説明

電子機器

【課題】 筐体の剛性を確保できる電子機器を得ることにある。
【解決手段】 実施形態によれば、電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されたペンホルダとを具備している。前記ペンホルダは、前記筐体に支持されるとともに手書き入力用の操作ペンを取り出し可能に保持する保持部と、この保持部に一体に設けられ、前記筐体を内側から補強する補強壁とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、手書き入力用の操作ペンを保持するペンホルダを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば手書き文字認識機能を有する電子機器は、筐体の内部にスタイラスペンを取り出し可能に収容するペン収容部を備えている。ペン収容部はトンネル状の空洞であって、筐体の内部でスタイラスペンの軸方向に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−207611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタイラスペンがペン収容部から引き抜かれた状態では、ペン収容部が単なる空洞となって筐体の内部に残る。そのため、筐体の剛性を確保することが困難となる。
【0005】
本発明の目的は、筐体の剛性を確保できる電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されたペンホルダとを具備している。前記ペンホルダは、前記筐体に支持されるとともに手書き入力用の操作ペンを取り出し可能に保持する保持部と、この保持部に一体に設けられ、前記筐体を内側から補強する補強壁とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】手書き入力用のスタイラスペンを第1の筐体のペン挿入口に挿入した状態を示す斜視図。
【図3】ポータブルコンピュータの第1の筐体を底の方向から見た平面図。
【図4】第1の筐体のトップカバーにダミーユニットを固定した状態を示す平面図。
【図5】筐体のトップカバーにダミーユニットを固定した状態を示す斜視図。
【図6】本体モジュールの断面図。
【図7】図4のF7−F7線に沿う断面図。
【図8】ダミーユニットの斜視図。
【図9】ペンホルダの保持部に支持されるスライダの斜視図。
【図10】図9の反対側から見たスライダの斜視図。
【図11】スライダにスタイラスペンを挿入した状態を示す平面図。
【図12】スライダがスタイラスペンと一緒に第1の位置にスライドされた状態を示す平面図。
【図13】スライダがスタイラスペンと一緒に第2の位置にスライドされた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ1を示している。ポータブルコンピュータ1は、本体モジュール2と表示モジュール3とを具備している。本体モジュール2は、第1の筐体4を備えている。第1の筐体4は、フラットな箱形であり、底壁5、上壁6および左右の側壁7(右側のみを図示)を有している。
【0010】
底壁5は、第1の壁の一例であり、ポータブルコンピュータ1を例えば机の上に置いた時に、机の上面と向かい合う。底壁5は、第1の筐体4の上方に向けて円弧状に湾曲された前端部5aを有している。上壁6は、第2の壁の一例であり、底壁5と向かい合っている。上壁6の前端縁は、底壁5の前端部5aの上縁に突き合わされている。側壁7は、第3の壁の一例である。側壁7は、底壁5の側縁と上壁6の側縁との間に跨るように底壁5から起立している。
【0011】
図2および図6に示すように、第1の筐体4は、ベース9およびトップカバー10を備えている。ベース9は、底壁5および側壁7を含んでいる。トップカバー10は、上壁6を含んでいる。第1の筐体4は、ベース9の上にトップカバー10を被せることで組み立てられている。
【0012】
図1、図2および図6に示すように、第1の筐体4の上壁6は、パームレスト12とキーボード取り付け部13とを備えている。パームレスト12は、上壁6の前半部において第1の筐体4の幅方向に延びている。キーボード取り付け部13は、パームレスト12よりも凹んだ四角い窪みで構成され、パームレスト12の背後に位置されている。
【0013】
キーボード14がキーボード取り付け部13に設置されている。キーボード14は、複数のキートップ15を有している。キートップ15の上面は、パームレスト12の上面と略同一の面上に位置されているとともに、第1の筐体4の上壁6の上に露出されている。
【0014】
