説明

電子機器

【課題】投射のオン/オフ操作を行うことなく、自動的に投射を行う電子機器を提供する。
【解決手段】プロジェクタ付き電子カメラ50は、セルフタイマー撮影モードがオン、かつプロジェクタ投影モードがオンの場合にプロジェクタモジュールをオンさせ、スルー画像の鏡像を投射する。プロジェクタ投影モードは、プロジェクタモジュールによる投射光束の向きがプロジェクタ付き電子カメラ50が撮影する向きと反対側にセットされた場合にオンとみなす。スルー画像に重ねてセルフタイマーのカウント値を投射する。カウント値の投射位置は、被写体から見てプロジェクタ付き電子カメラ50に近い領域とする。露出測定および撮影前にプロジェクタモジュールをオフさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像などの情報を投射するプロジェクタ装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影機能および通信機能に加えてプロジェクタ機能を搭載した携帯端末装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のプロジェクタ付き携帯電話機は、自らのカメラ部で撮影した画像を画像表示部に表示する他に、プロジェクタ部によってスクリーンに向けて投射可能に構成されている。また、自らのカメラ部で撮影した画像に代えて、他の携帯電話機から受信した画像を画像表示部に表示したり、プロジェクタ部でスクリーンに投射したりすることも可能に構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−305567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の携帯電話機は、画像を画像表示部のみに表示するか、画像表示部に表示しながらスクリーンにも投射するかをスイッチを操作することによって切り換えるので、投射を行うためのスイッチ操作が煩わしい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明による電子機器は、プロジェクタ装置と、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、プロジェクタ装置が像を投射する向き、および撮像装置が撮像する向きの少なくとも一方を変更する可動部材と、可動部材によって像の投射の向きと撮像の向きとが逆向きにされた場合にプロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする。
上記逆向きにおいて、当該電子機器は投射された像の観察者および投射された像との間に配設され、撮像装置は観察者を撮像する。
上記電子機器の投射制御手段は、像の投射を開始させた以降に投射の向きと撮像の向きとが逆向きでなくなると像の投射を終了させることもできる。
請求項4に記載の発明による電子機器は、プロジェクタ装置と、セルフタイマー撮影モードを有し、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、撮像装置の動作モードをセルフタイマー撮影モードに設定する指示に基づいて、プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする。
上記電子機器の投射制御手段は、像の投射を開始させた以降のセルフタイマー撮影モードを解除する指示に基づいて、像の投射を終了させることもできる。
電子機器のプロジェクタ装置は、撮像装置から出力される撮像信号による再生画像の鏡像を投射することもできる。
請求項7に記載の発明による電子機器は、プロジェクタ装置と、他の電子機器との間で通信を行う通信手段と、通信手段による他の通信機器との通信の開始指示に基づいて、プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする。
上記電子機器はさらに、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、撮像装置から出力される撮像信号による再生画像を表示する表示装置を備えてもよく、この場合のプロジェクタ装置は、通信手段を介して取得される他の電子機器の撮像信号による再生画像を投射することもできる。投射制御手段は、像の投射を開始させた以降の通信の終了指示に基づいて、像の投射を終了させることもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明による電子機器では、像を投射する向きと被写体を撮像する向きとが逆にされた場合や、セルフタイマー撮影モードの設定が指示された場合、または通信の開始が指示された場合に自動的に投射を開始するようにしたので、投射を行うスイッチ操作を省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態によるプロジェクタ付き電子カメラの斜視図である。図1において、プロジェクタ付き電子カメラ50の正面には、撮影レンズ51と、ファインダ対物窓52と、フラッシュ光窓53とが設けられている。プロジェクタ付き電子カメラ50の上面には、レリーズボタン54が設けられている。プロジェクタ付き電子カメラ50の背面には、後述するメイン液晶表示器と、操作部材と、ファインダ接眼窓(いずれも不図示)とが設けられている。
【0008】
プロジェクタ付き電子カメラ50の側面には、略円筒形状のハウジング55が±180度回動可能な支持部56で支持され、支持部56を回動中心にしてハウジング55が回動自在に構成されている。支持部56には、回動角がたとえば、10度ごとに不図示のクリック機構が設けられている。
【0009】
ハウジング55には後述するプロジェクタモジュールが収容されており、プロジェクタモジュールがスクリーンSに向けて画像などの情報を投射する。プロジェクタモジュールによる投射方向は、ハウジング55の回動により鉛直方向に可変に構成されている。ハウジング55にはさらに、ハウジング55の回動角を検出する回動角検出手段(たとえばスイッチ)が備えられている。
【0010】
図2は、図1のプロジェクタ付き電子カメラ50の構成を説明するブロック図である。図2において、プロジェクタ付き電子カメラ50には撮像部200と、プロジェクタモジュール6と、CPU101と、メモリ102と、姿勢センサ103と、外部インターフェイス(I/F)108と、電源109と、操作部材112と、スピーカー113と、回動角スイッチ(SW)114と、メイン液晶表示器115と、マイク107とが備えられ、着脱可能なメモリカード105が実装されている。
