説明

電子機器

【課題】 内部に形成された気泡を外部から見えにくくして視認性に優れた電子機器を提供する。
【解決手段】 上部パネル30の上部絶縁層37と上部保護層38との間、および下部パネル40の下部絶縁層47と下部保護層48との間に溝39,49をそれぞれ形成する。上部パネル30と下部パネル40とを貼り合わせると、気泡1は溝39,49内に閉じ込められるが、前記溝39,49は非視認領域である非透過部23に形成されているため、外部から気泡1が見えにくくすることができる。このため、視認性に優れた電子機器とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作が可能な電子機器に係わり、特に表示装置とともに使用される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電子機器としては、例えば以下の特許文献1に示す座標入力装置などが存在している。
【0003】
この座標入力装置では、基板上で且つ隣り合うX電極(Y電極も同様)どうしの間に形成される凹所に、前記X電極と同等の厚さのレジスト層を隙間なく充填する。これにより、電極を有する基板の表面が凹凸のほとんどない略平坦面に形成され、このような略平坦面の上に保護シートを載せて圧着させることにより、気泡が基板と保護シートの間に形成されることを防止している。
【特許文献1】特開平9−305289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、気泡が形成されることに防止するためには、基板の表面に凹凸が形成されないようにすること、すなわち基板表面に形成するレジスト層の平坦度を高精度にする必要がある。
【0005】
しかし、基板の表面の平坦度を高めるには限界があり、どんなに平坦度を高めたところで、気泡の形成を完全に防止することは難しい。
【0006】
またX電極やY電極の端部には、外部回路に延びる複数の配線パターンが形成されている。これら配線パターンは前記X電極やY電極が形成された絶縁基板の外周縁部に沿って配線されている。
【0007】
前記X電極はITOなどの透明な電極を用いてスパッタリングまたは蒸着などの手段で形成され、その厚み寸法は数百Åほどである。これに対し、前記配線パターンはAg(銀)などの材料をスクリーン印刷することにより形成され、その厚み寸法は数μmほどである。よって、X電極と配線パターンとの間には大きな段差が形成される。このため、センサ電極の上に保護シートを載せると、この段差部分に不定形な数多くの気泡が溜まり、その結果、静電容量値が大きくばらつくという問題があった。
【0008】
また保護シートを透明なパネルで形成した液晶表示装置の表示部を兼ねるようにした構成のものでは、表示部の周囲に不定形な多数の気泡が現れ、外部から覗いたときに視認性が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、あらかじめ指定した位置に気泡が形成されるようにして安定した静電容量を形成することができ、且つ気泡が外部から見え難くした電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、表面に設けられた透明な保護板と、前記保護板の裏側に対向配置された座標入力装置と、前記座標入力装置の下部位置に対向配置された表示装置と、を有する電子機器において、
前記座標入力装置は、基材と、前記保護板を通して外部から見える前記基材上の可視領域に設けられた複数の検出電極と、前記保護板を通して外部から見えない前記基材上の非可視領域に設けられた補助パターン線と、前記検出電極を覆う絶縁層と、前記補助パターン線を覆う保護層と、前記絶縁層と前記保護層との間に形成された溝とを有し、この溝が前記非可視領域内に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の電子機器では、機器内にあらかじめ気泡を形成される溝を用意しておくことにより、組み立て時に発生する気泡をこの溝内に集めることができる。しかも、溝の形成位置を外部から見えない非可視領域とすることにより、組み立て後に、外部から保護板を通して電子機器の内部を覗き込んでも、気泡が見えることがない。このため、視認性に優れた電子機器とすることができる。
【0012】
また溝以外の領域に多数の気泡が形成されることを避けることが可能となるため、座標入力装置の各電極間に形成される静電容量値を安定させることができる。よって、検出誤差が少なく安定性に優れた電子機器とすることができる。
【0013】
例えば、前記座標入力装置が、第1の基材に複数のX検出電極および配線パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層が形成された上部パネルと、第2の基材に前記X検出電極に対して対向配置される複数のY検出電極および補助パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層が形成された下部パネルとを有し、
前記上部パネル側の前記絶縁層および前記保護層と、前記下部パネル側の前記絶縁層および前記保護層との間が接着部材で接合されているものである。
【0014】
