説明

電子機器

【課題】カメラ本体に対して表示ユニットを回転させた際に、ヒンジ機構の回転軸に巻き付けたフレキシブル基板の巻き付け端が一対のカバー部材の接合部に引っ掛かるのを防止することができるデジタルビデオカメラを提供する。
【解決手段】デジタルビデオカメラは、カメラ本体に対して表示ユニットを回転可能に支持するヒンジ機構の回転軸21にカメラ本体の基板と表示ユニットの基板とを接続するフレキシブル基板18の中継部が巻き付けられる。回転軸21及びフレキシブル基板18は、一対のカバー部材30,31により回転軸21の径方向に挟み込まれ、一対のカバー部材30,31の接合部は、回転軸21の軸方向から見て、接合部にフレキシブル基板18の巻き付け端が達した位置において、巻き付け端の指向方向40と直交する線に対して指向方向と逆方向に傾斜する線41に沿って配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルビデオカメラや携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラや携帯電話機等の電子機器では、機器本体にヒンジ機構の回転軸を介して表示ユニットが回転可能に支持されるものがある。このような電子機器では、機器本体と表示ユニットとの間で信号等の授受を行う場合、コスト面で有利であるフレキシブル基板を用いて機器本体と表示ユニットとを接続することが多い(特許文献1)。
【0003】
この場合、図9に示すように、ヒンジ機構の回転軸21にフレキシブル基板18の中継部を巻き付け、巻き付けたフレキシブル基板18とヒンジ機構を一対のカバー部材50,51で回転軸21の径方向に挟み込むようにしている。これにより、ヒンジ機構やフレキシブル基板18が外部に露出しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、機器本体に対して表示ユニットを回転させると、回転軸21に巻き付けられたフレキシブル基板18の余長が調整され、フレキシブル基板18の巻き付け端が一対のカバー部材50,51の内周部を回転移動する。
【0006】
しかし、上記従来の技術では、一対のカバー部材50,51の接合部は、回転軸21の軸方向から見て、接合部にフレキシブル基板18の巻き付け端が達した位置において、巻き付け端の指向方向40に対して直交する方向に沿って配置されている。
【0007】
このため、表示ユニットを回転させた際に、フレキシブル基板18の巻き付け端が一対のカバー部材50,51の接合部に引っ掛かりやすく、引っ掛かった状態で更に表示ユニットを回転させると、フレキシブル基板18の信号線に損傷を与える可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、機器本体に対して可動部を回転させた際に、ヒンジ機構の回転軸に巻き付けたフレキシブル基板の巻き付け端が一対のカバー部材の接合部に引っ掛かるのを防止することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、機器本体と、前記機器本体にヒンジ機構の回転軸を介して回転可能に支持される可動部と、前記機器本体の基板と前記可動部の基板とを接続するとともに、中継部が前記回転軸に巻き付けられるフレキシブル基板と、前記回転軸及び前記フレキシブル基板を前記回転軸の径方向に挟み込むように配置される一対のカバー部材と、を備え、前記一対のカバー部材の接合部は、前記回転軸の軸方向から見て、前記接合部に前記フレキシブル基板の巻き付け端が達した位置において、前記巻き付け端の指向方向と直交する線に対して前記指向方向と逆方向に傾斜する線に沿うように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器本体に対して可動部を回転させた際に、ヒンジ機構の回転軸に巻き付けたフレキシブル基板の巻き付け端が一対のカバー部材の接合部に引っ掛かるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラの斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルビデオカメラの表示ユニットを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】表示ユニットの外装カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】表示ユニット、フレキシブル基板、及び一対のカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図3を回転軸の軸方向から見た図である。
【図6】表示ユニットを回転軸を中心に図2の状態から180°回転させてカメラ本体に収納した状態を示す斜視図である。
【図7】回転軸とフレキシブル基板と一対のカバー部材との関係を説明するための概略図である。
【図8】一対のカバー部材の接合部にフレキシブル基板の巻き付け端が到達した状態を示す斜視図である。
【図9】従来例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルビデオカメラの斜視図、図2は図1に示すデジタルビデオカメラの表示ユニットを開いた状態を示す斜視図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態のデジタルビデオカメラは、カメラ本体11に表示ユニット15が2軸ヒンジ機構20(図4参照)の回転軸線Xを中心に開閉可能に支持されている。また、表示ユニット15は、開状態で、カメラ本体11に対して、2軸ヒンジ機構20の回転軸線Yを中心に回転可能に支持されている。ここで、カメラ本体11は、本発明の機器本体の一例に相当し、表示ユニット15は、本発明の可動部の一例に相当する。
