説明

電子機器

【課題】圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動の減衰を低減させつつ防水および防塵対策を施した電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、タッチパネル20と、タッチパネル20の裏面周縁部に形成されるパネルフレーム22と、タッチパネル20を振動させる振動部50と、パネルフレーム22を支持する凹部12bを有するとともにタッチパネル20の周縁部を覆う支持部材(10a,10b)と、タッチパネル20の表面周縁部と支持部材(10a,10b)との間に介在させた第1の弾性部材70と、を備え、パネルフレーム22に突起部22bを形成し、突起部22bの先端に第2の弾性部材22cを形成し、第2の弾性部材22cを凹部12bに圧入することを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。より詳細には、本発明は、タッチパネルに対する操作入力を検出して、操作感をフィードバックする電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載の電子機器を分解した外観斜視図である。図7に示すように、特許文献1に記載の電子機器(ディスプレイ装置)は、ディスプレイモニタ100、パネル固定用フレーム210、タッチパネル400、およびカバー500を備えている。この電子機器は、タッチパネル400等の各部品が、上記ディスプレイモニタ100に対して組付けられることにより構成されている。
【0004】
特許文献1に記載の電子機器において、ディスプレイモニタ100は、液晶ディスプレイ(LCD)からなり、全体が矩形かつ扁平な形状を有している。ディスプレイモニタ100は、図示しない制御装置による制御に従って、例えばキーやボタン等のオブジェクトまたは各種の情報などを、その表示面に表示する。このディスプレイモニタ100の表示面上には、当該モニタ100とほぼ同じ大きさのタッチパネル400が位置するように組付けられる。
【0005】
タッチパネル400は、例えば透明な樹脂板にマトリクス状のスイッチ回路が形成され、パネル表面が操作者の指先などにより接触されると、その接触位置に応じた検出信号を前記制御装置に出力するように構成されている。つまり、操作者は、タッチパネル400を通して映し出されるディスプレイモニタ100の表示に従って当該パネル400に対して操作を行うことにより、前記電子機器に対して当該表示に応じた各種情報を入力することができる。
【0006】
この電子機器においては、図7に示すように、タッチパネル400の裏面側の上辺(図の奥側)および下辺(図の手前側)に沿って、一対の圧電素子(ピエゾ素子)420が貼り付けられている。タッチパネル400が操作者による接触を検出すると、この電子機器は、前記制御装置から圧電素子420に駆動信号(電圧)を付与する。この駆動信号を受信すると、圧電素子420は伸縮してタッチパネル400を変形(湾曲)させるため、この電子機器は、タッチパネル400の操作面に対して振動を発生させることができる。すなわち、上記操作に伴って、タッチパネル400が振動することにより、操作者は操作感を得ることができるようになっている。
【0007】
なお、この電子機器において、タッチパネル400は、パネル固定用フレーム210を介して前記ディスプレイモニタ100に組付けられている。パネル固定用フレーム210は、ABS等の硬質の樹脂材料から形成されることにより全体が剛性を有した構成となっている。
【0008】
図7に示すように、パネル固定用フレーム210には、前記タッチパネル400をその四隅において保持するホルダ220が組付けられる。図8は、4つのホルダ220のうち1つが、タッチパネル400の隅に取り付けられる様子を示す拡大図である。各ホルダ220には、タッチパネル400の角部を差込み可能なスリット状の差込み部360がそれぞれ形成されている。また、図7に示すように、パネル固定用フレーム210の周囲側面には、各側面それぞれの端部付近に、ホルダ220を固定するための固定孔320が設けられている。そして、図8に示すホルダ220に形成されたフック340aが、図7に示す各固定孔320に差し込まれることにより、各ホルダ220は、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定する。
【0009】
このように、各ホルダ220にタッチパネル400の四隅がそれぞれ差込まれると、各ホルダ220は、タッチパネル400を四隅で外側から拘束するとともに、厚み方向の両側からも拘束した状態で保持する。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400が固定されるように配置することができる。
【0010】
また、ホルダ220は、それぞれ、パネル固定用フレーム210よりも弾性係数の小さい材料から形成されており、例えばシリコン系の樹脂またはゴムにより一体成型されている。このように、ホルダ220は、タッチパネル400を安定的に保持する一方で、タッチパネル400が振動できるように弾性変形可能に構成されている。なお、タッチパネル400とディスプレイモニタ100との間には、タッチパネル400の厚み方向の変位を可能とする隙間が確保される。このため、圧電素子420が振動する際に、当該振動に伴うタッチパネル400の厚み方向の変位が可能となっている。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400を振動させる際に、その振動を大きく妨げることがないようになっているため、タッチパネル400の振動による操作感を良好に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−44497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネルの振動による操作感を良好に確保することができるとともに、タッチパネルが固定されるように配置することができる。