あるいは、前記座標入力装置は、前記基材の一方の面に複数のX検出電極と配線パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層を有し、前記基材の他方の面に前記X検出電極に対して直交配置される複数のY検出電極および補助パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層を有しており、前記一方の面に形成された複数のX検出電極と前記他方の面に形成された複数のY検出電極とが前記基材を挟んで対向配置されているものである。
【0015】
すなわち、座標入力装置は、基材の一方の面にのみ電極が形成されたパネル2枚を用意し、この2枚を貼り合わせて形成した座標入力装置であってもよし、一枚の基材に両面に電極をそれぞれ形成した座標入力装置を用いる構成であってもよいし、
上記においては、前記保護板と前記座標入力装置との間が接着部材で接合されているものが好ましく、この場合には前記接着部材は透明な両面テープであるものが好ましい。
【0016】
また前記検出電極が透明な電極で形成されているものが好ましく、さらには前記可視領域に設けられた電極を覆う絶縁層が、透明なレジスト材で形成されていることが好ましい。
【0017】
上記手段では、透明な入力部を有する電子機器とすることができる。このため、表示装置の上部に対向配置された座標入力装置および保護板を通して前記表示装置に表示された文字情報や画像を外部から見ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、表示部の周囲に不定形な多数の気泡が形成されることを防止でき、さらには気泡が外部から見え難くすることができる。よって、視認性に優れた電子機器とすることができる。
【0019】
さらには、各電極間の静電容量値のばらつきを少なくし、安定した静電容量を形成することができる座標入力装置を備えた電子機器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1Aは本発明の実施の形態を示す座標入力装置を備えた電子機器の断面図、図1Bは図1Aにおいて○で囲んだ部分Bを拡大して示す断面図、図2は保護板を示す平面図、図3は座標入力装置を構成する上部パネルを示す平面図、図4は座標入力装置を構成する下部パネルを示す平面図である。
【0021】
以下に示す電子機器10は、例えば内部の座標入力装置に対して文字や図形等を入力することが可能なタブレット装置として機能する。あるいは、下層側に設けられた表示装置に映し出された画像を見ながら座標入力装置に対して行った入力操作を受け付けるスイッチ機能を有する電子機器として機能する。この種の電子機器10は、例えば携帯電話、携帯型のオーディオプレーヤ、携帯型の映像プレーヤ、電子手帳、電子辞書などの携帯端末、あるいはリモコン装置などに搭載可能である。
【0022】
図1Aに示すように、本実施の形態に示す電子機器10は、最上層に保護板21が設けられ、中間層に座標入力装置20が設けられ、下層側に表示装置50とを有する構成である。前記表示装置50は、文字や画像(静止画および動画)を映し出すことが可能な装置、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど薄型の表示装置から構成される。
【0023】
前記保護板21は、透明なガラス基板、またはアクリル、ポリカーボネイトなどの透明な樹脂基板などから形成されている。図2に示すように、保護板21を平面的に示すと、中央部分に設けられた光を透過する透過部22と、その周囲に設けられた非透過部23(斜線で示す部分)とを有している。非透過部23は、第1遮光層23aと第2遮光層23bの二層で形成されている。第1遮光層23aは、保護板21の下面側で且つ前記透過部22を除いた保護板21の外周側の領域に形成されている。第2遮光層23bは、前記第1遮光層23aを形成した後に、前記第1遮光層23aの上に重ねて形成されている。
【0024】
第1遮光層23aと第2遮光層23bとは、共に光を透過させない黒インクを塗布または印刷することにより形成されている。光は、透過部22を板厚方向に透過するが、非透過部23では板厚方向に透過できないようになっている。なお、第1遮光層の膜厚は1〜3μmが好ましく、第2遮光層の膜厚は3〜10μmが好ましい。
【0025】
一方、前記保護板21の下面側で且つ前記透過部には、透明レジスト層24が形成されている。透明レジスト層24は、光を透過する透明なレジスト材を印刷することにより形成されている。透明レジスト層24の膜厚寸法は、第1遮光層23aと第2遮光層23bとを重ねた合計の膜厚寸法と同じ寸法で形成されている。すなわち、前記第2遮光層23bと透明レジスト層24とはほぼ同一平面にて形成されている。
【0026】
図1Bおよび図2に示すように、X方向およびY方向に隣り合う第2遮光層23bと透明レジスト層24との間には第1の溝25が形成されている。この実施の形態では、第1の溝25が前記第1遮光層23aの表面に、前記透過部22を取り囲むように一周にわたって連続する溝として形成さている。すなわち、第1の溝25は、透過部22を避けた非透過部23に形成されている。ただし、前記第1の溝25は必ずしも連続的である必要はなく、間欠的に形成されている構成であってもよい。
【0027】
