説明

電子機器

【課題】上空での電波発信を防止する電子機器を提供すること。
【解決手段】電子機器1は、外部機器251、252、301、302との間で無線通信ユニット14を介してデータ通信を行う通信制御手段15と、無線通信ユニット14による通信を許可する通信許可モードと、無線通信ユニット14による通信を禁止する通信禁止モードとを切り替えるモード切り替え手段15と、高度上昇を判定する高度上昇判定手段15と、高度上昇判定手段15によって高度上昇が判定された場合に通信禁止モードへ切り替えるようにモード切り替え手段15を制御する制御手段15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信方式の異なる領域へ移動した場合に無線通信機能を制限する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−209246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、所定の領域移動を伴わない場合には無線通信機能を制限しないため、たとえば、無線機器の使用が制限されている航空機内で電波を発してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による電子機器は、外部機器との間で無線通信ユニットを介してデータ通信を行う通信制御手段と、無線通信ユニットによる通信を許可する通信許可モードと、無線通信ユニットによる通信を禁止する通信禁止モードとを切り替えるモード切り替え手段と、高度上昇を判定する高度上昇判定手段と、高度上昇判定手段によって高度上昇が判定された場合に通信禁止モードへ切り替えるようにモード切り替え手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項1に記載の電子機器はさらに、通信許可モードへの切り替えを要求する操作信号を発する操作部材と、モード切り替え手段によって通信禁止モードに切り替えられている状態で操作部材から操作信号が発せられた場合に、通信禁止モードである旨を報知する報知手段とを備えてもよい。
(3)請求項2に記載の電子機器において、制御手段は、通信禁止モードへ切り替えられている状態で無線通信ユニットを介するデータ通信以外の動作を許可することもできる。
(4)請求項2に記載の電子機器はさらに、通信許可モードへの強制的な切り替えを要求する強制切り替え信号を発する第2操作部材を備えてもよい。この場合の制御手段は、報知手段による報知の後に第2操作部材から強制切り替え信号が発せられた場合に、通信許可モードへ切り替えるようにモード切り替え手段を制御することもできる。
(5)請求項1に記載の電子機器において、高度上昇判定手段は気圧センサを含み、気圧センサによる気圧検出を所定時間間隔で繰り返し行い、気圧低下を示す情報が所定期間内に所定数以上検出された場合に高度上昇を判定することもできる。
(6)請求項1に記載の電子機器において、高度上昇判定手段は、メインスイッチオフ時も高度上昇判定を行うこともできる。
(7)他の発明による電子機器は、外部機器との間で無線通信ユニットを介してデータ通信を行う通信制御手段と、無線通信ユニットによる通信を許可する通信許可モードと、無線通信ユニットによる通信を禁止する通信禁止モードとを切り替えるモード切り替え手段と、高度を判定する高度判定手段と、高度判定手段によって判定された高度が所定値以上の場合に通信禁止モードへ切り替えるようにモード切り替え手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による電子機器では、上空での電波発信を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による電子カメラ1の構成例を説明するブロック図である。図1において、電子カメラ1は、撮影光学系11と、撮像素子12と、画像処理回路13と、無線通信ユニット14と、CPU15と、RAM16と、表示装置17と、メモリカードインターフェース(I/F)18と、操作部材19と、気圧センサ20と、電源回路21とを備える。
【0008】
CPU15、RAM16、表示装置17、メモリカードインターフェース18、画像処理回路13、および無線通信ユニット14は、それぞれがバス22を介して接続されている。
【0009】
撮影光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系11を単レンズとして図示している。
【0010】
撮像素子12は、受光素子が受光面に二次元配列されたCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系11を通過した光束による被写体像を光電変換してアナログ画像信号を生成する。アナログ画像信号は、不図示のA/D変換回路によってデジタル信号に変換された後、画像処理回路13に入力される。画像処理回路13は、デジタル画像信号に対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理、画像圧縮処理、画像伸張処理など)を施す。
【0011】
無線通信ユニット14は、CPU15からの指示に応じて外部機器との間で無線通信を行う。無線LANモジュールとしての無線通信ユニット14が、外部機器としてのアクセスポイント251、252との間で通信を確立することにより、CPU15が該アクセスポイントを介してインターネット201に接続される。無線通信ユニット14は無線ユニットCPU141および送受信回路142を含む。送受信回路142は、アンテナ143を介して電波の送受信を行う。無線ユニットCPU141は、送受信回路142による送受信動作を制御するともに、送受信回路142に対する送信の許可/禁止を制御する。
