説明

電子機器用カバー部材および電池蓋

【課題】
電子機器をその落下や衝突から保護し、かつワイヤレス充電に高い利便性をもたらす電子機器用カバー部材および電池蓋を提供する。
【解決手段】
本発明は、電子機器70の操作面71側を開口して当該電子機器70の外側を覆う電子機器用カバー部材1であって、少なくとも操作面71の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口側内面の反対側の面を少なくとも覆う弾性部材30とを備え、トレイ10または弾性部材30に、ワイヤレス充電用の受電部品50,51を少なくとも備える電子機器用カバー部材1に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用カバー部材および電池蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、携帯型のゲーム機器、電子ブック等の小型電子機器を持ち運ぶ機会が益々増えてきており、それに伴い、小型電子機器を落下させあるいは移動中に何かに接触させて破損する機会も増えている。小型電子機器を落下あるいは何かに接触させた際にその破損から防護する方法の一つに、小型電子機器をクッション性の高いカバーあるいはケースにて覆う方法が考えられる。例えば、小型電子機器の操作面のみを開口し、側面から裏面までを覆う形状であって、開口部分の伸縮性を高めて、小型電子機器の着脱容易にした電子機器用カバーが知られている(特許文献1を参照)。また、携帯電話の操作面側を開口した比較的硬質の材料(プラスチックあるいは金属)から構成される携帯電話用の容器および保持具も知られている(特許文献2を参照)。
【0003】
一方、最近、電子機器と充電器とを有線接続せずに、電子機器内の二次電池の充電を行うワイヤレス充電が注目されている。ワイヤレス充電の方法は、従来から行われている電磁誘導方式の他、コイル間の共鳴を利用して給電を行う磁気共鳴方式(例えば、特許文献3を参照)、および電極間に発生する電界を利用して給電を行う電界結合方式(静電容量方式ともいう)が知られている(例えば、特許文献4を参照)。
【0004】
電磁誘導方式は、給電側のコイルと受電側のコイルを十分近づけ、給電側のコイル側の磁界を変化させると、受電側のコイル側に磁界が発生して電流が流れるファラデーの法則を利用した充電方法である。磁気共鳴方式は、コイル間で給電する点において電磁誘導方式と共通するが、コイル間の共鳴現象を利用する点で異なる。磁気共鳴方式では、給電側のコイルに電流が流れることにより生じた磁場の振動が、同じ周波数で共振する受電側のコイルに伝わり、受電側のコイルに電流が流れる。また、電界結合方式は、給電側と受電側にそれぞれ電極を設置し、電極間に発生する電界を利用してエネルギーを伝送する方法である。磁気共鳴方式は電磁誘導方式に比べて給電部と受電部とが近接していなくても給電でき、電界結合方式は電磁誘導方式に比べて給電部と受電部とが平面的に多少ずれて対向していても給電できるため、最近、特に脚光を浴びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−027076号公報
【特許文献2】特開2000−201210号公報
【特許文献3】特開2010−154700号公報
【特許文献4】特表2009−531009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電子機器に保護カバーを取り付けた場合、電子機器と充電器との間に、保護カバーが介在することになる。このため、上述の非接触充電を行う際に、電子機器と充電器との距離が大きくなり、充電効率が低下してしまう。保護カバーを電子機器から取り外して充電すれば、充電効率の低下の問題は生じにくくなるが、充電の度に保護カバーを取り外す煩わしさが生じる。加えて、電子機器内の受電部品の一部に支障があると、電子機器全体の修理若しくは取替えを余儀なくされるという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、電子機器をその落下や衝突から保護し、かつワイヤレス充電に高い利便性をもたらす電子機器用カバー部材および電池蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、電子機器の操作面側を開口して当該電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、少なくとも操作面の方向に開口するトレイと、トレイよりも低硬度であると共にトレイの開口側内面の反対側の面を少なくとも覆う弾性部材とを備え、トレイまたは弾性部材に、ワイヤレス充電用の受電部品を少なくとも備える電子機器用カバー部材である。
【0009】
また、本発明の別の形態は、さらに、ワイヤレス充電用の受電部品がコイルを含む電子機器用カバー部材である。
【0010】
また、本発明の別の形態は、さらに、コイルが受電用の共鳴コイルを含む電子機器用カバー部材である。
【0011】
また、本発明の別の形態は、さらに、トレイに、電子機器と電気的に接続するための接続部を備える電子機器用カバー部材である。
【0012】
また、本発明の別の形態は、さらに、接続部をトレイの底板の開口側内面に備える電子機器用カバー部材である。
【0013】