【0014】
ところで、特許文献1に記載の電子機器は、例えば車載用ナビゲーションシステムのディスプレイ装置などを想定しており、電子機器そのものの防塵対策および防水対策は特に施されていない。例えば、図7に示す電子機器を組み立てると、タッチパネル400は、弾性材料のホルダ220の差込み部360に差し込まれた状態で、つまりホルダ220を介して、パネル固定用フレーム210に取り付けられる。これは、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に強固に固定してしまうと、圧電素子420が振動する際に、タッチパネル400が厚み方向に変位せず、タッチパネル400を良好に振動させることができなくなるためである。したがって、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間には、隙間ができることになり、当該隙間から埃や水分が浸入することが多分に想定される。
【0015】
そこで、特許文献1に記載の電子機器において、防塵対策として、例えば、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間に防塵用クッションなどの部材を挿入することも考えられる。しかしながら、このような防塵用クッションは、ある程度圧縮可能な材質を用いたとしても、圧縮後の厚さのぶんだけタッチパネルが湾曲する物理的なスペースを奪ってしまうことになる。したがって、このような構造においては、タッチパネルが振動する際の振幅を稼ぐことができないという問題が生じる。
【0016】
また、特許文献1に示されている電子機器に対して防水を施す場合、外部からの埃や水の浸入を防ぐために、例えば、タッチパネル400と当該タッチパネル400の周囲を覆う部材との間を防水テープで固着するという対策が考えられる。例えば図7に示したように、パネル固定用フレーム210を介してタッチパネル400とディスプレイモニタ100とを組み合わせたものに、さらにカバー500を装着する場合、カバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着することができる。このようにしてカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着すれば、カバー500とタッチパネル400との隙間を埋めることができるため、外部からの水の浸入を防ぐことができる。
【0017】
しかしながら、このようにカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着してしまうと、タッチパネル400が振動する際の振幅を稼ぐことができなくなってしまう。このように、タッチパネル装置に防水対策を施すと、同時にタッチパネルを振動させる際の振幅を減殺してしまうという問題がある。
【0018】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動の減衰を低減させつつ防水および防塵対策を施した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
タッチパネルと、
前記タッチパネルの裏面周縁部に形成されるパネルフレームと、
前記タッチパネルを振動させる振動部と、
前記パネルフレームを支持する凹部を有するとともに前記タッチパネルの表面周縁部を覆う支持部材と、
前記タッチパネルの表面周縁部と前記支持部材との間に介在させた第1の弾性部材と、を備えた電子機器であって、
前記パネルフレームに突起部を形成し、前記突起部の先端に第2の弾性部材を形成し、前記第2の弾性部材を前記凹部に圧入することを特徴とする。
【0020】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記第1の弾性部材は、前記第2の弾性部材よりも弾性変形が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動の減衰を低減させつつ防水性および防塵性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子機器を分解した外観斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るタッチパネルおよびパネルフレームの構成を説明する外観斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタッチパネルおよびパネルフレームの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子機器の組み立て前の部分断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子機器の組み立て後の部分断面図である。
【図7】従来の電子機器の構造を説明する図である。