【0012】
CPU15は、内蔵する不揮発性メモリに記憶するプログラムを実行することにより、電子カメラ1が行う動作を統括的に制御する。CPU15は、AF(オートフォーカス)動作制御や、自動露出(AE)演算も行う。AF動作は、たとえば、スルー画像のコントラスト情報に基づいてフォーカシングレンズ(不図示)の合焦位置を求めるコントラスト検出方式を用いる。スルー画像は、撮影指示前に撮像素子12によって所定の時間間隔(たとえば30コマ/毎秒)で繰り返し取得されるモニタ用画像のことをいう。
【0013】
表示装置17は液晶パネルによって構成され、CPU15からの指示に応じて画像や操作メニュー画面などを表示する。RAM16はCPU15のワークメモリとして使用される。また、RAM16は、画像処理回路13による画像処理の前工程や後工程でのデジタル画像データを一時的に記憶する。
【0014】
メモリカードインターフェース18はコネクタ(不図示)を有し、該コネクタにメモリカードなどの記憶媒体51が接続される。メモリカードインターフェース18は、接続された記憶媒体51に対するデータの書き込みや、記憶媒体51からのデータの読み込みを行う。記憶媒体51は、半導体メモリを内蔵したメモリカード、またはハードディスクドライブなどで構成される。
【0015】
電源回路21は、CPU15からの指示に応じて撮像素子12、表示装置17および気圧センサ20などに対する電力の供給/遮断を制御する。電子カメラ1は、電池(不図示)が装填されていれば、メインスイッチがオフされていてもCPU15および気圧センサ20へ所定の電力を供給するるように構成されている。
【0016】
操作部材19は、不図示のレリーズボタン、ズームスイッチ、十字スイッチ、メニュースイッチなどを含む。操作部材19は、モード切替え操作やメニュー選択操作など、各操作に応じた操作信号をCPU15へ送出する。
【0017】
電子カメラ1は、記憶媒体51が記憶している画像ファイルを無線通信ユニット14を介してインターネット201上の所定の画像サーバー301へアップロードする「画像転送」機能を有する。電子カメラ1はさらに、画像サーバー301へアップロードした画像とメール宛先とを対応付ける情報をインターネット201上の所定のメールサーバー302へ送る「メール転送」機能を有する。
【0018】
アップロード画像とメール宛先とを対応付ける情報を取得した上記メールサーバー302は、メール宛先へアップロード画像が格納されているURL情報を含むメールを上記メール宛先へ送信するように構成されている。URL情報を含むメールの受取人は、該URLにより指定されるサーバーに格納されている画像の閲覧やダウンロードが可能である。
【0019】
本実施形態は、無線通信ユニット14を介して通信を行う動作モード(無線モードと呼ぶ)に特徴を有するので、以下CPU15が実行する無線モードに関する処理を中心に説明する。
【0020】
<高度上昇判定>
高度上昇判定処理の流れについて、図2に例示するフローチャートを参照して説明する。CPU15は、電子カメラ1に電池(不図示)が装填されている場合に、メインスイッチのオン/オフ状態にかかわらず高度上昇判定処理を繰り返し実行するように構成される。図2のステップS1において、CPU15は10秒間経過したか否かを判定する。CPU15は、不図示のタイマー回路によって10秒を計時した場合にステップS1を肯定判定する。CPU15はさらに、タイマー回路をリセットしてステップS2へ進む。CPU15は、計時時間が10秒に満たない場合はステップS1を否定判定して計時を続ける。これにより、10秒ごとにステップS2以降の処理が実行される。
【0021】
ステップS2において、CPU15は気圧検出を行う。具体的には、気圧センサ20から気圧検出信号を取り込んでステップS3へ進む。ステップS3において、CPU15は、気圧値データをRAM16へ記録してステップS4へ進む。気圧値データは、たとえば、直近の3分間分のデータを上書き記憶(更新記憶)するように構成されている。
【0022】
図3は、時系列に記憶された気圧値データを例示する図である。横軸は時間軸を表し、縦軸は気圧値を表す。図3によれば、時刻t4から時刻t9までに取得された気圧値は、前の時刻の気圧値より減少している。
【0023】
図2のステップS4において、CPU15は、気圧値(N)−気圧値(P)<判定閾値が成立するか否かを判定する。気圧値(N)は注目する気圧値であり、気圧値(P)は1つ前に取得した気圧値である。CPU15は、上式が成立する場合にステップS4を肯定判定してステップS5へ進む。CPU15は、上式が成立しない場合にはステップS4を否定判定し、ステップS6へ進む。
【0024】
ステップS5へ進む場合は気圧値が前回の検出値から所定値以上低下した場合である。CPU15は、ステップS5において、気圧低下値フラグに1をセットしてステップS7へ進む。
【0025】
ステップS6へ進む場合は気圧値が前回の検出値からの低下が所定値に満たない場合である。CPU15は、ステップS6において、気圧低下値フラグに0をセットしてステップS7へ進む。
【0026】
図4は、各時間における気圧低下値フラグを例示する図である。図4によれば、時間t3−t4以降、時間t8−t9まで気圧低下値フラグが1である。
【0027】
