説明

電子機器

【課題】 透過型の自発光表示素子を用いることにより、機器全体の薄型化、小型化を図り、暗い所でも情報を自発光によって表示できると共に、その表示光によって機器ケースの内外を照明できるようにする。
【解決手段】 腕時計ケース1内に透過型の自発光表示素子12を時計ガラス2に対応させて配置すると共に、この自発光表示素子12の端面が対応する腕時計ケース1の側壁部に光透過部材25を設けた。従って、透過型の自発光表示素子12が表示機能と発光機能とを有するので、機器全体の薄型化、小型化を図ることができると共に、暗い所でも表示された情報を腕時計ケース1の外部から確認できる。また、自発光表示素子12の端面から表示光の一部が出射されるので、この出射された光を光透過部材25で導いて腕時計ケース1の外部に放出でき、これにより腕時計ケース1の側壁部の一部を発光させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計や携帯電話機、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器においては、特許文献1に記載されているように、液晶表示パネルの下面に半透過反射膜を介してEL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルを配置し、これにより表示装置を構成したものがある。
【特許文献1】特開平10−302959号公報
【0003】
このような電子機器では、暗い所でELパネルを発光させると、その光の一部が半透過反射膜を透過して液晶表示パネルに照射されるので、暗い所でも液晶表示パネルに表示された情報を認識することができる。また、明るい所では、ELパネルを消灯しても、外部光が液晶表示パネルを透過し、この透過した外部光の一部が半透過反射膜で反射されて液晶表示パネルを照明するので、明るい所でも液晶表示パネルに表示された情報を認識することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1の表示装置を用いた電子機器では、液晶表示パネルが情報を表示する表示機能を有し、ELパネルが液晶表示素子を照明する照明機能を有する構成であるから、液晶表示パネルの下面にELパネルを配置し、このELパネルを発光させて液晶表示パネルを照明しなければ、暗い所で液晶表示パネルに表示された情報を認識することができず、このため表示装置全体の厚みが厚くなり、これに伴って機器全体が大型化するという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、透過型の自発光表示素子を用いることにより、機器全体の薄型化、小型化を図り、暗い所でも情報を自発光によって表示できると共に、その表示光によって機器ケースの内外を照明できる電子機器を提供することである。
また、この発明の他の課題は、暗い所でも情報を自発光によって表示できると共に、その表示光によって機器ケースの内外を照明でき、より多くの情報を表示できる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
【0007】
請求項1に記載の発明は、図1〜図3に示すように、表示窓部(時計ガラス2)を有する機器ケース(腕時計ケース1)と、前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子(12)と、この自発光表示素子の端面が対応する前記機器ケースの側壁部にその内部から外部に貫通して設けられた光透過部材(25、32)とを備えたことを特徴とする電子機器である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、図3に示すように、前記光透過部材(32)に押釦(30)が取り付けられ、この押釦の少なくとも前記機器ケース(腕時計ケース1)の外部に露出する一部(釦頭部31)が光透過性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、図4に示すように、機器ケース(腕時計ケース1)と、この機器ケースに取り付けられた表示用の透明部材(時計ガラス2)と、この表示用の透明部材に一体に設けられた透過型の自発光表示素子(12)とを備えたことを特徴とする電子機器である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、図5に示すように、表示窓部(時計ガラス2)を有する機器ケース(腕時計ケース1)と、前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子(12)と、この透過型の自発光表示素子の上方を指針(15)が運針して時刻を指示するアナログ機構部(アナログムーブメント10)とを備え、前記透過型の自発光表示素子が文字板を兼ねていることを特徴とする電子機器である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、図6に示すように、表示窓部(時計ガラス2)を有する機器ケース(腕時計ケース1)と、前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子(12)と、この自発光表示素子の下面側に配置されたソーラーパネル(40)とを備えたことを特徴とする電子機器である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、図6に示すように、前記自発光表示素子(12)と前記ソーラーパネル(40)との間に半透過反射層(41)が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、図7に示すように、表示窓部(時計ガラス2)を有する機器ケース(腕時計ケース1)と、前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