【図8】従来の電子機器の構造を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、本発明の実施の形態に係る電子機器の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子機器1は、外観上、上部筐体10aと、下部筐体10bと、タッチパネル20と、を備えている。
【0026】
上部筐体10aおよび下部筐体10bは、両者が一体に組み合わさることにより、筐体10を構成する。この上部筐体10aは、両面テープまたは接着剤などを用いて、下部筐体10bに接着する。これら上部筐体10aと下部筐体10bとの間は、これらが一体に組み合わされた状態において、例えばゴム製のパッキンを介した密閉構造にする等しても良い。しかしながら、本発明においては、他の部分において防水および防塵の措置が施されるため、上部筐体10aと下部筐体10bとの間を密閉構造にすることは必須ではない。上部筐体10aおよび下部筐体10bは、例えば樹脂製のケースなどとして、ある程度の衝撃に耐えうる素材により構成するのが好適である。なお、上部筐体10aを下部筐体10bと一体化させた構成にできる場合、上部筐体10aは、下部筐体10bと別部材として設ける必要はない。
【0027】
なお、上部筐体10aは、例えばベゼル等の各種の部材とすることができるが、本明細書においては「上部筐体」と総称する。上部筐体10aをベゼルとする場合、当該上部筐体10aは、例えば金属製、プラスチック製、ABS等の樹脂製などとすることができ、ある程度の強度を有する素材で構成するのが好適である。
【0028】
タッチパネル20は、通常、後述する表示部80の前面に配置して、表示部80に表示したオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等(以下、単に「接触物」と総称する)による接触を、対応するタッチパネル20のタッチ面において検出する。したがって、本実施の形態において、「タッチパネル」とは、例えばLCD等とすることができる表示部80の前面に配置する部材、即ち当該表示部80とは別に設けられる部材を想定して説明する。また、タッチパネル20は、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を制御部(図示せず)に通知する。
【0029】
このタッチパネル20は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の方式により構成されたタッチパネルを用いることができる。なお、タッチパネル20が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチパネル20に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル20が光学式である場合は、タッチパネル20は当該タッチパネル20上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチパネル20に触れることは不要である。
【0030】
上述した表示部80は、例えばキーのような押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)等のオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、タッチパネル20のタッチ面上において接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。この表示部80は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。すなわち、図1に示すタッチパネル20の裏側には、後述のように、LCDなどの表示部80を配置することができる。
【0031】
図2は、図1に示した電子機器1において、上部筐体10aと下部筐体10bとを分離させた状態、すなわち筐体を分解した状態にしてから、さらにタッチパネル20に係る部品も取り外した状態を示す斜視図である。
【0032】
図2に示すように、上部筐体10aは、枠状の部材とし、前面(上面)に窓(開口部)が形成されるようにする。この窓により、電子機器1を組み立てた状態において、操作者は後述の表示部80の表示を外部から視認することができ、さらに操作者はタッチパネル20に接触することができる。なお、下部筐体10b内側の底部には、後述するように、例えばLCDなどの表示部やLCDホルダ、また各種の基板などの種々の部品を設置することができるが、図2においては、そのような部品の図示は省略してある。
【0033】
図2から分かるように、下部筐体10bと上部筐体10aとを組み合わせた状態においては、タッチパネル20は、その裏面側にパネルフレーム22が取り付けられて固定された状態で、下部筐体10bと上部筐体10aとの間に配置される。また、タッチパネル20の前面(表面)側には、枠状の第1の弾性部材70が配置される。図2においては、タッチパネル20および当該タッチパネル20に固定されたパネルフレーム22が、上部筐体10aおよび下部筐体10bからそれぞれ取り外された状態を示している。
【0034】
図2に示すように、タッチパネル20の裏面側にはパネルフレーム22が形成される。パネルフレーム22は、後述するように、タッチパネル20が固定されるパネル受け部と、当該パネル受け部から下方に突出した突起部と、この突起部の下端に形成された弾性部材とを含めて構成される。図2に示すように、下部筐体10bと上部筐体10aとを組み合わせる際には、パネルフレーム22の下端の弾性部材が、下部筐体10bの上面側に形成された凹部12bに圧入された状態で挟持される。以下、タッチパネル20にパネルフレーム22を取り付けたものを、適宜「タッチパネルユニット」と称する。