図2のステップS7において、CPU15は、気圧低下値フラグが1の回数が過去11回のうち所定数(たとえば6)以上か否かを判定する。CPU15は、気圧低下値フラグ1の回数が6以上の場合にステップS7を肯定判定してステップS8へ進む。CPU15は、気圧低下値フラグ1の回数が6以上でない場合にはステップS7を否定判定し、ステップS1へ戻る。
【0028】
ステップS8において、CPU15は、無線禁止フラグを1にセットしてステップS1へ戻る。無線禁止フラグは、送受信回路142に対する送信を禁止する場合に1がセットされ、送受信回路142に対する送信を許可する場合に0がセットされるフラグである。気圧低下値フラグが図4に例示した値をとる本実施形態では、無線禁止フラグが1にセットされる。
【0029】
<無線モード時制御>
無線モード時の制御処理の流れについて、図5に例示するフローチャートを参照して説明する。CPU15は、たとえば、操作部材19から無線通信のためのメニュー画面を表示させる操作信号が入力された場合、図5による処理を起動する。
【0030】
図5のステップS11において、CPU15は、無線禁止フラグが1か否かを判定する。CPU15は、無線禁止フラグが1(送受信回路142による送信禁止)の場合にステップS11を肯定判定してステップS12へ進む。CPU15は、無線禁止フラグが0(送受信回路142による送信許可)の場合にステップS11を否定判定してステップS16へ進む。
【0031】
ステップS12において、CPU15は、表示装置17に警告表示を行わせる。図6は、表示装置17による表示画面を例示する図である。CPU15は、たとえば、「飛行中の可能性があるので無線通信を禁止しています。」というメッセージを表示させた上で、無線通信禁止を解除するか否かを確認するメッセージを表示装置17にさらに表示させてステップS13へ進む。
【0032】
ステップS13において、CPU15は、無線通信機能を有効にする操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、たとえば、図6に例示した表示画面中の「はい」61を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されると、ステップS13を肯定判定してステップS14へ進む。一方、CPU15は、図6に例示した表示画面中の「いいえ」62を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されると、ステップS13を否定判定してステップS26へ進む。
【0033】
ステップS14において、CPU15は、無線通信禁止の解除が指示されたと判定して表示装置17における警告表示を終了させてステップS15へ進む。ステップS15において、CPU15は、無線禁止フラグを0にセットしてステップS16へ進む。これにより、無線通信禁止を解除する。
【0034】
ステップS16において、CPU15は、図7に例示する無線通信メニュー画面を表示装置17に表示させてステップS17へ進む。ステップS17において、CPU15は、画像転送モードへ移行する操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、たとえば、図7に例示した表示画面中の「画像転送」71を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されると、ステップS17を肯定判定してステップS18へ進む。一方、CPU15は、図7に例示した表示画面中の「画像転送」71を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されなければステップS17を否定判定してステップS21へ進む。
【0035】
ステップS18において、CPU15は、無線通信ユニット14の駆動許可信号を1にさせてステップS19へ進む。具体的には、無線ユニットCPU141へ指示を送り、送受信回路142を発信可能な状態にする。
【0036】
ステップS19において、CPU15は「画像転送」処理を行う。CPU15は、たとえば、操作部材19からの操作信号によって指示された画像ファイルを、インターネット201上の画像サーバー301へアップロードするように無線通信ユニット14を介して送信させる。CPU15は、アップロード送信処理が終了するとステップS20へ進む。
【0037】
ステップS17を否定判定して進むステップS21において、CPU15は、メール転送モードへ移行する操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、たとえば、図7に例示した表示画面中の「メール転送」72を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されると、ステップS21を肯定判定してステップS22へ進む。一方、CPU15は、図7に例示した表示画面中の「メール転送」72を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されなければステップS21を否定判定してステップS24へ進む。
【0038】
ステップS22において、CPU15は、無線通信ユニット14の駆動許可信号を1にさせてステップS23へ進む。具体的には、無線ユニットCPU141へ指示を送り、送受信回路142を発信可能な状態にする。たとえば、あらかじめ送受信回路142へ電力を供給しておき、「駆動許可信号を1にする」指示を受けた無線ユニットCPU141が送受信回路142を初期化することによって発信可能な状態にする。
