説明

電子機器

【課題】セキュリティ問題に対する信頼性を十分考慮に入れ、システムサービスを受けるユーザーによって利用向上を目指した認証システムを提供する。
【解決手段】非接触式ICカード2480(ID Tag)をポケット等に携帯しておくことにより、ゲート開閉装置1312を自動開閉させるID Tagの機能や電子通貨データを発生させることができ、さらにシステム利用者が腕時計2401を腕に装着し、非接触式ICカード(ID Tag)2480を腕時計2041に近づければ、非接触式ICカード2480(ID Tag)と、腕時計2041とで誘導電磁波による交信が自動的に行なわれ、データキャリア用IC2482に記憶された利用履歴等が腕時計2401の表示出力部2472に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計等の各種の電子機器に適用して有用な認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直接的にリーダー/ライターを通さずに電磁誘導波により非接触で情報担体からデータを読み取り又は書き込みできるシステムとしてデータキャリアシステム(若しくは、Radio Frequency IDentification システム=RF−IDシステム(ISO/IEC 14443)、以下RF−IDシステムと称す。)が知られている。
【0003】
今日、RF−IDシステムはICカードを認証媒体(データキャリア、ID Tagとも言う。以下、ID−Tagと称する。)として、電子乗車券や電子定期、あるいはスキー場等で使用される電子リフト券等に用いられている。
【0004】
例えば、電子リフト券においては、上記RF−IDシステム対応のID Tagをスキーヤー(認証対象者)が装着するブレスレットやネックレス、腕時計に組み込んでおくことによって、スキーヤーはそれをリフトの入り口に設けられたゲートのリーダ/ライタにかざすことによりこのゲートを通過できる。これにより、ストックで手がふさがっているスキーヤーにとって、リフトの利用勝手を向上させている。
【0005】
また、RF−IDシステムの交信方式は、用途に応じて各種の方式が用いられている。例えばRF−IDシステムにおいて電磁誘導方式の場合では、ID Tagはループが形成されたアンテナコイルと、このアンテナコイルの誘導起電力を制御するデータキャリアICとからなり、ゲートに設けられたリーダ/ライタとの間で当該アンテナコイル、若しくはマグネットコア入りアンテナコイルを対向させて、百〜数百KHz(長波〜中波)の信号を誘導電磁界を利用した情報伝達媒体として交信するようになっている。
【0006】
そして、上記交信方式によれば、ID Tagは、数十センチの距離でコイルアンテナによってデータを受け取り、データキャリアIC内の不揮発性メモリーのデータを読み書きするようになっている。
【0007】
そしてこのような電磁誘導方式、あるいは電池を内蔵せずに情報伝送時に電力を同時に伝送することができる電磁結合方式に使用される長波〜中波帯域の信号は、非導電材料を透過しやすく、導電体の反射も受けにくく、加えて電磁波の指向性が低いので、交信時にID Tagを通過させる方向が多少変化しても交信データが変化しにくい長所があるが、金属(導電体)等で構成された障害物がゲートとの間にあるとアンテナコイルからの磁界によって上記金属に起電力が発生して電流が誘起され、その電流により磁界が乱れて交信が妨げられる障害が生ずる。
【0008】
このようなことから、電磁誘導方式、若しくは電磁結合方式のRF−IDシステムに利用されるID Tagを、スキーヤー(認証対象者)が装着するブレスレットやネックレス、腕時計に組み込みし、電子リフト券として利用する場合、
(1)当該ID Tagを樹脂製のリストバンドやアームバンドに取り付ける構造。
(2)当該ID Tag内蔵の角型やコイン型筐体を腕時計型ホルダーに取り付ける構造。
(3)当該ID Tagのループ状のアンテナコイルとデータキャリアICとを、樹脂製の時計ケースと裏蓋とに収納した構造。
といった構造を採用することによって、上記の問題を克服し良好な通信環境が確保するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記構造(1)〜(3)を採用しても、アクセサリーとしての装飾的価値、ファッションとしての価値、及び宝飾貴金属的価値が重視される腕時計の場合は、ID Tagを配置することによってそれらの価値を著しく低下させたり、メーカーは腕時計の設計に際し、デザイン等における顧客層の嗜好や用途に応じた柔軟な対応ができないという問題があった。このような不具合を解消する最も一般的な手法として、腕時計等の本体に非接触式電子パスを内蔵、若しくは一体化させて、外側からID Tagを見え難くする方法がある。
【0010】
しかし、単に内蔵、若しくは一体化させた場合、特にアウトドアやスポーツ用腕時計を例にとると、防水性(耐圧性)、耐衝撃性、堅牢性、及び耐環境性を高める目的で腕時計本体に配置されている裏蓋や窓枠等には多くの金属製部材(導電体)が用いられているため、ゲートに設置されたリーダ/ライタとの間におけるデータ交信に障害が発生しやすいという問題を生じる。
【0011】
そして、上記障害を回避するためには、このような金属製部材を樹脂等の非導電部材に代替しなくてはならないため、メーカーは腕時計本体の防水性(耐圧性)、耐衝撃性、堅牢性、及び耐環境性の保証ができなくなるという問題があった。
【0012】
さらに、今日のRF−IDシステムは、専ら電子定期システムやプリペイドカードシステムに多く適用されているが、データ保護、特にセキュリティ上の問題を含んでいるクレジットシステム、エレクトニックコマース等に関しては、接触型ICカードシステムより開発が遅れている。
【0013】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、セキュリティ問題に対する信頼性を十分考慮に入れ、システムサービスを受けるユーザーによって利用向上を目指した認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明に係る認証システムにあっては、電磁誘導により認証対象者に装着された電子機器から認証データを読取る第1の読取手段と、この読取手段によって読取られた認証データと当該システムに登録された認証データとが一致するか否かを判別する判別手段と、この判別手段により一致すると判別されると、前記認証対象者の当該システムの利用を許可する許可手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2記載の発明に係る認証システムにあっては、前記認証対象者が所有するカード状記憶媒体から、当該システムの利用状況を電磁誘導により読取る第2の読取手段と、この第2読取手段により読取られた当該システムの利用状況を表示する表示手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3記載の発明に係る認証システムにあっては、前記電子機器は、前記認証データの一致により送信が許可されているデータを記憶する第1の記憶手段と、赤外線によりこの第1の記憶手段に記憶されているデータを送信する送信手段とを備え、前記認証システムは、前記送信手段により送信されたデータを受信する受信手段と、この受信手段によって受信されたデータに基づく情報を表示する情報表示手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4記載の発明に係る認証システムにあっては、前記電子機器は、公衆回線網を介してデータ通信を行なうデータ通信手段と、このデータ通信手段によって通信されたデータを記憶する第2の記憶手段と、この第2の記憶手段に記憶されたデータより、当該認証システムで使用するデータを抽出し、このデータに基づいて当該電子機器を制御する第1の制御手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5記載の発明に係る認証システムにあっては、前記電子機器は、当該電子機器に記憶されている認証データを前記データ通信手段によってデータ通信する通信制御手段を、更に備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6記載の発明に係る認証システムにあっては、前記認証対象者の預金口座を管理する第1の管理手段と、前記認証対象者が当該認証システムを利用したことによる課金内容を管理する第2の管理手段と、前記許可手段により前記認証データの一致による前記認証対象者の当該システムへの利用が許可されると、この認証データによって前記第1の管理手段、及び前記第2の管理手段の管理内容を制御する第2の制御手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7記載の発明に係る認証システムにあっては、前記許可手段と、前記第1の管理手段、及び前記第2の管理手段とをネットワークを介して接続する第1の接続手段を、更に備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8記載の発明に係る認証システムにあっては、ネットワークを介して、当該認証システム外に存在する記憶管理システムと接続する第2の接続手段を更に備え、
【0022】
前記許可手段は、認証データの一致により当該認証システム利用が許可されると、前記第2の接続手段を介しての前記記憶管理システムへのアクセスを許可するアクセス許可手段を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る認証システムによれば、電磁誘導により非接触状態で認証対象者に装着された電子機器から認証データが読みとられ、この認証データと当該システムに登録された認証データとが一致する場合には、認証対象者の当該システムの利用が許可されることから、ユーザーに使用時の煩雑性を感じさせることなく、システムの利用を管理することができる。
【0024】
また、認証対象者が所有するカード状記憶媒体から、当該システムの利用状況を電磁誘導により読み取って表示するようにしたことから、ユーザーがカード状記憶媒体を衣服のポケット等に携帯しておくことにより、システムの利用状況を容易に確認することができる。
【0025】
また、電子機器側から認証データの一致により送信が許可されているデータ送信し、前記認証システム側でこれを受信して、受信したデータに基づく情報を表示するようにしたことから、認証データが一致した際に、認証システム側の情報表示手段にメッセージ等を表示させて、認証対象者に視認させることができる。
【0026】
また、電子機器が公衆回線網を介してデータ通信を行なうとともに、この通信によるデータを記憶し、この記憶したデータのうち当該認証システムで使用するデータに基づいて当該電子機器を制御するようにした。したがって、この認証システムによれば、当該認証システムで使用するデータが公衆回線を介して配信されることから、該データを予め電子機器に記憶させておかずとも、当該認証システムにおいて電子機器を使用することが可能となる。
【0027】
また、電子機器が認証データを公衆回線網を介して通信する手段をも備えることにより、認証データの送信形態が多様化して、認証時の利便性を向上させることができる。
【0028】
また、認証対象者の預金口座を管理する管理手段と、認証対象者が当該認証システムを利用したことによる課金内容を管理する管理手段とを設け、認証対象者の当該システムへの利用が許可されると、認証データによって各管理手段の内容を制御するようにしたことから、認証データが一致して認証対象者の当該システムへの利用が許可されると、認証対象者の預金口座と、課金内容とが更新される。
【0029】
よって、この認証システムにより、金融機関側から認証や与信の確認をもらって、クレジットシステム用電子決済、銀行口座電子決済、電子通貨決済、電子小切手決済、及び電子クーポン決済を行うことが可能なシステムを構築することができる。
【0030】
また、当該システムへの利用が許可する許可手段と前記各管理手段とをネットワークを介して接続するようにしたことから、預金口座とシステムの利用に伴う課金(売買)とを、何時何処でもネットワークを介して確認することができる。
【0031】
また、ネットワークを介して、当該認証システム外に存在する記憶管理システムと接続し、認証データの一致により当該認証システム利用が許可されると、前記記憶管理システムへのアクセスを許可するようにしたことから、当該認証システム外に存在する記憶管理システムのセキュリティを確保しつつ、該記憶管理システムに記憶されているデータの有効活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す腕時計の平面図である。
【図2】同実施の形態における時計本体の模式断面図である。
【図3】プラカバーを示す平面図である。
【図4】同プラカバーの模式断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す時計本体の模式断面図である。
【図7】衝撃吸収用ベゼルを示す底面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す腕時計の平面図である。
【図10】同実施の形態における時計本体の模式断面図である。
【図11】時計ケースを示す底面図である。
【図12】図11のB−B断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に用いられるアンテナコイルの変形例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態を示す腕時計の平面図である。
【図15】同腕時計における時計本体を示す断面図である。
【図16】同時計本体の分解斜視図である。
【図17】同実施の形態においてデータ通信時に生ずる磁界を示す説明図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態を示す時計本体の断面図である。
