説明

電子機器

【課題】ハンズフリーによる通話または音声認識を高品位の音質で良好に行うことのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電力により駆動されるディスクドライブ50、冷却ファン54を有するとともに、マイクロフォン40を内蔵したナビゲーション装置10において、マイクロフォン40により音声を電気信号に変換する際、スイッチ52、56を制御して、電源14からディスクドライブ50、冷却ファン54への給電を停止させる制御を行う制御手段16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の走行中において、携帯電話機を通常の状態で使用することは、注意力が散漫になるため、法律によって禁止されている。そこで、携帯電話機を手に持つことなく、マイクロフォンとスピーカを用いて拡声通話を行う、いわゆる、ハンズフリー通話機能を搭載した携帯電話機が開発されている。しかしながら、携帯電話機は、携帯に適するように小型化されているため、マイクロフォンやスピーカの性能には限界があり、高品質なハンズフリー通話が実現できないという問題がある。
【0003】
前記の音質の問題を解決するため、例えば、特許文献1(特開2006−254148号公報)には、車両用ナビゲーション装置と携帯電話機とを専用の接続手順によって接続し、携帯電話機を外部との送受信端末とする一方、ナビゲーション装置に内蔵されたマイクロフォンおよびスピーカを用いてハンズフリー通話を行うようにしたナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
また、ハンズフリー機能の他の形態として、特許文献2(特開2009−86132号公報)には、ユーザの音声指示に従って各種処理を行うことのできる音声認識機能を搭載したナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置では、ユーザの音声以外の音がノイズとしてナビゲーション装置に入力されることを回避するため、ユーザの音声情報を予め登録しておき、当該ユーザの音声のみを認識して所望の処理を実行するように構成している。このナビゲーション装置によれば、ユーザは、タッチパネル等に触れることなく、自動車を走行させながら、ハンズフリーの状態でナビゲーション装置を操作することができる。
【0005】
一方、音楽再生機能を搭載した携帯電話機に関して、特許文献3(特開2001−333161号公報)には、ステレオヘッドフォンマイクによる音楽再生中に着信があったとき、音楽の再生を一時中止させ、ステレオヘッドフォンマイクを用いた良好な状態での通話に切り替えるようにした携帯端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−254148号公報(段落[0015]、[0016]、図2)
【特許文献2】特開2009−86132号公報(段落[0032]、[0033])
【特許文献3】特開2001−333161号公報(段落[0044])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マイクロフォンをナビゲーション装置に内蔵させることにより、車両内の他の場所に設置されたマイクロフォンとナビゲーション装置とを配線する場合に比較して、設置工数の削減や取り付け処理の簡略化が可能である。
【0008】
また、最近のナビゲーション装置は、ユーザに地図情報を提供したり、目的地までの経路案内を行うだけでなく、CDドライブを駆動して音楽を再生し、または、DVDドライブやHDドライブを駆動して映像を再生する、といった多機能化が進んでいる。
【0009】
このようなナビゲーション装置は、CDドライブ、DVDドライブ、HDドライブ、CD等を出し入れするためのドア開閉機構等の動作部を備えているため、これらの動作部の駆動音、または、駆動に伴って発生する振動音が、ナビゲーション装置に内蔵されているマイクロフォンに入力されると、ノイズになってしまう。同様に、ナビゲーション装置には、装置内の発熱部品、例えば、駆動部やCPU等を冷却するための冷却ファンが搭載されており、この冷却ファンの駆動音、または、駆動に伴って発生する振動音もノイズとしてマイクロフォンに入力されてしまう。
【0010】
この場合、特許文献1のように、ナビゲーション装置に携帯電話機を接続して使用するときには、ナビゲーション装置からのノイズが外部に送信されてしまうため、通話音の音質が低下してしまう。また、特許文献2に開示された先行技術の場合、ユーザの音声とノイズとを分離するため、ユーザの音声を事前に登録しておかなければならない。従って、その作業が非常に煩わしい。さらに、特許文献3の場合には、通話時に音楽が中止されるだけであり、CDドライブやHDドライブの動作まで停止させている訳ではない。従って、ドライブの発熱を抑えるために冷却ファンも回転しており、これらの駆動音や振動音がノイズとしてマイクロフォンに入力されてしまう。