説明

電子機器

【課題】時間経過に伴って音声データの音声品質を劣化させてユーザに提供することができるようにする。
【解決手段】配信サーバは、ネットワークを介して受信された音声データを記録部に記録しておく。コンテンツ再生処理制御部31dは、記録された音声データの音声品質を劣化させる音声劣化部を有し、音声データに対する再生要求が入力された場合に、音声データが記録されてからの経過時間に基づいて音声品質が劣化された音声データを生成して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声データを記録し、この音声データをもとに音声を出力させるための電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバからネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータや携帯電話機などの端末装置に対して、音声データを配信する各種サービスが提供されている。この種のサービスを提供するシステム(サーバ)では、音声データに様々な音響効果を付加して演出効果を高めている。
【0003】
音声データを提供するシステムとしては、例えば音声チャットシステムがある(例えば特許文献1)。特許文献1に記載された音声チャットシステムは、仮想空間にキャラクタを配置して音声チャットを可能とするシステムであり、チャット音声を出力する前に仮想空間と音声の関連を密にするような音声変換処理あるいは音声合成処理を施す。例えば、仮想空間に配置されたキャラクタ以外の音の存在によって音声の聞こえ方が変わるようにしたり、仮想空間内を移動しながら発声するキャラクタの声が移動とともにリアルタイムに変化して聞こえるようにする。また、チャット音声が、仮想空間内で発生するチャット音声以外の音に影響されたり、音声を実際に発しているユーザの身体状態に影響されるようにしている。
【特許文献1】特開2004−267433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来では、音声データを提供するシステムにおいて、音声データを状況に合わせて変化させて出力することが行われている。一般に、音声データを記録し、これを提供するシステムでは、特許文献1に記載されたシステムのように、特定の目的をもった音声となるように音声データを変換するか、あるいは音声品質を向上させるために音声データの生成が行われていた。
【0005】
このため従来のシステムでは、時間経過に伴って、ユーザが意図することなく音声品質が劣化していくという演出をすることができなかった。
【0006】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、時間経過に伴って音声データの音声品質を劣化させてユーザに提供することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、音声データを記録する音声データ記録手段と、前記音声データ記録手段により記録された音声データの音声品質を劣化させる音声劣化手段と、前記音声データ記録手段により記録された音声データに対する再生要求を入力する再生要求入力手段と、前記再生要求入力手段により入力された再生要求に対して、前記音声データが前記音声データ記録手段により記録されてからの経過時間に基づいて前記音声劣化手段により音声品質が劣化された音声データを出力する音声データ出力手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録された音声データについて、時間経過に伴って音声データの音声品質を劣化させてユーザに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における電子機器を用いたシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、電子機器は、データ配信サービスを提供する配信サーバ10として構成されている。配信サーバ10は、インターネットや公衆電話網などを含むネットワーク12を介して、パーソナルコンピュータ13、携帯電話機14、ゲーム機15などの端末装置(電子機器)と接続されている。
【0010】
配信サーバ10は、パーソナルコンピュータ13、携帯電話機14、ゲーム機15などの電子機器から提供されるコンテンツデータを受信し、また電子機器からの要求に応じてコンテンツデータを配信するサービスを提供する。パーソナルコンピュータ13、携帯電話機14、ゲーム機15などの電子機器は、送信側あるいは受信側クライアントとして使用される。なお、パーソナルコンピュータ13、携帯電話機14、ゲーム機15に限らず、ネットワーク12を介して配信サーバ10と接続可能な機能が搭載された電子機器であれば、送信側/受信側クライアントとして使用することができる。