【図19】同実施の形態においてデータ通信時に生ずる磁界を示す説明図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態を示す時計本体の断面図である。
【図21】本発明の第7の実施の形態を示す時計本体の断面図である。
【図22】本発明の第6及び第7の実施の形態においてデータ通信時に生ずる磁界を示す説明図である。
【図23】本発明の第8の実施の形態を示す時計本体の断面図である。
【図24】同時計本体の分解斜視図である。
【図25】同実施の形態においてデータ通信時に生ずる磁界を示す説明図である。
【図26】同実施の形態の変形例を示す時計本体の断面図である。
【図27】本発明の第9の実施の形態形態にかかるアンテナを示す図である。
【図28】他のアンテナを示す図である。
【図29】他のアンテナを示す図である。
【図30】他のアンテナを示す図である。
【図31】他のアンテナを示す図である。
【図32】本発明の第10の実施の形態を示す時計本体の断面図である。
【図33】同時計本体の分解斜視図である。
【図34】データ通信時に生ずる磁界を示す説明図である。
【図35】本発明の第11の実施の形態にかかるアンテナの変形例を示す図である。
【図36】本発明の第12の実施の形態にかかる窓枠の変形例を示す図である。
【図37】本発明の第13の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図38】38Aは同実施の形態にかかる腕時計の平面図、38Bは断面図である。
【図39】同実施の形態のシステム全体のブロック構成図である。
【図40】データキャリア内のメモリー構成図である。
【図41】同実施の形態の送受信動作を示すタイミングチャートである。
【図42】送受信信号のフォーマット構成図である。
【図43】43A、43Bは本発明の第14の実施の形態にかかる腕時計の正面図、43Cは断面図である。
【図44】44Aは本発明の第15の実施の形態にかかる腕時計の正面図、44Bは断面図である。
【図45】本発明の第16の実施の形態にかかる腕時計の概念図である。
【図46】同実施の形態のシステム全体のブロック構成図である。
【図47】本発明の第17の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図48】同実施の形態のシステム全体のブロック構成図である。
【図49】本発明の第18の実施の形態のシステム全体のブロック構成図である。
【図50】50Aは本発明の第19の実施の形態にかかる腕時計の概念図、50Bは断面図である。
【図51】51Aは本発明の第20の実施の形態にかかる腕時計の概念図、51Bは断面図である。
【図52】同実施の形態のシステム全体のブロック構成図である。
【図53】本発明の第21の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図54】同実施の形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図55】本発明の第22の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図56】同実施の形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図57】本発明の第23の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図58】同実施の形態の腕時計の回路構成を示すブロック構成図である。
【図59】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図60】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図61】同実施の形態の変形例における腕時計の回路構成を示すブロック構成図である。
【図62】本発明の第24の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図63】同実施の形態の利用例を示す概念図である。
【図64】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図65】本発明の第25の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図66】同実施の形態の利用例を示す概念図である。
【図67】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図68】本発明の第26の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図69】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図70】本発明の第27の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図71】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【図72】本発明の第28の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図73】本発明の第29の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図74】同実施の形態の変形例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図に従って説明する。
図1〜図36は、本発明の第1〜第12の実施の形態を示すものであり、データキャリア側アンテナコイルを時計ケース本体に備えた場合の構造を示すものである。以下、各実施の形態について詳述する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1〜図5は、本発明の第1の実施の形態にかかるデータ通信装置としての腕時計100を示す図である。
【0035】
この腕時計100は、時計本体101と、この時計本体101の両端部に係止されたリストバンド102,102とで構成されている。時計本体101は上下方向に開口する樹脂製のケース103を有している。ケース103は、上面を例えばミネラル・ガラス等の硬質透明部材104によって閉鎖され、かつ下面を金属製の裏蓋部材105によって閉鎖されている。ケース103の内側には上面側に位置して補強用の金属部材106が内蔵されるとともに、その上面側の外側にはベゼル107が設けられている。なお、ケース103の周壁には複数の操作ボタン111等が取り付けられている。
【0036】
また、ケース103の内部には時計モジュール108が収容されている。前記時計モジュール108は、LCDパネル112が実装された時計用LSI基板、及び送受信信号の変調回路や符号化/復号化回路、ID等のデータを記憶するデータメモリ、送受信や認証用の制御回路を内蔵したICチップが実装されたIC基板等から構成されており、ケース103内でのガタツキを主として樹脂によって形成された上面開口状のプラカバー109(図4、図5参照)によって防止されている。
【0037】
さらに、ケース103の内部には、時計モジュール108の下部に、前記IC基板に接続され電磁誘導により信号を送受信するデータキャリア側アンテナコイル110が収容されている。データキャリア側アンテナコイル110は、図4及び図5(図4の部分拡大図)に示すように、前記プラカバー109の底面側の内周面に設けられた環状の切り欠き部113に支持されており、これによりデータキャリア側アンテナコイル110は前記裏蓋部材105から離れた箇所に位置決めされている。
【0038】
かかる構成からなる本実施の形態においては、裏蓋部材105が金属製(導電体)であり、かつケース103の内部に金属部材106が内蔵された構造であっても、図2に示したように、データの送受信時にはケース103の上面から下面側の側部を通る磁束経路が確保され、しかもデータキャリア側アンテナコイル110が裏蓋部材105から離れているため、裏蓋部材105が金属であってもそれが通信の妨げとなる割合が極めて少ない。よって、防水性(耐圧性)、耐衝撃性、堅牢性、及び耐環境性を維持したまま良好な交信を確保することが可能である。
【0039】
(第2の実施の形態)
図6〜図8は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。
【0040】
以下、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0041】
すなわち本実施の形態においては、図7及び図8(図7のC−C断面図)に示すように、ベゼル207の上面側の内側外周部には前記データキャリア側アンテナコイル110を固定する切り欠き部271,271が形成されており、データキャリア側アンテナコイル110は、この切り欠き部271,271を介しベゼル207内に位置固定されている。つまり、データキャリア側アンテナコイル110が前記硬質透明部材104(図1参照)の外側に配置された構造となっている。
【0042】
かかる構成においても、データの送受信時にはケース103の上面から下面側の側部を通る磁束経路が確保され、しかもデータキャリア側アンテナコイル110が裏蓋部材105から離れているため、裏蓋部材105が金属であってもそれが通信の妨げとなる割合が極めて少ない。よって、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
(第3の実施の形態)
図9〜図12は、本発明の第3の実施の形態を示すものである。
この腕時計300は、時計本体301と、この時計本体301の両端部に係止されたリストバンド302,302とで構成されている。時計本体301は上下方向に開口する樹脂製のケース303を有している。ケース303は、上面を硬質透明部材304によって閉鎖され、かつ下面を金属製の裏蓋部材305によって閉鎖されている。ケース303の内側には上面側に位置して補強用の金属部材306が内蔵されるとともに、その上面側の外側にはベゼル307が設けられている。なお、ケース303の周壁には複数の操作ボタン311等が取り付けられている。
【0044】
また、ケース303の内部には時計モジュール308が収容されている。前記時計モジュール308は、LCDパネル312が実装された時計用LSI基板、及び送受信信号の変調回路や符号化/復号化回路、ID等のデータを記憶するデータメモリ、送受信や認証用の制御回路を内蔵したICチップが実装されたIC基板等から構成されている。
【0045】
図11及び図12(図11のB−B断面図)に示すように、ケース303の上面側の内側外周部には前記データキャリア側アンテナコイル110を固定する切り欠き部331,331が形成されており、データキャリア側アンテナコイル110は、切り欠き部331,331を介しケース303に位置固定されている。つまり、データキャリア側アンテナコイル110が硬質透明部材304(図11参照)と前記時計モジュール308との間に配置された構造となっている。
【0046】
かかる構成においても、データの送受信時にはケース301の上面から下面側の側部を通る磁束経路が確保され、しかもデータキャリア側アンテナコイル110が裏蓋部材305から離れているため、裏蓋部材305が金属であってもそれが通信の妨げとなる割合が極めて少ない。よって、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0047】
なお、図13は、データキャリア側アンテナコイル110の巻形状を例示したものであって、データキャリア側アンテナコイル110の巻形状は、円形(図11A)はもとより、ケースの形状に応じて楕円形(図11B)、四角形(同11D)、多角形(同11E)、又はそれ以外の形状(図11C)等、アンテナコイルの開口面積を変更しない程度であれば、適宜、変更することができる。
【0048】
(第4の実施の形態)
図14〜図16は、本発明の第4の実施の形態にかかるデータ通信装置である腕時計400を示す図である。
図14から明らかなように、この腕時計400は、アウトドアやスポーツ用の腕時計としての外観を備えたものであって、時計本体402と、この時計本体402の両端部に係止された樹脂製のリストバンド403,403とで構成されている。
【0049】
時計本体402は、図15及び図16に示したように、リストバンド403,403が係止されたかん又部441,441を有する内部ケースである強化樹脂製のケース404に、ケース404の上部及び外周を覆う外部ケースである樹脂製のベゼルカバー405が外装された構造を有している。ケース404の内部上方には金属製の表示枠固定部材406がインサート成形されている。表示枠固定部材406の裏面側には樹脂製の表示枠部材407が配置されている一方、表示枠固定部材406の表面側には、ケース404の上方を閉鎖する硬質透明部材408が防水パッキン409を介して装着されている。なお、ベゼルカバー405に覆われたケース404の周壁には複数のキー(操作ボタン)410等が取り付けられている。
【0050】
さらに、ケース404の内部には合成ゴム製のモジュールカバー部材412、モジュール固定部材413が重なっており、その内側に時計モジュール414、モジュールカバー部材415が順に収容されるとともに、外部ケース404の下方開口部が、防水パッキン416を介して裏蓋部材417によって密閉されている。
【0051】
この裏蓋部材417は、全体が磁性材料で形成されているが、この磁性材料としては、鉄やフェライト等の磁性体である金属や合金、化合物、あるいは磁性体粉末等の混合物、セラミック材料等の焼結物が適当である。
【0052】
なお、裏蓋部材417の外側表面には樹脂製のケースカバー418により被覆されている。
【0053】
前記時計モジュール414は、モジュール用ハウジング部材419とモジュール用ハウジング部材420(図15では省略)により位置決めされた時計用LSI基板421、データキャリアモジュール422によって構成されており、時計用LSI基板421にはLCDパネル423が設けられている。
【0054】