本発明の一形態は、上述のいずれかの電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねる電池蓋である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器をその落下や衝突から保護し、かつワイヤレス充電に高い利便性をもたらす電子機器用カバー部材および電池蓋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材の開口面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の開口面と反対側から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの構成を示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示すコイルの平面図および側面図である。
【図5】図5は、図3に示すトレイのコイル周辺のA−A線断面図である。
【図6】図6は、図1に示す電子機器用カバー部材を電子機器に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す薄型コイルの拡大図である。
【図9】図9は、図8に示す薄型コイルのB−B線断面図である。
【図10】図10は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材を構成するトレイに備えるコイルの斜視図である。
【図11】図11は、電磁誘導方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【図12】図12は、図11に示す回路と一部異なる回路構成の一例である。
【図13】図13は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。
【図14】図14は、図5と同様に、図13に示す電子機器用カバー部材を切断したときの断面図である。
【図15】図15は、磁気共鳴方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【図16】図16は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。
【図17】図17は、図16に示す電子機器用カバー部材を構成するトレイの開口面と反対側の面から見た斜視図である。
【図18】図18は、電界結合方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る電子機器用カバー部材および電池蓋の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<1.電磁誘導方式のワイヤレス充電機能を備える形態>
(1)第一の実施の形態
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材の開口面側から見た斜視図である。図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の開口面と反対側から見た斜視図である。図3は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの構成を示す平面図である。図4は、図3に示すコイルの平面図および側面図である。図5は、図3に示すトレイのコイル周辺のA−A線断面図である。図6は、図1に示す電子機器用カバー部材を電子機器に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0018】
第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(以後、単に、「カバー部材」と称する)1は、電子機器70の操作面71側を開口して当該電子機器70の外側を覆うと共に、少なくとも操作面71の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口側内面の反対側の面を少なくとも覆う弾性部材30とを備える。
【0019】
トレイ10は、図1および図2に示すように、電子機器70の背面側に位置する底板11と、底板11から電子機器70の外側面に向かって延出する側壁12とを連接して構成される部材である。側壁12は、電子機器70の一対の側面、この実施の形態では短辺側の両側面を十分に覆う一方、他方の一対の側面、この実施の形態では長辺側の両側面を大きく切り欠いた形状を有する。トレイ10は、電子機器70の側面および底面に備えられる外部アクセス部の一例であるスイッチ、接続口、カメラのレンズ等の位置に合わせて、底板11および側壁12に貫通孔15,16,17,19を備える。ここで、「外部アクセス部」は、カバー部材1の外側と電子機器70との間にていずれか一方からアクセス可能な部分をいう。アクセスの手法は、直接的な接触のみならず、光、音等の入出も含まれる。
【0020】
トレイ10は、好適には樹脂から成り、より好適には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂から成り、その中でも特に好適には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはポリアミド系樹脂から成る。トレイ10の底板11および側壁12の厚さは、電子機器70の大きさ、重量等によって適正な厚さに設計可能である。例えば、電子機器70の厚さが8〜20mm、短辺が50〜200mm、長辺が80〜300mmの範囲にある場合、樹脂製のトレイ10の底板11および側壁12は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。
【0021】
