説明

電子機器用の埃試験装置および埃試験方法

【課題】長期間使用した電子機器における埃の付着状況を適切に再現可能な、電子機器用の埃試験装置および埃試験方法を提供する。
【解決手段】埃Dを封入するための筐体11と、筐体内に電子機器30を配置するための配置台13と、第1の周期で筐体内に埃を飛散させるための第1の送風部15と、第1の周期より長い第2の周期で、電子機器の通気口31に付着した埃を吹飛ばすための第2の送風部17とを備える。通気口に詰まった埃を周期的に吹飛ばすことで、試験開始後の早い段階で通気口が完全に詰まることがなく、試験の継続が可能となるので、長期間使用後の埃の付着状況を適切に再現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用の埃試験装置および埃試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器は、実際の使用条件下で多量の埃に曝されている。そして、電子機器に設けられた吸気口や排気口等の通気口に埃が詰まると、電子機器本来の放熱・冷却機能が低下し、電子機器の動作に支障を来たしてしまう場合がある。このため、電子機器の開発工程等では、通常、実際の使用条件下での電子機器の動作状況が埃試験装置を用いて確認される。
【0003】
埃試験では、下記特許文献1に記載されるように、埃を封入された筐体内に電子機器を配置し、筐体内に埃を飛散させ、電子機器の通気口に対する埃の付着状況が観察される。ここで、埃試験では、長期間使用後の埃の付着状況を短い試験期間で適切に再現するために、埃の材質・形状・量、送風の量・圧力・方向等が適宜調節される。埃試験では、例えば1年間または2年間使用後の埃の付着状況が2時間または4時間程度の試験期間で各々に再現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−292239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、筐体内に埃を飛散させるのみでは、試験開始後の早い段階で通気口が完全に詰まってしまい試験の継続が困難となり、長期間使用後の埃の付着状況を適切に再現することができない場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、長期間使用した電子機器における埃の付着状況を適切に再現可能な、電子機器用の埃試験装置および埃試験方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある観点によれば、埃を封入するための筐体と、筐体内に電子機器を配置するための配置台と、第1の周期で筐体内に埃を飛散させるための第1の送風部と、第1の周期より長い第2の周期で、電子機器の通気口に付着した埃を吹飛ばすための第2の送風部とを備える、電子機器用埃試験装置が提供される。
【0008】
上記第2の送風部は、第2の周期で送風方向を変更しながら、通気口に向けて送風してもよい。
【0009】
上記第2の送風部は、通気口に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更してもよい。
【0010】
上記第1の送風部は、第1の周期で送風方向を変更しながら、筐体の下部に向けて送風してもよい。
【0011】
上記第1の送風部は、筐体の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更してもよい。
【0012】
上記筐体の下部は、すり鉢状に形成されてもよい。
【0013】
上記筐体の下部に配され、筐体の上部に向けて周期的に送風する第3の送風部をさらに備えてもよい。
【0014】
上記第2の送風部は、軸回りに回転可能な連通管と、連通管に取り付けられた送風ノズルからなってもよい。
【0015】
上記第1の送風部は、軸回りに回転可能な連通管と、連通管に取り付けられた送風ノズルからなってもよい。
【0016】
また、本発明の別の観点によれば、筐体内に埃を封入し、電子機器を配置するステップと、第1の周期で筐体内に埃を飛散させるステップと、第1の周期より長い第2の周期で、電子機器の通気口に付着した埃を吹飛ばすステップとを含む、電子機器用埃試験方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、長期間使用した電子機器における埃の付着状況を適切に再現可能な、電子機器用の埃試験装置および埃試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器用の埃試験装置の概要を示す図である。
【図2】埃試験方法の手順を示すフロー図である。
【図3】埃試験装置の前面図である。
【図4】埃試験装置の側面図である。
【図5】埃試験装置の平面図である。
【図6】電子機器の設置状況を示す図である。