データキャリアモジュール422は、送受信信号の変調回路や符号化/復号化回路、ID等のデータを記憶するデータメモリ、送受信や認証用の制御回路を内蔵したデータキャリアIC424を有するデータキャリアIC用基板425と、このデータキャリアIC用基板425に接続され電磁誘導により信号を送受信するためのデータキャリア側アンテナコイル426とによって構成されている。データキャリアIC用基板425は時計用LSI基板421と並んで組み付けられており、データキャリア側アンテナコイル426は時計用LSI基板421の外周に、モジュール用ハウジング部材420の内壁面に嵌められるように組み付けられている。
【0055】
そして、以上の構成からなる腕時計400は、使用者(認証対象者)が、当該腕時計400を従来技術で説明した電磁誘導方式や電磁結合方式のRF−IDシステムのリーダ/ライタにそれを近づけることにより、腕時計400自体がID Tagとして使用される。その際、腕時計400においては前述したように裏蓋部材417が磁性材料によって形成されていることから、図17に示すように、リーダ/ライタ70等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるとき、その磁束が裏蓋部材417を透過して通り抜ける。つまり、時計本体402の上面の硬質透明部材408から、ケース404内のデータキャリア側アンテナコイル426、裏蓋部材417を通る磁束経路が形成される。しかも、かかる磁束経路は、前述したケース404が金属製である場合においても同様である。
【0056】
かかることから、ケース404や表示枠固定部材406を金属製とすることができ、しかも厚みを薄くせざるを得ない裏蓋部材417を樹脂製とする場合に比べ、裏蓋部材417に高い強度を確保できる。よって、防水性(耐圧性)、耐衝撃性、堅牢性、及び耐環境性を維持したまま良好な交信を確保することが可能である。また、これに伴い、装飾性を高めるとともに、顧客層の嗜好や用途に応じて外観やデザインを多様にすることができる。
【0057】
(第5の実施の形態)
図18及び図19は、本発明の第5の実施の形態を示す時計本体502の断面図である。
【0058】
すなわち、本実施の形態においては、ケース404の下方開口部を閉鎖する裏蓋部材517が金属材料により形成されているとともに、この裏蓋部材517の一部には、電池交換用の穴を閉鎖する電池交換用開閉蓋535が装着されている。この電池交換用開閉蓋535は、裏蓋部材517の略中央部であって、データキャリア側アンテナコイル426の内周部に対応する部位に設けられている。また、この電池交換用開閉蓋535は、磁性材料により形成されているが、この磁性材料としては、鉄やフェライト等の磁性体である金属や合金、化合物、あるいは磁性体粉末等の混合物、セラミック材料等の焼結物が適当である。
【0059】
なお、これ以外の構成は、前述した第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0060】
そして、かかる構成においては、図19に示すように、前記リーダ/ライタ70等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるとき、その磁束が電池交換用開閉蓋535に対応する領域R内においてこれを透過して通り抜ける。つまり、時計本体502の上面の硬質透明部材408から、ケース404内のデータキャリア側アンテナコイル426、電池交換用開閉蓋535を通る磁束経路が形成される。しかも、かかる磁束経路は、前述したケース404が金属製である場合においても同様である。よって、第4の実施の形態で示したものと同様の効果が得られる。
【0061】
なお、前記電池交換用開閉蓋535を磁束が透過可能な樹脂やセラミック等に代えることもできる。その場合においても、前記リーダ/ライタ70等との間の通信時には前述した磁束経路が形成される。したがって、その場合においても同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、本実施の形態及び第4の実施の形態においては、ケース404が強化樹脂製であるものを示したが、前述したように前記時計本体402、502においては、その上面及び下面を貫通する方向に磁束の通路が確保されるため、ケース404を金属製とした場合であってもデータの送受信が可能である。したがって、ケース404を金属製とすることにより、耐衝撃性、堅牢性、を向上させることができる。
【0063】
(第6の実施の形態)
図20は、本発明の第6の実施の形態を示す時計本体602の断面図である。
【0064】
すなわち、本実施の形態は、第4及び第5の実施の形態と同様に、樹脂製のケース404の内部上方には金属製の表示枠固定部材406がインサート成形されている。ケース404の内部には、合成ゴム製のモジュールカバー部材412等があり、その内側にデータキャリアモジュール422が一体化されている時計モジュール414、及びモジュールカバー部材415が順に収容されている。そしてケース404の下方開口部が、防水パッキン416を介して裏蓋部材417によって密閉されている。本実施の形態においては、この裏蓋部材517が金属材料により形成されており、また、時計モジュール414が前記モジュールカバー部材415等によって、裏蓋部材517から離れた箇所に位置決めされている。
【0065】
かかる構成においては、裏蓋部材417が金属製であるものの、前述した金属製の表示枠固定部材406がケース404の上方側に位置しており、ケース404の下方側には金属部品が存在していないため、ケース404の下方側の周壁においては磁束の通過が可能となっている。このため、前述したようにリーダ/ライタ70等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるとき、その磁束が時計本体602の上面からケース404の下方側を通る磁束通過ルート600が形成される(図22参照)。
【0066】
したがって、裏蓋部材417が金属製とすることにより、防水性(耐圧性)、耐衝撃性、堅牢性、及び耐環境性を維持したまま良好な交信を確保することが可能である。しかも、データキャリア側アンテナコイル426が裏蓋部材417から離れた位置に設けられているため、裏蓋部材417が金属であってもそれが通信の妨げとなる割合が極めて少ない。よって、良好な交信を確保することが可能である。
【0067】
(第7の実施の形態)
図21は、本発明の第7の実施の形態を示す時計本体702の断面図である。
【0068】
すなわち、本実施の形態においては、第6の実施の形態と同様に裏蓋部材417が金属材料で形成されている一方、データキャリア側アンテナコイル426の外周面がモジュールカバー部材412に、内周面ケース404の下方側に嵌められた構成を有している。
【0069】
かかる構成においても、第5の実施の形態と同様にケース404の下方側の周壁においては磁束の通過が可能であり、図22に示すように、リーダ/ライタ等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるときには、その磁束が時計本体702の上面からケース404の下方側を通る磁束経路が形成される。また、裏蓋部材417が金属であってもそれが通信の妨げとなる割合が極めて少ない。よって、良好な交信を確保することが可能である。
【0070】
なお、本実施の形態及び第6の実施の形態においては、ケース404が樹脂製であって、その下方側に磁束の通路が確保されたものを示したが、これ以外にも、例えばケース404の全部、又は上下方向の一部を磁性材料によって形成するようにしてもよい。その場合であっても、データの送受信時には、時計本体602、702の上面の硬質透明部材408から、ケース404内のデータキャリア側アンテナコイル426、ケース404の周壁を通る磁束経路を形成させることができ、前述したものと同様の効果が得られる。
【0071】
(第8の実施の形態)
図23及び図24は、本発明の第8の実施の形態を示す時計本体802の断面図である。
【0072】
すなわち、本実施の形態においては、第6及び第7の実施の形態と同様に裏蓋部材417が金属材料で形成されているものの、データキャリアモジュール822が時計モジュール814とは独立して構成されている。具体的には、データキャリアモジュール822が時計モジュール814の下部に、裏蓋部材417から数ミリ程度離れて位置固定されている。
【0073】
このデータキャリアモジュール822は、前述したデータキャリアIC824を有するデータキャリアIC用基板825と、データキャリア側アンテナコイル426と、磁性材料により形成され中央部分に凹部837が設けられている板状のマグネティック・コア836とから構成されている。データキャリア側アンテナコイル426を構成する線状導電部材は、マグネティック・コア836の外周に、時計本体802の表面及び裏面を貫通する上下方向を巻軸として数回〜数十回巻かれており、マグネティック・コア836の上部にデータキャリアIC用基板825が配置されている。なお、これ以外の点については前述した他の実施の形態と同様である。
【0074】
かかる構成においても、図25に示すように、リーダ/ライタ70等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるときには、磁束が時計本体2の上面からケース404の下方側を通る磁束経路が形成される。したがって、第6及び第7の実施の形態で示したものと同様の効果が得られる。しかも、本実施の形態においては、マグネティック・コア836によって磁束が収束させるため、裏蓋部材417が金属製であっても、その影響を受ける度合が少なく良好な磁束経路が確保できる。よって、第6及び第7の実施の形態で示したものと比較しても交信状態を向上させることができる。
【0075】
なお、図26は、前述の図18に示した第5の実施の形態の変形例を示すものであり、2個のデータキャリア側アンテナコイルを設けたものである。すなわち、前述のようにデータキャリアモジュール422は、送受信信号の変調回路や符号化/復号化回路、ID等のデータを記憶するデータメモリ、送受信や認証用の制御回路を内蔵したデータキャリアIC424を有するデータキャリアIC用基板425と、このデータキャリアIC用基板425に接続され電磁誘導により信号を送受信するための第1データキャリア側アンテナコイル826とによって構成されている。データキャリアIC用基板425の下部には、第2第1データキャリア側アンテナコイル827が配置されており、第2第1データキャリア側アンテナコイル827は導電線828により、前記データキャリアIC424に接続されている。
【0076】
前記第1データキャリア側アンテナコイル826と第2第1データキャリア側アンテナコイル827とは、各々異なる搬送周波数にてリーダー/ライター側アンテナコイルとの間で交信可能なものである。例えば、第1データキャリア側アンテナコイル826は125KHz、第2データキャリア側アンテナコイル827は13.56MHzの搬送周波数にて、リーダー/ライター側アンテナコイルとの間で送受信可能である。したがって、本例によれば搬送周波数が異なる2種類のRF−IDシステムに対して、同一の腕時計(ID Tag)を使用することができる。無論、より多数のデータキャリア側アンテナコイルを内蔵することにより、より多種類のシステムに対して、同一の腕時計を使用することが可能となる。
【0077】
(第9の実施の形態)
次に、前述した第4〜8の実施の形態において、電磁誘導により信号を送受信するために使用可能なアンテナコイルについて説明する。
図27〜図31はアンテナコイルの開口部分に何も実装していない場合の類型を、断面図及び斜視図により例示したものである。
【0078】
以下、順に説明すると、図27はデータキャリア側アンテナコイル422のみからなるものであって(図27A)、薄巻タイプのもの(図27B)と厚巻タイプのもの(図27C)等がある。
図28はデータキャリア側アンテナコイル422を構成する線状導電材料が筒状のボビン901に数回〜数十回巻かれているものであって(図28A)、背の低いタイプのもの(図28B)や背の高いタイプのもの(図28C))等がある。
【0079】
図29はデータキャリア側アンテナコイル422を構成する線状導電材料が筒状のボビン901に数回〜数十回巻かれるとともに、ボビン901の内側に、磁性材料からなる筒状のマグネティック・コア902を嵌めたものであって(図29A)には、マグネティック・コア902が薄肉状のタイプのもの(図29B)や厚肉状のタイプのもの(図29C)等がある。
図30Aおよび図30Bは、筒状のマグネティック・コア902に直接データキャリア側アンテナコイル422を構成する線状導電部材が数回〜数十回巻かれたものである。
【0080】
なお、以上のうち主として内部が大きく開口したものが前述した第4〜第7の実施の形態に用いられる。
【0081】
また、図31は、マグネティック・コアがアンテナコイルの開口部分を充填する形状の類型を、断面図及び斜視図により例示したものである。図31Aはデータキャリア側アンテナコイル422を構成する線状導電部材が筒状のボビン901に数回〜数十回巻かれたもの(すなわち図28に示したもの)に、磁性材料からなる板状のマグネティック・コア903が嵌められたものである。この種のアンテナとしては、マグネティック・コア903がボビン901の底部のみに嵌められるタイプのもの(図31B)、マグネティック・コア903によりボビン901の内部が埋められたタイプのもの(図31D、図31C)、マグネティック・コア903によりボビン901の内部が充填されるとともに、必要に応じてマグネティック・コア903に凹部904や穴905が設けられたタイプのもの(図31E)等がある。これらは主として第8の実施の形態に用いられる。
【0082】
(第10の実施の形態)
図32〜図34は、本発明の第10の実施の形態を示す時計本体1002を示すものである。
【0083】
すなわち、本実施の形態においては、第8の実施の形態と同様に、裏蓋部材417が金属材料で形成されており、データキャリアモジュール1022が時計モジュール814とは独立して構成され、時計モジュール814の下部に、裏蓋部材417から数ミリ程度離れて位置固定されている。また、このデータキャリアモジュール1022は、前述したデータキャリアIC824を有するデータキャリアIC用基板825と、データキャリア側アンテナコイル426と、磁性材料からなる板状のマグネティック・コア836とから構成されている。
