説明

電子機器及びその梱包方法

【課題】不揮発性の記憶手段に記憶されている情報を、機器本体に電力を供給することなく更新可能とする。
【解決手段】画像形成装置10を、USB端子に外部からUSBケーブルを接続することが可能なように梱包しておき、画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶されているファームウェアの更新を行う際に、PC90をUSBケーブル106経由で画像形成装置10と接続することで、画像形成装置10のうち省電力制御ユニット22及びフラッシュROMユニット20に対してのみ電力を供給し、USBケーブル106を介してファームウェアの更新を行う。これにより、画像形成装置10の梱包を開梱し電源部16を外部商用電源に接続する等の煩雑な作業を行うことなく、画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶されているファームウェアの更新を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器及びその梱包方法に係り、特に、機器本体の稼働時に使用される稼働時使用情報を記憶する不揮発性の記憶手段を備えた電子機器、及び該電子機器に適用可能な電子機器の梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置は、CPU及びファームウェア・プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶手段を内蔵しており、記憶手段に記憶されているファームウェア・プログラムがCPUによって実行されることで所期の機能が実現される構成となっている。ここで、不揮発性の記憶手段に記憶されているファームウェア・プログラムは、該プログラムに内在するバグの修正や、画像形成装置の機能・性能の向上等の理由で更新する必要が生ずることがある。ファームウェア・プログラムの更新は、通常、画像形成装置の電源をオンすると共に画像形成装置にPC(Personal Computer)等を接続した状態で、PC等から画像形成装置へ更新対象のプログラムを転送することで、更新対象のプログラムを画像形成装置に内蔵されているRAM等に一時記憶させた後に、RAM等に一時記憶された更新対象のプログラムを、画像形成装置に内蔵されているCPUによって不揮発性の記憶手段に書き込むことによって成される。
【0003】
また特許文献1には、ファームウェア・プログラムを格納したICカードがICカード用コネクタに装着されると、CPUがICカード内のファームウェアを読み出しシリアル回線を介してエンジン制御部へ転送し、不揮発性メモリに格納させることで、ファームウェアの更新を行う画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−166883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、PC等を用いたファームウェアの更新及び特許文献1に記載のファームウェアの更新は、何れも画像形成装置の電源ケーブルを商用電源に接続して画像形成装置本体の電源をオンした状態で行われる。一方、製造された画像形成装置は、梱包された状態で出荷迄の間工場や倉庫で保管されるため、このような状態に置かれた画像形成装置に対してファームウェアの更新を行うためには、画像形成装置本体へ電力を供給可能な場所迄画像形成装置を移動させた上で梱包を開梱し、画像形成装置本体の電源をオンしてファームウェアの更新作業を行い、作業完了後に再度梱包する必要があり、多大な手間及びコストを要するという問題がある。また、出荷迄の間はファームウェアの更新を保留し、出荷した画像形成装置を指定された場所に設置する際にファームウェアの更新を行うことも考えられるが、この場合、設置作業の長時間化やファームウェアの更新忘れ等の不都合が生ずる可能性がある。
【0005】
なお、画像形成装置の不揮発性の記憶手段には、ファームウェア・プログラム以外に、画像形成装置の稼働時に使用(参照又は更新)される各種の設定データ等の情報も記憶されるが、上記のように画像形成装置本体への電力供給が容易でない状況での更新作業が非常に煩雑であるという問題は、不揮発性の記憶手段に記憶されているファームウェア・プログラム以外の情報を更新する場合にも生ずると共に、稼働時に使用される情報を記憶する不揮発性の記憶手段を備えた画像形成装置以外の任意の電子機器において、不揮発性の記憶手段に記憶されている情報の更新を機器本体への電力供給が容易でない状況で行う場合にも共通する問題である。