電子機器
【課題】操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別する電子機器を提供する。
【解決手段】複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器1は、押圧荷重を検出する荷重検出部40と、所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部10と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器1は、押圧荷重を検出する荷重検出部40と、所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部10と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。より詳細には、本発明は、荷重検出部が検出する押圧荷重に応じた処理を行う電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末において、操作者による接触を検出する部材として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える電子機器が増えている。また、携帯端末以外に、電卓、券売機等の機器や、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等、タッチセンサを備える電子機器は広く使用されている。
【0003】
従来、タッチセンサは、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1は、生産コストが安価であり小型化が可能なアナログタイプの抵抗膜式タッチパネルを提案している。特許文献1に記載されているようなタッチパネルは、スペーサにより僅かな間隔を空けた2枚の導電膜により構成される。このタッチパネルは、導電膜が押圧されて接触した位置を、一方の導電膜にかけられた電圧勾配により、他方の導電膜で電圧として読み取る構成になっている。
【0004】
このようなタッチセンサには、抵抗膜方式の他にも、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。いずれの方式のタッチセンサも、操作者の指やスタイラスペン等による接触を検出する。タッチセンサを備えた電子機器は、一般的に、タッチセンサの裏面側に配置した液晶ディスプレイなどの表示部に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「オブジェクト」と記す)を表示する。表示部に表示されたオブジェクトに対して操作者が接触する操作を行うと、当該オブジェクトに対応する位置における接触をタッチセンサが検出するようになっている。
【0005】
このようなタッチセンサを備えた電子機器は、使用するアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)に応じて、種々のユーザインタフェースを、各種オブジェクトの表示によって構成することができる。したがって、タッチセンサを備えた電子機器は、種々のユーザインタフェースを高い自由度で構成することができる。このような電子機器は、操作者にとって操作がわかり易く使い勝手が良いため、タッチセンサを備えた電子機器は急速に普及している。
【0006】
また、最近では、タッチセンサに対して操作者が操作を行う際にかかる押圧荷重を検出する荷重検出部(圧力検出部)を備えた電子機器も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のタッチパネル式入力装置によれば、タッチセンサに対して操作者が操作を行う際に接触した位置を検出するのみならず、当該操作の際にかかる押圧荷重も検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−241898号公報
【特許文献2】特開2006−39745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載のタッチパネル式入力装置のように、操作者の操作による押圧荷重を検出する機構を備えた装置であれば、検出される押圧荷重に応じて異なる処理を関連付けることができる。例えば、このような装置は、第1段階の押圧荷重を検出すると処理Aを開始するが、第1段階の押圧荷重よりも大きな第2段階の押圧荷重を検出すると、処理Aとは異なる処理Bを開始する、などのように機能させることも可能である。
【0009】
しかしながら、このように複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器においては、押圧荷重を複数の段階に分ける際の閾値となる押圧荷重の基準は、通常、固定された値が用いられる。このような、押圧荷重を複数の段階に分ける際の閾値となる押圧荷重の基準は、操作者の好みに応じて変更できるようにしたとしても、予め設定または変更した閾値となる押圧荷重の基準は、操作者の操作中にはやはり固定されているのが通常である。
【0010】
このように、押圧荷重の閾値が固定されている電子機器は、操作者の操作による押圧荷重の段階を、操作者の意図通りに判別することができないことも想定される。
【0011】
例えば、通常の操作が行われる際の押圧荷重は、操作者によって相当な個人差がある。また、特にタッチセンサに対して連続して押圧する操作を行うような場合などは、操作者は、押圧荷重をかけてタッチセンサを押し込む押圧操作を開始する前からタッチセンサに接触していることも想定される。このような場合、操作者によって、極めて軽く接触しているだけのこともあれば、若干の押圧荷重を予めかけてしまっていることもあり得る。このため、閾値となる押圧荷重の基準が予め設定されている場合、操作者が第1段階の押圧荷重を超えて第2段階の押圧荷重をかけようとする際、当該第2段階の押圧荷重は操作者によっては大き過ぎたり、または小さ過ぎたりするという不都合がある。この場合、操作者によっては、なかなか第2段階の押圧荷重をかけることができなかったり、あるいは逆に、第1段階の押圧荷重で留めようとしたのに第2段階の押圧荷重の基準に達してしまうおそれがある。このような状況では、操作者は自らの意図通りにスムーズな操作を行うことができない。
【0012】
また、閾値となる押圧荷重の基準が予め設定されている場合、操作者の操作を検出する操作モードに移行する前から押圧荷重が検出されている状態で操作モードに移行すると、操作モードに移行した瞬間に、押圧荷重がある段階の基準を超えていることも想定される。このような場合、操作者が押圧荷重を加えて操作した意図がなくても、当該押圧荷重に関連付けられた処理が開始される。このような状況では、操作者は自らの意図通りにスムーズな操作を行うことができない。
【0013】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器であって、
押圧荷重を検出する荷重検出部と、
所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0015】
第2の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0016】