【0011】
CPU101は、制御プログラムに基づいて、プロジェクタ付き電子カメラ50を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、プロジェクタ付き電子カメラ50の各部に対する制御信号を送出することにより、カメラ動作、およびプロジェクタ動作をそれぞれ制御する。なお、制御プログラムはCPU101内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。
【0012】
メモリ102はCPU101の作業用メモリとして使用される。姿勢センサ103は、プロジェクタ付き電子カメラ50の姿勢を検出し、検出信号をCPU101へ送出する。これによりCPU101は、撮影時に画像の天地を示す天地情報(縦位置撮影および横位置撮影の識別を含む)を取得する。
【0013】
メモリカード105は不揮発性メモリによって構成され、CPU101の指令によりデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0014】
マイク107は、集音した音声を電気信号に変換してCPU101へ送出する。音声信号は、録音時にメモリカード105に記録される。外部インターフェイス108は、CPU101の指令により不図示のケーブルまたはクレードルを介して外部機器との間でデータを送受信する。
【0015】
スピーカー113は、CPU101から出力された音声信号による音声を再生する。操作部材112は、押下されたボタンに対応する操作信号をCPU101へ送出する。
【0016】
電源109は、たとえば、着脱可能な電池パックおよびDC/DC変換回路などで構成され、プロジェクタ付き電子カメラ50内の各部に必要な電力を供給する。回動角SW114は、支持部56の回動角を検出する。回動角SW114は、回動角度を検出して投射光束の向き(投射方向)がプロジェクタ付き電子カメラ50の背面側にセットされた場合に対応する角度を検出するとオン信号(Hレベル)を出力し、投射方向がプロジェクタ付き電子カメラ50の背面側以外にセットされた場合に対応する角度ではオフ信号(Lレベル)を出力する。
【0017】
メイン液晶表示器115は、CPU101の指令により画像やテキストなどの情報を表示する。
【0018】
カメラ部200は、撮影レンズ51と、イメージセンサ201と、レンズ駆動部202と、撮像部制御CPU203とを含む。イメージセンサ201としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。撮像部制御CPU203は、CPU101の指令によりイメージセンサ201およびレンズ駆動部202を駆動制御する。レンズ駆動部202は、撮像部制御CPU203からズーム制御信号を受けると、制御信号に応じて撮影レンズ51を構成するズームレンズ(不図示)をテレ側もしくはワイド側へ駆動する。撮影レンズ51は、イメージセンサ201の撮像面上に被写体像を結像させる。撮像部制御CPU203はイメージセンサ201に撮像を開始させ、撮像終了後にイメージセンサ201から蓄積電荷信号を読み出し、所定の信号処理を施した上で画像データとしてCPU101へ送出する。なお、撮影画像を投射する場合には撮像部制御CPU203からCPU101を経由してプロジェクタモジュール6へ画像データが送出される。CPU101では、プロジェクタモジュール6で投射される画像データに対して台形歪み補正処理が施される。なお、CPU101に入力された画像データは、メモリカード105に記録可能であるとともに、メモリカード105に記録される画像データおよび音声データは、各々プロジェクタモジュール6、メイン液晶表示器115、およびスピーカ113で再生可能である。
【0019】
プロジェクタモジュール6は、投影レンズ61と、液晶パネル62と、LED光源63と、LED駆動部64と、液晶駆動部65と、レンズ駆動部66とを含む。LED駆動部64は、CPU101から出力されるLED駆動信号に応じてLED光源63に電流を供給する。LED光源63は、供給電流に応じた明るさで液晶パネル62を照明する。
【0020】
液晶駆動部65は、画像データに応じて液晶パネル駆動信号を生成し、生成した駆動信号で液晶パネル62を駆動する。具体的には、液晶層に対して画像信号に応じた電圧を画素ごとに印加する。電圧が印加された液晶層は液晶分子の配列が変わり、当該液晶層の光の透過率が変化する。このように、画像信号に応じてLED光源63からの光を変調することにより、液晶パネル62が光像を生成する。
【0021】
レンズ駆動部66は、CPU101から出力される制御信号に基づいて、投影レンズ61を光軸に対して直交する方向へ進退駆動する。投影レンズ61は、液晶パネル62から射出される光像をスクリーンなどへ向けて投射する。
【0022】
プロジェクタモジュール6による投射像について詳細に説明する。プロジェクタ付き電子カメラ50は、セルフタイマー撮影モードがオンされ、プロジェクタモジュール6による投射光束の向きが電子カメラ50の背面側にセットされた場合に自動的に投射を開始する。図3は、椅子Pの座板Pa上に載置されたプロジェクタ付き電子カメラ50でセルフタイマー撮影する場合に、椅子Pの背板Pbに投射された像Ivを説明する図である。
【0023】
投射像Ivを座板Paの面より高くするには、プロジェクタモジュール6からの投射方向を座板Paより上向きにする必要があるが、単に投射方向を上向きにするだけでは投射像が台形状になってしまう。そこで、上述したレンズ駆動部66で投射レンズ61をシフトさせてあおり効果を得て、あおり効果に応じて投影する表示データに対するキーストン補正(台形歪み補正)を施すことによって投射像Ivを方形状に電気的に補正する。レンズシフト量やキーストン補正量は、プロジェクタモジュール6の投射角度(すなわち、回動角SW114の検出する回動角度)毎に、あらかじめCPU101内に記憶されている。
【0024】
プロジェクタ付き電子カメラ50は、セルフタイマー撮影による本撮影前はスルー画像の鏡像をプロジェクタモジュール6で投射し、セルフタイマー撮影による本撮影後に本撮影画像(フリーズ画像)の正像をプロジェクタモジュール6で投射し、フリーズ画像を所定時間表示した後はセルフタイマー撮影モードを解除してプロジェクタモジュール6による投射を終了する。
【0025】
