説明

電子機器

【課題】室内の照明光が消灯されても、その後の使用者が速やかに電子機器を使用することができ、また、照明光が消灯されたときに省電力モードであっても電子機器に電源が投入されているのか否かが容易に把握できる電子機器を提供する。
【解決手段】表示部5と、通常動作モードと省電力モードとを切り替える電源管理手段6cと、前記省電力モードへの移行時に前記表示部5を消灯させる表示制御手段6bを備えた電子機器であって、周囲の明るさを検出する照度センサ9と、省電力モード時に前記照度センサ9により照度が所定レベルより低いことが検出されると、電源が投入状態である旨の報知を行う電源報知手段6dを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部と、通常動作モードと省電力モードとを切り替える電源管理手段と、前記省電力モードへの移行時に前記表示部を消灯させる表示制御手段を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通常動作モードと省電力モードを切り替える電源管理手段を備えたパーソナルコンピュータや画像形成装置等の電子機器が普及している。
【0003】
従来、消費電力を低減することができるとともに、昼休み等の電源がオフにされることが好ましくない時間帯に電源がオフにされることがないようにすることを目的として、電子機器の周辺の照度を感知し、照度レベルを発生させる照度感知部と、計時部と、計時された時刻が時刻条件を満たすかどうかを判断する時刻判定処理手段と、照度レベルが設定照度レベルより低いかどうかを判断する照度監視処理手段と、計時された時刻が時刻条件を満たし、照度レベルが設定照度レベルより低い場合に、電源をオフにする電源遮断処理手段を有する電子機器制御装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−76109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、室内の照度が設定照度レベル以下になり、時刻が所定の条件を満たしていれば、電子機器の電源が一律にオフ制御されるため、例えば、残業時に消灯された部屋に設置されている電子機器を使用する場合には、再度電源を投入して機器を立ち上げる操作が必要となり、作業効率が低下するという問題がった。
【0005】
一方、通常、省電力モード時に操作部の表示がオフされる電子機器では、一見して電源がオンされているのかオフされているのかを判断することは困難であるため、最終退室者が、機器に電源が投入されているにもかかわらずそのまま室内の照明光をオフして帰宅する場合があり、無駄に電力が消費されるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上述の従来欠点に鑑み、室内の照明光が消灯されても、その後の使用者が速やかに電子機器を使用することができ、また、照明光が消灯されたときに省電力モードであっても電子機器に電源が投入されているのか否かが容易に把握できる電子機器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明による電子機器の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、表示部と、通常動作モードと省電力モードとを切り替える電源管理手段と、前記省電力モードへの移行時に前記表示部を消灯させる表示制御手段を備えた電子機器であって、周囲の明るさを検出する照度センサと、省電力モード時に前記照度センサにより照度が所定レベルより低いことが検出されると、電源が投入状態である旨の報知を行う電源報知手段を備えている点にある。
【0008】
上述の構成によれば、機器が省電力モードに移行しているときに、退室者が室内の照明光を消灯しても、電源報知手段により機器に電源が投入されていることを退室者に報知することができるので、退室者による電源の切り忘れを効果的に防止することができるのであり、また、退室者が最終退室者でないときには、そのまま放置することにより他の操作者が速やかに当該電子機器を操作することができるようになるのである。
【0009】
前記電源報知手段は、前記表示制御手段により前記表示部を点灯又は点滅するように制御することが好ましく、これにより電源投入状態であることが容易に判断できるようになる。
【0010】
前記電源報知手段は、所定時間の経過後、前記表示制御手段により前記表示部を消灯するように制御することが好ましく、報知目的を達成した後には不要な表示のための電力の消費を避けることができる。
【0011】
前記電源報知手段は、前記表示制御手段により前記表示部が点灯又は点滅している間、前記表示部に省電力モードである旨のメッセージを表示するように制御することがさらに好ましい。
【0012】
前記電源報知手段は、前記省電力モード時に前記照度センサにより照度が所定のレベルより低いことが検出されると、警告音を発生する鳴動手段を備えていることが好ましく、この場合には聴覚により効果的に報知することができる。
【0013】
前記電源報知手段が予め設定された時間帯で作動するように設定されている場合には、昼休み等の報知不要な時間帯に報知を回避することができる点で好ましい。
【0014】
前記電源管理手段は、前記電源報知手段の作動中に前記照度センサにより照度が前記所定レベルより高いことが検出されると、前記通常動作モードに切り替えることが好ましく、これにより操作者がより速やかに電子機器を操作することが可能になる。
【0015】
