説明

電子機器

【課題】アプリケーション毎にセキュリティレベルを設定できる電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器101は、接触を検出する接触検出部104と、認証用文字の少なくとも筆跡を含む認証情報を記憶する記憶部105と、接触検出部104の出力に基づいて入力された文字の少なくとも筆跡を判定情報として特定し、判定情報と認証情報との一致度を算出し、一致度が所定の基準を満たした場合、ロックされたアプリケーションのロックを解除する制御部107とを備え、制御部107は、ロック設定が可能なアプリケーションが複数ある場合、アプリケーション毎に前記所定の基準を異ならせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人情報を扱う電子機器等では、ユーザの本人確認を行うために、暗証番号入力又はパスワード入力を求める機能や生体認証機能など様々なものが利用されている。生体認証には、指紋、網膜、血管等の身体的特徴を利用する方法や手書きによる署名やまばたき等の行動的特徴を利用する方法が存在する。
【0003】
以下、従来の署名認証用の電子機器について説明する(例えば、特許文献1参照)。当該電子機器に対して手書き署名がなされると、電子機器は、入力された手書き署名と予め登録された手書き署名データとを比較し、ユーザが登録者本人であるか否か判定する。具体的には、電子機器は、署名の形状、ペン先の圧力、書き順(筆順)、書く速さ(筆記速度)などの項目を検出する。そして、電子機器は、これらの項目に基づいて入力された手書き署名と予め登録された手書き署名データとの同一性(一致度)を判断する。そして、電子機器は、同一性がある一定の基準を満たしている場合、ユーザが登録者本人であると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−194618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の署名認証用の電子機器では、同一性の判断基準は一種類のみであり、署名認証を必要とするアプリケーション毎に同一性の判断基準を変更できるものではない。しかし、アプリケーション毎に必要な認証レベル(セキュリティレベル)は、異なるものである。例えば、経済的価値のあるFeliCa(登録商標)アプリケーションに対するセキュリティレベルは、ユーザの備忘録として使用されるメモ帳アプリケーションに比べて高いものと考えられる。セキュリティレベルが上がるほど高い同一性が求められるので、ユーザは署名を丁寧に行わなければならず、署名に時間がかかる。そのため、秘匿性の低いデータを扱うアプリケーションに対して、必要以上に高い認証レベルが設定されると、ユーザは、認証を手間に感じ、操作性の悪さを感じることになる。
【0006】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、アプリケーション毎にセキュリティレベルを設定できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による電子機器は、
接触を検出する接触検出部と、
認証用文字の少なくとも筆跡を含む認証情報を記憶する記憶部と、
前記接触検出部の出力に基づいて入力された文字の少なくとも筆跡を判定情報として特定し、前記判定情報と前記認証情報との一致度を算出し、当該一致度が所定の基準を満たした場合、ロックされたアプリケーションのロックを解除する制御部とを備え、
前記制御部は、ロック設定が可能なアプリケーションが複数ある場合、アプリケーション毎に前記所定の基準を異ならせることができる電子機器である。
【0008】
また、前記制御部は、前記判定情報として、前記入力された文字の筆順及び筆記速度の少なくとも一つを更に特定することが望ましい。
【0009】
また、前記電子機器は、前記接触検出部への押圧荷重を検出する荷重検出部を更に備え、前記制御部は、前記荷重検出部の出力に基づいて、前記判定情報として、前記入力された文字の筆圧を更に特定することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成された本発明にかかる電子機器によれば、アプリケーション毎にロックを解除するための所定の基準を異ならせることができるので、アプリケーション毎にセキュリティレベルを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る所定の基準を示す図である。
【図3】図3は、図1の電子機器が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図1の表示部の表示画面例である。
【図5】図5は、図1の表示部の表示画面例である。
