説明

電子機器及びその制御方法

【課題】複数の発光素子をカメラ機構の照明に利用可能な電子機器及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】電子機器は、入力機構と、カメラ機構と、入力機構のバックライト及びカメラ機構の照明用ライトを兼ねる照明機構と、照明機構の出力を制御する制御機構と、を備える。制御機構は、照明機構をカメラ機構の照明用ライトとして使用するときには、照明機構のバックライトとして使用するときよりも照明機構の出力を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機能を有する電子機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器として例えば携帯電話機においては、現在多くの機種がカメラ部を備えている。このカメラ部には種々の機能が付加されており、例えば、風景や自分以外の人物を撮影する機能のみならず、携帯電話機を操作している操作者(撮影者)自身を撮影(自分撮り)しやすくする機能(例えば、特許文献1参照)やカメラ部で撮影している自分を鏡のように表示画面に表示する機能(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の携帯端末においては、通信回路および撮影した画像を処理する画像処理回路を少なくとも内蔵した筐体の一方の面としての第1の面に第1のディスプレイが配置されると共に、この第1の面の反対側の第2の面に、この面の前方を撮影するカメラと、このカメラが撮影する画像を所定のモードで表示する第2のディスプレイとが配置されている。
【0004】
特許文献2に記載の電子カメラは、撮像手段と表示手段とがほぼ同じ方向に向けられ、該表示手段に表示された画像を見ながら撮影者が撮影者自身の顔を撮影可能であり、表示手段に表示された画像から拡大表示する領域を選択設定する選択手段と、撮像手段に撮像された画像から選択手段で選択された領域を切り出す切り出し手段と、手振れを検出する手振れ検出手段と、手振れ検出手段の出力に応じて切り出し手段が切り出す領域をシフトさせて手振れ補正を行なう手振れ補正手段と、切り出し手段で切り出された領域の画像を左右反転させて表示手段に鏡像として拡大表示させる表示制御手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−169116号公報
【特許文献2】特開2005−5791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
【0007】
カメラ付携帯電話機においては、撮影(カメラ部)用のライトを1つ有するものが多い。しかしながら、撮影用ライトが1つのみである携帯電話機において、操作者自身を被写体とする場合、撮像に影が生じやすくなってしまう。例えば、自分の顔を撮影してその表示を鏡として使用する場合、鼻や化粧道具による影が生じてしまい、鏡としての利用に支障が生じることがある。
【0008】
影の発生を抑制する手段としては、ライトを複数設けることが考えられる。しかし、通常の撮影用ライトは、実装のためには大きな空間を確保する必要がある。通常の撮影用ライトは、その輝度の大きさ等による他の素子への悪影響を抑制するために、筐体内部へライトを実装する際には遮光構造も設ける必要があるからである。したがって、撮影用ライトを複数設けると、撮影用ライトの占有体積が増大するために携帯電話機のサイズも大きくせざるをえなくなってしまう。
【0009】
また、撮影用ライトが1つである場合、通常、ライトはレンズの近傍で、レンズの向きと略同一方向を照射するように配置される。例えば、表示部のある上部筐体と操作部のある下部筐体とに分かれた折畳み式携帯電話機においては、通常、ライトはレンズを配置した上部筐体又はヒンジ部に配置される。しかし、鏡として利用するとき、操作者は表示部を見る必要があり、ライトの光が視界に入らざるを得ない。このため、ライトのまぶしさのために鏡としての利用は困難となる。特に、フラッシュライト等の輝度が強度のライトであればなおさらである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1視点によれば、入力部と、カメラ部と、入力部のバックライト及びカメラ部の照明用ライトを兼ねる照明部と、を備える電子機器が提供される。
【0011】
