電子機器及びデジタルスチルカメラ
【課題】外部メディアの取り出し時に外部メディアが飛び出すことを防止できると共に、その動作が外部メディアの飛び出し防止のための構成に起因することをユーザに簡単に認識させることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】機器本体と、機器本体に対し外部メディア23を着脱自在に保持し、外部メディア23の離脱時に外部メディア23を付勢力によって機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有し、外部メディア保持手段は外部メディア23の着脱時に外部メディア23の一部に接触し外部メディア23の離脱時に付勢力によって外部メディア23が勢いよく機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部33を有し、弾性部33は外部メディア23の着脱時に機器本体の外部より視認可能である位置に配置されている電子機器1。
【解決手段】機器本体と、機器本体に対し外部メディア23を着脱自在に保持し、外部メディア23の離脱時に外部メディア23を付勢力によって機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有し、外部メディア保持手段は外部メディア23の着脱時に外部メディア23の一部に接触し外部メディア23の離脱時に付勢力によって外部メディア23が勢いよく機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部33を有し、弾性部33は外部メディア23の着脱時に機器本体の外部より視認可能である位置に配置されている電子機器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外部メディアの飛び出し防止機構に関し、詳しくはデジタルカメラ等の電子機器におけるメモリカードの飛び出し防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラ等の電子機器において、SDカード等の外部メディアを着脱自在に保持可能であるものが知られており、外部メディアの保持手段として、メディア自体によってコネクタのロックレバースプリングを押し込むタイプのものが知られている。
【0003】
上述の保持手段では、外部メディア自体によってスプリングを圧縮しているため、外部メディアの取り出し時に圧縮されたスプリングの付勢力により外部メディアが勢いよく飛び出してしまうことがある。外部メディアが飛び出してしまった場合には外部メディアの破損や紛失につながる虞があるため、外部メディアの飛び出しを防止すべく、カードコネクタハウジングの一部をロック機構のロックスライドレバーに押し当てて、外部メディアの取り出し時にロックスライド部を減速させる技術が、たとえば「特許文献1」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、カードコネクタ自体にロックスライドレバーの減速機構を設けており、外部メディアを選定する際にロックスライドレバー減速機構を設けたカードコネクタしか選択肢がなく、コストや性能を含めた外部メディア選定の自由度が低いという問題点がある。また、カードコネクタ自体は品質低下を防止するためコネクタ全体を外部に露出させない(外部メディアの着脱部のみ露出)構成であるため、ユーザが実際に外部メディアの着脱操作を行う際に、ロックスライドレバーの一部がハウジングと摩擦することにより発生する著しい力量の変化を機能不良と捉えてしまい、正常な構成であっても苦情につながるという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決し、外部メディアの取り出し時に外部メディアが飛び出すことを防止できると共に、その動作が外部メディアの飛び出し防止のための構成に起因することをユーザに簡単に認識させることが可能な電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、機器本体と、前記機器本体に対し外部メディアを着脱自在に保持し、前記外部メディアの離脱時に前記外部メディアを付勢力によって前記機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有する電子機器において、前記外部メディア保持手段は前記外部メディアの着脱時に前記外部メディアの一部に接触し前記外部メディアの離脱時に前記付勢力によって前記外部メディアが勢いよく前記機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部を有し、前記弾性部は前記外部メディアの着脱時に前記機器本体の外部より視認可能である位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は半球形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は凸形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は板ばね構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記弾性部は前記外部メディア保持手段の近傍に設けられた部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記機器本体は電池を着脱自在に保持する電池保持部材を備えた電池保持手段を前記外部メディア保持手段の近傍に有し、前記弾性部は前記電池保持部