説明

電子機器

【課題】外部接続配線との接続部をカバーすることできる防水、防塵性を有する電子機器を提供する。
【解決手段】筺体20に凹設された収容部30と、該収容部30に配備され、外部接続配線を接続可能な接続部と、前記収容部を覆う着脱可能なカバー70と、を具えた電子機器において、前記収容部30の周縁には、筺体20から突設された周壁32を有し、該周壁32には、収容部30と外部とを連通する第1溝40,42が凹設され、該第1溝40,42の両端には第1溝40,42の両側からカバー70に向けて延びる配線押え突起44,44を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続配線との接続部を水や埃などから保護することのできる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの電子機器では、電源コードやその他の外部接続配線と接続するためのソケットなどの接続部が筺体の外面に設けられている。
【0003】
接続部に水や埃が付着すると機器の動作不良が生じることがあるため、これらの防水、防塵する必要がある。特に屋外で使用される電子機器では屋内に比して防水、防塵性を高めることが求められている。
【0004】
そこで、特許文献1では、接続部を筺体の裏面に凹設し、外側からカバーにて包囲すると共に、水が外部接続配線を伝って接続部に侵入しないように、外部接続配線が下向きに延出されるように案内している。
【0005】
上記特許文献1では、外部接続配線が筺体外部から接続部に上手く案内されるように、筺体側及びカバー側に夫々半円状の溝を形成し、筺体側の溝に外部接続配線を載せた状態でカバー側の溝を位置合わせしつつカバーを嵌めることで、筺体とカバーにより外部接続配線を位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−102828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、外部接続配線を接続部に接続した状態で筺体側の溝に載せたときに、外部接続配線の可撓性や接続時の捻れなどにより、カバーで押さえる前に外部接続配線が溝から飛び出してしまい、カバーを上手く取り付けられないことがあった。
【0008】
本発明の目的は、外部接続配線との接続部をカバーすることできる防水、防塵性を有する電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、
筺体の周面に凹設された収容部と、
該収容部に配備され、外部接続配線を接続可能な接続部と、
前記収容部を覆う着脱可能なカバーと、
を具えた電子機器において、
前記収容部の周縁には、筺体から突設された周壁を有し、
該周壁には、収容部と外部とを連通する第1溝が凹設され、
該第1溝の両端には第1溝の両側からカバーに向けて延びる配線押え突起を形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子機器によれば、外部接続配線を接続部に接続した状態で、外部接続配線を第1溝に案内したときに、配線押え突起により配線が第1溝から飛び出すことを阻止できる。
従って、カバーを取り付けるまでの間、外部接続配線を第1溝に留めておくことができるから、カバーの取付けを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明を適用することのできる一実施例の電子機器の斜視分解図である。
【図2】図2は、収容部とカバーの分解斜視図である。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿う断面図である。
【図4】図4は、図2の線4−4に沿う断面図である。
【図5】図5は、外部接続配線を通した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
なお、以下では、電子機器として液晶表示装置(10)に適用した実施例について説明するが、電子機器は液晶表示装置(10)に限定されるものではない。
【0013】
図1は、液晶表示装置(10)の分解斜視図である。図に示すように、液晶表示装置(10)は、液晶表示パネルを前面に有する液晶ユニット(12)と液晶ユニット(12)の各種制御を行なう電子部品ユニット(14)を筺体(20)により包囲して構成される。
【0014】
筺体(20)は、液晶表示パネル(図示せず)を覆う前面のガラスパネル(22)と、液晶ユニット(12)及び電子部品ユニット(14)の側面を覆う断面矩形のサイドケーシング(24)と、サイドケーシング(24)を背面側から閉じるリアパネル(26)から構成され、ガラスパネル(22)とサイドケーシング(24)、サイドケーシング(24)とリアパネル(26)は夫々パッキン(28)を挟んだ状態で連結され、筺体(20)の内部を防水、防塵状態で維持している。図示の液晶表示装置(10)では、サイドケーシング(24)及びリアパネル(26)はアルミニウム合金から作製している。
【0015】