【図7】第1の送風部の動作を示す模式図である。
【図8】第2の送風部の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
[1.埃試験装置および埃試験方法の概要]
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る電子機器30の埃試験装置10および埃試験方法の概要について説明する。図1には、埃試験装置10の概要が示され、図2には、埃試験方法の手順が示されている。
【0021】
図1に示すように、埃試験装置10は、埃Dを封入するための筐体11と、筐体11内に電子機器30を配置するための配置台13と、筐体11内に埃Dを飛散させるための第1の送風部15と、電子機器30の通気口31に付着した埃Dを吹飛ばすための第2の送風部17を備えている。なお、図1中、実線の矢印は、第1および第2の送風部15、17の動作ならびに埃Dの動作を示し、破線の矢印は、送風の方向を示している。また、図1には、通気孔31を含む筐体11内の埃Dの一部が示されている。
【0022】
本実施形態に係る埃試験装置10では、従来の埃試験装置10とは異なり、第1の周期で筐体11内に埃Dを飛散させるとともに、第1の周期より長い第2の周期で、通気口31に付着した埃Dが吹飛ばされる。ここで、第1および第2の送風部15、17は、例えば、軸回りに回転可能な連通管15a、17aと、連通管15a、17aに取り付けられた送風ノズル15b、17bからなる(図3等参照)。
【0023】
これにより、通気口31に詰まった埃Dを周期的に吹飛ばすことで、試験開始後の早い段階で通気口31が完全に詰まることがなく、試験の継続が可能となるので、長期間使用後の埃Dの付着状況を適切に再現することができる。
【0024】
第1の送風部15は、例えば、第1の周期で筐体11の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、筐体11の下部に向けて送風することが好ましい。これにより、筐体11の下部に堆積した埃Dを筐体11の上部に周期的に飛散させることで、実際の使用条件に近い状況で埃Dを通気口31に付着させることができる。
【0025】
第2の送風部17は、例えば、第2の周期で通気口31に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、通気口31に向けて送風することが好ましい。これにより、通気口31に詰まった埃Dを周期的に吹飛ばすことで、実際の使用条件に近い状況で通気口31の完全な詰まりを防ぐことができる。これは、通気口31に一旦付着した埃Dが風圧や振動等の作用により剥離する挙動を再現することになる。
【0026】
筐体11の下部(底部材12)は、すり鉢状に形成されることが好ましい。また、筐体11の下部には、筐体11の上部に向けて周期的に送風する第3の送風部19が配されることが好ましい。これにより、筐体11の下部のすり鉢面に向けて送風したり、筐体11の下部から上部に向けて送風したりすることで、筐体11の下部に堆積した埃Dを筐体11の上部に効果的に拡散して飛散させることができる。
【0027】
図2に示すように、埃試験は、筐体11内に埃Dを封入し、電子機器30を配置するステップS11と、第1の周期で筐体11内に埃Dを飛散させるステップS13と、第1の周期より長い第2の周期で、電子機器30の通気口31に付着した埃Dを吹飛ばすステップS15を含んでいる。ステップS13、S15は、試験継続時間が経過するまで繰返される(S17)。なお、試験継続時間の経過は、ステップS13とステップS15の間で判定されてもよい。
【0028】
埃Dを飛散させるステップS13では、例えば、第1の周期で筐体11の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、筐体11の下部に向けて送風することが好ましい。また、埃Dを吹飛ばすステップS15では、例えば、第2の周期で通気口31に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、通気口31に向けて送風することが好ましい。
【0029】
[2.埃試験装置10の構成]
つぎに、図3から図5を参照して、本発明の実施形態に係る電子機器30埃試験装置10の構成について説明する。図3、図4および図5には、埃試験装置10の前面図、側面図および平面図(図5では、後述する制御部23の記載が省略されている。)が各々に示されている。なお、図3から図5では、電子機器30がイメージとして示されている。
【0030】
図3から図5に示すように、埃試験装置10は、筐体11、配置台13、第1の送風部15、第2の送風部17、第3の送風部19、送風調整部21、制御部23および操作部24を備えている。なお、埃試験装置10には、環境条件の変化に応じた埃Dの付着状況の変化を再現するために、筐体11内の温度や湿度を制御するための機構が設けられてもよい。