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記機器本体は前記外部メディア保持手段を覆う蓋体を有し、前記蓋体の開放時に前記弾性部が前記機器本体の外部より視認可能となることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の電子機器であって、撮影レンズを有するデジタルスチルカメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弾性部が外部メディアの側面に接触して外部メディアに対して摩擦抵抗力を付与するので、外部メディアが外部メディア保持手段から勢いよく突出することを防止することができ、弾性部が外部より視認可能であるので、使用者が外部メディア保持手段から外部メディアを引き抜く際に、外部メディアに対して弾性部により摩擦抵抗力が付与されていることが使用者に理解でき、外部メディアを引き抜く際の抵抗力が故障によるものではないことを使用者に判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの後方斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの前方斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの電池室近傍の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態を適用可能な従来のデジタルカメラのSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態を適用可能な従来のデジタルカメラの電池室の分解斜視図である。
【図6】従来のデジタルカメラに用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に用いられるデジタルカメラの電池室の分解斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を適用可能な電子機器としてのデジタルスチルカメラを示している。同図においてデジタルスチルカメラ1は、背面右側に撮影時に把持するグリップ部2を有しており、グリップ部2の下方に外部メディアとしてのSDカードが挿入されるカードスロット及び電池が挿入される電池収納室を覆う蓋体としての電池蓋3が開閉自在に設けられている。背面右側には、4個の押しボタンである再生ボタン4、メニューボタン5、セルフボタン6、DISPボタン7が上から順に縦方向に配列され、背面の再生ボタン4の右上方にはADJボタン8が、背面左側には画面を表示するLCD9がそれぞれ設けられている。デジタルスチルカメラ1の上面には、モードダイヤル10、レリーズボタン11、ズームレバー12、電源スイッチ13がそれぞれ配設されている。またデジタルスチルカメラ1の正面には、図2に示すようにそのほぼ中央に撮影レンズ14が組み付けられており、その周囲にはリング15が組み付けられている。正面左上部には撮影時に補助光を発光するストロボ16が設けられ、撮影レンズ14とストロボ16との間には補助光LED17が設けられている。
【0017】
図3に示すように、電池収納室は電池を収納する電池ホルダ18、SDカードを収納するコネクタ19、電池に接触してデジタルカメラに電源を供給する導電接続用の端子20、電池を電池収納室内に固定するためのロック爪21、電池が挿入された際に圧縮されロック開放時に電池に対して外部へ突出する向きの付勢力を付与するスプリング22等を有している。コネクタ19の内部には、SDカードが挿入された際に圧縮され電池蓋3の開放時にSDカードに対して外部へ突出する向きの付勢力を付与する図示しないスプリングが配設されている。図4に、従来のコネクタ19に対してSDカード23を挿入して電池蓋3を開放した状態を示す。この従来の構成では、SDカード23をコネクタ19に対して着脱する際にフリクションやストッパとなるものはなく、取り出し時にSDカード23が飛び出してしまう。
【0018】
従来の電池収納室では、図5に示すようにコネクタ19のカード着脱口近傍に位置する電池ホルダ18に穴24を穿設し、この穴24に電池を付勢する向きの付勢力をロック爪21に付与するスプリング25を配置している。従来のロック爪21は、図6に示すように電池ホルダ18に係止する係止部26、スプリング25を付勢する付勢部27、電池を引っ掛ける爪部28を有している。
【0019】
図7は、本発明の第1の実施形態を採用したロック爪29を示しており、図8はロック爪29が組み付けられる電池保持手段としての電池ホルダ34及びSDカード23が着脱される外部メディア保持手段としてのコネクタ35を示している。コネクタ35の内部には、SDカードが挿入された際に圧縮され電池蓋3の開放時にSDカードに対して外部へ突出する向きの付勢力を付与する図示しないスプリングが配設されている。コネクタ35のカード着脱口近傍に位置する電池ホルダ34には穴36が穿設され、穴36には電池を付勢する向きの付勢力をロック爪29に付与するスプリング37が配置されている。
【0020】
電池保持部材としてのロック爪29は上述したロック爪12と同様に、電池ホルダ34に係止する係止部30、スプリング37を付勢する付勢部31、電池を引っ掛ける爪部32を有しており、さらに付勢部31と爪部32との間の部位に、コネクタ35に対するSDカード23の着脱時にSDカード23の側面に接触して、電池蓋3が開放された際に図示しないスプリングの付勢力によってSDカード23がコネクタ35より飛び出すことを摩擦抵抗力によって防止するための弾性部33が設けられている。弾性部33は、半球形状を呈するエラストマ等の弾性部材によって構成されており、モールド部材との2色成形やインサート成形により、ロック爪29と一体的に構成されている。ここで、電池ホルダ34に比して小さく簡素な構成であるロック爪29に弾性部33を形成することにより、型構成を簡素化することができる。