なお、図2に示すように、光を透過する透過部22が可視領域(ビューイングエリア)を形成している。そして、図1Bでは、X方向およびY方向の両端において、非透過部23を形成する第1遮光部23aの一方の内縁部と他方の内縁部とに挟まれた領域が可視領域(ビューイングエリア)である。なお、可視領域以外の部分、すなわち非透過部23が形成された部分が非可視領域である。
【0028】
図1Aおよび図1Bに示す座標入力装置20は、上部パネル30および下部パネル40からなる二層構造をしている。なお、後述するように基材の両面に電極がそれぞれ配置される一層構造のものであってもよい。
【0029】
図3に示すように、上部パネル30は、例えばPETなどからなる樹脂製の透明な第1の基材31を有している。そして、第1の基材31の表面にはX方向に延びる複数のY検出電極32がY方向に沿って一定の間隔で形成されている。Y検出電極32は、そのほとんどが透過部22に配置されているが、X方向の両端は前記非透過部23に達している。前記Y検出電極32は、例えばITO(酸化インジウムスズ;Indium TinOxide)を蒸着することにより、あるいはスパッタリングすることにより、第1の基材31の表面に形成されている。なお、前記Y検出電極32の厚さ寸法は50〜300Åほどである。
【0030】
前記透明基板31の幅方向(X方向)の両縁部には、Y方向に延びる複数の補助パターン線33が形成されている。前記補助パターン線33は、銀を含む導電材料で形成されており、その厚み寸法は3〜20μmほどである。そして、個々の補助パターン線33の一端と、個々のY検出電極32の幅方向の一方の端部とが一対一で接続されている。また補助パターン線33の他方の端部は、前記透明基板31に設けられた接続部35に集められており、この接続部35から図示しないフレキシブルケーブルなどを介して図示しない外部の回路に接続されている。
【0031】
図4に示すように、下部パネル40も上部パネル30同様に、PETなどからなる樹脂製の透明な第2の基材41を有しており、この第2の基材41の表面にY方向に延びる複数のX検出電極42と、同じくY方向に延びる補助電極43とがX方向に沿って一定の間隔で交互に形成されている。
【0032】
X検出電極42および補助電極43には、X方向に突出する複数の小枝からなる枝電極が形成されている。このような枝電極を設けることにより、隣り合うX検出電極42と補助電極43との間に形成される静電容量の、組み合せごとのばらつきを抑えることができる。すなわち、隣り合うX検出電極42と補助電極43との間に形成される静電容量を、どの組み合せにおいても均一にすることが可能となっている。前記X検出電極42、補助電極43および枝電極は、すべて透明な電極を形成するITOで形成されており、各電極の厚さ寸法は50〜300Åほどである。
【0033】
前記第2の基材41の図示Y2側の縁部には、X方向に延びる複数の補助パターン線44が形成されている。個々の補助パターン線44の一端は、個々のX検出電極42の端部にそれぞれ接続されている。
【0034】
また第2の基材41の周囲には、X検出電極42および補助電極43を取り囲むように配線された補助パターン線(グランド線)45が設けられている。各補助電極43の一端は、図示Y1側の縁部において補助パターン線45にそれぞれ接続されている。補助パターン線45は、銀を含む導電材料で形成されており、その厚み寸法は3〜20μmほどである。
【0035】
個々の補助パターン線44の他端および補助パターン線45の端部は、前記第2の基材41に設けられた接続部46に集まれ、この接続部46から図示しないフレキシブルケーブルなどを介して外部の回路に接続されている。
【0036】
図1Aおよび図1Bに示すように、上部パネル30では、Y検出電極32の表面に透明レジスト材からなる上部絶縁層37が平坦な面で印刷され、前記複数のY検出電極32が覆い隠されている。同様に,下部パネル40では、X検出電極42および補助電極43の表面に透明レジスト材からなる下部絶縁層47が平坦な面で印刷され、前記複数のX検出電極42および補助電極43が覆い隠されている。
【0037】
なお、上部絶縁層37と下部絶縁層47を形成するレジスト材としては、高光透過率で、低ヘイズで且つITOとの密着性の良いものが好ましい。
【0038】
上部パネル30の外周部に設けられた補助パターン線33の上には上部保護層38が積層され、下部パネル40の外周部に設けられた補助パターン線45の上には下部保護層48が積層されている。前記上部保護層38および前記下部保護層48は、補助パターン線33および補助パターン線45の表面にレジスト材を塗布することにより形成されている。この場合のレジスト材は、光透光性を有する透明なレジスト材であってもよいし、光透光性を有しない不透明なレジスト材であってもよい。
【0039】
このように、上部保護層38および下部保護層48を積層形成することにより、補助パターン線33および補助パターン線45を形成する導電材料に含まれる銀のマイグレーションを防止することができる。このため、上部保護層38,下部保護層48は、マイグレーションの進行を抑制するのに優れたレジスト材を用いることが好ましい。
【0040】