図4ないし図6に示すように、パームレスト12は、第1の筐体4の内側に露出された内面12aを有している。ハニカム状のリブ16がパームレスト12の内面12aに一体に形成されている。リブ16は、パームレスト12を第1の筐体4の内側から補強するための要素であって、パームレスト12の内面12aから下向きに僅かに張り出している。リブ16は、パームレスト12の内面12aの上に複数の六角形状の領域17を規定している。領域17は、パームレスト12の内面12aの全域に亘るとともに、互いに隣り合っている。
【0015】
図1に示すように、表示モジュール3は、第2の筐体20と、第2の筐体20に収容された液晶表示装置21とを備えている。第2の筐体20は、第1の筐体4と略同じ大きさを有するフラットな箱形である。液晶表示装置21は、情報を入力する透明なタッチパネル22を有している。タッチパネル22は、液晶表示パネルの上に積層されているとともに、第2の筐体20の前面から第2の筐体20の外に露出されている。
【0016】
表示モジュール3は、第1の筐体4の後端部に支持されて閉じ位置と開き位置との間で回動可能となっている。閉じ位置では、表示モジュール3は、パームレスト12やキーボード14を覆うように第1の筐体4の上に横たわる。開き位置では、表示モジュール3は、パームレスト12、キーボード14およびタッチパネル22を露出させるように第1の筐体4の後端部から起立する。
【0017】
図1および図2に示すように、第1の筐体4は、例えばSDメモリカードを出し入れするためのカードスロット24を備えている。カードスロット24は、パームレスト12の右端部と側壁7の上部とで規定された角部に開口されている。
【0018】
図4ないし図6に示すように、リジッドなプリント回路板25がパームレスト12の内面12aの右端部にねじで固定されている。カードホルダ26がプリント回路板25の上に実装されている。カードホルダ26は、カードスロット24から挿入されたSDメモリカードを保持するとともに、SDメモリカードが電気的に接続される端子を有している。カードホルダ26は、プリント回路板25とパームレスト12の内面12aとの間の隙間に配置されて、カードスロット24と隣り合っている。
【0019】
フレキシブルプリント配線板27がプリント回路板25に接続されている。フレキシブルプリント配線板27は、プリント回路板25からパームレスト12の内面12aに沿うように引き出されて、第1の筐体14に収容されたマザーボードに電気的に接続されている。
【0020】
ところで、実施の形態に係るポータブルコンピュータ1では、第1の筐体4の内部に光ディスク駆動装置を搭載したプレミアムなモデルと、光ディスク駆動装置を省いたベーシックなモデルとが用意されている。図1に示すポータブルコンピュータ1は、ベーシックなモデルである。ベーシックなモデルでは、第1の筐体4の内部の実装スペースに、光ディスク装置に代わって合成樹脂製のダミーユニット30が取り外し可能に収容されている。
【0021】
図4、図5および図8に示すように、ダミーユニット30は、フレーム構造体31とペンホルダ32とを備えている。フレーム構造体31は、光ディスク装置に対応する大きさを有している。フレーム構造体31は、第1ないし第4の縦桟33a,33b,33c,33dと、第1ないし第3の横桟34a,34b,34cと、を備えている。
【0022】
第1ないし第4の縦桟33a,33b,33c,33dは、第1のフレーム要素の一例である。第1ないし第4の縦桟33a,33b,33c,33dは、第1の筐体4の奥行き方向に延びているとともに、第1の筐体4の幅方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0023】
第1ないし第3の横桟34a,34b,34cは、第2のフレーム要素の一例である。第1ないし第3の横桟34a,34b,34cは、第1の筐体4の幅方向に延びているとともに、第1の筐体4の奥行き方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0024】
そのため、第1ないし第4の縦桟33a,33b,33c,33dおよび第1ないし第3の横桟34a,34b,34cは、互いに直交するように格子状に組み合わされている。
【0025】
本実施の形態によると、第1の縦桟33a、第4の縦桟33d、第1の横桟34aおよび第3の横桟34cは、互いに協働して四角い外枠35を構成している。外枠35は、フレーム構造体31の外形を形作っている。
【0026】
フレーム構造体31は、第2の横桟34bと第1ないし第4の縦桟33a,33b,33c,33dとが交差する四つの交差部36を有している。交差部36は、第1の筐体4の幅方向に一列に並んでいる。