トレイ10は、電子機器70の長辺側の切り欠いた部分を有する2つの側壁12に、電子機器70側に向かって立設される規制板21を1つずつ備える。規制板21は、カバー部材1の内側にあるトレイ10と電子機器70の外面との固定を確実にし、電子機器70がカバー部材1から容易に脱落しないようにするための部分である。なお、規制板21は、トレイ10の長辺側の側壁12ではなく、底板11の長辺側に形成されていても良い。
【0022】
図1〜図3に示すように、トレイ10は、その底板11に、ワイヤレス充電用の受電部品として、電子機器70と電気的に接続可能な接続部50と、当該接続部50と電気的に接続されるコイル51とを備える。接続部50は、底板11の内面に立設されており、カバー部材1に電子機器70を嵌め込んだときに、電子機器70側の接続凹部(不図示)と容易に接続できる構成である。接続部50は、好適には、例えば、同軸ケーブルに接続された接続プラグのような形態を有し、電子機器70側のプラグ接続口にプラグ・イン可能なものであるが、その形態に限定されない。また、接続部50は、トレイ10の底板11に限定されず、側壁12に配置されても良い。
【0023】
コイル51は、金属線を絶縁フィルムにて被覆した形態を持ち、互いに接触しても電気的な短絡が起きない。コイル51は、好適には、リング面を底板11の表裏方向に向けて、底板11の厚さ方向内方に備えられている。図3および図5に示すように、底板11は、その内面側に、厚さ方向に向かって窪む2つの凹部22,23を備える。凹部22は、コイル51の巻き線部分52を嵌め込むためのリング状の凹部である。一方、凹部23は、コイル51の2本の端部53a,53b(総括する場合には、53)を配置するためのライン状の凹部である。凹部22は、凹部23に比べて、深く形成されている。コイル51は、トレイ10の底板11の内面側に形成された凹部22,23に嵌め込まれる。凹部22,23は、その開口側を、樹脂製のフィルム60にて覆われる。電子機器70とコイル51とが接触しないようにして、コイル51を保護すると共に電子機器70のフレームに傷が付かないようにするためである。これに対して、接続部50は、フィルム60にて覆われず、露出している。なお、凹部22,23をより深く形成し、あるいはコイル51を損傷しにくいように形成する場合には、必ずしもフィルム60を要しない。また、コイル51は、トレイ10の底板11の開口側内面ではなく、その裏側の面に露出して、あるいは底板11の内部に完全に埋設して備えられても良い。さらに、コイル51は、側壁12に備えられていても良い。また、コイル51は、トレイ10ではなく、弾性部材30のトレイ10側の面若しくはその反対側の面に固定され、あるいは弾性部材30の内部に完全に埋設されていても良い。
【0024】
弾性部材30は、電子機器70の背面側に位置する底板31と、底板31から電子機器70の外側面を覆う側壁32と、側壁32から電子機器70の操作面71の外縁を覆う操作面側外縁部33とを連接して構成されるボート形状を有する部材である。弾性部材30は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーなどから好適に構成され、例えば、ウレタン系あるいはシリコーン系エラストマーから特に好適に構成される。トレイ10の底板11および側壁12の最も厚い部分が0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲の場合、上記エラストマー製の弾性部材30の底板31および側壁32は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。弾性部材30は、電子機器70の側面および底面に備えられるスイッチ、接続口、カメラのレンズ等の位置に合わせて、底板31および側壁32に、凸状被覆部34、貫通孔35,36,37,38,39を備える。凸状被覆部34は、カバー部材1から電子機器70にタッチして操作できるように、好適には他の部分よりも薄肉状に形成されている。貫通孔35,36,37,38,39は、そこを通して電子機器70に接触し、あるいは光を通過可能に形成される部分である。凸状被覆部34および貫通孔35,36,37,38,39の大きさ、形状、位置および個数は、電子機器70の形態に応じて変動する。
【0025】
弾性部材30の側壁32は、トレイ10の側壁12の高さ以上に形成されている。トレイ10の側壁12の内で最も高い位置でも、弾性部材30の操作面側外縁部33の内側に接する位置である。これによって、少なくとも、操作面側外縁部33は、トレイ10と接しない部分となり、電子機器70との脱着の際に自由に変形できる。弾性部材30の貫通孔35,36,37,39は、トレイ10の貫通孔15,16,17,19と同じ位置に、ほぼ同じ形状と大きさにて形成される。弾性部材30は、トレイ10の底板11および側壁12の各外側を完全に覆う一方、それらの内側を完全に覆うことなく、当該内側の一部を露出させる。なお、弾性部材30は、好適には、トレイ10の貫通孔15,16,17,19の少なくともいずれか1つの内周面の一部または全部を覆う。ただし、貫通孔15,16,17,19の内周面は、弾性部材30によって覆われていなくても良い。
【0026】
この実施の形態に係るカバー部材1は、電子機器70の電池収納部に二次電池を入れた状態にて電子機器70に取り付けることにより電池蓋1’としても機能するものである。このため、電子機器70に、カバー部材1以外に、二次電池の脱落を防止するための別の蓋を必要としない。ただし、カバー部材1が電池蓋1’を兼ねることは、必須ではない。電子機器70の電池収納部に、専用の電池蓋を備え、その上からカバー部材1を取り付けても良い。カバー部材1が電池蓋1’を兼ねることができる点は、以後の各実施の形態でも同様である。
【0027】
(2)第二の実施の形態