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、電力により駆動される動作部を有し、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、ハンズフリーによる通話または音声認識を高品位の音質で良好に行うことのできる電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部への給電を停止させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項2にかかる発明は、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部による回転の回転速度を低減させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項3にかかる発明は、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部への電力を低減させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1又は2に記載の電子機器において、前記動作部は、記憶媒体に記憶された情報を取得するためのディスクドライブであることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器において、前記動作部は、前記電子機器内を冷却するための冷却ファンであることを特徴とする。
【0017】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の電子機器において、前記電子機器の温度を検出する温度センサを備え、前記制御手段は、前記温度センサにより検出された温度が所定温度以上になったとき、前記冷却ファンを所定の状態で駆動させることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器において、前記マイクロフォンは、音声を電気信号に変換し、前記マイクロフォンにより変換された前記電気信号を携帯電話機に送信し、前記携帯電話機から音声にかかる電気信号を受信する送受信手段を備えることを特徴とする。
【0019】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器において、前記電子機器は、入力手段を備え、前記マイクロフォンを使用する場合とは、前記入力手段を用いて前記マイクロフォンを使用する旨の選択がなされた場合であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願発明では、電子機器に内蔵されたマイクロフォンを使用するとき、動作部への給電を停止させ、動作部による回転の回転速度を低減させ、又は、動作部への電力を低減させて、動作部によるノイズの発生を低減するため、電子機器を用いて、ハンズフリーによる通話または音声認識処理を行う際に高品位の音質で良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例におけるナビゲーション装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例におけるナビゲーション装置の処理フローチャートである。
【図3】本発明の実施例において、携帯電話機に着信があった場合の処理フローチャートである。
【図4】本発明の実施例において、ナビゲーション装置から発信の指示があった場合の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための電子機器を例示するものであって、本発明をこの電子機器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の電子機器にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の一実施例であるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。以下、本発明を、ナビゲーション装置10を例に説明するが、本発明はナビゲーション装置に限らず、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器に適用することができる。
【0024】
ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、経路案内や、音楽または映像の視聴を行う機能を備えるとともに、ユーザが所持する携帯電話機12と連携し、ハンズフリー通話を行う機能を備える。また、ナビゲーション装置10は、ユーザの音声に基づき、所望の処理を実行する音声認識機能も備える。
【0025】
ナビゲーション装置10は、車両の電源14から供給される電力によって動作するものであり、制御手段16を備えている。制御手段16は、CPU18、ROM20、RAM22からなるプロセッサで構成され、ROM20、RAM22に記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置10の各部の動作を制御する。
【0026】
現在位置検出手段24は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報及び位置情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成される。3個以上のGPS衛星からの電波を受信して処理することにより、ナビゲーション装置10の現在位置を算出することができる。なお、現在位置検出手段24は、車両が備える距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置とすることもできる。