リアパネル(26)には、図1及び図2に示すように、外部接続配線を接続する接続部(図示せず)を具えた収容部(30)が凹設されており、該収容部(30)にはカバー(70)がネジ(80)止め等により着脱可能となっている。なお、接続部として、ソケット等のコネクタ端子を例示でき、図示の実施例では、接続部は符号(31a)(31b)(31c)(31d)の位置に設けられている。コネクタ端子を収容部(30)の複数の内面に設けているのは、多種のコネクタ端子を省スペースで配置させるためである。
【0016】
収容部(30)は、図2乃至図4に示すように、リアパネル(26)に開設された孔(27)に嵌まる樹脂製のケーシングであって、リアパネル(26)よりも周縁が高くなるよう突設された周壁(32)を有する。周壁(32)には、カバー(70)をネジ(80)止めするためのネジ孔(34)が複数形成されている。
【0017】
周壁(32)は、図2乃至図4に示すように、矩形の枠体であって、一辺が他よりも幅広に形成されている。幅広に形成された一辺(以下「配線通過面(36)」と称する)には、外部接続配線(90)(図5参照)が挿通される複数状の第1溝(40)(42)が形成されている。図示の実施例では、鉛直方向下側の一辺が配線通過面(36)となっており、該配線通過面(36)に第1溝(40)(42)が鉛直方向に沿って延びるように形成されている。
【0018】
第1溝(40)(42)は、断面略半円状であり、接続される外部接続配線(90)の太さに応じて溝幅を複数種類とすることができる。例えば、図2では、中央寄りの第1溝(40)は、外側の第1溝(42)よりも幅広としている。
【0019】
各第1溝(40)(42)の両端には、その両側からカバー(70)に向けて延びる配線押え突起(44)(44)が突設されている。配線押え突起(44)(44)は、リブ状に形成することができ、高さはカバー(70)を取り付けたときに、配線押え突起(44)(44)の先端がカバー(70)との間に僅かな隙間を存する程度とすることが望ましい。
【0020】
また、図2乃至図4に示すように、周壁(32)の配線通過面(36)には、第1溝(40)(42)を横切る第2溝(50)が凹設されている。第2溝(50)には、ウレタン等の第1シール部材(52)が第2溝(50)から突出するように嵌められており、カバー(70)を閉じた状態で、カバー(70)に設けられた後述の第2シール部材(77)と当接して、第1溝(40)(42)から収容部(30)への水や埃などの侵入を阻止するようにしている。
【0021】
さらに、図2乃至図4に示すように、周壁(32)には、周壁(32)を一周する環状の第3溝(60)が凹設されている。第3溝(60)、前記第1溝(40)(42)、第2溝(50)よりも深く形成されており、配線通過面(36)では第2溝(50)に重なって凹設されている。第3溝(60)には、環状の第3シール部材(62)が嵌められている。
【0022】
前記第3溝(60)には、カバー(70)から突設された後述のリブ(75)が嵌まり、該リブ(75)の先端が第3シール部材(62)を押圧することで、収容部(30)への水や埃などの侵入を阻止するようにしている。
【0023】
上記構成の収容部(30)は、図1乃至図4に示すようにカバー(70)により閉じられる。
カバー(70)は、収容部(30)を覆う平板状の天板(72)と、該天板(72)の周縁からリアパネル(26)に向けて突設された横壁(73)を有する。
天板(72)には、カバー(70)を収容部(30)の周壁(32)にネジ(80)止めするためのネジ孔(76)が形成されている。
【0024】
横壁(73)は、収容部(30)の周壁(32)の外側側面から被さるように設けられており、第1溝(40)(42)と対向する横壁(73)は凹んでおり、第1溝(40)(42)と外部とを連通する凹み(74)(74)が形成されている。凹み(74)(74)は、略半円状であり、半円状の第1溝(40)(42)と組み合わさることで略円形となって外部接続配線(90)が挿通される開口を形成する。
【0025】
天板(72)の内面側には、図3及び図4に示すように、前記周壁(32)の第2溝(50)に嵌められた第1シール部材(52)と当接する位置に第2シール部材(77)が配備されている。第2シール部材(77)はウレタン等から作製することができ、天板(72)の内面側から突設された対向する立壁(78)(78)間に嵌まっている。
【0026】
さらに天板(72)には、前記第3溝(60)に嵌められた第3シール部材(62)に当接するリブ(75)が突設されている。図示の実施例では、第3溝(60)の第3シール部材(62)は、一部が第2シール部材(77)と重なっているため、リブ(75)は第2シール部材(77)が露出している経路に沿って突設している。
【0027】
上記カバー(70)を収容部(30)にネジ(80)止めすることにより、第1溝(40)(42)と凹み(74)は外側から見て略円形の開口を形成し、第1シール部材(52)と第2シール部材(77)が密着することで天板(72)と第1溝(40)(42)との間に形成された空間が閉じられる。また、第3溝(60)にリブ(75)が嵌まってリブ(75)の先端が第3シール部材(62)に密着して閉じられる。これにより、収容部(30)は外部からの水や埃などの侵入を阻止される。
【0028】
然して、収容部(30)からカバー(70)を取り外した状態で、電源コードやアンテナコード、外部機器との接続コードなどの外部接続配線(90)が接続される。外部接続配線(90)は、符号(31a)(31b)(31c)(31d)