【0031】
筐体11は、埃Dを封入するための外装として設けられる。筐体11は、フレーム部材11aと透明または半透明のカバー部材11bを用いて箱状、筒状等に形成される。
【0032】
筐体11の一側面には、フレーム部材25a、カバー部材25b、開閉ロック25cからなる開閉扉25が設けられる。開閉扉25は、電子機器30の配置時や埃試験装置10の保守点検時に開放され、埃試験の実施時に密閉される。筐体11の下部には、すり鉢状の底部材12が設けられる。底部材12は、錘頂部を取除いて形成されてもよく、錘頂部を伴って形成されてもよい。筐体11は、フレーム状の支持構造27を介して床面等に設置される。支持構造27には、埃試験装置10を据付えるために、可動輪およびストッパからなる据付部材29が設けられている。
【0033】
配置台13は、筐体11内に電子機器30を配置するために設けられる。配置台13は、電子機器30を載置するように構成されてもよく、電子機器30を吊り下げるように構成されてもよい。図示する例では、配置台13は、筐体11の中程の高さで筐体11の4つの側面に井桁状に渡された4本の桁部材により構成されている。配置台13は、配置する電子機器30の寸法・重量等に適した態様で、筐体11内での埃Dの流動を妨げないように構成される。なお、配置台13は、電子機器30の配置を調整するために、鉛直方向および/または水平方向に移動可能に構成されてもよい。
【0034】
第1の送風部15は、第1の周期で筐体11内に埃Dを飛散させるために設けられる。第1の送風部15は、送風ノズルを含んで構成されてもよく、送風ファンを含んで構成されてもよい。第1の送風部15は、送風方向を変化するようにスイング動作可能に構成されることが好ましい。図示する例では、第1の送風部15は、筐体11の底部材12の直上の高さで筐体11の4つの側面に井桁状に渡された4本の通風管15aと、各通風管15aに3つずつ吊り下げられた送風ノズル15bにより構成されている。なお、図3から図5では、送風ノズル15bの配置が模式的に示されている。
【0035】
第1の送風部15では、高圧エアがエア供給部(不図示)から送風調整部21を通じて通風管15aに供給され、送風ノズル15bから筐体11内に送風される。通風管15aは、スイング機構(不図示)を通じて軸方向に回転可能に構成されており、制御部23の制御下で、第1の周期で筐体11の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、筐体11の下部に向けて送風する。
【0036】
第1の送風部15は、埃試験に要求される送風の量・圧力に適した態様で、筐体11内での埃Dの流動を妨げないように構成される。第1の送風部15は、筐体11内での送風条件を調整するために、鉛直方向および/または水平方向に移動可能に構成されてもよい。
【0037】
第2の送風部17は、第2の周期で電子機器30の通気口31に付着した埃Dを吹飛ばすために設けられる。第2の送風部17は、送風ノズルを含んで構成されてもよく、送風ファンを含んで構成されてもよい。第2の送風部17は、送風方向を変化するようにスイング動作可能に構成されることが好ましい。図示する例では、第2の送風部17は、配置台13の上方で筐体11の2つの側面に渡された1本の通風管17aと、通風管17aに吊り下げられた3つの送風ノズル17bにより構成されている。なお、図3から図5では、送風ノズル17bの配置が模式的に示されている。
【0038】
第2の送風部17では、高圧エアがエア供給部(不図示)から送風調整部21を通じて通風管17aに供給され、送風ノズル17bから筐体11内に送風される。通風管17aは、スイング機構(不図示)を通じて軸方向に回転可能に構成されており、制御部23の制御下で、第2の周期で通気口31に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、通気口31に向けて送風する。
【0039】
第2の送風部17は、埃試験に要求される送風の量・圧力に適した態様で、筐体11内での埃Dの流動を妨げないように構成される。なお、第2の送風部17は、筐体11内での送風条件を調整するために、鉛直方向および/または水平方向に移動可能に構成されてもよい。また、第2の送風部17は、電子機器30の通気口31の位置に応じて、配置台13の上方に代えて下方に設けられてもよい。
【0040】
ここで、第1および第2の送風部15、17は、長期間使用後の埃Dの付着状況を所定の試験期間で適切に再現するように、所定の周期・量・圧力・方向で送風する。送風の周期・量・圧力・方向は、各送風部15、17について、一定の値として設定されてもよく、複数の値の組合せとして設定されてもよい。また、第1の送風部15の各送風ノズル15b同士、または第1の送風部17の各送風ノズル17b同士で、異なる送風条件が調整されてもよい。