【0027】
地図記憶手段26は、地図情報を含む各種情報を記憶するものであり、例えば、ハードディスク(HD)等の記憶手段である。地図情報には、道路の分岐点をノードとするノードデータ、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータ、地形図データが含まれる。
【0028】
ノードデータには、ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐点名称、ノードが設定される場所の名称等が含まれる他、分岐点から所定距離だけ離れた案内地点において、右左折、直進等の経路案内を行う経路案内データ及び案内地点の位置座標が記憶されている。リンクデータには、始点及び終点となるノード番号、道路種別(歩行者優先通路、自転車兼用道路等)、ノード間の距離情報であるリンク長(リンクコスト)、所要時間等が含まれる。また、リンクデータには、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。地形図データには、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、駐車場をはじめとする施設位置、施設形状、施設名称を含む施設データからなる背景データが含まれる。
【0029】
経路探索手段28は、地図記憶手段26に記憶されている地図情報を参照し、現在位置、または、ユーザによって指定された出発地から目的地に至る最適な案内経路を探索するものである。なお、案内経路の探索は、現在位置又は出発地に対応するノードから目的地に対応するノードに至るリンクと、ノードとをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長(移動距離)又は総所要時間等が最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属するノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0030】
通信手段30は、アンテナ32を介して、ユーザの携帯電話機12とナビゲーション装置10との間で、ペアリングのための認証コード情報の送受信や、着信の有無を含む通話情報の送受信を行う送受信手段であり、例えば、ブルートゥースモジュール(「ブルートゥース」は登録商標)により構成される。なお、アンテナ32は、ナビゲーション装置10に内蔵される形態、または、ナビゲーション装置10の外部に配置される形態のいずれであってもよい。
【0031】
DSP(Digital Signal Processor)34は、制御手段16からの通話指示または音声認識指示に従い、デジタル音声データをリアルタイムに処理するものである。DSP34は、通話指示があった場合、通信手段30との間で音声信号の送受信を行う。
【0032】
DSP34には、A/Dコンバータ36およびアンプ38を介して、ナビゲーション装置10に内蔵されたマイクロフォン40が接続される。なお、マイクロフォン40をナビゲーション装置10に内蔵させることにより、車両内の他の場所に設置されたマイクロフォン40とナビゲーション装置10とを配線する場合に比較して、設置工数の削減や取り付け処理の簡略化を達成することができる。また、DSP34には、D/Aコンバータ42、音量調整のための音声スイッチ44およびアンプ46を介して、スピーカ48が接続される。スピーカ48は、ナビゲーション装置10に内蔵されていてもよく、また、ナビゲーション装置10の外部に配置されていてもよい。また、スピーカ48に代えて、イヤホンとしてもよい。
【0033】
ディスクドライブ50は、ナビゲーション装置10において、CDを回転させて音楽を再生し、DVDを回転させて映像を再生し、または、地図記憶手段26であるHDを回転させて地図情報を取得する動作部である。ディスクドライブ50は、制御手段16によって制御されるスイッチ52を介して電源14に接続される。なお、ディスクドライブ50は、CDやDVDを出し入れするためのドア開閉機構等の動作部を備える。
【0034】
冷却ファン54は、冷却ファン54に設けられた羽を回転させることで、ナビゲーション装置10内の発熱部品、例えば、CPU18、DSP34、アンプ38、46、ディスクドライブ50等を冷却する動作部であり、制御手段16によって制御されるスイッチ56を介して電源14に接続される。
【0035】
なお、ディスクドライブ50および冷却ファン54は、スイッチ52およびスイッチ56だけでなく定電圧に変圧する変圧器(図示せず)を介して電源14に接続されてもよい。
【0036】
入力手段58は、ナビゲーション装置10において、経路探索のための出発地や目的地を設定し、CDやDVDから視聴したい音楽や映像を選択し、または、ナビゲーション装置10に内蔵されているマイクロフォン40を用いて音声認識処理を行うためのモードを選択するための各種キー、タッチパネル、リモートコントローラ等から構成される。また、入力手段58を用いてハンズフリー通話を行うための発信操作、または、着信に対する応答操作が行われる。
【0037】
なお、発信操作とは、例えば、電話番号を入力し、または、RAM22などに記憶され
