説明

電子機器制御装置

【課題】車両に搭載された電子機器を乗員が乗車後すぐに使用できるようにする。
【解決手段】電子機器制御システム100は、車両のエンジン停止時に乗降口の開放が検知された場合、車両に搭載された電子機器のうち操作用画面部の点灯起動に要する時間が所定時間以上の電子機器111を電源投入させる。このとき、バッテリー電圧値が所定値以上の場合にのみ電子機器111を電源投入させるようにしてもよい。また、電子機器111が本体部111aおよび操作用画面部111bに分かれている場合、乗降口の開放が検知された際には本体部111aのみを点灯起動させ、操作用画面部111bは乗員の乗車が検知された後に点灯起動するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された電子機器の電源投入と点灯起動を制御する電子機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された電子機器は、車両のエンジンキー操作またはエンジンスタートスイッチ操作(以下、両者を合わせて「キー操作」という)に連動して電源が投入される(たとえば、下記特許文献1参照)。たとえば、キーシリンダーを用いる車両の場合、一般的には、車両停止中の車両のキーシリンダに挿入されたキーがACC(アクセサリ電源)の位置まで移動されると各電子機器に電源が供給され、各電子機器が起動される。
【0003】
また、キー操作ではなく、ドアの開閉に連動して電子機器の電源を投入する技術が知られている(たとえば、下記特許文献2参照)。一般的な車両においても、ドアの開放を検知することによってルームランプなどを点灯させ、乗員を迎える機能が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−016507号公報
【特許文献2】特開2009−174191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、電子機器の電源供給開始から操作画面表示部の点灯起動までに多くの時間を要する電子機器は、乗員が乗車した後(キー操作後)すぐには使用することができずに、乗員の利便性を低下させてしまうという問題点がある。また、上述した従来技術では、例えばエンジン始動時にセルモータへの電力供給を優先させるため、アクセサリ電源によって点灯起動された電子機器への電力供給が一瞬断絶し、それまで行っていた設定が消えてしまったり、電子機器からの出力が停止して乗員に違和感を与える場合があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、車両に搭載された電子機器を乗員が乗車後すぐに使用できるようにして、乗員の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる電子機器制御装置は、車両に搭載された操作用画面部を有する複数の電子機器の電源を投入する電源投入手段と、電源投入後に操作用画面部を点灯起動する起動手段と、前記車両の乗車口の開閉を検知する開閉検知手段と、前記車両に乗員が乗車しているか否かを検知する乗車検知手段と、を備える電子機器制御装置であって、前記電源投入手段は開閉検出手段によって前記乗降口の開放が検知された場合に前記複数の電子機器のうち電源投入後操作画面が点灯起動するまでに所定時間を要する特定の電子機器の電源を予め投入し、前記起動手段は前記乗車検知手段によって前記車両への乗員の乗車が検知された後に前記電子機器の操作用画面部を点灯起動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、車両の乗車口の開放を検知すると、操作用画面部の点灯起動に要する時間が所定時間以上の特定の電子機器を点灯起動させるので、乗員が乗車後すぐに操作用画面部によって操作ができ、乗員の利便性を向上させることができる。また、請求項1の発明によれば、車両に乗員が乗車した後に操作用画面部を点灯起動させるので、乗員の乗車に起因して特定の電子機器が点灯したかのような印象を乗員に与えることができる。また、実際に使用されるまで操作用画面部は点灯起動させないので、操作用画面部分の消費電力を低減させることができる。
さらに、乗員が乗車していない状態では操作用画面部が点灯起動しないため、車両外部から電子機器の作動状況あるいは車両の作動状況が視認されず、車両盗難や車両に対する悪戯等が防止できる。
【0009】
請求項2の発明によれば、バッテリーの電圧値が所定値以上の場合にのみ特定の電子機器の電源を投入するので、車両走行システムの点灯起動前に特定の電子機器を点灯起動させることによって生じるバッテリー上がりを防止することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、特定の電子機器を点灯起動させた後、所定時間以上乗員の乗車が検知されない場合には特定の電子機器の電源を切るので、乗車以外の目的で乗車口が開放された場合に、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0011】