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、不揮発性の記憶手段に記憶されている情報を、機器本体に電力を供給することなく更新可能な電子機器及び電子機器の梱包方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る電子機器は、機器本体の稼働時に使用される稼働時使用情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、接続された外部機器から電力が供給されると共に前記外部機器と情報を送受可能な所定インタフェースで外部機器を接続するための接続端子と、前記接続端子に接続された外部機器から所定の信号を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、前記外部機器から続いて転送される新たな稼働時使用情報に書替える更新処理を行う更新手段と、前記接続端子に外部機器が接続された場合に、前記外部機器から供給される電力を前記記憶手段及び前記更新手段に供給する配電手段と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項1記載の発明に係る電子機器は不揮発性の記憶手段を備えており、この記憶手段には機器本体の稼働時に使用される稼働時使用情報が記憶されている。なお、上記の記憶手段としてはHDDを用いることも可能であるが、より低消費電力で低コストのフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が好ましい。また、上記の稼働時使用情報は、ファームウェア・プログラム等のように機器本体に含まれるCPUが機器本体の稼働時に実行するためのプログラムであってもよいし、機器本体に含まれるCPUが機器本体の稼働時に参照或いは更新するデータであってもよいし、上記のプログラム及び上記のデータを各々含む情報であってもよい。
【0009】
ところで、複数の機器を接続するインタフェースの中には、例えば請求項2に記載したUSBやIEEE1394のように、接続された外部機器から電力が供給されると共に外部機器と情報を送受可能な所定インタフェースが存在している。請求項1記載の発明はこの所定インタフェースを利用しており、本発明に係る電子機器には、前記所定インタフェースで外部機器を接続するための接続端子と、該接続端子に接続された外部機器から所定の信号を受信した場合に、記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、外部機器から続いて転送される新たな稼働時使用情報に書替える更新処理を行う更新手段が設けられている。そして配電手段は、接続端子に外部機器が接続された場合に、外部機器から供給される電力を記憶手段及び更新手段に供給する。なお、外部機器としてはPC(Personal Computer)、特に携帯が容易なように小型化されたノートブック型等のPCが好適である。
【0010】
これにより、本発明に係る電子機器の接続端子に外部機器が接続されると、接続端子に接続された外部機器から所定インタフェースを介して供給される電力が配電手段によって記憶手段及び更新手段に供給されることで、記憶手段及び更新手段が作動する。そして、接続端子に接続された外部機器が本発明に係る電子機器に対し、所定インタフェースを介して所定の信号を送信した後に、所定インタフェースを介して新たな稼働時情報を転送することで、更新手段によって上記の更新処理が行われることで、記憶手段に記憶されている稼働時使用情報が更新されることになる。従って、請求項1記載の発明によれば、不揮発性の記憶手段に記憶されている情報を、機器本体に電力を供給することなく更新することが可能となる。
【0011】
なお、請求項1記載の発明において、接続端子に接続された外部機器から所定インタフェースを介して供給される電力の大きさには制限があることを考慮すると、配電手段は、例えば請求項3に記載したように、記憶手段及び更新手段から電子機器内のそれ以外の部分へ流れる漏れ電流を遮断する遮断手段を含んで構成することが好ましい。なお、上記の漏れ電流のうち、例えば電子機器内に設けられた電源部から記憶手段や更新手段に電力を供給するための給電線を介して流れる漏れ電流を遮断する遮断手段としては、前記給電線の途中に設けられた逆流防止用のダイオードで構成することができ、更新手段と本発明に係る接続端子以外の端子との間に設けられた信号線を介して流れる漏れ電流を遮断する遮断手段としては、前記信号線の途中に設けられ信号線を電気的に切断可能なバススイッチ等で構成することができる。
【0012】
上記の遮断手段を含んで配電手段を構成することで、接続端子に接続された外部機器から所定インタフェースを介して供給された電力が、電子機器内のうち記憶手段及び更新手段以外の部分で無駄に消費されることを防止することができ、接続端子に接続された外部機器から供給された電力を有効に利用することができる。
【0013】
また、請求項1記載の発明において、記憶手段としてフラッシュメモリを用いる場合には、例えば請求項4に記載したように、更新処理として、記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を一旦消去した後に、外部機器から順に転送された新たな稼働時使用情報を内蔵メモリに順次記憶させ、かつ内蔵メモリに記憶させた情報のサイズが記憶手段への情報の単位書込サイズに達する毎に内蔵メモリに記憶させた情報を記憶手段に書き込む処理を行うように更新手段を構成することが好ましい。これにより、本発明に係る電子機器の機器本体に大容量メモリが設けられている場合にも、当該大容量メモリを用いることなく記憶手段に記憶されている稼働時使用情報の更新を行うことが可能となり、稼働時使用情報の更新時に大容量メモリ及びその周辺回路に電力を供給する必要が無くなることで、稼働時使用情報の更新時の消費電力を低減できると共に、内蔵メモリのメモリ容量も節減できることで本発明に係る電子機器の低コスト化も実現することができる。