次に、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。第一の実施の形態と共通する構成には、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。図8は、図7に示す薄型コイルの拡大図である。図9は、図8に示す薄型コイルのB−B線断面図である。
【0029】
図7に示すように、トレイ10は、底板11の内面に、ワイヤレス充電用の受電部品として、図4に示すコイル51よりも薄い薄型コイル81を備えることもできる。薄型コイル81は、好適には、例えば、金属蒸着、金属粉末を含むインクを用いた印刷、あるいは金属箔の貼り付け等の手法により、トレイ10の底板11の内面に形成される。薄型コイル81の厚さは、好適には、例えば、100μm以下にすることができる。薄型コイル81は、同心状に外側から内側に巻かれた巻き線部分82と、2本の端部83a,83b(総括する場合には、83)とから成る。薄型コイル81は、図4に示すコイル51と異なり、そのコイル線を絶縁フィルムにて被覆していない。このため、端部83b(若しくは端部83a)と巻き線部82との短絡を防ぐ一つの方法として、図9に示すように、巻き線部分82上に絶縁部材84を介して端部83bを立体的に交差させている。絶縁部材84は、絶縁性の高い顔料を含むインクを用いて、巻き線部分82の一部の上から重ねて印刷して、形成することができる。ただし、絶縁部材84は、印刷によらず、絶縁シートの貼り付け、絶縁性の高い接着剤の塗布等の手法にて形成することもできる。また、底板11の内部に金属線を埋め込み、巻き線部82の内側の端部83bを底板11内の金属線に向けて埋め込んで、当該金属線と電気的に接続しても良い。
【0030】
図7に示すカバー部材1は、薄型コイル81上にこれを覆うフィルムを備えていないが、図1に示すカバー部材1と同様、薄型コイル81と電子機器70との接触によって薄型コイル81が損傷しないように、薄型コイル81上にフィルムを貼り付けても良い。その場合、接続部50は、電子機器70との電気的接続の必要から、フィルムに覆われないようにする。薄型コイル81は、トレイ10の底板11の開口側内面ではなく、その裏側の面に露出して、あるいは底板11の内部に完全に埋設して備えられても良い。さらに、薄型コイル81は、側壁12に備えられていても良い。また、薄型コイル81は、トレイ10ではなく、弾性部材30のトレイ10側の面若しくはその反対側の面に固定され、あるいは弾性部材30の内部に完全に埋設されていても良い。
【0031】
(3)第三の実施の形態
図10は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材を構成するトレイに備えるコイルの斜視図である。
【0032】
ワイヤレス充電用のコイルは、トレイ10の底板11の内面とコイル面とを平行にして備えるのみならず、コイルの長さ方向を当該内面と平行にして備えても良い。図10に示すコイル91は、磁性材料から成るコア90の略中央に位置する薄板領域90aに巻かれている。コア90の両端90b,90bは、充電器側に備える一次コイル(不図示)からの磁束の入出領域となる。すなわち、コア90は、充電器側の一次コイルとコイル91内の磁束が通る閉磁路の一部を構成する。コア90およびコイル91は、共に、ワイヤレス充電用の受電部品である。コア90にコイル91を巻くことにより、透磁率を向上することができる。コア90に相当する磁性材料は、上述の各実施の形態におけるコイル51内または薄型コイル81内に配置しても良い。コア90およびコイル91は、トレイ10の底板11の開口側内面、その裏側の面に露出して、あるいは底板11の内部に完全に埋設して備えられても良い。さらに、コア90およびコイル91は、側壁12に備えられていても良い。また、コア90およびコイル91は、トレイ10ではなく、弾性部材30のトレイ10側の面若しくはその反対側の面に固定され、あるいは弾性部材30の内部に完全に埋設されていても良い。
【0033】
(4)充電回路の構成(第一〜第三の各実施の形態に共通)
図11は、電磁誘導方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【0034】
充電器100側の給電回路は、整流・平滑回路101、共振回路102、一次コイル103、コンデンサ104等を含む。カバー部材1は、上述のように、コイル51、薄型コイル81あるいはコイル91(二次コイル等51,81,91)を備える。電子機器70側の受電回路は、コンデンサ109、整流回路110、充電制御回路111および二次電池120を含む。受電回路は、カバー部材1内および電子機器70内の両回路にて構成される。なお、コンデンサ109は、カバー部材1側に配置しても良い。さらに、整流回路110および充電制御回路111の少なくとも一方を、カバー部材1に配置しても良い。
【0035】
整流・平滑回路101は、商用電源(交流電源)からの交流をダイオードを用いた整流回路で整流化し、それを平滑回路によって平滑化し、直流に変換する。共振回路102は、高周波の発振を行い、その結果、LC回路を構成する一次コイル103の周囲に磁界が生じる。当該磁界により生じた磁束は、カバー部材1の二次コイル等51,81,91を通り、電磁誘導によって、二次コイル等51,81,91に電流が誘起される。二次コイル等51,81,91とコンデンサ109とから構成されるLC回路を流れる交流は、整流回路110にて直流に変換される。充電制御回路111は、二次電池120に直流を供給し、二次電池120の充電が行われる。所定の充電が完了すると、充電制御回路111は、充電を停止する。
