説明

電子機器

【課題】電子機器の外部コネクタのカバー部材が、バイブレータ機能の作動の際に発生させるビリツキ音を防止する。
【解決手段】カバー部材13は、外部コネクタ19の開口18を閉止するために設けられ、筐体11の内部に挿入される係止用のカバー爪15を有する。筐体11には、カバー爪15の挿入に際してカバー爪の突起と係合する孔20が形成される。また、孔20の内側には、カバー爪15の先端をガイドするガイド部材21が形成され、カバー爪15はガイド部材21のスロープによって押圧力を受けている。このため、バイブレータ機能の作動に際して、カバー爪15の振動によるビリツキ音の発生が防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、更に詳しくは、電子機器の外部コネクタを保護するカバー部材として好適な、電子機器のカバー部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機(携帯無線端末)などの携帯端末装置の普及が進んでいる。携帯電話機では、コンピュータや電源装置などの外部装置との接続に用いられる外部接続用の端子(以下、外部コネクタと呼ぶ)を有しているものが多い。外部コネクタを使用しないときにその外部コネクタを塵埃や外力から保護するため、外部コネクタを露出させる筐体の開口には、この開口を閉止するカバー部材が設けられている。カバー部材は、カバー部材にある程度の外力が加わった際にも、容易に開口から脱落しないように、筐体とカバー部材とを係止する係合用の爪(カバー爪)を有する。
【0003】
図面を参照し、関連する携帯電話機について、筐体とカバー部材の関係を説明する。図5は、携帯電話機の外観を示す斜視図、図6は、カバー部材の構造を示す斜視図である。また、図7は、図5のA−A線に沿う一部断面図であり、特に筐体内部の構造を詳細に示している。
【0004】
携帯電話機10は、図5に示すように、表面にキーボード12などが形成された筐体11と、筐体11の一側面に形成され、外部コネクタ用の開口を閉止するカバー部材13とを備えている。カバー部材13は、例えば全体がエラストマー等の弾性材料から形成されており、図6に示すように、カバー本体14と、カバー本体14からこれと直交方向に延びるカバー爪(挿入爪)15と備える。カバー爪15の先端部には、一対の突起16及び溝17が形成されている。突起16は、全体が短冊状の形状を有するカバー爪15の先端部から、幅方向外側に突起しており、筐体側に形成される係止部材と係合し、この係合により、カバー爪15の移動を制限する。突起16は、係合部材とも呼ばれる。
【0005】
図7に示すように、カバー部材13が閉止する開口18の内側には、外部コネクタ19が配設されており、カバー部材13は、外部コネクタ19が使用されないときには、図示の状態にある。外部コネクタ19が使用されるときには、カバー部材13は、開口18と略直交方向に移動させられて、開口18を開放する。外部コネクタ19の使用が終了すると、カバー部材13により開口18が閉止される。カバー部材13には、開口18の開放時にも、筐体11とカバー部材13とを結びつけておく接続片を有していてもよい。
【0006】
カバー部材13で開口18を閉止する際には、カバー部材13のカバー爪15は、筐体11に形成された孔20から挿入される。孔20の幅寸法は、突起16を含むカバー爪15全体の幅寸法よりも僅かに小さく、突起16が孔20を通過する際には、カバー爪15は、孔20の幅方向縁部によって圧縮応力を受ける。この応力により、溝17の幅が縮小することで、カバー爪15全体の幅寸法が縮小し、カバー爪15は孔20を通過する。突起16が孔20を通過すると、孔20の縁部からの応力が消滅し、カバー爪15の幅は元の幅寸法に復元する。開口18を再び開放する際には、カバー爪15は、突起16が孔20を通過するときに、その幅寸法を縮小させる。この構成により、孔20の縁部は、カバー爪15の引抜き方向の移動を制限する係止部材として機能する。上記携帯電話機のカバー部材の構造は、特許文献1にその記載がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−258964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、携帯電話機の多くは、着信等の確認などの目的で、筐体を振動させるバイブレータ機能を有している。バイブレータ機能の作動により、筐体と共に外部コネクタの開口を閉止するカバー部材も振動する。特に、カバー部材のカバー爪が振動すると、カバー爪と筐体内面とが短い周期で接触及び離反を繰り返し、細かな振動音であるビリツキ音を発生させる場合がある。ビリツキ音は、携帯電話機の商品性を低下させる原因となるため、これを防止することが好ましい。しかし、従来は、上記構造のカバー部材でビリツキ音を有効に防止する手法は知られていなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、バイブレータ機能を有する携帯端末装置に好適に採用される構造であって、バイブレータ機能が作動した際にも、筐体内面とカバー部材のカバー爪との間で発生するビリツキ音を効果的に防止できる構造を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、外部に開口を有する筐体と、前記開口を閉止するカバー部材とを備える電子機器であって、