【0011】
図2は、送信側クライアント17、配信サーバ10、受信側クライアント18の関係を示す図である。
配信サーバ10は、送信側クライアント17(第1の端末装置)から送信された、データ配信を制御するための制御情報が付加されたコンテンツデータを受信し、この受信された複数のデータを所定の分類によって記録しておく。コンテンツデータには、例えば画像(動画、静止画)、テキストデータ、音声データ等を含むことができる。配信サーバ10は、受信側クライアント18(第2の端末装置)からのデータ配信要求を受け付けると、記録されたデータのそれぞれに対して付加された制御情報に従って配信対象とするデータを選択し、受信側クライアント18に配信するサービスを提供する。配信サーバ10は、制御情報に含まれる、例えばデータの保存期間、再生回数、パスワードの有無などのデータ(配信ルール情報)に基づいてデータ配信を制御することで、送信先の数に制限がない不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信、送信先の数に制限を付けた不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信、送信先を1つに制限した不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信を実現する。また、配信サーバ10に記録されるコンテンツデータは、送信側クライアントから受信されものに限らず、予め配信サーバ10側で用意されたデータも含まれる。例えば、企業から提供されるコマーシャル用のデータがサービス提供側で用意されていても良い。
【0012】
図3は、配信サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
配信サーバ10は、図3に示すように、制御部31、入力部32、表示部33、記録装置37、及び通信部38が設けられている。
【0013】
制御部31は、プロセッサやメモリを含んで構成されるもので、各種プログラムをプロセッサにより実行することにより各種の機能を実現することができる。制御部31は、 ネットワーク12を介して接続されたクライアント17,18に対してデータ配信サービスを提供するもので、送信側クライアント170からのコンテンツのアップロード、コンテンツの記録、及び受信側クライアント18に対するコンテンツのダウンロード(データ配信)のための制御を行う。制御部31は、サーバ用のデータ配信プログラムを実行することで、コンテンツ作成処理制御部31a、コンテンツ保存処理制御部31b、コンテンツ検索処理制御部31c、及びコンテンツ再生処理制御部31dの機能を実現する。
【0014】
コンテンツ作成処理制御部31aは、送信側クライアント17からデータ配信を制御するための少なくとも保存期間と再生回数を含む制御情報が付加されたコンテンツデータとコンテンツデータの分類先とする区分の指定を受信し、コンテンツデータと制御情報をもとに配信用のコンテンツデータを作成する。また、コンテンツ作成処理制御部31aは、送信側クライアント17から、コンテンツデータとして、音声に対する音響効果の指定と送信側クライアント17において入力された音声データを受信し、音声データに対して、指定された音響効果を付加して配信用の音声データファイルを生成することができる。さらに、コンテンツ作成処理制御部31aは、送信側クライアント17から、音声に対する音響効果の指定と、送信側クライアント17において入力されたテキストデータを受信し、この受信されたテキストデータが示す文章の音声データを生成して、同音声データに対して、指定された音響効果を付加して配信用の音声データファイルを生成することができる。
【0015】
コンテンツ保存処理制御部31bは、送信側クライアント17から受信されたコンテンツデータ(音声データを含む)を複数の区分(通常フィールド)に分類して記録装置37において記録する。コンテンツ保存処理制御部31bは、送信側クライアント17から受信したコンテンツを記録する際には、送信側クライアント17から区分(通常フィールド))の指定を受信して、制御情報と関連付けて分類して記録する。また、コンテンツ保存処理制御部31bは、コンテンツに対して設定された保存期間が経過した場合には、通常フィールドにおいて分類して記録されたコンテンツを削除予定フィールドに移動して、所定の期間が経過した後に削除する。なお、コンテンツ保存処理制御部31bは、削除予定フィールドに移動されたコンテンツに対して、例えば送信側クライアント17から音声データに対する音声品質の劣化のための制御データ、例えば削除されるまでの期間の延長を指示するデータ等を受信することができる。コンテンツ保存処理制御部31bは、この制御データに応じて削除するまでの所定の期間を変更する。
