説明

電子機器

【課題】コストを抑えつつ、筐体内のスペースの利用効率を高める。
【解決手段】カバー部30を複数枚のカバーパネル31、32から構成する場合において、カバーパネル31、32を、防水性を有した粘着テープ43Aにより連結するようにした。これにより、カバーパネル31、32の継ぎ目の部分において、防水性を確実に確保する。カバーパネル31、32は制御基板50上の電子部品52の実装領域Aを覆うように設けられている。そして、カバーパネル31、32を接続する粘着テープ43Aは、プリント基板本体51およびその表面に実装された電子部品52との間に間隙をあけて位置するよう設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末をはじめとする各種通信端末や、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、音楽再生機器、等の携帯電子端末、その他の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末をはじめとする各種通信端末や、PDA、デジタルカメラ、音楽再生機器、等の携帯電子端末、その他の電子機器において、複数枚のカバーパネルを並べて設置することで筐体の一表面を形成することがある。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された従来の電子機器を示す分解図である。この特許文献1には、複数枚のカバーパネル70,71を固定するため、筐体内に設けた金属フレーム板72上に両面貼着部材73の一面を貼り付け、この両面貼着部材73の他面を、互いに隣接するカバーパネル70,71の継ぎ目に貼り付ける構成が開示されている。
この構成によれば、互いに隣接するカバーパネル70,71どうしの継ぎ目において、両面貼着部材73が、継ぎ目の一方の側のカバーパネル70と他方の側のカバーパネル71を跨ぐように貼り付けられることで、この継ぎ目の部分における防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−130581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された構成では、両面貼着部材は、継ぎ目の部分において互いに隣接するカバーパネルのそれぞれに一面を貼り付け、金属フレーム板に他面を貼り付けているため、両面貼着部材が貼り付けられた領域には、電子部品等を配置することができない。したがって、筐体内のスペースの利用に制限が生じることとなる。
【0006】
また、継ぎ目の部分の一方の側と他方の側とを電気回路上で接続するには、配線やフレキシブルプリント基板等で双方を電気的に接続する必要がある。これにより、部品点数が増加し、コスト増加に繋がるので好ましくない。
そこでなされた本発明の目的は、コストを抑えつつ、筐体内のスペースの利用効率を高めることのできる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の電子機器は、筐体の内部に配置され、電子部品が実装された回路基板と、筐体の外表面の少なくとも一面に配置され、回路基板を覆うカバー部と、カバー部の外周輪郭部を支持するカバー支持枠と、を備え、カバー部は、当該カバー部の一部を形成する第一のカバーと、第一のカバーの端部に隣接して配置され、カバー部の他部を形成する第二のカバーと、第一のカバーの端部と第二のカバーの端部とを跨ぐよう設けられ、回路基板との間に電子部品が実装可能な間隙を隔てた防水材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第一のカバーの端部と第二のカバーの端部との隙間を塞ぐ防水材が、回路基板との間に電子部品が実装可能な間隙を隔てて設けられている。これにより、第一のカバーの端部と第二のカバーの端部との継ぎ目の部分であっても、カバー部と回路基板との間に、電子部品等を実装するスペースが確保できる。しかもこのような構成は、防水材があれば実現できるため、低コストで筐体内のスペースの利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態にかかる筐体の構成を示す斜視展開図である。
【図2】図1に示した筐体の断面図である。
【図3】第2の実施形態にかかる筐体の構成を示す斜視展開図である。
【図4】図3に示した筐体の断面図である。
【図5】筐体を組み立てるときの構成を示す図である。
【図6】特許文献1に記載された従来の電子機器を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明による携帯電子機器を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1、図2に示すように、携帯電子端末(電子機器)10Aの筐体11は、矩形のパネル状で、その一面側がモニタ部20とされ、他面側がカバー部30とされている。なお、筐体11の一端には、ヒンジ11aを介し、操作キーを備えた図示しない操作筐体が回動自在に連結される。携帯電子端末10Aが、モニタ部20をタッチすることにより操作がなされるタッチパネル式である場合には、筐体11単独で携帯電子端末10Aを構成することもできる。
【0011】
図2に示すように、筐体11は、筐体11の外周形状に沿った環状の枠体(カバー支持枠)12を備えている。
枠体12の内側面には、内周側に突出する部材保持部13が形成されている。部材保持部13には、モニタ部20側とカバー部30側に、部材保持面13a、13bが形成されている。また、部材保持部13の内側面には、筐体11の厚さ方向の中間部に、周方向に連続する保持溝13cが形成されている。
【0012】
筐体11は、その強度を確保するベース部材として機能するとともに、電気的な接地部、熱を放熱するヒートシンクとして機能する金属プレート14を備えている。この金属プレート14は、部材保持部13の保持溝13cに、その外周部が嵌め込まれ、これによって金属プレート14が枠体12と一体化されている。
