説明

電子機器及び画像形成装置

【課題】表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対して操作部の制御を変更するタイミングの遅れを小さくする。
【解決手段】操作制御部421と表示制御部515はそれぞれCPUを有し、操作部405と表示部403を制御する。データ転送部517は、表示制御部515が表示部403に表示されている画面を切り替える場合、切り替え後の画面を示す画像データがVRAMに格納される前に、制御データを操作制御部421に転送する。制御データとは、操作制御部421が切り替え後の画面に対応した制御を操作部405に実行するためのデータをいう。命令信号送信部519は、切り替え後の画面を示す画像データがVRAMに格納された後、操作制御部421が制御データに基づいて操作部405の制御を実行させる命令信号を、操作制御部421に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の電子機器に備えられる操作部及び表示部の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のCPUを搭載した従来の画像形成装置として、操作表示部と、RISC型CPUを有するシステム制御部と、CISC型CPUを有する複写制御部と、を備え、省エネルギーモードになれば、操作表示部を制御するCPUをRISCからCISCに切り替えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−343394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置に備えられる操作表示パネルにおいて、表示部と操作部とを制御するCPUを別々にし、表示部が画像形成装置のメインCPUによって制御され、操作部が操作表示パネルに設けられた操作制御用のCPUによって制御される構成を考える。この構成では、表示部は操作表示パネルに取り付けられているだけであり、操作制御用のCPUによる制御はされない。
【0005】
操作制御用のCPUは、表示部に表示される画面の画像データを処理しないので、高性能でなくてもよい。また、操作制御用のメモリーは、表示部に表示される画面の画像データの処理に用いられないので、大容量でなくてもよい。さらに、操作制御用のCPUは、キー操作を受け付ける処理等を実行するだけなので、操作表示パネルは汎用品を用いることができる。以上の理由から操作表示パネルのコストを下げることができる。
【0006】
一方、表示部を制御するCPUは、画像形成装置のメインCPUなので、表示部を制御するCPUを新たに設ける場合のように、コストがかかることはない。
【0007】
表示部に表示される画面が切り替わると、操作制御部で実行される制御が変更される場合がある。例えば、コピーが可能であることを示す画面(例えば、「コピーできます」又は「Ready to Copy」の文字を含む画面)が表示されている場合、スタートキーに設けられたLEDは点灯しており、スタートキーが操作されると、スタートキーの操作は受け付けられる。
【0008】
しかし、コピーが可能であることを示す画面からコピーができないことを示すエラー画面(例えば、「トナーがありません」や「用紙がありません」の文字を含む画面)に切り替わると、上記LEDは消灯し、スタートキーが操作されてもスタートキーの操作は受け付けられない。
【0009】
表示部を制御するCPUと操作部を制御するCPUとを別々にすると、表示部に表示される画面を切り替えたタイミングに対して、操作部の制御を変更するタイミングが遅れることがある。例えば、コピーが可能であることを示す画面からコピーができないことを示すエラー画面に切り替えたタイミングに対して、スタートキーの操作が受け付け可能から受け付け禁止に変更するタイミングが遅れることがある。このような場合、コピーが可能であることを示す画面からコピーができないことを示すエラー画面に切り替わっているにもかかわらず、スタートキーが操作されると、その操作が受け付けられて、コピーが開始される不都合が生じる。
【0010】
本発明は、表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対して操作部の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることが可能な電子機器及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の一の局面に係る電子機器は、操作部と、表示部と、前記操作部を制御し、第1のCPUにより実現される操作制御部と、前記表示部に画面を表示させる制御をし、第2のCPUと、前記表示部に画面を表示させる際に当該画面を示す画像データが格納されるメモリーとにより実現される表示制御部と、前記表示制御部が前記表示部に表示されている画面を切り替える場合、切り換え後の画面を示す前記画像データが前記メモリーに格納される前に、前記操作制御部が前記切り換え後の画面に対応した制御を前記操作部に実行するための制御データを、前記操作制御部に転送する機能を有し、前記第2のCPUにより実現されるデータ転送部と、前記操作制御部が前記制御データに基づいて前記操作部の制御を実行させる命令信号を、前記切り換え後の画面を示す前記画像データが前記メモリーに格納された後に、前記操作制御部に送信する機能を有し、前記第2のCPUにより実現される命令信号送信部と、を備え、前記操作制御部は、前記命令信号を受け付けると、前記制御データに基づいて前記操作部を制御する。
【0012】
