説明

電子機器

【課題】機器本体にスライド部材と該スライド部材の移動経路を規定するガイド溝とが設けられた電子機器において、ガイド溝の側面の摩耗を低減させると共に、ガイド溝の幅寸法の縮小を可能にする。
【解決手段】本発明に係る電子機器は、機器本体1を具え、該機器本体1には、その表面に沿ってスライドするスライド部材2が連結され、該スライド部材2は、機器本体1の表面の所定領域を被覆した閉じ位置と、該所定領域を露出させた開き位置との間を往復移動することが可能であり、機器本体1には、スライド部材2の移動経路を規定するガイド溝31が凹設される一方、スライド部材2には、ガイド溝31に対して摺動自在に嵌合される摺動部21が形成されている。ここで、摺動部21とガイド溝31との間には、該ガイド溝31との摩擦係数が摺動部21より小さい介在部材41が介在し、摺動部21と介在部材41とには、これらを互いに係合させる係合機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体の表面に沿ってスライドするスライド部材を具えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器においては、スライド部材は、機器本体の表面の所定領域を被覆した閉じ位置と、該所定領域を露出させた開き位置との間を往復移動することが可能であり、機器本体には、スライド部材の移動経路を規定するガイド溝が凹設される一方、スライド部材には、ガイド溝に対して摺動自在に嵌合される摺動部が形成されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−153811号公報
【特許文献2】特開2002−277928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電子機器においては、例えば、スライド部材は、アルミニウム等の金属によって構成される一方、ガイド溝は、機器本体のシャーシ等を構成する樹脂部分に形成されている。従って、スライド部材のスライドに伴って、ガイド溝の側面が摺動部の金属製のエッジによって削られる等、ガイド溝の側面が摩耗し易かった。
【0005】
ガイド溝の側面の摩耗を防止するべく、上記電子機器において、摺動部とガイド溝の側面との間に該ガイド溝との摩擦係数が小さい部材として樹脂部材を介在させると共に該樹脂部材を摺動部に貼着固定した構成が考えられている。しかしながら、この構成においては、ガイド溝の幅寸法を、樹脂部材と、該樹脂部材を摺動部に貼着固定するための貼着部材(接着剤や接着テープ等)との両部材の厚さ寸法分だけ、摺動部の厚さ寸法より大きくする必要があった。このため、ガイド溝の幅寸法が大きくなって、機器本体を小型化する際の妨げになっていた。又、機器本体の表面においてガイド溝が目立ち易くなり、ユーザに不快感を与える虞があった。
【0006】
更に又、樹脂部材は摺動部に貼着固定されているに過ぎないので、樹脂部材が摺動部上の所定位置からずれる虞や、樹脂部材が摺動部から脱落する虞があった。樹脂部材にずれや脱落が生じると、ガイド溝の側面の摩耗を低減させる対策が失敗に終わることになる。
【0007】
そこで本発明の目的は、機器本体にスライド部材と該スライド部材の移動経路を規定するガイド溝とが設けられた電子機器において、ガイド溝の側面の摩耗を低減させると共に、ガイド溝の幅寸法の縮小を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、機器本体を具え、該機器本体には、その表面に沿ってスライドするスライド部材が連結され、該スライド部材は、機器本体の表面の所定領域を被覆した閉じ位置と、該所定領域を露出させた開き位置との間を往復移動することが可能であり、機器本体には、スライド部材の移動経路を規定するガイド溝が凹設される一方、スライド部材には、ガイド溝に対して摺動自在に嵌合される摺動部が形成されている。ここで、前記摺動部とガイド溝の間には、該ガイド溝との摩擦係数が前記摺動部より小さい介在部材が介在し、摺動部と介在部材とには、これらを互いに係合させる係合機構が設けられている。
【0009】
上記電子機器においては、ガイド溝の側面への摺動部の接触が、ガイド溝との摩擦係数が小さい介在部材によって防止されることになる。ここで、摺動部と介在部材とは、係合機構によって互いに係合されている。従って、介在部材は摺動部上の所定位置からずれ難い。よって、上記電子機器によれば、ガイド溝の側面の摩耗が低減されることになる。
【0010】
又、上記電子機器においては、摺動部と介在部材との間に接着剤や接着テープ等の貼着部材を介在させる必要がない。従って、従来の電子機器に比べて、少なくとも貼着部材の厚さ寸法分だけガイド溝の幅寸法を縮小することが可能となる。よって、上記電子機器によれば、機器本体を小型化することが出来、又、機器本体の表面においてガイド溝が目立ち難くなる。
【0011】
更には、上記電子機器の組み立て工程においては、摺動部をガイド溝に嵌合させる前に、摺動部に介在部材を係合させるだけでよい。従って、従来の電子機器の如く摺動部に介在部材を貼着固定する複雑な作業が必要でなくなる。よって、上記電子機器によれば、組み立て作業の作業性が向上することになる。
【0012】
上記電子機器の具体的構成において、前記係合機構は、前記ガイド溝に沿う方向及びこれに略垂直であって前記ガイド溝の底面から離れる方向へ介在部材が摺動部上の所定位置からずれることを阻止するものである。
【0013】
上記電子機器の他の具体的構成において、前記スライド部材は、少なくとも摺動部が金属から構成される一方、前記機器本体は、その少なくとも一部分が樹脂から構成されており、機器本体の樹脂部分に前記ガイド溝が形成されている。
【0014】
金属製の摺動部がガイド溝の側面に接触していたとすれば、ガイド溝の側面が摺動部のエッジによって削られる等、ガイド溝の側面が摩耗し易い。これに対し、上記電子機器においては、ガイド溝の側面への摺動部の接触が介在部材によって防止されている。そして、ガイド溝の側面には介在部材が接触することになる。ここで、介在部材は、ガイド溝との摩擦係数が摺動部より小さい。従って、ガイド溝の側面は、これに金属製の摺動部が接触した場合に比べて摩耗し難い。
【0015】
上記電子機器の更なる他の具体的構成において、前記介在部材は、樹脂から形成された樹脂部材である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子機器によれば、ガイド溝の側面の摩耗が低減されると共に、ガイド溝の幅寸法の縮小が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラを、その前面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、該デジタルカメラを、その背面側から見た斜視図である。
【図3】図3は、該デジタルカメラが具えるスライド部材について、その閉じ位置の説明に用いられる斜視図である。
【図4】図4は、該デジタルカメラの機器本体に凹設された第1ガイド溝を示した斜視図である。
【図5】図5は、図1に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図6】図6は、図5に示されるB領域の拡大図である。
【図7】図7は、図5に示されるC領域の拡大図である。
【図8】図8は、上記スライド部材を、その背面側から見た斜視図である。
【図9】図9は、図8に示されるD領域の拡大図である。
【図10】図10は、図9に示される第1摺動部及び第1樹脂部材の分解斜視図である。
【図11】図11は、上記スライド部材を、その背面側から図8とは異なる角度で見た斜視図である。
【図12】図12は、図11に示されるE領域の拡大図である。
【図13】図13は、図12に示される第2摺動部及び第2樹脂部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をデジタルカメラに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラを、その前面側から見た斜視図であり、図2は、該デジタルカメラを、その背面側から見た斜視図である。図1に示す様に、本実施形態のデジタルカメラは、縦方向に長く延びた機器本体(1)を具え、該機器本体(1)の前面(101)には、その上部領域に光学レンズ(11)とフラッシュランプ(12)とが配備されている。又、図2に示す様に、機器本体(1)の背面(102)には、その上部領域に液晶表示パネル(13)が配備される一方、該背面(102)の下部領域には操作ボタン(14)が配備されている。
【0019】
図1に示す様に、機器本体(1)には、その前面(101)に沿って上下にスライドするスライド部材(2)が連結されている。ここで、スライド部材(2)は、厚さ寸法の小さい金属板から構成されており、機器本体(1)の前面(101)に沿った形状を有している。又、スライド部材(2)は、その左右両端部(201)(202)がそれぞれ、機器本体(1)の左側面(103)及び右側面(104)上へ回り込んでいる。
【0020】
そして、スライド部材(2)は、図3に示す如く機器本体(1)の前面(101)の上部領域を被覆した閉じ位置と、図1に示す如く該上部領域を露出させた開き位置との間を往復移動することが可能である。スライド部材(2)が閉じ位置に設定されることにより、図3に示す様に、光学レンズ(11)がスライド部材(2)の背面側に隠れる一方、スライド部材(2)が開き位置に設定されることにより、図1に示す様に、光学レンズ(11)が機器本体(1)の前面(101)に現れる。
【0021】