請求項4および5の発明によれば、鍵認証手段による認証が成立してから操作用画面部やその他の電子機器を点灯起動させるので、車両の盗難等を防止して安全性を向上させることができる。
【0012】
請求項6の発明によれば、特定の電子機器に対してDC−DCコンバータを介して電力を供給するので、エンジン始動時にも電力供給が瞬断されることなく、特定の電子機器の使用を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態にかかる電子機器制御システム100の構成を示すブロック図である。
【図2】車体ECU140の機能的構成を示ブロック図である。
【図3】電子機器制御システム100による電子機器制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる電子機器制御システム100の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、ガソリンを動力源とするガソリン車かつキーシリンダーにキーを挿入しエンジンを始動させるエンジンキー式の車両を例に挙げて説明する。実施の形態にかかる電子機器制御システム100は、バッテリー110、特定の電子機器111、常時電源電子機器112、通常電子機器113、エンジン120、オルタネータ121、ドアスイッチ131、キーシリンダ132、乗車検知装置133、エンジンECU134、車体ECU140によって構成される。
【0016】
電子機器制御システム100は、車両に搭載された複数の電子機器の点灯起動をそれぞれ制御する。車両に搭載された電子機器とは、特定の電子機器111、常時電源電子機器112、通常電子機器113である。これらの電子機器は、バッテリー110に蓄電された電力を動力源として稼働する。バッテリー110には、エンジン120の稼働時にオルタネータ121によって発電された電力が蓄電される。
【0017】
車両に搭載された電子機器のうち、特定の電子機器111は、点灯起動に要する時間が所定時間以上の電子機器であり、具体的には、たとえば、カーナビゲーション装置やパーソナルコンピュータなどが挙げられる。特定の電子機器111は、電源を投入後、ディスプレイ部(操作用画面部111b)へ、当該電子機器の操作に関する情報や車両の情報を表示するまでの時間、例えばハードディスクドライブ等の記録媒体からオペレーションシステムソフトやアプリケーションソフト等の情報を読み取り情報処理を実施する時間が必要である。従って電子機器111はディスプレイ部の点灯起動に時間がかかるため、通常の車両のようにエンジンキーがACCの位置に移動されてから点灯起動を開始すると、ディスプレイ部に表示される操作用画面で乗員が操作を開始するまで時間がかかってしまう。このため、電子機器制御システム100では、車両の乗降口の開放が検知されるとすぐに特定の電子機器111を点灯起動する。これにより、乗員が乗車後すぐに特定の電子機器111を使用することができ、乗員の利便性を向上させることができる。
【0018】
本実施の形態においては、特定の電子機器111をナビゲーション装置とする。ナビゲーション装置は、本体部111aとディスプレイ部(操作用画面部111b)に大別でき、本体部と電源投入と操作用画面部の点灯起動はそれぞれ別々に制御できるものとする。一般的に、ナビゲーション装置の本体部111aは乗員から見えない位置に設置され、乗員が視覚的に認識するのは操作用画面部111bであるディスプレイ部のみである。
【0019】
特定の電子機器111は、DC−DCコンバータ115を介してバッテリー110と接続されている。DC−DCコンバータ115は、バッテリー110から供給される電気の電圧を整流する。DC−DCコンバータ115を介することによって、特定の電子機器111に対してバッテリー110から電力が安定的に供給される。より詳細には、通常、バッテリー110からの電力は、エンジン120の点火時には一時的に切断されるが、DC−DCコンバータ115を介することによって、特定の電子機器111への電力供給は、エンジン120の点火時にも切断されることがない。これにより、たとえば、電力の瞬断によって特定の電子機器111の点灯起動処理が中断されたり、特定の電子機器111への設定入力の内容が消去されたりすることなく、特定の電子機器111を快適に使用することができる。
【0020】
常時電源電子機器112は、車両のエンジン120が停止している際にも常時バッテリー110からの電力が供給される電子機器である。常時電源電子機器112としては、具体的には、たとえば、オーディオの内部メモリや時計、キーレスオペレーションシステムなどが挙げられる。