【0013】
金属プレート14の一面側には、モニタ部20を構成する液晶ディスプレイユニット21が実装されている。
この液晶ディスプレイユニット21を覆うように、透過性を有したガラス等からなる透過パネル22が設けられている。透過パネル22は、その外周部が、防水性を有した両面粘着テープ40等により、枠体12の部材保持面13aに貼り付けられている。
【0014】
金属プレート14の他面側には、制御基板50が実装されている。制御基板50は、プリント基板本体(回路基板)51と、プリント基板本体51の表面上に実装された各種の電子部品52とから構成される。ここで、プリント基板本体51は、電子部品52の実装面とは反対側の面を、金属プレート14に突き合わせた状態で設けられている。
【0015】
図1、図2に示したように、カバー部30は、複数枚(本実施形態では2枚)のカバーパネル31、32から構成されている。本実施形態において、一方のカバーパネル(第一のパネル)31は金属製とされ、他方のカバーパネル(第二のパネル)32は樹脂製とされている。
図1に示すように、これらのカバーパネル31、32は、それぞれ矩形で、その境界が、カバー部30全体において、互いに対向する長辺30a、30bどうしを結ぶ境界線Lに沿うよう設けられている。これにより、カバー部30は、一方のカバーパネル31と他方のカバーパネル32とにより、その長手方向に沿って二つに分割されている。
【0016】
これらのカバーパネル31、32は制御基板50上の電子部品52の実装領域Aを覆うように設けられている。そして、樹脂製のカバーパネル32は、制御基板50上に実装された通信用アンテナ(図示無し)を覆うよう配置されている。これにより、アンテナで送受信する電波がカバーパネル32を透過可能となっている。
【0017】
カバーパネル31において境界線Lに沿った端部31aには、筐体11の外方に面した側に、境界線Lに沿った方向に延びる段部31bが形成されている。これに対し、カバーパネル32は、筐体11の外方に面した側に、境界線Lに沿った方向に連続し、段部31bに噛み合う形状の凸部32bが形成されている。
【0018】
そして、これらのカバーパネル31、32は、枠体12の部材保持面13b上に三辺がそれぞれ位置し、防水性を有した両面粘着テープ41等により固定されている。
また、一方のカバーパネル31と、他方のカバーパネル32とが、境界線Lに沿って突き合わせされた部分では、電子部品52の実装領域Aに臨む側(筐体11の内部空間側)において、防水性を有した粘着テープ(防水材)43Aにより連結されている。すなわち、粘着テープ43Aは、カバーパネル31、32の境界線Lに沿って延びる帯状で、カバーパネル31において境界線Lに沿った端部31aに幅方向一方の側が接着され、カバーパネル32において境界線Lに沿った端部32aに幅方向他方の側が接着されている。これにより、カバーパネル31とカバーパネル32の継ぎ目の部分は、粘着テープ43Aにより覆われ、この部分における防水性が確保されている。
なお、図1に示したように、両面粘着テープ41と粘着テープ43Aは、これらを一体に形成した両面粘着テープ部材45により形成されている。これにより、筐体11の内部空間はその全周に亘って防水性が確保されている。
【0019】
ここで、前述したように、カバーパネル31、32は制御基板50上の電子部品52の実装領域Aを覆うように設けられている。そして、カバーパネル31、32を接続する粘着テープ43Aは、プリント基板本体51およびその表面に実装された電子部品52との間に間隙をあけて位置するよう設けられている。すなわち、粘着テープ43Aの下方には、筐体11の梁(または隔壁)が設けられていない。
【0020】
上述したような構成によれば、カバー部30を複数枚のカバーパネル31、32から構成する場合において、カバーパネル31、32を、電子部品52の実装領域Aに臨む側(筐体11の内部空間側)において、防水性を有した粘着テープ43Aにより連結するようにした。これにより、カバーパネル31、32の継ぎ目の部分において、防水性を確実に確保することができる。
このとき、カバーパネル31、32は制御基板50上の電子部品52の実装領域Aを覆うように設けられている。そして、カバーパネル31、32を接続する粘着テープ43Aは、プリント基板本体51およびその表面に実装された電子部品52との間に間隙をあけて位置するよう設けられている。これにより、カバーパネル31、32およびこれらを接続する粘着テープ43Aとプリント基板本体51との間の実装領域Aに各種の電子部品52を配置することが可能となり、電子部品52の配置の自由度を高めるとともに、筐体11内のスペースの有効利用を図ることができる。
さらに、カバーパネル31に対向した領域と、カバーパネル32に対向した領域とを連通させるために別途配線やプリント配線基板が必要なわけでもなく、部品点数の増加、コスト増加を招くことなく、低コストで上記効果を得ることができる。
【0021】
また、段部31bと凸部32bを互いに噛み合わせることで、カバーパネル31、32の隙間からは粘着テープ43Aが外部に露出せず、外部から突起物が粘着テープ43Aに突き刺さるのを防ぐことができる。また、段部31bと凸部32bとが噛み合うことで、カバーパネル31、32からなるカバー部30の剛性を高め、外圧により撓むのを防ぐことができる。
【0022】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る携帯電子機器の第2の実施形態について説明する。
ここでは、上述の第1の実施形態で示した構成との差異を中心に説明し、上述の第1の実施形態で示した構成と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
【0023】
