説明

電子機器及び電子機器システム

【課題】USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる電子機器及び電子機器システムの提供。
【解決手段】電子機器100は、USB3.0ホストコネクタ140を介して接続される外部デバイスへ電力を供給するDCDCコンバータ131〜133と、USB3.0ホストコネクタ140の所定の端子を介して、接続された外部デバイスを判定するデバイス判定部124とを備える。接続された外部デバイスがUSB互換デバイス200と判定された場合、このUSB互換デバイス200が所望する電圧の値を取得し、取得した電圧の値の応じて、必要なDCDCコンバータ131〜133を動作させることより、USB互換デバイス200への電力供給を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBコネクタを備える電子機器及び該電子機器を備える電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータ又はタブレット型の携帯端末などの電子機器には、USB(Universal Serial Bus)インタフェースを備えるものがあり、USBインタフェースを備えた外部デバイスを当該電子機器に接続することにより、電子機器に機能を追加することができる。このような外部デバイスには、プリンタなどの印刷装置、デジタルカメラなどの映像装置、USBメモリなどの記憶装置、無線LANのような通信装置など様々なデバイスがある。
【0003】
USBはデータの転送方法に加えて、外部デバイスへの電力供給方法についても、USBの規格に定められている。このため、外部デバイス内に電源を具備しない場合であっても、USBインタフェースを介して電子機器から外部デバイスへ電力を供給することができ、USBメモリ等の消費電力が少ない外部デバイスであれば、別途電源を用意する必要がないという利点がある。また、USBインタフェースの規格としては、例えば、USB2.0、USB3.0などがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3151486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、USB規格上、電子機器から供給可能な電流(電力)の規格値が決まっているため、規格値を超える電流(電力)を必要とする外部デバイスを電子機器のUSBインタフェースに接続して使用する場合には、単独で使用することができない。このような場合には、別途電源を用意して外部デバイスへ必要な電力を供給しなければならない。
また、USB2.0からUSB3.0へと規格拡張が行われ、電流の規格値も500mAから900mAへと増加したものの、ディスプレイ等の大きな電力を必要とする外部デバイスを使用する場合には、別途電源を準備しなければならない状況は変わっていない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる電子機器及び該電子機器を備えた電子機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、USBコネクタを備える電子機器において、前記USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、前記外部デバイスが、USB2.0規格に準拠するデバイス、又はUSB2.0規格と互換性を有する互換デバイスの何れであるかを判定する判定部と、前記外部デバイスが互換デバイスであると前記判定部にて判定した場合、接続された互換デバイスと通信することにより、該互換デバイスが要求する電圧の値を取得する取得部とを備え、前記電力供給部は、前記外部デバイスが互換デバイスであると前記判定部にて判定した場合、前記取得部が取得した電圧の値に応じた電力を前記互換デバイスへ供給するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電子機器は、前記USBコネクタは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インタフェース用であり、前記判定部は、第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子を用いて、前記USBコネクタに接続された外部デバイスを判定するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子機器は、前記判定部は、前記第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子にて外部デバイスとの通信が確立した場合、該外部デバイスが互換デバイスであると判定するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電子機器は、前記電力供給部は、前記第5から第9までの5つの端子のうち、外部デバイスの判定に用いた端子以外の少なくとも1つの端子を介して電力を供給するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子機器システムは、前述した発明の何れかに記載の電子機器と、USB2.0規格に準拠するデバイス、又はUSB2.0規格と互換性を有する互換デバイスの一方の外部デバイスとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子機器システムは、前記互換デバイスは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インタフェース用のUSBコネクタと、該USBコネクタの第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子を用いて前記電子機器と通信するためのインタフェースとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、外部デバイスがUSB2.0デバイス、又はUSB互換デバイスのいずれであるかを判定する判定部とを備える。USBコネクタは、例えば、USB3.0規格のUSBコネクタであり、端子1から端子9までの9つの端子を有する。USBコネクタに接続される外部デバイスの種別には、USB2.0規格に準拠したUSB2.0デバイス(電流の規格値がUSB2.0規格に準拠するもの)、及びUSB2.0規格と互換性を有する互換デバイス(電流の規格値がUSB2.0規格を超えるデバイス)がある。