【0016】
コンテンツ検索処理制御部31cは、受信側クライアント18から区分の指定と共にデータ配信要求を受け付け、このデータ配信要求に応じて、記録装置37に指定された区分に分類して記録された複数のコンテンツデータから配信対象とするコンテンツデータを選択する。また、コンテンツ検索処理制御部31cは、コンテンツに付加された制御情報(保存期間、再生回数、パスワード等)に従って、配信対象とするデータを選択する。また、コンテンツ検索処理制御部31cは、削除予定フィールドに移動されたコンテンツを検索対象とすることもできる。
【0017】
コンテンツ再生処理制御部31dは、コンテンツ検索処理制御部31cにより選択されたコンテンツデータを受信側クライアント18に配信して、受信側クライアント18において再生出力させる。コンテンツ再生処理制御部31dは、削除予定フィールドに記録されたコンテンツに対しては、音声データに対して、記録されてからの経過時間に基づいて音声品質を劣化させて提供する。すなわち、コンテンツ再生処理制御部31dは、削除予定フィールドに記録されたコンテンツが削除されるまでの所定の期間に合わせて、段階的に音声品質が劣化していくように音声処理が実行される。コンテンツ再生処理制御部31dの詳細な構成については後述する(図4参照)。
【0018】
記録部37は、ハードディスク等の記録媒体への記録を制御する。記録部37は、コンテンツ保存処理制御部31bにより複数のコンテンツデータが複数の区分に分類して記録される他、サービスを提供するために必要な各種のデータが記録される。記録部37では、送信側クライアント17からアップロードされたコンテンツは、論理的に設定される通常フィールドにおいて記録され、コンテンツに対して設定された保存期間が経過した後には、削除予定フィールドにおいて記録される。
【0019】
通信部38は、ネットワーク12を介してクライアント20等との通信を制御する。
【0020】
図4は、コンテンツ再生処理制御部31dの詳細な機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、コンテンツ再生処理制御部31dには、再生要求入力部40、音声劣化部41、計時部42、及び音声出力部43の機能が設けられている。
【0021】
再生要求入力部40は、コンテンツ保存処理制御部31bによって記録されたコンテンツ(音声データを含む)に対する再生要求を入力するもので、コンテンツ検索処理制御部31cによって選択されたコンテンツデータを再生対象とする。
【0022】
音声劣化部41は、コンテンツ保存処理制御部31bによって記録部37に記録された音声データの音声品質を劣化させる処理を実行するもので、特に、削除予定フィールドに記録されたコンテンツの音声データに対して、計時部42により算出されるコンテンツ(音声データ)が記録部37に記録されてからの経過時間に基づいて段階的に音声品質を劣化させる。
【0023】
計時部42は、コンテンツデータが記録部37に記録されてからの経過時間を算出する。計時部42は、記録部37の通常フィールドから削除フィールドに移行されたコンテンツ、すなわち保存期間が過ぎたコンテンツの経過時間を算出する。
【0024】
音声出力部43は、再生要求入力部40により入力された再生要求に対して、コンテンツデータに含まれる音声データを出力する。音声出力部43は、通常フィールドに記録されているコンテンツの音声データについては、元のままの音声品質による音声データを出力し、保存期間が経過して削除予定フィールドに記録されたコンテンツの音声データについては、削除フィールドに移動されてからの経過時間に応じて音声劣化部41により音声品質が劣化された音声データを出力する。
【0025】
次に、ユーザによって設定される制御情報に含まれる配信ルール情報の一例について説明する。図5は、配信ルール情報の一例を示している。本実施形態では、例えば配信ルールとして、保存期間、再生回数、パスワードの有無などを、プレイヤが任意に指定することができる。
【0026】
保存期間は、配信サーバ10にアップロードされてからダウンロードを終了するまでの期間を示すもので、例えば1日〜7日の間で任意に指定することができる。
【0027】
再生回数は、配信サーバ10にアップロードされたコンテンツデータを受信側クライアント18に配信可能な回数を示すもので、例えば1回〜10回までの任意の回数、あるいは無制限を指定することができる。例えば、再生回数を無制限とすることで、送信先の数に制限がない不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信を実現することができる。また、再生回数を2回〜10回の任意回数とすることで、送信先の数に制限を付けた不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信を実現することができる。また、再生回数を1回とすることで、送信先を1つに制限した不特定の受信側クライアント18に対するデータ送信を実現することができる。