【0035】
タッチパネル20の前面側に配置される枠状の第1の弾性部材70は、例えばスポンジまたはポロン(商品名)などの、伸縮性を有する柔軟な材料とすることができる。この第1の弾性部材70と、上部筐体10aとの間は、両面テープまたは接着剤により貼り付ける。同様に、第1の弾性部材70と、タッチパネル20との間も、両面テープまたは接着剤により貼り付ける。このように、これらの部材を両面テープまたは接着剤により貼り付けることにより、上部筐体10aとタッチパネル20との間に防塵の処置を施すことができる。
【0036】
さらに、本実施の形態において、第1の弾性部材70と上部筐体10aとの間、および第1の弾性部材70とタッチパネル20との間を、防水両面テープや接着剤により封止することが好ましい。このように、防水両面テープや接着剤により封止することにより、上部筐体10aとタッチパネル20との間に防塵のみならず、さらに防水の処置も施すことができる。
【0037】
図3は、図2に示したタッチパネルユニットをさらに説明する図である。上述したように、図3に示すタッチパネルユニットは、タッチパネル20と、タッチパネル20に固定されたパネルフレーム22と、を備えている。上述したように、タッチパネル20の上面側には枠状の第1の弾性部材70を配置する。
【0038】
なお、図3においては、タッチパネルユニットの構造の理解を容易にするために、タッチパネルユニットの一部を切断した断面を含めた外観を斜視図により示す。すなわち、図3は、図2に示したタッチパネルユニットの手前の縁辺付近の部分を、図2に示したX軸の方向に切断した様子を示す図である。要するに、図3においては、タッチパネルユニットの手前の部分だけが、パネルフレーム22を含め切断された状態を示してある。
【0039】
図3に示すように、パネルフレーム22は、タッチパネル20の裏面の周縁部に形成される。パネルフレーム22は、上述したように、タッチパネル20に取り付けられる箇所においては、当該タッチパネル20を支持するために、平坦なパネル受け部を有するようにする。また、パネルフレーム22は、パネル受け部から下方に突出した突起部が形成されるようにし、さらに、突起部の先端において、下部筐体10bに形成された凹部12bに圧入される弾性部材も形成される。図3において、突起部の先端に形成される弾性部材とは、パネルフレーム22の断面において円形状になっている部分である。
【0040】
図3に示すように、タッチパネル20の裏面には、その上下の縁辺(図の奥側および手前側の辺)付近に、振動部50が取り付けられる。振動部50は、タッチパネル20の裏面に例えば両面テープまたは接着剤などにより接着するのが好適である。この振動部50は、例えば圧電素子で構成し、タッチパネル20を湾曲させることにより振動させる。
【0041】
図3に示した実施の形態においては、振動部50をタッチパネル20の裏面から貼り付けるようにしたが、本発明において、振動部50はタッチパネル20に振動を伝達させるものである。したがって、振動部50は、圧電素子などをタッチパネル20またはパネルフレーム22などの任意の位置に接着するなどして固定し、タッチパネル20を振動させるものとすることもできる。しかしながら、タッチパネル20を良好に振動させることができるように、振動部50は、タッチパネル20の裏面に貼り付けられた圧電素子などとするのが好適である。
【0042】
この振動部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチパネル20のタッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、振動部50は、例えば図示しない制御部から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
【0043】
図4は、図2および図3に示したタッチパネルユニットをより詳細に説明する断面図である。図4は、組み立てた状態のタッチパネルユニットを、図2に示すX軸の方向に切断した様子を示す図である。上述したように、本実施の形態において、タッチパネルユニットは、タッチパネル20と、当該タッチパネル20に固定されたパネルフレーム22で構成される。また、タッチパネルユニットを切断する位置によっては、タッチパネル20の裏面に振動部50が接着されている。なお、図4においては、タッチパネルユニットから第1の弾性部材70を取り外した状態を示してある。
【0044】
図4に示すように、タッチパネル20の裏面側にパネルフレーム22を形成する際には、パネルフレーム22のパネル受け部22aを、タッチパネル20の裏面周縁部に接着する。このように、タッチパネル20にパネルフレーム22を固定する際には、タッチパネル20とパネルフレーム22とを、両面テープまたは接着剤により接着する。パネル受け部22aは、タッチパネル20を接着して固定することができるように、平坦な部分を有している。図4において、このような接着箇所を、密なハッチングを施すことにより示してある。このように、これらの部材を両面テープまたは接着剤により貼り付けることにより、タッチパネル20とパネルフレーム22との間に防塵の処置を施すことができる。
【0045】
さらに、本実施の形態において、タッチパネル20とパネルフレーム22との間を、防水両面テープや接着剤により封止することが好ましい。このように、防水両面テープや接着剤により封止することにより、タッチパネル20とパネルフレーム22との間に防塵のみならず、さらに防水の処置も施すことができる。