【0036】
図12は、図11に示す回路と一部異なる回路構成の一例である。
【0037】
図12に示すように、電子機器70側に、二次コイル131と、コンデンサ132と、カバー部材1側の二次コイル等51,81,91との回路の切替えを可能にする切替回路130とを備え、カバー部材1の有無にかかわらず、電子機器70内の二次電池120の充電を可能にすることもできる。接続部50を介してカバー部材1と電子機器70とを接続した場合には、切替回路130は、二次コイル等51,81,91を受電回路に接続する。この場合、二次コイル131は、充電回路と非接続状態になる。一方、カバー部材1を電子機器70から外すと、二次コイル131と受電回路とが接続状態になる。このような回路構成にすると、カバー部材1の有無にかかわらず、二次電池120の充電が可能になる。
【0038】
(5)電子機器用カバー部材の製造方法
トレイ10は、例えば、金型内に溶融樹脂を射出して成形する射出成形法、軟化させた板状の樹脂を金型内で型締めする成形法にて好適に製造できる。また、後者の成形法の場合には、一方の金型側から減圧する方法、一方の金型側から高圧気体を送気する方法、当該減圧と送気とを組み合わせる方法を用いても良い。弾性部材30は、例えば、成形後のトレイ10を金型内にセットして、金型とトレイ10との隙間に弾性部材30を構成可能な組成物を供給して、当該組成物を架橋させる方法などにより成形できる。かかる成形法を用いると、トレイ10と弾性部材30とを容易に一体化することができる。なお、トレイ10と弾性部材30との密着性を高めるため、成形後のトレイ10における弾性部材30との密着領域に、プライマーを塗布してから金型にセットして、弾性部材30を構成する組成物を金型内に供給しても良い。トレイ10と弾性部材30とを一体化した後、第一の実施の形態に係るカバー部材1の場合、トレイ10の底板11の内面側に、受電部品である接続部50およびコイル51、さらにはフィルム60を備える。第二の実施の形態に係るカバー部材1の場合、トレイ10の底板11の内面側に、受電部品である接続部50および薄型コイル81を備える。第三の実施の形態に係るカバー部材1の場合、トレイ10の底板11の内面側に、受電部品である接続部50、コア90およびコイル91を備える。いずれの実施の形態の場合においても、トレイ10の底板11の内面への上記部品の一部または全部の取り付けは、トレイ10の成形後であって、弾性部材30とトレイ10との一体成形の前に行うこともできる。
【0039】
次に、トレイ10の材料としてポリカーボネート系樹脂を、弾性部材30の材料としてシリコーンエラストマーをそれぞれ用い、二色成形法によりカバー部材1を製造する好適な製造方法につき例示する。
【0040】
まず、トレイ10を賦形可能な金型内に、溶融状態のポリカーボネート樹脂を射出する。その後、金型を開くと、図3に示す形状のトレイ10が得られる。次に、トレイ10の外側の面に、プライマーを塗布し、乾燥させる。次に、プライマーを塗布したトレイ10を、カバー部材1を賦形可能な別の金型内にセットし、当該金型内に、溶融状態のシリコーン組成物(信越化学工業株式会社製、品番:KE−2090−40A/B)を供給する。当該シリコーン組成物が架橋した後に金型を開いて、トレイ10と弾性部材30とから成るカバー部材1を得る。トレイ10に着色または加飾を施す必要がある場合には、弾性部材30との一体成形に先立ち、トレイ10を塗料中にディッピングし、塗料をスプレーにて塗布し、印刷し、あるいは加飾シートを貼付しても良い。また、弾性部材30の外面に加飾する必要がある場合には、トレイ10との一体成形後に、当該外面に塗料をスプレーにて塗布し、印刷し、あるいは加飾シートを貼付しても良い。なお、溶融状態のポリカーボネート樹脂中に顔料を予め練り込んでおいてから成形し、弾性部材30の加飾を実現しても良い。その後、トレイ10の底板11の内面に、受電部品等のワイヤレス充電に必要な部品(接続部50、コイル51およびフィルム60; 接続部50および薄型コイル81; あるいは接続部50、コア90およびコイル91)を取り付ける。
【0041】
<2.磁気共鳴方式のワイヤレス充電機能を備える形態>
第四の実施の形態
次に、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。第一の実施の形態と共通する構成には、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0042】
(1)電子機器用カバー部材の構成
図13は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。図14は、図5と同様に、図13に示す電子機器用カバー部材を切断したときの断面図である。
【0043】
この実施の形態では、トレイ10は、その底板11に、ワイヤレス充電用の受電部品として、電子機器70と電気的に接続可能な接続部140と、当該接続部140と電気的に接続される受電コイル141と、同じく当該接続部140と電気的に接続される共鳴コイルとしての受電側共鳴コイル151とを備える。受電側共鳴コイル151は、充電器側に備えられる給電側共鳴コイルとの間で共鳴を生じることによって、充電器側から電力の供給を受けるコイルである。受電コイル141は、受電側共鳴コイル151から、電磁誘導により磁束エネルギーを受け取るコイルである。この実施の形態に係るカバー部材1は、受電側共鳴コイル151を備える点で、第一〜第三の各実施の形態に係るカバー部材1と異なる。受電側に受電側共鳴コイル151を、給電側に給電側共鳴コイルを配置して、両共鳴コイル間でエネルギーを受け取る方式にすることで、カバー部材1と充電器との間の距離が比較的離れている場合でも、高効率な充電が可能である。
