説明

電子機器用カバー部材

【課題】電子機器本体を固定する、耐衝撃性を有し、ソフトな感触の、薄肉の積層一体カバー部材を提供する。
【解決手段】 前面に表示画面を有する電子機器の後面及び側面を覆い、かつ当該側面の前記前面に近い縁部が露出するように配置される補強板と、当該補強板の前記電子機器が配置される面と反対側の表面に積層一体化された弾性層とからなり、前記弾性層が、前記補強板が覆っていない前記電子機器の側面の縁部の露出部分を覆うように配置されることを特徴とする電子機器カバー部材であり、ポリカーボネート樹脂からなる補強板411に、シリコーンゴムを図に示した断面形状に射出成形して、積層一体カバー41を形成し、次いで、この積層一体カバー41を携帯電話機本体21の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機11とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用カバー部材に関する。より具体的には、前面に表示部を有する電子機器に取付けられる、耐衝撃性に優れた積層一体カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面として、指やペンを接触あるいは近接させて指示を入力する形式の、液晶タッチパネルを備えた、携帯電話やタブレット型パーソナルコンピュータ等の電子機器が開発され商品化されている。
【0003】
このような電子機器は、携帯に便利な形状や機能を有するが、屋内外に携帯して使用する場合、机上で使用する場合と比較して、落下や衝突等の衝撃を受ける可能性が高く、実際、このような衝撃によって大量の液晶割れが発生している。
【0004】
この落下や衝突等の衝撃に対して電子機器を保護するため、例えば、合成樹脂製の内側部材とその外側を被覆する弾性材製の外側部材とからなる本体ケースの外側部材の4隅部に、外側部材と一体に形成されこの隅部の外面より突出する弾性材製のクッション部が設けられた携帯型のコンピュータが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、板形状の電子機器筐体の側面を一周に渡って取り巻き、側面に配備された複数のコネクタのうちの一部のコネクタを覆うとともに残りの一部のコネクタを露出させる開口を有する、その電子機器の操作性や可搬性の悪化を招くことのない着脱自在の筐体保護カバーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)さらに、携帯電話においては、筐体の後面全体に嵌合する形状のゴム成形品や、筐体の外周部のみ保護するための枠状ゴム成形品が、携帯電話筐体への後付け用として市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3088056号公報
【特許文献2】特開2008−235326号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案されているような、本体ケースの4隅にのみクッションをもける方法では、屋内外に携帯した場合に電子機器を十分に保護することはできない。また、特許文献2に開示されているような筐体の外周一周を取り巻く着脱自在の保護カバーや、市販されているような枠状ゴム成形品や筐体の後面全体に嵌合する形状のゴム成形品は、電子機器筐体に後付けするための取扱性の観点で肉厚にする必要があり、さらに屋内外でのハンドリグの際に外れやすく、十分な耐衝撃性の効果を示さないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、電子機器本体を固定する、耐衝撃性を有し、ソフトな感触の、薄肉の積層一体カバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
【0009】
(1)前面に表示画面を有する電子機器の後面及び側面を覆い、かつ当該側面の前面に近い縁部が露出するように配置される補強板と、その補強板の電子機器が配置される面と反対側の表面に積層一体化された弾性層とからなり、弾性層が、補強板が覆っていない電子機器の側面の縁部の露出部分を覆うように配置されることを特徴とする電子機器カバー部材。
【0010】
(2)弾性層は、電子機器の前面の外縁部を覆うように配置されることを特徴とする(1)に記載の電子機器カバー部材。
【0011】
(3)弾性層は、補強板の端部の内縁部全周にわたって、電子機器の側面を覆うように配置されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電子機器カバー部材。
【0012】
(4)弾性層は、補強板の端部の内縁部の一部に、又は全周にわたって、凸部を備えることを特徴とする(3)に記載の電子機器カバー部材。
【0013】
(5)弾性層は、補強板の電子機器が配置される面および反対側の表面に積層一体化されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0014】
(6)弾性層の電子機器が配置される側の表面が、粘着性を有することを特徴とする(5)に記載の電子機器カバー部材。
【0015】
(7)電子機器は側面に押釦スイッチを備え、その押釦スイッチの対向部が、押子を有する薄肉の弾性層で覆われることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0016】
(8)補強板は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0017】
(9)補強板は、ポリカーボネートからなることを特徴とする(8)に記載の電子機器カバー部材。
【0018】
(10)補強板は、Mg合金又はAl合金からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0019】