本発明の第2視点によれば、入力部のバックライトとしての照明部をカメラ部の照明用ライトとして兼用し、入力部のバックライトとして使用するときと、カメラ部の照明用ライトとして使用するときとで照明部の出力を変化させる電子機器の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以下の効果のうち少なくとも1つを有する。
【0013】
本発明においては、入力部のバックライトを、カメラ部の照明としても利用することができる。これにより、複数の発光素子をカメラ部の照明として使用することが容易になる。また、照明部に必要な占有体積を増大させずに複数の発光素子をカメラ部の照明として利用することができる。
【0014】
また、本発明によれば、バックライトとカメラ部の照明とで、使用する機能に応じて照明部の出力を調節することができる。これにより、適切な照度に設定することができるとともに、電力の消費量を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器の概略ブロック図。
【図2】本発明の電子機器の一例である携帯電話機の概略平面図。
【図3】発光素子を配置した部分の概略断面図。
【図4】発光素子を配置した部分の概略断面図。
【図5】図2に示す形態における発光素子の配置の一例。
【図6】高透明領域を形成する位置の一例を示す概略平面図。
【図7】本発明の電子機器の動作及び制御方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態に係る電子機器について、本発明の電子機器の一例として携帯電話機を用いて説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係る電子機器の概略ブロック図を示す。図2に、本発明の電子機器の一例として、携帯電話機の概略平面図を示す。図3及び図4に、発光素子を配置した部分の概略断面図を示す。図2に示す携帯電話機100は、折畳み式携帯電話機であり、上部筐体101と、下部筐体102と、上部筐体101と下部筐体102を回動可能に連結するヒンジ部103と、を備える。
【0017】
本発明の電子機器100は、操作者が操作するキーボタン11aを有する入力部11と、静画や動画を撮影するカメラ部13と、カメラ部が撮影した静画や動画を含め各種の出力を表示する表示部12と、操作者がキーボタン11a操作する際にキーボタン11aを照らしたり、撮影時に被写体を照明したりする照明部14と、各部の動作を制御する制御部15と、を備える。
【0018】
入力部11は、キーシート22と、キーシート22上に配された少なくとも1つのキーボタン11aを有する。図2に示す形態においては、入力部11は、下部筐体102に設けられている。キーボタン11aは、バックライトとなる照明部14によって裏側から照らされたときに操作者がキーボタン11aに表示された文字や記号を認識できるような構成を有する。例えば、キーボタン11aは、文字や記号の部分に透光性を有してもよいし、又は文字や記号以外の部分に透光性を有してもよい。
【0019】
また、キーボタン11aは、文字や記号を表示する領域以外の領域において、発光素子の光軸上に透明性の高い領域を有してもよい。これにより、後述のように、照明部14が被写体に対する照射性を高めることができる。
【0020】
表示部12は、図2に示す形態においては、上部筐体101に設けられている。
【0021】
カメラ部13は、撮影機能としては、通常のカメラのように周囲の風景や人物の静画や動画を撮影する機能、操作者自身を撮影する機能等を有する。カメラ部13はレンズを有し、図2に示す形態においては、レンズはヒンジ部103に設けられている。レンズを配置する箇所は、ヒンジ部103に限定されることなく、上部筐体101又は下部筐体102に設けることもできる。操作者の周囲を撮影する場合は、操作者が撮影した映像を表示部12で確認しやすくするために、レンズの向きと表示部12の向きは反対方向であると好ましく、操作者自身を撮影する場合は、図2に示すようにレンズの向きと表示部12の向きは同じ方向(完全な同一方向に限定するものではない)であると好ましい。レンズの向きは可変であってもよい。カメラ部13は、カメラ部13で撮影した被写体(特に操作者)を表示する表示部12を鏡として利用する機能(以下「ミラー機能」という)を有してもよい。ミラー機能を利用して、操作者自身を撮影する場合、手鏡に自分自身を映すように、自分撮り機能によって撮影された自分自身のリアルタイムの動画を表示部に映し出すことになる。