【0014】
判定部は、通信の確立ができた場合、互換デバイスが接続されたと判定する。例えば、互換デバイスの第5及び6端子を通信用インタフェースに割り当てておく。USBコネクタに互換デバイスが接続された場合には、USB2.0デバイスでは使用されない第5及び第6端子を利用して通信が開始されるため、通信の確立を検出して、互換デバイスが接続されたことを判定する。
また、互換デバイスとの通信が確立した場合、この互換デバイスが要求する電圧レベルを通信により取得する。
【0015】
電力供給部は、判定部で外部デバイスが互換デバイスであると判定した場合、互換デバイスへ複数の電力を供給する。互換デバイスへ電力を供給する場合、USB2.0で機能を定められている端子1〜4を除いた他の端子を使用することができる。これにより、USB2.0デバイスが接続された場合には、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給とを行い、互換デバイスが接続された場合には、この互換デバイスが要求する電力を電力供給部より供給することができる。
このため、本発明にあっては、USB規格に準拠しつつ、互換デバイスに対して供給可能な電力を増加することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、USB規格の互換性を保持しつつ、供給可能な電力を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る電子機器システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る電子機器システムの一例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る電子機器の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1及び図2は本実施の形態に係る電子機器システムの一例を示すブロック図である。本実施の形態に係る電子機器システムは、電子機器100、及びこの電子機器100にUSBコネクタを介して接続されるUSBデバイスを備える。電子機器100に接続されるUSBデバイス(外部デバイス)として、図1では、USB互換デバイス200が接続された例を示し、図2では、USB2.0デバイス300が接続された例を示している。
【0019】
電子機器100とUSB互換デバイス200とは、例えば、端子1(第1端子)から端子9(第9端子)を有するUSB3.0規格に準拠したコネクタ形状のUSBコネクタを介してお互いに接続される。なお、電子機器100とUSB2.0デバイス300とは、前記USBコネクタの端子1から端子9までの端子のうち、端子1から端子4までの4つの端子を介して接続される。
【0020】
なお、以下の説明において、USB2.0デバイス300とは、USB2.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB2.0規格で定められた電流規格値(500mA)内で動作するデバイスである。
USB互換デバイス200とは、USB2.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB2.0規格で定められた電流規格値(500mA)を超える電流、または、電圧規格値(5V)以外の電圧を必要とするデバイス(USB2.0規格と互換性を有するデバイス)である。
【0021】
電子機器100は、USBバススイッチ110、マイコン120、DCDCコンバータ131〜133、USB3.0ホストコネクタ(USBコネクタ)140などを備える。
【0022】
マイコン120は、電子機器100の制御を行う集積回路により構成され、USB2.0インタフェース121、I2Cインタフェース122(I2C : Inter-Integrated Circuit)、記憶部123、デバイス判定部124、外部制御端子125などを備える。なおI2Cインタフェース122は、4線以下の信号線で通信可能な他のインタフェース、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)等であってもよい。
【0023】
USB互換デバイス200は、USB2.0規格と互換性を有するデバイスであり、マイコン210、USB3.0デバイスコネクタ(USBコネクタ)220などを備える。なお、USB互換デバイス200のデバイス自身の機能を行う構成については、簡略化のため省略している。
【0024】
電子機器100のUSB3.0ホストコネクタ140は、端子1から端子9までの端子を備えるUSBコネクタである。端子1から端子4までがUSB2.0部141であり、端子5から端子9までがUSB3.0拡張部142である。USB互換デバイス200のUSB3.0デバイスコネクタ220についても、前記USB3.0ホストコネクタ140と同様である。
【0025】
USB3.0ホストコネクタ140とUSB3.0デバイスコネクタ220とは、ケーブルで接続される。なお、ケーブルを介さずにUSB3.0デバイスコネクタ220を直接USB3.0ホストコネクタ140に接続する構成とすることもできる。
【0026】
電子機器100は、USB2.0デバイス300が電子機器100に接続された場合には、端子1から端子4を使用して、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行う。また、電子機器100は、USB互換デバイス200が電子機器100に接続された場合には、端子1から端子9までを使用し、USB2.0規格に準拠したデータ転送とUSB2.0規格の規格値を超える電流、電圧(電力)の供給とを行う。
【0027】
DCDCコンバータ131〜133は、マイコン120の制御の下、USB互換デバイス200が接続された場合に、例えば、端子7、8、9を介してUSB互換デバイス200にUSB2.0規格の規格値を超える電流、電圧(電力)を供給することができる。
【0028】
本実施の形態では、USB3.0ホストコネクタ140の端子5及び端子6に接続されるI2Cインタフェース122を利用して、外部デバイスの接続判定を行う構成としているため、端子7〜9を介して電力を供給する構成としたが、この構成に限定する必要はない。例えば、端子7〜9のうち、1つ又は2つの端子を用いて電力を供給する構成としてもよい。また、4線の信号線で通信を行うSPIを利用して外部デバイスの接続判定を行う場合には、例えば、端子5〜9の4つの端子が占有されるので、残りの1つの端子を用いて電力を供給する構成であればよい。