【0021】
通常電子機器113は、特定の電子機器111および常時電源電子機器112以外の電子機器であり、具体的には、たとえば、カーオーディオ、ワイパー、パワーウィンドウ、送風ファンなどである。通常電子機器113は、アクセサリ電源(ACC)によって稼働する。通常、アクセサリ電源は、キーシリンダ132に挿入されたエンジンキーがACCの位置に移動されると、バッテリー110から電力が供給される。一方、本実施の形態において、通常電子機器113についてはキー操作に連動して電源が投入されるのではなく、車両への乗員が乗車しているか否かを検知する乗車検知手段によって乗員が検出された場合に電源が投入される。
【0022】
ドアスイッチ131は、車両の各ドア(乗降口)に設けられ、それぞれのドアの開閉を検知する。また、ドアスイッチ131は、ドアの開閉の検知結果を開閉検知信号として車体ECU140に出力する。
【0023】
キーシリンダ132は、運転席に設けられ、エンジン120の点火のためエンジンキーが挿入される。キーシリンダ132においてはエンジンキーが回転できるようになっており、その位置によって車両の稼働状態を制御することができる。
【0024】
本実施の形態においては、乗員が使用するエンジンキーに対して、正当な鍵であるか否かを認証するキー認証をおこなうものとする。キー認証には各種の方法があるが、本実施の形態では、ID情報を書き込んだ電子チップをエンジンキーに埋め込んでおき、キーシリンダ132に挿入されたエンジンキーからID情報を読み出し、正当なID情報と照合することによって認証をおこなうものとする。このため、キーシリンダ132は、挿入された鍵に埋め込まれたチップからID情報を読み出して、読み出したID情報を車体ECU140に出力する機構を備えるものとする。
【0025】
乗車検知装置133は、シートベルトリマインダ用の乗員検知装置などであり、たとえば、座席内に搭載された重量センサや超音波センサなど、各種のセンサを用いることができる。乗車検知装置133は、検知した乗員の有無の情報を信号として車体ECU140に出力する。
【0026】
車体ECU140は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
車体ECU140は、バッテリー110、特定の電子機器111、常時電源電子機器112、通常電子機器113、エンジン120、オルタネータ121、ドアスイッチ131、キーシリンダ132、乗車検知装置133、エンジンECU134とインターフェース部を介して接続され、それら各部との間で情報の授受をおこない、各部の制御を司る。
【0027】
さらに、車体ECU140は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することによって、図2に示す開閉検知手段211、電圧値取得手段212、乗車検知手段213、鍵認証手段214、電源投入手段215、起動手段216、電源遮断手段217を実現する。
【0028】
図2は、車体ECU140の機能的構成を示ブロック図である。開閉検知手段211は、車両の乗車口の開閉を検知する。より詳細には、開閉検知手段211は、ドアスイッチ131からの開閉検知信号を用いて、車両の乗車口の開閉状態を検知する。開閉検知手段211で開閉を検知する乗車口は、運転席のみであってもよいし、助手席や後部座席用の乗車口を含めてもよい。
【0029】
電圧値取得手段212は、車両に搭載された電子機器に電力を供給するバッテリー110の電圧値情報を取得する。より詳細には、電圧値取得手段212は、バッテリー110に設置された電圧計などからバッテリー110の電圧値情報を取得する。
【0030】
乗車検知手段213は、車両への乗員の乗車を検知する。より詳細には、乗車検知手段213は、乗車検知装置133からの乗車者情報信号を用いて、車両への乗員の乗車の有無を検知する。
【0031】
鍵認証手段214は、車両のエンジンを始動させるための鍵(エンジンキー)が正当な鍵であるか否かを認証する。より詳細には、鍵認証手段214は、キーシリンダ132に挿入されたエンジンキーから読み出されたID情報を取得して、正当なエンジンキーのID情報と照合することによって、エンジンキーの認証をおこなう。
【0032】
電源投入手段215は、開閉検知手段211による検知結果に基づいて所定の電子機器に電源を投入する。具体的には、電源投入手段215は、DC−DCコンバータ115を介して電力を供給することによって、特定の電子機器111を電源を投入する。
【0033】
電源投入手段215は、車両のエンジン停止時に乗降口の開放が検知された場合、車両に搭載された電子ききのうち操作用画面部の点灯起動に要する時間が所定時間以上の特定の電子機器111を電源を投入する。より詳細には、電源投入手段215は、車両のエンジン停止時、すなわち、常時電源電子機器112以外のすべての電子機器がオフ状態にある際に、開閉検知手段211によって乗車口の開放が検知された場合、特定の電子機器111を電源投入する。なお、特定の電子機器111の電源投入は、特定の乗車口(たとえば運転席)の開放を検知した場合にのみおこなうようにしてもよい。
