説明

電子機器

【課題】記憶媒体に記憶された情報を確実に読取装置で読み取らせることを可能とした電子機器を提供する。
【解決手段】本体部2と、液晶ディスプレイ3を備えるとともに本体部2に対して移動可能に支持されたディスプレイ部4とから基本的に構成され、また、本体部2に形成されたカード挿入口16の前面には、カード挿入口16を開閉する開閉蓋21が設けられている。そして、メモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、開閉蓋21がカード挿入口16から離間した離間位置に支持され、ディスプレイ部4の移動を妨げるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取装置と、本体部に対して移動可能に支持されたディスプレイ部とを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図情報をDVD−ROMやHDDなどの記録媒体を通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図情報を記録媒体等から読み出し、地図情報に基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
また、上記ナビゲーション装置等以外にも、記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取装置と読取装置で読み取ったデータに基づく画像や文字などを表示するディスプレイとをそれぞれ備える電子機器が存在する。例えば、DVDプレイヤや音楽プレイヤ等である。
【0004】
また、情報を記憶する記憶媒体としては、従来よりDVD−ROMやHDD等が用いられていたが、装置の小型化の為にメモリーカード(例えば、USBフラッシュメモリ、マルチメディアカード、SDメモリーカード、miniSDカード、microSDカード)等の小型の記憶媒体が用いられることも多くなっていた。更に、上記した読取装置とディスプレイとを備えた電子機器の中には、機器の小型化及びディスプレイの大型化を実現する為、ディスプレイを本体部に対して移動可能に支持し、記憶媒体の読取装置をディスプレイの裏側に対して配置するものがあった(例えば、特開2005−92987号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−92987号公報(第3頁〜第4頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電子機器が備える読取装置は、挿入口に対して挿入された記憶媒体に記憶された情報を読み取る方式が広く用いられているが、読取装置により記憶媒体に記憶された情報を読み取り可能な位置(以下、読取位置という)へと記憶媒体を位置させる為には、記憶媒体を挿入口に対して読取位置まで挿入する必要がある。従って、記憶媒体の挿入口に対する挿入が十分でないと、記憶媒体が挿入口に対して挿入されているにもかかわらず、読取装置により記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができない。そして、上記特許文献1のように記憶媒体の読取装置をディスプレイの裏側に対して配置した電子機器では、挿入口がディスプレイによって隠れた状態となるので、ユーザは記憶媒体が読取位置まで挿入されているか否かの識別が困難である。その結果、記憶媒体に記憶された情報を確実に読取装置で読み取らせることができない問題があった。特に、近年では上記した小型の記憶媒体が用いられることが多くなっており、ユーザは記憶媒体が読取位置まで挿入されているか否かの識別がより困難となっていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、記憶媒体が挿入口に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、開閉蓋によってディスプレイ部の移動を妨げ、記憶媒体が読取位置まで挿入されているか否かの識別を容易に行わせることを可能とし、記憶媒体に記憶された情報を確実に読取装置で読み取らせることを可能とした電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る電子機器(1)は、記憶媒体(10)に記録された情報を読み取る読取装置(11)を備えた本体部(2)と、前記本体部の前面に形成された前記記憶媒体の挿入口(16)と、前記本体部の前面において前記挿入口を被覆する閉鎖位置と前記挿入口を露出する開放位置との間で移動可能に支持されるとともに、前記読取装置で読み取られた情報に基づく画像を表示するディスプレイ(3)を備えたディスプレイ部(4)と、前記挿入口に設けられ、前記挿入口を被覆することによって前記挿入口を閉鎖するとともに、前記挿入口から離間することによって前記挿入口を開放する開閉蓋(21)と、を有し、前記読取装置は、前記挿入口から挿入された前記記憶媒体が読取位置まで挿入された場合に、前記読取装置に記憶された情報を読み取り、前記開閉蓋は、前記記憶媒体が前記挿入口に挿入され、且つ前記読取位置まで挿入されていない状態では前記挿入口から離間した離間位置に支持され、前記開閉蓋が離間位置にある状態で、前記ディスプレイ部を前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させた場合には、前記ディスプレイ部と前記開閉蓋が接触し、前記ディスプレイ部の移動を妨げることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る電子機器(1)は、請求項1に記載の電子機器において、前記開閉蓋(21)は、回転軸(22)を中心に前記本体部に対して回動可能に支持された板部材(23)を備え、前記板部材が前記挿入口(16)を被覆することによって前記挿入口を閉鎖するとともに、前記挿入口から離間することによって前記挿入口を開放し、前記ディスプレイ部を前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させた場合における前記ディスプレイ部の移動軌跡が前記離間位置にある前記板部材と重なることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る電子機器(1)は、請求項2に記載の電子機器において、前記板部材(23)は、前記記憶媒体(10)が前記挿入口(16)に挿入され、且つ前記読取位置まで挿入されていない状態では、前記挿入口側に押圧された場合であっても、前記離間位置に位置することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る電子機器(1)は、請求項2又は請求項3に記載の電子機器において、前記開閉蓋(21)の前記回転軸(22)の軸方向は、前記ディスプレイ部(4)の移動方向と略一致することを特徴とする。
【0012】
更に、請求項5に係る電子機器(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器において、前記記憶媒体(10)には地図情報が記憶され、前記ディスプレイ(3)は、前記記憶媒体に記憶された前記地図情報に基づく地図画像が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
前記構成を有する請求項1に係る電子機器では、記憶媒体が挿入口に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、開閉蓋が挿入口から離間した離間位置に支持され、その結果、開閉蓋によってディスプレイ部の移動が妨げられる。従って、記憶媒体が読取位置まで挿入されているか否かの識別を容易に行わせることを可能とし、記憶媒体に記憶された情報を確実に読取装置で読み取らせることが可能となる。
【0014】
また、請求項2に係る電子機器では、ディスプレイ部を開放位置から閉鎖位置へと移動させた場合におけるディスプレイ部の移動軌跡が離間位置にある開閉蓋の板部材と重なるので、離間位置にある開閉蓋とディスプレイ部とを確実に接触させることが可能となり、ディスプレイ部の移動を停止させることが可能となる。
【0015】
また、請求項3に係る電子機器では、記憶媒体が挿入口に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない状態では、開閉蓋が挿入口側に押圧された場合であっても離間位置に位置するので、記憶媒体が読取位置まで挿入されていない状況において、確実に開閉蓋とディスプレイ部とを接触させることが可能となり、ディスプレイ部の移動を停止させることが可能となる。
【0016】
また、請求項4に係る電子機器では、開閉蓋の回転軸の軸方向は、ディスプレイ部の移動方向と略一致するので、開閉蓋とディスプレイ部が接触した場合であっても、開閉蓋の回転軸に加わる負荷が小さくなるので、開閉蓋の破損を防止することが可能となる。
【0017】
更に、請求項5に係る電子機器では、特に地図情報を記憶した記憶媒体を読取装置で読み取る場合において、記憶媒体が読取位置まで挿入されているか否かの識別を容易に行わせることが可能となる。従って、記憶媒体に記憶された地図情報に基づく画像をディスプレイに対して確実に表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ディスプレイ部が閉鎖位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置の斜視図である。
【図2】ディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置の斜視図である。
【図3】ディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置の正面図である。
【図4】読取装置の構成について説明した図である。
【図5】被覆位置にある開閉蓋の正面図である。
【図6】被覆位置にある開閉蓋の上面図である。
【図7】離間位置にある開閉蓋の正面図である。
【図8】離間位置にある開閉蓋の上面図である。
【図9】メモリーカードが非読取位置にある場合の開閉蓋を示した上面図である。
【図10】ディスプレイ部が閉鎖位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置の側面図である。
【図11】ディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置の側面図である。
【図12】開閉蓋とディスプレイ部が接触した状態におけるナビゲーション装置を示した斜視図である。