ている電話番号帳から特定の個人などを選択し、さらに、表示手段60に表示された受話キーを押下する、或いは、リモートコントローラに配置された受話キーを押し下げる操作である。
【0038】
また、着信に対する応答操作とは、携帯電話機12から着信があった際に、表示手段60に表示される受話キーを押下する、或いは、リモートコントローラに配置された受話キーを押し下げる操作である。着信に対する応答操作を行うことで、ハンズフリー通話が開始される。
【0039】
表示手段60は、地図画像や探索された案内経路を表示し、視聴する音楽等を選択するための選択画像を表示し、DVDに記憶された映像等を表示し、または、ハンズフリー通話を行う際の電話番号等を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイにより構成することができる。
【0040】
温度センサ62は、ナビゲーション装置10の温度を検出する。制御手段16は、検出された温度が所定温度以上になったとき、スイッチ56をONにして、冷却ファン54を駆動させる制御を行う。なお、温度センサ62は、ナビゲーション装置10の内部空間の温度を検出してもよく、また、CPU18、DSP34、アンプ38、46、ディスクドライブ50等の発熱部品の温度を直接検出してもよい。なお、検出された温度が所定温度以上でなくても、スイッチ56をONにして、冷却ファン54を駆動させてもよい。
【0041】
本実施例にかかるナビゲーション装置10においては、マイクロフォン40を使用する場合に、スイッチ56をOFFにして冷却ファン54への給電を停止する。同様にしてスイッチ52をOFFにしてディスクドライブ50への給電を停止する。これにより内蔵されたマイクロフォン40のノイズの発生源となる動作部が停止するため、ハンズフリーによる通話などマイクロフォン40を使用する際の音声品質を良好にすることができる。
【0042】
ここで、マイクロフォン40を使用する場合とは、入力手段58を用いてマイクロフォン40を使用する旨の選択がなされた場合が含まれる。具体的には、入力手段58を用いて音声認識処理を行うためのモードを選択した場合、入力手段58を用いてハンズフリー通話を行うための発信操作や着信への応答操作が行われた場合などである。
【0043】
また、マイクロフォン40を使用する場合は、入力手段58を用いてマイクロフォン40を使用する旨の選択がなされた場合だけでなく、携帯電話機12からの着信があった場合(着信に対する応答操作でなく後述する着信信号を受信した場合)や、携帯電話機12を介した発信に対して発信先相手が着信応答操作した場合など、入力手段58を用いて選択された場合以外でもマイクロフォン40を使用する場合に含まれることが好ましい。
【0044】
さらに、ユーザが携帯電話機12で所定の操作を行い、マイクロフォン40を使用する旨の情報を送信し、制御手段16が通信手段30を介してマイクロフォン40を使用する旨の情報を受信した場合もマイクロフォン40を使用する場合に含まれることが好ましい。
【0045】
次に、図2に示す処理フローチャートに基づき、本実施例のナビゲーション装置10の動作を説明する。
【0046】
車両に乗車しているユーザが入力手段58を用いてナビゲーション装置10をONにすると(ステップS101)、制御手段16は、スイッチ52、56をONとし、電源14からの電力によりディスクドライブ50及び冷却ファン54を駆動させる(ステップS102)。この場合、制御手段16は、温度センサ62により検出した温度に従って冷却ファン54の回転を制御することにより、ナビゲーション装置10内の発熱部品の温度を所定の範囲内に調整する。
【0047】
次に、ユーザは、ナビゲーション装置10を用いて、所望の音楽や映像を視聴し、または、所望の目的地までの経路探索を行う(ステップS103)。
【0048】
例えば、所望の音楽を聴く場合、ユーザは、ディスクドライブ50にCD等を挿入した後、入力手段58を用いて、表示手段60に表示された楽曲情報等から所望の楽曲を選択する。制御手段16は、CD等から選択された楽曲にかかる音楽データをD/Aコンバータ42に転送する。D/Aコンバータ42は、転送されたデジタル信号としての音楽データをアナログ信号に変換する。変換されたアナログ信号は、音声スイッチ44によって所定のボリュームに調整された後、アンプ46で増幅され、スピーカ48から出力される。また、所望の映像を視聴する場合には、DVD等から読み出された映像にかかるデジタル信号が表示手段60に転送されて表示されるとともに、音声や音楽がスピーカ48から出力される。
【0049】
また、経路探索を行う場合、ユーザは、入力手段58を用いて、出発地や目的地を入力する。経路探索手段28は、現在位置検出手段24により検出した現在位置、または、ユーザが設定した出発地から目的地までの案内経路を探索する。案内経路は、地図記憶手段26に記憶されているノードデータおよびリンクデータに基づき、例えば、目的地までの所要時間が最も短い経路、または、目的地までの距離が最も短い経路として探索することができる。探索された案内経路は、表示手段60に表示される。ユーザは、表示された案内経路に従って、目的地まで移動することができる。
【0050】