【図6】図6は、図1の電子機器が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1の電子機器の処理を図式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。本発明の電子機器101の一例としては、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末、携帯音楽プレイヤー、携帯テレビ、携帯ゲーム機、銀行のATM(Automated Teller Machine)、駅の券売機が挙げられる。この電子機器101は、アプリケーション毎にロックの設定及び解除が可能なものである。ロックの設定が可能なことにより、ユーザの利便性が向上する電子機器101のアプリケーションは、例えば、FeliCaアプリケーション、アドレス帳アプリケーション、メモ帳アプリケーション、メールアプリケーション、通信アプリケーション、スクリーンロックアプリケーションがある。なお、アプリケーションのロック設定には、当該アプリケーションの初期起動に対するロック設定のみならず、当該アプリケーションの個別の処理(例えば、メールアプリケーションにおける送信処理)に対するロック設定も含まれるとする。
【0014】
ロックの解除は、手書き認証により行われるものである。ユーザは、ロックを解除するために、認証用文字を入力する必要がある。認証用文字とは、本人確認のために電子機器101の正当な利用者が予め電子機器101に登録する手書きの文字であり、例えば登録者本人の名前やパスワードである。なお、認証用文字とは、厳密に一文字のみを指すものではなく、複数の文字から構成される文字列も含みうるものであることに留意すべきである。
【0015】
電子機器101は、表示部103及び接触検出部104を備えるタッチパネル102と、記憶部105と、荷重検出部106と、制御部107とを有する。
【0016】
表示部103は電子機器101のユーザによる手書きで入力された文字を表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。なお、文字とは、平仮名、片仮名、アルファベットのみならず、数字や記号等も含むものとする。平仮名には、「あ」〜「ん」までの46文字のみならず、句読点(「。」及び「、」)、濁点(「゛」)、半濁点(「゜」)、なども含むものとする。英字には、「A」〜「Z」までの26文字のみならず、ピリオド(「.」)、カンマ(「,」)なども含むものとする。数字には、「0」〜「9」まで10個の数字のみならず、ローマ数字なども含むものとする。記号には、例えばアスタリスク(「*」)、シャープ(「#」)、ドル記号(「$」)、アンパサンド(「&」)などが含まれる。
【0017】
接触検出部104は、ユーザの指やスタイラスペン等(接触物)による接触を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成される。接触検出部104は、接触を検出すると、当該接触の位置に関する接触位置情報を制御部107に出力する。なお、接触検出部104が接触を検出する上で、接触物が接触検出部104を物理的に接触することは必須ではない。例えば、接触検出部104が光学式である場合は、接触検出部104は接触検出部104上の赤外線が指やスタイラスペン等で遮られた位置を検出するため、接触物が接触検出部104を接触することは不要である。
【0018】
記憶部105は、公知技術によるメモリで構成することができ、接触に関する各種情報(例えば、接触位置情報)や認証用文字の認証情報、後述する所定の基準などを記憶するとともに、ワークメモリ等としても機能する。認証用文字の認証情報とは、認証用文字の登録者を特定するための手書き文字の個人的特徴データであり、認証項目、例えば、筆跡、筆順、筆記速度、筆圧など、のデータである。なお、筆跡とは、文字の太さも含む手書きで入力された文字そのものの形に限定されるものではなく、例えば、手書きで入力された文字の点画(文字を構成する要素)の中心線により構成される形を含むものである。
【0019】
荷重検出部106は、接触検出部104に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子などの荷重に対して線形に反応する素子を用いて構成される。
【0020】
制御部107は、電子機器101の各機能ブロックをはじめとして電子機器101の全体を制御及び管理する。ここで、制御部107は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理毎に特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。
【0021】
制御部107についてより詳細に説明する。制御部107は、接触検出部104の出力に基づいて入力された文字の少なくとも筆跡を判定情報として特定する。接触検出部104の出力とは、接触検出部104により検出された接触の位置に関する接触位置情報である。接触位置情報の集合により、接触の軌跡が構成される。1つの連続する軌跡により、1点画が構成され、1つ又は1つ以上の点画により文字が構成される。つまり、筆跡は、接触位置情報の集合により構成されるものである。判定情報とは、ロックを解除するためにユーザが入力した文字の特徴を表すデータである。
【0022】