【0014】
また、請求項1記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、機器本体へ電力を供給可能な第1電源部と、機器本体を稼働させるべき期間を判断し、機器本体を稼働させるべき期間にのみ第1電源部から機器本体へ電力を供給させる省電力制御手段として機能する省電力用CPUと、電子機器の電源がオンされている間、省電力用CPUへ電力を供給する第2電源部が設けられている場合には、省電力用CPUを、電子機器の電源がオフされかつ配電手段から電力が供給された場合に更新手段として機能させることが好ましい。上記構成では、電子機器の電源がオフされている間は、第2電源部から省電力用CPUへ電力が供給されないことで、省電力用CPUは省電力制御手段としての機能を停止しているので、上記のように、電子機器の電源がオフされかつ配電手段から電力が供給された場合に省電力用CPUを更新手段として機能させることで、更新手段として機能する回路を電子機器に新たに追加する必要が無くなり、本発明に係る電子機器を低コストに構成することができる。
【0015】
また、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の発明に係る電子機器は、例えば請求項6に記載したように、梱包状態で外部から本発明に係る接続端子に接続ケーブルを接続することが可能なように梱包されることが好ましい。梱包状態で外部から接続端子に接続ケーブルを接続することを可能とすることは、接続端子を外部に露出させる貫通孔を梱包材に設けるか、或いは、開閉可能で開放時に接続端子が外部に露出する開閉蓋を梱包材に設けることで実現できる。これにより、梱包状態で保管されている電子機器に対し、開梱することなく接続端子に外部機器を接続することができ、梱包状態で保管されている電子機器の記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、開梱することなく更新することが可能となる。
【0016】
請求項7記載の発明に係る電子機器の梱包方法は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の電子機器を、梱包状態で外部から前記接続端子に接続ケーブルを接続することが可能なように梱包する。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の電子機器を、梱包状態で外部から接続端子に接続ケーブルを接続することが可能なように梱包するので、請求項6記載の発明と同様に、梱包した電子機器に対し、開梱することなく接続端子に外部機器を接続することができ、梱包した電子機器の記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、開梱することなく更新することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明は、接続された外部機器から電力が供給されると共に外部機器と情報を送受可能な所定インタフェースで外部機器を接続するための接続端子と、接続端子に接続された外部機器から所定の信号を受信した場合に、不揮発性の記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、外部機器から続いて転送される新たな稼働時使用情報に書替える更新処理を行う更新手段と、接続端子に外部機器が接続された場合に、外部機器から供給される電力を記憶手段及び更新手段に供給する配電手段を設けたので、不揮発性の記憶手段に記憶されている情報を、機器本体に電力を供給することなく更新することが可能となる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る画像形成装置10と、画像形成装置10のファームウェアの更新に使用可能なPC90が示されている。なお、画像形成装置10は本発明に係る電子機器に対応しており、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機の何れかを適用することができる。
【0020】
画像形成装置10は、入力された画像データに基づいて電子写真方式で画像を形成し、形成した画像を紙等の記録材料に転写・定着させる画像形成部12と、画像形成部12に出力する画像データを生成すると共に画像形成部12の動作を制御するコントローラ14と、交流100Vの外部商用電源に接続され画像形成部12及びコントローラ14に所定電圧の直流電力を供給する電源部16を含んで構成されている。コントローラ14には、メインコントロールユニット18、フラッシュROMユニット20、省電力制御ユニット22及び外部インタフェース(I/F)ユニット24が各々設けられている。
【0021】