【0044】
接続部140は、底板11の内面に立設されており、カバー部材1に電子機器70を嵌め込んだときに、電子機器70側の接続凹部(不図示)と接続できる構成である。接続部140は、トレイ10の底板11に限定されず、側壁12に配置されても良い。受電コイル141は、金属膜のみで構成される略一巻きのコイルである。受電コイル141は、好適には、例えば、金属蒸着、金属粉末を含むインクを用いた印刷、あるいは金属箔の貼り付け等の手法により、トレイ10の底板11の内面に形成される。受電コイル141の厚さは、好適には、例えば、100μm以下にすることができる。ただし、受電コイル141は、必ずしも金属膜のみで構成されることを要せず、金属線を絶縁フィルムにて被覆されたコイルでも良い。また、受電コイル141の開口形状は、円形あるいは楕円形等の矩形以外の形状としても良い。
【0045】
受電側共鳴コイル151は、金属線を絶縁フィルムにて被覆されたコイルであって、受電コイル141よりも巻き数の多い(例えば、巻き数:5〜7)コイルであり、互いに接触しても電気的な短絡が起きない。受電側共鳴コイル151は、前述の受電コイル141よりも開口面積の小さなコイルとしているが、受電コイル141と同じあるいはより大きな開口面積を持つコイルとしても良い。図13および図14に示すように、トレイ10は、底板11の内面側に、厚さ方向に窪む2つの凹部22,23を備える。凹部22は、受電側共鳴コイル151の巻き線部分152を嵌め込むためのリング状の凹部である。一方、凹部23は、受電側共鳴コイル151の2本の端部153a,153b(総括する場合には、153)を配置するためのライン状の凹部である。凹部22は、凹部23に比べて、深く形成されている。受電側共鳴コイル151は、底板11の内面側に形成された凹部22,23に嵌め込まれる。受電コイル141および受電側共鳴コイル151は、トレイ10の底板11の開口側内面ではなく、その裏側の面に露出して、あるいは底板11の内部に完全に埋設して備えられても良い。さらに、受電コイル141および受電側共鳴コイル151は、側壁12に備えられていても良い。また、受電コイル141および受電側共鳴コイル151は、トレイ10ではなく、弾性部材30のトレイ10側の面若しくはその反対側の面に固定され、あるいは弾性部材30の内部に完全に埋設されていても良い。
【0046】
(2)充電回路の構成
図15は、磁気共鳴方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【0047】
充電器100側の給電回路は、整流・平滑回路101、共振回路102、給電コイル161、コンデンサ162、給電側共鳴コイル171およびコンデンサ172を含む。給電コイル161とコンデンサ162は、LC回路を構成する。同様に、給電側共鳴コイル171とコンデンサ172も、LC回路を構成する。給電コイル161と給電側共鳴コイル171は、電磁誘導によって給電コイル161から給電側共鳴コイル171に磁束エネルギーを効率良く供給する必要から、互いの各開口面を対向させ、かつその互いの距離をできるだけ狭くするように非接触状態にて配置されるのが好ましい。
【0048】
カバー部材1は、上述のように、受電コイル141と、受電側共鳴コイル151とを備える。受電コイル141と受電側共鳴コイル151は、電磁誘導によって受電側共鳴コイル151から受電コイル141に磁束エネルギーを効率良く供給する必要から、互いの各開口面を対向させ、かつその互いの距離をできるだけ狭くするように非接触状態にて配置されるのが好ましい。また、受電側共鳴コイル151は、磁気共鳴現象によって、給電側共鳴コイル171からエネルギーを受け取る必要から、給電側共鳴コイル171と同じ共振周波数を持つコイルとする。
【0049】
電子機器70側の受電回路は、受電コイル141との間でLC回路を構成するコンデンサ142と、受電側共鳴コイル151との間でLC回路を構成するコンデンサ155と、受電コイル141からの交流を整流する整流回路110と、充電の制御を行う充電制御回路111と、二次電池120を含む。受電回路は、カバー部材1内および電子機器70内の両回路にて構成される。なお、コンデンサ142およびコンデンサ155の少なくともいずれか一方は、カバー部材1側に配置しても良い。さらに、整流回路110および充電制御回路111の少なくとも一方を、カバー部材1に配置しても良い。
【0050】
整流・平滑回路101と共振回路102の各機能は、先に図11に基づいて述べた各機能と共通する。給電コイル161の周囲に生じた磁束は、給電側共鳴コイル171を貫く結果、電磁誘導により給電側共鳴コイル171に電流が誘起する。受電側共鳴コイル151は、給電側共鳴コイル171との間で共鳴を生じ、給電側共鳴コイル171からエネルギーを受け取る。受電側共鳴コイル151の周囲に生じた磁束は、受電コイル141を貫く結果、電磁誘導により受電コイル141に電流が誘起する。受電コイル141とコンデンサ142とから構成されるLC回路を流れる交流は、整流回路110にて直流に変換される。充電制御回路111は、二次電池120に直流を供給し、二次電池120の充電が行われる。所定の充電が完了すると、充電制御回路111は、充電を停止する。
【0051】
第四の実施の形態では、受電コイル141と受電側共鳴コイル151とをカバー部材1内に配置しているが、両コイル141,151のいずれか一方を、電子機器70内に配置しても良い。また、図12に基づいて説明したように、電子機器70内に、受電コイル141と受電側共鳴コイル151の別のセットと、切替回路130と同様の切替回路とをさらに備え、カバー部材1の有無によらず、ワイヤレス充電を可能な構成にしても良い。