一方、マイクロフォン40が使用される場合、具体的には、入力手段58を用いて、音声認識処理を行うためのモードが選択され、または、携帯電話機12からの着信に対して応答操作を行い携帯電話機12と連携したハンズフリー通話が開始されると(ステップS104、YES)、制御手段16は、スイッチ52、56をOFFとし、ナビゲーション装置10の動作部であるディスクドライブ50および冷却ファン54への給電を停止し、それらの動作を停止させる(ステップS105)。また、制御手段16は、A/Dコンバータ36、アンプ38およびマイクロフォン40に電力を供給し、マイクロフォン40からの音声入力を受付可能な状態とする。なお、マイクロフォン40を使用する場合にのみ、マイクロフォン40を音声入力受付可能とすることにより、消費電力を節約できるとともに、無駄な発熱を抑えることができる。
【0051】
なお、制御手段16は、ディスクドライブ50への給電を停止する前に、ディスクドライブ50が再生しているCD,DVD等の再生位置を取得し、RAM22などに記憶させておくことで、次回、スイッチ52をONにした際に、当該再生位置からの再生を指示することが可能である。
【0052】
音声認識処理を行うためのモードが選択され、ユーザがマイクロフォン40を介して音声による指示を行うと、その音声は、マイクロフォン40によって電気信号に変換され、アンプ38、A/Dコンバータ36、DSP34を介して制御手段16に送信される。制御手段16は、送信された音声信号の指示内容を音声認識プログラムによって解析し、その指示内容に従った処理を行う。なお、音声による指示内容としては、例えば、楽曲や映像の選択、ボリュームの調整、経路案内のための目的地の指示等を挙げることができる。また、音声信号の指示内容を音声認識プログラムによって解析する処理をDSP34が行ってもよく、その場合は、解析した指示内容を制御手段16に送信する。
【0053】
音声認識処理を行うためのモードが選択されたとき、ナビゲーション装置10のディスクドライブ50および冷却ファン54は、停止状態とされるため(ステップS105)、これらの動作部から駆動音や駆動に伴う振動音が発生することがなく、制御手段16は、ユーザが指示する音声のみに基づいてその指示内容を解析することができる。従って、指示内容を誤認識して誤った処理を行ってしまうおそれはない。
【0054】
次に、ハンズフリー通話を行う場合につき、図3および図4に示す処理フローチャートに基づいて説明する。
【0055】
先ず、図3の処理フローチャートに基づき、携帯電話機12と連携してナビゲーション装置10で着信処理を行う場合について説明する。
【0056】
ナビゲーション装置10を用いたハンズフリー通話に先立ち、予め、携帯電話機12の認証処理を行っておく(ステップS201)。例えば、ナビゲーション装置10の通信手段30がブルートゥースモジュールである場合、携帯電話機12を探索可能状態に設定し、ナビゲーション装置10から探索操作を行う。探索の結果、探索可能状態にある周囲のブルートゥース機器の一覧が表示手段60に表示されると、その中から所望の携帯電話機12を入力手段58を用いて指定し、ナビゲーション装置10および携帯電話機12の双方に認証コードを設定する。この結果、所望の携帯電話機12がナビゲーション装置10に認証される。
【0057】
携帯電話機12がナビゲーション装置10に認証された後、携帯電話機12に着信があると(ステップS202、YES)、着信信号がアンテナ32を介して通信手段30に送信される(ステップS203)。着信信号を受信した通信手段30は、制御手段16に着信信号を通知し(ステップS204)、制御手段16は、表示手段60に着信があった旨を表示する(ステップS205)。また、制御手段16は、必要に応じて、D/Aコンバータ42、音声スイッチ44およびアンプ46を介して、着信音をスピーカ48から出力する。なお、表示手段60に着信表示をせず、着信音のみをユーザに報知してもよい。
【0058】
表示手段60の着信表示および/またはスピーカ48からの着信音に応じて、ユーザが入力手段58を用いて着信に対する応答操作を行う、例えば、受話キーを押し下げる等の操作を行うと(ステップS206、YES)、制御手段16は、DSP34及び通信手段30に対して通話を指示する(ステップS207)。そして、ナビゲーション装置10を用いたハンズフリー通話が開始される(ステップS208)。
【0059】
ナビゲーション装置10の通信手段30は、携帯電話機12から送信された音声信号を受信し、DSP34に転送する。DSP34は、音声信号をD/Aコンバータ42に転送する。D/Aコンバータ42は、デジタル信号である音声信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を音声スイッチ44により所望のボリュームに調整する。調整されたアナログ信号である音声信号は、アンプ46によって増幅された後、スピーカ48から音声として出力される。また、ユーザは、ナビゲーション装置10に内蔵されたマイクロフォン40を用いて応答する。マイクロフォン40は、ユーザの声を電気信号に変換する。変換された電気信号は、アンプ38によって増幅された後、A/Dコンバータ36によりデジタル信号に変換され、DSP34から通信手段30を介して携帯電話機12に送信される。携帯電話機12は、ナビゲーション装置10から送信されたユーザの応答信号である音声信号を外部に送信する。
【0060】