【0021】
図9及び図10は、コネクタ35内にSDカード23を挿入した状態から電池蓋3を開放した状態を示している。同図に示すように、上述の構成により図示しないスプリングの付勢力によってコネクタ35からSDカード23が突出する際に、弾性部33がSDカードの側面に接触してSDカード23に対して摩擦抵抗力を付与するので、SDカードがコネクタ35から勢いよく突出することを防止することができる。さらに、電池蓋3を開放した際に弾性部33が外部より視認可能であるので、使用者がコネクタ35からSDカード23を引き抜く際に、SDカード23に対して弾性部33により摩擦抵抗力が付与されていることが使用者に理解でき、SDカード23を引き抜く際の抵抗力が故障によるものではないことを使用者に判断させることができる。
【0022】
図11は、本発明の第2の実施形態を採用したロック爪40を示している。このロック爪40は、上述したロック爪29と比較すると、弾性部33に代えて凸形状部を複数有する弾性部39を一体形成された腕部41の先端に有している点において相違しており、他の構成は同一である。複数の凸形状部はエラストマ等の弾性部材によって構成し、モールド部材との2色成形やインサート成形によって腕部41と一体的に形成されている。この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、複数の凸形状部がSDカード23とのフリクション機構であることを使用者に示すことができる。
【0023】
図12は、本発明の第3の実施形態を採用したロック爪43を示している。このロック爪43は、上述したロック爪29と比較すると、弾性部33に代えて板ばね構造である弾性部42を一体的に有している点において相違しており、他の構成は同一である。この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、ロック爪43の本体と弾性部42とを同材質で一体形成することができ、2色成形やインサート成形といった手法を必要とせずに部品点数を削減でき、簡単かつ安価に部品成形を行うことができる。
【0024】
上述した各実施形態では、SDカードに対して摩擦抵抗力を付与する弾性部33,39,42をコネクタ35のSDカード挿入口近傍に配置されたロック爪29,40,43と一体的に構成することにより、弾性部33,39,42を組み付ける工数を低減できると共に部品点数を削減することができる。これ等の効果を望まないのであれば、SDカードとの接触状況が外部より視認可能である位置であれば弾性部の配設位置はどの位置に配置してもよい。
【0025】
上記各実施形態では、電子機器としてデジタルスチルカメラを示したが、本発明が適用可能な電子機器はこれに限られず、たとえば銀塩カメラ等の他の撮影装置一般及び他の電子機器一般にも本発明は適用可能である。また、上記各実施形態では外部メディアとしてSDカードを示したが、本発明が適用可能な外部メディアはこれに限られず他の外部メディアにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 電子機器(デジタルスチルカメラ)
3 蓋体(電池蓋)
23 外部メディア(SDカード)
29,40,43 電池保持部材(ロック爪)
33,39,42 弾性部
34 電池保持手段(電池ホルダ)
35 外部メディア保持手段(コネクタ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2008−16391号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は外部メディアの飛び出し防止機構に関し、詳しくはデジタルカメラ等の電子機器におけるメモリカードの飛び出し防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラ等の電子機器において、SDカード等の外部メディアを着脱自在に保持可能であるものが知られており、外部メディアの保持手段として、メディア自体によってコネクタのロックレバースプリングを押し込むタイプのものが知られている。
【0003】
上述の保持手段では、外部メディア自体によってスプリングを圧縮しているため、外部メディアの取り出し時に圧縮されたスプリングの付勢力により外部メディアが勢いよく飛び出してしまうことがある。外部メディアが飛び出してしまった場合には外部メディアの破損や紛失につながる虞があるため、外部メディアの飛び出しを防止すべく、カードコネクタハウジングの一部をロック機構のロックスライドレバーに押し当てて、外部メディアの取り出し時にロックスライド部を減速させる技術が、たとえば「特許文献1」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、カードコネクタ自体にロックスライドレバーの減速機構を設けており、外部メディアを選定する際にロックスライドレバー減速機構を設けたカードコネクタしか選択肢がなく、コストや性能を含めた外部メディア選定の自由度が低いという問題点がある。