説明

電子機器及び電子機器の解体方法

【課題】 本発明は、電子機器を構成する複数の部品同士を強固に接着すると共に、解体時には、容易に剥離できる程度まで、その接着力を弱める接着剤や粘着シートによって、複数の部品同士を接着した電子機器を提供する事を目的とする。
【解決手段】 本発明によれば、離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品を接着することにより、加熱処理をするだけで、容易に、複数の部品を解体することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び電子機器の解体方法に関し、特に、電子機器を構成する部品を、接着剤や粘着シートで接着してなる電子機器及び該電子機器の解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘着シートは、粘着剤層を支持体上に設けたものであり、このような粘着シートは取り扱いが簡便であり、強い接着力を有することから、電子機器を構成する部品の接着等、広い用途で使用されている。
【0003】
近年、電子機器を廃棄する際、環境汚染への影響などから、電子機器は、それぞれの部品に解体する必要が生じてきている。
【0004】
このように、電子機器を構成する部品を接着する粘着シートは、強い接着力が求められる一方、解体時には、その接着力を弱める必要が生じてきた。
【0005】
このような機能を有する粘着シートとして、特許文献1では、粘着シートの粘着剤層に、熱膨張性樹脂粒子を混入分散させておき、被着体から剥離する際、粘着シートを加熱して、熱膨張性樹脂粒子を膨張させることにより被着体と粘着シートとを剥がしやすくすることが提案されている。
【0006】
また、特許文献2では、粘着剤層に離型剤を内包するマイクロカプセルを含有させておき、被着体から剥離する際、粘着シートを加圧することで、マイクロカプセルを破壊し、離型剤を粘着剤層に放出し、粘着剤の粘着力を弱まらせることが提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された粘着シートでは、粘着剤の粘着力を弱まらせるのではなく、熱膨張性樹脂粒子の膨張力で、被着体と粘着剤とを剥離するものであり、十分な剥離性が得られるものではない。
一方、特許文献2に開示された粘着シートでは、離型剤の作用により、粘着剤の粘着力を弱めるものであるため、粘着剤の粘着力を大幅に低減することができ、被着体に粘着剤の残渣が残る可能性は低くなる。しかしながら、このような作用効果を得るためには、粘着シート全体にわたって加圧する必要があり、大きな粘着シートや、加圧することができないような電子機器の狭い筐体内に貼付された粘着シートなどの場合、容易に剥離させることが困難である。
【特許文献1】特開昭60−252681号公報
【特許文献2】特開平9−95650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の粘着シートにおいては、十分な剥離性を得ること、容易に剥離させること、ができないという課題が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品が接着されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子機器は、離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第1の接着剤によって接着された複数の部品と、離型剤を内包した第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第2の接着剤によって接着された複数の部品と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子機器によれば、離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤により、複数の部品を接着している。従って、加熱処理をするだけで、粘着剤層の剥離力を弱めることが可能となる。すなわち、電子機器を構成する部品の接着を強固にすると共に、電子部品の解体を容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明者らは、離型剤を内包したマイクロカプセルを直接破壊するのでなく、間接的に破壊できれば、容易に、電子機器を構成する部品同士を剥離することができることを見出した。
【0013】
本発明は、上記のような検討に基づいてなされたものであって、離型剤を内包するマイクロカプセルを熱溶融性の材料で形成し、このような離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤又はこのような接着剤を含む粘着シートによって、部品同士を接着することに主な特徴があるものである。
【実施例1】
【0014】
本発明の第1実施例による電子機器について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明による電子機器の部品同士を接着する粘着シートの断面を示す概略図である。
【0016】
図1に示す本実施例における粘着シート1は、主として、基材2と、接着剤6とから構成され、接着剤6は、粘着剤層3と、離型剤5を内包したマイクロカプセル4とによって構成されている。
【0017】
基材2は、接着剤6の支持体となるものであって、プラスチックフィルム、紙、布、不織布、金属箔、それらのラミネート体など、主に薄葉体が用いられる。また、基材2の厚さは、500μm以下、特に5〜250μmが一般的に用いられているが、これに限定されるものではない。また、基材2を、導電体層や磁性体層からなる積層構造にしたり、基材2に、導電粉や磁性粉を含有させたりすれば、高周波を介し誘導加熱できるようになり、離れた場所からでも容易に加熱することができる。