ここで、ナビゲーション装置10を用いたハンズフリー通話が開始されると、制御手段16は、スイッチ52、56をOFFとし、ナビゲーション装置10の動作部であるディスクドライブ50および冷却ファン54への給電を停止し、それらの動作を停止させる(図2、ステップS105)。従って、これらの動作部から駆動音や駆動に伴う振動音が発生しないため、ナビゲーション装置10に内蔵されたマイクロフォン40からユーザの音声以外のノイズが携帯電話機12に送信される事態を回避することができる。この結果、極めて高品位な音質で通話を行うことができる。
【0061】
次に、図4の処理フローチャートに基づき、携帯電話機12と連携してナビゲーション装置10で発信処理を行う場合について説明する。なお、ナビゲーション装置10による携帯電話機12の認証処理は、事前に完了しているものとする。
【0062】
ユーザが入力手段58を用いてハンズフリー通話のための発信操作を行う、例えば、電話番号を入力して、受話キーを押し下げる等の操作を行うと(ステップS301、YES)、制御手段16は、DSP34及び通信手段30に対して通話を指示する(ステップS302)。そして、携帯電話機12を介した発信に対して発信先相手が受話器キーを押し下げる等の着信応答操作がなされると、ナビゲーション装置10を用いたハンズフリー通話が開始される(ステップS303)。以下、図3の着信処理の場合と同様にして、ナビゲーション装置10に内蔵されたマイクロフォン40およびスピーカ48を用いた通話が行われる。この場合、ナビゲーション装置10の動作部は、停止状態とされているため(ステップS105)、ノイズのない極めて高品位な音質で通話を行うことができる。
【0063】
一方、図2のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置10に組み込まれている温度センサ62は、ナビゲーション装置10内の温度を検出し、検出温度を制御手段16に供給している。制御手段16は、検出温度を所定の温度と比較し、検出温度が所定温度以上になったとき(ステップS106、YES)、スイッチ56をONとし、冷却ファン54を駆動させ、ナビゲーション装置10内の発熱部品の冷却を開始する(ステップS107)。
【0064】
この際に、マイクロフォン40を使用中である場合、例えば、音声認識処理中(音声認識処理を行うためのモードが選択された状態)またはハンズフリー通話中であれば、冷却ファン54が駆動することによるノイズがマイクロフォン40に入力されるおそれがあるが、ナビゲーション装置10の誤動作や故障の発生を回避することを優先させる。
【0065】
なお、マイクロフォン40を使用中において、冷却ファン54を駆動するか否かを判定するための所定温度は、マイクロフォン40を使用していない場合における所定温度をθ1(例えば、35℃)として、ナビゲーション装置10に不具合が生じない範囲で、所定温度θ1よりも高い所定温度θ2(例えば、70℃)に設定するとよい。これにより、ナビゲーション装置10の動作に不具合が生じることなく、可能な範囲でマイクロフォン40へのノイズの混入を回避することができる。なお、高い所定温度θ2でも不具合が生じるおそれが低い理由は、ディスクドライブ50への給電を停止しているため、発熱が生じにくくなるので、急激な温度上昇が起こる可能性が低いためである。
【0066】
入力手段58を用いて音声認識処理を行うためのモードの解除またはハンズフリー通話が終了すると(ステップS108、YES)、ナビゲーション装置10の電源がOFFとされない限り(ステップS109、NO)、制御手段16は、スイッチ52、56をONとし、再び冷却ファン54を駆動させるとともに、ディスクドライブ50を駆動させる。この場合、マイクロフォン40を使用しないため、マイクロフォン40への給電を停止させることにより、消費電力を節約できるとともに、無駄な発熱を抑えることができる。
【0067】
なお、ステップS108において、入力手段58を用いて音声認識処理を行うためのモードの解除またはハンズフリー通話が終了しない場合(ステップS108、NO)、ステップS106へ戻るが、ステップS106において、検出温度が所定温度以上でないとき(ステップS106、NO)、制御手段16は、ナビゲーション装置10の動作部であるディスクドライブ50および冷却ファン54への給電を停止し、それらの動作を停止させて、ステップS108へ進んでもよい。すなわち、ステップS107において、ナビゲーション装置10の誤動作や故障の発生を回避するために冷却ファン54を駆動させた場合において、その後、ナビゲーション装置10の温度が下がった場合は、再度、冷却ファン54の動作を停止させてもよい。
【0068】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0069】
例えば、マイクロフォン40を使用する場合(音声認識機能モードが選択された、または、ハンズフリー通話が開始されたとき)、ステップS105において冷却ファン54への給電を停止するようにしているが、冷却ファン54への電力を低減させ(例えば、電圧を10Vから5Vに低減させ)、冷却ファン54を停止させることなく、回転速度を低下させるようにしてもよい。この場合、冷却ファン54から発生するノイズが低減するため、良好な音声認識処理またはハンズフリー通話を行うことが可能となる。