【0022】
照明部14は、入力部11の内部(筐体及びキーボタン11aの裏側)に配された少なくとも1つの発光素子を有する。発光素子は、その輝度を調節可能であると好ましい。特に、複数の発光素子が設けられている場合、個別にその輝度を調節できると好ましい。発光素子の発光色は、特に限定されることなく、例えば白色でもよいし、複数の発光色を発光可能であってもよい。発光素子としては、例えば、発光ダイオード(LED;Light-Emitting Diode)を使用することができる。
【0023】
図2に、発光素子の配置の一例を示す。図2において、発光素子の配置位置は黒丸(黒点)で図示してある。発光素子は、夜間など暗がりで電子機器100を操作する場合に、キーボタン11aを裏側から照らし、キーボタン11aに表示された文字や記号を操作者に認識させやすくするために、キーボタン11aを裏側から照らしたり、電子機器100のイルミネーションのために発光するバックライトとして機能する。また、発光素子は、カメラ部13使用時に被写体を照明する撮影用ライトとしても機能する。1つの発光素子は、バックライト及び撮影用ライトとして兼用されると好ましいが、いずれか一方のみとして利用されてもよい。撮影用ライトとしてのみ利用される発光素子があったとしても、隣接する2つのキーボタン11aの間等デッドスペースに配置することができると共に、バックライトと配線を共有化することができるので、通常のフラッシュ機能付ライトを複数配置する場合より発光素子の占有体積を低減することができる。
【0024】
複数の発光素子は、入力部11において分散して配置すると好ましい。これにより、バックライトとして機能するときには複数のキーボタン11aを満遍なく照らすことができ、撮影用ライトとして機能するときには被写体(特に、ミラー機能使用時の操作者の顔)を異なる方向からムラなく照明することができる。また、撮影用ライトとして機能するときに偏りなく照明するために、複数の発光素子は、左右対称に配置すると好ましく、また、複数の発光素子は、上下対称に配置すると好ましい。また、複数の発光素子は、入力部11の動作を阻害しないように、キーボタン11aが配置されていない箇所や隣接するキーボタン11aの間に配置すると好ましい。
【0025】
照明部14の複数の発光素子において、発光素子の配置位置に応じて、各発光素子の動作を異ならせてもよい。例えば、照明部14は、主たるバックライトとして機能すると共に撮影用ライトとして機能する第1発光素子14a(図5においてその位置を丸印で図示)と、バックライトとして機能すると共にカメラ撮影時に主たる撮影用ライトとして機能する第2発光素子14b(図5においてその位置を星印で図示)と、バックライトとして機能すると共にカメラ撮影時に撮影用ライトの補助ライトとして機能する第3発光素子14c(図5においてその位置を矩形印で図示)と、を有することができる。第1〜第3発光素子14a〜14cは、それぞれ、少なくとも1つの発光素子を有するグループである。
【0026】
第1発光素子14aは、キーボタン11aのバックライトとして好適な位置に配置すると好ましい。第1発光素子14aとしては、例えば多色発光LED(RGB LED)を使用することができる。第2発光素子14bは、カメラ撮影時、特にミラー機能作動時に、操作者の手等で覆われにくい箇所に配置すると好ましい。また、第2発光素子14bは、上下対象及び左右対称に配置でき、より広い導光領域(後述)を確保可能な箇所に配置すると好ましい。第2発光素子14bとしては、例えば白色LEDや多色発光LED(RGB LED)を使用することができる。第3発光素子14cは、第1発光素子14a及び第2発光素子14bの補助ライトとして作用可能な箇所に配置する。第3発光素子14cとしては、例えば白色LEDや多色発光LED(RGB LED)を使用することができる。多色発光LEDでは厳密に白色光が出にくい場合や、製造上のばらつきがある場合には、白色光を必要とする発光素子には、白色光が出る白色LEDを使うことが望ましい。
【0027】