【0018】
粘着剤層3は、被着体に粘着する粘着剤からなり、25℃における、ステンレス板に対する180°剥離接着力(剥離速度300mm/min)が800g/25mm以上のものである。また、後述する離型剤5の作用によって、その接着力が80g/25mm以下となるものである。その接着力が30g/25mm以下となるとより剥がしやすくなり、効果的である。
【0019】
このように、粘着剤層3は、通常は、800g/25mm以上の強力な接着力を有しているが、離型剤5と触れ合うことによって、80g/25mm以下にその接着力を低下させるものである。
【0020】
粘着剤層3としては、例えば、ゴム系、アクリル系、ビニルアルキルエーテル系、シリコン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系、スチレン・ジエンブロック共重合体系の融点が200℃以下の熱溶融性樹脂を配向してクリープ特性を改良したものなど、公知の粘着剤の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、粘着剤に架橋剤、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤など、添加剤を適宜配合してもよい。更に、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとするゴム系粘着剤、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基のような炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸などのエステルからなるアクリル酸系アルキルエステルの1種または2種以上を用いたアクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤などを用いてもよい。また、加熱後の接着力の大きな低下を達成する観点などから、常温から150℃における動的弾性率が5万〜1000万dyn/cm2のポリマーをベースポリマーとすると好適である。
【0021】
マイクロカプセル4は、粘着剤層3に接触すると、粘着剤層3の接着力を低下させる働きを有する後述する離型剤5を内包すると共に、熱溶融性の材料で構成されている。
【0022】
マイクロカプセル4は、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどといった熱溶融性材料で構成される。特に、マイクロカプセル4として、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、イソシアネート樹脂などの合成樹脂を使用すると、耐水性、耐溶剤性に優れ、より好適である。また、マイクロカプセル4の融点は、60℃〜150℃のものを用いると好適である。これは、融点が60℃未満のものであると、加熱処理をしなくても、例えば室温でも一部のマイクロカプセル4が自然に溶融してしまうおそれがあるためである。また、マイクロカプセル4の融点が150℃以上であると、マイクロカプセル4を熱溶融させるために200℃以上の加熱が必要となり、一般的な被着体を熱劣化させる可能性があることから好ましくない。ここで、融点とは、熱示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に準じて10±1℃/分の昇温速度で測定したときの溶解ピーク温度を意味している。
【0023】
また、後述する離型剤5を内包するマイクロカプセル4は、公知技術である、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ重合法などを用いて作製することができる。
【0024】
また、マイクロカプセル4の平均粒径は、1〜50μmであると好ましい。これは、マイクロカプセル4の平均粒径が1μm以下であると、一つのマイクロカプセル4に内包される離型剤5の含有量が少なくなってしまい、粘着剤層3の接着力を十分に低下させることができないためである。また、マイクロカプセル4の平均粒径が50μm以上であると、それ自身で接着力のないマイクロカプセル4が粘着剤層3の体積の大半を占めてしまい、粘着剤層3が十分な接着力を得られなくなってしまう。
【0025】
離型剤5は、前述の通り、通常、マイクロカプセル4に内包された状態であるが、マイクロカプセル4が熱溶融すると、粘着剤層3内に放出され、粘着剤層3の接着力を、例えば、80g/25mm以下に低下させる働きをするものである。
【0026】
離型剤5としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸誘電体、オルガノポリシロキサン化合物、ワックス、高級アルコール、鉱油、動物油、植物油、シリコン油、またはその混合物などが利用できる。また、必要に応じて、酸化防止剤や紫外線吸収剤を含有させるようにしても良い。ここで、離型剤5の粘性は、低い方が好ましい。これは、離型剤5の粘性が高すぎると、粘着剤層3内に放出されたとしても、粘着剤層3内で十分に拡散することができず、それによって、粘着剤層3との接触面積が少なくなり、その粘着剤層3の接着力を十分に低下させることができなくなるからである。また、粘着シート1が十分な接着力、剥離容易性を得るには、離型剤5が粘着剤層3に対して、重量割合で、1〜20wt%の範囲とすることが好ましい。
【0027】
接着剤6は、前述の通り、粘着剤層3と、粘着剤層3内に分散配置され、離型剤5を内包したマイクロカプセル4と、から構成されている。接着剤6は、基材2の両面に設けられている。
【0028】