(11)弾性層は、エラストマーからなることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0020】
(12)弾性層は、シリコーンゴムからなることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の電子機器カバー部材。
【0021】
(13)シリコーンゴムは、着色されたシリコーンゴムであることを特徴とする(12)に記載の電子機器カバー部材。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電子機器本体を固定する、耐衝撃性を有し、ソフトな感触の、薄肉の積層一体カバー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【図4】本発明の実施例3に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【図5】本発明の実施例4に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【図6】本発明の実施例5に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【図7】本発明の比較例6に係る携帯電話機の構成を示す、図1のB−B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施例1に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0026】
本発明の実施形態に係る携帯電話機1は、図1に示したように、前面に表示画面3を備えた携帯電話機本体2と、携帯電話機本体2を嵌合固定する積層一体カバー4とから構成される。積層一体カバー4は、図2に示したように、補強板411に弾性層412が積層一体化された構成となっている。
【0027】
補強板411は、図の上側面が携帯電話機本体2の後面に嵌合する表面形状となっているが、携帯電話機本体2の側面の図の上部に、補強板411が覆っていない露出部211が設けられるような高さ寸法となっている。
【0028】
補強板411の上端部の、フリー状態での幅方向の内側寸法は、携帯電話機本体2の幅より小さく設計製作されており、このため、携帯電話機本体2を嵌合すると、補強板411の弾性力により携帯電話機本体2が補強板411に固定される。
【0029】
補強板411の図の下側面及び露出部211に、弾性層412が積層一体化されており、携帯電話機1の落下や衝突等の衝撃に対して、弾性層412が携帯電話機本体2を保護する。
【0030】
補強板411は、熱可塑性樹脂から構成することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂を用いることができる。成形品外観、寸法安定性の観点から、ポリカーボネート(PC)樹脂やスチレン系樹脂が、好ましい。
【0031】
補強板411をPC樹脂から構成する場合、補強板411の厚さは、0.3〜
1.6mmの範囲が好ましい。厚さが0.3mm未満であると強度上問題が生じ、厚さが1.6mmを超えると単に携帯電話機1の寸法を増大させることとなる。
【0032】
補強板411は、Al合金やMg合金等の軽合金から射出成形して形成することもできるが、コスト的に割高となる。
【0033】
弾性層412を構成するエラストマーとしては、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)等があげられるが、中でも、入手の容易性、耐久性、透明性に優れるシリコーンゴムが好ましく、射出成形で補強板411と積層一体化するためには、液状シリコーンゴムを用いる。本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤,加硫促進剤,滑剤,助剤等を適宜添加してもよい。
【0034】
弾性層412にシリコーンゴムを用いる場合、補強板411との積層部における弾性層412の厚さは、0.3〜1.6mmが好ましい。厚さが0.3mm未満であると、引っかき傷等によっても弾性体412が剥れやすくなる恐れがあり、
1.6mmを超えると、単に携帯電話機1の寸法を増大させることとなる。
【0035】
弾性層412に用いるシリコーンゴムは、耐衝撃性、ハンドリング時の触感の観点から、ショア硬さHsが30〜60の範囲のものが好ましい。
【0036】
PC樹脂からなる補強板411とシリコーンゴムからなる弾性層412との積層一体成形は、例えば特開平6−171021号公報に開示されているような、PC樹脂成形体にシリコーンゴムを射出成形するという公知の方法によって行うことができる。
【0037】
本発明の実施形態においては、補強板411と弾性層412とが接着していなくてもよいので、PC樹脂及びシリコーンゴムのどちらも変性されていないものを用いることができ、コスト上有利である。
【0038】
シリコーンゴムの射出成形は、液状シリコーンゴムを用いて、PC樹脂のガラス転移点より低い温度で行うので、PC樹脂はガラス転移点の高いものを使用するのが好ましい。
【0039】
弾性層412着色シリコーンゴムから構成するか、または、透明シリコーンゴムから構成してその上に色塗装をし、さらに印刷により加飾することでデザインの選択肢を増すことができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施形態に係る実施例1〜7について説明する。
【0041】
(実施例1)
図2は、実施例1に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0042】
PC樹脂からなる厚さ0.8mmの補強板411に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図2に示した断面形状に、弾性層412の積層厚さ0.8mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー41を得た。次いで、この積層一体カバー41を携帯電話機本体21の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機11とした。