図5に、図2に示す形態における第1〜第3発光素子14a〜14cの配置の一例を示す。図5に示す形態においては、第1発光素子14aは、キーボタン11aを効率的に照らすためキーボタン11aの配列に沿ってキーボタン11aの間に配置されている。4つの第2発光素子14bは、キーボタン11aが配置された矩形型の領域の四隅に配置されている。これにより、特にミラー機能動作時において、操作者の顔をより広範囲にムラなく照明することができる。第3発光素子14cは、カメラ部13使用時に第2発光素子14bのみでは照度が不十分である場合に、被写体を照明するために使用されるので、第2発光素子14bの近傍に配置されてもよいし、第2発光素子14bとは一定の間隔をあけて配置されてもよい。図5に示す形態においては、第2発光素子14bの間に、第2発光素子14b及び第3発光素子14cが分散するように配置されている。第3発光素子14cを補助的に使用することにより、カメラ部13動作時の消費電力を節約することができる。
【0028】
照明部14は、撮影用ライトとしてのみ作用する例えばフラッシュ機能付発光素子(図2において不図示)を有してもよい。また、照明部14は、バックライトとしてのみ動作する発光素子(不図示)を有してもよい。
【0029】
図3は、第2発光素子14bを下部筐体102の内側に配置した部分の概略部分断面図である。図4は、第3発光素子14cを、隣接するキーボタン11aの間に配置した部分の概略部分断面図である。図3及び図4においては第1発光素子14aについては図示していないが、図3及び図4に示す第2発光素子14b及び第3発光素子14cと同様の形態とすることができ、図示及び説明は省略する。
【0030】
電子機器100は、発光素子の光を直接的に被写体に照射するための高透明領域A、及び高透明領域Aの周囲に、高透明領域Aよりも透明度の低い低透明領域Bを有する。高透明領域Aは、発光素子14a〜14cのうち少なくとも1つの発光素子の発光光軸上に形成されると好ましい。図6に、高透明領域Aを形成する位置の一例を示す概略平面図を示す。高透明領域A(丸印)は、カメラ撮影時に主たる照明として使用される発光素子上に形成されるとより好ましい。例えば、図5及び図6に示す形態においては、高透明領域Aは、第2発光素子14b及び第3発光素子14cの光軸上に形成されている。高透明領域Aは、低透明領域Bに対して窓のように形成されている。図6において、高透明領域Aの形状は、円形状としたが、楕円、多角形等種々の形状に設定することができる。低透明領域Bは、キーボタン11aに表示された文字や記号を操作者に認識されやすくするために、より広範囲に光を照射するための領域として形成すると好ましい。すなわち、低透明領域Bは、発光素子からの光を拡散する性質を有すると好ましい。低透明領域Bは、発光素子の光を拡散させる拡散領域に加えて、発光素子の光を透過させない非透明領域を含んでいてもよい。また、高透明領域Aから低透明領域Bへは透明性がグラデーション的に変化してもよい。なお、図6において、高透明領域A以外の全領域を低透明領域Bとしているが、高透明領域A以外の全領域が低透明領域Bである必要はなく、低透明領域Bは部分的に(例えばキーボタン11aの文字部分に)形成されてあっても構わない。
【0031】
ここで、高透明領域A及び低透明領域Bの形成方法について説明する。高透明領域A及び低透明領域Bは、第1発光素子14a、第2発光素子14b及び第3発光素子14cの配置位置、キーボタン11a及び下部筐体102の位置関係、キーシート22、キーボタン11a及び下部筐体102の透明性や光拡散性、等を調節することによって形成することができる。図3及び図4を例にして説明する。第1発光素子14a、第2発光素子14b及び第3発光素子14cは、基板21上に配置されている。キーボタン11aは、キーシート22上に配置されている。キーシート22は、発光素子の光を直接的に被写体に照射するための高透明領域22a(斜線模様領域)、及び高透明領域22aの周囲に、高透明領域22aよりも透明度の低い低透明領域22b(格子模様領域)を有する。
【0032】
例えば、キーシート22を透明な部材(例えば、ポリエチレンテレフタレート)で形成した場合、キーシート22の低透明領域22bは、キーシート22の表面に、光を拡散する拡散剤(例えば顔料や蛍光剤を含有させたエストラマー樹脂や半透明な塗料)を塗布したり、レンズ形状に加工したり、凹凸や傷を形成したりすることによって形成することができる(以下「低透明化処理」という)。また、キーシート22の低透明領域22bの表面には、場合に応じて筐体色を塗装・印刷したり、キーボタン11aの文字を照明した際に文字が識別しやすいように文字や記号、それ以外の部分への塗装・印刷をしてもよい。なお、図3及び図4においては、キーシート22の断面に格子模様を付し、キーシート22それ自体が高透明性を有しないように図示されているが、これは明確性のための図示であって、上述のように、キーシート22それ自体は透明であってもよい。