本発明の一の局面に係る電子機器では、表示部に表示されている画面を切り替える場合、操作制御部が切り換え後の画面に対応した制御を操作部に実行するための制御データは、切り換え後の画面を示す画像データがメモリーに格納される前に、操作制御部に転送される。このため、制御データのデータ量がたとえ大きくても、制御データの転送が原因で、表示される画面を切り替えるタイミングに対して操作部の制御を変更するタイミングが遅れることはない。一方、切り換え後の画面を示す画像データがメモリーに格納された後に、操作制御部が制御データに基づいて操作部の制御を実行させる命令信号(言い換えれば、トリガー信号)が送信される。切り換え後の画面を示す画像データがメモリーに格納された後、その画像データが表示用の信号に変換されて表示部に送られ、表示部の画面が切り替わる。命令信号は、操作制御部が制御データに基づいて操作部の制御を実行させる命令なので、命令信号はデータ量を小さくできる(例えば、1ビットのデータ)。このため、命令信号が、表示部の画面の切り換え後に送信されても、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることができる。以上より、本発明の一の局面に係る電子機器によれば、表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記第1のCPUと前記第2のCPUとを接続し、前記制御データの転送及び前記命令信号の送信に用いられるバスと、前記表示部と接続され、前記メモリーに格納された前記画像データの伝送に用いられる信号線と、を備える。
【0014】
この構成によれば、第1のCPUと第2のCPUとを接続するバスとは別に設けられた信号線が、表示部に表示される画像の画像データの伝送に用いられる。従って、第1のCPUと第2のCPUとを接続するバスのバス幅を小さくすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第1のCPUと前記第2のCPUとを接続するバスを備え、前記バスを構成する複数の信号線には、前記命令信号の送信専用に割り当てられた信号線が含まれる。
【0016】
この構成によれば、命令信号の送信専用に割り当てられた信号線を備えるので、命令信号と他の信号とが信号線を共用する場合に比べて、命令信号を操作制御部に早く送ることが可能となる。従って、表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部の制御を変更するタイミングの遅れをさらに小さくすることが可能となる。
【0017】
上記構成において、前記命令信号は1ビットで構成される。
【0018】
この構成によれば、命令信号送信部から操作制御部への命令信号の送信は、1ビットのデータ通信となる。従って、表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部の制御を変更するタイミングの遅れをさらに小さくすることが可能となる。
【0019】
上記目的を達成する本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記電子機器を備える画像形成装置であって、用紙に画像を形成する動作をする画像形成部と、前記画像形成部を制御する制御部と、前記用紙に前記画像を形成するための操作に用いられる操作表示パネルと、を備え、前記操作表示パネルは、前記操作部、前記表示部及び前記操作制御部を含み、前記制御部は、前記表示制御部、前記データ転送部及び前記命令信号送信部を含む。
【0020】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、本発明の一の局面に係る電子機器を備えるので、上述した本発明の一の局面に係る電子機器の作用及び効果と同様の作用及び効果を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表示部に画面を表示させる制御と操作部の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対して操作部の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置に備えられる制御部及び操作表示部のハードウェア構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置に備えられる制御部及び操作表示部の機能ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置において、操作部及び表示部の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作表示部400を備える。
【0024】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0025】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0026】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0027】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0028】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0029】
操作表示部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0030】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0031】
スタートキー405はコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0032】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0033】
