説明

電子機器類のケース製造方法

【課題】 堅牢でデザインを容易に変更可能な電子機器ケース製造方法。
【解決手段】加熱成形可能なパネル材10を透明で高硬度の外材層13、印刷法などによりデザインされた図柄層12、内面層11を重ね合わせて構成し、成形金型内で溶融した発泡性材料などからなる基材20を充填して一体に成形する。
最外層の外材層は、高硬度で内部の図柄層を保護し、図柄層を変更することにより容易にデザインを変更可能であり、基材層によりケース内の機器類を衝撃から保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種のケース製造方法に関する。特に、基材にパネル材を結合し複合ケースを形成する処理方法で、該複合技術により基材表面は極めて優れた耐摩耗性、吸震性、及び良好な外観性を具え、製品の付加価値を向上させることができるケース製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
一般の携帯電話、PDA、ゲーム機、ノートPC、電気製品等の広い意味での電子製品は、すべてプラスチックケースを利用し、回路板をその内部に固定し、外観のニーズにも応えるものである。
図1、2に示す携帯電話端末構造のケースは、一定の硬度を具える上蓋91、下蓋92をネジで固定、或いは係合させて一体に構成する。該上蓋91、下蓋92間には回路板93を固定し、周辺部品を対応させて搭載し、電子製品の所期の機能を達成する。
該上蓋91、下蓋92は、図3に示す射出金型成型により形成され、大量生産の需要には適合するが、さまざまな欠点が存在する。
【特許文献1】特開2006−44259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知構造には以下の欠点があった。
一、外観が充分に美しくない:消費者の電子製品に対する要求は機能だけでなく、そのデザイン、模様、色彩及び手触り等多くの特質に対する要求がある。一体射出成型のケースは根本的に少量多様化の模様、色彩変化を表現することはできず、単純に色を変えることができるだけで、該ケース外観の美しさは明らかに十分でない。
二、破損し易い:上、下蓋は相互に固定され、回路板を収納する機能を具えるが、上、下蓋は単純な一体材質で振動吸収のニーズを満たすことはできないため、上、下蓋と回路板間には防震構造がなく、該電子製品が地面に落下或いは衝撃を受けた時にはケースは簡単に破損し、ひどい場合には回路板は衝撃を受け損傷する恐れがあり、電子製品の所期の機能を喪失する。
本発明は、上記構造の問題点を解決したケース製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は下記のケース製造方法を提供する。
それは主にケース製造方法を提供し、それは外材層、図柄層、内面層を積重ね複合するパネル材を用い、該パネル材は極めて美しい外観を具え、該パネル材を立体形状を具えたケース体輪郭に成型し、該ケース体輪郭が形成する設置空間内に基材を成型し、該基材と該ケース体外郭を一体に結合し、
この加工方式により該ケースの外観変化性を拡大する他、複合構造により該ケースの防震性及び耐摩耗性を大幅に増強することができ、公知の一体射出製法により生じる不良を解決可能で、効果的に品質を向上させ、公知のケース加工の外観性能不足の問題に対して解決を提示することを特徴とするケース製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
上記のように、本発明は基材外観に対応する耐磨耗パネル材を一体結合する方法で、基材を確実に保護及び美化することができ、これにより公知ケースの防震性不足、外観性不良の欠点を克服可能である技術理念上高度な発明で、電子製品の付加価値を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は以下のステップを含む。
a)図4に示すように、本発明は先ず熱可塑性材料からなるパネル材10を用意する。 該パネル材10は、内面層11、図柄層12、外材層13を積重ねて構成する。該内面層11は良好な耐熱性を具え、高性能工業プラスチック、汎用工業プラスチック、スチレン樹脂、透明樹脂、弾性体、フッ素樹脂、ポリオレフィンなどの材料により構成する。また平織布、ニット布或いは繊維布の布類を内面層11とすることもできる。該図柄層12は、印刷或いはインクジェット方式により必要な色彩及び図像を形成する。該外材層13は光透過或いは半透明の耐磨耗材質で、吸震性の要求に対応するため、その硬度はshore A98-20の間である。次に、該外材層13を該図柄層12底面に結合し、該内面層11を該図柄層12上面に結合する。こうしてサンドイッチ状の耐磨パネル材10構造を一体に形成することにより、該パネル材10は極めて美しい外観を具える。さらに該パネル材10中には帯電防止及び導電性を具えた材料を混入し、本発明のパネル材10構造は、安全の要求に符合することができる。また、該外材層13の表面性能を増強するため、本発明では該外材層13外表面に予め模様を成型し、或いは予め研磨により毛のような質感を形成することができ、こうして該パネル材10表面にはラスタ模様を形成することができる。これに該図柄層12を合わせると、視覚角度の差異により3D立体効果及び異なる層、色、深度の変化効果を表現することができる。
