説明

電子機器

【課題】電子機器の大型化を抑制しつつ、画面を大きくする。
【解決手段】電子機器300は携帯型の電子機器であり、表示画面200及び操作ボタン100を有している。操作ボタン100は表示画面200と同一面に設けられている。操作ボタン100は中空部を有している。中空部内には、圧電振動子120が組み込まれている。圧電振動子120は、発振面が操作ボタン100の表面に対向する方向を向いている。圧電振動子120には、制御部50から音声信号が入力される。すなわち圧電振動子120はスピーカの音源として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を出力する機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やラップトップ型コンピュータの携帯端末などの需要が拡大している。特にテレビ電話や動画再生、ハンズフリー電話機能などの音響機能を商品価値とした薄型の携帯端末の開発が進められている。これらの開発の中で、小型でかつ出力が大きい電気音響変換器の要求が高まっている。従来、携帯電話等の電子機器には、電気音響変換器として動電型電気音響変換器が利用されている。この動電型電気音響変換器は、永久磁石とボイスコイルと振動膜から構成されている。しかしながら動電型電気音響変換器は、その動作原理及び構造から、薄型化には限界がある。そこで、圧電振動子をパラメトリックスピーカとして使用することが期待されている。
【0003】
なお、特許文献1には、携帯情報端末機において、表示画面の上方に透明な圧電フィルム振動板を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の携帯型の電子機器は、大型化を抑制しつつ、画面を大きくしたい、というニーズが顕著になっている。
【0006】
本発明の目的は、大型化を抑制しつつ、画面を大きくすることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、表示画面と、
前記表示画面と同一面に設けられ、中空部を有する操作ボタンと、
前記中空部内に、発振面が前記操作ボタンの表面に対向する方向に組み込まれた圧電振動子と、
前記圧電振動子に音声信号を入力する制御手段と、
を備える電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器の大型化を抑制しつつ、画面を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る電子機器の構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A´断面図である。
【図3】図2に示された操作ボタンの一つを拡大した図である。
【図4】第2の実施形態に係る電子機器の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子機器300の構成を示す平面図である。電子機器300は携帯型の電子機器であり、表示画面200及び操作ボタン100を有している。操作ボタン100は表示画面200と同一面に設けられている。操作ボタン100は中空部112(図3参照)を有している。中空部112内には、圧電振動子120(図3参照)が組み込まれている。圧電振動子120は、発振面が操作ボタン100の表面に対向する方向を向いている。圧電振動子120には、制御部50から音声信号が入力される。すなわち圧電振動子120はスピーカの音源として機能する。以下、詳細に説明する。
【0012】
本実施形態において、電子機器300は携帯通信端末である。そして電子機器300には、操作ボタン100が複数マトリクス状(アレイ状)に配置されている。そして圧電振動子120は、複数の操作ボタン100それぞれに組み込まれている。
【0013】
図2は、図1のA−A´断面図である。複数の操作ボタン100は、いずれもバネ102を介して電子機器300の筐体310に取り付けられている。そして各操作ボタン100の圧電振動子120には、信号生成部52を介して制御部50が接続している。信号生成部52は、圧電振動子120に入力する電気信号、例えばパラメトリックスピーカにおける変調信号を生成する。変調信号の輸送波は、周波数が20kHz以上の超音波、例えば100kHzの超音波である。制御部50は、外部から入力された情報に基づいて、信号生成部52を制御する。制御部50に入力される情報は音声信号である。そして制御部50及び信号生成部52は、パラメトリックスピーカの指向性を制御するために、各圧電振動子120が輸送波を発振するタイミングを変える。そして各圧電振動子120が発振した輸送波が空気中で合成されることにより、可聴音が再生される。
【0014】
ここで、一般的なパラメトリックスピーカの原理について説明する。パラメトリックスピーカは、複数の発振源それぞれからAM変調やDSB変調、SSB変調、FM変調をかけた超音波(輸送波)を空気中に放射し、超音波が空気中に伝播する際の非線形特性により、可聴音を出現させるものである。ここでの非線形とは、流れの慣性作用と粘性作用の比で示されるレイノルズ数が大きくなると、層流から乱流に推移することを示す。音波は流体内で微少にじょう乱しているため、音波は非線形で伝播している。特に超音波周波数帯では音波の非線形性が容易に観察できる。そして超音波を空気中に放射した場合、音波の非線形性に伴う高調波が顕著に発生する。また音波は、空気中において分子密度に濃淡が生じる疎密状態である。そして空気分子が圧縮よりも復元するのに時間が生じた場合、圧縮後に復元できない空気が、連続的に伝播する空気分子と衝突し、衝撃波が生じる。この衝撃波により可聴音が発生する。