前記カバー部材が、カバー本体と、該カバー本体から延長し弾性を有するカバー爪とを備え、前記カバー爪は、前記筐体に形成された係止部材と係合して、前記カバー部材の移動を制限する係合部材を備え、
前記筐体は、前記カバー部材が前記開口を閉止した際に、前記カバー爪を該カバー爪の弾性力に抗して押圧する押圧部材を有することを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子機器では、筐体が例えばバイブレータ機能によって振動した際にも、押圧部材の押圧力によりカバー爪の振動が制限されるので、筐体とカバー爪との間の接触及び離反を伴うカバー爪の振動が抑制できる。このため、このような振動によるビリツキ音の発生を効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態例に係る電子機器を構成する携帯電話機を、カバー部材を外した状態で示している。携帯電話機10は、表面にキーボード12を有する筐体11と、筐体11の一側面に形成された開口18を閉止するカバー部材13とを有する。カバー部材13に閉止される開口18の内側には、それぞれ外部コネクタが配設されている。外部コネクタが使用されないときには、開口18はカバー部材13で閉止され、外部コネクタの何れかを使用するときには、カバー部材13が外され、開口18が開放される。
【0013】
図2は、図1の携帯電話機10における外部コネクタ近傍の筐体内部の詳細をカバー部材13と共に示している。外部コネクタは、符号19で示している。カバー部材13は、全体がエラストマーなどの弾性材料からなり、カバー本体14と、カバー本体14からこれと直交方向に延びて筐体内部に挿入されるカバー爪15とを有している。カバー爪15は、全体として短冊形状を有し、その先端部には、幅方向の中央部に溝17が形成され、幅方向の両端部に係止用の突起16が形成されている。カバー爪15は、幅方向の両端から中央に向かう圧縮応力を受けると、溝17を狭めるように変形し、応力がなくなると元の形状に復帰する弾性を有する。
【0014】
各外部コネクタ19の前面側に形成された開口18は、通常時にはカバー部材13のカバー本体14で閉止される。筐体11の側面には、開口18の近傍にカバー部材13のカバー爪15を挿入するための孔20が形成されている。孔20内側の筐体内部には、カバー部材13のカバー爪15が挿入された際にこれをガイドするガイド部材21が形成されている。
【0015】
図3は、ガイド部材を含む筐体の近傍を斜視図で示している。筐体11の内部には、2つの外部コネクタ19の間に挟まれる位置にガイド部材21が配置されている。筐体11の一部を成す側面壁22には、外部コネクタ19の前面側の開口と、カバー爪が挿入される孔20とが形成されている。ガイド部材21は、筐体11の内側に向かって高くなるスロープを持ち、筐体11の底面から起立する一対の直角三角形状の板材からなる。孔20の有効幅は、カバー爪15の突起を含む幅よりも僅かに小さく形成されている。
【0016】
図4は、カバー部材13が開口を閉止した状態における筐体内部の一部を断面図で示すもので、図2及び図3のB−B矢視に相当する。カバー部材13により、開口を閉止する際には、カバー爪15の突起16(図2)が孔20を通過するときに、孔20の幅方向縁部によって応力を受け、カバー爪15の幅寸法が小さくなる。突起16が孔20を通過すると、カバー爪15の幅は元の幅寸法に復元する。その後、カバー爪15は、筐体11の底面にガイドされ、その先端がガイド部材21に達する。更に、カバー爪15が前進すると、カバー爪15の先端がガイド部材21のスロープに乗り上げ、ガイド部材21の押圧力により、カバー爪15はその弾性力に抗して上方に持ち上げられる。このように、カバー爪15は、突起16が孔20を通過する時点で、係止部材を構成する孔20の縁部によって、その挿入又は引抜き方向の移動が制限される。また、ガイド部材21のスロープに乗り上げることにより、挿入又は引抜き方向と直交方向の動きが制限される。
【0017】
上記のように、カバー部材13が開口18を閉止している間は、カバー爪15は、ガイド部材21の応力によって上方に押圧されている。従って、携帯電話機のバイブレータ機能が作動しても、ガイド部材21のスロープとの接触が維持される。このため、カバー爪15が筐体との間で振動を発生することはなく、携帯電話機で問題となっていた、カバー爪の振動に起因するビリツキ音の発生が防止できる。特に、この構成により、部品点数をさほど増やすことなく、バイブレータ機能作動時のビリツキ音の抑制が可能になる。