【0084】
本実施の形態においては、第8の実施の形態と異なり、データキャリア側アンテナコイル426を構成する線状導電部材は、円板状のマグネティック・コア436の外周に、時計本体1002の表面及び裏面を貫通する上下方向と直交する水平方向を巻軸として数回〜数十回巻かれており、この円板状のマグネティック・コア436の上部にデータキャリアIC用基板825が配置されている。
【0085】
なお、これ以外の点については前述した第8の実施の形態と同様である。
【0086】
かかる構成においては、データキャリア側アンテナコイル426を構成する線状導電部材が、時計本体1002の水平方向に配置される円板状のマグネティック・コア436の外周に水平方向を巻軸として数回〜数十回巻かれれていることから、リーダ/ライタ70等が有するリーダー/ライター側アンテナコイル30との間で誘導電磁界が形成されるときには、磁束の一部は時計本体1002の上面からケース404の下方側を通るが、その多くは、図34に示すように、ケース404の一方の下方側から、データキャリア側アンテナコイル426の内部、すなわち、データキャリア側アンテナコイル426が巻かれた円板状のマグネティック・コア836を通って、ケース404の他方の下方側から抜けることとなる。よって、誘導電磁界の磁束を時計本体1002の水平方向に通すことができるので、前述した第8の実施の形態で示したものと同様の効果が得られる。
【0087】
(第11の実施の形態)
図35は、前記第10の実施の形態において、電磁誘導により信号を送受信するために使用可能なアンテナを例示したものである。
【0088】
すなわち、データキャリア側アンテナコイル426を構成する線状導電部材が数回〜数十回巻かれるマグネティック・コア836の形状は、円筒状(図35A)や、円柱状(図35B)、角柱状(図35C)、四角板状(図35E)、楕円板状(図35F)、蝶リボン状(図35G)、板の一部に穴を空けた形状(図35H)、リング状(図35I)であっても良い。また、場合によっては、磁束の収束度が弱いものの、データキャリア側アンテナコイル426のみによるアンテナ(図35D)としても構わない。
【0089】
(第12の実施の形態)
図36は、本発明の第12の実施の形態を示すものである。
【0090】
本実施の形態は、前述した樹脂製のケース404にインサートされる表示枠固定部材406の変形例を示すものである。なお、各々の平面形状は円形(又は略円形)として示したが実際には、必要とされる平面形状に成形される。
【0091】
以下、順に説明すると、図36Aの表示枠固定部材406においては、全周に亙って半径方向に凹凸4061(図36G参照)を有する形状に成形されており、かつその形状は予めデータの送受信に使用される周波数帯域でのインダクタンス成分が、基本形状である円筒形状に比べ増大する形状となるようにチューニングされている。
【0092】
また、図36Bの表示枠固定部材406においては、その上縁全周及び下縁全周に等間隔で複数の凹部4062が設けられた形状を有しており、図36Cの表示枠固定部材406においては、その上縁全周に所定間隔で複数の凸部4063(図36H参照)が設けられた形状を有している。
【0093】
すなわち、図23B及び図23Cに示したものにおいては、環を切断する方向の断面形状が多様である形状に成形されており、かつそれらの形状は予めデータの送受信に使用される周波数帯域でのインダクタンス成分が、基本形状である円筒形状に比べ増大する形状となるようにチューニングされている。
【0094】
つまり、前述した形状を有する表示枠固定部材406においては、そのインピーダンスが基本形状である円筒形状に比べ大きいことから、その形状を単に基本形状に成形した場合に比べると、データの送受信時に発生する渦電流が小さくなる。よって、前述した時計本体における表示枠固定部材406を図36A〜図36Cに示したものとすれば、それが金属製であっても、渦電流に起因する送受信障害を低減させることができ、表示枠固定部材を金属製とすることにより時計本体2の耐衝撃性や堅牢性といった基本性能を維持したままで、通信性能を向上させることができる。
【0095】
一方、図36Dに示した表示枠固定部材406は、略Ω型の部材の両端が非導電部材47を挟んでネジ止めにより結合されたものである。かかる表示枠固定部材406においては、結合部分における電気抵抗が他の一般部よりも大きいことから、データの送受信時に発生する渦電流が小さくなる。しかも、環状であることによって機械的強度が確保できる。よって、前述したものと同様の効果が得られる。なお、表示枠固定部材406においては、結合部分に前記別部材47を挟んでネジ止めしたものを示したが、これ以外にも接触抵抗が大きくなるような他の結合手段によって両端を結合させることにより同様の効果が得られる。
【0096】
また、図36Eに示した表示枠固定部材406は、その内周面が磁性材料の粒子や粉末を含む塗料の被覆層48が設けられたものであり、かかる表示枠固定部材406においてもデータの送受信時に発生する渦電流を減少させることができ、前述したものと同様の効果が得られる。
【0097】
なお、図36Fに示した表示枠固定部材406は、表面全域に前記被覆層48が設けられたものであり、図36Eに示したものと同様の効果が得られる。
【0098】
さらに、図36に示したもの以外にも、前記表示枠固定部材406を、それと同等の強度を有する強化樹脂やセラミック等の非導電性材料や、低導電率の他の金属によって形成されたものに代えれば、電気抵抗が大きくなるため、誘導電磁界を受けて発生する渦電流を無くしたり、小さくしたりでき、渦電流に起因する送受信障害を低減させる(無くす)ことができる。
【0099】
なお、本実施の形態においては、前述した時計本体の表示枠固定部材406の構造について説明したが、それ以外にも、例えばケース404が金属製である場合にはケース404に、また、その他にも前述したデータキャリア側アンテナコイル426の磁束が貫通する中空部を形成する他の金属製の環状部材が存在する場合には、それらについても前述した形状等を採用することによって、同様の効果を得ることができる。
【0100】
図37〜図61は、本発明の第13〜第23の実施の形態を示すものであり、データキャリア側アンテナコイルを時計バンドあるいは時計ケース本体に備えた場合の回路構成、及びシステム構を示すものである。以下、各実施の形態について詳述する。
【0101】
(第13の実施の形態)
図37は、第13の実施の形態のシステム構成を示すものである。図に示すように、本システムを構成する腕時計1301は、メタル製の時計本体1302と、この時計本体1302の両端部に係止された樹脂製のリストバンド1303、1304とで構成されており、一方のリストバンド1304には、データキャリアモジュール1305が配設されている。データキャリアモジュール1305は、データキャリアIC1306と、このデータキャリアIC1306に接続されたデータキャリア側アンテナコイル1307とで構成されている。
【0102】
一方、このデータキャリア側アンテナコイル1307に対応するリーダー/ライター側アンテナコイル1308は、一端を接地されているとともに、他端をリーダー/ライター1310に接続されている。このリーダー/ライター1310は、制御装置/システム1311を介してゲート開閉装置1312に接続されている。
【0103】
図38A及び図38Bは、前記腕時計1301の具体的な構成を示すものである。すなわち、時計本体1302には表面中央部に表示部1314が設けられているとともに、周部に複数のキー1390が設けられている。また、周部の相対向する部位には、かん又部1391,1391が設けられており、このかん又部1391,1391に前記各リストバンド1303、1304が、その先端部に設けられた先かん部1392、1392に挿通されたバネ棒1313により係止されている。前記一方のバンド1304の先かん部1392の近傍には、表面側に開口する凹部1315が設けられている。この凹部1315内に、前記データキャリアモジュール1305が面一状に嵌合配置されており、データキャリアモジュール1305は前記データキャリアIC1306とデータキャリア側アンテナコイル1307とを収容したケース1316を備えている。
【0104】
図39は、前記データキャリアモジュール1305とリーダー/ライター1310の構成を示すブロック図である。図示のようにデータキャリアモジュール1305は、データキャリア側アンテナコイル1307の両端部に接続されたコンデンサ1318を有するともに、AC/DCコンバータ1319、クロック再生部1320、復調部1321、及び復号部1322を有している。AC/DCコンバータ1309で整流された電流は、電源制御部1324を介してデータキャリア制御部1323に与えられ、さらに、データキャリア制御部1323には、クロック再生部1320で再生されたクロック、及び復号部1322で復号されたデータが入力される。データキャリア制御部1323は、これら各部から入力されるデータ等に基づき、メモリー1325に記憶されているデータを符号化部1326に供給し、この符号化部1326で符号化されたデータは変調部1327で変調されて、データキャリア側アンテナコイル1307に送出されるように構成されている。
【0105】
一方、リーダー/ライター1310は、リーダー/ライター側アンテナコイル1308の一端にコンバータ1333を介して接続されたアンテナ駆動回路1334と復調部1330とを有している。この復調部1330で復調された信号は、フィルター&増幅部1331にてフィルタリングされるとともに増幅され、復号部1332でデータに復号されて前記制御装置/システム1311に供給される。また、この制御装置/システム1311からの制御信号は、符号化部1337で符号化され、復調部1336で復調されてアンテナ駆動回路1334に供給される。アンテナ駆動回路1334は、発振部1335から出力される所定周波数のクロックと、変調部1336で変調された信号とに基づき、リーダー/ライター側アンテナコイル1308を駆動するように構成されている。
【0106】
前記データキャリアIC1306のメモリー1325は、図40に示すように、EEPROM(不揮発性読み/書き両用メモリー)1351とPROM(読み出し専用メモリー)1352とで構成されている。EEPROM351には、アドレス(記憶区画)Word“0”から順次、パスワード(書き込み専用/外部読出し保護)、読出し保護/書き込み禁止の設定レジスタなど、制御用のレジスタなどが記憶されているとともに、Word“S”にはシステム/電子パス・認証用アプリケーション使用エリアが設けられ、Word“U”にはユーザー/ユーザー・アプリケーション使用エリアが設けられている。また、PROM1352には、アドレスWord“Z”から順次、当該腕時計1301固有のデバイス・シリアル番号、デバイスID(識別番号)などが記憶されている。
【0107】
以上の構成にかかる本実施の形態において、データキャリアIC1306のメモリー1325から図41に示す送信データ41Aをリーダー/ライター1310に供給すると、これが符号化部1326、変調部1327で処理されて、データキャリア側アンテナコイル1307からは送信信号41Bが放射される。この状態で、腕時計1301を腕に装着したユーザーがリーダー/ライター側アンテナコイル1308が配置されているゲート開閉装置1312に近づくと、データキャリア側アンテナコイル7は誘導電磁波により受信信号41Cを受信する。すると、データキャリアIC1306のクロック再生部1320は、再生クロック41Dを生成してデータキャリア制御部1323に送出し、符号部1322は復調部1321からの信号に基づき、受信データ41Dを生成してデータキャリア制御部1323に送出する。
【0108】
ここで、前記受信信号41C(リーダー/ライター → データキャリア)は、図42Aに示すように、プリアンプル/同期信号データブロックRS1、制御命令データブロックRC、アドレス&データブロックRD、パリティデータブロックRP、ポストアンプル/同期データブロックRS2などで構成されている。また、前記制御命令データブロックRC及びアドレス&データブロックRDは、リード命令データRC1とアドレスデータRD1、及び書込みデータRC2とアドレスデータRD1と書込みデータRD2で構成されている。
【0109】
また、前記送信信号41Bは、図42Bに示すように、プリアンプル/同期データブロックTS1、制御命令データブロックAC、読出しデータブロックTR、パリティデータブロックTP、ポストアンプル/同期データブロックTS2で構成されている。
【0110】
そして、リーダー/ライター1310側からキャリアを送信すると、これを受信したデータキャリアIC1306側からパワーONセット信号と初期出力(IDなど)を送信した後、受信待ちの状態となる。すると、リーダー/ライター1310側においては、受信待ち許容時間Tが経過する前に、受信モード要求と命令を送信し、データキャリアIC1306側では、受信処理をした後、応答を送信し、受信待ち状態となる。したがって、この応答がリーダー/ライター1310側で受信されて、制御装置/システム1311がゲート開閉装置1312を制御することにより、ゲート開閉装置1312が開動作する。したがって、この腕時計1301をゲート開閉装置1312の通過を予め許可されている者が腕に装着しておくことにより、チェックインが可能となる。
【0111】
この腕時計1301にあっては、キャリア側アンテナコイル1307を有するデータキャリアモジュール1305がリストバンド1304に設けられているので、時計本体1302を金属製などの導電性材料としても、リーダー/ライター1310との交信に支障がなく、時計本体1302の装飾性やデザインの多様性を図ることができる。また、任意の時計本体1302に、本実施の形態のデータキャリアモジュール1305が装填されたリストバンド1304を係着すれば、腕時計1に随時電子パス機能を付加することができる。また、他のデータキャリアモジュール1305が装填されたリストバンド1304と交換すれば、腕時計1301におけるID Tagの機能変更も可能となる。