【0015】
カメラ本体11には、ズームレバー12、レリーズボタン13、及びトリガーボタン14が設けられている。また、カメラ本体11の内部には、画像や音声を記録したり再生したりする記録再生部が設けられている。
【0016】
図3は、表示ユニット15の外装カバー16を取り外した状態を示す斜視図である。図3に示すように、表示ユニット15に設けられた基板17とカメラ本体11に設けられた基板(不図示)とは、信号等の授受を行うために、フレキシブル基板18で接続されている。また、2軸ヒンジ機構20(図4)及びフレキシブル基板18は、一対のカバー部材30,31により挟み込まれて外部に露出しないようになっている。
【0017】
図4は、表示ユニット15、フレキシブル基板18、及びカバー部材30,31を取り外した状態を示す斜視図である。図4に示すように、2軸ヒンジ機構20は、表示ユニット15を回転軸線X(図2)を中心に開閉可能に支持するための第1の回転軸(不図示)と、表示ユニット15を開状態で回転軸線Y(図2)を中心に回転可能に支持するための第2の回転軸21を有する。
【0018】
図5は図3を第2の回転軸21(以下、回転軸21という。)の軸方向から見た図、図6は表示ユニット15を回転軸21の回転軸線Yを中心に図2の状態から180°回転させてカメラ本体11に収納した状態を示す斜視図である。図5に示すように、一対のカバー部材30,31は、2軸ヒンジ機構20の回転軸21及びフレキシブル基板18を回転軸21の径方向に挟み込むように配置されている。
【0019】
また、回転軸21には、フレキシブル基板18の中継部が巻き付けられている。これにより、表示ユニット15が、図6に示すように、表示面を外側に向けてカメラ本体11に収納されても、フレキシブル基板18に余長を持たせてフレキシブル基板18による表示ユニット15側の基板17とカメラ本体11側の基板との接続を保証している。
【0020】
図7は、回転軸21とフレキシブル基板18と一対のカバー部材30,31との関係を説明するための概略図である。図7に示すように、回転軸21の軸方向から見て、カバー部材30,31の接合部は、接合部にフレキシブル基板18の巻き付け端が達した位置において、巻き付け端の指向方向40と直交する線に対し指向方向40と逆方向に傾斜する線41に沿うように形成される。即ち、一対のカバー部材30,31の接合部とフレキシブル基板18の巻き付け端の指向方向40とのなす角度αが鋭角に設定されている。
【0021】
表示ユニット15を回転軸21を介して回転させると、フレキシブル基板18の巻き付け部分の余長が調整されるが、それに伴いフレキシブル基板18の巻き付け端も一対のカバー部材30,31の内周部を回転移動する。
【0022】
図8は、一対のカバー部材30,31の接合部にフレキシブル基板18の巻き付け端が到達した状態を示す斜視図である。ここで、本実施形態では、上述したように、一対のカバー部材30,31の接合部と指向方向40とのなす角度αが鋭角に設定されている。従って、表示ユニット15を回転軸21を介して回転させた際に、一対のカバー部材30,31の接合部にフレキシブル基板18の巻き付け端が引っ掛かることはなく、フレキシブル基板18の信号線が損傷することはない。
【0023】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0024】
11 カメラ本体
15 表示ユニット
18 フレキシブル基板
20 2軸ヒンジ機構
21 回転軸
30 カバー部材
31 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体にヒンジ機構の回転軸を介して回転可能に支持される可動部と、
前記機器本体の基板と前記可動部の基板とを接続するとともに、中継部が前記回転軸に巻き付けられるフレキシブル基板と、
前記回転軸及び前記フレキシブル基板を前記回転軸の径方向に挟み込むように配置される一対のカバー部材と、を備え、
前記一対のカバー部材の接合部は、前記回転軸の軸方向から見て、前記接合部に前記フレキシブル基板の巻き付け端が達した位置において、前記巻き付け端の指向方向と直交する線に対して前記指向方向と逆方向に傾斜する線に沿うように形成されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ヒンジ機構は、前記可動部を前記機器本体に対して開閉可能に支持する第1の回転軸と、前記可動部を開状態で回転可能に支持する第2の回転軸とを有し、前記フレキシブル基板の前記中継部は、前記第2の回転軸に巻き付けられることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記可動部は、表示ユニットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−124414(P2012−124414A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275774(P2010−275774)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】