図4および図5は、セルフタイマー撮影モードがオンに設定され、プロジェクタ投影モードがオンに設定された際のCPU101で行われるプロジェクタ制御処理の流れを説明するフローチャートである。図4、図5による処理は、プロジェクタ付き電子カメラ50が撮影モードに設定されている間繰り返し行われる。図4のステップS11において、CPU101はセルフタイマー撮影モードをオンに設定する指示がなされているか否かを判定する。CPU101は、セルフタイマー撮影モードをオンに設定する指示がなされている場合はセルフタイマー撮影モードをオンに設定し、ステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、セルフタイマー撮影モードをオンに設定する指示がなされていない場合(通常撮影モード)にはステップS11を否定判定してステップS15へ進む。なお、セルフタイマー撮影モードは、操作部材112を操作することによってオンに設定することができる。
【0026】
ステップS12において、CPU101は、プロジェクタ投影モードがオンか否かを判定する。CPU101は回動角SW114からHレベルの信号が入力されている場合にステップS12を肯定判定してステップS13へ進み、回動角SW114からLレベルの信号が入力されている場合にはステップS12を否定判定し、ステップS15へ進む。ステップS13へ進む場合はプロジェクタ投影モードに設定されたとみなし、ステップS15へ進む場合はプロジェクタ投影モードではないとみなす。
【0027】
ステップS13において、CPU101はプロジェクタオン、すなわち、プロジェクタモジュール6に投射を開始させる指示を送りステップS14へ進む。ステップS14において、CPU101は、メイン液晶表示器115に表示している内容を左右反対にした内容(鏡像)を液晶パネル62上に形成するように液晶駆動部65へ指令を送り、メイン液晶表示器115の表示をオフさせた後でLED光源63をオンするようにLED駆動部64へ指令を送る。これにより、プロジェクタモジュール6による最初の投射内容(初期画面)は、メイン液晶表示器115に表示されているスルー画像の鏡像になる。初期画面以降にプロジェクタモジュール6が投射する内容は、カメラ部200によって逐次更新されるセルフタイマー撮影による本撮影前の確認動画像(鏡像)《スルー画像》である。この際にメイン液晶表示器115の表示をオフさせる構成とすれば、消費電力を低減できる。
【0028】
図6は、この時点における図3の投射像Ivを拡大した図である。鏡像投射のため、左側に被写体Aが、右側に被写体Bがそれぞれ投射される。スルー画像の左上部には、セルフタイマー撮影モードであることを示すタイマーアイコン610がスルー画像に重ねて投射されている。
【0029】
ステップS11もしくはステップS12を否定した場合に進むステップS15において、CPU101は、メイン液晶表示器115に表示しているスルー画像(正像)の表示を継続させる。これにより、カメラ部200によって逐次更新される本撮影前の確認動画像(正像)がメイン液晶表示器115に表示される。ステップS15以降は、CPU101により設定された各モードに応じた処理が行われるが、本発明に直接関連しないので、その説明を省略する。
【0030】
ステップS14Aにおいて、CPU101はプロジェクタ投影モードがオンか否かを判定する。CPU101は回動角SW114からHレベルの信号が入力されている場合にステップS14Aを肯定判定してステップS16へ進み、回動角SW114からLレベルの信号が入力されている場合にはステップS14Aを否定判定し、ステップS14Bへ進む。
【0031】
ステップS16において、CPU101は、レリーズボタン54の押下操作に連動してオン/オフするレリーズスイッチ(不図示)からオン信号が入力されたか否かを判定する。CPU101は、レリーズオン信号が入力された場合にステップS16を肯定判定してステップS17に進み、レリーズオン信号が入力されていない場合にはステップS16を否定判定してステップS11へ戻る。なお、セルフタイマー撮影モード時においては、上記のレリーズボタン54の押下操作に代えて、プロジェクタ付き電子カメラ50の外部から、例えば、リモートコントロール装置によってレリーズ指示する構成としてもよい。
【0032】
ステップS17において、CPU101は、カウントダウンを開始するとともに、カウント値をスルー画像に重ねて投射するようにプロジェクタモジュール6に指令を送ってステップS18へ進む。これにより、液晶駆動部65がスルー画像に重ねてカウント値を液晶パネル62上に形成する。
【0033】
図7は、この時点における図3の投射像Ivを拡大した図である。この場合には、投射像Ivのうち被写体A,Bから見てプロジェクタ付き電子カメラ50に近い領域(図3の例では左下部)に、撮影開始まで8秒を示すカウント値「8」が投射されている。
【0034】
ステップS18において、CPU101は、カウントダウンカウンタによるカウント値が0か否かを判定する。CPU101はカウント値が0になるとステップS18を肯定判定してステップS19へ進み、カウント値が0になっていない場合にはステップS18を否定判定してステップS17へ戻る。ステップS17へ戻る場合はカウントダウンを継続する。
【0035】
ステップS19において、CPU101はプロジェクタオフ、すなわち、プロジェクタモジュール6に投射を終了させる指示を送りステップS20へ進む。具体的には、LED光源63を消灯するようにLED駆動部64へ指令を送る。
【0036】
一方、上述したステップS14Aを否定判定して進むステップS14Bにおいて、CPU101はプロジェクタオフ、すなわち、プロジェクタモジュール6に投射を終了させる指示を送りステップS14Cへ進む。具体的には、LED光源63を消灯するようにLED駆動部64へ指令を送る。このようにして、プロジェクタモジュール6が像の投射を開始させた以降に回動角SW114からLレベルの信号が入力され、投射の向きとカメラ部200による撮像の向きとが逆向きでなくなると、プロジェクタモジュール6による像の投射が終了される。
【0037】
ステップS14Cにおいて、CPU101はレリーズボタン54の押下操作に連動してオン/オフするレリーズスイッチ(不図示)からオン信号が入力されたか否かを判定する。CPU101は、レリーズオン信号が入力された場合にステップS14Cを肯定判定してステップS14Dに進み、レリーズオン信号が入力されていない場合にはステップS14Cを否定判定してステップS11へ戻る。
【0038】