なお、内側に位置する透明なレジスト材からなる上部絶縁層37,下部絶縁層47の第1,第2の基材31,41に対する各厚み寸法は、これらの外側に位置する上部保護層38,下部保護層48の第1,第2の31,41に対する各厚み寸法と同等か、それ以上であることが好ましい。このようにすると、気泡が上部絶縁層37,下部絶縁層47を有する透過部22(可視領域)側から上部保護層38,下部保護層48を有する非透過部(非可視領域)23側に逃げやすくすることができる。
【0041】
上部パネル30には、上部絶縁層37の外側の位置で、且つ上部保護層38の内側の位置に第2の溝39が形成されている。すなわち、図3に示すように、第2の溝39は中央に設けられた前記上部絶縁層37の周囲に1周分にわたって形成されている。より詳しくは、第2の溝39は前記透過部22(可視領域)の外側、すなわち非透過部23と対向する非可視領域内であって、且つX方向においては前記補助パターン線33の内側となる位置に設けられている。
【0042】
同様に、下部パネル40には、下部絶縁層47の外側の位置で、且つ下部保護層48の内側の位置に第3の溝49が形成されている。第3の溝49も前記透過部22(可視領域)の外側、すなわち非透過部23と対向する領域であって、且つX方向においては前記補助パターン線45の内側となる位置に設けられている。
【0043】
なお、図3及び図4では内側の上部絶縁層37,下部絶縁層47を右肩下がりの太い斜線で示している。また外側の上部保護層38,下部保護層48を右肩下がりの細い斜線で示している。そして、上部絶縁層37と上部保護層38との間、および下部保護層48と下部絶縁層47との間に設けられた第2の溝39および第3の溝49を2本の細い平行線で示している。
【0044】
上部パネル30と下部パネル40とは、互いに電極を有する面どうしを対向させた状態で接合されている。すなわち、上部パネル30と下部パネル40とが対向し合う面に透明な接着部材としての両面テープ61が設けられ、この透明な両面テープ61を介して上部絶縁層37と下部絶縁層47との間、および上部保護層38と下部保護層48との間が貼り合わされている。この状態では、上部絶縁層37と下部絶縁層47とが対向し、上部保護層38と下部保護層48とが対向し且つ前記第2の溝39と第3の溝49とが対向する。この状態では、前記Y検出電極32とX検出電極42および補助電極43とが、両面テープ61を挟んだ状態でマトリックス状に対向配置(直交配置)される。
【0045】
上部パネル30では上部絶縁層37と上部保護層38との間に第2の溝39が形成され、下部パネル40では下部絶縁層47と下部保護層48との間に第3の溝49が形成されている。また上部絶縁層37の表面および下部絶縁層47の表面は平坦度が高い状態にある。
【0046】
このため、気泡1は、両面テープ61と上部絶縁層37とを貼り合わせる際、および両面テープ61と下部絶縁層47とを貼り合わせる際に、第2の溝39内および第3の溝49内にそれぞれ形成されるようになり、両面テープ61の上面と上部絶縁層37の表面(下面)の間および両面テープ61の下面と下部絶縁層47の表面(上面)との間には形成され難くすることができる。
【0047】
しかも、第2の溝39および第3の溝49は非透過部23と対向する非可視領域に形成されている。このため、第2の溝39内または第3の溝49内に形成された気泡1が外部(保護板21の上部)から視認されることがない。よって、気泡1が見え難く視認性に優れた電子機器10とすることができる。
【0048】
上部パネル30と下部パネル40とが貼り合わされた状態の座標入力装置20は、前記保護板21の下面側に固定される。このとき、前記座標入力装置20と保護板21との間は透明な接着部材、例えば両面テープ62により固着される。すなわち、保護板21の下面に設けられた透明レジスト層24および第2遮光層23bと、上部パネル30の第1の基材31の表面との間が透明な両面テープ62によって固定される。
【0049】
ここで、透明レジスト層24と第1の基材31の表面はともに平坦面で形成されているため、この間は気泡1が形成され難い状態にある。一方、第1の溝25と両面テープ62との表面との間には前記第1の溝25により空隙が形成されており、この部分に気泡1が入り込みやすくなっている。
【0050】
このため、座標入力装置20を保護板21の下面に固定したときに、気泡1を非可視領域に形成された第1の溝25に閉じ込めることができ、気泡1がそれ以外の領域、特に可視領域(透過部22)に形成されることを防止することができる。
よって、この場合も外部から気泡1の見え難い電子機器10とすることが可能である。
【0051】
このように、本願発明では、気泡1が形成されることを想定し、あらかじめ気泡を形成させる第1ないし第3の溝25,39,49を用意するとともに、第1ないし第3の溝25,39,49の形成位置を外部から見え難い非可視領域(非透光部23)としてある。
【0052】
このため、座標入力装置20を保護板21の下面に固定したときに、気泡1を前記第1ないし第3の溝25,39,49内に閉じ込めることができ、不定形な数多くの気泡1が可視領域(透過部22)内に形成されることを防止することができる。
【0053】