の液晶表示素子(51)と、この液晶表示素子の下面に配置された透過型の自発光表示素子(12)とを備えたことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、表示窓部を有する機器ケース内に透過型の自発光表示素子を表示窓部に対応させて配置したことにより、この透過型の自発光表示素子が表示機能と発光機能とを有するので、表示装置全体の薄型化、小型化を図ることができ、これに伴って機器全体の薄型化、小型化をも図ることができるほか、透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示するため、暗い所でも表示された情報を機器ケースの外部から表示窓部を通して見ることができると共に、その表示光によって表示窓部の内側に位置する機器ケースの内部を明るく照明することができる。
【0015】
また、この場合には、自発光表示素子の端面が対応する機器ケースの側壁部に光透過部材が機器ケースの内部から外部に貫通して設けられているので、自発光表示素子が発光して情報を表示すると、自発光表示素子の端面から表示光の一部が出射され、この出射された光を機器ケースに設けられた光透過部材で導いて機器ケースの外部に放出することができ、これにより機器ケースにおける側壁部の一部をも発光させることができるので、装飾性の高いものを得ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、光透過部材に押釦が取り付けられ、この押釦の少なくとも機器ケースの外部に露出する一部が光透過性を有する材料で構成されていることにより、自発光表示素子が発光して情報を表示すると、自発光表示素子の端面から出射された一部の表示光が機器ケースの光透過部材によって導かれ、この導かれた光を押釦の少なくとも一部から機器ケースの外部に放出することができ、これにより機器ケースの外部に露出する押釦の少なくとも一部を発光させることができるので、請求項1に記載の発明と同様、装飾性の高いものを得ることができるほか、特に暗い所でも良好に押釦を認識して操作することができ、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、機器ケースに取り付けられた表示用の透明部材に透過型の自発光表示素子を一体に設けたので、請求項1に記載の発明よりも、更に機器全体の薄型化、小型化を図ることができる。この場合にも、透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示するので、請求項1に記載の発明と同様、暗い所でも表示された情報を機器ケースの外部から表示用の透明部材を通して見ることができると共に、透過型の自発光表示素子で発光した表示光によってその下側に位置する機器ケースの内部を明るく照明することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、表示窓部を有する機器ケース内に透過型の自発光表示素子が表示窓部に対応して配置され、この透過型の自発光表示素子が文字板を兼ねているので、部品点数を削減することができ、これにより、より一層、機器全体の薄型化、小型化を図ることができる。この場合にも、文字板を兼ねる透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示するので、この自発光表示素子で表示された情報を認識することができると共に、この自発光表示素子の表示光によってその上側に位置するアナログ機構部の指針を照明することができ、これにより暗い所でも自発光表示素子に表示された情報およびアナログ機構部の指針によって指示された時刻情報の両方を認識することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、表示窓部を有する機器ケース内に透過型の自発光表示素子を表示窓部に対応させて配置したので、請求項1に記載の発明と同様、機器全体の薄型化、小型化を図ることができると共に、透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示するので、暗い所でも表示された情報を機器ケースの外部から表示窓部を通して見ることができるほか、特に透過型の自発光表示素子が透過型であることにより、明るい所では外部光が自発光表示素子を透過するので、外部光を効率良くソーラーパネルに照射させることができ、これにより良好にソーラーパネルを発電させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、透過型の自発光表示素子とソーラーパネルとの間に半透過反射層が配置されていることにより、暗い所でも透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示するので、その表示された情報を表示窓部を通して機器ケースの外部から見ることができるほか、特に明るい所では透過型の自発光表示素子を透過した外部光の一部が半透過反射層を透過してソーラーパネルに照射されるので、ソーラーパネルを良好に発電させることができると共に、自発光表示素子を透過した外部光の他の一部が半透過反射層で反射されるので、この反射光によって自発光表示素子を通してその上方を照明することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、表示窓部を有する機器ケース内に透過型の液晶表示素子を表示窓部に対応させて配置し、この透過型の液晶表示素子の下面に透過型の自発光表示素子を配置したので、透過型の自発光表示素子が発光して情報を表示すると、その表示光によって透過型の液晶表示素子の下面側を照明することができ、これにより暗い所でも透過型の自発光表示素子に表示された情報を透過型の液晶表示素子を通して見ることができると共に、透過型の液晶表示素子に表示された情報をも認識することができ、これにより、より多くの情報を認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、図1および図2を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。図1はこの発明の電子腕時計を示した拡大断面図、図2は図1の透過型の自発光表示素子を示した要部の拡大断面図である。