【0041】
第3の送風部19は、筐体11の下部から上部に向けて周期的に送風するために設けられる。第3の送風部19は、送風ファンを含んで構成されてもよく、送風ノズルを含んで構成されてもよい。図示する例では、第3の送風部19は、筐体11の底部材12の底面に送風ファンとして設けられているが、底部材12の傾斜面に設けられてもよい。なお、第3の送風部19は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0042】
送風調整部21は、制御部23の制御下で、エア供給部(不図示)から第1および第2の送風部15、17(場合によっては第3の送風部19も含む。)への高圧エアの供給を調整する。送風調整部21は、高圧エアの供給量および供給圧力を調整することで、連続的、間欠的または風圧に緩急を付けて送風を行う。
【0043】
制御部23は、第1から第3の送風部15、17、19、送風調整部21等、埃試験装置10全体を動作させるために必要な演算処理および制御処理を行う。制御部23は、回路等のハードウェアおよび/またはプログラム等のソフトウェアにより構成される。操作部24は、操作パネル、各種スイッチ等を含んで構成される。操作部24では、操作パネル、各種スイッチ等に対して、埃試験装置10を操作するためのユーザ指示が入力される。
【0044】
[3.埃試験装置10の動作]
つぎに、図6から図8を参照して、本発明の実施形態に係る埃試験装置10の動作について説明する。図6には、電子機器30の設置状況が正面図および側面図として示されており、図7および図8には、第1および第2の送風部15、17の動作が各々に示されている。なお、図7および図8中、実線の矢印は、第1および第2の送風部15、17の動作ならびに埃Dの動作を示し、破線の矢印は、送風の方向を示している。
【0045】
以下では、ノート型コンピュータ30(以下、ノートPC30とも称する。)を試験対象とする場合について説明する。なお、本実施形態に係る埃試験装置10および埃試験方法は、ノートPC30以外の電子機器30にも同様に適用されることはいうまでもない。
【0046】
埃試験の実施に際しては、筐体11の開閉扉25が開放された状態で、所定の材質・形状・量を伴う埃Dが筐体11内に封入される。封入された埃Dは、その一部分が筐体11内を浮遊し、他の部分が筐体11のすり鉢状の底部材12等、筐体11の下部に堆積することになる。
【0047】
ここで、封入される埃Dの仕様は、実際の使用条件で同類型式や同一型式のノートPC30の吸気口31に付着した埃Dを分析した結果を用いて、長期間使用後の埃Dの付着状況を適切に再現することができるように適宜決定される。埃Dは、数mm程度の長さを有する綿、羊毛、コットンリンタ(綿から綿花を取り去った種子の根元に生えている短い繊維)等が単独または混合されて用いられる。
【0048】
図6に示すように、埃試験の実施に際しては、開閉扉25が開放された状態で、底面にファン用の吸気口31が設けられたノートPC30が配置台13に配置される。ノートPC30は、本体部に対してパネル部を若干傾けた状態で、吸気口31が第2の送風部17の送風ノズル17bに対向するように配置される。ここで、ノートPC30の本体内部では、ファンが連続的または間欠的に動作していてもよく、ファンが停止していてもよい。なお、埃Dの封入とノートPC30の配置は、相前後して行われてもよい。
【0049】
埃Dの封入および電子機器30の配置が完了すると、開閉扉25が密閉され、操作パネルを通じて試験条件(試験継続時間等)の設定および試験開始のユーザ指示が入力される。そして、埃試験が開始されると、第1から第3の送風部15、17、19が動作を開始する。
【0050】
図7に示すように、第1の送風部15は、第1の周期で筐体11の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、筐体11の下部に向けて送風する。これにより、筐体11の下部に堆積した埃Dは、筐体11の下部を掃流して上部に周期的に飛散する。また、第1の送風部15は、筐体11の底部材12のすり鉢面に向けて送風し、第3の送風部19は、筐体11の下部から上部に向けて周期的に送風する。これにより、すり鉢面に堆積した埃Dは、第2および第3の送風部17、19の送風により筐体11の上部に効果的に拡散して飛散する。
【0051】
そして、飛散した埃Dは、筐体11内を落下し、一部分がノートPC30の吸気口31に付着し、他の一部分が筐体11の下部に堆積し、他の一部分が筐体11内を浮遊中に送風により再び筐体11の上部に飛散する。これにより、実際の使用条件に近い状況で埃Dを吸気口31に付着させることができる。
【0052】