b)図5、6に示すように、該パネル材10を真空成型金型中にセットし、該パネル材10を加熱及び真空吸引して立体形状を具えたケース体輪郭に成型する。該ケース体輪郭内には設置空間14を具え、該内面層11は内面に形成し、該外材層13は外面に形成する。本発明が使用する成型金型は熱圧金型とすることもできる。
c)図7、8に示すように、成型金型の上金型から樹脂原料を注入し、該樹脂原料は該パネル材10の設置空間14内に充填して基材20を成型する。該基材20と該パネル材10の相互に隣り合った接触面は相互に溶着して一体に結合し、これにより該設置空間14内に直接該基材20を成型する。しかも、該耐磨耗パネル材10は該基材20外層に形成され製品の複合ケース構造を形成し、こうして該パネル材10は該基材20外観の保護と美化を達成する。
d)該ケースを金型から外し、該パネル材10或いは該基材20の成形バリを裁断すると、外観性能と防震性を兼備えたケースが完成する。該構造は、図9に示す携帯電話端末上に装置可能で、こうして該ケースは、電子産業に大幅な付加価値向上をもたらすことができる。
【0007】
以下に本発明の改善点を巻明する。
一、防震性を具える:本発明ケースは、該パネル材10及び該基材20を組合せて構成される。組合せたパネル材10の外材層13の硬度は、shore A98-20の間であるため、極めて優れた振動防止効果を具え、該基材20に対する外力の影響を大幅に低下させることができる。こうして公知ケースが落下、或いは衝突により破損、或いは回路が破損し易いという欠点を克服可能である。
二、外観変化性を具える:本発明は、光透過外材層13により図柄層12を外部から隔離し、該外材層13外表面の模様、絨毛或いはラスタを設けることにより、該図柄層12は該パネル材10の外観性能を強化することが可能で、これにより該ケースは色彩豊富で立体的で活き活きした外観を具えることができる。この他、本発明は製造時に、異なる視覚効果を有する図柄層12に入れ換えるだけで、少量多様化のケース外観を製造することができ、現在の電子製品の個性化要求に適合している。しかも、本発明は該パネル材10表面に特殊処理を施し、視覚角度の差異を利用し3D立体効果と異なる層、色及び深度の変化効果を現出させることができ、高い視覚効果を実現可能である。
三、色彩及び図像が明確:本発明の図柄層12は、直接高温の金型に接触せず、該金型中では該外材層13と該内面層11の間にあるため、該図柄層12はそれほど高温にならず、しかも受ける熱は非常に均一になるため、該図柄層12の色彩及び図像は非常に安定し、ぼやける等の問題は発生しない。
【0008】
次に、図10に示すように、本発明の基材20は、経済性の高い発泡原料を用いることもできる。その場合には、発泡成型或いはケース体輪郭の設置空間14内に設置し基材20を形成し、該基材20の片面は該パネル材10に結合し、反対面は中空室21を形成する。該中空室21は回路板の設置、或いは材料節減の目的に用いられる。同様に、該パネル材10は予め成型された設置空間14内に、別種の原料であるアルミマグネシウム合金基材20を直接設置し、広範な用途に応じてその効果を達成することができる。
さらに本発明では、該外材層13外表面に必要な図案を直接設置し、或いは該外材層13中に光が点滅する効果を具える金ラメ或いは銀ラメ材を混入し、或いは該外材層13外表面には厚さが0.01mm以下の電気メッキ膜を設置することができる。これらの方法により該図柄層12の効果を増強することができる。同様に、該外材層13もまた熱可塑性材質により3D形態の光が点滅する層状構造に成型することができ、該図柄層12と合わせ、該パネル材10の立体感及び色は見る角度により異なる煌き効果を発揮する。
本発明の製法は図11に示すディスプレー、図12に示すカメラ、或いは図13に示すノートPCなど各種電子製品に広範囲に適用可能である。
【0009】
次に、図3、12、13に示すように、本発明別種の製法は、以下のステップを含む。
a)先ず加熱成形可能なパネル材10を用意する。
b)該パネル材10は、比較的溶融点が低く、軟質の材質により構成し、該パネル材10は凹金型31の金型キャビティ310上にセットされ、該凹金型31は該金型キャビティ310周縁において挿入ピン311を設ける。該パネル材10には、挿入ピン311を貫通して位置決めする孔15を予め設けておき、次に、別の凸金型32を上から下へと凹金型31に対応して組合わせる。該凸金型32は、該金型キャビティ310より小さい金型ヘッド320を具え、該挿入ピン311を挿入するピン孔321を設けるため、金型を合わせる時、該パネル材10周縁は先ず該挿入ピン311により位置決めされる。こうして該パネル材10は、該金型ヘッド320により押圧固定されて該金型キャビティ310中に押し込まれて成型される。この時、該凸金型32において予め設置する注入通道322より融溶した基材20原料を注入し、熔融状の基材20温度を利用して該パネル材10を該凹金型32金型キャビティ310に合わせて成形する。こうして該飾材10のスプリングバック応力を消去し、しかも該基材20と該パネル材10を一体に結合して、該パネル材10は該基材20外層を構成して該基材20の外観は保護及び美化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】公知携帯電話端末の分解指示図である。
【図2】公知携帯電話端末ケースが金型において射出成型される様子を示す指示図である。
【図3】本発明パネル材の分解指示図である。
【図4】本発明パネル材成型の指示図である。