【0033】
一方、キーシート22の高透明領域22aは、発光素子の光軸と重複するように形成すると好ましい。キーシート22の高透明領域22aは、低透明領域22bを形成するための加工を施さない領域、すなわちキーシート22の透明性を維持させた領域として形成することができる。キーシート22の高透明領域22aは、キーシート22に形成された貫通孔であってもよい。高透明領域22aは、広ければ広いほど、高透明領域22aと発光素子との距離が近ければ近いほど照射範囲が広がるため、キーボタン11aの形状、特に押しやすさの目安となる大きさや、バックライトとして照明する際の文字の認識を損ねない程度を考慮して形成することが望ましい。
【0034】
キーシート22の高透明領域22aは、図3及び4に示すように隣接するキーボタン11a間の隙間、及びキーボタン11aと下部筐体102との隙間と重複するように形成することができる。この場合、キーシート22の高透明領域22aを透過した光は、キーボタン11aや下部筐体102を透過せずに、キーボタン11aや下部筐体102の色等の影響を受けることなく、被写体を照射することができる。高透明領域Aと重複するキーボタン11a及び下部筐体102の領域は、発光素子の光を直接的に被写体に照射するための高透明領域であると好ましい。例えば、キーボタン11a及び下部筐体102は、透明な部材で形成し、高透明領域Aと重複する領域には低透明化処理を施さないようにすることができる。また、高透明領域Aと重複する領域は、レンズ状にし、発光素子からの直進性の高い光の照光角を広げるような構成としてもよい。
【0035】
キーシート22に低透明領域22bを形成した場合、必要に応じて、低透明領域Bと重複するキーボタン11a及び下部筐体102の領域にも低透明化処理を施してもよい。例えば、キーボタン11a及び下部筐体102は、透明な部材(例えば、ポリカーボネイト、紫外線硬化透明樹脂、エンジニアリングプラスチック等)で形成し、より光を拡散させる必要がある領域(例えばキーボタン11aの文字部分)に低透明化処理を施してもよいし、低透明化処理を施さずに透明性を維持させてもよいし、非透明化させてもよい。なお、図3及び図4において、キーボタン11a及び下部筐体102の高透明領域及び低透明領域の区別は図示していない。また、キーボタン11aが押圧されたときに電気的導通を形成する構成の図示は省略されている。
【0036】
上記説明においては、キーシート22に高透明領域22a及び低透明領域22bを形成する形態について説明したが、キーシート22は透明のまま(すなわち低透明領域化処理を施さない)で、キーボタン11aや下部筐体102に低透明化処理を施すことにより、高透明領域A及び低透明領域Bを形成してもよい。
【0037】
表示部12は、撮影時に、カメラ部13が撮影している画像を表示する。特に、ミラー機能作動時には、操作者が表示部12に表示された自身の顔を視認しながら、操作者自身の顔を撮影できるようにする。このとき、カメラ部13のレンズ、入力部11(すなわち照明部14)及び表示部12は、いずれも被写体である操作者の方を向くことになる。
【0038】
カメラ部13の撮影方向(レンズの方向)及び撮影時に入力部11が面する方向(発光素子の照射方向)は可変にすると好ましい。
【0039】
制御部15は、各部にそれぞれの機能を実行させる。また、制御部15は、撮影時に、照明部14の出力も制御する。例えば、まず、制御部15は、カメラ部13が撮影した画像における照度を解析する。照度は、画像全体的に分析してもよいし、画像を分割して複数の点で解析してもよい。次に、当該画像の照度を予め設定されていた照度と解析照度と比較する。所定の照度に達していない場合には、発光素子の輝度を高める。例えば、図5に示す形態でいえば、第3発光素子14cの輝度を高める。発光素子の輝度は、照度の低い箇所に応じて個別に調節できると好ましい。また、操作者が各発光素子の輝度を個別に調整可能に構成してもよい。
【0040】
次に、本発明の電子機器の動作及び制御方法について説明する。図7に、本発明の電子機器の動作及び制御方法を説明するためのフローチャートを示す。以下においては、図2〜図5に示す形態を例にして説明する。また、説明の簡略化のため、第1〜第3発光素子14a〜14cは、低輝度、中輝度及び高輝度の三段階で発光調節することとする。