【0028】
パスワードは、ユーザが任意に設定するか否かを選択することができる。パスワードについては、英数字であらわしたり、図形の組み合わせなどによって設定することができる。パスワードを有りにすることで、パスワードを知るユーザのみがコンテンツをダウンロードすることができるので、送信先を1つに制限した特定の受信側クライアント18に対するデータ送信を実現することができる。
【0029】
次に、送信側クライアント17からアップロードされるコンテンツの保存形態について図6を参照しながら説明する。
本実施形態では、コンテンツデータをアップロードする場合、保存先として複数の通常フィールドの何れかを選択することができる。通常フィールドとしては、例えば「森」「お墓」「街」など、ユーザが認識し易い名称が付されているものとする。コンテンツをアップロードするユーザは、コンテンツの内容などを考慮して、何れかの適当な名称が付された通常フィールドを選択してアップロードすることができる。また、コンテンツをダウンロードしようとするユーザは、フィールドの名称をもとに何れかを選択することで、所望するイメージに合ったコンテンツをダウンロードし易くできる。
【0030】
また、各通常フィールドには、予め決められたトラックが用意されており、そのトラック数の分のコンテンツデータがアップロード可能であるものとする。配信サーバ10では、保存先情報が示す通常フィールドとトラックをもとに、アップロードされた各コンテンツデータを管理する。
【0031】
さらに、通常フィールドに保存されたコンテンツの保存期間が経過した後の保存先として削除予定フィールドが用意されている。削除予定フィールドには、複数のトラックが用意されており、そのトラックにコンテンツデータが保存可能であるものとする。通常フィールドに保存されていたコンテンツは、保存期間を過ぎると、削除予定フィールドに移動され、その時の時刻を示す記録時刻データがコンテンツデータと共に記録される。この記録時刻データをもとに、コンテンツが削除予定フィールドに移動されてからの経過時間を算出することができる。削除予定フィールドに保存されたコンテンツ(音声データを含む)は、所定の期間が経過した後に削除される。
【0032】
次に、本実施形態における配信サーバ10の動作について説明する。
送信側クライアント17では、音声を含むコンテンツをアップロードする場合には、音声データの録音作業が行われ、必要に応じて各種の音響効果の種類の指定などが行われる。コンテンツ作成処理制御部31aは、クライアント20から音声データを受信し、指定された音響効果を付加した音声データを生成する。さらに、コンテンツに画像やテキストを含む場合には、コンテンツ作成処理制御部31aは、送信側クライアント17から画像データやテキストデータを受信して、コンテンツデータとして音声データと共に一時保存する。
【0033】
また、送信側クライアント17では、コンテンツのデータ配信を制御するための制御情報(配信ルール情報)の設定が行われる。
【0034】
送信側クライアント17では、配信ルールに該当する保存時間、再生回数、パスワードの有無、名前などが、ユーザ操作によって任意に設定される。配信サーバ10のコンテンツ作成処理制御部31aは、送信側クライアント17において設定された制御情報を受信し、それまでに一時保存していた音声データ、画像データあるいはテキストデータと共にコンテンツデータとして確定保存する。
【0035】
次に、コンテンツ作成処理で作成されたコンテンツを配信可能となるように保存するコンテンツ保存処理について説明する。
送信側クライアント17では、コンテンツ作成処理で作成されたコンテンツをアップロードする場合、保存先とする通常フィールドがユーザにより指定される。例えば、フィールド選択画面において、ポインティングデバイスやボタンなどの操作により、コンテンツの保存先とする通常フィールドを指定する。通常フィールドとしては、例えば「森」「お墓」「街」などが用意されており、作成したコンテンツの内容やコンテンツの配信要求で指定されやすくなるように何れかの適当な名称が付されたフィールドを選択することができる。送信側クライアント17は、フィールド決定が指示されると、配信サーバ10のコンテンツ保存処理制御部31bに対して選択フィールドを送信する。
【0036】
コンテンツ保存処理制御部31bは、選択フィールドを受信すると、このフィールドに空きトラックがあれば、コンテンツ作成処理により作成されたコンテンツを、選択された通常フィールドに分類して記録部37において保存する。
【0037】