図2は、図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作表示部400、制御部500及び通信部600がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作表示部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0034】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)503及びRAM(Random Access Memory)505等を備える。CPU501(第2のCPUの一例)は、画像形成装置1のメインCPUであり、画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROM503は画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAM505は画像形成装置1のメインメモリーであり、ソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。RAM505は例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0035】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0036】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0037】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1に備えられる制御部500及び操作表示部400のハードウェア構成を示す図である。操作表示部400は操作部405及び表示部403を含む操作表示パネルである。このパネルは、用紙に画像を形成するための操作に用いられる。表示部403は例えば、液晶ディスプレイのような画像表示装置である。
【0038】
操作部405は操作表示部400のうち、表示部403以外の周辺デバイスである。詳しく説明すると、操作部405は上述した操作キー部401に加えて、LED407及びスピーカー409を備える。LED407は例えば、画像形成装置1でコピーが可能な状態であれば、点灯し、コピーができないエラー(例えば、トナーがない、用紙がない)が発生すれば、消灯する。これにより、画像形成装置1の操作者にコピー可能な状態及びコピー不可能な状態を視覚的に報知する。スピーカー409は例えば、画像形成装置1でコピーができないエラーが発生した場合に、スタートキー405が操作されると、警告音を発生する。これにより、画像形成装置1の操作者にコピーが不可能な状態を聴覚的に報知する。
【0039】
操作表示部400はさらに、CPU411、ROM413、RAM415及びIOポート417等がバス419によって接続された構成を有する。
【0040】
CPU411(第1のCPUの一例)は、操作部405を制御する。ROM413は操作部405の制御に必要なソフトウェアを予め記憶している。CPU411はROM413に記憶されているソフトウェアを読み出してRAM415に格納して、ソフトウェアを実行する。IOポート417には操作キー部401、LED407及びスピーカー409が接続されている。
【0041】
表示部403には、画像形成装置1の操作に用いられる各種の画面(例えば、コピーが可能であることを示す画面(例えば、コピーの初期画面)、コピーができないことを示すエラー画面)が表示される。表示部403はCPU411により制御されず、制御部500のCPU501により制御される。従って、表示部403はCPU411と電気的に接続されていない。上記各種の画面を表示するための画像データは、制御部500のROM503に予め記憶されている。
【0042】
制御部500はCPU501、ROM503、RAM505、VRAM(Video Random Access Memory)507、DMAC(Direct Memory Access Controller)509等が、バス513で接続された構成を有する。CPU501、ROM503及びRAM505は、図2を用いて既に説明した。
【0043】
表示部403に画面を表示する場合、CPU501はROM503に予め記憶されているその画面の画像データを、VRAM507に格納する。DMAC509はCPU501の代わりに、VRAM507に格納された画像データを転送する処理をする。これにより、画像データは表示部403に接続された信号線15を伝送し、表示部403に送られて、表示部403に画面が表示される。VRAM507は、表示部403に画面を表示させる際にその画面を示す画像データが格納されるメモリーの一例である。
【0044】
なお、信号線15はデジタル信号線及びアナログ信号線のいずれも可能である。信号線15がアナログ信号線の場合、DMAC509がVRAM507に格納された画像データ(デジタルデータ)を、信号線15を伝送させる前に、デジタルアナログ変換部によってデジタル信号からアナログ信号に変換する処理がされる。
【0045】
制御部500のバス513と操作表示部400のバス419とは、バス11により接続されている。従って、制御部500と操作表示部400とは、バス513、バス11及びバス419を利用してデータ通信をすることができる。
【0046】
図4は、図3に示す制御部500及び操作表示部400の機能ブロック図である。操作表示部400は操作部405、表示部403及び操作制御部421を備える。操作制御部421は操作部405を制御し、CPU411(第1のCPUの一例)、ROM413、RAM415及びIOポート417等により実現される。
【0047】
制御部500は表示制御部515、データ転送部517及び命令信号送信部519を備える。表示制御部515は、表示部403に画面を表示させる制御をする。上述したように、画面を示す画像データはROM503に予め記憶されている。表示制御部515はCPU501(第2のCPUの一例)、ROM503、RAM505、VRAM507、DMAC509及びデジタルアナログコンバーター511等により実現される。
【0048】
データ転送部517は、表示制御部515が表示部403に表示されている画面を切り替える場合、切り換え後の画面を示す画像データがVRAM507に格納される前に、制御データを操作制御部421に転送する機能を有する。制御データはバス513、バス11及びバス419を利用して転送される。制御データとは、操作制御部421が切り換え後の画面に対応した制御を操作部405に実行するためのデータである。例えば、切り換え後の画面がコピーをできないことを示すエラー画面の場合、操作キー部401の操作を受け付けない制御、LED407を消灯させる制御及びスタートキー405が操作されるとスピーカー409で警告音を発生する制御を実行するための禁則情報が制御データとなる。制御データはROM503に予め記憶されている。