制御部107は、判定情報として、入力された文字の筆順及び筆記速度の少なくとも一つを更に特定することができる。筆順は、接触位置情報から入力された点画の順番を記憶部105に記憶させることにより特定されるものである。筆記速度は、複数の接触位置情報と位置情報取得時の時刻から、位置の時間変化を求めることにより特定されるものである。位置情報取得時の時刻の取得は、例えば、制御部107がRTC(Real Time Clock:リアルタイムクロック)を有することにより実現される。なお、筆記速度は、例えば、指と接触検出部104との接触中のある時間内での速度であったり、点画毎の平均筆記速度であってもよい。
【0023】
また、制御部107は、荷重検出部106の出力(荷重に比例する信号)に基づいて、判定情報として、入力された文字の筆圧を更に特定することができる。筆圧は、例えば、接触位置に応じた荷重であったり、点画毎の平均荷重であってもよい。
【0024】
また、制御部107は、入力された文字の判定情報と認証用文字の認証情報との一致度を算出する。一致度は、入力された文字の筆跡、筆順、筆記速度、筆圧などの項目の各データと予め記憶部105に記憶されている認証用文字の対応する項目の各データとの同一性の程度をパーセントで表現したものであり、項目ごとに算出される。なお、一致度の算出対象である筆跡、筆順、筆記速度、筆圧などの認証項目は、任意に設定できる事項であり、例えば、筆跡のみを算出対象にすることができる。例えば、筆跡の一致度が100パーセントの場合、判定情報の筆跡のデータが認証情報の筆跡のデータとそれぞれ完全に一致していることを意味する。なお、判定情報に関する各データと認証情報に関する各データとの一致とは、厳密な完全一致に限定されるものではなく、例えば、誤差範囲を予め定め、当該誤差範囲内であるならば、判定情報に関するあるデータは、それに対応する認証情報に関するデータと一致するとみなすことができる。
【0025】
なお、筆跡における一致とは、絶対的な形の一致のみに限定されるものでなく、例えば、入力された文字の形を等倍したときに認証文字の形と一致するといった相対的な形の一致も含まれることに留意すべきである。
【0026】
更に、制御部107は、一致度が所定の基準を満たした場合、ロックされたアプリケーションのロックを解除する。制御部107は、一致度の算出対象を複数の認証項目(筆跡、筆順、筆記速度、筆圧)としている場合、入力された文字の筆跡、筆順、筆記速度、筆圧の項目ごとに、認証用文字の対応する項目との一致度を算出し、算出したそれぞれの一致度が、それぞれ項目ごとに設定されている所定の基準を全て満たした場合、ロックされたアプリケーションのロックを解除する。
【0027】
制御部107は、所定の基準を、例えば、図2のように設定することができる。ロック設定が可能なアプリケーションが複数ある場合、アプリケーション毎に必要な認証レベル(セキュリティレベル)は異なる。必要な認証レベルの違いは、アプリケーションにより扱われるデータの秘匿性により決まるものである。制御部107は、アプリケーションが扱うデータの秘匿性に応じて所定の基準を異ならせることができる。例えば、経済的価値のあるFeliCa(登録商標)アプリケーションに対するセキュリティレベルは、ユーザの備忘録として使用されるメモ帳アプリケーションに比べて高いものと考えられる。そのため、制御部107は、FeliCaアプリケーションに対しては、いずれの認証項目に関して、メモ帳アプリケーションよりも高い一致度をユーザに要求することができる。また、制御部107は、メモ帳アプリケーションに対しては、筆順さえ合っていれば、ロックが解除される可能性の高い所定の基準を定めることができる。
【0028】
以下、ユーザが所定の基準を設定する場合について図3を用いて説明する。図3は、ユーザが所定の基準を設定する場合に、図1の電子機器が行う処理を示すフローチャートである。以下、認証用文字は、ユーザの名前(署名)である「和夫」であり、認証項目は、筆跡、筆順、筆記速度、筆圧であるとする。また、ユーザがロックを設定するアプリケーションは、FeliCaアプリケーション及びメモ帳アプリケーションであるとする。
【0029】
まず、ユーザは、図4のように、認証用文字の登録アプリケーションを起動し(ステップS101)、表示部103上に手書きで署名をする。すると、接触検出部104は、ユーザの署名による表示部103への接触を検出し、荷重検出部106は、接触検出部104に対する押圧荷重を検出する(ステップS102)。
【0030】
接触検出部104及び荷重検出部106は、それぞれ接触位置情報及び押圧荷重を制御部107に出力し、制御部107は、接触位置情報及び押圧荷重に基づいて署名を解析する(ステップS103)。つまり、制御部107は、接触位置情報及び押圧荷重からユーザの「和夫」の筆跡、筆順、筆記速度、筆圧のデータを特定する。そして、特定したデータを認証情報として記憶部105に記憶させる。つまり、認証情報が電子機器101に登録される(ステップS104)。
【0031】