【図5】本発明パネル材がケース体輪郭に成型される様子の立体指示図である。
【図6】本発明ケース体輪郭を成型金型に設置する様子の指示図である。
【図7】本発明基材の成型指示図である。
【図8】本発明を携帯電話端末に実施する実施例指示図である。
【図9】本発明が発泡材を結合する実施例の指示図である。
【図10】本発明をカメラに実施する実施例の指示図である。
【図11】本発明をノートPCに実施する実施例の指示図である。
【図12】本発明パネル材が基材と結合する別種の実施例分解指示図である。
【図13】本発明パネル材が基材と結合する別種の実施例組合せ断面指示図である。
【符号の説明】
【0011】
10 パネル材
11 内面層
12 図柄層
13 外材層
14 設置空間
15 孔
20 基材
21 中空室
31 凹金型
310 金型キャビティ
311 挿入ピン
32 凸金型
320 金型ヘッド
321 ピン孔
322 注入通道
91 上蓋
92 下蓋
93 回路板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器類のケース製造方法において、
a)加熱成形可能なパネル材を外材層、図柄層、内面層を重ね合わせて接着して構成し、該外材層の硬度はshore A98-20の間であって、該内面層は耐熱性を具え、
b)該パネル材を金型内において外側凹金型側より真空吸引して外側凹金型に接して立体形状を具えたケース体輪郭に成形すると共に該内面層側に基材層に相当する空間を形成し、
c)該ケース体輪郭内面層側の空間内には溶融した基材層を注入して該パネル材の内面層と一体に結合して成形することを特徴とする電子機器類のケース製造方法。
【請求項2】
電子機器類のケース製造方法において、
a)加熱成形可能なパネル材を外材層、図柄層、内面層を積み重ねて接着して構成し、該外材層の硬度はshore A98-20の間であって、該内面層は耐熱性を具え、
b)該パネル材は比較的溶融点が低く軟質の材質からなるものとして、凹金型の金型キャビティ上にセットし、該凹金型はこれと対応する凸型金型に位置決めする挿入ピンを周縁に備えると共に、該パネル材及び凸型金型に設けたこれと対応する孔に対して位置決めして、両金型を型合わせすることにより凸金型の金型ヘッドにより該パネル材を押圧成形し、さらに凸金型より溶融した基材を注入してその溶融温度において該パネル材内面層と該基材とを融着せしめて一体に成形し、該パネル材のスプリングバック応力を解消することを特徴とする、
電子機器類のケース製造方法。
【請求項3】
前記パネル材中には帯電防止材料を混入することを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項4】
前記パネル材中には導電性材料を混入することを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項5】
前記基材は、発泡原料で、該発泡原料は発泡成型或いは該ケース体輪郭の設置空間内に設置し基材を形成することを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項6】
前記外材層は、光透過性を具えることを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類の電子機器類のケース製造方法。
【請求項7】
前記パネル材の外材層外表面は、予め成型された模様を具えることを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項8】
前記パネル材の外材層外表面は、研磨により毛のような質感を形成することを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項9】
前記ケースには光の点滅効果を具えるラメ材を加えたことを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項10】
前記パネル材の外材層外表面に図柄を形成したことを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項11】
前記パネル材の外材層外表面に厚さが0.01mm以下の電気メッキ膜を形成したことを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項12】
前記内面層は、良好な耐熱性及び接着性を具える布層であることを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項13】
前記外材層は、熱可塑性材質により形成した、立体3D形態の光が点滅する視覚効果を与える層状構造であることを特徴とする請求項1或いは2記載の電子機器類のケース製造方法。
【請求項14】
前記外材層は、印刷或いはインクジェット方式により図柄層を形成したことを特徴とする請求項13記載の電子機器類のケース製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−36913(P2008−36913A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212666(P2006−212666)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(504122631)
【Fターム(参考)】