【図13】開閉蓋とディスプレイ部が接触した状態におけるナビゲーション装置を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子機器についてナビゲーション装置1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1〜図3を用いて説明する。図1はディスプレイ部が閉鎖位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置1の斜視図、図2はディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置1の斜視図、図3はディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置1の正面図である。
【0020】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るナビゲーション装置1は、本体部2と、液晶ディスプレイ3を備えるとともに本体部2に対して移動可能に支持されたディスプレイ部4とから基本的に構成される。
【0021】
先ず、本体部2について以下に説明する。
本体部2は、略直方体形状を有し、記憶媒体の内、特にメモリーカード10(例えば、USBフラッシュメモリ、マルチメディアカード、SDメモリーカード、miniSDカード、microSDカード、メモリースティック、スマートメディア等)に記録された地図情報を読み取る読取装置11と、DVDやCD等の光ディスクに記録された情報を読み取るDVDドライブ12と、ナビゲーション装置1の全体の制御を行うCPU、RAM、ROM等が搭載されるとともに液晶ディスプレイ3に画像データを出力する為の画像データ出力回路を含む制御基板13と、をそれぞれ内部に備える。
【0022】
読取装置11は、メモリーカード10と接触する接触端子15(図4参照)や回路基板(図示せず)等から構成される。また、読取装置11によって情報が読み取られるメモリーカード10には、ナビゲーション装置1における地図画像の表示や経路探索に用いられる地図情報が記憶される。地図情報としては、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶される。
【0023】
また、本体部2の前面において読取装置11に対応する位置には、メモリーカード10を挿入する為のカード挿入口16が形成されている。ここで、読取装置11はカード挿入口16に挿入されたメモリーカード10に記憶された情報を読み取る構成となっているが、読取装置11によりメモリーカード10に記憶された情報を読み取る為には読取位置までメモリーカード10を挿入する必要がある。
【0024】
ここで、図4を用いてメモリーカード10の上記読取位置について説明する。図4に示すようにメモリーカード10を本体部2に内蔵された読取装置11に読み取らせる為には、本体部2の前面位置Xよりメモリーカード10の端部Yが奥側(図4左側)となる位置までメモリーカード10を挿入する必要がある。その結果、メモリーカード10がカード挿入口16内において読取位置に支持され、メモリーカード10の端子部分が読取装置11の接触端子15に接触し、接触端子を介して読取装置11によりメモリーカード10に記録された情報の読み取りが可能となる。一方、メモリーカード10をカード挿入口16に挿入したとしても、本体部2の前面位置Xよりメモリーカード10の端部Yが手前側(図4右側)となる位置までしかメモリーカード10を挿入しなかった場合には、メモリーカード10は読取位置まで挿入されず、読取位置よりもメモリーカード10の端部Yが手前側(図4右側)に位置した状態(非読取位置)でメモリーカード10がカード挿入口16内に支持される。その結果、メモリーカード10の端子部分が読取装置11の接触端子15に接触せず、読取装置11によりメモリーカード10に記録された情報を読み取ることができなくなる。
【0025】
また、カード挿入口16の前面には、カード挿入口16を開閉する開閉蓋21が設けられている。ここで、図5は被覆位置にある開閉蓋21の正面図、図6は被覆位置にある開閉蓋21の上面図、図7は離間位置にある開閉蓋21の正面図、図8は離間位置にある開閉蓋21の上面図である。
図5〜図8に示すように開閉蓋21は、本体部2の前面におけるカード挿入口16の左側方に設けられた回転軸22と、回転軸22を中心に本体部2に対して回動可能に支持された板部材23とから構成される。
【0026】
そして、図5及び図6に示すように板部材23がカード挿入口16を被覆する被覆位置にある場合には、開閉蓋21によってカード挿入口16が閉鎖された状態となる。その結果、ユーザはカード挿入口16に挿入されたメモリーカード10の取り出しができなくなる。
一方、図7及び図8に示すように板部材23がカード挿入口16から離間した離間位置にある場合には、カード挿入口16が開放された状態となる。その結果、ユーザはカード挿入口16に挿入されたメモリーカード10の取り出しが可能となる。
尚、開閉蓋21は、ねじりコイルばねでカード挿入口16側へ付勢する構成としても良い。
【0027】
また、メモリーカード10がカード挿入口16に挿入され、且つ読取位置まで挿入されていない状態(非読取位置)では、図4に示すようにメモリーカード10は、端部Yが本体部2の前面位置Xよりも大きく手前側(図4右側)に位置した状態でカード挿入口16内に支持される。その結果、図9に示すように板部材23は、カード挿入口16側に押圧された場合であっても、メモリーカード10の角と板部材23の内側面が接触し、カード挿入口16を閉鎖することができず、カード挿入口16から離間した離間位置に支持される。また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、後述のようにディスプレイ部4を開放位置から閉鎖位置へと移動させた場合におけるディスプレイ部4の移動軌跡が離間位置にある板部材23と重なるように構成されている。更に、開閉蓋21の回転軸の軸方向(図9のE方向)は、ディスプレイ部4の移動方向(図9のF方向)と略一致するように設定されている。