【0034】
電源投入手段215は、電圧値取得手段212によって取得されたバッテリー110の電圧値が所定値以上の場合にのみ特定の電子機器を電源を投入させるようにしてもよい。これは、エンジン点火時に必要な電圧値を確保するためである。
【0035】
また、特定の電子機器111が本体部111aと別個に点灯起動可能な操作用画面部111bを有している場合、起動手段216は、乗車検知手段213によって車両への乗員の乗車が検知された後に操作用画面部111bを点灯起動させる。具体的には、特定の電子機器111がナビゲーション装置の場合、乗降口の開放が検知された際には本体部111aのみを電源投入させ、乗員の乗車が検知された後にディスプレイ部を点灯起動させるようにする。これは、ナビゲーション装置において、乗員が視覚的に認識するのは操作用画面部111bであるディスプレイ部のみであるため、乗員はディスプレイ部の点灯起動をもってナビゲーション装置の電源投入と認識する場合が多いと考えられるためである。乗員の乗車と対応してディスプレイ部を点灯起動させることによって、車両(または電子機器)が乗員を出迎えるかのような演出をおこなうことができる。
【0036】
また、電源投入手段215は、乗車検知手段213によって車両への乗員の乗車が検知され、かつ鍵認証手段214による認証が成立した場合、特定の電子機器111の操作用画面部の点灯起動や特定の電子機器以外の電子機器の電源を投入させるようにしてもよい。キー認証をおこなうことによって、不正な鍵を用いた乗車を検知することができ、安全性を向上させることができる。
【0037】
電源遮断手段217は、電源投入手段215によって特定の電子機器111の電源を投入した後、乗車検知手段213によって乗員の乗車が所定時間以上検知されない場合には、電源を投入した特定の電子機器111の電源を遮断する。これは、乗車を伴わない乗車口の開放(たとえば忘れ物を取るために乗員がドアを開放した場合など)を想定したものであり、このような場合は、バッテリー110の電力消費を抑えるために特定の電子機器111の電源をオフにする。
【0038】
図3は、電子機器制御システム100による電子機器制御処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、電子機器制御システム100は、まず、開閉検知手段211によって車両の乗降口の開放が検知されるまで待機する(ステップS301:Noのループ)。乗降口の開放が検知されると(ステップS301:Yes)、電子機器制御システム100は、DC−DCコンバータ115および乗車検知装置133の電源を投入する(ステップS302)。
【0039】
つぎに、電子機器制御システム100は、電圧値取得手段212によってバッテリー110の電圧値(バッテリー電圧)を取得し、バッテリー電圧が所定値以上か否かを判断する(ステップS303)。所定値とは、たとえば、エンジン点火時に必要なバッテリー電圧を十分確保した値である。バッテリー電圧が所定値以上の場合(ステップS303:Yes)、電子機器制御システム100は、電源投入手段215によって特定の電子機器111(ここではナビゲーション装置の本体部111a)の電源を投入する(ステップS304)。一方、バッテリー電圧が所定値未満の場合は(ステップS303:No)、ステップS302で電源を投入させたDC−DCコンバータ115および乗車検知装置133の電源をオフして(ステップS305)、本フローチャートによる処理を終了する。このようにバッテリー110の電圧値が低い場合は、たとえば、一般的な車両のように車両のエンジンキー操作によって電子機器を点灯起動させる。
【0040】
ステップS304で特定の電子機器111を電源投入させた場合、電子機器制御システム100は、特定の電子機器111の電源投入後、所定時間内に乗員を検知したか否かを判断する(ステップS306)。乗員を検知した場合は(ステップS306:Yes)、キーシリンダ132からエンジンキーのID情報を取得して、鍵認証手段214によってエンジンキーに対する鍵認証をおこなう(ステップS307)。一方、所定時間内に乗員を検知しない場合は(ステップS306:No)、ステップS313に移行する。所定時間内に乗員を検知しない場合とは、たとえば、乗員が忘れ物を取りに車両に戻ったり、買い物の荷物を置きに車両に戻ったりして、乗車口は開放したものの乗車はしなかった場合などが考えられる。
【0041】