次に、電子機器を構成する部品同士を上述の粘着シート1によって接着した後、部品同士を剥離する方法、即ち、電子機器の解体方法について以下説明をする。尚、本発明の電子機器とは、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、冷蔵庫、電子レンジなどの家電、など、複数の部品から構成されるものであれば何でも良い。また、本実施例では、粘着シート1を例に説明をしているが、粘着シート1の基材2を省略して、接着剤6のみで電子機器の部品同士を接着しても良い。
【0029】
図2は、本実施例による電子機器の解体方法を示す図である。
【0030】
図2(a)に示すように、電子機器を構成する複数の部品7、7’同士が粘着シート1を介して接着されている。尚、このときの接着力は、800g/25mm以上である。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、加熱手段8を用いて、粘着シート1を加熱すると、マイクロカプセル4は、溶融し、マイクロカプセル4に内包された離型剤5が粘着剤層3内に放出される。これによって、粘着剤層3の接着力は著しく低下することになり、部品6同士を容易に剥離することができる。例えば、その接着力は、80g/25mm以下となる。ここで、加熱手段8は、例えば、100〜250℃に設定されたホットプレートであり、粘着シート1を1〜90秒間加熱するものである。本実施例では、加熱手段8をホットプレートで説明したが、粘着シート1を加熱できるものであれば、これに限定するものではなく、例えば、前述のように、基材2に磁性体を含ませておけば、高周波を発するもので構成してもよい。
【0032】
このように、本実施例では、粘着剤層3の接着力を低下させる離型剤5を、熱溶融性のマイクロカプセル4に内包させている。従って、本実施例の接着剤6は、通常は強力な接着力を有しているにもかかわらず、加熱するだけで、電子機器を構成する部品7、7’同士を容易に剥離することができる。
【0033】
次に、本実施例で説明した粘着シート1を作製し、粘着シート1を携帯電話機など、電子機器を構成する部品の接着に適用した実験について説明をする。
(実験例1)
フッ素変性シリコンオイル(FS1265 1000CS、繁和産業(株)製)80重量部を、pHを6.0に調整したエチレン−無水マレイン酸共重合体の4%水溶液180重量部に添加し、ホモジナイザを用いて乳化した後、この乳化液を60℃に昇温した。
【0034】
次に、40%ホルムアルデヒド水溶液40重量部にメラミン20重量部を加え、60℃で15分間反応させて得たプレポリマー水溶液を前記乳化液中に滴下し、攪拌しながら0.1Nの塩酸を滴下してpHを5.3に調整した。そして、80℃まで昇温して1時間、10000rpmの攪拌速度で攪拌し、続いて、0.2Nの塩酸を滴下してpHを3.5に下げ、更に3時間攪拌した後、冷却することで、平均粒径10μmの離型剤を内包するマイクロカプセル分散液を得た。
【0035】
このマイクロカプセルの融点は、DSCで測定したところ、約100℃であった。
【0036】
次に、このマイクロカプセル分散液をフィルタープレスし、風乾させ、粉状マイクロカプセルを製造した。
【0037】
次に、粉状マイクロカプセル30重量部をアクリル系粘着剤100重量部に混合し、厚さ100μmのポリエステルフィルムの片面に塗布し、厚さ50μmの接着剤を形成した。
【0038】
尚、離型剤の粘着剤層に対する重量割合は、10wt%とした。
【0039】
このようにして、粘着シート(実験例1)を作製した。
【0040】
上記の実験例1に示すように作製された粘着シートを用いて、以下の条件で180°剥離試験を行った。
【0041】
・被着体 ステンレス板(SUS 304、BA仕上げ面)
・温度 25℃(室温)、110℃(10分加熱)、160℃(10分加熱)
・耐性 30日放置
尚、110℃、160℃の加熱後の剥離試験においては、それぞれ10分間の加熱後に剥離試験を行った。
【0042】
本実施例における粘着シートの剥離試験の結果を図3に示す。
【0043】
図3に示すように、実験例1においては、室温においては、高い接着力を有し、加熱後においては、高い剥離性を有することが分かる。
【0044】
次に、実験例1で作製した接着剤を、基材の両面に塗布した粘着シートを、携帯電話機の部品の接着に適用した例について説明をする。
【0045】
図4は、実験例1で作製した粘着シートを、携帯電話機の上下筐体同士の接着に用いた例を示すものである。
【0046】
図4(a)は、本実施例における携帯電話機1−1の全体を示す概略図である。
【0047】
図4(b)は、図4(a)に示す携帯電話機1−1のa−a断面図である。
【0048】
本実施例における携帯電話機1−1は、スピーカ1−2、ディスプレイ1−3、入力部1−4、マイク1−5、上部筐体1−6、下部筐体1−7、粘着シート1−8から構成されている。
【0049】
スピーカ1−2、ディスプレイ1−3、入力部1−4、マイク1−5、上部筐体1−6、下部筐体1−7は、公知の携帯電話機と同様の部品であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施例の携帯電話機1−1は、上部筐体1−6と下部筐体1−7とを粘着シート1−8によって接着していることに特徴を有する。
【0051】
粘着シート1−8は、実験例1で説明した方法で作製された接着剤を基材の両面に塗布したものである。
【0052】
次に、本実施例における携帯電話機1−1を、150℃のオーブンに入れて、実験を行った。携帯電話機1−1は、オーブンに入れて10分後に、上部筐体1−6と下部筐体1−7とが分離された。
【0053】
このように、本実施例における携帯電話機1−1は、その構成部品である上部筐体1−6と下部筐体1−7とを容易に解体することができる。
【0054】