次に、通常フィールドに保存されたコンテンツデータを、削除予定フィールドに移動するための音声データ記録処理について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
コンテンツ保存処理制御部31bは、記録部37において通常フィールドに分類して記録されたコンテンツデータについて、各コンテンツに付加された制御情報(配信ルール)を参照して、保存期間が経過したものを検索する(ステップA1)。
【0039】
ここで、保存期間が経過したコンテンツデータがあった場合(ステップA2、Yes)、コンテンツ保存処理制御部31bは、検索されたコンテンツデータを削除予定フィールドに移動させる(ステップA3)。削除予定フィールド中の何れかのトラックに、保存期間が経過したコンテンツデータを登録する。
【0040】
そして、削除予定フィールドに移動された時刻を示す記録時刻データをコンテンツデータに付加して記録する(ステップA4)。
【0041】
削除予定フィールドに記録されたコンテンツデータは、通常フィールドに記録されたコンテンツと同様にしてダウンロード対象となる。すなわち、受信側クライアント18において、コンテンツの検索対象とするフィールドとして削除予定フィールドが指定された場合に、この削除予定フィールドからコンテンツデータが選択される。詳細については後述する。
【0042】
次に、配信サーバ10からコンテンツをダウンロードするコンテンツ検索処理について説明する。
受信側クライアント18では、コンテンツのダウンロードがユーザにより要求されると、コンテンツの探し方を選択するための選択画面を表示させ、例えばフィールドの指定によってコンテンツのダウンロードを要求するのか、あるいはパスワードを指定することにより要求するのかをユーザにより指定させる。
【0043】
ここで、「フィールドから探す」が指定された場合には、受信側クライアント18は、コンテンツの検索対象とするフィールドを指定するためのフィールド選択画面を表示させ、その中か何れかのフィールドをユーザにより選択させる。各フィールドには、フィールドに付された名称(例えば「森」「お墓」「街」など)と関連する内容のコンテンツが記録されている傾向があるため、所望するコンテンツの内容に関連する何れかの名称のフィールドを選択することで、所望する内容のコンテンツを取得され易くなる。また、ここでは、コンテンツの検索対象とするフィールドとして削除予定フィールドを選択することもできる。
【0044】
コンテンツ検索処理制御部31cは、受信側クライアント18から選択フィールドの指定を受信すると、選択されたフィールドに分類して記録された配信ルールを満たす複数のコンテンツからダウンロード対象とするコンテンツを選択する。すなわち、配信ルールの保存期間、再生回数とが有効であり、パスワードが設定されていない配信可能なコンテンツからランダムに1つのコンテンツを選択する。
【0045】
また、コンテンツ検索処理制御部31cは、受信側クライアント18から削除予定フィールドの指定を受信した場合には、削除予定フィールドからダウンロード対象とするコンテンツをランダムに選択する。
【0046】
コンテンツ検索処理制御部31cは、フィールドから選択したコンテンツを再生出力させるためのコンテンツ再生処理をコンテンツ再生処理制御部31dにより実行させる。また、コンテンツ検索処理制御部31cは、削除予定フィールドからコンテンツを選択した場合には、コンテンツ再生処理制御部31dに対して、コンテンツデータに設定されている記録時刻データを通知する。
【0047】
次に、コンテンツを受信側クライアント18において再生出力させるコンテンツ再生処理について説明する。
配信サーバ10のコンテンツ再生処理制御部31dは、再生要求入力部40によりコンテンツの再生要求を受信すると、コンテンツ検索処理制御部31cによって選択されたコンテンツが削除予定フィールドに保存されていたデータでない場合には、音声出力部43により記録装置37の通常フィールドに記憶されていたコンテンツを、そのまま受信側クライアント18に対して送信する。また、コンテンツ再生処理制御部31dは、受信側クライアント18に送信されたコンテンツに対して設定された制御情報(配信ルール)を更新する。すなわち、コンテンツデータの再生回数が無制限に設定されていなければ、再生回数を更新(デクリメント)する。
【0048】
受信側クライアント18は、受信したコンテンツデータをもとにコンテンツ再生画面を表示させ、コンテンツを再生出力する。すなわち、画像を表示させると共に、コンテンツデータに含まれる音声を再生出力させる。
【0049】
一方、コンテンツ再生処理制御部31dは、コンテンツ検索処理制御部31cによって選択されたコンテンツが削除予定フィールドに保存されていたデータである場合には、コンテンツデータに含まれる音声データに対して劣化音声再生処理を実行する。
【0050】