【0041】
操作者がカメラ機能以外の機能を利用している状態においては、制御部15は、照明部14をバックライトとして利用する(S12)。このとき、第2発光素子14b及び第3発光素子14c上に高透明領域Aが形成され、第1発光素子14a上に高透明領域Aが形成されていない場合には、制御部15は、操作者が認識する照度を均一化するため、例えば、第1発光素子14aを中輝度で発光させ、第2発光素子14b及び第3発光素子14cを低輝度で発光させる。
【0042】
操作者がカメラ機能の利用を開始すると、すなわちカメラ部13を動作させる状態においては、カメラ部13の照明設定に応じて、制御部15は、照明部14の発光素子の輝度を高めて、又は、発光させていない発光素子を点灯させて、発光素子14a〜14cをカメラ部13の照明として使用する(S13)。例えば、操作者がミラー機能を作動させた場合、制御部15は、第2発光素子14bを高輝度で発光させ、第1発光素子14a及び第3発光素子14cを低輝度で発光させる。四隅の第2発光素子14bの輝度を高めることによって全体的にムラなく照明することができると共に、第1発光素子14a及び第3発光素子14cによって全体的な照度を高めることができる。発光素子に多色発光素子(RGB LED)を使っている場合には白色光となるように各RGB発光素子を全点灯することが好ましい。
【0043】
次に、制御部15は、カメラ部13が撮影した画像を取得し、取得した画像データを分析し、照度が足りているか、照度不足の領域が存在するか解析する(S14)。分析の結果、照度不足である場合には、制御部15は、点灯中の発光素子の輝度を高めるか、又は点灯させていない発光素子を点灯させる(S16)。例えば、制御部15は、第3発光素子14cの輝度を高輝度にする。また、照度が過剰である場合には、発光素子の輝度を低下させたり、消灯させたりする。
【0044】
より好ましい形態においては、制御部15は、画像を取得及び解析し、照度が十分かさらに解析する(S17)。分析の結果、照度不足である場合には、制御部15は、点灯中の発光素子の輝度を高めるか、又は点灯させていない発光素子を点灯させる(S19)。例えば、制御部15は、第1発光素子14aの輝度を高輝度にする。これにより、すべての発光素子14a〜14cが高輝度で点灯することになる。また、照度が過剰である場合には、発光素子の輝度を低下させたり、消灯させたりする。
【0045】
操作者がカメラ部の使用を中止すると、発光素子14a〜14cの輝度をバックライト用の輝度に戻す。
【0046】
上記においては、説明の簡略化のために1つの例を用いて本発明を説明したが、発光素子の位置、数、輝度、構成等は、上記例には限定されない。例えば、第1〜第3発光素子の区分(グループ)に限定されず、別の区分を用いてもよいし、区分を用いずに個々の発光素子を個別に制御するようにしてもよい。また、例えば、輝度の調節も三段階に限定されず、より細かな調節が可能となるようにしてもよい。また、発光素子の発光色を変化させることができる場合には、設定に応じて発光色の変更や選択をできるようにしてもよい。
【0047】
上記実施形態においては、第1〜第3発光素子14a〜14cをキーボタンのバックライト及び撮影用ライトとして使用したが、撮影用ライトとして使うものは第2発光素子14bのみとしてもよいし、または第2発光素子14bと第3発光素子14cのみとする構成としてもよい。第1発光素子14aはバックライトとしての機能のみを果たし、カメラ撮影のとき消灯するような制御としてもよい。
【0048】
本発明によれば、カメラ機能の照明に複数の発光素子を用いることにより、特にミラー機能使用時に、撮影画像に影が生じることを抑制することができる。また、カメラ機能の照明にキーボタンのバックライトを使用するので、複数の発光素子を使用するにもかかわらず、照明部が占有する体積の増大を抑制することができる。
【0049】
また、本発明によれば、使用する機能や照度に応じて各発光素子の輝度を調節するので、適切な照度に設定することができるとともに、電力の消費量を抑制することができる。
【0050】
本発明の電子機器及びその制御方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0051】