また、上述の説明では、上部筐体1−6と下部筐体1−7とを接着する粘着シート1−8として、粘着シートを例に説明したが、基材を含む粘着シートに加工したものでなくともよい。例えば、図1に示す粘着シート1から基材2を取り除き、接着剤6のみで、上部筐体1−6と下部筐体1−7との接着を行っても良い。
【0055】
更に、本実施例では、携帯電話機を例に説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、ノートパソコンの上部筐体と下部筐体との接着に用いてもよく、電子機器の部品間の接着であれば、どのような用途に用いても良い。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の第2実施例による電子機器について、図5乃至図7を用いて説明する。
【0057】
本実施例では、先に説明した実施例1の粘着シート1の接着剤6に、離型剤5を内包したマイクロカプセル4だけでなく、熱膨張性粒子を含ませた例について説明する。
【0058】
図5は、本発明による粘着シートの断面を示す概略図である。
【0059】
図5に示す本実施例における粘着シート2−1は、主として、基材2と、接着剤2−6とで構成され、接着剤2−6は、粘着剤層3と、離型剤5を内包したマイクロカプセル4と、熱膨張性粒子2−9によって構成されている。尚、実施例1と同様のものについては、同一符号を付している。
【0060】
本実施例における粘着シート2−1は、接着剤2−6の粘着剤層3に、熱膨張性粒子2−9が分散配置されている点で、実施例1に示した粘着シート1と異なっている。
【0061】
熱膨張性粒子2−9は、マイクロカプセル4と共に、粘着剤層3内に分散して配置されており、加熱によって、5〜10倍に体積膨張し、その後破裂(発泡)する性質のものである。
【0062】
本実施例では、接着剤2−6に、熱膨張性粒子2−9を含むように構成した。従って、被着体に接着した粘着シート2−1を加熱手段により加熱すると、加熱によって、熱膨張性粒子2−1が膨張していき、その膨張による押圧力によって、粘着剤層3内部に隙間を形成する。この隙間に、マイクロカプセル4の溶融とともに放出された離型剤5が入り込むことにより、粘着剤層3の接着力をより低下させることが可能となる。また、熱膨張により、近接するマイクロカプセル4を押圧し、その押圧力によって、マイクロカプセル4の破壊を助ける作用もある。
【0063】
熱膨張性粒子2−9としては、イソブタン、プロパン、ペンタンなどのような、容易にガス化して、熱膨張性を示す物質を、コアセルベーション法や界面重合法などで、殻型性物質内に内包させたものを用いる。殻型性物質としては、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどのような熱溶融性物質や熱膨張で破壊される物質であればよい。熱膨張性粒子2−9としては、例えば、松本油脂社製のマイクロスフェアなどが用いられる。
【0064】
また、粘着剤層3として、熱膨張性粒子2−9の膨張による押圧力によって、隙間のできるものを用いるとより好適である。
【0065】
また、熱膨張性粒子2−9は、80〜200℃で熱膨張を開始するものを用いると好適である。80℃以下で熱膨張するものであると、加熱処理をしなくても、例えば常温でも一部の熱膨張粒子2−9が熱膨張してしまう可能性があり、それによって粘着剤層3の接着力を弱めてしまうからである。また、熱膨張性粒子2−9が200℃以上で熱膨張するものであると、熱膨張させるために200℃以上の加熱が必要となり、一般的な被着体を熱劣化させる可能性があり好ましくない。
【0066】
また、粘着シート2−1が十分な接着力、剥離容易性を得るには、熱膨張性粒子2−9が粘着剤層3に対して、重量割合で、1〜20wt%の範囲とすることが好ましい。
【0067】
また、熱膨張性粒子2−9の平均粒径は、1〜50μmであると好ましい。熱膨張性粒子2−9の平均粒径が1μm以下であると、熱膨張性粒子2−9が熱膨張して、粘着剤層3を押し広げて形成する隙間が小さすぎ、十分な効果が得られないためである。また、熱膨張性粒子2−9の平均粒径が50μm以上であると、それ自身で接着力のない熱膨張性粒子2−9が粘着剤層3の体積の大半を占めてしまい、粘着剤層3が十分な接着力を得られなくなってしまう。
【0068】
このように、本実施例における粘着シート2−1は、実施例1で説明した粘着シート1の粘着剤層3に、熱膨張性粒子2−9を分散配置している。従って、熱膨張性粒子2−9の膨張により、粘着剤層3が押し広げられ、粘着剤層3内に隙間が生じる。そして、その隙間にマイクロカプセル4から放出された離型剤5が染み込んでいくため、粘着剤層3の接着力を大幅に低下させることが可能となる。
【0069】
図6は、本実施例における粘着シート2−1の変形例を示す図である。
【0070】
図6に示す粘着シート2−1は、図6(b)に示すように、マイクロカプセル2−4が、熱膨張性粒子2−9及び離型剤5を内包するように構成されたものである。
【0071】
マイクロカプセル2−4をこのように構成すると、加熱することで熱膨張した熱膨張性粒子2−9の作用によって、マイクロカプセル2−4を内部から確実に破壊することができる。更に、離型剤5をマイクロカプセル2−4内から押し出す作用もあり、離型剤5の放出を促進させると共に、粘着剤層3への拡散を促進させることができる。
【0072】
また、マイクロカプセル2−4内において、熱膨張性粒子2−9よりも離型剤5の比率を高めておくほうが、粘着剤層3の接着力の低下をもたらすために好適である。
【0073】
また、図5に示すように、粘着剤層3内に熱膨張性粒子2−9を分散配置しつつ、図6に示すように、マイクロカプセル2−4内に熱膨張性粒子2−9及び離型剤5を内包させるように構成してもよい。このようにすると、主に、粘着剤層3内に配置された熱膨張性粒子2−9によって、粘着剤層3内に隙間を形成し、主に、マイクロカプセル2−4内の熱膨張性粒子2−9によって、マイクロカプセル2−4の破壊、離型剤5の放出の促進、粘着剤層3内への拡散がなされることになる。