前記電源管理手段は、前記省電力モード時に前記照度センサにより照度が前記所定レベルより低いことが検出されると、所定時間の経過後に電子機器の電源をオフすることが好ましく、これによりそれ以降の使用者がいないと推定して不要な電力消費を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した通り、本発明によれば、室内の照明光が消灯されても、その後の使用者が速やかに電子機器を使用することができ、また、照明光が消灯されたときに省電力モードであっても電子機器に電源が投入されているのか否かが容易に把握できる電子機器を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による電子機器がファクシミリ機能、プリント機構、複写機能等の複数の機能を備えた複合画像形成装置に適用される場合を説明する。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1は、複数段の用紙カセット3、画像読取り部2a、及び、画像形成部2bを備えた装置本体2と、装置本体2の上面に備えた原稿搬送部4と、本発明による表示部である装置を操作する操作表示部5(以下、単に「表示部」と記す。)を備えて構成され、装置を電子制御する制御部6と、ファクシミリ伝送のために電話回線に接続される回線接続装置7と、複数のパーソナルコンピュータに接続されるネットワーク接続装置8等を備えている。
【0019】
表示部5は、図2に示すように、中央部に配置されたタッチパネル式の液晶表示部5aと、その右側に配置された電源スイッチPSWや省電力モードスイッチSSWや数値キーや複写動作を開始するスタートキー等、左側に配置された周囲の明るさを検出する照度センサ9や複写モードやファクシミリモード等の選択キー等と、装置の状態を表示する複数のLED等で構成されている。
【0020】
制御部6は、図3に示すように、画像形成プロセスを制御するプロセス制御手段6aと、通常動作モードと省電力モードとを切り替える電源管理手段6bと、操作表示部5を制御する表示制御手段6cと、電源投入状態を報知する電源報知手段6d等を備えて構成され、それらが単一または複数のマイクロコンピュータと、制御プログラムが格納されたROMと、RAMと、周辺回路等で実現されている。
【0021】
電源管理手段6bは、電源スイッチPSWの投入後、プリントキーの操作やネットワーク接続されたパーソナルコンピュータからのプリント要求に対応して所定の動作が可能な通常動作モードで待機し、所定時間何らの操作乃至要求がなされないとき、または、省電力モードスイッチSSWが操作されたときに、必要最小限の負荷にのみ給電して消費電力を抑制する省電力モードに切り替えるように電源回路PSC等を制御し、省電力モード時に省電力モードスイッチSSWが操作されたりプリント要求があったときに、通常動作モードに復帰するように電源回路等を制御する。
【0022】
省電力モードでは、プロセス制御手段6aにおける定着部のヒータをオフして消費電力を低減させるとともに、表示部5に配置された液晶表示部5aやモニタ用のLEDを消灯し、原稿搬送部4等の動作させる必要の無い制御ブロックへの給電を停止する。尚、省電力モードで給電が停止される負荷は装置の制御構成等により適宜設定されるものである。
【0023】
以下、画像形成装置1の動作を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0024】
画像形成装置1は、表示部5に設けられた電源スイッチPSの投入により起動し(SA1)、制御部6に備えた電源管理手段6bにより複写動作やプリント動作等が実行可能な通常動作モードに維持される(SA2)。
【0025】
通常動作モードで待機し、所定時間何らの操作乃至要求がなされないとき、または、省電力モードスイッチSSWが操作されたときに(SA3,SA4)、電源管理手段6bにより省電力モードへ移行され、表示制御手段6cは電源管理手段6bから省電力モード信号が入力されると、表示部5を消灯制御する(SA6)。
【0026】
省電力モードで省電力モードスイッチSSWが操作されたときに(SA5)、電源管理手段6bは省電力モードを解除して通常動作モードに復帰させ、表示制御手段6c省電力モード解除信号を入力して表示部5の表示制御を再開させる(SA2)。
【0027】
電源報知手段6dは、予め設定された時間帯、例えば、午後5時から翌朝7時の時間帯で、省電力モード時に照度センサ9により照度が所定レベルより低いことが検出されると(SA7,SA8)、電源が投入状態である旨の報知を行う(SA9。具体的には、図6に示すように、電源報知手段6dが表示制御手段6cに対して報知信号を出力し、当該報知信号を受けた表示制御手段6cにより表示部5の液晶表示部5a及びモニタ用のLEDが点灯又は点滅するように制御される。
【0028】
つまり、帰宅者が画像形成装置の設置された部屋の照明スイッチを切ったときに、表示部5の表示素子が点灯又は点滅する状態を目視確認して、当該画像形成装置の電源が投入されていることを把握することができるようになる。帰宅者が最終の帰宅者であるときには電源スイッチPSWをオフして帰宅することにより、不要な電力消費が回避されるのである。尚、最終帰宅者でなく、未だ他の作業者がいる場合には、画像形成装置の電源を切らずにそのまま帰宅すれば、省電力モードが継続され、後の使用者が速やかに使用できる状態が継続される。
【0029】
ここで、図7に示すように、前記表示制御手段6cにより前記表示部5が点灯又は点滅している間、前記液晶表示部5aに省電力モードである旨のメッセージを表示するように制御することにより、帰宅者が不慣れな操作者であっても、操作に戸惑うことが回避される。
【0030】
ここで、前記電源報知手段6dは、省電力モード時に照度センサ9により照度が所定のレベルより低いことが検出されると、表示部5に対する点灯又は点滅制御に代えて、或いは点灯又は点滅制御に加えて、圧電ブザー等でなる鳴動手段を作動させて警告音を発生するように構成してもよく、音声合成回路を備えて電源が投入されている旨の音声メッセージを出力するように構成してもよい。