電源部16には第1電源線26と第2電源線28の2本の電源線が接続されており、画像形成部12及びメインコントロールユニット18の給電端子は第1電源線26に直接接続され、フラッシュROMユニット20の給電端子はダイオード30を介して第1電源線26に接続されている。また、省電力制御ユニット22の給電端子はダイオード32を介して第2電源線28に接続されており、外部I/Fユニット24の給電端子は第2電源線28に直接接続されている。画像形成装置10には動作モードとして通常モードと省電力モードが設けられており、電源部16は、第2電源線28に対しては画像形成装置10の動作モードに拘わらず電力を供給し、第1電源線26に対しては動作モードとして通常モードが設定されている間のみ電力を供給する。
【0022】
これにより、省電力制御ユニット22及び外部I/Fユニット24は、電源部16が外部商用電源に接続されかつ画像形成装置10の電源スイッチがオンされている間、常に電力が供給されて作動し、画像形成部12、メインコントロールユニット18及びフラッシュROMユニット20は、電源部16が外部商用電源に接続されかつ画像形成装置10の電源スイッチがオンされており、更に動作モードとして通常モードが設定されている間のみ、電力が供給されて作動する。このように、電源部16は請求項5に記載の第1電源部及び第2電源部に対応しており、画像形成部12及びメインコントロールユニット18は本発明における機器本体に対応している。
【0023】
メインコントロールユニット18にはメインCPU34、大容量のメインメモリ36、画像処理部38が設けられており、これらはバス40を介して互いに接続されている。メインCPU34によって実行されるファームウェア・プログラムはフラッシュROMユニット20のフラッシュROM44(後述)に予め記憶されており、メインCPU34は、メインコントロールユニット18への電力供給が開始されると上記のファームウェア・プログラムをフラッシュROM44からメインメモリ36に展開して実行することで、テンキーやLCD等の図示しないユーザI/F装置を含む画像形成装置10各部の動作制御や、画像形成装置10に接続された外部機器との通信等の処理を行う。なお、フラッシュROM44に記憶されているファームウェア・プログラムは、互いに異なる処理を行うための複数種のファームウェア・プログラムで構成されている。また、画像処理部38には画像形成部12が接続されており、画像処理部38で各種の画像処理が行われた画像データは画像形成部12へ出力され、画像形成部12における画像形成に用いられる。
【0024】
また、フラッシュROMユニット20にはバススイッチ42とフラッシュROM44が設けられている。フラッシュROM44は電力の供給が停止されても記憶内容が保持される不揮発性で、かつ所定サイズを単位として記憶内容を書替可能なメモリであり、本発明に係る記憶手段に対応している。フラッシュROM44には、前述したファームウェア・プログラム以外に、画像形成装置10の稼働時にメインCPU34によって参照又は更新される各種の設定データと、省電力制御ユニット22の省電力制御用CPU52(後述)によって実行されるプログラム(このプログラムの中には、電源部16が外部商用電源に接続されかつ画像形成装置10の電源スイッチがオンされている間省電力制御用CPU52によって実行される省電力制御プログラムと、後述するファームウェアの更新時に省電力制御用CPU52によって実行されるファームウェア更新プログラムが含まれている)も予め記憶されている。なお、フラッシュROM44に記憶されている各種情報のうち、ファームウェア・プログラムと各種の設定データは本発明に係る稼働時使用情報に対応している。
【0025】
フラッシュROM44は信号線46を介してバススイッチ42に接続されており、バススイッチ42は信号線48を介してメインコントロールユニット18のバス40に接続されていると共に、信号線50を介して省電力制御ユニット22の省電力制御用CPU52(後述)に接続されている。バススイッチ42は、非通電時には信号線50,46を介してフラッシュROM44を省電力制御用CPU52と導通させる状態となっており、メインCPU34から所定の制御信号が入力されると、フラッシュROM44を信号線48経由でバス40に接続する状態に切り替わる。
【0026】
また省電力制御ユニット22には、ワークメモリとしてのSRAM54を内蔵した省電力制御用CPU52、USB I/F部56及びバススイッチ58が設けられており、外部I/Fユニット24にはLAN I/F部60とシリアルポートI/F部62が設けられている。図2(A)に示すように、画像形成装置10の側部にはUSB端子64、LAN端子66及びシリアルポート68が設けられており、I/F部56,60,62は各々対応する端子(ポート)64〜68と接続され、対応する対応する端子(ポート)64〜68を介して接続された外部機器と通信を行う機能を有している。なお、USB端子64は本発明に係る接続端子に対応している。
【0027】
省電力制御用CPU52は信号線70を介してUSB I/F部56と接続されており、信号線70はバススイッチ58、信号線72を介してLAN I/F部60及びシリアルポートI/F部62と各々接続されている。バススイッチ58は、非通電時には信号線70と信号線72の導通を遮断する状態となっているが、省電力制御用CPU52は、電源部16が外部商用電源に接続されかつ画像形成装置10の電源スイッチがオンされることで、第2電源線28を介して省電力制御ユニット22への電力供給が開始されると、バススイッチ58へ所定の制御信号を出力することで、信号線70と信号線72が導通される状態(信号線70,72経由でLAN I/F部60及びシリアルポートI/F部62と通信可能な状態)へバススイッチ58を切り替える。