ステップS307で鍵認証が成立した場合(ステップS308:Yes)、電源投入手段215は、特定の電子機器111の操作用画面部111b(ナビゲーション装置のディスプレイ)の点灯起動および通常電子機器113の電源を投入する(ステップS309)。これにより、鍵認証が成立するとともにすべての電子機器が使用可能な状態となり、乗員の乗車とともにすべての電子機器が点灯起動したかのような演出をおこなうことができる。
一方、鍵認証が成立しない場合は(ステップS308:No)、認証不成立の旨を表示する(ステップS310)。このとき、たとえば車両内外に設置されたスピーカーなどから報知音を出力して不正を報知したり、イグニッション操作を不可として車両の盗難等を防止してもよい。
【0042】
つづいて、電子機器制御システム100は、ステップS309で特定の電子機器の操作用画面部の点灯起動および通常電子機器113の電源投入した後、所定時間内にイグニッション操作があったか否かを判断する(ステップS311)。所定時間内にイグニッション操作があった場合は(ステップS311:Yes)、エンジンECU134によってエンジン120が始動され(ステップS312)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0043】
一方、所定時間内にイグニッション操作がない場合は(ステップS311:No)、電源遮断手段(別途図示)によって電源が投入された電子機器の電源をオフにして(ステップS313)、本フローチャートによる処理を終了する。これは、エンジンが始動しない状態で電子機器に長時間電力を供給させておくと、バッテリー上がりが生じる可能性があるためである。また、所定時間内であっても、車両の外側からドアロックがかけられた場合は、ステップS313と同様の処理をおこなう。なお、ステップS311における所定時間を、ステップS303で取得したバッテリー電圧値に基づいて決定してもよい。すなわち、エンジン120が稼働しない状態で各種電子機器を電源投入させても、バッテリー上がりが生じない程度のバッテリー電圧を確保できる時間を、所定時間としてもよい。
【0044】
以上説明したように、実施の形態にかかる電子機器制御システム100は、車両の乗車口の開放を検知すると、操作用画面部の点灯起動に要する時間が長い特定の電子機器111を電源が投入させるので、乗員が乗車後すぐに特定の電子機器111が使用でき、乗員の利便性を向上させることができる。また、電子機器制御システム100は、バッテリー110の電圧値が所定値以上の場合にのみ特定の電子機器111を電源が投入されるので、エンジン120の点灯起動前に特定の電子機器111を点灯起動させることによって生じる可能性のあるバッテリー上がりを防止することができる。
【0045】
また、電子機器制御システム100は、特定の電子機器111を電源が投入した後、所定時間以上乗員の乗車が検知されない場合には特定の電子機器111の電源をオフにするので、乗車以外の目的で乗車口が開放された場合に、無駄な電力消費を抑えることができる。また、電子機器制御システム100は、車両に乗員が乗車した後に特定の電子機器111の操作用画面部を点灯起動させるので、乗員の乗車に起因して特定の電子機器111が電源が投入したかのような印象を乗員に与えることができる。また、実際に使用されるまで操作用画面部は点灯起動させないので、操作用画面部分の消費電力を低減させることができる。
【0046】
また、電子機器制御システム100は、鍵認証手段214による認証が成立してから操作用画面部や通常電子機器113を点灯起動させるので、車両の盗難等を防止して安全性を向上させることができる。また、電子機器制御システム100は、特定の電子機器111に対してDC−DCコンバータ115を介して電力を供給するので、エンジン始動時にも電力供給が瞬断されることなく、特定の電子機器111の使用を継続することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、安全性を向上させるため、鍵認証の成立後に特定の電子機器111の操作用画面部111bの点灯起動および通常電子機器113を電源投入をしたが、鍵認証をおこなわずに、乗員の乗車とともに特定の電子機器111の操作用画面部111bの点灯起動および通常電子機器113を電源投入をするようにしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、通常電子機器113を特定の電子機器111の操作用画面部111bの点灯起動とともに電源投入させたが、通常の車両のようにキー操作と連動して電源投入させるようにしてもよい。すなわち、キーシリンダ132に挿入されたエンジンキーが、ACC(アクセサリ電源)の位置まで移動された場合に、アクセサリ電源を供給して通常電子機器113を電源投入させるようにしてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、エンジンキーを用いてエンジンを始動させるエンジンキー式の車両を例に挙げて説明したが、プッシュボタンによってエンジンを始動させるプッシュスタート式の車両に対しても、本発明を適用することができる。