ステップS14Dにおいて、CPU101はカウントダウンを開始してステップS14Eへ進む。ステップS14Eにおいて、CPU101はカウントダウンカウンタによるカウント値が0か否かを判定する。CPU101はカウント値が0になるとステップS14Eを肯定判定してステップS20へ進み、カウント値が0になっていない場合にはステップS14Eを否定判定し、カウントダウンを継続しながら当該判定処理を繰り返す。
【0039】
ステップS20において、CPU101は露出測定およびAF測定をう。CPU101は、露出測定結果に基づいて制御露出を決定するとともに、AF測定結果に基づいてフォーカス調節を行ってステップS21へ進む。ステップS21において、CPU101は撮像部制御CPU203に静止画撮影(本撮影)の開始を指示して図5のステップS21Aへ進む。
【0040】
図5のステップS21Aにおいて、CPU101はプロジェクタ投影モードがオンか否かを判定する。CPU101は回動角SW114からHレベルの信号が入力されている場合にステップS21Aを肯定判定してステップS22へ進み、回動角SW114からLレベルの信号が入力されている場合にはステップS21Aを否定判定し、ステップS24へ進む。
【0041】
ステップS22において、CPU101は、再びプロジェクタオン、すなわち、プロジェクタモジュール6に投射を再開させる指示を送りステップS23へ進む。具体的には、CPU101はLED光源63を点灯させるようにLED駆動部64へ指令を送る。ステップS23において、CPU101は、静止画撮影指示後に撮像部制御CPU203から送出される画像データによる画像(この場合は正像)を液晶パネル62上に形成するように液晶駆動部65へ指令を送るとともに、メモリカード105に画像データを記録する。これにより、静止画撮影(本撮影)後の確認用画像《フリーズ画像》がプロジェクタモジュール6から投射される。CPU101は、撮影確認画像を投射させて所定時間(たとえば3秒間)が経過すると撮像部制御CPU203にセルフタイマー撮影モードを解除する指示を送るとともに、プロジェクタモジュール6に投射を終了させる指示を送り、ステップS24へ進む。
【0042】
ステップS24において、CPU101は、セルフタイマー撮影モードをクリア(オフ)してLED光源63を消灯させるように、LED駆動部64に指示し、ステップS25へ進む。ステップS25において、CPU101は、メイン液晶表示器115の表示をオンさせて図4のステップS11へ戻る。これにより、カメラ部200によって逐次更新される本撮影前の確認動画像(正像)がメイン液晶表示器115に表示される。
【0043】
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)セルフタイマー撮影モードがオン、かつプロジェクタ投影モードがオンの場合にプロジェクタモジュール6をオンさせ、スルー画像の鏡像を投射するようにした。プロジェクタ投影モードは、プロジェクタモジュール6による投射光束の向きがプロジェクタ付き電子カメラ50の背面側(撮影する向きと反対側)にセットされた場合にオンとみなす。この状態では、投射像を観察する被写体A、Bと投射像(背板Pb)との間にプロジェクタ付き電子カメラ50が配設され、プロジェクタ付き電子カメラ50にとって被写体と投射像とが逆方向に位置する。このように、被写体A、Bの鏡像がプロジェクタ付き電子カメラ50の背後に自動的に投射されるので、被写体A、Bは投射開始のためのスイッチ操作をしなくてもフレーミングを確認できる。さらに、投射像の大きさはプロジェクタ付き電子カメラ50に配設されるメイン液晶表示器115の表示画面より大きいので、プロジェクタ付き電子カメラ50から離れた位置からでも十分にフレーミングの確認ができる。さらに、投射光束が被写体側へ射出されないので、被写体A、Bが眩しさを感じることもない。
【0044】
(2)スルー画像に重ねてセルフタイマーのカウント値を投射するようにしたので、プロジェクタ付き電子カメラ50から離れた位置からでも撮影タイミングを確認できる。
【0045】
(3)上記(2)のカウント値の投射位置は、被写体A,Bから見てプロジェクタ付き電子カメラ50に近い領域(図3の例では左下部)としたので、被写体A,Bの視線をプロジェクタ付き電子カメラ50の方向に誘導することができる。カウント値の投射位置を変更可能な構成とすれば、被写体の位置に応じてカウント値の表示位置を適切に設定することが可能となり、より一層好適である。
【0046】
(4)露出測定(ステップS20)および撮影(ステップS21)前のステップS19においてプロジェクタモジュール6をオフさせたので、プロジェクタモジュール6による投射光量が露出演算に影響を及ぼすことが防止される。
【0047】
上述した説明では、操作部材112からの操作信号に応じてセルフタイマー撮影モードがオンに設定される例を説明したが、メニュー操作によってオンに設定されるようにしてもよい。図8は、メイン液晶表示器115に表示されるセルフタイマーメニューの表示例を示す図である。図8において上から順に、セルフタイマーオン(タイマー時間は10秒)、セルフタイマーオン(タイマー時間は3秒)、セルフタイマーオン(タイマー時間は10秒)かつプロジェクタ投影モードオン、およびセルフタイマーオフの各項目が選択可能に構成されている。メニュー操作の場合のCPU101は、図8に示す3番目(セルフタイマーオン、プロジェクタオン)がカーソル指定された状態で操作部材112から確定を示す操作信号が入力されると図4のステップS13へ進むように構成される。
【0048】
上記の例では、セルフタイマー作動中のカウント値を投射中のスルー画像に重ねてオーバーレイ表示するようにした(ステップS17)。この代わりに、図9のようにメイン液晶表示器115が電子カメラの正面方向(撮影方向)に向けられるように構成される場合には、当該メイン液晶表示器115にカウント値を表示させてもよい。図9において、プロジェクタ付き電子カメラ50Aのメイン液晶表示器115はフリーアングル部材57に配設される。フリーアングル部材57は、メイン液晶表示器115をプロジェクタ付き電子カメラ50Aの正面方向に向けたり、背面方向に向けたり、左側面方向に向けたり、右側面方向に向けたり、上面方向および下面方向のいずれの方向に向けることも可能に構成される。
【0049】