【0028】
また省電力制御用CPU52は、第2電源線28を介して省電力制御ユニット22への電力供給が開始されると前述した省電力制御プログラムをフラッシュROM44からメインメモリ36に展開して実行することで、USB I/F部56、LAN I/F部60及びシリアルポートI/F部62の何れかを介し、画像形成部12による画像形成処理の実行が外部機器から指示されたか否かを監視し、画像形成処理の実行が指示されたことを検知すると画像形成装置10の動作モードを省電力モードから通常モードへ変更設定し、画像形成部12が画像形成処理を実行していない状態が所定時間以上継続した場合には、画像形成装置10の動作モードを通常モードから省電力モードへ変更設定する省電力制御処理を行う。前述のように、省電力モードでは画像形成部12、メインコントロールユニット18及びフラッシュROMユニット20への電力供給が停止されるので、上記の省電力制御処理によって画像形成装置10の待機時の消費電力が大幅に低減される。
【0029】
ところで、外部機器との通信のために画像形成装置10に設けられた3種類のインタフェース(USB、LAN、シリアルポート)のうちのUSBは、USB端子64に接続された外部機器と情報を送受可能で、かつ前記接続された外部機器から電力が供給される。このため、省電力制御ユニット22に設けられたUSB I/F部56には、外部機器から供給された電力を省電力制御ユニット22の給電端子に入力するための電源線74が設けられている。また、省電力制御ユニット22とフラッシュROMユニット20の間には、途中にダイオード78が設けられた電源線76が配設されており、省電力制御ユニット22の給電端子を介して省電力制御ユニット22に供給された電力の一部を、電源線76を介してフラッシュROMユニット20へ供給することも可能とされている。
【0030】
前述のように、省電力制御ユニット22の給電端子には第2電源線28が接続されているが、この第2電源線28は2本に分岐され、省電力制御用CPU52の所定のピンにも接続されており、省電力制御用CPU52は電力が供給されて作動すると、前記所定のピンを介して入力される信号のレベルに基づいて、電力の供給源が電源部16かUSB端子64に接続された外部機器かを判断する。そして、電力の供給源が外部機器と判断した場合、省電力制御用CPU52は、電源線74を介して供給された電力の一部を電源線76を介してフラッシュROMユニット20へ供給させる。
【0031】
また本実施形態に係る画像形成装置10は、工場で製造された後、図2(B)に示す梱包材80によって梱包され、出荷迄の間、工場或いは倉庫等に梱包状態のまま保管される。図2(B)に示すように、画像形成装置10の梱包に用いられる梱包材80には、画像形成装置10を梱包した状態で画像形成装置10の側部に設けられたUSB端子64に対応する位置に、開閉可能な蓋部82として機能する略コ字状の切込みが予め穿設されており、蓋部82の中央に相当する位置には蓋部82の引き出し(開放)操作を容易にするための孔84も穿設されている。これにより、孔84に指等を挿入して蓋部82を手前側へ引き出す操作が行われた場合、画像形成装置10の側部に設けられたUSB端子64が、外部からUSBケーブル106を接続可能なように露出されることになる。なお、画像形成装置10を図2(B)に示すように梱包することは請求項7記載の発明に対応している。
【0032】
一方、図1に示すように、画像形成装置10のファームウェアの更新に使用可能なPC90は、CPU92、メモリ94、HDD(Hard Disk Drive)96、ディスプレイ98、キーボード100及びUSB I/F部102を備え、これらがバス104を介して互いに接続されて構成されている。HDD96には、PC90のCPU92が後述するファームウェア更新制御処理を行うためのファームウェア更新制御プログラムがインストールされており、更新対象の画像形成装置10に適用すべき更新対象のファームウェア・プログラムも記憶されている。また、USB I/F部102は、USBケーブル106を介して任意のデバイスが接続された場合に、接続されたデバイスへUSBケーブル106を介して電力を供給する給電部(図示省略)を内蔵している。なお、PC90としては、携帯が容易なタイプのPC(例えば図2(B)に示すノートブック型のPC)が好適である。また、PC90は本発明に係る外部機器に対応している。
【0033】
次に図3を参照し、本実施形態の作用として、梱包状態で保管されている画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶されているファームウェア・プログラムを、PC90を使用して更新する場合について説明する。ファームウェア・プログラムの更新作業を行う作業者は、PC90が稼働している状態で、HDD96にインストールされているファームウェア更新制御プログラムの起動を指示する(図3のステップ150も参照)。これにより、PC90のCPU92によってファームウェア更新制御プログラムが実行されることで、次のステップ152以降でファームウェア更新制御処理が行われる。