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0052】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。
【0053】
(付記1)
入力部と、
カメラ部と、
前記入力部のバックライト及び前記カメラ部の照明用ライトを兼ねる照明部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【0054】
(付記2)
制御部をさらに備え、
前記照明部は、輝度を調節可能な発光素子を有し、
前記制御部は、前記発光素子の輝度を制御することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
【0055】
(付記3)
前記制御部は、前記照明部を前記入力部のバックライトとして使用するときと、前記カメラ部の照明用ライトとして使用するときとで、前記発光素子の輝度を変化させることを特徴とする付記2に記載の電子機器。
【0056】
(付記4)
前記制御部は、前記照明部を前記カメラ部の照明用ライトとして使用するときには、前記照明部のバックライトとして使用するときよりも前記発光素子の輝度を高めることを特徴とする付記3に記載の電子機器。
【0057】
(付記5)
前記照明部は、前記発光素子を複数有し、
前記制御部は、複数の前記発光素子の輝度を個別に又はグループ毎に調節することを特徴とする付記2〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【0058】
(付記6)
前記制御部は、前記カメラ部が取得した画像を解析し、前記画像の解析結果を基に前記発光素子の輝度を調節することを特徴とする付記2〜5のいずれか一項に記載の電子機器。
【0059】
(付記7)
前記入力部は、キーシートと、前記キーシート上に配するキーボタンと、を有し、
前記照明部は、前記キーシートの下方に配された発光素子を有し、
前記キーシートは、発光素子の光を透過させる高透明領域と、前記高透明領域より透明度の低い低透明領域と、を有し、
前記高透明領域は、前記発光素子の光軸上に形成されていることを特徴とする付記1〜6のいずれか一項に記載の電子機器。
【0060】
(付記8)
前記低透明領域は、前記高透明領域の周囲に形成されていることを特徴とする付記7に記載の電子機器。
【0061】
(付記9)
前記低透明領域は、前記発光素子が発光した光を拡散させる拡散剤を塗布した領域であることを特徴とする付記7又は8に記載の電子機器。
【0062】
(付記10)
前記入力部及び前記照明部を収容する筐体をさらに備え、
前記筐体から前記キーボタンは露出しており、
前記発光素子は、隣接するキーボタン間の隙間の下方、又は前記キーボタンと前記筐体との間の隙間の下方に配置されていることを特徴とする付記7〜9のいずれか一項に記載の電子機器。
【0063】
(付記11)
前記入力部及び前記照明部を収容する筐体をさらに備え、
前記筐体から前記キーボタンは露出しており、
前記高透明領域上の前記キーボタン及び前記筐体の部分は、透明性を有することを特徴とする付記7〜10のいずれか一項に記載の電子機器。
【0064】
(付記12)
表示部をさらに備え、
前記カメラ部が撮影した内容は前記表示部に出力され、
操作者は、前記カメラ部によって自身の顔を撮影しながら、前記表示部に出力された撮影画像を視認することができることを特徴とする付記1〜11のいずれか一項に記載の電子機器。
【0065】
(付記13)
入力部のバックライトとしての照明部をカメラ部の照明用ライトとして兼用し、
入力部のバックライトとして使用するときと、カメラ部の照明用ライトとして使用するときとで照明部の出力を変化させることを特徴とする電子機器の制御方法。
【0066】
(付記14)
前記照明部を前記カメラ部の照明用ライトとして使用するときは、前記入力部のバックライトとして使用するときよりも前記照明部の出力を高めることを特徴とする付記13に記載の電子機器の制御方法。
【0067】
(付記15)
前記カメラ部が被写体の画像データを取得する工程と、
前記画像データを照度に関して解析する工程と、
前記画像データの解析結果に応じて前記照明部の出力を制御する工程と、
を含むことを特徴とする付記13又は14に記載の電子機器の制御方法。
【0068】
(付記16)