その後、制御部107は、図5のように、アプリケーション毎に認証情報の一致度に関する所定の基準を設定できる画面を表示部103に表示させる。ユーザは、一致度の数値を入力したいセル111に接触した後、数字キー113を押下する。すると、接触検出部104は、押下された表示部103の位置情報を制御部107に出力し、制御部107は、押下された数字を特定し、所定の基準として設定する(ステップS105)。制御部107は、設定した数字を表示部103に表示させることができる。そして、制御部107は、所定の基準が設定されたアプリケーションをロックする。以下、Felicaアプリケーション及びメモ帳アプリケーションに関する所定の基準として、図2に示されている値が設定されたとする。
【0032】
続いて、ユーザが手書き署名認証を行う場合について図6を用いて説明する。図6は、ユーザが手書き署名認証を行う場合に、図1の電子機器が行う処理を示すフローチャートである。以下、ユーザが起動するアプリケーションは、メモ帳アプリケーションであるとする。
【0033】
ユーザがメモ帳アプリケーションを起動すると、制御部107は、メモ帳アプリケーションのロックを解除するための認証アプリケーションを起動する(ステップS201)。そして、制御部107は、図7(a)のように、手書き署名認証画面を表示部103に表示させる。なお、認証アプリケーションは、メモ帳アプリケーションに固有の(メモ帳アプリケーションの一部の)アプリケーションに限定されるものではなく、メモ帳アプリケーションとは独立した、複数のアプリケーションに共通の認証用アプリケーションであってもよい。
【0034】
ユーザが、図7(a)のように、表示部103上に手書きで署名をする。すると、接触検出部104は、ユーザの署名による表示部103への接触を検出し、荷重検出部106は、接触検出部104に対する押圧荷重を検出する(ステップS202)。
【0035】
接触検出部104及び荷重検出部106は、それぞれ接触位置情報及び押圧荷重を制御部107に出力し、制御部107は、接触位置情報及び押圧荷重に基づいて、入力された署名を解析する(ステップS203)。つまり、制御部107は、接触位置情報及び押圧荷重からユーザの「和夫」の筆跡、筆順、筆記速度、筆圧のデータを特定する。そして、特定したデータを判定情報として記憶部105に記憶させる(ステップS204)。
【0036】
その後、制御部107は、記憶部105に記憶されている判定情報と認証情報との一致度を算出する(ステップS205)。そして、制御部107は、算出された一致度が所定の基準を満たしているか判定する(ステップS206)。
【0037】
算出された一致度が筆跡に関しては50[%]、筆順に関しては100[%]、筆記速度に関しては40[%]、筆圧に関しては60[%]である場合、算出された一致度は全ての認証項目に関して所定の基準以上である(ステップS206のYes)。よって、制御部107は、メモ帳アプリケーションのロックを解除する(ステップS207)。このとき、制御部107は、図7(b)のように、ロックを解除した旨(「認証成功」)のメッセージを表示部103に表示させることができる。
【0038】
なお、ロック解除対象のアプリケーションがFeliCaアプリケーションであった場合、算出された一致度は、筆順以外の認証項目に関して所定の基準未満であるので(ステップS206のNo)、よって、制御部107は、FeliCaアプリケーションのロックを解除しないことになる(ステップS208)。つまり、アプリケーションのロックが維持される。このとき、制御部107は、図7(c)のように、ロックを維持した旨(「認証失敗」)のメッセージを表示部103に表示させることができる。
【0039】
このように本実施形態では、電子機器101の制御部107は、ロック設定が可能なアプリケーションが複数ある場合、アプリケーション毎にロックを解除するための所定の基準を異ならせることができる。これにより、ユーザは、アプリケーションが扱うデータの秘匿性に応じて、ロックを解除するための条件に対して重み付けをすることができる。よって、秘匿性の低いデータを扱うアプリケーションに対しては、ロックを解除するための条件を軽くすることにより、ユーザは、容易にロックを解除でき、操作性の良さを感じることになる。また、秘匿性の高いデータを扱うアプリケーションに対しては、ロックを解除するための条件を重くし、丁寧な署名を求めることにより、認証に時間はかかるもののデータの安全性が担保されることになる。
【0040】
また、本実施形態では、制御部107は、判定情報として、入力された文字の筆跡だけでなく、入力された文字の筆順及び筆記速度の少なくとも一つを更に特定することができる。つまり、認証項目が増えるため、所定の基準の設定における自由度が高くなる。よって、ユーザは、アプリケーションが扱うデータの秘匿性に合わせて、ロックを解除するための条件をより細かく定めることができる。
【0041】
また、本実施形態では、制御部107は、判定情報として、入力された文字の筆圧を更に特定することができる。つまり、認証項目が更に増えるため、所定の基準の設定における自由度が更に高くなる。よって、ユーザは、アプリケーションが扱うデータの秘匿性に合わせて、ロックを解除するための条件を更に細かく定めることができる。
【0042】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0043】