【0074】
このように、本実施例における粘着シート2−1は、熱膨張性粒子2−9を、粘着剤層3やマイクロカプセル4内に配置したため、加熱時における、離型剤5の粘着剤層3内への分散性を高めることが可能となる。
【0075】
次に、本実施例で説明した粘着シート2−1を作製し、粘着シート2−1を、電子機器を構成する部品同士の接着に適用した実験について説明をする。
(実験例2)
イオン交換水600g、塩化ナトリウム150g、アジピン酸−ジエタノールアミン縮合物1.5g、コロイダルシリカ20%水溶液40gを混合し,硫酸でpHを3.7〜4.1に調整し、これを水相とした。
【0076】
次に,アクリロニトリル180g、メタクリロニトリル105g、メタクリル酸メチル15g、ジメタクリル酸エチレングリコール1.5g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート2.0g、イソペンタン75g、アゾビスイソブチロニトリル1gを混合、撹拌、溶解し、これを油相とした。
【0077】
次に,前述のように作製した水相と油相を混合し、TKホモミキサーで20000rpmで5分間撹拌し、懸濁液とした。
【0078】
更に,これを1.5L加圧反応機に移して窒素置換をしてから、撹拌しつつ70℃で15時間反応させた。
【0079】
得られた反応生成物をろ過、乾燥し、平均粒径が10μmである熱膨張性粒子を得た。
【0080】
次に、熱膨張性粒子と実施例1の実験例1と同様の工程で作製した粉状マイクロカプセル、アクリル系粘着剤と混合して、粘着シート(実験例2)を作製した。尚、熱膨張性粒子は、熱膨張開始温度が100℃であり、粘着剤層に対して、10wt%含有するようにした。
(実験例3)
フッ素変性シリコンオイル(FS 1265 1000、繁和産業(株)製)80重量部を、pHを6.0に調製したエチレン−無水マレイン酸共重合体の4%水溶液180重量部に添加し、ホモジナイザを用いて乳化した後、実施例2で作製した熱膨張性粒子100重量部を混合し分散させ,この乳化液を60℃に昇温した。
【0081】
別に、40%ホルムアルデヒド水溶液40重量部にメラミン20重量部を加え、60℃で15分間反応させて得たプレポリマー水溶液を前記乳化液中に滴下し、更に攪拌しながら0.1Nの塩酸を滴下してpHを5.3とした後、系を80℃まで昇温して1時間攪拌し、続いて0.2Nの塩酸を滴下してpHを3.5まで下げ、更に3時間攪拌をした後に冷却して平均粒子径が10μmの熱膨張性粒子と離型剤とを含有するマイクロカプセル分散液を得た。
【0082】
このマイクロカプセルの殻材の融点はDSCにより測定し,100℃であった。
【0083】
次いで、この分散液をフィルタープレスし、続いて風乾して熱膨張性粒子と離型剤とを含有する粉状マイクロカプセルとした。
【0084】
後は、実施例1における実験例1と同様の工程によって、粘着シート(実験例3)を作製した。
【0085】
本実施例における粘着シートの剥離試験の結果を図7に示す。
【0086】
図7に示すように、実験例2においては、実験例1に比して、室温における接着力が低下するものの、加熱後の接着力を低下させることができる。
【0087】
実験例3においては、室温で高い接着力を有し、加熱後、粘着剤層の接着力を著しく低下させた。
【0088】
次に、実施例1と同様に、実験例2及び実験例3の方法で作製した粘着シートを、図4に示す携帯電話機1−1の粘着シート1−8にそれぞれ適用した。
【0089】
そして、実施例1と同様に、本実施例における携帯電話機1−1を、150℃のオーブンに入れて、実験を行った。実験例2及び実験例3の方法で作製した粘着シートを適用した携帯電話機1−1の双方とも、オーブンに入れて10分後に、上部筐体1−6と下部筐体1−7とが分離された。
【0090】
このように、本実施例における携帯電話機1−1は、その構成部品である上部筐体1−6と下部筐体1−7とを容易に解体することができる。
【0091】
また、上述の説明では、上部筐体1−6と下部筐体1−7とを接着する粘着シート1−8として、粘着シートを例に説明したが、基材を含む粘着シートに加工したものでなくてもよい。例えば、図5に示す粘着シート2−1から基材2を取り除き、接着剤2−6や接着剤2−6’のみで、上部筐体1−6と下部筐体1−7との接着を行っても良い。
【0092】
更に、本実施例では、携帯電話機を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ノートパソコンの上部筐体と下部筐体との接着に用いてもよく、電子機器の部品間の接着であれば、どのような用途に用いても良い。
【実施例3】
【0093】
次に、本発明の第3実施例による電子機器について、図8乃至図10を用いて説明する。
【0094】
本実施例では、電子機器を構成する部品同士の接着箇所が複数ある場合、この接着箇所に用いる実施例1や実施例2の粘着シートの接着剤の剥離する温度を異なるものとした例について説明をする。
【0095】
図8は、本実施例による電子機器3−10を示す概略図である。
【0096】
図8に示す本実施例における電子機器3−10は、主として、部品7と、部品7’と、部品7’’と、粘着シート3−1と、粘着シート3−1’とで構成されている。
【0097】
そして、部品7と部品7’とは、粘着シート3−1によって接着されており、部品7と部品7’’とは、粘着シート3−1’によって接着されている。つまり、本実施例による電子機器3−10は、複数の接着箇所を有している。
【0098】
また、粘着シート3−1、3−1’は、実施例1、実施例2に例示した粘着シートと同様のものである。