図5は、図1に示されるA−A線に沿う断面図である。又、図6及び図7はそれぞれ、図5に示されるB領域及びC領域の拡大図である。図5〜図7に示す様に、機器本体(1)には、その左側面(103)と右側面(104)にそれぞれ、スライド部材(2)の移動経路を規定する第1ガイド溝(31)と第2ガイド溝(32)が凹設されている。具体的には、第1ガイド溝(31)は、図4に示す如く機器本体(1)の左側面(103)を上下に延びる一方、第2ガイド溝(32)は、図1及び図3に示す如く機器本体(1)の右側面(104)を上下に延びている。
【0022】
ここで、図5に示す様に、機器本体(1)の外周面を形成するケース(15)は、金属製の前面側ケース半体(151)と樹脂製の背面側ケース半体(152)とを樹脂製のシャーシ(153)に取り付けて構成されている。そして、図6及び図7に示す様に、機器本体(1)の左側面(103)と右側面(104)にはそれぞれ、樹脂製のシャーシ(153)の一部が露出しており、該シャーシ(153)の露出部分にそれぞれ第1ガイド溝(31)及び第2ガイド溝(32)が形成されている。
【0023】
一方、スライド部材(2)には、その左端部(201)を屈曲変形させることにより、第1ガイド溝(31)に対して摺動自在に嵌合される第1摺動部(21)が形成されている。更に、スライド部材(2)には、その右端部(202)を屈曲変形させることにより、第2ガイド溝(32)に対して摺動自在に嵌合される第2摺動部(22)が形成されている。
【0024】
図6に示す様に、第1ガイド溝(31)を形成する前後一対の側面(311)(312)の内、前側の側面(311)と、第1摺動部(21)との間には、樹脂から形成された第1樹脂部材(41)が介在し、第1摺動部(21)と第1樹脂部材(41)とには、これらを互いに係合させる係合機構が設けられている。ここで、第1樹脂部材(41)は、第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)に接したときの摩擦係数が第1摺動部(21)より小さい部材である。
【0025】
又、図7に示す様に、第2ガイド溝(32)を形成する前後一対の側面(321)(322)の内、前側の側面(321)と、第2摺動部(22)との間には、樹脂から形成された第2樹脂部材(42)が介在し、第2摺動部(22)と第2樹脂部材(42)とには、これらを互いに係合させる係合機構が設けられている。ここで、第2樹脂部材(42)は、第2ガイド溝(32)の前側の側面(321)に接したときの摩擦係数が第2摺動部(22)より小さい部材である。
【0026】
図8は、スライド部材(2)を、その背面側から見た斜視図である。そして、図9は、図8に示されるD領域の拡大図であり、図10は、図9に示される第1摺動部(21)及び第1樹脂部材(41)の分解斜視図である。図9及び図10に示す様に、第1摺動部(21)には一対の係合部(210)(210)が突設される一方、第1樹脂部材(41)には、第1摺動部(21)の各係合部(210)が係合する係合受け部(410)が凹設されている。従って、第1摺動部(21)の各係合部(210)が、これに対応する第1樹脂部材(41)の係合受け部(410)に係合することにより、第1ガイド溝(31)に沿う方向へ第1樹脂部材(41)が第1摺動部(21)上の所定位置からずれることが阻止されることになる。尚、第1摺動部(21)の各係合部(210)は、第1摺動部(21)の先端(211)に設けられた舌片をL字状に屈曲変形させることにより形成されている。
【0027】
又、図9に示す様に、第1樹脂部材(41)は、これを第1摺動部(21)に係合させたときに該第1樹脂部材(41)の一部が第1摺動部(21)の先端(211)に当接することとなる形状を有している。従って、第1摺動部(21)の各係合部(210)が、これに対応する第1樹脂部材(41)の係合受け部(410)に係合することにより、第1摺動部(21)の先端(211)に第1樹脂部材(41)が当接し、これによって、第1ガイド溝(31)に沿う方向に対して略垂直であって第1ガイド溝(31)の底面から離れる方向へ第1樹脂部材(41)が第1摺動部(21)上の所定位置からずれることが阻止されることになる。
【0028】
斯くして、第1摺動部(21)の各係合部(210)と、該係合部(210)に係合する第1樹脂部材(41)の係合受け部(410)とから、第1摺動部(21)と第1樹脂部材(41)とを互いに係合させる係合機構が構成されている。
【0029】
図11は、スライド部材(2)を、その背面側から図8とは異なる角度で見た斜視図である。そして、図12は、図11に示されるE領域の拡大図であり、図13は、図12に示される第2摺動部(22)及び第2樹脂部材(42)の分解斜視図である。図12及び図13に示す様に、第2樹脂部材(42)には一対の係合部(420)(420)が突設される一方、第2摺動部(22)には、第2樹脂部材(42)の各係合部(420)が係合する係合受け部(220)が凹設されている。従って、第2樹脂部材(42)の各係合部(420)が、これに対応する第2摺動部(22)の係合受け部(220)に係合することにより、第2ガイド溝(32)に沿う方向へ第2樹脂部材(42)が第2摺動部(22)上の所定位置からずれることが阻止されることになる。