【0027】
フレーム構造体31の各交差部36は、補強板37で補強されている。補強板37は、第2の横桟34bの上縁と第1の縦桟33aの上縁、第2の横桟34bの上縁と第2の縦桟33bの上縁、第2の横桟34bの上縁と第3の縦桟33cの上縁および第2の横桟34bの上縁と第4の縦桟33dの上縁との間に跨っている。
【0028】
さらに、ボス部38が第1の横桟34aに一体に形成されている。ボス部38は、パームレスト12の内面12aと向かい合うように、第1の横桟34aの長手方向に沿う中間部から第2の横桟34bに向けて突出されている。
【0029】
図5、図6および図8に示すように、フレーム構造体31は、複数の第1の突起40および複数の第2の突起41を有している。第1の突起40は、第1の横桟34a、第3の横桟34cおよび第1ないし第4の縦桟33a〜33dからパームレスト12の内面12aに向けて突出されている。第1の突起40は、第1および第3の横桟34a,34cの長手方向に間隔を存して並んでいるとともに、第1ないし第4の縦桟33a〜33dの長手方向に互いに離れている。
【0030】
第2の突起41は、第1の横桟34aおよび第3の横桟34cから第1の筐体4の底壁5の内面に向けて突出されている。第2の突起41は、第1の横桟34aおよび第3の横桟34cの長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0031】
前記ダミーユニット30の前記ペンホルダ32は、合成樹脂製のスタイラスペン43を取り出し可能に保持するための要素である。スタイラスペン43は、タッチパネル22を押圧することで入力操作を実行する操作ペンの一例である。
【0032】
図11に示すように、スタイラスペン43は、円柱状のペン本体44、ペン先45および突起部46を備えている。ペン先45は、ペン本体44よりも径が小さいとともに、ペン本体44の先端から突出されている。突起部46は、ペン先45の反対側に位置されている。突起部46は、ペン本体44の軸方向に延びるようにペン本体44の外周面からフィン状に突き出ている。さらに、ペン本体44の外周面に係合溝44aが形成されている。係合溝44aは、ペン本体44の周方向に連続するとともに、ペン先45に近いペン本体44の先端部に位置されている。
【0033】
図6ないし図8に示すように、前記ペンホルダ32は、前記フレーム構造体31と一体化されている。ペンホルダ32は、保持部48、スライダ49およびプッシュプッシュ式のキャッチャー機構50を備えている。
【0034】
保持部48は、フレーム構造体31の第1の横桟34aに一体に形成されている。保持部48は、第1の筐体4の幅方向に延びる細長い板状であり、フレーム構造体31の周囲に張り出している。
【0035】
保持部48は、補強壁51を有している。補強壁51は、保持部48の周縁から第1の筐体4の底壁5に向けて起立されているとともに、第1の横桟34aと協働して保持部48を囲んでいる。補強壁51の上縁および下縁に複数の第3の突起52が形成されている。第3の突起52は、互いに間隔を存して並んでいる。
【0036】
保持部48は、延出部53を有している。延出部53は、フレーム構造体31の第1の縦桟33aよりもフレーム構造体31の周囲に張り出している。ボス部54が延出部53に一体に形成されている。ボス部54は、パームレスト12の内面12aと向かい合うように、延出部53から張り出している。
【0037】
さらに、図12および図13に示すような位置決め部55が保持部48に一体に形成されている。位置決め部55は、延出部53の反対側に位置されているとともに、長孔状の係合孔56を有している。
【0038】
図4および図5に示すように、パームレスト12の内面12aから突出された凸部57が位置決め部55の係合孔56に嵌合されている。この嵌合により、パームレスト12に対するダミーユニット30の大まかな位置合わせがなされている。さらに、フレーム構造体31のボス部38およびペンポルダ32のボス部54は、夫々パームレスト12の内面12aにねじ58で固定されている。
【0039】
このため、図6に示すように、ダミーユニット30は、パームレスト12の右端部の内面12aから吊り下げられた状態で第1の筐体4の内部の実装スペースに収まっている。ダミーユニット30のフレーム構造体31は、第1の筐体4の底壁5とパームレスト12との間に介在されて、第1の筐体4を内側から補強している。
【0040】