CPU101は、セルフタイマー撮影時に上記フリーアングル部材57によってメイン液晶表示器115がプロジェクタ付き電子カメラ50Aの正面方向に向けられている場合、セルフタイマー作動中のカウント値をメイン液晶表示器115に表示させ、プロジェクタモジュール6にはスルー画像のみを投射させる。なお、メイン液晶表示器115がプロジェクタ付き電子カメラ50Aの正面方向に向けられていない場合には、セルフタイマー作動中のカウント値を投射中のスルー画像に重ねて投射させ、メイン液晶表示器115の表示はオフさせる。メイン液晶表示器115の向きは、フリーアングル部材57の回動部内に角度検出スイッチを配設し、このスイッチの検出出力に基づいて判定すればよい。また、メイン液晶表示器115の向きがプロジェクタ付き電子カメラ50Aの正面方向(撮影方向)であることが角度検出スイッチにより検出されると、これに基づいてプロジェクタモジュール6による投射をオンさせるように構成してもよい。
【0050】
以上の説明では、露出測定(ステップS20)前のステップS19においてプロジェクタモジュール6による投射をオフさせるようにしたが、プロジェクタ投射をオフさせる代わりにLED光源63の明るさを落として投射輝度を低くするようにしてもよい。この場合にも、プロジェクタモジュール6による投射光量が露出演算に影響を及ぼすことが防止される。
【0051】
上述した説明では、セルフタイマー撮影モードがオンであって(ステップS11を肯定判定)、回動角SW114からHレベルの信号が入力された場合(ステップS12を肯定判定)にプロジェクタモジュール6による投射をオンさせるようにした。セルフタイマー撮影モードの代わりに、自己撮影モードがオンか否かの判定結果を用いてプロジェクタモジュール6による投射をオンさせるようにしてもよい。すなわち、自己撮影モードがオンであって、回動角SW114からHレベルの信号が入力された場合にプロジェクタモジュール6による投射をオンさせる。自己撮影モードの場合もプロジェクタ付き電子カメラ50にとって被写体と投射像とが逆方向に位置する。なお、自己撮影モードのオン/オフは、操作部材112からの操作信号に応じて設定されるようにしてもよいし、メニュー操作によって設定されるようにしてもよい。
【0052】
図10は、被写体Cがプロジェクタ付きプロジェクタ付き電子カメラ50をハンドホールドして自己撮影モードで自己撮影する場合を説明する図である。プロジェクタモジュール6は、スクリーンSに像Ivを投射する。この場合の投射像Ivも、本撮影(静止画撮影)前はスルー画像の鏡像であり、本撮影後は本撮影によって撮影された画像《フリーズ画像》の正像である。
【0053】
上記の説明では、投射光束の向きがプロジェクタ付き電子カメラ50の背面側に位置する壁などに向かう場合(すなわち、投射光束の向きがプロジェクタ付き電子カメラ50で撮影する向きと逆向きになる場合)に回動角SW114からHレベルの信号が出力されるようにした。実際に回動角SW114がHレベルの信号を出力する回動角度は、電子カメラ50の使用状態に合わせて任意の角度関係を有するように適宜設定してよい。回動角SW114は、あらかじめ設定されている回動角度を検出した場合にHレベルの信号を出力するように構成される。また、回動角度がある範囲内(たとえば、80度±10度の範囲内)となったときに、回動角SW114がHレベルの信号を出力するように構成してもよい。
【0054】
(第二の実施形態)
図11は、本発明の第二の実施形態によるプロジェクタ付き携帯電話機の斜視図である。図11において、プロジェクタ付き携帯電話機10は操作部1と表示部2とが回動可能な折り畳みヒンジ部3で支持され、折り畳みヒンジ部3を回動中心に折り畳み自在に構成されている。折り畳みヒンジ部3には、操作部1および表示部2間の相対角θがたとえば、80度の位置と150度の位置とに不図示のクリック機構が設けられている。80度はプロジェクタ部の投影姿勢に対応し、150度は電話機の通話姿勢(ハンドホールドでの使用)に対応する。
【0055】
操作部1の底面1aには、プロジェクタ付き携帯電話機10を平面上に載置した場合に安定するように小型脚部12a〜12dが設けられている。操作部1の表示部2側の面1bには後述する第1操作部材112Aなどが設けられ、操作部1の側面1cには小型脚部11が設けられている。小型脚部11は、プロジェクタ付き携帯電話機10の相対角θを図11のように80度に開いた状態(投影姿勢)で当該側面1cを下にして平面上に載置した場合(横位置載置)に、折り畳みヒンジ部3および表示部2に配設されている小型脚部21とともに3点で安定して載置されるように構成されている。
【0056】
表示部2の操作部1側の面2bには、後述するメイン液晶表示器204が配設され、表示部2の外側の面2aには、サブ液晶表示器4が配設されている。表示部2の面2aにはさらに、カメラ部200およびプロジェクタモジュール6がそれぞれ配設される。プロジェクタモジュール6は円筒形状に構成され、表示部2の面2aに設けられている丸穴Mに回転自在に嵌入され、図11に示す正位置(0度とする)と、正位置を基準に左右それぞれの向きにプロジェクタモジュール6を90度回転させた2つの位置との計3箇所にクリック機構(不図示)が設けられている。
【0057】
表示部2にはカメラ部200が配設されている。カメラ部200は、撮影レンズ5の向きを表示部2の外側面2aへ向けたり、操作部1側の面2bへ向けたりすることが可能に回動機構が備えられている。
【0058】
図12は、図11のプロジェクタ付き携帯電話機10の構成を説明するブロック図である。図12において、操作部1側にはCPU101Aと、メモリ102と、姿勢センサ103と、近距離通信部104と、TVチューナー106と、マイク107と、外部インターフェイス(I/F)108と、電源109と、通信制御部110と、アンテナ7と、GPSアンテナ111と、第1操作部材112Aと、スピーカー113と、開閉角度スイッチ.(SW)114Aとが備えられ、着脱可能なメモリカード105が実装されている。
【0059】
表示部2にはカメラ部200と、プロジェクタモジュール6(プロジェクタ部)と、第2操作部材205と、スピーカー206と、メイン液晶表示器204と、サブ液晶表示器4とが備えられている。
【0060】
図12において、第一の実施形態における図2の各ブロックと同様の機能を有するブロックには、図2の場合と同一の符号を記して説明を省略する。
【0061】