【0028】
また、DVDドライブ12は、光ディスクに記録されたプログラム等を読み出す為のヘッドや、光ディスクを回転させる為のモータ等を備えている。また、本体部2の前面においてDVDドライブ12に対応する位置には、光ディスクを挿入する為のディスク挿入口25が形成されている。尚、DVDドライブ12によって読み取られるデータとしては、映像データや音楽データ以外にメモリーカード10に記憶された地図情報を更新する為の地図更新情報等が読み取られる。
【0029】
また、制御基板13は、液晶ディスプレイ3、読取装置11、DVDドライブ12等の各種装置とケーブルにより接続され、RAMやROMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。具体的には、自車の現在位置周辺の地図を液晶ディスプレイ3に表示する処理、目的地までの経路を探索する経路探索処理、後述するディスプレイ部4の駆動機構を制御する駆動制御処理、通信や光ディスクを介して取得した地図更新情報に基づいてメモリーカード10に記憶された地図情報を更新する地図情報更新処理などを実行する。
【0030】
また、本体部2の裏面側には各種ケーブルを接続する為の接続コネクタ(図示せず)が設けられている。そして、ナビゲーション装置1は、本体部2が車両のフロントパネルに形成された挿入部(図示せず)に対して挿入され、ケーブルを接続コネクタに接続することにより車両に対して載置される。
【0031】
次に、ディスプレイ部4について以下に説明する。
ディスプレイ部4は、液晶ディスプレイ3と、液晶ディスプレイ3の周辺に形成された各種操作ボタン31と、液晶ディスプレイ3を支持する枠部材32を備える。そして、ディスプレイ部4は、本体部2の前面においてカード挿入口16やディスク挿入口25を被覆する閉鎖位置と、カード挿入口16やディスク挿入口25を露出する開放位置との間で移動可能に支持される。
【0032】
また、液晶ディスプレイ3は、例えば、読取装置11で読み取った画像データや画像データ出力回路等から出力された画像データに基づく画像を表示する。例えば、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ3の代わりに、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用することも可能である。
【0033】
また、操作ボタン31は、ユーザからの操作を受け付ける為の操作手段である。ナビゲーション装置1のCPUは、操作ボタン31で受け付けた操作に基づいて、地図の縮尺を変更したり、目的地の入力及び目的地までの経路の探索を行う。また、本実施形態ではディスプレイ部4を閉鎖位置と開放位置の間で移動させる為の操作も受け付ける。
【0034】
また、枠部材32は、液晶ディスプレイ3の周囲を覆う保護部材である。また、枠部材32は、本体部2に対してディスプレイ部4を支持するとともに、ディスプレイ部4を開放位置と閉鎖位置との間で移動させる移動構造を、本体部2との間で構成する。
【0035】
続いて、ディスプレイ部4が備える移動構造について説明する。図10はディスプレイ部が閉鎖位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置1の側面図、図11はディスプレイ部が開放位置にある場合の本実施形態に係るナビゲーション装置1の側面図である。
【0036】
ディスプレイ部4は、図10に示す閉鎖位置において液晶ディスプレイ3の表示画面が本体部2の前面と平行な位置である正面(即ち、車両の乗員側)に向き、図11の開放位置において液晶ディスプレイ3の表示画面が本体部2の前面に対して略垂直位置である上方(即ち、車両の天井側)に向くように構成される。
【0037】
ディスプレイ部4の左右の側面には、図10の閉鎖状態で上方となる位置にスライドピン42が設けられ、下方となる位置に連結ピン43が設けられている。
そして、図10及び図11に示すように、本体部2の左右の内側面には、ガイド部45がそれぞれ設けられ、このガイド部45にはガイド穴46が形成されている。ガイド穴46は、その上部が略垂直方向に延びていて、下部が前側に向かって滑らかにカーブしているので、全体として略Jの字状となっている。このガイド穴46には、図10及び図11に示すように、ディスプレイ部4のスライドピン42がスライド移動可能に設けられており、スライドピン42がガイド穴46の上端にあるときには、ディスプレイ部4は図10に示す閉鎖位置となり、スライドピン42がガイド穴46の下端にあるときには、ディスプレイ部4は図11に示す開放位置となるように構成されている。
【0038】
また、図10及び図11に示すように、ディスプレイ部4の左右には、アーム47が、駆動機構(図示せず)により前後動可能に設けられている。このアーム47の先端は、連結ピン43に回動可能に連結されている。そして、アーム47が駆動機構によって前方に付勢されたときには、ディスプレイ部4の下部が前方に付勢されてディスプレイ部4は開放位置へと移動し、アーム47が駆動機構によって後方に引かれたときには、ディスプレイ部4の下部が引き付けられてディスプレイ部4は閉鎖位置へと移動するように構成されている。なお、駆動機構は、ナビゲーション装置1における通常の機能と同様に、操作ボタン31の他、タッチパネル、リモコン等からの指示入力によって操作することができる。また、駆動機構を設けずに手動でディスプレイ部4を移動可能に構成しても良い。