【0046】
図4に示すように、パネルフレーム22には、パネル受け部22aから下方に突出するように突起部22bが形成される。これらのパネル受け部22aと突起部22bとは、例えばポリカーボネートなどのような比較的硬質な同一の材料により、一体として形成した部材とするのが好適である。
【0047】
また、パネルフレーム22には、突起部22bの先端に第2の弾性部材22cが形成される。第2の弾性部材22cは、例えばシリコンゴムなどの弾性材料製として、例えばJIS−A硬度50〜60度程度とすることができる。第2の弾性部材22cは、支持部材10bの凹部12bに挟持されることを考慮した形状に形成するのが望ましい。この第2の弾性部材22cは、パネルフレーム22(の突起部22b)と一体成形した部材とするのが好適である。
【0048】
本実施の形態においては、このようにタッチパネルユニットをキット化することにより、当該ユニットを、1つの構成部品として端末製造業者などに販売することができる。また、タッチパネルユニットを採用することにより、端末製造時にタッチパネルに関連する構成部品を取り付ける作業を著しく簡略化することができる。さらに、タッチパネル20が破損した際などに、タッチパネル20を交換修理する場合にも、タッチパネルユニットを交換するだけで事足りるため、修理の際の手間を著しく低減させることもできる。
【0049】
次に、本発明の実施の形態に係る電子機器の内部構成の詳細について説明する。以下、電子機器1の組み立て方を説明することにより、電子機器1の内部構成の詳細について言及する。
【0050】
図5および6は、電子機器1の断面を示す図である。なお、図5および6ともに、電子機器1が左右対称の構成を有する場合の例を説明するため、電子機器1の右側の構成の図示は省略して、左側の構成のみ図示する。また、図5および6ともに、電子機器1を、図2に示したX軸の方向に切断した様子を示す断面図である。なお、図5および6ともに、図2に示したY軸方向の位置として、電子機器1の上端(図の奥端)または下端(図の手前端)の付近を除いた部分の位置において、電子機器1を切断した例を示す図である。
【0051】
図5は、上部筐体10aと下部筐体10bとを組み合わせる前の状態を示す断面図である。図5に示すように、まず、上部筐体10aと下部筐体10bとを組み合わせる前に、下部筐体10bの内側には、各種の基板90および表示部80など、防塵防水されるべき要素を設置しておくようにする。
【0052】
なお、図5においては、下部筐体10bの内部に、LCD等の表示部80、および各種の基板90を示してある。これらの表示部80および基板90は種々の部材を例示したものであり、例えば表示部80または基板90を、当該表示部80を支持する表示部ホルダにしたり、または他の支持部材にするなど、各種の部材とすることができる。また、基板90は、電子機器1の全体を制御する制御部などを含め種々の電子部品を備えた基板など、各種の基板とすることができる。上述したように、本実施の形態においては、一般的なタッチパネルを備えた装置の場合と同様に、図5に示すように、タッチパネル20の背面側(すなわち振動部50が配置された面の側)に表示部80を配置する。
【0053】
下部筐体10bの内側に基板90および表示部80などの要素を設置したら、タッチパネルユニットを下部筐体10bに取り付ける。この際、図5に示すように、パネルフレーム22の第2の弾性部材22cが、下部筐体10bの凹部12bに圧入されることにより挟持されるようにする。
【0054】
下部筐体10bにタッチパネルユニットを取り付けたら、タッチパネル20の前面(上面)に第1の弾性部材70を取り付ける。そして、タッチパネル20に第1の弾性部材70を取り付けたら、下部筐体10bに上部筐体10aを取り付ける。
【0055】
図6は、上部筐体10aと下部筐体10bとを組み合わせた後の状態を示す断面図である。図6に示すように、本実施の形態においては、上部筐体10aと下部筐体10bとを組み合わせた際に、上部筐体10aとタッチパネル20との間に介在させた第1の弾性部材70が多少圧縮された状態になるようにする。このように圧縮されると、第1の弾性部材70は、自らの弾性に起因する復元力によって、タッチパネル20を図の下方に押し下げる。タッチパネル20が図の下方に押し下げられると、パネルフレーム22の第2の弾性部材22cは、下部筐体10bの凹部12bの例えば側壁などに当接するようになる。すなわち、第2の弾性部材22cは、第1の弾性部材70の復元力によって、下部筐体10bの凹部12bに圧入された状態で挟持されるようになる。
【0056】
したがって、本実施の形態においては、第2の弾性部材22cと下部筐体10bとの間は封止されるようになり、当該部分は防塵および防水の措置が施されるようになる。すなわち、仮に上部筐体10aと下部筐体10bとの組み合わせに十分な防塵または防水加工が施されていなかったとしても、タッチパネルユニットと下部筐体10bとの間には、外部からの粉塵や水分などが浸入しないようにできる。また、仮に第1の弾性部材70が充分な防水の効果を奏する部材でなかったとしても、同様に、タッチパネルユニットと下部筐体10bとの間には、外部からの粉塵や水分などが浸入しないようにできる。
【0057】