【0049】
命令信号送信部519は、操作制御部421が上記制御データに基づいて操作部405の制御を実行させる命令信号を、切り換え後の画面を示す画像データがVRAM507に格納された後に、操作制御部421に送信する機能を有する。バス513を構成する複数の信号線のうちの一本の信号線、バス11を構成する複数の信号線のうちの一本の信号線、及びバス419を構成する複数の信号線のうちの一本の信号線は、命令信号の送信専用に割り当てられている。
【0050】
データ転送部517及び命令信号送信部519は、CPU501(第2のCPUの一例)、ROM503及びRAM505等により実現される。
【0051】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1において、操作部405及び表示部403の制御を主に図3〜図5を用いて、コピー機能の選択を例に説明する。図5はその制御を説明するフローチャートである。操作者が、機能切換キー413(図1)を操作してコピー機能を選択すると(ステップS1)、操作制御部421は、バス419、バス11及びバス513を用いて、コピー機能が選択されたことを示す情報D1を表示制御部515に送る。これにより、表示制御部515は、コピーの初期画面(コピーが可能であることを示す画面の一例)を表示部403に表示させる。
【0052】
詳細に説明すると、CPU501はROM503に予め格納されているコピーの初期画面の画像データD2を読み出してVRAM507に格納する(ステップS3)。DMAC509はCPU501の代わりに、VRAM507に格納されたコピーの初期画面の画像データD2を、信号線15を用いて表示部403に送る。これにより、表示部403にコピーの初期画面が表示される(ステップS5)。
【0053】
制御部500は、トナーがない、用紙がない等の原因によりコピーができないエラーが発生したか判断する(ステップS7)。制御部500が、エラーが発生したと判断しない場合(ステップS7でNo)、ステップS5に戻る。
【0054】
制御部500が、エラーが発生したと判断した場合(ステップS7でYes)、データ転送部517は、ROM503に予め記憶されている制御データのうち、操作制御部421がエラー画面に対応した制御を操作部405に実行するための制御データD3を読み出す。制御データD3は、上述したように、操作キー部401の操作を受け付けない制御、LED407を消灯させる制御及びスタートキー405が操作されるとスピーカー409で警告音を発生する制御を実行するためのデータである。データ転送部517は読み出した制御データD3を、バス513、バス11及びバス419を利用して操作制御部421に転送する(ステップS9)。操作制御部421は制御データD3を受け付けると、制御データD3について実行せずに、待機状態にする。
【0055】
一方、表示制御部515は表示部403の画面をコピーの初期画面からエラー画面に切り替える制御をする。詳細に説明すると、CPU501はROM503に予め記憶されているエラー画面の画像データD4を読み出してVRAM507に格納する(ステップS11)。DMAC509はCPU501の代わりに、VRAM507に格納されたエラー画面の画像データD4を、信号線15を用いて表示部403に送る。これにより、表示部403の表示は、コピーの初期画面からエラー画面に切り替わる(ステップS13)。
【0056】
命令信号送信部519は、エラー画面の画像データD4がVRAM507に格納された後、バス513、バス11及びバス419を用いて、命令信号D5を操作制御部421に送信する(ステップS15)。命令信号D5は、操作制御部421に制御データD3に基づいて操作部405の制御を命令するだけの簡単な信号なので、Hレベル又はLレベルの1ビットの信号が命令信号D5にされている。操作制御部421が命令信号D5を受け付けると、制御データD3に基づいて操作部405を制御する(ステップS17)。これにより、操作キー部401の操作を受け付けない制御、LED407を消灯させる制御及びスタートキー405が操作されるとスピーカー409で警告音を発生する制御が、操作制御部421により実行される。
【0057】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態に係る画像形成装置1では、表示部403に表示されている画面を切り替える場合、操作制御部421が切り換え後の画面に対応した制御を操作部405に実行するための制御データD3は、切り換え後の画面を示す画像データがVRAM507に格納される前に、操作制御部421に転送される(ステップS9,S11)。このため、制御データD3のデータ量がたとえ大きくても、制御データD3の転送が原因で、表示される画面を切り替えるタイミングに対して操作部405の制御を変更するタイミングが遅れることはない。一方、切り換え後の画面を示す画像データD4がVRAM507に格納された後に、命令信号D5は送信される(ステップS11,S15)。切り換え後の画面を示す画像データD4がVRAM507に格納された後、その画像データが表示用の信号に変換されて表示部403に送られ、表示部403の画面が切り替わる。命令信号D5は、操作制御部421が制御データD3に基づいて操作部405の制御を実行させる命令なので、命令信号D5はデータ量を小さくできる(例えば、1ビットのデータ)。このため、命令信号D5が、表示部403の画面の切り換え後に送信されても(ステップS13,S15)、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部405の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることができる。以上より、本実施形態によれば、表示部403に画面を表示させる制御と操作部405の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部405の制御を変更するタイミングの遅れを小さくすることが可能となる。