【0039】
上記構成を有することにより、操作ボタン31を操作することによって、ディスプレイ部4を閉鎖位置と開放位置との間で移動させることが可能となる。そして、通常、ユーザがディスプレイ部4の液晶ディスプレイ3に表示された画像を視認する場合には、ディスプレイ部4が閉鎖位置にある。そして、メモリーカード10をカード挿入口16に対して挿入する場合又は取り出す場合、或いは、光ディスクをディスク挿入口25に対して挿入する場合又は取り出す場合には、ディスプレイ部4を開放位置に移動させる。
その場合には、ユーザが操作ボタン31においてディスプレイ部4を開放位置に移動させる指示を入力する。すると、駆動機構の作動によりアーム47が前方にせり出して連結ピン43が前方に付勢され、スライドピン42がガイド穴46に沿って下方に移動し、ディスプレイ部4が倒れ始める。そして、図11に示すように、スライドピン42がガイド穴46の下端に達して駆動機構が停止する。
その結果、ディスプレイ部4が開放位置に位置することとなり、カード挿入口16やディスク挿入口25が露出するので、いずれの挿入口にも、メモリーカード10や光ディスクを挿入することができる。
【0040】
一方、メモリーカード10や光ディスクの挿入や取り出しが終了し、ディスプレイ部4を再び閉鎖位置へと移動させる場合には、ユーザが操作ボタン31においてディスプレイ部4を閉鎖位置に移動させる指示を入力する。すると、駆動機構の作動により、アーム47が後方に引き付けられて連結ピン43が後方に付勢され、スライドピン42がガイド穴46に沿って上方に移動し、ディスプレイ部4が起立し始める。そして、スライドピン42がガイド穴46の上端に達して駆動機構が停止するので、ディスプレイ部4は、図10に示すように直立する。
【0041】
ここで、本願発明では、ディスプレイ部4が閉鎖状態と開放状態との間で移動する際の移動軌跡は、図9に示す離間位置にある開閉蓋21の板部材23と重なるように構成される。従って、開閉蓋21が離間位置にある状態で、ディスプレイ部4を開放位置から閉鎖位置へと移動させた場合には、図12及び図13に示すようにディスプレイ部4と開閉蓋21が接触し、ディスプレイ部4の移動を妨げる。図12は開閉蓋21とディスプレイ部4が接触した状態におけるナビゲーション装置1を示した斜視図、図13は開閉蓋21とディスプレイ部4が接触した状態におけるナビゲーション装置1を示した側面図である。
【0042】
図12及び図13に示すように、開閉蓋21とディスプレイ部4が接触すると、駆動機構が駆動をいったん停止する。その後、駆動機構が再始動し、開放位置へと戻る方向へとアーム47を付勢する。その結果、図11に示す開放位置へとディスプレイ部4が移動する。尚、開閉蓋21とディスプレイ部4が接触した場合に、開放位置へと戻ることなく、開閉蓋21と接触した状態で停止するように構成しても良い。尚、開閉蓋21の回転軸22の軸方向は、ディスプレイ部4の移動方向と略一致するので、ディスプレイ部4の移動方向と動方向である場合(例えば、回転軸22を水平方向に設け、開閉蓋21を回転軸22に対しで上下方向に回動させる場合)と比較して、開閉蓋21とディスプレイ部4が接触した場合であっても、開閉蓋21の回転軸22に加わる負荷が小さくなる利点がある。
【0043】
そして、本実施形態では前記したようにメモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、開閉蓋21がカード挿入口16から離間した離間位置に支持される。従って、メモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない状態では、ディスプレイ部4を閉鎖位置へと移動させることができない。その結果、ユーザはメモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、そのことを確実に識別することが可能となる。
【0044】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、本体部2と、液晶ディスプレイ3を備えるとともに本体部2に対して移動可能に支持されたディスプレイ部4とから基本的に構成され、また、本体部2に形成されたカード挿入口16の前面には、カード挿入口16を開閉する開閉蓋21が設けられている。そして、メモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない場合には、開閉蓋21がカード挿入口16から離間した離間位置に支持され、ディスプレイ部4の移動を妨げる結果となる。その結果、開閉蓋21によってディスプレイ部4の移動が妨げられる。従って、メモリーカード10が読取位置まで挿入されているか否かの識別を容易に行わせることを可能とし、メモリーカード10に記憶された情報を確実に読取装置で読み取らせることが可能となる。
また、ディスプレイ部4を開放位置から閉鎖位置へと移動させた場合におけるディスプレイ部4の移動軌跡が離間位置にある開閉蓋21の板部材23と重なるので、離間位置にある開閉蓋21とディスプレイ部4を確実に接触させることが可能となり、ディスプレイ部4の移動を停止させることが可能となる。