詳しく述べると、フレーム構造体31の第1の突起40は、その先端がリブ16で囲まれた領域17に対応した位置でパームレスト12の内面12aに突き当たっているか、あるいは例えば1mm程度の僅かな隙間を存してパームレスト12の内面12aと向かい合っている。同様に、フレーム構造体31の第2の突起41は、第1の筐体4の底壁5の内面に突き当たっているか、あるいは例えば1mm程度の僅かな隙間を存して底壁5の内面と向かい合っている。
【0041】
このため、パームレスト12の右端部を上方から押圧するような外力が第1の筐体4に加わった場合、フレーム構造体31がパームレスト12を下から支えて、パームレスト12の変形を防止する。
【0042】
さらに、本実施の形態では、カードホルダ26を有するプリント回路板25は、フレーム構造体31の第2の横桟34b、第1および第2の縦桟33a,33bとパームレスト12の内面12aとの間の隙間に収まっている。プリント回路板25に接続されたフレキシブルプリント配線板27は、フレーム構造体31とパームレスト12の内面12aとの間の隙間を通して配線されている。
【0043】
この際、図5および図6に示すように、フレーム構造体31の第1の突起40は、プリント回路板25の周囲でパームレスト12を下から支えている。したがって、パームレスト12の右端部を上方から押圧しても、パームレスト12が凹むように変形し難くなり、パームレスト12とカードホルダ26との干渉を回避できる。
【0044】
ダミーユニット30をパームレスト12の内面12aに固定した状態では、ペンホルダ32の保持部48がパームレスト12の右端部の後部からキーボード取り付け部13の下方に至る領域に位置されている。保持部48は、第1の筐体4の右側の側壁7から第1の筐体4の幅方向に沿って延びている。
【0045】
保持部32の補強壁51は、キーボード取り付け部13と第1の筐体4の底壁5との間に介在されて、第1の筐体4を内側から補強している。
【0046】
すなわち、補強壁51の第3の突起52は、その先端がキーボード取り付け部13の内面および底壁5の内面に突き当たるか、あるいは例えば1mm程度の僅かな隙間を存してパームレスト12の内面12aおよび底壁5の内面と向かい合っている。
【0047】
このため、キーボード14を上方から押圧するような外力が第1の筐体4に加わった場合、ペンホルダ32の補強壁51がキーボード取り付け部13を下から支えて、第1の筐体4の変形を防止する。
【0048】
図5および図8に示すように、保持部48の延出部53は、端壁60を備えている。端壁60は、第1の筐体4の右側の側壁7に設けた開口部61に嵌め込まれている。言い換えると、端壁60は、開口部61から第1の筐体4の外に露出されて、第1の筐体4を形作る外観要素の一部となっている。
【0049】
スタイラスペン43を出し入れするペン挿入口62が端壁60に形成されている。ペン挿入口62は、第1の筐体4の内部の実装スペースに開口されている。
【0050】
図6および図7に示すように、保持部48は、円弧状に湾曲された窪み部65を有している。窪み部65は、スタイラスペン43のペン本体44を受け止めるためのものであり、保持部48の長手方向に一直線状に延びている。窪み部65の一端は、延出部53を経てペン挿入口62に連続している。
【0051】
複数の支持片66が保持部48に一体に形成されている。支持片66は、保持部48から突出するとともに、その突出端に爪66aを有している。このような支持片66は、窪み部65を間に挟んで向かい合うとともに、窪み部65の長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0052】
図9および図10に示すように、前記スライダ49は、スタイラスペン43の軸方向に延びる半円筒形であって、例えば合成樹脂材料により形成されている。具体的に述べると、スライダ49は、スタイラスペン43が入り込む凹部68と、凹部68の開口端を取り囲むスライドガイド面69と、スタイラスペン43のペン先45が取り出し可能に嵌合する嵌合孔70と、嵌合孔70の反対側に向けて開口されたペン挿入部71とを備えている。
【0053】
スライダ49は、凹部68の開口端を窪み部65に向けた姿勢で支持片66の間に嵌め込まれている。これにより、図6および図7に示すように、支持片66の爪66aが窪み部65の反対側からスライダ49の開口縁部に摺動可能に引っ掛かっている。このため、スライダ49は、支持片66の爪66aと保持部48の下面との間で摺動可能に挟み込まれているとともに、スライダ49のスライドガイド面69が保持部48の下面と向かい合っている。
【0054】
この結果、スライダ49は、第1の筐体4の幅方向にスライド可能に保持部48に保持されて、スライダ49の凹部68が保持部48の窪み部65と向かい合っている。凹部68および窪み部65は、互いに協働してトンネル状のペン収容部72を規定している。ペン収容部72は、ペン挿入口62に連なっている。
