55のL値を有する請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記金属酸化物は、約50重量%から約60重量%の濃度で存在する請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記表面は、少なくとも約55のL値を有する請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記表面は、少なくとも約65のL値を有する請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記表面の少なくとも一部分は前記ポケットの底面からなり、該底面は平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記表面の少なくとも一部分は前記ポケットの底面からなり、該底面は平均して約0.015インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記高温高強度重合体は、ポリフェニレンオキシド、アイオノマー樹脂、ナイロ6樹脂、ナイロン6,6樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト、ポリアセタール、トリメチルペンテン樹脂、ポリスルホン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、高温アモルファス樹脂、ポリアリルスルホン、液晶重合体、弗化ポリビニリデン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、およびテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロアルコキシエチレン三元共重合体からなる群のうちの一つからなる請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、硼酸アルミニウム、酸化鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、および硫酸カルシウムからなる群のうちの一つからなる請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、アンチモン添加酸化錫からなる請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、金属酸化物添加セラミックからなる請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、粒子状に配置されている請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記粒子は、少なくとも40重量%の濃度で前記混合物の中に存在する請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記表面は、少なくとも約55のL値を有する請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記金属酸化物は、約50重量%と約70重量%との間の濃度で存在する請求項14に記載の物品。
【請求項18】
前記粒子は、セラミックからなる請求項14に記載の物品。
【請求項19】
前記金属酸化物の少なくとも一部分は、ウィスカーからなる請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記ウィスカーは、チタン酸塩、チタン酸カリウム、および硼酸アルミニウムからなる群の中の材料からなる請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記粒子は、等方性流形を有する請求項14に記載の物品。
【請求項22】
前記顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロムグリーン、紺青、クロムグリーン、スルホ珪酸アルミニウム、アルミン酸コバルト、マンガン酸バリウム、クロム酸鉛、硫化カドミウム、およびセレン化物からなる群のうちの一つからなる請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、前記少なくとも一つの顔料である請求項1に記載の物品。
【請求項24】
前記表面は、10から10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率を有する請求項1に記載の物品。
【請求項25】
前記表面は、10から約10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率を有する請求項1に記載の物品。
【請求項26】
電子部品処理のための着色されたトレイのセットであって、該セットは、
着色されたトレイの少なくとも二つのサブセットからなり、着色された各トレイは複数のポケットを有し、各ポケットは静電気放電に対して安全な表面を備え、各サブセットは他のサブセット色と異なるサブセット色を有し、前記表面は高温高強度重合体、金属酸化物および顔料からなるトレイのセット。
【請求項27】
各サブセットのトレイは、異なるモデルのトレイに対応している請求項25に記載のトレイのセット。
【請求項28】
各サブセットのトレイは、前記トレイのポケット内の部品の種類に対応している請求項26に記載のトレイのセット。
【請求項29】
前記ポケットは、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項26に記載のセット。
【請求項30】
前記ポケットは、平均して約0.015インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項26に記載のセット。
【請求項31】
前記表面は、少なくとも約55のL値を有する請求項26に記載のセット。
【請求項32】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、硼酸アルミニウム、酸化鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、硫酸カルシウム、およびアンチモン添加酸化錫からなる群から選択される請求項26に記載のセット。
【請求項33】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、50重量%と70重量%との間の濃度で存在する請求項26に記載のセット。
【請求項34】
電子部品を受けるための物品であって、該物品は、
電子部品と接触し、該電子部品を支持するための構造を有し、該構造は、少なくとも一つの高温高強度重合体および少なくとも一つの金属酸化物の混合物からなる少なくとも一つの静電気放電に対して安全な表面を備え、該表面は約55よりも大きいL値を有する物品。
【請求項35】
前記表面は、ポケットの底面からなる請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記表面は、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項34に記載の物品。
【請求項37】
前記重合体は、少なくとも約1GPaの剛性と、約150℃より高いガラス転移温度または融点とを有する請求項34に記載の物品。
【請求項38】
前記金属酸化物は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する請求項34に記載の物品。
【請求項39】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、硼酸アルミニウム、酸化鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、硫酸カルシウム、およびアンチモン添加酸化錫からなる群のうちの一つからなる請求項34に記載の物品。
【請求項40】
前記表面はさらに、顔料からなる請求項34に記載の物品。
【請求項41】
電子部品を受けるための着色された物品であって、該物品は、
複数のポケットを有する着色されたトレイからなり、前記複数のポケットのそれぞれは、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物からなる少なくとも一つの静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は約55より大きいL値を有する物品。
【請求項42】
前記表面は、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)より平坦である請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記重合体は、少なくとも約1GPaの剛性と、約150℃より高いガラス転移温度または融点とを有する請求項41に記載の物品。
【請求項44】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する請求項41に記載の物品。
【請求項45】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する請求項41に記載の物品。
【請求項46】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、硼酸アルミニウム、酸化鉛、塩基性硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、二硼化チタン、酸化錫、硫酸カルシウム、およびアンチモン添加酸化錫からなる群のうちの一つからなる請求項34に記載の物品。
【請求項47】
前記顔料は、前記金属酸化物である請求項41に記載の物品。
【請求項48】
電子部品を処理するための方法であって、該方法は、複数のポケットを有する着色されたトレイの静電気放電に対して安全な表面の上に電子部品を置く工程からなり、前記表面は、ポケットの底面であり、少なくとも一つの高温高強度重合体と、少なくとも一つの金属酸化物と、少なくとも一つの顔料との混合物からなる方法。
【請求項49】
前記少なくとも一つの高温高強度重合体は、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルスルホンからなる群のうちの一つからなる請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記表面は、少なくとも約55のL値を有する請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記表面の少なくとも一部分は、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、少なくとも40重量%の濃度で前記混合物内に存在する粒子を有する請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも一つの金属酸化物の少なくとも一部分は、ウィスカーからなる請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも一つの金属酸化物は、等方性流形を有する粒子からなる請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも一つの顔料は、前記少なくとも一つの金属酸化物である請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記表面は、10から10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率を有する請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記着色されたトレイは、読み書きヘッドトレイである請求項48に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも一つの顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロムグリーン、紺青、クロムグリーン、スルホ珪酸アルミニウム、アルミン酸コバルト、マンガン酸バリウム、クロム酸鉛、硫化カドミウム、およびセレン化物からなる群のうちの一つからなる請求項48に記載の方法。
【請求項60】
電子処理用の物品を製造する方法であって、該方法は、
複数のポケットを有するトレイを成形する工程を備え、前記複数のポケットのそれぞれは静電気放電に対して安全な表面を有し、該表面は、高温高強度重合体および導電性充填材からなり、少なくとも約55のL値と、10から10オーム/平方インチ(6.452×10−4)の範囲の抵抗率とを有すると共に、平均して約0.1インチ(2.54cm)/インチ(2.54cm)よりも平坦である方法。
【請求項61】
前記重合体は、約150℃より高いガラス転移温度または融点と、少なくとも約1GPaの剛性とを有する請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記導電性充填材は、約40重量%から約75重量%の濃度で存在する金属酸化物である請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記物品は、読み書きヘッドトレイである請求項60に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506278(P2006−506278A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546717(P2004−546717)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/027562
【国際公開番号】WO2004/038760
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(500481330)エンテグリス・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】