また、メモリーカード10がカード挿入口16に挿入されているにもかかわらず読取位置まで挿入されていない状態では、開閉蓋21が挿入口側に押圧された場合であっても離間位置に位置するので、メモリーカード10が読取位置まで挿入されていない状況において、確実に開閉蓋21とディスプレイ部4を接触させることが可能となり、ディスプレイ部4の移動を停止させることが可能となる。
また、開閉蓋21の回転軸22の軸方向は、ディスプレイ部4の移動方向と略一致するので、開閉蓋21とディスプレイ部4が接触した場合であっても、開閉蓋21の回転軸22に加わる負荷が小さくなるので、開閉蓋21の破損を防止することが可能となる。
また、本実施形態ではナビゲーション装置1に用いる地図情報を記憶したメモリーカード10を読取装置11で読み取る場合に適用するので、メモリーカード10に記憶された地図情報に基づく画像をディスプレイ部4に対して確実に表示することが可能となる。
【0045】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、メモリーカード10に記憶された地図情報を表示するディスプレイを備えた端末としてナビゲーション装置1を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置1の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。また、地図情報はHDDに記憶する構成としても良い。その場合には、メモリーカード10はHDDに記憶された地図情報を更新する為の地図更新情報を記憶する構成とする。
【0046】
また、本実施形態では地図情報を記憶する記憶媒体として、メモリーカードを用いているが、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を地図情報記憶媒体として使用することもできる。
【0047】
また、本実施形態ではカード挿入口16のみに対して開閉蓋21を設ける構成としたが、ディスク挿入口25に対しても同様に開閉蓋21を設けても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 ナビゲーション装置
2 本体部
3 液晶ディスプレイ
4 ディスプレイ部
10 メモリーカード
11 読取装置
16 カード挿入口
21 開閉蓋
22 回転軸
23 板部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に記録された情報を読み取る読取装置を備えた本体部と、
前記本体部の前面に形成された前記記憶媒体の挿入口と、
前記本体部の前面において前記挿入口を被覆する閉鎖位置と前記挿入口を露出する開放位置との間で移動可能に支持されるとともに、前記読取装置で読み取られた情報に基づく画像を表示するディスプレイを備えたディスプレイ部と、
前記挿入口に設けられ、前記挿入口を被覆することによって前記挿入口を閉鎖するとともに、前記挿入口から離間することによって前記挿入口を開放する開閉蓋と、を有し、
前記読取装置は、前記挿入口から挿入された前記記憶媒体が読取位置まで挿入された場合に、前記読取装置に記憶された情報を読み取り、
前記開閉蓋は、前記記憶媒体が前記挿入口に挿入され、且つ前記読取位置まで挿入されていない状態では前記挿入口から離間した離間位置に支持され、
前記開閉蓋が離間位置にある状態で、前記ディスプレイ部を前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させた場合には、前記ディスプレイ部と前記開閉蓋が接触し、前記ディスプレイ部の移動を妨げることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記開閉蓋は、
回転軸を中心に前記本体部に対して回動可能に支持された板部材を備え、
前記板部材が前記挿入口を被覆することによって前記挿入口を閉鎖するとともに、前記挿入口から離間することによって前記挿入口を開放し、
前記ディスプレイ部を前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させた場合における前記ディスプレイ部の移動軌跡が前記離間位置にある前記板部材と重なることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記板部材は、前記記憶媒体が前記挿入口に挿入され、且つ前記読取位置まで挿入されていない状態では、前記挿入口側に押圧された場合であっても、前記離間位置に位置することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記開閉蓋の前記回転軸の軸方向は、前記ディスプレイ部の移動方向と略一致することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記記憶媒体には地図情報が記憶され、
前記ディスプレイは、前記記憶媒体に記憶された前記地図情報に基づく地図画像が表示されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−165289(P2011−165289A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29380(P2010−29380)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】