【0055】
図9および図10に示すように、スライダ49は、係合片73およびアーム部74を備えている。係合片73は、スライダ49の長手方向に沿う中間部よりも嵌合孔70の方向にずれた位置に一体に形成されている。係合片73は、凹部68内に突出された係合突起75を有している。係合片73は、係合突起75が凹部68の外側に退く方向に弾性変形が可能である。
【0056】
アーム部74は、スライダ49の長手方向に沿う中間部から分岐されて、スライダ49の嵌合孔70の方向にスライダ49と平行に延びている。アーム部74の先端は、アーム部74よりも拡張された矢尻状の嵌合部76となっている。
【0057】
スタイラスペン43は、第1の筐体4のペン挿入口62からスライダ49のペン挿入部71を通じてペン収容部72に挿入される。スタイラスペン43の挿入に伴い、ペン本体44の係合溝44aがスライダ49の係合突起75の位置に達すると、係合突起75が係合溝44aに弾性的に引っ掛かる。これにより、スタイラスペン43とスライダ49とが一体的に連結されて、スライダ49がスタイラスペン43と一緒にスライドする。
【0058】
具体的に述べると、図11は、スライダ49の係合突起75がペン本体44の係合溝44aに引っ掛かった状態を示している。図11に示すように、スタイラスペン43とスライダ49とが一体的に連結されると、ペン先45がスライダ49の嵌合孔70に入り込むとともに、突起部46を有するペン本体44の端部がスライダ49のペン挿入部71から飛び出ている。
【0059】
本実施の形態では、スライダ49は、スタイラスペン43と一緒に第1の位置と第2の位置との間でスライド可能となっている。図12は、スライダ49が第1の位置にスライドされた状態を開示している。第1の位置では、スライダ49のペン挿入部71がペン挿入口62から遠ざかるとともに、突起部46を有するペン本体44の端部がペン挿入部71とペン挿入口62との間に位置されている。
【0060】
そのため、スタイラスペン43は、第1の筐体4の内部に格納されているとともに、ペン本体44の端部は、第1の筐体4の外に突出することなくペン挿入口62の開口端に収まっている。
【0061】
図13は、スライダ49が第2の位置にスライドされた状態を開示している。第2の位置では、スライダ49のペン挿入部71が保持部48の端壁60の直前に位置されるとともに、突起部46を有するペン本体44の端部がペン挿入口62から第1の筐体4の外に飛び出している。図2および図3は、ペン本体44の端部がペン挿入口62から第1の筐体4の外に飛び出た状態を示している。
【0062】
前記キャッチャー機構50は、前記スライダ49を第1の位置にロックしたり、スライダ49のロックを解除するロック装置の一例である。キャッチャー機構50は、ケース80と、ケース80に支持された一対のロック爪81a,81bとを備えている。
【0063】
ケース80は、スライダ49のスライド方向に延びる細長い箱形であり、スライダ49と隣り合うように保持部48の下面に固定されている。スライダ49のアーム部74は、ケース80の長手方向に沿う一端からケース80の内部に挿入されるようになっている。図13に示すように、スライダ49が第2の位置にスライドされた状態では、アーム部74がケース80の外に引き出されて、アーム部74の先端の嵌合部76がケース80の一端と向かい合っている。
【0064】
挾持爪81a,81bは、スライダ49が第2の位置にスライドされた時に、スプリング83で押されてケース80の一端からケース80の外に飛び出している。アーム部74の先端の嵌合部76は、挾持爪81a,81bの間に介在されている。
【0065】
スライダ49が第2の位置から第1の位置に向けてスライドされると、スライダ49の嵌合部76によって挾持爪81a,81bがスプリング83に抗してケース80の内部に押し込まれる。この押し込みに伴い、挾持爪81a,81bが互いに近づく方向に回動されて嵌合部76を挟み込む。スライダ49が第1の位置に達すると、挾持爪81a,81bがケース80の内部に移動不能に保持される。よって、スライダ49が第1の位置にロックされる。
【0066】
このような構成のポータブルコンピュータ1において、スタイラスペン43がペンホルダ32のペン収容部72から第1の筐体4の外に取り出された状態では、スライダ49が図13に示す第2の位置にスライドされている。
【0067】
スタイラスペン43をペン先45から第1の筐体4のペン挿入口62に挿入すると、スタイラスペン43のペン本体44がスライダ49のペン挿入部71を通じてペン収容部72に導かれる。