【0052】
(3)電子機器用カバー部材の製造方法
トレイ10と弾性部材30との二色成形は、第一〜第三の実施の形態で説明した製造方法と共通する。その後、トレイ10の底板11の内面に、受電部品等のワイヤレス充電に必要な部品(接続部140、受電コイル141および受電側共鳴コイル151)を取り付ける。
【0053】
<3.電界結合方式のワイヤレス充電機能を備える形態>
第五の実施の形態
次に、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。第一の実施の形態と共通する構成には、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0054】
(1)電子機器用カバー部材の構成
図16は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口側から見た斜視図である。図17は、図16に示す電子機器用カバー部材を構成するトレイの開口面と反対側の面から見た斜視図である。
【0055】
この実施の形態では、トレイ10は、その底板11に、ワイヤレス充電用の受電部品として、電子機器70と電気的に接続可能な接続部50と、当該接続部50と電気的に接続される回路基板190と、回路基板190と電気的に接続される第一電極180とを備える。第一電極180と回路基板190とは、配線181にて接続されている。接続部50と回路基板190とは、配線191にて接続されている。図17に示すように、接続部50は、電子機器70との接続の必要から、トレイ10の底板11の開口側内面から露出している。一方、第一電極180、配線181,191は、底板11の開口側内面と反対側の面(裏側の面)に露出して備えられている。トレイ10は、接続部50の近傍に貫通孔25を、回路基板190を取り付ける側壁12に貫通孔28を、それぞれ備える。配線191は、貫通孔25を通して、接続部50と回路基板190との間をつないでいる。回路基板190は、貫通孔28に嵌め込まれ、接着剤等を用いて側壁12に固定されている。
【0056】
回路基板190の固定方法は、接着剤を使用せず、嵌め込みのみでも良い。さらに、回路基板190は、側壁12に限らず、底板11に固定されても良く、例えば、回路基板190と接続部50とを一つの接続ユニットとしても良い。その場合には、配線191は不要である。第一電極180は、トレイ10の裏側の面ではなく、開口側内面に露出して、あるいは底板11の内部に埋設して備えられても良い。さらに、第一電極180は、トレイ10ではなく、弾性部材30に備えられていても良い。その場合、第一電極180は、弾性部材30のトレイ10側の面若しくはその反対側の面に固定し、または弾性部材30の内部に埋設しても良い。第一電極180は、トレイ10の底板11の略中央に配置されているが、かかる場所に限定されるものではなく、配置可能である限り、トレイ10の如何なる場所に配置されても良い。
【0057】
(2)充電回路の構成
図18は、電界結合方式により、充電器から電子機器用カバー部材を介して電子機器の二次電池に充電するための回路構成の一例である。
【0058】
充電器100側の給電回路は、変調回路200、昇圧/安定回路201および第二電極210を含む。カバー部材1は、上述のように、第一電極180、配線181、回路基板190および配線191を備える。回路基板190は、降圧/安定回路220と、第三電極221とを備える。電子機器70側の受電回路は、整流回路230、充電制御回路231および二次電池120を含む。受電回路は、カバー部材1内および電子機器70内の両回路にて構成される。なお、整流回路230および充電制御回路231の少なくとも一方を、カバー部材1に配置しても良い。
【0059】
変調回路200は、商用電源(交流電源)からの交流の周波数を変調し、高周波発振する。昇圧/安定回路201は、複数のコイルを備え、高電圧に昇圧する(例えば、2400V)。この結果、昇圧/安定回路201内で分離された回路の一端にある第二電極210に高電圧が生じる。この結果、第一電極180側に高電圧が発生する。降圧/安定回路220は、複数のコイルを備え、降圧した電力を電子機器70側に送る(例えば、12V)。降圧/安定回路220内は、複数のコイルを対向させて、第一電極180、コイル、第三電極221へと向かう回路と、別のコイルから電子機器70内の整流回路230、充電制御回路231、二次電池120を含む回路に分離されている。降圧/安定回路190にて降圧された交流は、整流回路230にて直流に変換される。充電制御回路231は、二次電池120に直流を供給し、二次電池120の充電が行われる。所定の充電が完了すると、充電制御回路231は、充電を停止する。
【0060】
第五の実施の形態においても、前述の図12に基づいて説明したと同様に、電子機器70内に、第一電極180および回路基板190の別のセットと、切替回路130と同様の切替回路とをさらに備え、カバー部材1の有無によらず、ワイヤレス充電を可能な構成にしても良い。
【0061】
(3)電子機器用カバー部材の製造方法
トレイ10と弾性部材30との二色成形は、第一〜第三の実施の形態で説明した製造方法と共通する。その後、トレイ10の底板11の内面に、受電部品等のワイヤレス充電に必要な部品(接続部50、第一電極180、配線181、回路基板190および配線191)を取り付ける。
【0062】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の好適な各実施の形態について説明してきたが、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々変形実施可能である。