CPU101Aは、制御プログラムに基づいて、プロジェクタ付き携帯電話機10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、プロジェクタ付き携帯電話機10の各部に対する制御信号を送出することにより、電話機動作、カメラ動作、プロジェクタ動作をそれぞれ制御する。制御プログラムはCPU101A内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。CPU101Aは、撮影時には姿勢センサ103から、撮影した画像の天地を示す天地情報(縦位置撮影および横位置撮影の識別を含む)を取得し、プロジェクタ使用時には図11に示すような縦位置載置の状態か、上述した横位置載置の状態かを判定する。
【0062】
近距離通信部104は、たとえば、赤外線通信回路によって構成され、CPU101Aの指令により外部機器との間でデータを送受信する。TVチューナー106は、CPU101Aの指令によりテレビ放送を受信する。CPU101Aは、受信画像をメイン液晶表示器204に表示させ、受信音声をスピーカー206で再生させる。
【0063】
マイク107によって電気信号に変換された音声信号は、録音時にはメモリカード105に記録され、通話時には通信制御部110へ送られる。第1操作部材112Aには、電話機のダイヤルボタンなども含まれる。GPSアンテナ111はGPS衛星からの信号を受信し、受信データをCPU101Aへ送出する。CPU101Aは、GPSアンテナ111からの受信データを用いて位置情報を演算可能に構成されている。通信制御部110は無線送受信回路を含み、CPU101Aの指令により不図示の基地局を介して他の電話機との間で通信を行う。通信制御部110は、電話音声の他にもカメラ部200で撮影された画像データや、プロジェクタモジュール6で投射するための画像データなどを送受信可能に構成されている。アンテナ7は通信制御部110の送受信アンテナである。
【0064】
開閉角度SW114Aは、折り畳みヒンジ部3の回動角を検出し、操作部1および表示部2間の相対角θが80度(投影姿勢)にされたことを検出するとオン信号(Hレベル)をCPU101Aへ送出し、上記角度以外ではオフ信号(Lレベル)を送出する。
【0065】
メイン液晶表示器204は、CPU101Aの指令により画像やテキストなどの情報を表示する。サブ液晶表示器4は、CPU101Aの指令により画像やテキストなどの情報を表示する。テキスト情報は、プロジェクタ付き携帯電話機10の動作状態、操作メニュー、送受信メールの内容などである。さらに、メイン液晶表示器204は、プロジェクタモジュール6で投射される画像と同じ画像や、通信相手から送信された画像を表示することが可能な構成とされている。第2操作部材205は、メイン液晶表示器204の表示内容に関連づけられたボタンなどを含み、押下されたボタンに対応する操作信号をCPU101Aへ送出する。スピーカー206は、相対角θが150度である通話姿勢時にCPU101Aから出力された音声信号による音声を再生する。
【0066】
カメラ部200で撮影された画像データは、当該データを他の携帯電話機へ送信する場合には撮像部制御CPU203からCPU101Aを経由して通信制御部110へ送出される。また、撮影画像を投射する場合には撮像部制御CPU203からCPU101Aを経由してプロジェクタモジュール6へ画像データが送出される。CPU101Aでは、プロジェクタモジュール6で投射される画像データに対して台形歪み補正処理が施される。なお、カメラ部200で撮影された画像の画像データ、アンテナ7を介して受信された画像データは、メモリカード105に記録することができる。
【0067】
プロジェクタモジュール6による投射像について詳細に説明する。プロジェクタ付き携帯電話機10は操作部1および表示部2間の相対角θが80度の投影姿勢に設定され、通話が開始された他の電話機から画像データが送信されてくると自動的に投射を開始する。図13(a)は、被写体Aがプロジェクタ付き携帯電話機10aを机Da上に載置して図13(b)に示される被写体である人物Bと通話している様子を説明する図であり、図13(b)は、被写体Bがプロジェクタ付き携帯電話機10bを机Db上に載置して図13(a)に示される被写体である人物Aと通話している様子を説明する図である。図13(a)、図13(b)では、プロジェクタ付き携帯電話機10a、10bは前述の投影姿勢で各々机Da、Db上に載置され、メイン液晶表示器204の表示面と投射面は投射面に正対する方向から同時に視認可能なように、略平行な状態とされている。
【0068】
図13(a)において、プロジェクタ付き携帯電話機10aはカメラ部200によって被写体Aを撮影し、撮影した画像データを通話相手のプロジェクタ付き携帯電話機10bへ送信するとともに、プロジェクタ付き携帯電話機10bから送信された被写体Bの撮影画像データによる再生画像をプロジェクタモジュール6により壁などに投射し、投射像Iaを得る。プロジェクタ付き携帯電話機10aはさらに、プロジェクタ付き携帯電話機10aのカメラ部200で撮影した被写体Aの撮影画像データによる再生画像をメイン液晶表示器204に表示する。
【0069】
図13(b)において、プロジェクタ付き携帯電話機10bはカメラ部200によって被写体Bを撮影し、撮影した画像データを通話相手のプロジェクタ付き携帯電話機10aへ送信するとともに、プロジェクタ付き携帯電話機10aから送信された被写体Aの撮影画像データによる再生画像をプロジェクタモジュール6により壁などに投射し、投射像Ibを得る。プロジェクタ付き携帯電話機10bはさらに、プロジェクタ付き携帯電話機10bのカメラ部200で撮影した被写体Bの撮影画像データによる再生画像をメイン液晶表示器204に表示する。
【0070】
図14は、CPU101Aで行われる通話時の制御処理の流れを説明するフローチャートである。図14による処理は、プロジェクタ付き携帯電話機10がダイヤル操作されると起動する。図14のステップS51において、CPU101Aは通信制御部110へ発呼処理を指示(通信の開始指示)してステップS52へ進む。ステップS52において、CPU101Aは発呼先と回線接続されたか否かを判定する。CPU101Aは、回線接続された場合にステップS52を肯定判定してステップS53へ進み、回線が未接続の場合にはステップS52を否定判定してステップS54へ進む。
【0071】
ステップS53において、CPU101Aは通信制御部110へ通話を開始させてステップS55へ進む。一方、ステップS54において、CPU101Aは切操作されたか否かを判定する。CPU101Aは、第1操作部材112Aから切操作信号が入力されると発呼処理を終了させて図14による処理を終了し、切操作信号が入力されない場合にはステップS54を否定判定してステップS52に戻る。