また、カードコネクタ自体は品質低下を防止するためコネクタ全体を外部に露出させない(外部メディアの着脱部のみ露出)構成であるため、ユーザが実際に外部メディアの着脱操作を行う際に、ロックスライドレバーの一部がハウジングと摩擦することにより発生する著しい力量の変化を機能不良と捉えてしまい、正常な構成であっても苦情につながるという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決し、外部メディアの取り出し時に外部メディアが飛び出すことを防止できると共に、その動作が外部メディアの飛び出し防止のための構成に起因することをユーザに簡単に認識させることが可能な電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、機器本体と、前記機器本体に対し外部メディアを着脱自在に保持し、前記外部メディアの離脱時に前記外部メディアを付勢力によって前記機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有する電子機器において、前記外部メディア保持手段は前記外部メディアの着脱時に前記外部メディアの一部に接触し前記外部メディアの離脱時に前記付勢力によって前記外部メディアが勢いよく前記機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部を有し、前記弾性部は前記外部メディアの着脱時に前記機器本体の外部より視認可能である位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は半球形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は凸形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、さらに前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は板ばね構造であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記弾性部は前記外部メディア保持手段の近傍に設けられた部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記機器本体は電池を着脱自在に保持する電池保持部材を備えた電池保持手段を前記外部メディア保持手段の近傍に有し、前記弾性部は前記電池保持部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の電子機器において、さらに前記機器本体は前記外部メディア保持手段を覆う蓋体を有し、前記蓋体の開放時に前記弾性部が前記機器本体の外部より視認可能となることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の電子機器であって、撮影レンズを有するデジタルスチルカメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弾性部が外部メディアの側面に接触して外部メディアに対して摩擦抵抗力を付与するので、外部メディアが外部メディア保持手段から勢いよく突出することを防止することができ、弾性部が外部より視認可能であるので、使用者が外部メディア保持手段から外部メディアを引き抜く際に、外部メディアに対して弾性部により摩擦抵抗力が付与されていることが使用者に理解でき、外部メディアを引き抜く際の抵抗力が故障によるものではないことを使用者に判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの後方斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの前方斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を適用可能なデジタルカメラの電池室近傍の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態を適用可能な従来のデジタルカメラのSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態を適用可能な従来のデジタルカメラの電池室の分解斜視図である。
【図6】従来のデジタルカメラに用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に用いられるデジタルカメラの電池室の分解斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態におけるSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるSDカードの着脱状況を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に用いられる電池のロック爪を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を適用可能な電子機器としてのデジタルスチルカメラを示している。同図においてデジタルスチルカメラ1は、背面右側に撮影時に把持するグリップ部2を有しており、グリップ部2の下方に外部メディアとしてのSDカードが挿入されるカードスロット及び電池が挿入される電池収納室を覆う蓋体としての電池蓋3が開閉自在に設けられている。背面右側には、4個の押しボタンである再生ボタン4、メニューボタン5、セルフボタン6、DISPボタン7が上から順に縦方向に配列され、背面の再生ボタン4の右上方にはADJボタン8が、背面左側には画面を表示するLCD9がそれぞれ設けられている。デジタルスチルカメラ1の上面には、モードダイヤル10、レリーズボタン11、ズームレバー12、電源スイッチ13がそれぞれ配設されている。またデジタルスチルカメラ1の正面には、図2に示すようにそのほぼ中央に撮影レンズ14が組み付けられており、その周囲にはリング15が組み付けられている。正面左上部には撮影時に補助光を発光するストロボ16が設けられ、撮影レンズ14とストロボ16との間には補助光LED17が設けられている。