【0063】
例えば、電子機器70のボタン、スピーカ、カメラのレンズ等の位置によっては、トレイ10に、貫通孔16等を設けず、切り欠き部を設けても良い。弾性部材30は、その側壁32を、必ずしもトレイ10の側壁12の高さ以上に形成しなくても良い。また、弾性部材30は、必ずしも、その側壁32から連接して、電子機器70の操作面71の外縁の一部または全部を覆う操作面側外縁部33を備えていなくても良い。弾性部材30は、トレイ10の開口側内面よりもその反対側の面を広く覆っていなくとも良い。また、弾性部材30は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10の開口側内面の一部をより広く覆い、あるいはトレイ10の開口側内面と反対側の面をより露出しても良い。また、その逆に、弾性部材30は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10の開口側内面の一部をより露出し、あるいはトレイ10の開口側内面と反対側の面をより広く覆っても良い。また、トレイ10と弾性部材30とは、互いに密着しているのが好ましいが、密着していない領域があっても良い。トレイ10は、電子機器70の操作面71側のみならず、側壁12の一方を開口しても良い。その場合、当該開口と反対側の側壁12の内面に、接続部50,140を備えると、当該開口から電子機器70を挿入してカバー部材1に電子機器70を取り付けると同時に、接続部50,140を電子機器70に接続できる。
【0064】
電子機器70とカバー部材1との電気的な接続は、接続部50,140を介して実現しているが、接続部50,140を設けずに、電子機器70とカバー部材1との間をワイヤレスにて接続しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電子機器のワイヤレス充電を可能とする保護カバーとして利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 カバー部材(電子機器用カバー部材)
1’ 電池蓋
10 トレイ
11 底板
30 弾性部材
50 接続部(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
51 コイル(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
70 電子機器
71 操作面
81 薄型コイル(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
90 コア(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
91 コイル(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
140 接続部
141 受電コイル(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
151 受電側共鳴コイル(共鳴コイル、ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
180 第一電極(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
181 配線(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
190 回路基板(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)
191 配線(ワイヤレス充電用の受電部品の一つ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の操作面側を開口して当該電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、
少なくとも上記操作面の方向に開口するトレイと、
当該トレイよりも低硬度であると共に上記トレイの開口側内面の反対側の面を少なくとも覆う弾性部材と、
を備え、
上記トレイまたは上記弾性部材に、ワイヤレス充電用の受電部品を少なくとも備えることを特徴とする電子機器用カバー部材。
【請求項2】
前記ワイヤレス充電用の受電部品は、コイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項3】
前記コイルは、受電用の共鳴コイルを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項4】
前記トレイは、前記電子機器と電気的に接続するための接続部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項5】
前記接続部は、前記トレイの底板の開口側内面に備えられることを特徴とする請求項4に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねることを特徴とする電池蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−190574(P2012−190574A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51046(P2011−51046)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】