図3、図4に示す本実施形態の携帯電子端末(電子機器)10Bは、一方のカバーパネル31と他方のカバーパネル32とが境界線Lに沿って突き合わせされた部分が、電子部品52の実装領域Aに臨む側(筐体11の内部空間側)において、防水性を有した両面粘着テープ(防水材)43Bにより連結されている。すなわち両面粘着テープ43Bは、カバーパネル31、32の境界線Lに沿って延びる帯状で、カバーパネル31において境界線Lに沿った端部31aに幅方向一方の側が接着され、カバーパネル32において境界線Lに沿った端部32aに幅方向他方の側が接着されている。これにより、カバーパネル31とカバーパネル32の継ぎ目の部分は両面粘着テープ43Bにより覆われ、この部分における防水性が確保されている。
【0024】
そして、この両面粘着テープ43Bにおいて、電子部品52の実装領域Aに臨む側(筐体11の内部空間側)には、補強プレート60が貼り付けられている。
この補強プレート60には、プリント基板本体51の電子部品52に対向する位置に、電子部品52との干渉を防ぐため開口部61が形成されている。
【0025】
このような構成においては、一方のカバーパネル31と他方のカバーパネル32とが、両面粘着テープ43Bにより接続され、さらに、両面粘着テープ43Bが補強プレート60により補強されている。これにより、図5に示すように、筐体11の組み立て現場において、両面粘着テープ43Bにより、予めカバーパネル31、32にどうしを連結した状態としたときに、補強プレート60によって、カバーパネル31、32が境界線Lの部分で折れ曲がるのを防ぐことができる。
【0026】
(その他の実施形態)
なお、本発明の携帯電子機器は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、携帯電子端末10A,10Bの筐体11の各部構成は、適宜他の構成とすることができる。
また、上述の実施形態では、カバーパネル31を金属製としたが、これに限るものではなく、カバーパネル32と同様の樹脂製をはじめ、適宜材料を用いても良い。
また、カバーパネル31、32の境界線は、他のいかなる位置、形状で設けても良い。
さらに、上記した携帯電子端末10A、10Bに限らず、他の様々な電子機器にも本発明を同様に適用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0027】
また、本発明に係る防水材としては、本実施形態の両面粘着テープに代えて、接着剤を用いることもできる。
また、カバー部30を二つに分割する態様は、本実施形態のように長手方向に沿って二つに分割するだけでなく、種々の態様での分割が可能である。例えば、額縁形状の外側部材と、その内側空間に嵌合する形状の内側部材とに二分割する態様や、ドーナツ形状の外側部材と、その内側空間に嵌合する形状の内側部材とに二分割する態様が挙げられる。
更に、本実施形態ではカバー部30を2枚のカバーパネル31,32により構成したが、カバーパネルの枚数は2枚に限定されず、3枚以上のカバーパネルによってカバー部30を構成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10A、10B 携帯電子端末(電子機器)
11 筐体
11a ヒンジ
12 枠体(カバー支持枠)
13 部材保持部
13a 部材保持面
13b 部材保持面
13c 保持溝
14 金属プレート
20 モニタ部
21 液晶ディスプレイユニット
22 透過パネル
30 カバー部
30a 長辺
30b 長辺
31 カバーパネル(第一のパネル)
31a 端部
31b 段部
32 カバーパネル(第二のパネル)
32a 端部
32b 凸部
40 両面粘着テープ
41 両面粘着テープ
43A 粘着テープ(防水材)
43B 両面粘着テープ(防水材)
45 両面粘着テープ部材
50 制御基板
51 プリント基板本体(回路基板)
52 電子部品
60 補強プレート
61 開口部
A 実装領域
L 境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配置され、電子部品が実装された回路基板と、
前記筐体の外表面の少なくとも一面に配置され、前記回路基板を覆うカバー部と、
前記カバー部の外周輪郭部を支持するカバー支持枠と、を備え、
前記カバー部は、
当該カバー部の一部を形成する第一のカバーと、
前記第一のカバーの端部に隣接して配置され、前記カバー部の他部を形成する第二のカバーと、
前記第一のカバーの端部と前記第二のカバーの端部とを跨ぐよう設けられ、前記回路基板との間に前記電子部品が実装可能な間隙を隔てた防水材と、
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第一のカバーと前記第二のカバーとは、前記カバー部を長手方向に分割する位置の線分を境界として互いに隣接することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第一のカバー部の端部と前記第二のカバーの端部とを跨ぐよう設けられ、前記防水材に積層して設けられた補強プレートをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第一のカバーと前記第二のカバーは互いに材質が異なり、かつ、前記第二のカバーは樹脂材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第一のカバーは、前記回路基板上の電子部品配置領域を覆い、前記第二のカバーは、前記回路基板上に設けられた通信用アンテナを覆うよう設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115615(P2013−115615A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260087(P2011−260087)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】