【0043】
携帯電話機の本体21の側面の露出部211は、全周にわたってシリコーンゴムの弾性層412で覆われるので、携帯電話機11の後面及び側面はすべてシリコーンゴムで保護される。従って、積層一体カバー41を備えた携帯電話機11は、耐衝撃性の高いものとなった。
【0044】
(実施例2)
図3は、実施例2に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0045】
PC樹脂からなる厚さ0.8mmの補強板421に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図3に示した断面形状に、弾性層422の積層厚さ0.8mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー42を得た。次いで、この積層一体カバー42を携帯電話機本体22の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機12とした。
【0046】
携帯電話機本体22の側面の露出部221及び前面の外縁部222は、全周にわたってシリコーンゴムの弾性層422で覆われるので、携帯電話機本体22の後面、側面及び前面の外縁部はすべてシリコーンゴムで保護される。従って、積層一体カバー42を備えた携帯電話機12は、より耐衝撃性の高いものとなった。
【0047】
(実施例3)
図4は、実施例3に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0048】
PC樹脂からなる、補強板端部内縁部232を有する厚さ0.8mmの補強板431に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図4に示した断面形状に、弾性層432の積層厚さ0.8mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー43を得た。次いで、この積層一体カバー43を携帯電話機本体23の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機13とした。
【0049】
携帯電話機の本体23の側面の、露出部231及び補強板端部内縁部232の内側の部分は、全周にわたってシリコーンゴムの弾性層432で覆われるので、携帯電話機本体23の後面、側面及び前面の外縁部はすべてシリコーンゴムで保護される。従って、積層一体カバー43を備えた携帯電話機13は、より耐衝撃性の高いものとなり、さらに、補強板端部内縁部232の弾性力が内側のシリコーンゴムの弾性層を介して携帯電話機本体23を固定するので、携帯電話機本体23はより強固に積層一体カバー42に固定されるようになった。
【0050】
(実施例4)
図5は、実施例4に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0051】
実施例3の弾性層432の側面内側に、さらに突起を設けた。
PC樹脂からなる、補強板端部内縁部242を有する厚さ0.8mmの補強板441に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図5に示した断面形状に、弾性層442の積層厚さ0.8mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー44を得た。次いで、この積層一体カバー44を携帯電話機本体24の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機14とした。
【0052】
携帯電話機本体24の側面の、露出部241、及び補強板端部内縁部242の内側の部分は、全周にわたってシリコーンゴムの弾性層442で覆われるので、携帯電話機21の後面、側面及び前面の外縁部はすべてシリコーンゴムで保護される。さらに、補強板端部内縁部242の内側の部分の弾性層が携帯電話機本体24の側面に向かって突起243を備えている。従って、積層一体カバー44を備えた携帯電話機12は、より耐衝撃性の高いものとなり、さらに、補強板端部内縁部242の弾性力が内側のシリコーンゴムの弾性層及びその突起243を介して携帯電話機本体24を固定するので、携帯電話機本体24はより強固に積層一体カバー44に固定されるようになった。この突起243は弾性層の一部に設けてもよいし、全周にわたって設けてもよい。さらに、この突起243に対応する携帯電話機本体24の側面の位置に、凹部を設けてもよい。
【0053】
(実施例5)
図6は、実施例5に係る携帯電話機の構成を示す、図1のA−A矢視断面図である。
【0054】
PC樹脂からなる厚さ0.8mmの補強板451の両側表面に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図6に示した断面形状に、弾性層452の片側積層厚さ0.4mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー45を得た。次いで、内側弾性層453の表面に、厚さ約10μmの粘着性シリコーンゴムをコーティングして加熱加硫し、内側弾性層453の表面が粘着性を持つようにした。この積層一体カバー45を携帯電話機本体25の後面及び側面に嵌合して粘着させ、携帯電話機15とした。
【0055】
携帯電話機本体25の後面及び側面は、全面にわたってシリコーンゴムの内側弾性層453に粘着されて覆われるので、携帯電話機本体25の後面、側面はすべてシリコーンゴムで保護される。したがって、携帯電話機本体25の後面及び側面は、積層一体カバー45の内側が内側弾性層453であっても、積層一体カバー45に粘着嵌合されて強固に固定され、さらに弾性層を両面に有する積層一体カバー45を備えた携帯電話機15は、より耐衝撃性の高いものとなった。