この電子腕時計は、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部における中央部分には、透明な材料からなる時計ガラス2が取り付けられており、この腕時計ケース1の上部外周にはベゼル3が取り付けられている。また、腕時計ケース1の内部には時計モジュール4が収納されており、腕時計ケース1の下面には裏蓋5が防水リング6を介して取り付けられている。さらに、この腕時計ケース1の9時側の側壁部(図1では左側の側壁部)には押釦7が設けられている。
【0023】
時計モジュール4は、アナログ機能とデジタル機能との両方を有するものであり、ハウジング8内にアナログムーブメント10が設けられていると共に、このハウジング8の上面に文字板11を介して透過型の自発光表示素子12が設けられた構成になっている。この場合、アナログムーブメント10は、その指針軸13がハウジング8上の文字板11と透過型の自発光表示素子12との両者に連続して設けられた貫通孔14を通してその上方に突出し、この突出した指針軸13の上端部に時針、分針などの指針15が取り付けられ、この指針15が自発光表示素子12の上方を運針するように構成されている。この場合、文字板11の上面には、時字(図示せず)が設けられている。
【0024】
透過型の自発光表示素子12は、透明なEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示素子からなり、時刻などの情報を自発光によって表示するものであり、図2に示すように、EL発光層16と、このEL発光層16を挟む上下一対の透明電極17、18とを備え、下側の透明電極18が絶縁性を有する透明なベースシート19a上に設けられ、上側の透明電極17が絶縁性を有する透明な保護シート19bで覆われた構成になっている。この場合、EL発光層16は、一対の透明電極17、18に電圧が印加されると、その間に挟まれた部分が選択的に発光するように構成されている。
【0025】
また、一対の透明電極17、18のうち、上側の透明電極17は、ITOなどの透明な導電材料からなり、EL発光層16の上面にマトリックス状に配列形成されて保護シート19bによって覆われている。また、下側の透明電極18は、ITOなどの透明な導電材料からなる共通電極で、EL発光層16の下面全体に対応した状態で、ベースシート19a上に設けられている。これにより、自発光表示素子12は、全体が透明な構成で、その上方から文字板11が透けて見えるように構成されている。また、この自発光表示素子12は、上下一対の透明電極17、18に電圧を印加するときに、上側の透明電極17に選択的に電圧を印加することにより、この印加された上側の透明電極17に対応する部分のEL発光層16が選択的に発光して情報を表示するように構成されている。
【0026】
ところで、押釦7は、図1に示すように、釦頭部20と釦軸21とを備え、釦軸21が腕時計ケース1の9時側の側壁部(図1では左側の側壁部)に設けられた貫通孔22に防水リング23を介して摺動可能に挿入され、この挿入された釦軸21の内側端部に抜け止めリング24が取り付けられ、釦軸21の外側端部に釦頭部20が取り付けられ、この釦頭部20が腕時計ケース1の側壁部から外部に突出し、この釦頭部20を押圧操作すると、釦軸21の内側端部が時計モジュール4のスイッチ部(図示せず)をスイッチ動作させるように構成されている。
【0027】
また、この押釦7が設けられた腕時計ケース1の側壁部には、図1に示すように、光透過部材25が腕時計ケース1の内部と外部とに貫通して設けられている。すなわち、この光透過部材25は、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂からなり、その内端面が時計モジュール4のハウジング8の上側に配置された透過型の自発光表示素子12の端面に対応し、外端面が押釦7の近傍に位置して腕時計ケース1の側壁部から外部に露出した状態で、腕時計ケース1の側壁部に埋め込まれている。
【0028】
これにより、光透過部材25は、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、その表示光の一部が自発光表示素子12の端面から出射され、この出射された一部の表示光を光透過部材25の内端面から採り込み、この採り込んだ光を光透過部材25で導いて光透過部材25の外端面から腕時計ケース1の外部に放出するように構成されている。
【0029】
このような電子腕時計によれば、腕時計ケース1内に透過型の自発光表示素子12を時計ガラス2に対応させて配置したことにより、この透過型の自発光表示素子12が表示機能と発光機能とを有するので、表示装置全体の薄型化、小型化を図ることができ、これに伴って機器全体の薄型化、小型化をも図ることができると共に、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示するので、暗い所でも自発光表示素子12で表示された情報を時計ガラス2を通して見ることができる。
【0030】
この場合、アナログムーブメント10の指針15が自発光表示素子12の上方を運針するので、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、その表示光によってアナログムーブメント10の指針15を照明することができる。また、自発光表示素子12は透過型であるから、この自発光表示素子12によって下側に配置された文字板11をも照明することができると共に、自発光表示素子12を通して文字板11を見ることができ、これにより指針15および文字板11によって指示された時刻をも知ることができる。