【0018】
上記実施形態では、カバー爪15が1つの例を示したが、カバー爪15が2つ以上のカバー部材を用いることが出来る。また、ガイド部材21がスロープを有する一対の部材からなる例を示したが、ガイド部材は、この例に限られず、カバー爪の挿入及び引抜き方向の移動に支障がない限り、いかなる形状でもよく、例えば、ドーム状の突起でもよい。更に、カバー部材13の全体がエラストマーで形成される例を示したが、カバー部材13は、少なくともその爪が弾性材料で形成されればよく、カバー部材全体が弾性部材から成ることを要しない。更に、カバー爪を挿入する孔は、例えば開口の一部であってもよい。開口は、特に外部コネクタのための開口に限定されず、カバー部材で閉止される筐体の開口であればよい。係止部材は、カバー爪が挿入される孔の縁部に限らず、筐体の内部に形成されていてもよい。
【0019】
更に、上記実施形態では、携帯電話機を例として挙げたが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、筐体とカバー部材との相対移動を制限するカバー爪が、例えばその移動方向と直交する方向の成分を有する押圧力を受けることにより、カバー爪の筐体内面との間での振動が制御されればよい。従って、本発明は、特に携帯端末装置に限らず、或いは、バイブレータ機能を有しなくともよく、その筐体が外部又は内部機器などから振動を受けてビリツキ音発生のおそれがある電子機器に適用可能である。
【0020】
以上、本発明をその好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明の電子機器は、上記実施態様の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施態様の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の斜視図。
【図2】図1の一部詳細を示す斜視図。
【図3】図2の筐体内部の詳細を示す斜視図。
【図4】図2及び図3のB−B矢視を示す断面詳細図。
【図5】関連する携帯電話機の斜視図。
【図6】図5の携帯電話機におけるカバー部材の斜視図。
【図7】図5のA−A矢視を示す断面図。
【符号の説明】
【0022】
10:携帯電話機
11:筐体
12:キーボード
13:カバー部材
14:カバー本体
15:カバー爪
16:突起(係合部材)
17:溝
18:開口
19:外部コネクタ
20:孔
21:ガイド部材(押圧部材)
22:側面壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に開口を有する筐体と、前記開口を閉止するカバー部材とを備える電子機器であって、
前記カバー部材が、カバー本体と、該カバー本体から延長し弾性を有するカバー爪とを備え、前記カバー爪は、前記筐体に形成された係止部材と係合して、前記カバー部材の移動を制限する係合部材を備え、
前記筐体は、前記カバー部材が前記開口を閉止した際に、前記カバー爪を該カバー爪の弾性力に抗して押圧する押圧部材を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記カバー爪の移動方向と、前記押圧部材によるカバー爪への押圧方向とが略直交する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押圧部材が、前記筐体内部に形成され前記カバー爪をガイドするスロープを有する、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記押圧部材が、前記筐体内部に形成されたドーム状の突起部材である、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記開口の内側の筐体内部には、外部機器に接続されるコネクタが配設されている、請求項1〜4の何れか一に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体を振動させるバイブレータ機能を有する、請求項1〜5の何れか一に記載の電子機器。
【請求項7】
携帯端末装置として構成される、請求項1〜6の何れか一に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−111805(P2009−111805A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282789(P2007−282789)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】