【0112】
(第14の実施の形態)
図43A、43B、43Cは、本発明の第14の実施の形態を示すものである。すなわち、43Aに示す腕時計1301の時計本体1302及び一方のリストバンド1303は前述した図38に示した実施の形態と同様の構成であるが、時計本体1302の他方のかん又部1391には、介装部材1340が係止されている。この介装部材1340は、樹脂製であって、図43Cに示すように、内部には前記データキャリアIC1306とデータキャリア側アンテナコイル1307とで構成されるデータキャリアモジュール1305が内蔵されている。また、この介装部材1340の一端部には先かん部1341が形成され、他端部にはかん又部1342が形成されている。そして、この介装部材1340は、先かん部1341に挿通されたバネ棒1313にて時計本体1302のかん又部1391に係止されているとともに、かん又部1342に樹脂製のリストバンド1304がバネ棒1313により係止されている。
【0113】
また、図43Bに示す腕時計1401の時計本体1402は形状が矩形ではあるが機能的には、前述した実施の形態と同様であり、一方のリストバンド1401は金属製である。また、介装部材1340は図43Aのものと同一であり、他端部のかん又部1342には金属製のリストバンド1404がバネ棒1313により係止されている。
【0114】
すなわち、この実施の形態においては、データキャリアモジュール1305が樹脂製の介装部材1340に内蔵されていることから、図43Bに示すようにリストバンド1303、1304を金属製としても、前記リーダー/ライター1310との交信に支障がなく、時計本体1402ばかりでなくリストバンド1303、1304の装飾性やデザインの多様性を図ることができる。また、図43Aに示すように、好みに応じて樹脂製のリストバンド1303、1304を装着することもできるし、既存の腕時計1301、1401に介装部材1340を介在させてリーダー/ライター1310との交信機能を付加させることができるばかりでなく、不要となった場合には介装部材1340を除去して、リストバンド1304、1404を直接時計本体1302、1402に係着させることにより、通常の腕時計に復帰させることも可能となる。
【0115】
(第15の実施の形態)
図44A、44Bは、本発明の第15の実施の形態を示すものである。図44Aに示す腕時計1501は、前述した図43Bに示したものと同一構造であるが、リストバンド1403の先かん部1405と、リストバンド1404の先かん部1406とはともにバネ棒1313により、時計本体2の各かん又部1391に係止されている。一方のリストバンド1404には、モジュールユニット1550がリストバンド1404の長手方向に移動自在であり、かつ、着脱自在に装着されている。このモジュールユニット1550は、樹脂製であって両側部に裏面垂直方向に突出する一対のガイド1551、1551が一体的に形成されているとともに、ガイド1551、1551の先端部には相対向する方向に突出するストッパー1552、1552が形成されており、このストッパー1552、1552とモジュールユニット1550の裏面間でリストバンド1404を挾持している。
【0116】
モジュールユニット1550の内部には、スペース1553が形成されており、このスペース1553内に、前記実施の形態と同様のデータキャリアIC1306とデータキャリア側アンテナコイル1307とで構成されるデータキャリアモジュール1305が内蔵されている。したがって、この実施の形態によれば、モジュールユニット1350がリストバンド1404の長手方向に移動可能であるので、データの交信が良好な位置にモジュールユニット1350を移動させて、適宜リーダー/ライター1310との交信を確実に行わせることができる。
【0117】
(第16の実施の形態)
図45は、本発明の第16の実施の形態にかかる腕時計1601示すものである。すなわち、時計本体1602の外周部には、複数のキー1621が配置されている。時計本体1602の内部には、時計部1660及び表示部1614が配置されているのみならず、データキャリアIC1306が配置されている。このデータキャリアIC1306は、一対の固定端子1655、1655を介して、かん又部1620から外部に平行に突出する一対の接続用端子1656、1656に接続されている。なお、接続用端子1656、1656は、周囲に配置された絶縁部材1657、1657により時計本体1602と絶縁されている。また、時計本体1602のかん又部1620に接続されている樹脂製のリストバンド1604には、データキャリア側アンテナコイル1307が内蔵されており、このデータキャリア側アンテナコイル1307の両端部は、リストバンド1604内に内蔵された固定端子1658、1658に接続されている。そして、この固定端子1658、1658に前記接続端子1656、1656の先端部が接触している。したがって、データキャリア側アンテナコイル1307は、時計本体1602の外部にて樹脂製のリストバンド1604内に内蔵されていることから、時計1601本体1602を金属製としても、リーダー/ライター1310との交信に支障はない。
【0118】
図46は、前記データキャリアモジュール1305とリーダー/ライター1310、及び時計部1660の構成を示すブロック図である。同図において、リーダー/ライター1310とデータキャリアモジュール1305の構成は図39に示した実施の形態と同様であるが、データキャリアIC1306のメモリー1325は、ユーザー読出し禁止エリア1361とユーザー読出し許容エリア1362を有し、データキャリア制御部1323はユーザー認証部1363を有している。また、時計部1660は、時計制御部1661を有し、この時計制御部1661に所定周波数のクロック信号を生成する発振器1662、前記キー1621、前記表示部1614に表示データを出力する表示出力部1664、スピーカ等で構成される報知出力部1665、及びメモリー1666が接続されている。このメモリー1666には、ユーザー認証用データ1667とユーザー読み出しデータ1668とが記憶されている。
【0119】
すなわち、この第16の実施の形態においては、電子通貨や電子決済などに用いられることにより高いセキュリティを要するデータキャリアIC1306を時計本体1602の内部に配置することによりセキュリティを確保している。また、データキャリア制御部1323を時計制御部1661に接続させることにより、セキュリティを損なわずに、残高や残回数、利用履歴など、データキャリアIC1306内に記憶されたシステムの利用状況のみを時計部1660側から読み出し可能とし、データキャリアIC1306側では時計部1660の入力部1663やメモリー1666、あるいは電源を使用可能に構成されている。このため、データキャリアIC1306のメモリー1666に、時計部1660側からの読み出しが可能なユーザー読出し許容エリア1362を設ける一方、読み出しが不可能なユーザー読出し禁止エリア1361を設けてセキュリティを確保している。
【0120】
また、時計部1660とデータキャリアIC1306との接続部であるデータキャリア制御部1323にユーザー認証部1363を設け、このユーザー認証部1363で認証OKの場合以外は、アクセスできない構成とすることによっても、セキュリティを確保するようにしている。したがって、ユーザー認証部1363は、正当なユーザーの認証用に、デバイス識別番号、製造シリアル番号、ユーザー暗証などの照合回路若しくは暗号/復号回路などを内蔵する。
【0121】
また、時計部1660のメモリー1666には、前記ユーザー認証部1363での認証に必要なユーザー認証用データ1667が格納されているとともに、認証後データキャリアIC1306側から読み出したユーザー読み出しデータが格納され、このユーザー読み出しデータが表示出力部1664を介して、表示部1614に出力された表示される。したがって、データキャリアIC1306内のセキュリティ機能を変更したり、他の外部装置を接続することなく、セキュリティを確保しつつ時計部1660でデータキャリアIC1306内のデータを視認することができる。
【0122】
なお、時計部1660からはデータキャリアIC1306のメモリー1325の各エリア1361、1362を直接指定せず、認証とともに情報要求(残高、残回数、有効回数、利用履歴、所有者情報の照会など)のコマンドのみデータキャリアIC1306に送り、データキャリアIC1306がこれに応答して、認証成功の場合のみユーザー読出し許容エリア1362の情報を読み出して出力する構成としてもよい。
【0123】
(第17の実施の形態)
図47及び図48は、本発明の第17の実施の形態を示すものである。図47に示すように、本実施の形態においては、腕時計1701の時計本体1702内に、データキャリアIC1306と、このデータキャリアIC1306に接続されたデータキャリア側アンテナコイル1307とで構成されたデータキャリアモジュール1305が配置されており、他の構成は図37に示した実施の形態と同様である。
【0124】
また、本実施の形態にかかるシステム構成は、図48に示すように、前記腕時計1701と、非接触データキャリア用リーダー/ライター1770とで構成されており、このリーダー/ライター1770は、制御装置/システム1780を介してゲート開閉装置1781に接続されている。
【0125】
図示のように腕時計1701のデータキャリアモジュール1305は、データキャリア側アンテナコイル1307の両端部に接続されたコンデンサ1760を有するともに、AC/DCコンバータ1761、クロック再生部1762、復調部1763、及び復号部1764を有している。AC/DCコンバータ1761で整流された電流は、電源制御部1765を介してデータキャリア制御部1766に与えられ、さらに、データキャリア制御部1766には、クロック再生部1762で再生されたクロック、及び復号部1764で復号されたデータが入力される。データキャリア制御部1766は、これら各部から入力されるデータ等に基づき、メモリー1767に記憶されているデータを符号化部1768に供給し、この符号化部1768で符号化されたデータは変調部1769で変調されて、データキャリア側アンテナコイル1307に送出されるように構成されている。
【0126】
一方、リーダー/ライター1770は、リーダー/ライター側アンテナコイル1308の一端にコンデンサ1772を介して接続されたアンテナ駆動回路1773と復調部1774とを有している。この復調部1774で復調された信号は、フィルター&増幅部1775にてフィルタリングされるとともに増幅され、復号部1776でデータに復号されて前記制御装置/システム1780に供給される。また、この制御装置/システム1780からの制御信号は、符号化部1777で符号化され、変調部1778で変調されてアンテナ駆動回路1773に供給される。アンテナ駆動回路1773は、発振部1779から出力される所定周波数のクロックと、変調部1778で変調された信号とに基づき、リーダー/ライター側アンテナコイル1308を駆動するように構成されている。
【0127】
したがって、本実施の形態のように、腕時計1701の時計本体1702内にデータキャリアモジュール1305を配置した構成であっても、前述の図39に示した実施の形態と同様に、この腕時計1701をゲート開閉装置1781の通過を予め許可されている者が腕に装着しておくことにより、チェックインが可能となる。
【0128】
尚、この場合、データキャリア側アンテナコイル1307の実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されているのが望ましい。
【0129】
(第18の実施の形態)
図49は、本発明の第18の実施の形態における前記データキャリアモジュール1305とリーダー/ライター1770、及び時計部1890の構成を示すブロック図である。
【0130】
同図において、リーダー/ライター1770とデータキャリアモジュール1305の構成は図48に示した実施の形態と同様であるが、データキャリアIC1306のメモリー1767は、ユーザー読出し禁止エリア1791とユーザー読出し許容エリア1792とを有しており、データキャリア制御部1766はユーザー認証部1793を有している。
【0131】
一方、時計部1890は、前述の図15に示した時計用LSI基板421と、それに実装された他のディバイス、前記LCDパネル423及び前述の図16に示したキー(操作ボタン)410とによって構成されるものであって、時計制御部1891を有し、この時計制御部1891に所定周波数のクロック信号を生成する発振器1892、前記キー(操作ボタン)10等で構成される入力部1893、前記LCDパネル423に表示データを出力する表示出力部1894、スピーカ等で構成される報知出力部1895、及びメモリー1896が接続されている。このメモリー1896には、ユーザー認証用データ1897とユーザー読み出しデータ1898とが記憶されている。
【0132】
すなわち、この第12の実施の形態においては、電子通貨や電子決済などに用いられるような高いセキュリティを要するデータキャリアIC1306を時計本体の内部に配置することによりセキュリティを確保している。
【0133】
また、データキャリアモジュール1305を時計制御部1891に接続させることにより、セキュリティを損なわずに、残高や残回数、利用履歴など、データキャリアIC1306内のRF−IDシステムの利用状況の一部のみを時計部1890側から読み出し可能とし、データキャリアIC1306側では時計部1890の入力部1893やメモリー1896、あるいは電源を使用可能に構成されている。このため、データキャリアIC1306のメモリー1767に、時計部1890側からの読み出しが可能なユーザー読出し許容エリア1792を設ける一方、読み出しが不可能なユーザー読出し禁止エリア1791を設けてセキュリティを確保している。
【0134】