【0058】
例えば、エラー画面の画像データD4がVRAM507に格納された後に(ステップS11後に)、ステップS9で説明した制御データD3の転送が実行される場合、制御データD3のデータ量が多ければ、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部405の制御を変更するタイミングの遅れが大きくなる。従って、本実施形態によれば、制御データD3のデータ量が多い場合に特に有効である。
【0059】
また、本実施形態によれば、CPU411とCPU501とを接続するバス(バス513、バス11及びバス419)とは別に設けられた信号線15が、表示部403に表示される画像の画像データD2,D4の伝送に用いられる。従って、バス513、バス11及びバス419のバス幅を小さくすることができる。
【0060】
さらに、本実施形態によれば、バス513を構成する複数の信号線、バス11を構成する複数の信号線、及び、バス419を構成する複数の信号線のそれぞれには、命令信号D5の送信専用に割り当てられた信号線が含まれる。例えば、バス11で説明すると、バス11を構成する複数の信号線13のうち、信号線13bが命令信号D5の送信専用に割り当てられている。そして、ステップS15で説明した命令信号D5の送信には、命令信号D5の送信専用の信号線が用いられる。このため、命令信号D5と他の信号とが信号線を共用する場合に比べて、命令信号D5を操作制御部421に早く送ることが可能となる。従って、表示部403に画面を表示させる制御と操作部405の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部405の制御を変更するタイミングの遅れをさらに小さくすることが可能となる。なお、命令信号D5の送信専用の信号線を設けることなく、バス513、バス11及びバス419を他の信号と命令信号D5とで共用してもよい。
【0061】
また、本実施形態によれば、命令信号D5は1ビットで構成されているので、命令信号送信部519から操作制御部421への命令信号D5の送信は、1ビットのデータ通信となる。従って、表示部403に画面を表示させる制御と操作部405の制御とを、別々のCPUで実行する場合に、表示される画面を切り替えるタイミングに対する操作部405の制御を変更するタイミングの遅れをさらに小さくすることが可能となる。
【0062】
本実施形態は電子機器として画像形成装置1を例に説明したが、本発明に係る電子機器は、画像形成装置に限らず、例えば、ゲーム機、携帯電話、カーナビゲーションにも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置(電子機器の一例)
11 バス
15 信号線
403 表示部
405 操作部
411 CPU(第1のCPUの一例)
419 バス
421 操作制御部
501 CPU(第2のCPUの一例)
507 VRAM(メモリーの一例)
513 バス
515 表示制御部
517 データ転送部
519 命令信号送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
表示部と、
前記操作部を制御し、第1のCPUにより実現される操作制御部と、
前記表示部に画面を表示させる制御をし、第2のCPUと、前記表示部に画面を表示させる際に当該画面を示す画像データが格納されるメモリーとにより実現される表示制御部と、
前記表示制御部が前記表示部に表示されている画面を切り替える場合、切り換え後の画面を示す前記画像データが前記メモリーに格納される前に、前記操作制御部が前記切り換え後の画面に対応した制御を前記操作部に実行するための制御データを、前記操作制御部に転送する機能を有し、前記第2のCPUにより実現されるデータ転送部と、
前記操作制御部が前記制御データに基づいて前記操作部の制御を実行させる命令信号を、前記切り換え後の画面を示す前記画像データが前記メモリーに格納された後に、前記操作制御部に送信する機能を有し、前記第2のCPUにより実現される命令信号送信部と、を備え、
前記操作制御部は、前記命令信号を受け付けると、前記制御データに基づいて前記操作部を制御する電子機器。
【請求項2】
前記第1のCPUと前記第2のCPUとを接続し、前記制御データの転送及び前記命令信号の送信に用いられるバスと、
前記表示部と接続され、前記メモリーに格納された前記画像データの伝送に用いられる信号線と、を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1のCPUと前記第2のCPUとを接続するバスを備え、
前記バスを構成する複数の信号線には、前記命令信号の送信専用に割り当てられた信号線が含まれる請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記命令信号は1ビットで構成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器を備える画像形成装置であって、
用紙に画像を形成する動作をする画像形成部と、
前記画像形成部を制御する制御部と、
前記用紙に前記画像を形成するための操作に用いられる操作表示パネルと、を備え、
前記操作表示パネルは、前記操作部、前記表示部及び前記操作制御部を含み、
前記制御部は、前記表示制御部、前記データ転送部及び前記命令信号送信部を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−50773(P2013−50773A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187101(P2011−187101)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】