等の位置に設けられたコネクタ端子に接続される。
外部接続配線(90)は、コネクタ端子に接続した後、第1溝(40)(42)を通って外部に引き出される。ここで、外部接続配線(90)を第1溝(40)(42)に導くには、外部接続配線(90)を曲げる必要がある。また、接続の途中で外部接続配線(90)が捻られることがある。このように曲げられたり捻られた外部接続配線(90)はその可撓性により曲げや捻りに対して反発する。従って、第1溝(40)(42)に上手く案内することが難しいが、本発明では、第1溝(40)(42)の両端に配線押え突起(44)(44)を形成しており、該配線押え突起(44)(44)によって第1溝(40)(42)の両端が深くなるから、外部接続配線(90)を所望の第1溝(40)(42)に上手く案内することができ、一旦第1溝(40)(42)に嵌められた外部接続配線(90)は配線押え突起(44)(44)によって第1溝(40)(42)から飛び出したり外れ難くすることができる。
【0029】
外部接続配線(90)が第1溝(40)(42)に安定した嵌まった状態を維持できるから、カバー(70)をネジ(80)止めする際にも外部接続配線(90)を押さえておかなくてもよく、カバー(70)の取付けを容易に行なうことができる。
【0030】
カバー(70)をネジ(80)止めすることで、図5に示すように外部接続配線(90)は第1溝(40)(42)とこれに対応する凹み(74)によって形成された開口を通じて外部に引き出されると共に、第1シール部材(52)と第2シール部材(77)に隙間なく挟まれることとなる。従って、第1溝(40)(42)を通じて水や埃が収容部(30)に侵入することはない。また、収容部(30)から延出する外部接続配線(90)は第1シール部材(52)と第2シール部材(77)で挟まれているから多少の力で引っ張られたとしてもコネクタ端子から抜け落ちることはなく、接続の安定性を確保できる。
【0031】
また、外部接続配線(90)が挿通していない部分では、第1シール部材(52)と第2シール部材(77)は直接密着し、さらに、その他の部分ではカバー(70)のリブ(75)が第3溝(60)に嵌まって第3シール部材(62)と密着するから、収容部(30)への水や埃などの侵入を可及的に阻止することができ、これらを原因とする電子機器の動作不良を防止できる。
【0032】
本実施例では、外部接続配線(90)を下向きに引き出すようにしているから、外部接続配線(90)を伝って水などが収容部(30)に入ることも勿論防止できる。さらに、カバー(70)は横壁(73)が収容部(30)の周壁(32)に被さる構成としたことで、水や埃などが収容部(30)に侵入することをより効果的に防止できる。
【0033】
本発明を適用できる電子機器は、液晶表示装置(10)に限定されるものではない。また、上記では、外部接続配線(90)を下向きに引き出せるように第1溝(40)(42)及び凹み(74)を形成しているが、横向き、上向き等でも本発明の効果を得ることは可能である。
【0034】
また、カバー(70)の取付けはネジ止めに限らず、爪片などにより係合する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、外部接続配線との接続部を水や埃などから保護することのできる電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0036】
(10) 液晶表示装置
(20) 筺体
(26) リアパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体の周面に凹設された収容部と、
該収容部に配備され、外部接続配線を接続可能な接続部と、
前記収容部を覆う着脱可能なカバーと、
を具えた電子機器において、
前記収容部の周縁には、筺体から突設された周壁を有し、
該周壁には、収容部と外部とを連通する第1溝が凹設され、
該第1溝の両端には第1溝の両側からカバーに向けて延びる配線押え突起が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
カバーは、周壁の外側側面に被さる横壁を有し、該横壁には、前記第1溝を外部と連通させる凹みが凹設されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記周壁には、前記第1溝を横切る第2溝が凹設され、
該第2溝には第1シール部材が嵌合し、
カバーは内面に第1シール部材と対向する位置に第2シール部材を具える、請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
周壁の頂面には周壁を一周する第3溝が凹設され、
該第3溝には環状の第3シール部材を具え、
カバーには、前記第3シール部材と当接するリブが突設されている、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−30586(P2013−30586A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165101(P2011−165101)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】