上述の本発明の実施形態の説明において、例えば、所定の基準「以上」または所定の基準「未満」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、電子機器の仕様に応じて、基準となる値を含む場合又は含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、所定の基準「以上」とは、一致度が所定の基準に達した場合のみならず、所定の基準を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば所定の基準「未満」とは、一致度が所定の基準を下回った場合のみならず、所定の基準に達した場合、つまり所定の基準以下になった場合も含意し得るものとする。
【0044】
また、上述した本発明の本実施形態の説明における「表示部」及び「接触検出部」は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されてもよい。このような表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することにより、タッチ位置を検出することができる。なお、「接触検出部」を「表示部」と独立して構成することもできる点に留意すべきである。
【0045】
また、上述の本発明の実施形態の説明における電子機器は、更に触感呈示部を含んでいてもよい。触感呈示部は、接触検出部を振動させ、接触検出部に接触しているユーザの指やスタイラスペンなど(接触物)に触感を呈示するもので、例えば、圧電素子などの振動素子を用いて構成される。例えば、制御部は、ロックを解除した場合に、接触物に触感が呈示されるように触感呈示部を制御することができる。これにより、ユーザは、表示部の表示の変化を確認することなく、ロックが解除されたことを認識することができる。呈示する触感は、何らかの振動であればよく、周波数、周期(波長)、振幅、波形を、呈示する触感に応じて適宜設定することができる。なお、荷重検出部及び触感呈示部が圧電素子を用いて構成される場合には、圧電素子を共用して、荷重検出部及び触感呈示部を構成することができる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。なお、触感呈示部は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいて電子機器を振動させることにより、接触検出部を間接的に振動させるように構成してもよいし、接触検出部に圧電素子を配設することにより、接触検出部を直接的に振動させるように構成してもよい。
【0046】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、制御部は、筆跡、筆順、筆記速度、筆圧の全ての一致度を算出して、それぞれの項目の全ての一致度が所定の基準を満たした場合に、ロックを解除したが、本発明はこれに限定されずに、筆跡のみの一致度を算出し、筆跡の一致度が所定の基準を満たした場合に、ロックを解除してもよいし、筆跡及び筆順、筆跡及び筆記速度、又は筆跡、筆順及び筆記速度の一致度を算出し、算出したそれぞれの項目全ての一致度が所定の基準を満たした場合に、ロックを解除してもよい。このように、ロックを解除するために用いられる認証項目は、筆跡、筆順、筆記速度、筆圧で適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0047】
101 電子機器
102 タッチパネル
103 表示部
104 接触検出部
105 記憶部
106 荷重検出部
107 制御部
111 セル
113 数字キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触を検出する接触検出部と、
認証用文字の少なくとも筆跡を含む認証情報を記憶する記憶部と、
前記接触検出部の出力に基づいて入力された文字の少なくとも筆跡を判定情報として特定し、前記判定情報と前記認証情報との一致度を算出し、当該一致度が所定の基準を満たした場合、ロックされたアプリケーションのロックを解除する制御部とを備え、
前記制御部は、ロック設定が可能なアプリケーションが複数ある場合、アプリケーション毎に前記所定の基準を異ならせることができる電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記制御部は、前記判定情報として、前記入力された文字の筆順及び筆記速度の少なくとも一つを更に特定することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、
当該電子機器は、前記接触検出部への押圧荷重を検出する荷重検出部を更に備え、
前記制御部は、前記荷重検出部の出力に基づいて、前記判定情報として、前記入力された文字の筆圧を更に特定することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216140(P2012−216140A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82112(P2011−82112)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】