一方、本実施の形態においては、タッチパネル20と、上部筐体10aおよび下部筐体10bとの間に介在する部材は、第1の弾性部材70およびパネルフレーム22のみである。また、第1の弾性部材70は、上述したように伸縮性を有する柔軟な材料で構成される。さらに、タッチパネル20を支持するパネルフレーム22は、弾性材料製の第2の弾性部材22cによって、下部筐体10bに支持される。したがって、タッチパネル20が振動する際には、第1の弾性部材70および第2の弾性部材22cの弾性によって、タッチパネル20が自由に振動することができるため、振動の減衰を低減させることができる。
【0058】
このように、本実施の形態において、上部筐体10aおよび下部筐体10bは、パネルフレーム22を支持する凹部12bを有するとともに、タッチパネル20の周縁部を覆う。また、第1の弾性部材70は、タッチパネル20の表面周縁部と上部筐体10aとの間に介在させる。さらに、第2の弾性部材22cは、下部筐体10bの凹部12bに圧入されるようにする。これにより、第2の弾性部材22cは、第1の弾性部材70の復元力により下部筐体10bの凹部12bに圧入されて、第2の弾性部材22cと下部筐体10bとの間が封止される。
【0059】
ここで、例えば第1の弾性部材70の弾性係数を第2の弾性部材22cよりも低めにするなど、第1の弾性部材70の方がより柔軟な材料で構成するのが好適である。すなわち、本実施の形態において、第1の弾性部材70は、第2の弾性部材22cより弾性変形が大きくなるようにするのが好適である。このようにすれば、上部筐体10aと下部筐体10bとを組み合わせた状態において、第2の弾性部材22cよりも第1の弾性部材70の方が、圧縮される度合いが大きくなる。これにより、タッチパネル20をより自由に振動させることができ、振動の減衰が一層低減されることが期待できる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。本発明は、タッチパネルユニットを上部筐体および下部筐体で挟むことにより、振動を減衰させずに防塵および防水対策を施すことを主な特徴とするものである。したがって、本発明の構成要素および構成態様については、本明細書において説明した以外にも、種々の構成を採用することができる。例えば、上述した上部筐体10aおよび下部筐体10bならびにパネルフレーム22などは、本発明による効果が得られる限りにおいて、種々の形状とすることができる。例えば、パネルフレーム22の第2の弾性部材22cは、下部筐体10bの凹部12bに挟持されて防水の効果を奏する限り、必ずしも断面を円形状にする必要はなく、例えば下部筐体10bの凹部12bの側壁の形状に適合するような形状とすることもできる。
【0061】
また、上部筐体10aおよび下部筐体10bは、電子機器の本体を構成する筐体を想定して説明した。しかしながら、本発明の筐体は上述した部材に限定されるものではなく、種々の部材とすることができる。
【0062】
上記実施の形態においては、上部筐体10aおよび下部筐体10bが本発明の支持部材を構成する態様について説明した。しかしながら、本発明による支持部材は、第2の弾性部材22cが圧入されることによりパネルフレーム22を支持するとともにタッチパネル20の周縁部を覆う部材であれば任意のものとすることができる。したがって、例えばLCDユニットや各種の基板またはベゼルなど、あるいは上部筐体10aまたは下部筐体10bに形成された他の支持部材など、各種の部材が本発明の支持部材を構成する態様も想定することができる。
【0063】
また、上述した実施の形態においては、タッチパネル20の裏側に配置した表示部80にオブジェクトを表示して、タッチパネル20が操作者の指などによる接触を検出する態様について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば表示部80を有さずに、タッチパネル20のタッチ面上にオブジェクトがインクなどにより直接印刷されているような態様を想定することもできる。このような変形例においては、上述したような構成の表示部80は必須の構成要素ではない。
【0064】
また、上記実施の形態では、タッチパネル20を用いて、当該タッチパネル20のタッチ面に対する接触を検出した。すなわち、上記実施の形態において、「タッチパネル20」は、いわゆるタッチセンサのような部材を想定して説明した。しかしながら、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、操作者の指やスタイラスペンなどの接触物により接触されるものであれば任意のものとすることができる。
【0065】
例えば、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出しない(つまりセンシング機能を有さない)、単なる「パネル」のような部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、タッチパネルに対する押圧を検出する押圧検出部をさらに設けることにより、押圧検出部が検出する押圧に基づいて、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することができる。
【0066】
また、上記実施の形態では、タッチパネル20を用いて、当該タッチパネル20のタッチ面に対する接触を検出した。しかしながら、押圧検出部がタッチパネルに対する押圧を検出して、当該押圧に基づいて、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することもできる。
【0067】