【0072】
ステップS55において、CPU101Aは投影姿勢か否かを判定する。CPU101Aは、開閉角度スイッチ114Aからオン信号が入力されるとステップS55を肯定判定してステップS56へ進み、オン信号が入力されない場合にはステップS55を否定判定してステップS58へ進む。ステップS58において、CPU101Aは、プロジェクタモジュール6が像を投射中の場合にはプロジェクタモジュール6をオフさせてステップS59へ進む。具体的には、点灯中のLED光源63を消灯するようにLED駆動部64へ指令を送る。
【0073】
ステップS56において、CPU101Aは画像データを受信したか否かを判定する。CPU101Aは、通話相手の電話機から画像信号が受信された場合にステップS56を肯定判定してステップS57へ進み、画像信号が受信されていない場合にはステップS56を否定判定してステップS59へ進む。
【0074】
ステップS57において、CPU101Aはプロジェクタモジュール6をオンさせてステップS59へ進む。具体的には、プロジェクタモジュール6への電力供給を開始するように電源109へ指令を送り、液晶駆動部65を初期化する。CPU101Aはさらに、受信された画像信号による再生画像を液晶パネル62上に形成するように液晶駆動部65へ指令を送り、LED光源63が点灯するようにLED駆動部64へ指令を送る。
【0075】
ステップS59において、CPU101Aは撮影が許可されているか否かを判定する。CPU101Aは、カメラ部200の撮影が許可されている場合にステップS59を肯定判定し、ステップS60へ進む。撮影の可否は、第1操作部材112Aからの操作信号によって決定される。CPU101Aは、カメラ部200の撮影が許可されていない場合にはステップS59を否定判定してステップS62へ進む。
【0076】
ステップS60において、CPU101Aはカメラ部200をオンさせてステップS61へ進む。具体的には、カメラ部200への電力供給を開始するように電源109へ指令を送り、撮像部制御CPU203に撮影処理を開始させる。ステップS61において、CPU101Aは通信制御部110に指令を送り、カメラ部200で撮影された画像データを通話先へ送信させるとともに、メイン液晶表示器204に再生画像を表示させてステップS62へ進む。
【0077】
ステップS62において、CPU101Aは通信相手に接続された回線の切断指示(切操作)がなされたか否かを判定する。CPU101Aは、第1操作部材112Aから切操作信号が入力されるとステップS62を肯定判定してステップS63へ進み、切操作信号が入力されない場合にはステップS62を否定判定してステップS55に戻る。ステップS55へ戻る場合は、プロジェクタ付き携帯電話機10が投影姿勢を保ち、カメラ部200に対する撮影が許可されている限り、通話先から送信される画像を投射しながら自己の撮影画像を通話先へ送信するとともに、自己の撮影画像をメイン液晶表示器204にも表示する。
【0078】
ステップS63において、CPU101Aは通信制御部110が通信相手との回線接続を切断するように制御し、ステップS64へ進む。ステップS64において、CPU101Aはカメラ部200をオフさせてステップS65へ進む。具体的には、カメラ部200への電力供給を終了するように電源109へ指令を送る。メイン液晶表示器204による再生画像表示も終了させる。
【0079】
ステップS65において、CPU101Aはプロジェクタモジュール6をオフさせて図14による処理を終了する。プロジェクタモジュール6のオフは、プロジェクタモジュール6への電力供給の停止を電源109へ指示することにより行う。なお、図4のステップS14Aのように、プロジェクタ付き携帯電話機10が投影姿勢にあるか否かを判定するステップをステップS57〜ステップS62の間のいずれかに挿入してもよい。CPU101Aは、このステップでプロジェクタ付き携帯電話機10が投影姿勢にないと判断すると、プロジェクタモジュール6をオフさせて、以降の処理ステップを実行する。
【0080】
以上説明した第二の実施形態についてまとめる。
(1)プロジェクタ付き携帯電話機10aはカメラ部200によって被写体Aを撮影し、撮影した画像データを通話相手のプロジェクタ付き携帯電話機10bへ送信するとともに、プロジェクタ付き携帯電話機10bから送信された画像データによる再生画像をプロジェクタモジュール6により投射する。プロジェクタ付き携帯電話機10aはさらに、カメラ部200で撮影した画像データによる再生画像をメイン液晶表示器204に表示する。
【0081】
(2)プロジェクタ付き携帯電話機10bはカメラ部200によって被写体Bを撮影し、撮影した画像データを通話相手のプロジェクタ付き携帯電話機10aへ送信するとともに、プロジェクタ付き携帯電話機10aから送信された画像データによる再生画像をプロジェクタモジュール6により投射する。プロジェクタ付き携帯電話機10bはさらに、カメラ部200で撮影した画像データによる再生画像をメイン液晶表示器204に表示する。
【0082】
(3)上記(1)、(2)により、通話相手の画像を大きく投射できるので、相手の表情がわかりやすくなる。また、自己の画像をメイン液晶表示器204で確認できるので、自分がカメラ部200で正しく撮影されているかどうかをチェックできる。この際に、撮影方向と投射方向が逆向きになるような構成としたので、装置を大型化させることなく簡易な構成で、通信相手との視線一致を実現可能な通信システムを提供できる。
【0083】
上述した図14のフローチャートにおいて、ステップS55〜ステップS57の処理と、ステップS59〜ステップS61までの処理とは順序を入れ替えてもよい。この場合には、カメラ部200による撮影をオンした後でプロジェクタモジュール6による投射がオンされる。
【0084】
上記ステップS59において、カメラ部200の向きが被写体A(B)を撮影する向き(すなわち、撮影レンズ5が操作部1側の面2bへ向けられている)の場合にカメラオン(ステップS60)へ進むようにしてもよい。これにより、撮影方向と投射方向とが反対向きになる場合にカメラ部200による撮影とプロジェクタモジュール6による投射とがオンされる。なお、カメラ部200の向きは、カメラ部200の回動部内に角度検出スイッチを配設し、このスイッチの検出出力に基づいて判定すればよい。
【0085】