【0030】
又、図13に示す様に、第2樹脂部材(42)の各係合部(420)には、その上下両端面にそれぞれ突起(421)(421)が形成される一方、該係合部(420)に対応する第2摺動部(22)の係合受け部(220)には、その内面に、係合部(420)と係合受け部(220)とが互いに係合したときに各突起(421)が嵌合することとなる凹部(221)が形成されている。従って、第2樹脂部材(42)の各係合部(420)が、これに対応する第2摺動部(22)の係合受け部(220)に係合することにより、各突起(421)がこれに対応する凹部(221)に嵌合し、これによって、第2ガイド溝(32)に沿う方向に対して略垂直であって第2ガイド溝(32)の底面から離れる方向へ第2樹脂部材(42)が第2摺動部(22)上の所定位置からずれることが阻止されることになる。
【0031】
斯くして、第2樹脂部材(42)の各係合部(420)と、該係合部(420)に係合する第2摺動部(22)の係合受け部(220)とから、第2摺動部(22)と第2樹脂部材(42)とを互いに係合させる係合機構が構成されている。
【0032】
上記デジタルカメラにおいて、スライド部材(2)の背面には、図8に示す様に、組み立て状態にて該背面と機器本体(1)の前面(101)との間に介在することとなる摺動シート(5)が貼着固定されている。従って、スライド部材(2)が閉じ位置と開き位置との間をスライドしたとき、摺動シート(5)は、スライド部材(2)の背面と機器本体(1)の前面(101)との間に介在した状態で、該前面(101)上を摺動することになる。よって、スライド部材(2)の背面が機器本体(1)の前面(101)に接触することがなく、従って、機器本体(1)の前面(101)が摩耗し難くなっている。
【0033】
又、この構成によれば、摺動シート(5)の厚さ寸法分だけ、第1摺動部(21)が第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)に近づき、又、第2摺動部(22)が第2ガイド溝(32)の前側の側面(321)に近づくことになる。従って、第1摺動部(21)と第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)とによって第1樹脂部材(41)の一部が挟まれ、又、第2摺動部(22)と第2ガイド溝(32)の前側の側面(321)とによって第2樹脂部材(42)の一部が挟まれることになる。これにより、第1摺動部(21)と第1樹脂部材(41)、並びに第2摺動部(22)と第2樹脂部材(42)は、これらの係合が、組み立て状態において解除され難い状態となっている。
【0034】
上記デジタルカメラにおいては、第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)への第1摺動部(21)の接触が第1樹脂部材(41)によって防止されることになる。そして、第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)には第1樹脂部材(41)が接触することになる。従って、第1ガイド溝(31)の側面(311)は、これに金属製の第1摺動部(21)が接触した場合に比べて摩耗し難い。
【0035】
ここで、第1摺動部(21)と第1樹脂部材(41)とは、係合機構によって互いに係合されており、これらの係合は、組み立て状態において解除され難い状態となっている。これにより、第1樹脂部材(41)は第1摺動部(21)上の所定位置からずれることがなく、従って、スライド部材(2)がスライドした場合でも、第1樹脂部材(41)は、第1摺動部(21)上の所定位置に確実に留まることになる。よって、上記デジタルカメラによれば、第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)の摩耗が確実に低減されることになる。
同様の理由により、第2ガイド溝(32)の前側の側面(321)の摩耗が、第2樹脂部材(42)によって確実に低減されることになる。
【0036】
又、上記デジタルカメラにおいては、第1摺動部(21)と第1樹脂部材(41)との間、並びに第2摺動部(22)と第2樹脂部材(42)との間に、接着剤や接着テープ等の貼着部材を介在させる必要がない。従って、従来の電子機器に比べて、少なくとも貼着部材の厚さ寸法分だけ第1ガイド溝(31)及び第2ガイド溝(32)の幅寸法をそれぞれ縮小することが可能となる。よって、上記デジタルカメラによれば、機器本体(1)を小型化することが出来、又、機器本体(1)の表面において第1ガイド溝(31)及び第2ガイド溝(32)が目立ち難くなる。
【0037】