【0070】
この電力(電圧)の低減は、例えば、10Vに変圧する変圧器と、5Vに変圧する変圧器の2つの変圧器を備え、さらに、この2つの変圧器のどちらかと冷却ファン54とが接続されるように切り替えるスイッチを備えることで可能である。なお、変圧器は冷却ファン54と電源14との間に配置される。
【0071】
すなわち、マイクロフォン40を使用する場合、制御手段16は、5Vに変圧する変圧器と冷却ファン54とが接続されるようにスイッチを制御し、マイクロフォン40を使用しない場合、制御手段16は、10Vに変圧する変圧器と冷却ファン54とが接続されるようにスイッチを制御する。これにより、冷却ファン54を停止させることなく、ノイズを低減させることが可能となる。
【0072】
なお、マイクロフォン40を使用する場合に、動作部への電力を低減させる場合において、温度センサ62が検出した温度が、所定温度θ2以上であった場合、動作部への電力を元に戻すように制御する。すなわち、冷却ファン54の例では10Vに変圧する変圧器と冷却ファン54とが接続されるようにスイッチを制御することが好ましい。
【0073】
また、動作部への電力を低減する方法は上記に限らず、動作部へ電力を加える時間を変更することも動作部への電力を低減することに含まれる。すなわち、マイクロフォン40を使用する場合、例えば、一定時間ごとに所定時間だけ動作部へ電力を加えることで、動作部への電力を低減させてもよい。
【0074】
さらに、ディスクドライブ50についても、マイクロフォン40を使用する場合、制御手段16がディスクドライブ50へ回転速度を低減させる指示を行うことで、同様の効果を得ることが可能となる。
【0075】
また、本発明は、ナビゲーション装置10あるいは携帯電話機12を用いたハンズフリー通話に限ることなく、電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォン40を内蔵した電子機器に広く適用することができる。例えば、IP電話の端末として利用されるノート型PCのように、PC本体内に冷却ファンやHDDディスクドライブ、CDドライブなどともにマイクロフォンが内蔵されているような電子機器であればどのような機器であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10・・・ナビゲーション装置
12・・・携帯電話機
14・・・電源
16・・・制御手段
24・・・現在位置検出手段
26・・・地図記憶手段
28・・・経路探索手段
30・・・通信手段
32・・・アンテナ
34・・・DSP
40・・・マイクロフォン
48・・・スピーカ
50・・・ディスクドライブ
52、56・・・スイッチ
54・・・冷却ファン
58・・・入力手段
60・・・表示手段
62・・・温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、
前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部への給電を停止させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、
前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部による回転の回転速度を低減させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電力により駆動される動作部を有するとともに、マイクロフォンを内蔵した電子機器において、
前記マイクロフォンを使用する場合、前記動作部への電力を低減させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記動作部は、記憶媒体に記憶された情報を取得するためのディスクドライブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記動作部は、前記電子機器内を冷却するための冷却ファンであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器の温度を検出する温度センサを備え、前記制御手段は、前記温度センサにより検出された温度が所定温度以上になったとき、前記冷却ファンを所定の状態で駆動させることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記マイクロフォンは、音声を電気信号に変換し、
前記マイクロフォンにより変換された前記電気信号を携帯電話機に送信し、前記携帯電話機から音声にかかる電気信号を受信する送受信手段を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、入力手段を備え、
前記マイクロフォンを使用する場合とは、前記入力手段を用いて前記マイクロフォンを使用する旨の選択がなされた場合であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−234206(P2011−234206A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103777(P2010−103777)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】