【0029】
デバイス判定部124は、上記マイコン120のI2Cインタフェース122が、通信を確立したか否かを判定する。通信を開始した場合、USB互換デバイス200が接続されたと判定する。
【0030】
USB2.0デバイス300の場合には、端子1から端子4までが使用され、端子5から端子9までは何も接続されないので、(オープン)状態である。USB2.0デバイス300が接続された場合には、端子5、6を介して通信が開始されないので、USB2.0デバイス300であると判定することができる。USB互換デバイス200が接続された場合には、通信が開始されるので、外部デバイスがUSB互換デバイス200であると判定することができる。
【0031】
マイコン120は、USB互換デバイス200が接続された場合、I2Cインタフェース122によりUSB互換デバイス200との通信を開始し、USB互換デバイス200が要求する電圧レベルを取得する。マイコン120は、通信により取得したUSB互換デバイス200が要求する電圧レベルを記憶部123に記憶させる。
マイコン120は、記憶部123に記憶させた電圧レベルに基づき、外部制御端子125を介して必要なDCDCコンバータ131〜133の動作を開始させる。例えば、マイコン120は、予め定めた2つの閾値と記憶した電圧レベルとの高低を判定し、記憶した電圧レベルが低い場合、DCDCコンバータ131〜133の1つのみを動作させ、記憶した電圧レベルが中程度であれば、DCDCコンバータ131〜133の2つを動作させ、記憶した電圧レベルが高い場合、DCDCコンバータ131〜133の全てを動作させる制御を行う。
【0032】
図1の例では、USBホストコントローラを有する部品としてマイコン120を実装した構成であるが、これに限定されるものではなく、SOC(System On a Chip)、またはサウスブリッジチップセット等でUSBホストコントローラを有する部品が実装される場合でも、本発明を適用することが可能である。
【0033】
図3は本実施の形態に係る電子機器100の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、処理の主体をマイコン120として説明する。マイコン120は、I2Cインタフェース122(端子5、6)での通信確立の有無を判定する(ステップS11)。
【0034】
通信が確立した場合(S11:YES)、マイコン120は、USB互換デバイス200が接続されたと判定し(ステップS12)、USB互換デバイス200が要求する電圧の値を通信により取得し(ステップS13)、取得した電圧の値を記憶部123に記憶する。
次いで、マイコン120は、記憶部123に記憶した電圧の値に基づき、必要なDCDCコンバータ131〜133の出力をオンにして(ステップS14)、処理を終了する。
【0035】
一方、通信が確立しない場合(S11:NO)、マイコン120は、USB2.0デバイス300が接続されたと判定し(ステップS15)、各DCDCコンバータの出力をオフのまま維持し(ステップS16)、処理を終了する。
【符号の説明】
【0036】
100 電子機器
110 USBバススイッチ
120 マイコン
121 USB2.0インタフェース
122 I2Cインタフェース(取得部)
123 記憶部
124 デバイス判定部
125 外部制御端子
131〜133 DCDCコンバータ
140 USB3.0ホストコネクタ
141 USB2.0部
142 USB3.0拡張部
200 USB互換デバイス
210 マイコン
220 USB3.0デバイスコネクタ
300 USB2.0デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBコネクタを備える電子機器において、
前記USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、
前記外部デバイスが、USB2.0規格に準拠するデバイス、又はUSB2.0規格と互換性を有する互換デバイスの何れであるかを判定する判定部と、
前記外部デバイスが互換デバイスであると前記判定部にて判定した場合、接続された互換デバイスと通信することにより、該互換デバイスが要求する電圧の値を取得する取得部と
を備え、
前記電力供給部は、前記外部デバイスが互換デバイスであると前記判定部にて判定した場合、前記取得部が取得した電圧の値に応じた電力を前記互換デバイスへ供給するように構成してあることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記USBコネクタは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インタフェース用であり、
前記判定部は、第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子を用いて、前記USBコネクタに接続された外部デバイスを判定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判定部は、前記第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子にて外部デバイスとの通信が確立した場合、該外部デバイスが互換デバイスであると判定するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電力供給部は、前記第5から第9までの5つの端子のうち、外部デバイスの判定に用いた端子以外の少なくとも1つの端子を介して電力を供給するように構成してあることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の電子機器と、
USB2.0規格に準拠するデバイス、又はUSB2.0規格と互換性を有する互換デバイスの一方の外部デバイスと
を備えることを特徴とする電子機器システム。
【請求項6】
前記互換デバイスは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インタフェース用のUSBコネクタと、該USBコネクタの第5から第9までの5つの端子のうちの4つ以下の端子を用いて前記電子機器と通信するためのインタフェースとを備えることを特徴とする請求項5に記載の電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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