【0017】
図3に示すように、電池収納室は電池を収納する電池ホルダ18、SDカードを収納するコネクタ19、電池に接触してデジタルカメラに電源を供給する導電接続用の端子20、電池を電池収納室内に固定するためのロック爪21、電池が挿入された際に圧縮されロック開放時に電池に対して外部へ突出する向きの付勢力を付与するスプリング22等を有している。コネクタ19の内部には、SDカードが挿入された際に圧縮され電池蓋3の開放時にSDカードに対して外部へ突出する向きの付勢力を付与する図示しないスプリングが配設されている。図4に、従来のコネクタ19に対してSDカード23を挿入して電池蓋3を開放した状態を示す。この従来の構成では、SDカード23をコネクタ19に対して着脱する際にフリクションやストッパとなるものはなく、取り出し時にSDカード23が飛び出してしまう。
【0018】
従来の電池収納室では、図5に示すようにコネクタ19のカード着脱口近傍に位置する電池ホルダ18に穴24を穿設し、この穴24に電池を付勢する向きの付勢力をロック爪21に付与するスプリング25を配置している。従来のロック爪21は、図6に示すように電池ホルダ18に係止する係止部26、スプリング25を付勢する付勢部27、電池を引っ掛ける爪部28を有している。
【0019】
図7は、本発明の第1の実施形態を採用したロック爪29を示しており、図8はロック爪29が組み付けられる電池保持手段としての電池ホルダ34及びSDカード23が着脱される外部メディア保持手段としてのコネクタ35を示している。コネクタ35の内部には、SDカードが挿入された際に圧縮され電池蓋3の開放時にSDカードに対して外部へ突出する向きの付勢力を付与する図示しないスプリングが配設されている。コネクタ35のカード着脱口近傍に位置する電池ホルダ34には穴36が穿設され、穴36には電池を付勢する向きの付勢力をロック爪29に付与するスプリング37が配置されている。
【0020】
電池保持部材としてのロック爪29は上述したロック爪12と同様に、電池ホルダ34に係止する係止部30、スプリング37を付勢する付勢部31、電池を引っ掛ける爪部32を有しており、さらに付勢部31と爪部32との間の部位に、コネクタ35に対するSDカード23の着脱時にSDカード23の側面に接触して、電池蓋3が開放された際に図示しないスプリングの付勢力によってSDカード23がコネクタ35より飛び出すことを摩擦抵抗力によって防止するための弾性部33が設けられている。弾性部33は、半球形状を呈するエラストマ等の弾性部材によって構成されており、モールド部材との2色成形やインサート成形により、ロック爪29と一体的に構成されている。ここで、電池ホルダ34に比して小さく簡素な構成であるロック爪29に弾性部33を形成することにより、型構成を簡素化することができる。
【0021】
図9及び図10は、コネクタ35内にSDカード23を挿入した状態から電池蓋3を開放した状態を示している。同図に示すように、上述の構成により図示しないスプリングの付勢力によってコネクタ35からSDカード23が突出する際に、弾性部33がSDカードの側面に接触してSDカード23に対して摩擦抵抗力を付与するので、SDカードがコネクタ35から勢いよく突出することを防止することができる。さらに、電池蓋3を開放した際に弾性部33が外部より視認可能であるので、使用者がコネクタ35からSDカード23を引き抜く際に、SDカード23に対して弾性部33により摩擦抵抗力が付与されていることが使用者に理解でき、SDカード23を引き抜く際の抵抗力が故障によるものではないことを使用者に判断させることができる。
【0022】
図11は、本発明の第2の実施形態を採用したロック爪40を示している。このロック爪40は、上述したロック爪29と比較すると、弾性部33に代えて凸形状部を複数有する弾性部39を一体形成された腕部41の先端に有している点において相違しており、他の構成は同一である。複数の凸形状部はエラストマ等の弾性部材によって構成し、モールド部材との2色成形やインサート成形によって腕部41と一体的に形成されている。この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、複数の凸形状部がSDカード23とのフリクション機構であることを使用者に示すことができる。
【0023】
図12は、本発明の第3の実施形態を採用したロック爪43を示している。このロック爪43は、上述したロック爪29と比較すると、弾性部33に代えて板ばね構造である弾性部42を一体的に有している点において相違しており、他の構成は同一である。この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、ロック爪43の本体と弾性部42とを同材質で一体形成することができ、2色成形やインサート成形といった手法を必要とせずに部品点数を削減でき、簡単かつ安価に部品成形を行うことができる。
【0024】
上述した各実施形態では、SDカードに対して摩擦抵抗力を付与する弾性部33,39,42をコネクタ35のSDカード挿入口近傍に配置されたロック爪29,40,43と一体的に構成することにより、弾性部33,39,42を組み付ける工数を低減できると共に部品点数を削減することができる。これ等の効果を望まないのであれば、SDカードとの接触状況が外部より視認可能である位置であれば弾性部の配設位置はどの位置に配置してもよい。
【0025】