【0031】
また、この電子腕時計では、自発光表示素子12の端面が対応する腕時計ケース1の側壁部に光透過部材25が腕時計ケース1の内部から外部に貫通して設けられているので、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、この自発光表示素子12の端面から表示光の一部が出射され、その出射された一部の表示光を腕時計ケース1の側壁部に設けられた光透過部材25で導いて腕時計ケース1の外部に放出することができる。
【0032】
これにより、この電子腕時計では、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、腕時計ケース1における側壁部の一部を発光させることができるので、装飾性の高いものを得ることができる。この場合、特に光透過部材25が腕時計ケース1の側壁部に設けられた押釦7の近傍に設けられているので、この光透過部材25によって押釦7の近傍を照明することができ、これにより暗い所でも押釦7を確認して操作することができるので、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0033】
(実施形態2)
次に、図3を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1および図2に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、腕時計ケース1の側壁部に光透過部材32を設け、この光透過部材32に押釦30を取り付け、この押釦30の一部を光透過性を有する合成樹脂で構成し、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。すなわち、この押釦30は、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂からなる釦頭部31と実施形態1と同じ釦軸21とを備えている。
【0034】
この場合、押釦30は、釦軸21が腕時計ケース1の側壁部に設けられた光透過部材32の貫通孔32aに防水リング22を介して摺動可能に挿入され、この挿入された釦軸21の内側端部に抜け止めリング24が取り付けられ、釦軸21の外側端部に透明または半透明の光透過性を有する釦頭部31が取り付けられ、この釦頭部31が腕時計ケース1の側壁面から外部に露出し、この釦頭部31を押圧操作すると、釦軸21の内側端部が時計モジュール4のスイッチ部(図示せず)をスイッチ動作させるように構成されている。
【0035】
この場合にも、腕時計ケース1の光透過部材32は、透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂からなり、その内端面が時計モジュール4のハウジング8の上側に配置された透過型の自発光表示素子12の端面に対応し、外端面が押釦7の釦頭部31の内端面に対応するように構成されている。これにより、押釦30は、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、その表示光の一部が自発光表示素子12の端面から出射され、この出射された一部の表示光を光透過部材32の内端面から採り込み、この採り込んだ光を光透過部材32で導いて釦頭部31に入射させ、この入射した光を釦頭部31から腕時計ケース1の外部に放出するように構成されている。
【0036】
このような電子腕時計によれば、腕時計ケース1内に透過型の自発光表示素子12が時計ガラス2に対応して配置されているので、実施形態1と同様、機器全体の薄型化、小型化を図ることができると共に、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示するので、暗い所でも自発光表示素子12で表示された情報を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができるほか、自発光表示素子12の表示光がその上方の指針15およびその下側の文字板11を照明するので、この指針15および文字板11によって指示された時刻をも知ることができる。
【0037】
この場合には、特に腕時計ケース1の側壁部に光透過部材32が設けられ、この光透過部材32に押釦30が取り付けられ、この押釦30の釦頭部31が光透過性を有する合成樹脂で構成されているので、自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から出射された一部の表示光が腕時計ケース1の側壁部に設けられた光透過部材32で導かれて押釦30の釦頭部31に入射し、この入射した光が釦頭部31から腕時計ケース1の外部に放出されるので、腕時計ケース1の外部に露出した押釦30の釦頭部31を発光させることができる。これにより、実施形態1と同様、装飾性の高いものを得ることができるほか、特に暗い所でも良好に押釦30を認識して操作することができるので、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0038】
なお、上記実施形態2では、押釦30の釦頭部31が光透過性を有する合成樹脂で形成されている場合について述べたが、これに限らず、押釦30の釦軸21をも透明または半透明の光透過性を有する合成樹脂で形成しても良い。このように構成すれば、自発光表示素子12で発光した一部の表示光を釦軸21によっても釦頭部31に導くことができるので、効率良く表示光を釦頭部31に導くことができる。この場合、例えば、釦軸21の内端部を自発光表示素子12の端面に対応させれば、自発光表示素子12の端部から出射された一部の表示光を釦軸21の内端部から採り込んで釦頭部31に導くことができるので、腕時計ケース1の側壁部に光透過部材32を設ける必要がなく、腕時計ケース1の構造を簡単にすることができる。