【0031】
報知制御は予め設定されている所定時間、例えば、10分間継続して元の省電力モードに戻る。電源管理手段6cは、報知制御の後、予め設定されている自動電源オフ時間、例えば1時間が経過すると(SA10)、強制的に電源リレーをオフして当該画像形成装置の電源をオフする(SA11)。
【0032】
以下別実施形態を説明する。上述の実施形態では、報知制御は予め設定されている所定時間が経過すると元の省電力モードに戻る例を説明したが、電源が自動オフされるまでそのまま報知制御を継続するように構成するものであってもよい。
【0033】
図5に示すように、電源管理手段6cは、電源報知手段6dによる報知制御の終了後であって、電源が自動オフされるまでの間に(SB10)、照度センサ9により検出された照度が前記所定レベルより高いことが検出されると(SB12)、通常動作モードに切り替える(SB2)ように構成してもよい。つまり、電源が自動オフされるまでの間に他の作業者が室内の照明を転倒させたときに、当該画像形成装置が使用されることを予測して、通常動作モードに移行するのである。
【0034】
また、電源報知手段6dによる報知制御時に照度センサ9により検出された照度が前記所定レベルより高いことが検出されると、通常動作モードに切り替えるように構成してもよい。このとき電源がオフされない時には、所定時間経過すると、再度省電力モードに移行するように制御される。
【0035】
上述した実施形態では、報知制御の終了後に所定時間が経過すると電源が自動オフされるものを説明したが、省電力モードが継続されるように構成するものであってもよい。
【0036】
図5に示すように、電源管理手段6cは、前記電源報知手段6dの作動中に前記照度センサ9により照度が前記所定レベルより高いことが検出されると、前記通常動作モードに切り替えるように構成してもよい。
【0037】
上述した実施形態では、本発明を画像形成装置に適用した場合を説明したが、本発明の適用対象は画像形成装置に限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ等、通常動作モードと省電力モードが切り替え可能に構成されている電子機器に広く適用することができる。
【0038】
上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、制御部を構成する各機能ブロックの具体的な構成は本発明の作用効果を奏する範囲において適宜変更設計できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】画像形成装置の外観構成図
【図2】表示部の説明図
【図3】制御部のブロック構成図
【図4】フローチャート
【図5】フローチャート
【図6】表示部が点灯されている状態の説明図
【図7】表示部にメッセージが表示されている状態の説明図
【符号の説明】
【0040】
1:画像形成装置
6:制御部
6a:プロセス制御手段
6b:表示制御手段
6c:電源管理手段
6d:電源報知手段
9:照度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、通常動作モードと省電力モードとを切り替える電源管理手段と、前記省電力モードへの移行時に前記表示部を消灯させる表示制御手段を備えた電子機器であって、
周囲の明るさを検出する照度センサと、省電力モード時に前記照度センサにより照度が所定レベルより低いことが検出されると、電源が投入状態である旨の報知を行う電源報知手段を備えている電子機器。
【請求項2】
前記電源報知手段は、前記表示制御手段により前記表示部を点灯又は点滅するように制御する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源報知手段は、所定時間の経過後、前記表示制御手段により前記表示部を消灯するように制御する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記電源報知手段は、前記表示制御手段により前記表示部が点灯又は点滅している間、前記表示部に省電力モードである旨のメッセージを表示するように制御する請求項2または3記載の電子機器。
【請求項5】
前記電源報知手段は、前記省電力モード時に前記照度センサにより照度が所定のレベルより低いことが検出されると、警告音を発生する鳴動手段を備えている請求項1から4の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源報知手段は、予め設定された時間帯で作動するように設定されている請求項1から5の何れかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記電源管理手段は、前記電源報知手段の作動中に前記照度センサにより照度が前記所定レベルより高いことが検出されると、前記通常動作モードに切り替える請求項1から6何れかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記電源管理手段は、前記省電力モード時に前記照度センサにより照度が前記所定レベルより低いことが検出されると、所定時間の経過後に電子機器の電源をオフする請求項1から7の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−62592(P2008−62592A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244956(P2006−244956)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】