また、時計部1890とデータキャリアIC1306との接続部であるデータキャリア制御部1766にユーザー認証部1793を設け、このユーザー認証部1793で認証OKの場合以外は、アクセスできない構成とすることによっても、セキュリティを確保するようにしている。したがって、ユーザー認証部1793は、正当なユーザーの認証用に、デバイス識別番号、製造シリアル番号、ユーザー暗証などの照合回路若しくは暗号/復号回路などを内蔵する。また、時計部1890のメモリー1896には、前記ユーザー認証部1793での認証に必要なユーザー認証用データ1897が格納されているとともに、認証後データキャリアIC1306側から読み出したユーザー読み出しデータが格納され、このユーザー読み出しデータが表示出力部1894を介して、LCDパネル423に出力され表示される。したがって、データキャリアIC1306内のセキュリティ機能を変更したり、他の外部装置を接続することなく、セキュリティを確保しつつ時計部1890でデータキャリアIC1306内のデータを視認することができる。
【0135】
なお、時計部1890からはデータキャリアIC1306のメモリー1767の各エリア1791、1792を直接指定せず、認証とともに情報要求(残高、残回数、有効回数、利用履歴、所有者情報の照会など)のコマンドのみデータキャリアIC1306に送り、データキャリアIC1306がこれに応答して、認証成功の場合のみユーザー読出し許容エリア1792の情報を読み出して出力する構成としてもよい。
【0136】
(第19の実施の形態)
図50は、本発明の第19の実施の形態を示すものである。すなわち、図43Bに示した実施の形態と同様に、本実施の形態にかかる腕時計1901の時計本体1902及びリストバンド1303、1304は金属製であって、時計本体1902の他方のかん又部1941には、樹脂製の介装部材1940が係止されている。時計本体1902の外周部には、複数のキー1921が配置されている。時計本体1902の内部には、時計部1660及び表示部1614が配置されているのみならず、データキャリアIC1306が配置されている。このデータキャリアIC1306は、一対の固定端子1655、1655を介して、かん又部1941から外部に平行に突出する一対の接続用端子1656、1656に接続されている。なお、接続用端子1656、1656は、周囲に配置された絶縁部材1657、1657により時計本体1902と絶縁されている。また、前記介装部材1940には、データキャリア側アンテナコイル7130が内蔵されており、このデータキャリア側アンテナコイル1307の両端部は、介装部材1940内に配置された固定端子1658、1658に接続されている。そして、この固定端子1658、1658に前記接続端子1656、1656の先端部が接触している。したがって、データキャリア側アンテナコイル1307は、時計本体1902の外部にて介装部材1940に内蔵されていることから、時計本体1902やリストバンド1304を金属製としても、リーダー/ライター1310との交信に支障はない。
【0137】
(第20の実施の形態)
図51A、図51B及び図52は、本発明の第20の実施の形態を示すものである。すなわち、同図に示す腕時計2001の時計本体2002及びリストバンド1303、1304は金属製であって、図43Bに示した実施の形態と同様に、時計本体2002の他方のかん又部2041には、樹脂製の介装部材2040が係止されている。時計本体2002の外周部には、複数のキー2021が配置されている。時計本体2002の内部には、時計部1660及び表示部1614が配置され、時計部1660は3個の固定端子1655を介して、かん又部2014から外部に平行に突出する3本の接続用端子1656に接続されている。なお、各接続用端子1656は、周囲に配置された絶縁部材1657により時計本体2002と絶縁されている。また、前記介装部材2040には、データキャリアIC1306とデータキャリア側アンテナコイル1307とで構成されるデータキャリアモジュール1305が内蔵されおり、データキャリアモジュール1305は、介装部材2040内に配置された3個の固定端子1658に接続されている。そして、この各固定端子1658に前記各接続端子1656の先端部が接触している。したがって、データキャリア側アンテナコイル1307は、時計本体2002の外部にて介装部材2040に内蔵されていることから、時計本体2002やリストバンド1304を金属製としても、リーダー/ライター1310との交信に支障はない。また、時計部1660を介して、時計用の入出力部や電源などを、データキャリアモジュール1305と兼用することができ、データキャリアモジュール1305が内蔵された介装部材2040と時計本体2002とを各々個別に交換することも可能となる。
【0138】
なお、図52は、本実施の形態における前記データキャリアモジュール1305とリーダー/ライター1310、及び時計部1660の構成を示すブロック図である。同図に示すように、リーダー/ライター1310、データキャリアモジュール1305、及び時計部1610の構成は前述の図49に示した実施の形態と同様である。そして、データキャリアモジュール1305のユーザー認証部1363が前記接続用端子1656を介して時計部1660の時計制御部1661に接続されている。
【0139】
(第21の実施の形態)
図53は、本発明の第21の実施の形態のシステム構成を示すものである。図に示すように、本システムを構成する腕時計2101は、時計本体2102と、この時計本体2102の両端部に係止された樹脂製のリストバンド2103、2104とで構成されており、一方のリストバンド2104には、データキャリア側アンテナコイル1307が配設されている。また、時計本体2102には、データキャリア側アンテナコイル1307に接続されたデータキャリアIC1306と、このデータキャリアIC1306に接続された制御部2105及びこの制御部2105に各々接続された表示出力部2106と身体装着センサor生体情報センサ2107が設けられている。身体装着センサor生体情報センサ2107は、体温を検出する温度センサや脈拍を検出する脈拍センサであって、この身体装着センサor生体情報センサ2107からの信号により、制御部2105が腕時計の装着を検出するように構成されている。
なお、リーダー/ライター側アンテナコイル1308からゲート開閉装置1312までのシステム構成は、図37に示した実施の形態と同様である。
【0140】
かかる本実施の形態において、図54に示すように、身体装着センサor生体情報センサ502からの出力信号54Aは、この腕時計2101がユーザーの身体(腕)に装着されていない身体非装着時にはロウレベルであり、身体装着中においてはハイレベルとなる。また、制御部2105は、所定周期のクロック信号(54B)を生成する。すると、データキャリアIC1306は、身体装着センサor生体情報センサ2107からの出力信号54Aがハイレベルに変化した時点のクロック信号54Bからロウレベルに変化した時点のクロック信号54Bまでの間、ONとなってデータキャリア制御ストローブ信号54Cを生成する。そして、この間、リーダー/ライター1310側からの定期的な送信信号54Dを受信するとともに、この送信信号54Dに対応するデータキャリアIC側の応答/送受信処理54Eを実行する。
【0141】
つまり、この実施の形態においては、腕時計2101の身体への装着が検知されている間は、定期的に待ち受け受信して、リーダー/ライター1310からの電磁波や電磁界の信号を受けたときのみID Tagとして正常に応答作動し、装着中でないことが検知されているときには、リーダー/ライター1310からの信号受けても、動作しないように制御する。よって、腕時計2101を身体に装着していない時や紛失時に、動作することがなく、これによりセキュリティを確保することができるのみならず、電力消費を防止することができる。
【0142】
(第22の実施の形態)
図55は、本発明の第22の実施の形態のシステム構成を示すものである。この実施の形態のシステム構成は、前記図53に示した実施の形態における身体装着センサor生体情報センサ2107に代わって、傾斜センサ2207が設けられている。この傾斜センサ2207は、傾斜や回転が可能な永久磁石とリードスイッチ(若しくは磁気センサ)とを組み合わせたセンサ、あるいはカプセルや球状の小形筐体の内壁に対向電極などの導通スイッチを設け、筐体内に金属ボールや電導性液体を封じたセンサなどで構成される。したがって、この傾斜センサ2207により、腕時計2101を装着した腕の姿勢角度や、腕時計2101の位置が一定角度に傾斜しているか否かを検知可能に構成されている。
【0143】
かかる本実施の形態において、図56に示すように、傾斜センサ2207は一定角度に一定時間以上傾斜している状態を検出すると、所定のタイミングで傾斜センサ検出信号56Aを出力する。すると、データキャリアIC1306は、傾斜センサ検出信号56Aの出力タイミング毎にt1間隔でONとなって、データキャリア制御ストローブ信号56Bを生成する。そして、この間においてのみ、リーダー/ライター1310側からの定期的な送信信号56Cを受信するとともに、この送信信号56Cに対応するデータキャリアIC側の応答/送受信処理56Dを実行する。
【0144】
つまり、この実施の形態においても、腕時計2101がユーザーの身体に装着されて一定角度の範囲に傾斜した姿勢のときのみ、あるいは、一定の傾斜位置になった後一定時間のみ、ID Tagとして動作し、そうでないときには自動的に動作を中止するか、リーダー/ライター1310からの信号を受けても応答しないように制御される。したがって、リーダー/ライター側アンテナコイル1308に対して、腕時計1やデータキャリア側アンテナコイル1307が一定の姿勢や傾斜位置の場合にのみ作動して、確実に通信動作する。また、不自然な姿勢や位置の場合は、不使用と判断することができ、これによりセキュリティを確保しかつ誤動作を防止することができる。
【0145】
(第23の実施の形態)
図57及び図58は、本発明の第23の実施の形態を示すものである。図57に示すように、本実施の形態は、腕時計2301と、第1システム2311及び第2システム2322で構成される。腕時計2301は、メタル製の時計本体2302と、この時計本体2302の両端部に係止された樹脂製のリストバンド2303、2304とで構成されており、一方のリストバンド2304には、データキャリア側アンテナコイル1307が配設されている。
【0146】
時計本体2302内には、順次接続された表示部2305、時計部2306、第1データキャリアIC2307及び第2データキャリアIC2308が配置されている。第1データキャリアIC2307及び第2データキャリアIC2308は、ともにデータキャリア側アンテナコイル1307に接続されている。
【0147】
前記第1システム2311と第2システム2322とは、制御内容的には同一であって、前記実施の形態と同様に、リーダー/ライター側アンテナコイル1308、リーダー/ライター1310、制御装置/システム1311及びゲート開閉装置1312で構成されている。但し、第1システム2311と第2システム2322の搬送周波数は異なり、例えば第1システム2311の搬送周波数は125KHzであり、第2システム2322の搬送周波数は13.56MHzである。
【0148】
また、図58に示すように、前記第1データキャリアIC2307と第2データキャリアIC2308も、回路的には同一構成であって、図46に示した実施の形態と同様の回路構成である。但し、第1データキャリアIC2307と第2データキャリアIC2308搬送周波数は異なり、例えば第1データキャリアIC2307の搬送周波数は125KHzであり、第2データキャリアIC2308の搬送周波数は13.56MHzである。また、時計部2306も図46に示した実施の形態と同様の回路構成であり、時計部2306内の時計制御部1616からの制御信号が、各データキャリアIC2307、2308内のデータキャリア制御部1323に与えられるようになっている。
【0149】
したがって、時計制御部1616からの制御信号によって、各データキャリアIC2307、2308内のデータキャリア制御部1323を制御することにより、搬送周波数の異なる第1システム2311と第2システム2322との間で送受信を行うことができる。よって、単一の腕時計2301を携帯することのみにより、複数のシステムとの送受信が可能となる。無論、より多数のデータキャリアICを内蔵することにより、より多種類のシステムに対して、同一の腕時計を使用することが可能となる。
【0150】
(変形例その1)
なお、この実施の形態においては、データキャリア側アンテナコイル1307を一方のリストバンド2304に配置するようにしたが、図59に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2302内に配置するようにしてもよい。
【0151】
尚、この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0152】
(変形例その2)
また、この実施の形態においては、単一のデータキャリア側アンテナコイル1307のみを設け、第1データキャリアIC2307と第2データキャリアIC2308とで、データキャリア側アンテナコイル1307を共用するようにしたが、図60に示すように、第1データキャリアIC2307と第2データキャリアIC2308とに各々接続された個別のデータキャリア側アンテナコイル1307、1307を設けるようにしてもよい。この場合、図示のように、各データキャリア側アンテナコイル1307、1307を個別に各リストバンド2303、2304に配置することが好ましい。
【0153】
(変形例その3)
また、単一のデータキャリア側アンテナコイル1307のみを用いる場合、図61に示しような回路構成とすることもできる。この変形例において、時計部1660は、図46に示した実施の形態と同様の回路構成である。また、データキャリアIC2309は、メモリー1371の構成と分周回路及びマッチング回路1372を有する点のみにおいて、図46に示した実施の形態と異なっている。すなわち、メモリー1371は、図46に示した実施の形態と同様のユーザー読出し禁止エリア2361とユーザー読出し許容エリア2362を有するのみならず、変復調設定エリア1373を有している。また、分周回路及びマッチング回路1372は、異なるシステムに対応するような周波数帯の搬送波を生成手段を形成するものであって、データキャリア制御部1323に接続されているとともに、変調部1327、クロック再生部1320、及び復調部1321に接続されている。