更には、上記デジタルカメラの組み立て工程においては、第1摺動部(21)を第1ガイド溝(31)に嵌合させる前に、第1摺動部(21)に第1樹脂部材(41)を係合させるだけでよい。又、第2摺動部(22)を第2ガイド溝(32)に嵌合させる前に、第2摺動部(22)に第2樹脂部材(42)を係合させるだけでよい。従って、従来の電子機器の如く摺動部に樹脂部材を貼着固定する複雑な作業が必要でなくなる。よって、上記デジタルカメラによれば、組み立て作業の作業性が向上することになる。
【0038】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、第1樹脂部材(41)の一部を、第1摺動部(21)と第1ガイド溝(31)の底面及び/又は後側の側面(312)との間に介在させてもよい。これにより、第1ガイド溝(31)の底面及び/又は後側の側面(312)への第1摺動部(21)の接触までもが、第1樹脂部材(41)によって防止されることになる。同様に、第2樹脂部材(42)の一部を、第2摺動部(22)と第2ガイド溝(32)の底面及び/又は後側の側面(322)との間に介在させてもよい。これにより、第2ガイド溝(32)の底面及び/又は後側の側面(322)への第2摺動部(22)の接触までもが、第2樹脂部材(42)によって防止されることになる。
【0039】
上記デジタルカメラにおいて、第1ガイド溝(31)の前側の側面(311)と第1摺動部(21)との間には、第1樹脂部材(41)に限らず、種々の介在部材が介在していてもよい。又、第2ガイド溝(32)の前側の側面(321)と第2摺動部(22)との間には、第2樹脂部材(42)に限らず、種々の介在部材が介在していてもよい。更に、これらの介在部材には、樹脂部材に限らず、第1ガイド溝(31)又は第2ガイド溝(32)に接したときの摩擦係数が第1摺動部(21)又は第2摺動部(22)より小さい部材(滑り易い部材)であれば、例えば金属部材を採用することも可能である。
【0040】
上記デジタルカメラに採用した各種構成は、スライド部材(2)が機器本体(1)の表面に沿って所定方向へ(例えば左右に)スライドするデジタルカメラにも適用することが出来る。又、上記デジタルカメラに採用した各種構成は、機器本体の表面に沿ってスライドするスライド部材を具えた種々の電子機器に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0041】
(1) 機器本体
(101) 前面
(102) 背面
(103) 左側面
(104) 右側面
(11) 光学レンズ
(15) ケース
(151) 前面側ケース半体
(152) 背面側ケース半体
(153) シャーシ
(2) スライド部材
(201) 左端部
(202) 右端部
(21) 第1摺動部
(210) 係合部
(211) 先端
(22) 第2摺動部
(220) 係合受け部
(221) 凹部
(31) 第1ガイド溝
(311) 前側の側面
(312) 後側の側面
(32) 第2ガイド溝
(321) 前側の側面
(322) 後側の側面
(41) 第1樹脂部材(介在部材)
(410) 係合受け部
(42) 第2樹脂部材(介在部材)
(420) 係合部
(421) 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体を具え、該機器本体には、その表面に沿ってスライドするスライド部材が連結され、該スライド部材は、機器本体の表面の所定領域を被覆した閉じ位置と、該所定領域を露出させた開き位置との間を往復移動することが可能であり、機器本体には、スライド部材の移動経路を規定するガイド溝が凹設される一方、スライド部材には、ガイド溝に対して摺動自在に嵌合される摺動部が形成されている電子機器において、
前記摺動部とガイド溝との間には、該ガイド溝との摩擦係数が前記摺動部より小さい介在部材が介在し、摺動部と介在部材とには、これらを互いに係合させる係合機構が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記係合機構は、前記ガイド溝に沿う方向及びこれに略垂直であって前記ガイド溝の底面から離れる方向へ介在部材が摺動部上の所定位置からずれることを阻止するものである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記スライド部材は、少なくとも摺動部が金属から構成される一方、前記機器本体は、その少なくとも一部分が樹脂から構成されており、機器本体の樹脂部分に前記ガイド溝が形成されている請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記介在部材は、樹脂から形成された樹脂部材である請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−22117(P2012−22117A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159493(P2010−159493)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】