図8は、劣化音声再生処理を説明するためのフローチャートである。
コンテンツ再生処理制御部31dは、再生要求入力部40により削除予定フィールドに保存されていたコンテンツの再生要求を受信する(ステップB1、Yes)、音声劣化部41によりコンテンツデータ中の音声データの品質を劣化させるための処理を実行させる。
【0051】
音声劣化部41は、計時部42により計時されている現在時刻を取得して、コンテンツ検索処理制御部31cから受信した記録時刻データが示す録音時刻(削除予定フィールドに保存された時刻)からの経過時間を算出する(ステップB2)。そして、音声劣化部41は、経過時間に応じて、経過時間が長いほど、より音を劣化させるように音声データに対する加工処理を実行する(ステップB3)。
【0052】
音声出力部43は、音声劣化部41によって品質が劣化された音声データを含むコンテンツを、受信側クライアント18に対して送信し、受信側クライアント18において時間経過に応じて品質が劣化された音を再生出力させる(ステップB4)。
【0053】
これにより、通常フィールドに保存されていたコンテンツ(音声データ)が、保存期間を経過したことにより削除予定フィールドに移され、時間が経過するほど品質を劣化させることで、例えばコンテンツが溶けていく、あるいは腐っていくような印象をユーザに与える演出が可能となる。
【0054】
図9には、音声劣化部41において音声の品質を劣化させる方法の一例(音声波形の変化)を示している。
図9(a)は、音声データのサンプリングレートをレートダウンする手法を示している。例えば、原音とする音声データのサンプリングレートが44100Hzであった場合に、1/8にレートダウン(サンプリングレート5512.5Hz)にすることにより音の品質を劣化させることができる。音声劣化部41は、経過時間が長くなるに従って、例えばサンプリングレートを1/2、1/4、1/8、…のように段階的にレートダウンしていくことによって、経過時間が長くなるほど品質が劣化した音声データを生成することができる。
【0055】
図9(b)は、音声データのサンプリングビット長を少なくすることにより音を劣化させる手法を示している。例えば、原音とする音声データがビット長16ビットで表されている場合に、ビット長を8ビットにダウンさせた音声データに変換することで、音声データが持つ情報量を削減して音の品質を劣化させることができる。音声劣化部41は、経過時間が長くなるに従って、例えば8ビット、4ビットのようにビット長を段階的にダウンさせていくことによって、経過時間が長くなるほど品質が劣化した音声データを生成することができる。
【0056】
図9(c)は、原音に対して周波数フィルタ(EQ)をかけることにより音を劣化させる手法を示している。例えば、ハイカットフィルタに原音を通過させることにより所定の周波数以上の音をカットすることにより音を劣化させる。音声劣化部41は、経過時間が長くなるに従って、カットする基準となる所定の周波数を下げていくことにより、経過時間が長くなるほど品質が劣化した音声データを生成することができる。
【0057】
図9(d)は、原音に対してノイズを付加することにより音を劣化させる手法を示している。例えば、原音に対してホワイトノイズを付加することにより音を劣化させる。音声劣化部41は、経過時間が長くなるほど、原音に付加するノイズの量を増加させていくことにより、経過時間が長くなるほど品質が劣化した音声データを生成することができる。
【0058】
音声劣化部41は、前述した図9(a)〜(d)に示す音を劣化させる手法の何れかを用いて、音声データを変換することができる機能が搭載されるものとする。
【0059】
なお、前述した説明では、単に経過時間に応じて音声の品質を劣化させるとしているが、品質を劣化させるペースを変化させることが可能である。
【0060】
例えば、基本的には、削除予定フィールドに移されたコンテンツ(音声データ)は、予め決められた期間(例えば5日)が経過した時点で消滅する、すなわち再生音声が認識されなくなるように、その期間内では一定のペースで品質を段階的に劣化させていくようにする。
【0061】
また、コンテンツに対して設定された保存期間に応じて品質を劣化させるペースを変えるようにしても良い。例えば、配信ルールにおいて7日が設定されていたコンテンツについては、同じ日数の7日が経過した時点で消滅する(認識できない)ように段階的に音声の品質を劣化させていき、3日が設定されているコンテンツについては、同様にして3日が経過した時点で消滅するように音を劣化させるレベルを変化させることにより、コンテンツの違いによって腐っていくペースが異なるような演出をすることができる。
【0062】