【0034】
ファームウェア更新制御処理では、まずステップ152において、ファームウェア・プログラムの更新が可能な画像形成装置10の機種をディスプレイ98に一覧表示させ、今回のファームウェア更新対象の画像形成装置10の機種を作業者に選択させる。作業者がキーボード100を操作し、ディスプレイ98に一覧表示されている画像形成装置10の機種の中から、今回のファームウェア更新対象の画像形成装置10の機種を選択する(図3のステップ154も参照)と、作業者によって選択された機種の画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶される複数種のファームウェア・プログラムのうち、HDD96に更新対象として記憶されているファームウェア・プログラムを検索し、該検索によって抽出されたファームウェア・プログラムを更新候補のファームウェア・プログラムとしてディスプレイ98に一覧表示させ、今回の作業で更新対象とするファームウェア・プログラムを作業者に選択させる(図3のステップ156も参照)。
【0035】
作業者がキーボード100を操作し、ディスプレイ98に一覧表示されている更新候補のファームウェア・プログラムの中から、今回の作業で更新対象とするファームウェア・プログラムを選択する(図3のステップ158も参照:なお、一覧表示されたファームウェア・プログラムを全て選択することも可能であることは言うまでもない)と、作業者による選択結果をメモリ94に記憶した後に、作業者に対し、PC90をファームウェア更新対象の画像形成装置10とUSBケーブル102で接続するよう指示するメッセージをディスプレイ98に表示させることで、PC90とファームウェア更新対象の画像形成装置10との接続を指示する(図3のステップ160も参照)。
【0036】
上記メッセージがディスプレイ98に表示されると、作業者は、まずファームウェア更新対象の画像形成装置10の外面を覆っている梱包材80に設けられた孔84に指等を挿入し、蓋部82を手前側へ引き出す操作を行うことで、画像形成装置10に設けられたUSB端子64を、外部からUSBケーブル106を接続可能なように露出させる。続いて、USBケーブル102の一端をPC90に設けられたUSB端子(図示省略)に、他端を外部に露出した画像形成装置10のUSB端子64に各々挿入する操作を行うことで、PC90と画像形成装置10をUSBケーブル102によって接続する(図3のステップ162も参照)。
【0037】
これにより、PC90のUSB I/F部56からUSBケーブル102を介して画像形成装置10のUSB I/F部56へ電力が供給され、この電力が電源線74を介して省電力制御ユニット22の給電端子に供給されることで省電力制御用CPU52を含む省電力制御ユニット22が作動状態となる。省電力制御用CPU52は、電力が供給されて作動すると所定のピンを介して入力される信号のレベルをチェックするが、このときには電源部16が外部商用電源に接続されていないので、上記信号のレベルは0となっており、現在の電力の供給源がUSB端子64に接続された外部機器(PC90)であると判断できる。このため、省電力制御用CPU52は、電源線74を介して供給された電力の一部を電源線76を介してフラッシュROMユニット20へ供給させる。これにより、フラッシュROM44を含むフラッシュROMユニット20も作動状態となる。
【0038】
なお、上記のように省電力制御ユニット22及びフラッシュROMユニット20が作動している状態で、省電力制御ユニット22に供給された電力の一部が第2電源線28を介し電流として電源部16へ漏洩することはダイオード32によって阻止され、省電力制御ユニット22に供給された電力の一部が信号線72を介し電流として外部I/Fユニット24へ漏洩することはバススイッチ58によって阻止される。同様に、フラッシュROMユニット20に供給された電力の一部が第1電源線26を介し電流として電源部16へ漏洩することはダイオード30によって阻止され、フラッシュROMユニット20に供給された電力の一部が信号線48を介し電流としてメインコントロールユニット18へ漏洩することはバススイッチ42によって阻止される。従って、PC90からUSB端子64を介して供給される電力を有効利用することができ、PC90からUSB端子64を介して供給される電力によって省電力制御ユニット22及びフラッシュROMユニット20を安定して動作させることができる。このように、ダイオード30,32及びバススイッチ42,58は電源線74,76と共に本発明に係る配電手段に対応しており、より詳しくは、ダイオード30,32及びバススイッチ42,58は請求項3に記載の遮断手段に対応している。
【0039】