【0039】
(実施形態3)
次に、図4を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1および図2に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、時計ガラス2の下面に透過型の自発光表示素子12を一体に設け、この状態で腕時計ケース1の上部中央にパッキン2aを介して取り付けた構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0040】
すなわち、この透過型の自発光表示素子12は、実施形態1と同様、透明なEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示素子からなり、時刻などの情報を自発光によって表示するものであり、図2に示したように、EL発光層16と、このEL発光層16を挟む上下一対の透明電極17、18とを備え、下側の透明電極18が絶縁性を有する透明なベースシート19a上に設けられ、上側の透明電極17が時計ガラス2の下面に直接設けられ、これにより時計ガラス2の下面に一体に設けられた構成で、腕時計ケース1の上部中央にパッキン2aを介して取り付けられている。
【0041】
このような電子腕時計によれば、時計ガラス2の下面に透過型の自発光表示素子12を一体に設けたことにより、上側の透明電極17を覆う保護シート19bが不要になるので実施形態1のものよりも、自発光表示素子12を薄く構成することができ、これにより、より一層、機器全体の薄型化、小型化を図ることができる。この場合にも、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示するので、暗い所でも自発光表示素子12によって表示された情報を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができる。
【0042】
このときには、自発光表示素子12が透過型であるから、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、その表示光によって自発光表示素子12の下側をも照明することができる。このため、自発光表示素子12の下側に配置された指針15および文字板11を表示光で照明することができ、これにより自発光表示素子12を透して指針15および文字板11を腕時計ケース1の外部から認識することができるので、指針15および文字板11によって指示される時刻をも知ることができる。
【0043】
(実施形態4)
次に、図5を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態4について説明する。この場合にも、図1および図2に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、時計モジュール4のハウジング8上に透過型の自発光表示素子12を配置し、この透過型の自発光表示素子12が文字板を兼ねるように構成し、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0044】
すなわち、この透過型の自発光表示素子12も、実施形態1と同様、透明なEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示素子からなり、時刻などの情報を自発光によって表示すると共に、文字板としての機能をも備えたものであり、図2に示したように、EL発光層16と、このEL発光層16を挟む上下一対の透明電極17、18とを備え、下側の透明電極18が絶縁性を有する透明なベースシート19a上に設けられ、上側の透明電極17が絶縁性を有する透明な保護シート19bで覆われた構成で、文字板の時字をも表示するように構成されている。
【0045】
このような電子腕時計によれば、腕時計ケース1内に透過型の自発光表示素子12が時計ガラス2に対応して設けられているので、実施形態1と同様、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示することができ、これにより暗い所でも自発光表示素子12によって表示された情報を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができると共に、自発光表示素子12の表示光によってその上方の指針15を照明することができるので、この指針15および自発光表示素子12に表示された時字によって指示された時刻をも知ることができるほか、特に透過型の自発光表示素子12が文字板をも兼ねているので、実施形態1よりも、更に機器全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態4においても、実施形態1と同様、腕時計ケース1の側壁部に光透過部材25を腕時計ケース1の内部と外部とに貫通させて設け、この光透過部材25の内端部を透過型の自発光表示素子12の端面に対応させた構成でも良い。このように構成すれば、実施形態1と同様、自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から表示光の一部が出射されるので、その出射された光を腕時計ケース1に設けられた光透過部材25で導いて腕時計ケース1の外部に放出することができ、これにより腕時計ケース1における側壁部の一部を発光させることができる。
【0047】
また、これに限らず、例えば実施形態2と同様、腕時計ケース1の側壁面に光透過部材32を設け、この光透過部材32に押釦30を取り付け、この押釦30の釦頭部31を光透過性を有する合成樹脂で構成しても良い。このように構成すれば、実施形態2と同様、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から出射された一部の表示光が腕時計ケース1の光透過部材32で導かれて押釦30の釦頭部31に入射し、この入射した光が釦頭部31から腕時計ケース1の外部に放出されるので、腕時計ケース1の外部に露出した押釦30の釦頭部31を発光させることができる。