以上の説明では、電子機器の例としてプロジェクタ付き電子カメラ50や、プロジェクタ付き携帯電話機10を例にあげて説明したが、プロジェクタ部およびカメラ部を備え、プロジェクタ部による像の投射方向と、カメラ部による撮影方向とを逆方向にセットできるものであれば、ノート型パソコンやPDAなどでもよい。
【0086】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明を実施するための最良の形態における各構成要素との対応について説明する。プロジェクタ装置は、たとえば、プロジェクタモジュール6によって構成される。撮像装置は、たとえば、カメラ部200によって構成される。電子機器は、たとえば、プロジェクタ付き電子カメラ50(またはプロジェクタ付き携帯電話機10)によって構成される。可動部材は、たとえば、ハウジング55および支持部56(またはカメラ部200の回動機構)によって構成される。投射制御手段は、たとえば、CPU101(101A)によって構成される。通信手段は、たとえば、通信制御部110およびアンテナ7によって構成される。表示装置は、たとえば、メイン液晶表示器115(204)によって構成される。なお、本発明の特徴的な構成、機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一の実施形態によるプロジェクタつき電子カメラの斜視図である。
【図2】プロジェクタ付き電子カメラの構成を説明するブロック図である。
【図3】プロジェクタ付き電子カメラでセルフタイマー撮影する場合の投射像を説明する図である。
【図4】プロジェクタ制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】プロジェクタ制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】投射像を拡大した図である。
【図7】投射像を拡大した図である。
【図8】セルフタイマーメニューの表示例を示す図である。
【図9】メイン液晶表示器がフリーアングル部材に配設された電子カメラの斜視図である。
【図10】プロジェクタ付き電子カメラをハンドホールドして自己撮影する場合を説明する図である。
【図11】本発明の第二の実施形態によるプロジェクタつき携帯電話機の斜視図である。
【図12】プロジェクタ付き携帯電話機の構成を説明するブロック図である。
【図13】(a)は被写体Aが携帯電話機を机上に載置して通話している図である。(b)は被写体Bが携帯電話機を机上に載置して通話している図である。
【図14】通話時の制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1…操作部
2…表示部
3…折り畳みヒンジ部
6…プロジェクタモジュール
7…アンテナ
10、10a、10b…プロジェクタ付き携帯電話機
50、50A…プロジェクタ付き電子カメラ
51…撮影レンズ
55…ハウジング
56…支持部
62…液晶パネル
63…LED光源
101、101A…CPU
103…姿勢センサ
110…通信制御部
115、204…メイン液晶表示器
200…カメラ部
A、B、C…被写体
Iv…投射像
S…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ装置と、
被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、
前記プロジェクタ装置が像を投射する向き、および前記撮像装置が撮像する向きの少なくとも一方を変更する可動部材と、
前記可動部材によって前記像の投射の向きと前記撮像の向きとが逆向きにされた場合に前記プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記逆向きにおいて、当該電子機器は前記投射された像の観察者および前記投射された像との間に配設され、前記撮像装置は前記観察者を撮像することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記像の投射を開始させた以降に前記投射の向きと前記撮像の向きとが逆向きでなくなると前記像の投射を終了させることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
プロジェクタ装置と、
セルフタイマー撮影モードを有し、被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、
該撮像装置の動作モードを前記セルフタイマー撮影モードに設定する指示に基づいて、前記プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記像の投射を開始させた以降の前記セルフタイマー撮影モードを解除する指示に基づいて、前記像の投射を終了させることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記プロジェクタ装置は、前記撮像装置から出力される撮像信号による再生画像の鏡像を投射することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
プロジェクタ装置と、
他の電子機器との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記他の通信機器との通信の開始指示に基づいて、前記プロジェクタ装置に像の投射を開始させる投射制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、
被写体像を撮像して撮像信号を出力する撮像装置と、
前記撮像装置から出力される撮像信号による再生画像を表示する表示装置とをさらに備え、
前記プロジェクタ装置は、前記通信手段を介して取得される前記他の電子機器の撮像信号による再生画像を投射することを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電子機器において、
前記投射制御手段は、前記像の投射を開始させた以降の前記通信の終了指示に基づいて、前記像の投射を終了させることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−80875(P2006−80875A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262421(P2004−262421)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】