【0068】
スタイラスペン43の挿入に伴って、ペン先45がスライダ49の嵌合孔70に入り込むと、スライダ49の係合突起75がペン本体44の係合溝44aに弾性的に引っ掛かる。これにより、スタイラスペン43の挿入動作に追従してスライダ49が第2の位置から第1の位置に向けてスライドを開始する。
【0069】
スライダ49が第2の位置から第1の位置に向けてスライドされると、スライダ49のアーム部74がキャッチャー機構50のケース80内に押し込まれる。キャッチャー機構50の挾持爪81a,81bは、スライダ49が第1の位置に達した時点で、アーム部74の嵌合部76を挟み込んだ状態でケース80内に移動不能に保持される。
【0070】
この結果、スタイラスペン43が第1の筐体4の内部のペン収容部72に格納される。スタイラスペン43がペン収容部72に格納された状態では、ペン本体44の突起部46に連続する端面がペン挿入口62に露出されているに止まっている。したがって、ペン本体44の端部を指先で摘んでペン収容部72から取り出すことは不可能であり、スタイラスペン43の盗難を防止できる。
【0071】
一方、スタイラスペン43をペン収容部72から取り出すには、ペン挿入口62から露出されているペン本体44の端面を指先で押し込む。すると、挾持爪81a,81bの保持が解除されて、挾持爪81a,81bがスプリング83によりケース80の一端に向けて押圧される。この押圧により、アーム部74がケース80の一端からケース80の外に押し出される。よって、スライダ49がアーム部74に追従して第1の位置から第2の位置に向けてスライドされる。
【0072】
さらに、挾持爪81a,81bがケース80の一端からケース80の外に飛び出して互いに遠ざかる方向に回動する。これにより、挾持爪81a,81bが嵌合部76から離脱し、スライダ49とキャッチャー機構50との連携が解除される。
【0073】
スライダ49が第2の位置に達すると、図2および図3に示すように、突起部46を有するペン本体44の端部がペン挿入口62から第1の筐体4の外に飛び出す。そのため、ペン本体44の端部を指先で摘んで引っ張ることで、スタイラスペン43をペン収容部72から取り出すことができる。
【0074】
このような構成によれば、スライダ49と協働してスタイラスペン43を保持するペンホルダ32の保持部48は、補強壁51を有している。補強壁51は、保持部48の周囲で第1の筐体4の底壁4とキーボード取り付け部13との間に介在されて、第1の筐体4を内側から補強している。
【0075】
このため、特にスタイラスペン43がペン収容部72から取り出されている時に、例えばキーボード取り付け部13やパームレスト12を上方から押圧するような力が第1の筐体4に加わったとしても、補強壁51でキーボード取り付け部13やパームレスト12を下から支えることができる。
【0076】
よって、ペンホルダ32を利用して第1の筐体4の剛性を確保することができる。
【0077】
本実施の形態によると、ペンホルダ32は、光ディスク装置の代わりに第1の筐体4の内部の実装スペースに収容されたフレーム構造体31と一体化されている。フレーム構造体31は、パームレスト12の右端部を上方から押圧するような外力が第1の筐体4に加わった場合、パームレスト12を下から支えて、パームレスト12の変形を防止する。したがって、フレーム構造体31およびペンホルダ32の双方で第1の筐体4の剛性を確保することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態では、ペンホルダ32およびフレーム構造体31は、ダミーユニット30として一体化されているので、ポータブルコンピュータ1の部品点数を削減して、ポータブルコンピュータ1のコストを低減できる。
【0079】
それとともに、光ディスク装置の代わりに第1の筐体4の内部に収容されるフレーム構造体31にペンホルダ32を付加したことで、光ディスク装置を収容する実装スペースを、スタイラスペン43を収容するスペースに置き換えることができる。そのため、光ディスク駆動装置を搭載したプレミアムなモデルと、光ディスク駆動装置を省いたベーシックなモデルとの間で第1の筐体4を共用することができる。
【0080】
この結果、第1の筐体4の汎用性が向上し、この点でもポータブルコンピュータ1のコストの低減に寄与するといった利点がある。
【0081】
手書き入力機能を有する液晶表示装置21は、表示モジュール3の第2の筐体20に収容することに限定されるものではない。例えば、表示モジュール3およびキーボード14を省略して、第1の筐体4に液晶表示装置21を収容するようにしてもよい。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