【0154】
かかる構成において、ユーザーが予めキー1621を操作して複数種のシステムの搬送周波数を入力すると、この入力された複数の搬送周波数がメモリー1371の変復調設定エリア1373に記憶される。データキャリア制御部1323は、この変復調設定エリア1373に記憶されている周波数を読み出して、分周回路及びマッチング回路1372に供給し、分周回路及びマッチング回路1372は、当該周波数の信号を変調部1327、クロック再生部1320、及び復調部1321に出力する。したがって、変復調設定エリア1373に記憶された搬送周波数のシステムからの信号を復調部1321で復調し、あるいは当該システムへの信号を変調部1327で変調して、送受信を行うことができる。つまり、この変形例によれば、変調設定エリア1373に記憶させた複数種の周波数に対応する複数種のシステムとの交信が可能となる。
【0155】
なお、第23の実施の形態においては、一つあるいは二つのアンテナコイルの周波数を、複数のRF−IDシステムに適用できるように制御するようにしたが、ループ状のアンテナコイルを用いて無線によるデータ通信を行なえるシステムであれば、構内/広域ページングシステムにも適用できる。
【0156】
図62〜図74は、本発明の第24〜第29の実施の形態を示すものであり、データキャリア機能付き腕時計を利用した、各種ネットワークシステム、電子取引等のサービスを示すものである。以下、各実施の形態について詳述する。
【0157】
(第24の実施の形態)
図62は、本発明の第24の実施の形態のシステム構成を示すものである。図に示すように、本システムは、腕時計2401と、非接触式ICカード(ID Tag)2480、及びリーダー/ライター装置2483とで構成されている。腕時計2401は、時計本体2402と、この時計本体2402の両端部に係止されたリストバンド2403、2404とで構成されており、一方のリストバンド2404にはデータキャリア側アンテナコイル1307が配設されている。また、時計本体2402は、データキャリア側アンテナコイル1307に接続された読取り専用リーダー部2470、時計制御部2471、及び表示出力部2472及び図示しない表示部等を備えている。
【0158】
非接触式ICカード2480(ID Tag)は、前記データキャリア側アンテナコイル1307と誘導電磁界又は電磁波により交信するデータキャリア側アンテナコイル2481とデータキャリア用IC2482とを備えている。また、リーダー/ライター装置2483は、非接触式ICカード(ID Tag)2480のデータキャリア側アンテナコイル2481と誘導電磁界又は電磁波により交信するリーダー/ライター側アンテナコイル1308を備えている。このリーダー/ライター側アンテナコイル1308は、一端を接地されているとともに、他端をリーダー/ライター1310に接続され、このリーダー/ライター1310は、システム1311を介してゲート開閉装置1312に接続されている。
【0159】
したがって、この実施の形態においては、図63に示すように、非接触式ICカード2480(ID Tag)をポケット等に携帯しておくことにより、ゲート開閉装置1312を自動開閉させるID Tagの機能や電子通貨データを発生させることができ、さらにシステム利用者が腕時計2401を腕に装着し、非接触式ICカード(ID Tag)2480を腕時計2041に近づければ、非接触式ICカード2480(ID Tag)と、腕時計2041とで誘導電磁波による交信が自動的に行なわれ、図示するようにデータキャリア用IC2482に記憶された利用履歴等が腕時計2401の表示出力部2472に表示される。
【0160】
したがって、システム利用者はシステムの利用状況等を容易に確認することが可能となる。
【0161】
なお、腕時計2401の具体的構成については、前記各実施の形態に示した構成を適宜採用すればよい。
なお、図64に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2402内に配置するようにしてもよい。
【0162】
この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体2402への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0163】
(第25の実施の形態)
図65は、本発明の第25の実施の形態のシステム構成を示すものである。図に示すように、本システムは、腕時計2501と、リーダー/ライター装置2587とで構成されている。腕時計2501は、時計本体2502と、この時計本体2502の両端部に係止されたリストバンド2503、2504とで構成されており、一方のリストバンド部又はバンド取付部2505にはデータキャリア側アンテナコイル1307が配設されている。また、時計本体2502は、データキャリア側アンテナコイル1307に接続された無線送受信部2573が設けられており、無線送受信部2573はデータキャリア/時計制御部2574に接続されている。また、このデータキャリア/時計制御部2574には、表示出力部2572とIrDA規格に準拠した赤外線データ通信(以下、IrDA(Infrared Data Association)と称す)方式用の送受光部2575とが接続されている。
【0164】
リーダー/ライター装置2587は、前記腕時計2501のデータキャリア側アンテナコイル1307と誘導電磁界又は電磁波により交信するリーダー/ライター側アンテナコイル1308を備えるとともに、前記腕時計2501の送受光部2575とIrDA方式によりデータ通信する送受信部2584を備えている。そして、リーダー/ライター側アンテナコイル1308は、一端を接地されているとともに他端をRF−IDシステム用リーダー/ライター2586に接続され、送受信部2584はIrDA用リーダー/ライター2585に接続されている。また、RF−IDシステム用リーダー/ライター2586とIrDA用リーダー/ライター2585とは、LAN2599を介して、制御装置/システム1311とゲート開閉装置1312に接続されている。
【0165】
したがって、かかる第25の実施の形態によれば、誘導電磁界や電磁波による交信のみならず、赤外線によるデータ通信も可能となり、図66に示したような多種多様なシステムへの使用が可能となる。
【0166】
例えば、多種多様なデータ通信方式が混在したサイバーモール等のネットワークを管理するシステムにおいて、ネットワークサーバに構築される制御装置/システム1311と、この制御装置/システム1311に接続されているIrDA方式の情報送信器orIrDA方式のメッセージ表示器2588との間で、システム利用者はこの制御装置/システム1311が記憶管理する情報を検索、あるいは新規情報を登録する。
【0167】
また、当該制御装置/システム1311に接続され、市街地や観光地等に設置されたIrDA方式のマルチメディア・キオスク2589に、地域情報、案内情報、若しくはサービス情報等、当該制御装置/システム1311が提供する情報源から所望の情報を読み出してブラウザ表示させたり、情報交換を行う。
【0168】
また、制御装置/システム1311が外部にある電子決済システム(図示せず)と、RF−ID/IrDA方式兼用自動販売機/券売機/充填機2590とを接続管理することにより、これらのRF−ID/IrDA方式兼用自動販売機/券売機/充填機2590を利用してキャッシュレスで所望の商品等を購入する。
【0169】
更に制御装置/システム1311に接続された上述のRF−IDシステム用自動改札ゲート2591との交信によりシステム利用者は自動改札を行う等が可能となる。
【0170】
このように第25の実施の形態によれば、システム利用者は、多種多様なデータ通信形態が混在するインフラストラクチャを備えるネットワークシステムにおいて、各データ形態に合わせた情報端末を持ち歩く必要が無く、提供される各種情報サービスを、腕時計2501を着用するのみで利用することができる。
なお、本実施の形態においても図67に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2502内に配置するようにしてもよい。
【0171】
この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0172】
(第26の実施の形態)
図68は、本発明の第26の実施の形態のシステム構成を示すものである。図に示すように、本システムを構成する腕時計2601は、時計本体2602と時計本体2602の両端部に係止されたリストバンド2603、2604とで構成されている。時計本体2602には、データキャリア側アンテナコイル1307に接続されたデータキャリアIC1306と、このデータキャリアIC1306に接続された制御部2651及びこの制御部2651に各々接続された表示出力部2672と通信機器接続インターフェース2654とが設けられており、通信機器接続インターフェース2654には接続端子部2655が接続されている。
【0173】
この接続端子部2655は、例えばセルラーフォン、スマートフォン、PDA等の移動体通信端末2656を用いて、システム2657の利用者が公衆電話回線網(PSTN)に接続可能な無線データ通信ネットワークシステム上の無線基地局2651とデータ通信を行なうため、又は有線/無線モデムポートを装備した通信機器2613と接続して上記無線データ通信ネットワークシステムとのデータ通信が可能である。
【0174】
無線基地局2651は移動体通信ネットワーク網2659、ネットワーク網2658を介してシステム2657に接続され、通信機器2613はネットワーク網2612を介して前記システム2657に接続されている。
【0175】
したがって、かかる実施の形態によれば、データキャリア側アンテナコイル1307及びデータキャリアIC1306により、リーダー/ライター1310側から受信したデータを移動体通信端末2656又は通信機器2613によりシステム2657に送信することができる。あるいは、システム2657側からの非接触式データキャリアのデータを移動体通信端末2656又は通信機器1613を介して腕時計2601側で受信して書き込み、これをデータキャリアIC1306及びデータキャリア側アンテナコイル1307を介して、リーダー/ライター1310側に送信することもできる。
このような第26の実施の形態によれば、システム利用者は、腕時計2601を着用するのみで、例えば、上記無線データ通信ネットワークシステムが提供するサービス(基本通話サービスやデータ通信サービス)において、利用者の認証が必要な登録制サービスにおいて、利用や更新手続きが容易になる。
【0176】
無論、本実施の形態においても図69に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2602内に配置するようにしてもよい。
【0177】
この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0178】
(第27の実施の形態)
図70は、本発明の第27の実施の形態を示すものであり、インターネット上にSecure Electronic Transaction(以下SETと称す)という決済プロトコル適用し、これに腕時計型のID Tagを用いた場合の決済サービスシステムを示した図である。
【0179】
すなわち、本システムにおいて腕時計2701は、時計本体2702と、時計本体2702の両端部に係止されたバンド2703、2704とで構成されている。
【0180】
一方のリストバンド2704にデータキャリア側アンテナコイル1307が設けられ、時計本体2702には、データキャリア側アンテナコイル1307に接続された送受信部2714、この送受信部2714に制御部2751を接続された入出力部2715、キー2721、及び表示出力部2772が設けられている。また、時計本体2702の図示しないROM等の不揮発性メモリには、ブラウザ(インターネット閲覧用ソフトウエア)2716や上記SETに準拠するWallet(ショッピングの決済指示を後述するマーチャントPOSに送信するためのソフトウエア)2717が予めインストールされている。
【0181】
また、認証制御部2718は、RF−IDシステムにおける利用者の認証のみだけでなく、この利用者が既存のクレジットカード会員である場合、真正性確認のためのカード番号を記憶するメモリを備え、このメモリの機能は上述した各実施の形態におけるユーザー認証用データメモリ1667に準じる。
【0182】
一方、リーダー/ライター側アンテナコイル1308を備えたリーダー/ライター1310には、マーチャントPOS(Marchant POS)2719が接続され、このマーチャントPOSは、インターネット2720を介して仮想商店街の各加盟店のマーチャント・サーバ(Marchant Server)2721に接続される。
【0183】
このマーチャント・サーバ2721にはショッピングアプリケーション(ソフトウエア)2722、及び上記SETに準拠した処理、及び利用者の証明書管理処理を行うMerchant(ソフトウエア)2723が予めインストールされており、商取引の発生の際、マーチャント・サーバ2721はこれらのソフトウエアによって制御される。
【0184】
また、マーチャント・サーバ2721は、インターネット2724をSET Gateway(上記SET準拠のPayment Gateway)2725を介して、POS専用回線で既存の決済システム2726と接続されている。
【0185】
すなわち、この実施の形態においては、時計本体2702にブラウザ2716と、Wallet2717と、真正性確認のためのクレジット番号データ、暗証番号等、利用者に割り当てられた固有の情報記憶するメモリ(認証制御部2718)とを内蔵する。
【0186】