さらに、削除予定フィールドに移動されたコンテンツに対して、例えば同コンテンツをアップロードした送信側クライアント17から、音声データに対する音声品質の劣化のための制御データを受信し、この制御データに応じて音声データの音声品質を劣化させるようにしても良い。例えば、腐っていくことを表すように演出が加えられる削除フィールドに保存されたコンテンツに対して、防腐剤の追加を指示する制御データ、すなわちコンテンツが完全に消滅するまでの期間を延長することを指示する制御データを送信側クライアント17から受信する。コンテンツ再生処理制御部31d(音声劣化部41)は、制御データに応じて、削除予定フィールドに保存された音声データに対して音声を劣化させるペースを変更する。
【0063】
このようにして、音声データを劣化させて提供することができるので、これまでになかった演出効果を付加することが可能となる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態における電子機器を用いたシステムの構成を示すブロック図。
【図2】送信側クライアント17、配信サーバ10、受信側クライアント18の関係を示す図。
【図3】配信サーバ10の機能構成を示すブロック図。
【図4】コンテンツ再生処理制御部31dの詳細な機能構成を示すブロック図。
【図5】配信ルール情報の一例を示す図。
【図6】送信側クライアント17からアップロードされるコンテンツの保存形態について示す図。
【図7】通常フィールドに保存されたコンテンツデータを、削除予定フィールドに移動するための音声データ記録処理について示すフローチャート。
【図8】劣化音声再生処理を説明するためのフローチャート。
【図9】音声劣化部41において音声の品質を劣化させる方法の一例(音声波形の変化)を示す図。
【符号の説明】
【0066】
10…配信サーバ、12…ネットワーク、13…パーソナルコンピュータ、14…携帯電話機、15…ゲーム機、17…送信側クライアント、18…受信側クライアント、31…制御部、31a…コンテンツ作成処理制御部、31b…コンテンツ保存処理制御部、31c…コンテンツ検索処理制御部、31d…コンテンツ再生処理制御部、32…入力部、33…表示部、37…記録装置、38…通信部、38…通信部、40…再生要求入力部、41…音声劣化部、42…計時部、43…音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを記録する音声データ記録手段と、
前記音声データ記録手段により記録された音声データの音声品質を劣化させる音声劣化手段と、
前記音声データ記録手段により記録された音声データに対する再生要求を入力する再生要求入力手段と、
前記再生要求入力手段により入力された再生要求に対して、前記音声データが前記音声データ記録手段により記録されてからの経過時間に基づいて、前記音声劣化手段により音声品質が劣化された音声データを出力する音声データ出力手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
ネットワークを介して複数の端末装置との通信を行う通信手段をさらに具備し、
前記音声データ記録手段は、前記通信手段による通信によって第1の端末装置から受信された音声データを記録し、
前記音声要求入力手段は、前記通信手段による通信によって第2の端末装置から再生要求を入力し、
前記音声データ出力手段は、前記第2の端末装置に対して、音声品質が劣化された音声データを出力することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記音声データの音声品質を劣化させない保存期間を表すデータを、前記音声データと共に前記第1の端末装置から受信し、
前記音声データ出力手段は、前記保存期間を越える経過時間に応じて、前記音声劣化手段により音声品質が劣化された音声データを出力することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記音声劣化手段は、前記保存期間の長さに応じて、一定期間が経過する毎に音声品質を劣化させるレベルを変化させることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記音声データに対する音声品質の劣化のための制御データを前記第1の端末装置から受信する制御データ受信手段をさらに具備し、
前記音声劣化手段は、前記制御データ受信手段により受信された制御データに応じて、前記音声データの音声品質を劣化させることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−134037(P2010−134037A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307605(P2008−307605)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)