プッシュスタート式の車両では、プッシュボタンの押下によって車両の稼働状態を制御する。具体的な制御は車両によって異なるが、たとえば、ブレーキを踏まずにエンジンスタータースイッチを1回押すとアクセサリ電源に電力が供給され(エンジンキーをACCの位置に移動させた場合に相当)、2回押すとエンジンECU134に電源が投入され(エンジンキーをONの位置に移動させた場合に相当)、3回押すとこれらがオフの状態となる(エンジンキーをLockの位置に移動させた場合に相当)。また、ブレーキを踏みながらエンジンスタータースイッチを1回押すとエンジンが始動し(エンジンキーをSTARTの位置に移動させた場合に相当)、もう1回押すとエンジンが停止する(エンジンキーをLockの位置Aに移動させた場合に相当)。
【0050】
プッシュスタート式の車両では、乗車した者が正当な乗員であることを認証するための電子キーを有している。鍵認証手段214ではこのキーを使ってキー認証をおこなう。その他の処理については、上述した実施の形態と同様におこなうことができる。
【0051】
さらに、本実施の形態では、ガソリンを動力源とするガソリン車を例に挙げて説明したが、電気自動車やプラグインハイブリット車などの電動車に対しても本発明を適用することができる。たとえば、電動車では車両の停車中に充電がおこなわれるが、充電状態などを管理する充電管理画面は、車両に搭載されたナビゲーション装置を用いて操作するのが一般的である。このため、電動車に本発明を適用すれば、充電管理画面などへアクセスに手間をとらず、利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0052】
100……電子機器制御システム、110……バッテリー、111……特定の電子機器、111a……本体部、111b……操作用画面部、112……常時電源電子機器、113……通常電子機器、115……DC−DCコンバータ、120……エンジン、121……オルタネータ、131……ドアスイッチ、132……キーシリンダ、133……乗車検知装置、エンジンECU……134、車体ECU……140、211……開閉検知手段、212……電圧値取得手段、213……乗車検知手段、214……鍵認証手段、215……電源投入手段、216……起動手段、217……電源遮断手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された操作用画面部を有する複数の電子機器の電源を投入する電源投入手段と、
電源投入後に前記操作用画面部を点灯起動させる起動手段と、
前記車両の乗車口の開閉を検知する開閉検知手段と、
前記車両に乗員が乗車しているか否かを検知する乗車検知手段と、を備える電子機器制御装置であって 、
前記電源投入手段は、前記開閉検出手段によって前記乗降口の開放が検知された場合に前記複数の電子機器のうち電源投入後操作画面が点灯起動するまでに所定時間を要する特定の電子機器の電源を予め投入し、
前記起動手段は、前記乗車検知手段によって前記車両への乗員の乗車が検知された後に前記電子機器の前記操作用画面部を点灯起動させることを特徴とする電子機器制御装置。
【請求項2】
前記特定の電子機器に電力を供給するバッテリーの電圧値情報を取得する電圧値取得手段をさらに備え 、
前記電源投入手段は、前記電圧値が所定値以上の場合にのみ前記電子機器の電源を投入することを特徴 とする請求項1に記載の電子機器制御装置。
【請求項3】
前記電源投入手段によって前記特定の電子機器の電源を投入した後、前記乗車検知手段によって前記乗 員の乗車が所定時間以上検知されない場合には、前記電子機器の電源を遮断する電源遮断手段を備える ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器制御装置。
【請求項4】
前記車両は、鍵認証手段をさらに備え、
前記点灯起動手段は、前記乗車検知手段によって前記車両への前記乗員の乗車が検知され、かつ前記鍵 認証手段による認証が成立した場合、前記操作用画面部を点灯起動させることを特徴とする請求項1〜 3のいずれか一つに記載の電子機器制御装置。
【請求項5】
前記特定の電子機器は、DC−DCコンバータを介して前記電源に接続されており、
前記電源投入手段は、前記DC−DCコンバータを介して電力を供給することによって、前記特定の電 子機器の電源を投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100050(P2013−100050A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245557(P2011−245557)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】