【0056】
(実施例6)
図7は、実施例6に係る携帯電話機の押釦スイッチ近傍の構成を示す、図1のB−B矢視断面図である。
【0057】
PC樹脂からなる厚さ0.8mmの補強板461に、信越化学工業(株)製液状シリコーンゴムKE2090−40−A/Bを図7に示した断面形状に、弾性層462の積層厚さ0.8mmに射出成形し、厚さ1.6mmの積層一体カバー46を得た。次いで、この積層一体カバー46を携帯電話機本体26の後面及び側面に嵌合し、携帯電話機16とした。
【0058】
携帯電話機本体26は、側面に押釦スイッチ261を有する。スイッチ部51には、押釦スイッチ261を押すための押子76が設けられ、押子76は薄肉のシリコーンゴム弾性層で覆われている。携帯電話機本体26の側面は、このスイッチ部51を除いて全周にわたってシリコーンゴムの弾性層462で覆われるので、携帯電話機本体26の後面及び側面はすべてシリコーンゴムで保護される。従って、積層一体カバー46を備えた携帯電話機16は、耐衝撃性の高いものとなった。
【0059】
本発明の実施形態から、携帯用電子機器本体の後面及び側面に、PC樹脂の補強板とシリコーンゴムの弾性層とからなる薄肉の積層一体カバーを嵌合固定することにより耐衝撃性に優れた電子機器を構成できることが明らかとなった。
(A)積層一体カバーの外表面は、シリコーンゴムの弾性層で構成されているので、ソフトな感触でハンドリングできる携帯用電子機器を提供することができる。
(B)積層一体カバーの外表面は、シリコーンゴムの弾性層で構成されているので、落下、衝突時の耐衝撃性に優れた電子機器を提供することができる。
(C)弾性層を着色シリコーンゴムから構成するか、または、透明シリコーンゴムから構成してその上に色塗装をし、さらに印刷により加飾することでデザインの選択肢が増す。
(D)本発明では、補強板と弾性層が一体成形されているので、一々カバーを被せる必要がなく、カバーが外れる心配もない。
【0060】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0061】
1 携帯電話機
2 携帯電話機本体
3 表示画面
4 積層一体カバー
5 スイッチ部
11、12、13、14、15、16 携帯電話機
21、22、23、24、25、26 本体
41、42、43、44、45、46 積層一体カバー
51 スイッチ部
76 押子
211、221、231、241、251 露出部
222 外縁部
232、242 補強板端部内縁部
243 突起
261 押釦スイッチ
411、421、431、441、451、461 補強板
412、422、432、442、452、462 弾性層
453 内側弾性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に表示画面を有する電子機器の後面及び側面を覆い、かつ当該側面の前記前面に近い縁部が露出するように配置される補強板と、
当該補強板の前記電子機器が配置される面と反対側の表面に積層一体化された弾性層とからなり、
前記弾性層が、前記補強板が覆っていない前記電子機器の側面の縁部の露出部分を覆うように配置されることを特徴とする電子機器カバー部材。
【請求項2】
前記弾性層は、前記電子機器の前記前面の外縁部を覆うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器カバー部材。
【請求項3】
前記弾性層は、前記補強板の端部の内縁部の全周にわたって、前記電子機器の側面を覆うように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器カバー部材。
【請求項4】
前記弾性層は、前記補強板の端部の内縁部の一部に、又は全周にわたって、凸部を備えることを特徴とする請求項3に記載の電子機器カバー部材。
【請求項5】
前記弾性層は、前記補強板の前記電子機器が配置される面および反対側の表面に積層一体化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項6】
前記弾性層の前記電子機器が配置される側の表面が、粘着性を有することを特徴とする請求項5に記載の電子機器カバー部材。
【請求項7】
前記電子機器は側面に押釦スイッチを備え、当該押釦スイッチの対向部が、押子を有する薄肉の前記弾性層で覆われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項8】
前記補強板は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項9】
前記補強板は、ポリカーボネートからなることを特徴とする請求項8に記載の電子機器カバー部材。
【請求項10】
前記補強板は、Mg合金又はAl合金からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項11】
前記弾性層は、エラストマーからなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項12】
前記弾性層は、シリコーンゴムからなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電子機器カバー部材。
【請求項13】
前記シリコーンゴムは、着色されたシリコーンゴムであることを特徴とする請求項12に記載の電子機器カバー部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−209353(P2012−209353A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72556(P2011−72556)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】