【0039】
ステップS23において、CPU15は「メール転送」処理を行う。CPU15は、たとえば、操作部材19からの操作信号によって指示された画像と、操作部材19からの操作信号によって指示されたメール宛先とを対応付ける情報を、インターネット201上の所定のメールサーバー302へ無線通信ユニット14を介して送信させる。CPU15は、送信処理が終了するとステップS20へ進む。
【0040】
ステップS21を否定判定して進むステップS24において、CPU15は、無線モードをオフする操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、たとえば、図7に例示した表示画面中の「無線モード終了」73を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されると、ステップS24を肯定判定してステップS25へ進む。一方、CPU15は、図7に例示した表示画面中の「無線モード終了」73を選択した状態で、操作部材19を構成する十字スイッチ(不図示)から右操作を示す操作信号が入力されなければステップS24を否定判定してステップS17へ戻る。
【0041】
ステップS25において、CPU15は、図7に例示した無線通信メニュー表示を終了させ、図5による無線モード時の制御処理を終了する。
【0042】
ステップS20において、CPU15は、無線通信ユニット14の駆動許可信号を0にさせて図5による無線モード時の制御処理を終了する。具体的には、無線ユニットCPU141へ指示を送り、送受信回路142を発信停止状態にする。
【0043】
上述したステップS13を否定判定して進むステップS26において、CPU15は、撮影モードへ移行する操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、たとえば、操作部材19を構成するレリーズボタン(不図示)から半押し操作信号が入力されると、ステップS26を肯定判定してステップS27へ進む。一方、CPU15は、操作部材19を構成するレリーズボタン(不図示)から半押し操作信号が入力されない場合には、ステップS26を否定判定してステップS13へ戻る。
【0044】
ステップS27において、CPU15は、表示装置17における警告表示を終了させてステップS28へ進む。ステップS28において、CPU15は、無線モード時の制御処理を終了させるとともに、所定の撮影モード処理を開始させて図5による処理を終了する。
【0045】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)CPU15が気圧センサ20による気圧値データに基づいて高度上昇を判定した場合に、無線禁止フラグを1(送受信回路142による送信禁止)にするようにした。これにより、たとえば、ユーザーが無線通信機能を備える電子カメラ1を航空機内に手荷物として持ち込んだ場合に、上空における電波発信を自動的に禁じることができる。
【0046】
(2)無線禁止フラグを1(送受信回路142による送信禁止)にした状態で操作部材19から無線通信のための操作信号が入力された場合、電子カメラ1の表示装置17に無線通信を禁止している旨を知らせる表示を行うようにした。これにより、飛行中の機内はもちろんのこと、地上へ降りた以降でも無線通信を禁止中であること、およびその理由を知らせることができる。
【0047】
(3)ユーザーによる操作部材19からの強制的な解除操作(図6の画面中「はい」61を選択した状態において十字スイッチ(不図示)を右操作)が行われない限り、無線禁止フラグの1(送受信回路142による送信禁止)を維持するようにした。自動解除をしないので、誤動作による解除を防ぐことができる。
【0048】
(4)無線禁止フラグを1(送受信回路142による送信禁止)にした状態であっても、撮影モードへの移行を可能にしたので、撮影動作などを許可する一方で送受信回路142による通信のみを限定的に制限できる。
【0049】
(5)操作部材19からの強制的な解除操作により、無線禁止フラグ1(送受信回路142による送信禁止)から無線禁止フラグ0(送受信回路142による送信許可)へ解除可能にした。これにより、たとえば、急な気圧低下(高層ビルの高層階直通エレベータによる低層階から高層階への移動)に基づいて高度上昇が判定されたことに起因して、無線禁止フラグが1(送受信回路142による送信禁止)になった場合には、無線通信機能を使えるように無線禁止フラグを0(送受信回路142による送信許可)に戻すことができる。
【0050】
(6)気圧センサ20による気圧検出情報を所定時間間隔(10秒)ごとに取り込み、所定値以上の気圧値低下が所定回以上続いた場合にのみ高度上昇を判定するようにしたので、気圧値の上昇や低下が安定しない状況での誤判定を防止できる。
【0051】
(7)メインスイッチがオフ状態でも高度上昇判定をするようにしたので、飛行中の機内でメインスイッチをオンさせた場合でも、上空における電波発信を自動的に禁じることができる。
【0052】
(変形例1)
上述した実施形態では、CPU15が気圧値データに基づいて高度上昇を判定する例を説明したが、高度計による高度検出データを用いて高度判定を行う構成にしてもよい。この場合には、電子カメラ1が高度検出信号を出力する高度計を備える。
【0053】