上述のような押圧検出部は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧を検出するもので、例えば、押圧に応じて物理的または電気的な特性(歪み、抵抗、電圧等)が変化する歪みゲージセンサや圧電素子等を任意の個数用いて構成することができる。また、振動部を圧電素子とした場合には、当該圧電素子を押圧検出部としても用いることができる。このような構成を採用して、押圧によるタッチパネルの歪みを検出することにより、当該歪みからタッチパネルに対する押圧を算出するなどの構成を想定することができる。
【0068】
例えば、押圧検出部が圧電素子等を用いて構成された場合、押圧検出部の圧電素子は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧に係る荷重(力)の大きさ(または、荷重(力)の大きさが変化する速さ(加速度))に応じて、電気的な特性である電圧の大きさ(電圧値)が変化する。この場合、押圧検出部は、この電圧の大きさ(電圧値(以下、単にデータと称する))を制御部に通知することができる。制御部は、押圧検出部がデータを制御部に通知することにより、または、制御部が押圧検出部の圧電素子に係るデータを検出することにより、当該データを取得する。つまり、制御部は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧に基づくデータを取得する。すなわち、制御部は、押圧検出部から押圧に基づくデータを取得する。そして、制御部は、押圧に基づくデータが所定の基準を満たした場合に、接触がなされたものと判定し、所定の振動を発生することができる。ここで、上記所定の基準は、表現したい押しボタンスイッチの押圧時の荷重特性に応じて適宜設定することができる。
【0069】
さらに、このような押圧検出部は、タッチパネルにおける接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。
【0070】
また、振動部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチパネル20の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、押圧検出部および振動部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して押圧検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電圧を発生し、電圧が加えられると変形するためである。
【0071】
また、上述したように、振動部50は、押圧検出部も兼ねる圧電素子の電圧の大きさ(電圧値(データ))が所定の基準を満たした際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。ここで、圧電素子の電圧の大きさ(電圧値(データ))が所定の基準を満たした際とは、電圧値(データ)が所定の基準値に達した際であってもよいし、電圧値(データ)が所定の基準値を超えた際でもよいし、所定の基準値と等しい電圧値(データ)が検出された際でもよい。
【0072】
上述した実施の形態においては、タッチパネル20を表示部80の上面に重ねて配置した構成について説明した。本発明による電子機器は、このような構成に限られるものではなく、タッチパネル20と表示部80とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチパネル20を表示部80の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と、操作入力が検出される領域および発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
【0073】
また、上述した実施の形態の説明における表示部80およびタッチパネル20は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
【0074】
なお、振動部50は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいて電子機器を振動させることにより、タッチパネル20を間接的に振動させるように構成してもよいし、タッチパネル20に圧電素子を配設することにより、タッチパネル20を直接的に振動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 電子機器
10a 上部筐体
10b 下部筐体
20 タッチパネル
22 パネルフレーム
22a パネル受け部
22b 突起部
22c 第2の弾性部材
50 振動部
70 第1の弾性部材
80 表示部
90 基板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルの裏面周縁部に形成されるパネルフレームと、
前記タッチパネルを振動させる振動部と、
前記パネルフレームを支持する凹部を有するとともに前記タッチパネルの表面周縁部を覆う支持部材と、
前記タッチパネルの表面周縁部と前記支持部材との間に介在させた第1の弾性部材と、を備えた電子機器であって、
前記パネルフレームに突起部を形成し、前記突起部の先端に第2の弾性部材を形成し、前記第2の弾性部材を前記凹部に圧入することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の弾性部材は、前記第2の弾性部材よりも弾性変形が大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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