【0099】
ここで、本実施例では、粘着シート3−1のマイクロカプセル4と粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’との融点が異なることに特徴がある。例えば、マイクロカプセル4’の融点は、マイクロカプセル4の融点より高く設定されている。
【0100】
次に、電子機器3−10を構成する部品7、7’同士、部品7、7’’同士を、上述の粘着シート3−1、3−1’によってそれぞれ接着した後、部品7、7’同士、部品7、7’’同士を剥離する方法、即ち、電子機器3−10の解体方法について、以下説明をする。尚、本発明の電子機器3−10とは、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、冷蔵庫、電子レンジなどの家電、など、複数の部品から構成されるものであれば何でも良い。また、本実施例では、粘着シート3−1、3−1’を例に説明をしているが、粘着シート3−1、3−1’の基材2を省略して、接着剤3−6、3−6’のみで電子機器3−1の部品同士を接着しても良い。
【0101】
図9は、本実施例による電子機器3−1の解体方法を示す図である。
【0102】
まず、図8に示すように電子機器3−10が構成されているとする。尚、このときの粘着シート3−1、3−1’の接着力は、それぞれ800g/25mm以上である。
【0103】
次に、図9(a)に示すように、加熱手段8を用いて、電子機器3−10を第1の温度で加熱する。すると、粘着シート3−1のマイクロカプセル4が溶融し、マイクロカプセル4に内包された離型剤5が粘着剤層3内に放出される。ここで、第1の温度は、粘着シート3−1のマイクロカプセル4が溶融する程度の温度であり、粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’が溶融する温度に達しない温度である。これによって、粘着剤層3の接着力は著しく低下することになり、部品7、7’同士を容易に剥離することができる。例えば、その接着力は、80g/25mm以下となる。ここで、加熱手段8は、例えば、100〜250℃に設定されたホットプレートであり、粘着シート1を1〜90秒間加熱するものである。本実施例では、加熱手段8をホットプレートで説明したが、粘着シート3−1を加熱できるものであれば、これに限定するものではなく、例えば、前述のように、基材2に磁性体を含ませておけば、高周波を発するもので構成してもよい。
【0104】
このように、本実施例では、接着剤3−6の粘着剤層3の接着力を低下させる離型剤5を、第1の温度で溶融する熱溶融性のマイクロカプセル4に内包させている。従って、本実施例の接着剤3−6は、通常は強力な接着力を有しているにもかかわらず、第1の温度で加熱するだけで、電子機器を構成する部品7、7’同士を容易に剥離することができる。
【0105】
一方、粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’は、第1の温度では溶融せず、第1の温度より高い第2の温度で溶融するものである。従って、図9(a)に示すように、この時点では、接着剤3−6’の粘着力は弱まっておらず、部品7、7’’同士の剥離はされない。つまり、この第1の温度による加熱によって、部品7’のみを回収することができる。
【0106】
次に、図9(b)に示すように、加熱手段8を用いて、電子機器3−10を第1の温度より高い第2の温度で加熱する。すると、粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’が溶融し、マイクロカプセル4’に内包された離型剤5が粘着剤層3内に放出される。ここで、第2の温度は、粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’が溶融する程度の温度である。これによって、粘着剤層3の接着力は著しく低下することになり、部品7、7’’同士を容易に剥離することができる。例えば、その接着力は、80g/25mm以下となる。
【0107】
このように、本実施例では、接着剤3−6’の粘着剤層3の接着力を低下させる離型剤5を、第2の温度で溶融する熱溶融性のマイクロカプセル4’に内包させている。従って、本実施例の接着剤3−6’は、通常では強力な接着力を有しているにもかかわらず、第2の温度で加熱するだけで、電子機器を構成する部品7、7’’同士を容易に剥離することができる。つまり、この第2の温度による加熱によって、部品7、7’’をそれぞれ回収することができる。
【0108】
更に、本実施例では、部品7、7’を接着する粘着シート3−1のマイクロカプセル4の融点と、部品7、7’’を接着する粘着シート3−1’のマイクロカプセル4’の融点を異なるものにしている。このように構成したため、部品7、7’同士の剥離と、部品7、7’’同士の剥離とを異なるタイミングで行うことが可能となる。これによって、電子機器3−1を解体する際、電子機器3−1を構成する部品を分別回収することが可能となる。
【0109】
次に、本実施例で説明した複数の接着箇所を有する電子機器3−1を作製し、部品7、7’、7’’を剥離する実験について説明をする。
【0110】
本実施例では、実施例1及び実施例2で説明したように、携帯電話機の部品の接着に、粘着シート3−1、3−1’を適用した。
【0111】
本実施例における携帯電話機を図10に示す。
【0112】
図10に例示する携帯電話機3−1は、図4で説明した携帯電話機1−1とは、粘着シート3−9によって、ディスプレイ3−3が上部筐体3−6に接着されている点で異なる。尚、実施例1と同様のものについては、同一符号を付している。
【0113】
ここで、粘着シート1−8は、実施例1で説明したように、実験例1で作製した接着剤を基材の両面に塗布してなる粘着シートであり、その融点は、100℃である。