また、第1ないし第3の溝25,39および49の容積はそれぞれ一定であり、これらの間に形成される気泡1の体積もほぼ一定となる。このため、座標入力装置20内の静電容量値が製品ごとにばらつくという不具合を防止することが可能である。このため、検出精度の高い座標入力装置20を備えた電子機器10とすることができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、Y検出電極32を備えた上部パネル30と、X検出電極42および補助電極43を備えた下部パネル40とを貼り合わせてなる座標入力装置20を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0055】
例えば、一枚の透明な基材の一方の面に形成されたX検出電極と、他方の面に形成されたY検出電極とがマトリックス状に対向配置されてなる座標入力装置を用いた場合であってもよい。このような座標入力装置においても、保護板と基材の一方の面との間に、非可視領域内で且つ可視領域に近い位置に溝を形成して気泡を閉じ込める構成を採用することにより、上記同様に外部から気泡を見え難くすることができ、さらには静電容量値のばらつきを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】図1Aは本発明の実施の形態を示す座標入力装置を備えた電子機器の断面図、
【図1B】図1Aにおいて○で囲んだ部分Bを拡大して示す断面図、
【図2】保護板を示す平面図、
【図3】座標入力装置を構成する上部パネルを示す平面図、
【図4】座標入力装置を構成する下部パネルを示す平面図、
【符号の説明】
【0057】
10 電子機器
20 座標入力装置
21 保護板
22 透過部(可視領域)
23 非透過部(非可視領域)
23a 第1遮光層
23b 第2遮光層
24 透明レジスト層
25 第1の溝
30 上部パネル
31 第1の基材
32 Y検出電極(透明電極)
33 補助パターン線
35 接続部
37 上部絶縁層
38 上部保護層
39 第2の溝
40 下部パネル
41 第2の基材
42 X検出電極(透明電極)
43 補助電極(透明電極)
44 補助パターン線
45 補助パターン線(グランド線)
46 接続部
47 下部絶縁層
48 下部保護層
49 第3の溝
50 表示装置
61,62 両面テープ(接着部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に設けられた透明な保護板と、前記保護板の裏側に対向配置された座標入力装置と、前記座標入力装置の下部位置に対向配置された表示装置と、を有する電子機器において、
前記座標入力装置は、基材と、前記保護板を通して外部から見える前記基材上の可視領域に設けられた複数の検出電極と、前記保護板を通して外部から見えない前記基材上の非可視領域に設けられた補助パターン線と、前記検出電極を覆う絶縁層と、前記補助パターン線を覆う保護層と、前記絶縁層と前記保護層との間に形成された溝とを有し、この溝が前記非可視領域内に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記座標入力装置が、第1の基材に複数のX検出電極および配線パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層が形成された上部パネルと、第2の基材に前記X検出電極に対して対向配置される複数のY検出電極および補助パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層が形成された下部パネルとを有し、
前記上部パネル側の前記絶縁層および前記保護層と、前記下部パネル側の前記絶縁層および前記保護層との間が接着部材で接合されている請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記座標入力装置は、前記基材の一方の面に複数のX検出電極と配線パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層を有し、前記基材の他方の面に前記X検出電極に対して直交配置される複数のY検出電極および補助パターン線を備えるとともにこれらを覆う絶縁層および保護層を有しており、前記一方の面に形成された複数のX検出電極と前記他方の面に形成された複数のY検出電極とが前記基材を挟んで対向配置されている請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記保護板と前記座標入力装置との間が接着部材で接合されている請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記接着部材が透明な両面テープである請求項2または4記載の電子機器。
【請求項6】
前記検出電極が透明な電極で形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記可視領域に設けられた電極を覆う絶縁層が、透明なレジスト材で形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の電子機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−197913(P2008−197913A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32481(P2007−32481)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】