前記照明部が有する複数の前記発光素子の出力を個別に又はグループ毎に制御することを特徴とする付記13〜15のいずれか一項に記載の電子機器の制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の実施形態では折り畳み携帯電話を例に説明したが、スライド型携帯電話やストレート型携帯電話などで、入力部とカメラ部とが、同じ向きを向いている、向けられる電子機器であればよい。
【0070】
本発明は、機能に応じて照明を使い分ける電子機器及びその制御方法に適用することができる。例えば、本発明は、カメラ機能を有する電子機器(例えば、携帯電話機、ポータブルゲーム機、ポータブルオーディオ、ノート型パソコン等)に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 電子機器
101 上部筐体
102 下部筐体
103 ヒンジ部
11 入力部
11a キーボタン
12 表示部
13 カメラ部
14 照明部
14a 第1発光素子
14b 第2発光素子
14c 第3発光素子
15 制御部
21 基板
22 キーシート
22a 高透明領域
22b 低透明領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、
カメラ部と、
前記入力部のバックライト及び前記カメラ部の照明用ライトを兼ねる照明部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
制御部をさらに備え、
前記照明部は、輝度を調節可能な発光素子を有し、
前記制御部は、前記発光素子の輝度を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記照明部を前記カメラ部の照明用ライトとして使用するときには、前記照明部のバックライトとして使用するときよりも前記発光素子の輝度を高めることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記照明部は、前記発光素子を複数有し、
前記制御部は、複数の前記発光素子の輝度を個別に又はグループ毎に調節することを特徴とする請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記カメラ部が取得した画像を解析し、前記画像の解析結果を基に前記発光素子の輝度を調節することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記入力部は、キーシートと、前記キーシート上に配するキーボタンと、を有し、
前記照明部は、前記キーシートの下方に配された発光素子を有し、
前記キーシートは、発光素子の光を透過させる高透明領域と、前記高透明領域より透明度の低い低透明領域と、を有し、
前記高透明領域は、前記発光素子の光軸上に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
入力部のバックライトとしての照明部をカメラ部の照明用ライトとして兼用し、
入力部のバックライトとして使用するときと、カメラ部の照明用ライトとして使用するときとで照明部の出力を変化させることを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項8】
前記照明部を前記カメラ部の照明用ライトとして使用するときは、前記入力部のバックライトとして使用するときよりも前記照明部の出力を高めることを特徴とする請求項7に記載の電子機器の制御方法。
【請求項9】
前記カメラ部が被写体の画像データを取得する工程と、
前記画像データを照度に関して解析する工程と、
前記画像データの解析結果に応じて前記照明部の出力を制御する工程と、
を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の電子機器の制御方法。
【請求項10】
前記照明部が有する複数の前記発光素子の出力を個別に又はグループ毎に制御することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175636(P2012−175636A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38427(P2011−38427)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】