4…筐体(第1の筐体)、5…第1の壁(底壁)、6…第2の壁(上壁)、7…第3の壁(側壁)、31…フレーム構造体、32…ペンホルダ、43…操作ペン(スタイラスペン)、48…保持部、51…補強壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の壁、第2の壁および前記第1の壁の縁と前記第2の壁の縁との間に跨る第3の壁を有する筐体と、
前記筐体の内部に取り外し可能に収容され、前記第1の壁と前記第2の壁との間に介在されて前記筐体を内側から補強するフレーム構造体と、
前記フレーム構造体に一体に設けられ、前記筐体の前記第3の壁の方向から挿入される手書き入力用の操作ペンを取り出し可能に保持する保持部を有するペンホルダと、を具備する電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記ペンホルダは、前記保持部から起立されて、前記筐体の前記第1の壁と前記第2の壁との間に介在された補強壁を有する電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記補強壁は、前記フレーム構造体と協働して前記保持部を囲んでいる電子機器。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記ペンホルダは、(I)前記筐体の前記第3の壁に露出され、前記操作ペンが挿入されるペン挿入口と、(II)前記保持部に支持され、前記ペン挿入口から挿入された前記操作ペンと一緒にスライドされるスライダと、(III)前記操作ペンが前記筐体内に格納される位置まで前記スライダがスライドされた時に前記スライダをロックするとともに、前記操作ペンを前記筐体内から取り出す時に前記スライダのロックを解除するロック装置と、を具備する電子機器。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記スライダは、前記操作ペンが前記筐体内に格納される第1の位置と、前記操作ペンが前記筐体の外に突出される第2の位置との間でスライド可能に上記保持部に支持され、前記ロック装置は、前記スライダが前記第1の位置にスライドされた時に、前記スライダを前記第1の位置にロックする電子機器。
【請求項6】
請求項1の記載において、前記フレーム構造体は、互いに間隔を存して配列された複数の第1のフレーム要素と、前記第1のフレーム要素と交差する方向に沿って互いに間隔を存して配列された複数の第2のフレーム要素とを有し、これら第1のフレーム要素と第2のフレーム要素とが格子状に組み合わされた電子機器。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素とが交差する箇所に、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素との間に跨る補強板が設けられた電子機器。
【請求項8】
請求項6又は請求項7の記載において、前記筐体の前記第2の壁は、ハニカム形状のリブが設けられた内面を有し、前記フレーム構造体は、前記第2の壁の前記内面に向けて突出された複数の突起を有するとともに、前記突起の先端が前記第2の壁の内面のうち前記リブで囲まれた領域と対向した電子機器。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体に収容され、手書き入力用の操作ペンを取り出し可能に保持する保持部を有するペンホルダと、
前記ペンホルダに一体に設けられ、前記筐体を内側から補強するフレーム構造体と、を具備する電子機器。
【請求項10】
請求項9の記載において、前記ペンホルダは、前記保持部から起立されて前記筐体を内側から補強する補強壁を有する電子機器。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体に収容されたペンホルダであって、前記ペンホルダは、上記筐体に支持されるとともに手書き入力用の操作ペンを取り出し可能に保持する保持部と、この保持部に一体に設けられ、前記筐体を内側から補強する補強壁とを具備する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−118940(P2012−118940A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270707(P2010−270707)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】