【0114】
一方、粘着シート3−9は、実験例1の80℃での攪拌時間を、1時間から1.5時間に変更して作製したものであり、マイクロカプセルの融点を120℃としたものである。
【0115】
つまり、携帯電話機3−1の上部筐体1−6と下部筐体1−7とを接着する粘着シート1−8は、100℃に加熱することで、その接着力を弱めることになり、ディスプレイ1−3と上部筐体1−6とを接着する粘着シート3−9は、120℃で加熱することで、その接着力を弱めることになる。
【0116】
次に、本実施例における携帯電話機3−1を、120℃のオーブンに入れた。すると、10分後に、携帯電話機3−1の上部筐体1−6と下部筐体1−7とが分離された。
【0117】
次に、ディスプレイ1−3を粘着シート3−9によって接着された上部筐体1−6を160℃のオーブンに入れた。すると、10分後に、ディスプレイ1−3と上部筐体1−6とが分離された。
【0118】
このように、本実施例における携帯電話機3−1は、その構成部品である上部筐体1−6と下部筐体1−7、上部筐体1−6とディスプレイ1−3とを異なるタイミングで解体することができる。従って、携帯電話機3−1のディスプレイ1−3、上部筐体1−6、下部筐体1−7を分別回収することが可能になる。
【0119】
また、上述の説明では、粘着シート1−8、粘着シート3−9として、基材を含む粘着シートを例に説明したが、基材を含む粘着シートに加工したものでなくともよい。例えば、粘着シートから基材を取り除き、接着剤のみで、上部筐体1−6と下部筐体1−7との接着やディスプレイ1−3と上部筐体1−6との接着を行っても良い。
【0120】
更に、本実施例では、粘着シート1−8、粘着シート3−9を、それぞれ実施例1で説明した方法で作製する例を示したが、実施例2で説明した方法で作製したものを用いても構わない。また、粘着シート1−8と粘着シート3−9を、同様の方法で作製する例を示したが、例えば、粘着シート1−8は、実施例1の方法で作製し、粘着シート3−9は、実施例2の方法で作製するなど、それぞれ異なる方法で作製したものを用いても構わない。
【0121】
更に、本実施例では、携帯電話機を例に説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、ノートパソコンの上部筐体と下部筐体との接着に粘着シート1−8を、ノートパソコンのマウスパッドと上部筐体との接着に粘着シート3−8を用いてもよく、電子機器の部品間の接着であれば、どのような用途に用いても良い。
【0122】
以上の実施例1乃至実施例3を含む実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品が接着されたことを特徴とする電子機器。
(付記2) 前記接着剤は、基材の両面に形成されていることを特徴とする付記1記載の電子機器。
(付記3) 前記基材は、導電体又は磁性体が含まれていることを特徴とする付記2記載の電子機器。
(付記4) 前記接着剤は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
(付記5) 前記熱溶融性マイクロカプセルは、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
(付記6) 前記熱膨張性粒子は、80〜200℃で熱膨張を開始することを特徴とする付記4又は5記載の電子機器。
(付記7) 離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第1の接着剤によって接着された複数の部品からなる第1の部品群と、
離型剤を内包した第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第2の接着剤によって接着された複数の部品からなる第2の部品群と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
(付記8) 前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の少なくとも一方は、基材の両面に形成されていることを特徴とする付記7記載の電子機器。
(付記9) 前記基材は、導電体又は磁性体が含まれていることを特徴とする付記8記載の電子機器。
(付記10) 前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
(付記11) 前記第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセル及び前記第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルの少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記7乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
(付記12) 前記熱膨張性粒子は、80〜200℃で熱膨張を開始することを特徴とする付記10又は11記載の電子機器。
(付記13) 離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品が接着された電子機器を、前記第1の融点以上に加熱することで、複数の部品を解体する電子機器の解体方法。
(付記14) 前記接着剤は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記13記載の電子機器の解体方法。
(付記15) 前記熱溶融性マイクロカプセルは、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記13又は14のいずれか1項に記載の電子機器の解体方法。