【0048】
(実施形態5)
次に、図6を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態5について説明する。この場合にも、図1および図2に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、時計モジュール4のハウジング8上にソーラーパネル40を配置し、このソーラーパネル40上に半透過反射層41を介して透過型の自発光表示素子12を配置した構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。この場合にも、ソーラーパネル40、半透過反射層41、および自発光表示素子12には、アナログムーブメント10の指針軸13が挿入する貫通孔42が連続して設けられている。
【0049】
このような電子腕時計によれば、腕時計ケース1内に透過型の自発光表示素子12が時計ガラス2に対応して配置されているので、実施形態1と同様、機器全体の薄型化、小型化を図ることができると共に、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示するので、暗い所でも自発光表示素子12に表示された情報を腕時計ケース1の外部から時計ガラス2を通して見ることができるほか、自発光表示素子12の表示光によってその上方の指針15を照明することができるので、この指針15によって指示された時刻をも知ることができる。
【0050】
この場合には、特に透過型の自発光表示素子12の下面側に半透過反射層41を介してソーラーパネル40が配置されていることにより、明るい所では外部光が自発光表示素子12を透過してソーラーパネル40に照射されるので、ソーラーパネル40を発電させることができる。すなわち、自発光表示素子12を透過した外部光の一部が半透過反射層41を透過するので、効率良く外部光をソーラーパネル40に照射させることができ、これによりソーラーパネル40を確実に且つ良好に発電させることができると共に、外部光の他の一部が半透過反射層41で反射されるので、この反射光によって自発光表示素子12を通して指針15を照明することができる。
【0051】
なお、上記実施形態5では、透過型の自発光表示素子12とソーラーパネル40との間に半透過反射層41を設けた場合について述べたが、必ずしも半透過反射層41を設ける必要はなく、ソーラーパネル40の上面に透過型の自発光表示素子12を直接設けた構成でも良い。このように構成すれば、外部光をソーラーパネル40に十分に照射させることができ、ソーラーパネル40の発電効率を高めることができる。
【0052】
また、上記実施形態5においても、実施形態1と同様、腕時計ケース1の側壁部に光透過部材25を腕時計ケース1の内部と外部とに貫通させて設け、この光透過部材25の内端部を透過型の自発光表示素子12の端面に対応させた構成でも良い。このように構成すれば、実施形態1と同様、透過型の自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から表示光の一部が出射されるので、その出射された光を腕時計ケース1に設けられた光透過部材25で導いて腕時計ケース1の外部に放出することができ、これにより腕時計ケース1における側壁部の一部を発光させることができる。
【0053】
また、これに限らず、例えば実施形態2と同様、腕時計ケース1の側壁面に光透過部材32を設け、この光透過部材32に押釦30を取り付け、この押釦30の釦頭部31を光透過性を有する合成樹脂で構成しても良い。このように構成すれば、実施形態2と同様、自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から出射された一部の表示光が腕時計ケース1の光透過部材32で導かれて押釦30の釦頭部31に入射し、この入射した光が釦頭部31から腕時計ケース1の外部に放出されるので、腕時計ケース1の外部に露出した押釦30の釦頭部31を発光させることができる。
【0054】
(実施形態6)
次に、図7を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態6について説明する。この場合にも、図1および図2に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、時計モジュール50のハウジング8上に透過型の自発光表示素子12を配置し、この透過型の自発光表示素子12上に透過型の液晶表示素子51を配置し、これにより時計モジュール50がデジタル表示機能のみを搭載した構成になっている。この場合、透過型の液晶表示素子51は、上下一対の透明な電極基板間に液晶を封入し、上下一対の電極基板に選択的に電圧を印加することにより、情報を表示するように構成されている。
【0055】
このような電子腕時計によれば、腕時計ケース1内に透過型の液晶表示素子51を時計ガラス2に対応させて配置し、この透過型の液晶表示素子51の下面に透過型の自発光表示素子12を配置したので、自発光表示素子12が発光して情報を表示すると、その表示光によって透過型の液晶表示素子51の下面側を照明することができる。このため、暗い所でも透過型の自発光表示素子12に表示された情報を透過型の液晶表示素子51を通して見ることができると共に、透過型の液晶表示素子51に表示された情報をも認識することができ、これにより、より多くの情報を表示して認識することができる。
【0056】