そしてまず利用者は、仮想商店街の中の所望の加盟店のURLをキー2721により入力し、腕時計2701をリーダー/ライター側アンテナコイルにかざすと、腕時計2701は、リーダー/ライター側アンテナコイル1308、リーダー/ライター1310、及びマーチャントPOSを介して、HTTPによってインターネット2720上のこの加盟店のマーチャントサーバにアクセスする。
【0187】
そして、アクセス要求された加盟店が、ショッピングアプリケーション2722を起動して作成した商品情報等のデータを送信する。
(データ通信方法については、RF−IDシステムを用いても良いが、HTTPデータのデータ量が大きい場合、IrDA、有線/無線によるデータ配信が好ましい。この場合、システム構成は上記第25の実施の形態、第26の実施の形態に準じる。)
【0188】
表示出力部2772に表示された商品情報等により取引可能な商品を閲覧した後、利用者が所望の商品の購入をキー2721で選択指示すると、その後は腕時計2701をリーダー/ライターにかざすだけで、インターネットを利用した商取引が成立する。
【0189】
すなわち、利用者が腕時計2701をリーダー/ライター側アンテナコイルにかざすと、選択された商品の識別番号を記憶したメモリ(制御部2751内にある)から商品の識別番号を読出し、WalletによりSETに準拠した決済指示を作成し、データキャリア側アンテナコイル1307からリーダー/ライター側アンテナコイル1308、リーダー/ライター1310、及びマーチャントPOSを介して、SET(決済プロトコル)によってインターネット2720で仮想商店街における各加盟店のマーチャーント・サーバー2721に接続されてこれらの情報が送信される。
【0190】
更にMerchant2723は、インターネット2724からSET Gateway2725を中継してPOS専用回線の金融機関の既存決済システム2726で認証や与信の確認を行ない、クレジットとして決済される。
無論、本実施の形態においても図71に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2702内に配置するようにしてもよい。
【0191】
この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0192】
(第28の実施の形態)
図72は、本発明の第28の実施の形態を示すものであり、第27の実施の形態を基板に、ネットワークシステム上に展開する、代金決済システム、電子決済システム、電子通貨支払システムに本発明を適用したものである。
【0193】
すなわち、ID Tag機能を有する腕時計2801は街角に設置され、認証、及び利用者と仮想商店街の加盟店との商品取引を端末2830(端末の種類は、PC、POS、ATM(CD)、街頭に設置されたマルチメディア・キオスクが考えられるが、ネットワーク接続機能を有し、RF−IDシステムを含むものであればこれに限定されない。)と接続、認証を行なう。
【0194】
するとこの端末2830はインターネット等の広域情報通信網(以下、W.W.W(World Wide Web)と称する。)2831を介して、加盟店2832のマーチャーント・サーバー2833に接続される。
【0195】
さらに、マーチャーント・サーバー2833は再びてW.W.W2834を介して、金融機関2835のゲートウェイ2836、金融ホスト(ネットワーク上のメインバンク)2837に接続される。
【0196】
ここで、ネットワーク上において発生し、暗号化されて受信した利用者と加盟店2832との商取引に関連する情報に対し、金融ホストは、予め定められた公開鍵を使用して認証者を識別するための固有の情報、加盟店のネットワーク上の登録情報、及び、売買情報(金額)等を得る。
【0197】
その後、これらの情報に基づいて、利用者の銀行2840の預金口座から上記売買情報に基づく金額データを読み出して、加盟店の銀行2839への振込代行処理を行う(加盟店の銀行2839と利用者の銀行2840とは口座番号が異なるだけで同一であってもよい。)。
【0198】
前記腕時計2801は上記処理に対応する様々なプログラム(機能)を内蔵する。
【0199】
まず、RF−IDシステムに対応する送受信インターフェース2841を備える(本発明の特徴としてRF−IDシステムを用いたが、IrDA、Blue toothであってもよい)。
【0200】
また、前記腕時計2801は、この送受信インターフェース2841に接続され、ICチップ等で構成された電子ウォレット制御部2842と、ROM等の不揮発性メモリで構成され、この電子ウォレット制御部2842に接続され、当該ネットワークおいて、クレジット番号データ、預金口座番号データ、暗証番号等、認証者本人であることを識別させるための固有情報を記憶する本人認証部2843を備える。
【0201】
更に電子ウォレット制御部2842は、クレジットシステム用電子決済機能2844、銀行口座用電子決済機能2845、電子通貨処理機能2846、電子小切手システム用処理機能2847、及び電子クーポン処理機能2848を実行するプログラム(ソフトウェア)を備え、図示されないが、夫々の機能に対応して、前記商取引において発生した金額データを既存のネットワークを介して受取り、それを利用して、利用状況(預金残高等)を記憶するメモリを備える。
【0202】
このように第28の実施の形態では前述した第27の実施の形態と同様に、前記腕時計2801の所有者(利用者)は、端末に設置されたリーダー/ライター(不図示、詳細は第27の実施の形態に準じる。)に前記腕時計2801をかざすだけで、端末2830を介して、加盟店2832とのデータ通信(商取引)の決済指示を行ない、更に、W.W.W2831,2834を通じて金融機関2835側から得られる認証、及び与信の確認得て、クレジットシステム用電子決済、銀行口座用電子決済、電子通貨決済、電子小切手決済、及び電子クーポン決済ができる。
【0203】
(第29の実施の形態)
図73は、本発明の第29の実施の形態を示すものであり、外部から各種サーバにアクセスするための認証システムに本発明を適用したものである。
【0204】
すなわち、本システムを構成する腕時計2901は、時計本体2902と、時計本体2902の両端部に係止されたリストバンド2903、2904とで構成されている。
【0205】
一方のリストバンド2904にデータキャリア側アンテナコイル1307が設けられ、時計本体1902には、データキャリア側アンテナコイル1307に接続された送受信部2914、この送受信部2914に順次接続された制御部2951、本認証システムにおける処理プログラムを格納した通信処理実行プログラム2960、通信接続制御部2961、及び入出力部2915が設けられている。
【0206】
一方、一端を接地されたリーダー/ライター側アンテナコイル1308の他端部は、無線送受信部2963を介して通信接続装置orリモートアクセスサーバー2964に接続されている。
【0207】
通信接続装置orリモートアクセスサーバー2964は、通信制御部2965、認証制御部2966、通信接続制御部2987、ネットワーク接続部2968を備えている。
【0208】
ネットワーク接続部2968は、LAN2973を介して、認証サーバー2969、各種サーバー2970、2971、及びホストPC2972に接続されている。
【0209】
かかる実施の形態において、腕時計2901は通信処理実行プログラム2960の内容に基づいて、通信接続制御部2961を制御して、本人認証データ部2962に格納されている、予め当該ネットワークにおいて割り当てられた登録者番号データ等、固有の情報に基づく本人認証データをデータキャリア側アンテナコイル1307から送信し、これをリーダー/ライター側アンテナコイル1308が受信し、無線送受信部2963を介して通信接続装置orリモートアクセスサーバー2964がこの本人認証データを取り込む。
【0210】
しかる後に、通信接続装置orリモートアクセスサーバー2964はネットワーク接続部2968にてLAN2973に接続し、認証サーバー2969に格納されている登録者リスト(不図示)にある本人認証データを取り込んで、認証制御部2966で前記本人認証データと照合して、認証処理する。
【0211】
そして、適正に認証処理が終了したならば、通信接続装置orリモートアクセスサーバー2964は各種サーバー2970、2971からデータを読み出して、無線送受信部2963、リーダー/ライター側アンテナコイル1308を介して、腕時計2901側に送信する。
【0212】
(データ量が大きい場合、RF−IDシステムのみでなく、IrDA、有線/無線データ通信システムを兼用しても良い。)
【0213】
腕時計2901は、各種サーバー2970、2971から読み出したデータ受信/記憶/管理することができる。
無論、本実施の形態においても図74に示すように、データキャリア側アンテナコイル1307を時計本体2902内に配置するようにしてもよい。
【0214】
この場合データキャリア側アンテナコイル1307の時計本体への実装構造は、上記第1の実施の形態〜第12の実施の形態に記載されるようなものが望ましい。
【0215】
なお、以上の実施の形態においては、主として腕時計にデータキャリアが内蔵されたものについて説明したが、アクセサリーとして好適な形態を備えたデバイス、例えばペンダントのトップのように装飾性が高い物品にデータキャリアを内蔵する場合でも良く、また、その場合においては金属部材を使用してもRF−IDシステムにおいて、高いデータ通信機能を維持することができる。
【符号の説明】
【0216】
100 腕時計
101 時計本体
102 リストバンド
103 ケース
104 硬質透明部材
108 モジュール
110 データキャリア側アンテナコイル
308 時計モジュール
312 LCDパネル
406 表示枠固定部材
412 モジュールカバー部材
413 モジュール固定部材
420 モジュール用ハウジング部材
425 データキャリアIC用基板
902 マグネティック・コア
1002 時計本体
1022 データキャリアモジュール
1307 データキャリア側アンテナコイル
1310 リーダー/ライター
1319 AC/DCコンバータ
1320 クロック再生部
1321 復調部
1322 復号部
1324 電源制御部
1340 介装部材
1350 モジュールユニット
2651 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導により認証対象者に装着された電子機器から認証データを読取る第1の読取手段と、
この読取手段によって読取られた認証データと当該システムに登録された認証データとが一致するか否かを判別する判別手段と、
この判別手段により一致すると判別されると、前記認証対象者の当該システムの利用を許可する許可手段と、
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項2】
前記認証対象者が所有するカード状記憶媒体から、当該システムの利用状況を電磁誘導により読取る第2の読取手段と、
この第2読取手段により読取られた当該システムの利用状況を表示する表示手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の認証システム。
【請求項3】
前記電子機器は、
前記認証データの一致により送信が許可されているデータを記憶する第1の記憶手段と、赤外線によりこの第1の記憶手段に記憶されているデータを送信する送信手段とを備え、
前記認証システムは、
前記送信手段により送信されたデータを受信する受信手段と、
この受信手段によって受信されたデータに基づく情報を表示する情報表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の認証システム。
【請求項4】
前記電子機器は、
公衆回線網を介してデータ通信を行なうデータ通信手段と、
このデータ通信手段によって通信されたデータを記憶する第2の記憶手段と、
この第2の記憶手段に記憶されたデータより、当該認証システムで使用するデータを抽出し、このデータに基づいて当該電子機器を制御する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の認証システム。
【請求項5】
前記電子機器は、
当該電子機器に記憶されている認証データを前記データ通信手段によってデータ通信する通信制御手段を、更に備えることを特徴とする請求項2記載の認証システム。
【請求項6】
前記認証対象者の預金口座を管理する第1の管理手段と、
前記認証対象者が当該認証システムを利用したことによる課金内容を管理する第2の管理手段と、
前記許可手段により前記認証データの一致による前記認証対象者の当該システムへの利用が許可されると、この認証データによって前記第1の管理手段、及び前記第2の管理手段の管理内容を制御する第2の制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項2記載の認証システム。
【請求項7】
前記許可手段と、前記第1の管理手段、及び前記第2の管理手段とをネットワークを介して接続する第1の接続手段を、更に備えることを特徴とする請求項6記載の認証システム。
【請求項8】
ネットワークを介して、当該認証システム外に存在する記憶管理システムと接続する第2の接続手段を更に備え、
前記許可手段は、認証データの一致により当該認証システム利用が許可されると、前記第2の接続手段を介しての前記記憶管理システムへのアクセスを許可するアクセス許可手段を含むことを特徴とする請求項2記載の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【公開番号】特開2010−33612(P2010−33612A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258483(P2009−258483)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【分割の表示】特願2006−304945(P2006−304945)の分割
【原出願日】平成11年11月12日(1999.11.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】