(付記16) 離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第1の接着剤によって接着された複数の部品からなる第1の部品群と、
離型剤を内包した第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第2の接着剤によって接着された複数の部品からなる第2の部品群と、
を有する電子機器を、
第1の温度以上で加熱することで、第1の部品群を解体する工程と、
第2の温度以上で加熱することで、第2の部品群を解体する工程と、
を有することを特徴とする電子機器の解体方法。
(付記17) 前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記16記載の電子機器の解体方法。
(付記18) 前記第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセル及び前記第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルの少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする付記16又は17のいずれか1項に記載の電子機器の解体方法。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施例による電子機器の部品同士を接着する粘着シートを示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施例による電子機器の解体方法を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例による粘着シートの剥離試験の結果を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例による携帯電話機の全体を示す概略図である。
【図5】本発明の第2実施例による粘着シートを示す図である。
【図6】本発明の第2実施例による粘着シートの変形例を示す概略図である。
【図7】本発明の第2実施例による粘着シートの剥離試験の結果を示す図である。
【図8】本発明の第3実施例による電子機器を示す概略図である。
【図9】本発明の第3実施例による電子機器の解体方法を示す図である。
【図10】本発明の第3実施例による携帯電話機の全体を示す概略図である。
【符号の説明】
【0124】
1、1−8、2−1、3−1、3−1’、3−9 粘着シート
2 基材
3 粘着剤層
4、4’、2−4 マイクロカプセル
5 離型剤
6、2−6、2−6’、3−6、3−6’ 接着剤
7、7’、7’’ 部品
8 加熱手段
1−1、3−1 携帯電話機
1−2 スピーカ
1−3 ディスプレイ
1−4 入力部
1−5 マイク
1−6 上部筐体
1−7 下部筐体
2−9 熱膨張性粒子
3−10 電子機器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型剤を内包した熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品が接着されたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記接着剤は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記熱溶融性マイクロカプセルは、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第1の接着剤によって接着された複数の部品からなる第1の部品群と、
離型剤を内包した第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第2の接着剤によって接着された複数の部品からなる第2の部品群と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセル及び前記第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルの少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む接着剤によって、複数の部品が接着された電子機器を、前記第1の融点以上に加熱することで、前記複数の部品を解体する電子機器の解体方法。
【請求項8】
前記接着剤は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項7に記載の電子機器の解体方法。
【請求項9】
離型剤を内包した第1の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第1の接着剤によって接着された複数の部品からなる第1の部品群と、
離型剤を内包した第2の融点を有する熱溶融性マイクロカプセルを含む第2の接着剤によって接着された複数の部品からなる第2の部品群と、
を有する電子機器を、
第1の温度以上で加熱することで、第1の部品群を解体する工程と、
第2の温度以上で加熱することで、第2の部品群を解体する工程と、
を有することを特徴とする電子機器の解体方法。
【請求項10】
前記第1の接着剤及び前記第2の接着剤の少なくとも一方は、熱膨張性粒子を含むことを特徴とする請求項9に記載の電子機器の解体方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−142674(P2008−142674A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335389(P2006−335389)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】