変形例1のCPU15は、たとえば、10秒ごとに高度計による高度検出信号を取り込み、所定高度より高い高度検出情報が6個以上続けて検出された場合に無線禁止フラグを1(送受信回路142による送信禁止)にする。このように、気圧センサ20の代わりに高度計を備えるようにしても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0054】
(変形例2)
無線通信ユニット14は、電子カメラ1に内蔵するタイプの他、電子カメラ1に後から接続可能な着脱タイプとして構成してもよい。
【0055】
(変形例3)
無線通信ユニット14の駆動許可信号を1にすることの他の例として、以下のように構成することもできる。すなわち、送受信回路142に対する電力供給を通常は遮断しておき、「駆動許可信号を1にする」指示を受けた無線ユニットCPU141が、送受信回路142に対する電力供給を開始させることによって送受信回路142を発信可能な状態にする。そして、無線ユニットCPU141が「駆動許可信号を0にする」指示を受けた場合には、送受信回路142に対する電力供給を遮断することによって送受信回路142を発信禁止状態にする。
【0056】
(変形例4)
電子機器として電子カメラ1を例に説明したが、内蔵/外付けタイプにかかわらず無線通信ユニット14を介して無線通信を行うものであれば、携帯型パソコン(パーソナルコンピュータ)やPDA、携帯電話機でも本発明を適用して構わない。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態による電子カメラの構成例を説明するブロック図である。
【図2】高度上昇判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】時系列に記憶された気圧値データを例示する図である。
【図4】各時間における気圧低下値フラグを例示する図である。
【図5】無線モード時の制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】表示装置による警告表示画面を例示する図である。
【図7】無線通信メニュー画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0059】
1…電子カメラ
12…撮像素子
13…画像処理回路
14…無線通信ユニット
15…CPU
16…RAM
17…表示装置
19…操作部材
20…気圧センサ
21…電源回路
251、252…アクセスポイント
301…画像サーバー
302…メールサーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器との間で無線通信ユニットを介してデータ通信を行う通信制御手段と、
前記無線通信ユニットによる通信を許可する通信許可モードと、前記無線通信ユニットによる通信を禁止する通信禁止モードとを切り替えるモード切り替え手段と、
高度上昇を判定する高度上昇判定手段と、
前記高度上昇判定手段によって高度上昇が判定された場合に前記通信禁止モードへ切り替えるように前記モード切り替え手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記通信許可モードへの切り替えを要求する操作信号を発する操作部材と、
前記モード切り替え手段によって前記通信禁止モードに切り替えられている状態で前記操作部材から操作信号が発せられた場合に、前記通信禁止モードである旨を報知する報知手段とをさらに備えることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記制御手段は、前記通信禁止モードへ切り替えられている状態で前記無線通信ユニットを介するデータ通信以外の動作を許可することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器において、
前記通信許可モードへの強制的な切り替えを要求する強制切り替え信号を発する第2操作部材をさらに備え、
前記制御手段は、前記報知手段による前記報知の後に前記第2操作部材から強制切り替え信号が発せられた場合に、前記通信許可モードへ切り替えるように前記モード切り替え手段を制御することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記高度上昇判定手段は気圧センサを含み、前記気圧センサによる気圧検出を所定時間間隔で繰り返し行い、気圧低下を示す情報が所定期間内に所定数以上検出された場合に前記高度上昇を判定することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器において、
前記高度上昇判定手段は、メインスイッチオフ時も前記高度上昇判定を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
外部機器との間で無線通信ユニットを介してデータ通信を行う通信制御手段と、
前記無線通信ユニットによる通信を許可する通信許可モードと、前記無線通信ユニットによる通信を禁止する通信禁止モードとを切り替えるモード切り替え手段と、
高度を判定する高度判定手段と、
前記高度判定手段によって判定された高度が所定値以上の場合に前記通信禁止モードへ切り替えるように前記モード切り替え手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−290425(P2009−290425A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139292(P2008−139292)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】