図8に示すように、第2の送風部17は、第2の周期で吸気口31に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更しながら、吸気口31に向けて送風する。これにより、吸気口31に詰まった埃Dは、吸気口31から周期的に吹飛ばされる。特に、吸気口31に対して異なる方向から送風することで、吸気口31に付着して詰まった埃Dを効果的に吹飛ばすことができる。
【0053】
そして、吹飛ばされた埃Dは、筐体11内を落下し、一部分が筐体11の下部に堆積し、他の一部分が筐体11内を浮遊中に送風により再び筐体11の上部に飛散する。これにより、吸気口31に一旦付着した埃Dが風圧や振動等の作用により剥離する状況を再現することで、実際の使用条件に近い状況で吸気口31の完全な詰まりを防ぐことができる。結果として、試験の継続が可能となり、長期間使用後の埃Dの付着状況を適切に再現することができる。
【0054】
試験継続時間が終了すると、第1から第3の送風部15、17、19が動作を停止する。埃Dの飛散状態がおさまると、開閉扉25が開放され、筐体11内からノートPC30が取り出される。そして、ノートPC30の吸気口31に対する埃Dの付着状況が確認される。
【0055】
[4.まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電子機器30の埃試験装置10および埃試験方法によれば、従来の埃試験装置10とは異なり、第1の周期で筐体11内に埃Dを飛散させるとともに、第1の周期より長い第2の周期で、通気口31に付着した埃Dが吹飛ばされる。これにより、通気口31に詰まった埃Dを周期的に吹飛ばすことで、試験開始後の早い段階で通気口31が完全に詰まることがなく、試験の継続が可能となるので、長期間使用後の埃Dの付着状況を適切に再現することができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
10 埃試験装置
11 筐体
13 配置台
15 第1の送風部
17 第2の送風部
19 第3の送風部
30 電子機器(ノートPC)
31 通気口(吸気口)
D 埃


【特許請求の範囲】
【請求項1】
埃を封入するための筐体と、
前記筐体内に電子機器を配置するための配置台と、
第1の周期で前記筐体内に埃を飛散させるための第1の送風部と、
前記第1の周期より長い第2の周期で、前記電子機器の通気口に付着した埃を吹飛ばすための第2の送風部と
を備える、電子機器用埃試験装置。
【請求項2】
前記第2の送風部は、前記第2の周期で送風方向を変更しながら、前記通気口に向けて送風する、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項3】
前記第2の送風部は、前記通気口に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更する、請求項2に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項4】
前記第1の送風部は、前記第1の周期で送風方向を変更しながら、前記筐体の下部に向けて送風する、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項5】
前記第1の送風部は、前記筐体の下部に対面する方向を中心とする所定の角度範囲で送風方向を変更する、請求項4に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項6】
前記筐体の下部は、すり鉢状に形成される、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項7】
前記筐体の下部に配され、前記筐体の上部に向けて周期的に送風する第3の送風部をさらに備える、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項8】
前記第2の送風部は、軸回りに回転可能な連通管と、前記連通管に取り付けられた送風ノズルからなる、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項9】
前記第1の送風部は、軸回りに回転可能な連通管と、前記連通管に取り付けられた送風ノズルからなる、請求項1に記載の電子機器用埃試験装置。
【請求項10】
筐体内に埃を封入し、電子機器を配置するステップと、
第1の周期で前記筐体内に埃を飛散させるステップと、
前記第1の周期より長い第2の周期で、前記電子機器の通気口に付着した埃を吹飛ばすステップと
を含む、電子機器用埃試験方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257178(P2011−257178A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129851(P2010−129851)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】