一方、作業者はPC90を画像形成装置10に接続すると、キーボード98を操作して「接続完了」を意味する情報を入力する(図3のステップ164も参照)。これによりPC90は、ファームウェア更新モードの起動を指示すると共に、今回の更新対象ファームウェアを通知する起動指示情報(この起動指示情報は本発明に係る所定の信号に相当する)をUSBケーブル106を介して画像形成装置10へ送信する(図3のステップ166も参照)。次のステップ168では、上記の情報を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ170へ移行し、画像形成装置10から転送要求を受信したか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ168に戻り、何れかの判定が肯定される迄ステップ168,170を繰り返す。なお、ステップ168の判定が肯定された場合は何らかの異常が発生している可能性が高いので、再操作及び画像形成装置10との再接続を作業者に要求するメッセージをディスプレイ98に表示させ、ファームウェア更新制御処理を一旦終了する(図3のステップ180も参照)。
【0040】
また、PC90からUSBケーブル106を介して画像形成装置10へ送信された起動指示情報は、USB I/F部56で受信された後に省電力制御用CPU52へ転送され、PC90から起動指示情報を受信したことが省電力制御用CPU52によって検知される。これにより、省電力制御用CPU52はファームウェア更新プログラムをフラッシュROM44からSRAM54にロードさせ、SRAM54にロードさせたファームウェア更新プログラムを逐次実行する(図3のステップ184も参照)。これにより、次のステップ186以降でファームウェア更新処理が行われ、省電力制御用CPU52は本発明に係る更新手段として機能する。
【0041】
ファームウェア更新処理では、まずステップ186において、フラッシュROM44の記憶領域のうち、PC90から受信した起動指示情報によって通知された今回の更新対象ファームウェアが記憶されている領域に記憶されている情報を消去する消去処理を行う。そして当該消去処理が完了すると、今回の更新対象ファームウェアをフラッシュROM44の単位書込サイズ分だけ転送するよう要求する転送要求情報をUSBケーブル106を介してPC90へ送信する(図3のステップ188も参照)。次のステップ190では、転送要求情報を送信することで要求した単位書込サイズ分の更新対象ファームウェアをPC90から受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ190を繰り返す。
【0042】
PC90では、先に起動指示情報を送信したから所定時間以内に画像形成装置10から上記の転送要求情報を受信すると、ファームウェア更新制御処理のステップ170の判定が肯定されてステップ172へ移行し、今回の更新対象ファームウェアを画像形成装置10へ全て転送したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ174へ移行し、今回の更新対象ファームウェアを画像形成装置10から要求されたサイズ(フラッシュROM44の単位書込サイズ)分だけHDD96から読み出し、USBケーブル106を介して画像形成装置10へ転送した後にステップ168へ戻る。
【0043】
この単位書込サイズ分の更新対象ファームウェアが画像形成装置10で受信されると、ファームウェア更新制御処理のステップ190の判定が肯定されてステップ192へ移行し、受信した情報が転送完了通知か否か判定する。この場合は判定が否定されてステップ194へ移行し、受信した単位書込サイズ分の更新対象ファームウェアをSRAM64に一時記憶させた後に、フラッシュROM44の対応する記憶領域に書き込み、ステップ188に戻って転送要求情報をPC90へ再度送信する。
【0044】
このように、PC90で実行されるファームウェア更新制御処理ではステップ168〜ステップ174が繰り返され、画像形成装置10の省電力制御用CPU52で実行されるファームウェア更新処理ではステップ188〜ステップ194が繰り返されることで、作業者が今回の更新対象として指定したファームウェア・プログラムが、画像形成装置10のフラッシュROM44に書き込まれ、上記のファームウェア・プログラムが更新されることになる。
【0045】
PC90で実行されるファームウェア更新制御処理は、作業者が今回の更新対象として指定したファームウェア・プログラムの転送が完了すると、ステップ172の判定が肯定されてステップ176へ移行し、画像形成装置10に対してファームウェアの転送完了を通知し、次のステップ178において、ファームウェア更新の正常終了を作業者へ通知するメッセージをディスプレイ98に表示させて終了する。また、画像形成装置10の省電力制御用CPU52で実行されるファームウェア更新処理は、PC90へ送信した転送要求情報に対する応答が転送完了通知であったことで、ステップ192の判定が肯定されて終了される(図3のステップ196も参照)。
【0046】
このように、本実施形態では、画像形成装置10が梱包された状態で、画像形成装置10に設けられたUSB端子64に外部からUSBケーブル106を接続することが可能なように画像形成装置10を梱包しておき、画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶されているファームウェアの更新を行う場合に、PC90をUSBケーブル106経由で画像形成装置10と接続することで、画像形成装置10のうち省電力制御ユニット22及びフラッシュROMユニット20に対してのみ電力を供給し、USBケーブル106を介してファームウェアの更新を行うようにしたので、画像形成装置10の梱包を開梱し電源部16を外部商用電源に接続する等の煩雑な作業を行うことなく、画像形成装置10のフラッシュROM44に記憶されているファームウェアの更新を行うことができる。