なお、上記実施形態6では、透過型の液晶表示素子51が情報を白黒で表示し、透過型の自発光表示素子12が情報を単色で表示する場合について述べたが、これに限らず、例えば透過型の液晶表示素子51と透過型の自発光表示素子12との少なくとも一方をカラー表示するように構成しても良い。このようにすれば、色彩が豊富になり、表示が見やすく、より一層、装飾性の高いものを得ることができる。
【0057】
また、上記実施形態6においても、実施形態1と同様、腕時計ケース1の側壁部に光透過部材25を腕時計ケース1の内部と外部とに貫通させて設け、この光透過部材25の内端部を透過型の自発光表示素子12の端面に対応させた構成でも良い。このように構成すれば、実施形態1と同様、自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から表示光の一部が出射されるので、その出射された光を腕時計ケース1に設けられた光透過部材25で導いて腕時計ケース1の外部に放出することができ、これにより腕時計ケース1における側部の一部を発光させることができる。
【0058】
さらに、上記実施形態6においても、実施形態2と同様、腕時計ケース1の側壁面に光透過部材32を設け、この光透過部材32に押釦30を取り付け、この押釦30の釦頭部31を光透過性を有する合成樹脂で構成しても良い。このように構成すれば、実施形態2と同様、自発光表示素子12が発光して情報を表示したときに、自発光表示素子12の端面から出射された一部の表示光が腕時計ケース1の光透過部材32で導かれて押釦30の釦頭部31に入射し、この入射した光が釦頭部31から腕時計ケース1の外部に放出されるので、腕時計ケース1の外部に露出した押釦30の釦頭部31を発光させることができる。
【0059】
なおまた、上記実施形態1〜6では、電子機器として、電子腕時計に適用した場合について述べたが、これに限らず、例えばトラベルウォッチ、置き時計、目覚まし時計、掛け時計などの電子時計にも適用することができる。また、必ずしも電子時計に限らず、携帯電話機、電子辞書、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの各種の電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態1)
【図2】図1の透過型の自発光表示素子を示した要部の拡大断面図である。
【図3】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態2)
【図4】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態3)
【図5】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態4)
【図6】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態5)
【図7】この発明を電子腕時計に適用した拡大断面図である。(実施形態6)
【符号の説明】
【0061】
1 腕時計ケース
2 時計ガラス
4、50 時計モジュール
7、30 押釦
10 アナログムーブメント
11 文字板
12 透過型の自発光表示素子
13 指針軸
15 指針
25、32 光透過部材
20、31 釦頭部
21 釦軸
40 ソーラーパネル
41 半透過反射層
51 液晶表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示窓部を有する機器ケースと、
前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子と、
この透過型の自発光表示素子の端面が対応する前記機器ケースの側壁部にその内部から外部に貫通して設けられた光透過部材と
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光透過部材には押釦が取り付けられ、この押釦の少なくとも前記機器ケースの外部に露出する一部は光透過性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
機器ケースと、
この機器ケースに取り付けられた表示用の透明部材と、
この表示用の透明部材に一体に設けられた透過型の自発光表示素子と
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
表示窓部を有する機器ケースと、前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子と、この透過型の自発光表示素子の上方を指針が運針して時刻を指示するアナログ機構部とを備え、
前記透過型の自発光表示素子は文字板を兼ねていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
表示窓部を有する機器ケースと、
前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の自発光表示素子と、
この自発光表示素子の下面側に配置されたソーラーパネルと
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記自発光表示素子と前記ソーラーパネルとの間には、半透過反射層が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
表示窓部を有する機器ケースと、
前記表示窓部に対応して前記機器ケース内に配置された透過型の液晶表示素子と、
この液晶表示素子の下面に配置された透過型の自発光表示素子と
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−177830(P2006−177830A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372516(P2004−372516)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】