上記各実施形態では、電子機器としてデジタルスチルカメラを示したが、本発明が適用可能な電子機器はこれに限られず、たとえば銀塩カメラ等の他の撮影装置一般及び他の電子機器一般にも本発明は適用可能である。また、上記各実施形態では外部メディアとしてSDカードを示したが、本発明が適用可能な外部メディアはこれに限られず他の外部メディアにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 電子機器(デジタルスチルカメラ)
3 蓋体(電池蓋)
23 外部メディア(SDカード)
29,40,43 電池保持部材(ロック爪)
33,39,42 弾性部
34 電池保持手段(電池ホルダ)
35 外部メディア保持手段(コネクタ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2008−16391号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、前記機器本体に対し外部メディアを着脱自在に保持し、前記外部メディアの離脱時に前記外部メディアを付勢力によって前記機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有する電子機器において、
前記外部メディア保持手段は前記外部メディアの着脱時に前記外部メディアの一部に接触し前記外部メディアの離脱時に前記付勢力によって前記外部メディアが勢いよく前記機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部を有し、前記弾性部は前記外部メディアの着脱時に前記機器本体の外部より視認可能である位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は半球形状であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は凸形状であることを特徴とする外部機器。
【請求項4】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は板ばね構造であることを特徴とする外部機器。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、
前記弾性部は前記外部メディア保持手段の近傍に設けられた部材と一体的に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、
前記機器本体は電池を着脱自在に保持する電池保持部材を備えた電池保持手段を前記外部メディア保持手段の近傍に有し、前記弾性部は前記電池保持部材と一体的に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の電子機器において、
前記機器本体は前記外部メディア保持手段を覆う蓋体を有し、前記蓋体の開放時に前記弾性部が前記機器本体の外部より視認可能となることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の電子機器であって、撮影レンズを有するデジタルスチルカメラ。
【請求項1】
機器本体と、前記機器本体に対し外部メディアを着脱自在に保持し、前記外部メディアの離脱時に前記外部メディアを付勢力によって前記機器本体より排出する外部メディア保持手段とを有する電子機器において、
前記外部メディア保持手段は前記外部メディアの着脱時に前記外部メディアの一部に接触し前記外部メディアの離脱時に前記付勢力によって前記外部メディアが勢いよく前記機器本体の外部へと飛び出すことを摩擦力によって防止する弾性部を有し、前記弾性部は前記外部メディアの着脱時に前記機器本体の外部より視認可能である位置に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は半球形状であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は凸形状であることを特徴とする外部機器。
【請求項4】
請求項1記載の電子機器において、
前記弾性部の前記外部メディアとの接触部は板ばね構造であることを特徴とする外部機器。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、
前記弾性部は前記外部メディア保持手段の近傍に設けられた部材と一体的に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の電子機器において、
前記機器本体は電池を着脱自在に保持する電池保持部材を備えた電池保持手段を前記外部メディア保持手段の近傍に有し、前記弾性部は前記電池保持部材と一体的に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の電子機器において、
前記機器本体は前記外部メディア保持手段を覆う蓋体を有し、前記蓋体の開放時に前記弾性部が前記機器本体の外部より視認可能となることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の電子機器であって、撮影レンズを有するデジタルスチルカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−165349(P2011−165349A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23576(P2010−23576)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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