【0047】
なお、上記では更新対象ファームウェアをフラッシュROM44の単位書込サイズずつ転送させる例を説明したが、PC90からの転送サイズとフラッシュROM44の単位書込サイズは必ずしも一致していなくてもよい。
【0048】
また、上記では本発明に係る所定インタフェースの一例としてUSBを説明したが、情報の送受と外部からの電力の供給が可能なインタフェースであればよく、例えばIEEE1394等の他のインタフェースを適用することも可能である。
【0049】
また、上記では本発明に係る電子機器として画像形成装置10を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フラッシュROM等の不揮発性の記憶手段を備えた任意の電子機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置及びPCの概略構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は画像形成装置の外観、(B)は梱包状態の画像形成装置をPCと接続した状態を各々示す斜視図である。
【図3】ファームウェア更新の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10 画像形成装置
16 電源部
18 メインコントロールユニット
20 フラッシュROMユニット
22 省電力制御ユニット
26 電源線
28 電源線
30 ダイオード
32 ダイオード
42 バススイッチ
44 フラッシュROM
52 省電力制御用CPU
56 USB I/F部
58 バススイッチ
64 USB端子
74 電源線
76 電源線
80 梱包材
82 蓋部
90 PC
102 USB I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の稼働時に使用される稼働時使用情報を記憶する不揮発性の記憶手段と、
接続された外部機器から電力が供給されると共に前記外部機器と情報を送受可能な所定インタフェースで外部機器を接続するための接続端子と、
前記接続端子に接続された外部機器から所定の信号を受信した場合に、前記記憶手段に記憶されている稼働時使用情報を、前記外部機器から続いて転送される新たな稼働時使用情報に書替える更新処理を行う更新手段と、
前記接続端子に外部機器が接続された場合に、前記外部機器から供給される電力を前記記憶手段及び前記更新手段に供給する配電手段と、
を含む電子機器。
【請求項2】
前記所定インタフェースはUSB又はIEEE1394であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記配電手段は、前記記憶手段及び前記更新手段から前記電子機器内のそれ以外の部分へ流れる漏れ電流を遮断する遮断手段を含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記記憶手段はフラッシュメモリであり、
前記更新手段は、前記更新処理として、前記記憶手段に記憶されている前記稼働時使用情報を一旦消去した後に、前記外部機器から順に転送された前記新たな稼働時使用情報を内蔵メモリに順次記憶させ、かつ前記内蔵メモリに記憶させた情報のサイズが前記記憶手段への情報の単位書込サイズに達する毎に前記内蔵メモリに記憶させた情報を前記記憶手段に書き込む処理を行うことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
機器本体へ電力を供給可能な第1電源部と、
前記機器本体を稼働させるべき期間を判断し、前記機器本体を稼働させるべき期間にのみ前記第1電源部から前記機器本体へ電力を供給させる省電力制御手段として機能する省電力用CPUと、
前記電子機器の電源がオンされている間、前記省電力用CPUへ電力を供給する第2電源部と、
を更に備え、
前記省電力用CPUは、前記電子機器の電源がオフされかつ前記配電手段から電力が供給された場合に前記更新手段として機能することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、梱包状態で外部から前記接続端子に接続ケーブルを接続することが可能なように梱包されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の電子機器を、梱包状態で外部から前記接続端子に接続ケーブルを接続することが可能なように梱包する電子機器の梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−216619(P2007−216619A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42348(P2006−42348)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】