【0015】
図3は、図2に示された操作ボタン100の一つを拡大した図である。圧電振動子120は、例えば圧電フィルムにより形成されており、厚さ方向に分極している。圧電振動子120の厚さは、例えば0.5mm以下である。圧電振動子120は両面に電極(図示せず)が形成されており、これら電極間に信号生成部52から信号電圧が印加される。また圧電振動子120は、操作ボタン100の筐体110の内部に設けられた中空部112内に位置している。そして圧電振動子120の縁は、中空部112の内側壁に固定されている。なお圧電振動子120は、セラミックスにより構成されていてもよい。
【0016】
また筐体110の表面には、貫通孔114が設けられている。貫通孔114は、中空部112と外部とをつなげている。そして圧電振動子120が発振した超音波は、貫通孔114を介して外部に放射される。
【0017】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、操作ボタン100に、スピーカとして機能する圧電振動子120が組み込まれている。このため、電子機器300の筐体に、スピーカのみを設置する領域を確保する必要がない。このため、電子機器300の大型化を抑制しつつ、表示画面200を大きくすることができる。
【0018】
特に本実施形態では、スピーカとしてアレイ構造を有するパラメトリックスピーカを採用している。アレイ構造のパラメトリックスピーカを採用した場合、電子機器300のうちスピーカが占有する面積が大きくなってしまう。これに対して本実施形態では、アレイ状に配置されている操作ボタン100に圧電振動子120が組み込まれているため、アレイ構造のパラメトリックスピーカを採用しても、表示画面200を小さくする必要がなくなる。
【0019】
また操作ボタン100の筐体110に貫通孔114を設け、貫通孔114から輸送波を出射するようにしているため、パラメトリックスピーカの指向性も向上する。また圧電振動子120が操作ボタン100の筐体110の内部に位置しているため、圧電振動子120の耐久性も向上する。また、スピーカに起因して電子機器300が厚くなることも抑制できる。
【0020】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る電子機器300の要部を示す断面図であり、第1の実施形態における図3に対応している。本実施形態に係る電子機器300は、各操作ボタン100の筐体110の中空部112に、圧電振動子120が複数互いに平行に設けられている点を除いて、第1の実施形態に係る電子機器300と同様の構成である。
【0021】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また操作ボタン100の中空部112に複数の圧電振動子120を設けているため、スピーカの出力を大きくすることができる。
【0022】
なお、中空部112内に配置する圧電振動子120の構造は、第1及び第2の実施形態に示した構造に限定されない。
【0023】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0024】
50 制御部
52 信号生成部
100 操作ボタン
102 バネ
110 筐体
112 中空部
114 貫通孔
120 圧電振動子
200 表示画面
300 電子機器
310 筐体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と、
前記表示画面と同一面に設けられ、中空部を有する操作ボタンと、
前記中空部内に、発振面が前記操作ボタンの表面に対向する方向に組み込まれた圧電振動子と、
前記圧電振動子に音声信号を入力する制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記操作ボタンは、表面に、前記中空部と外部とを繋げる貫通孔をさらに備え、
前記制御手段は、パラメトリックスピーカにおける変調信号を前記圧電振動子に入力する電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、
マトリクス状に配置された複数の前記操作ボタンを有しており、
前記圧電振動子は前記複数の操作ボタンそれぞれに組み込まれている電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器において、
前記圧電振動子は、縁が前記中空部の内側壁に固定されている電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−100046(P2012−100046A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245666(P2010−245666)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】