第3の観点に係る電子機器の発明は、第2の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点を基準時として、当該基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0017】
第4の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、第1の所定時間および当該第1の所定時間よりも長い第2の所定時間の双方において前記荷重検出部によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0018】
第5の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、第1の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行い、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記第1の処理をキャンセルするとともに、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子機器において、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る電子機器の実装構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の例を説明するグラフである。
【図5】第2実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【図6】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の例を説明するグラフである。
【図7】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の他の例を説明するグラフである。
【図8】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図9】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図10】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図11】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図12】第3実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態においては、本発明による電子機器の一例として、携帯電話やスマートフォンまたはタブレット型コンピュータなどを想定して説明する。しかしながら、本発明による電子機器は、携帯電話やスマートフォンまたはタブレット型コンピュータなどに限定されるものではなく、例えばPDAなどタッチセンサを有する任意の機器などに適用できる。また、本発明は、携帯型の電子機器に限定されるものでもなく、例えば銀行のATMや駅の券売機など、タッチセンサを有する任意の機器にも適用することができる。さらに、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、後述するように、タッチセンサを有する機器に限定されるものでもなく、タッチセンサを備えない電子機器にも適用することができる。
【0022】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器1の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子機器1は、制御部10と、タッチセンサ20と、表示部30と、荷重検出部40と、触感呈示部50と、記憶部60と、を備えている。
【0023】
制御部10は、電子機器1を構成する各機能部をはじめとして、電子機器1の全体を制御および管理する。制御部10において行われる処理のうち、本実施の形態特有のものについては、後述する。
【0024】
タッチセンサ20は、通常、表示部30の前面に重畳させて配設することにより構成し、操作者の指やスタイラスなど(以下、「接触物」と総称する)による接触を検出する。このタッチセンサ20は、接触物による接触を検出することにより、当該接触が検出された位置に対応する信号を制御部10に出力する。このタッチセンサ20は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの方式のものを用いて構成する。なお、タッチセンサ20が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチセンサ20に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチセンサ20が光学式である場合は、タッチセンサ20は当該タッチセンサ20上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチセンサ20に触れることは不要である。
【0025】
表示部30は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、オブジェクトにより構成されるユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。さらに、表示部30は、各アプリケーションに応じて、入力結果など各種情報などの表示も行う。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0026】
荷重検出部40は、タッチセンサ20に対して操作者が操作を行う際にかかる押圧荷重を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。
【0027】
触感呈示部50は、タッチセンサ20を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。この触感呈示部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチセンサ20に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、触感呈示部50は、制御部10から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
【0028】
記憶部60は、例えばNAND型フラッシュメモリ等によって構成し、電子機器1において実行する各種のアプリケーションを記憶するのみならず、各種の情報を記憶することができる。特に、本実施の形態において、記憶部60は、タッチセンサ20が検出する接触の位置を、任意のタイミングで記憶することができ、さらに、当該接触の位置の履歴なども記憶することができる。また、本実施の形態において、記憶部60は、荷重検出部40が検出する押圧荷重も任意のタイミングで記憶することができ、さらに、当該押圧荷重の履歴なども記憶することができる。
【0029】
次に、上述したタッチセンサ20および表示部30と、荷重検出部40および触感呈示部50との構成上の関係について説明する。
【0030】
図2は、図1に示した電子機器1のタッチセンサ20、表示部30、荷重検出部40、および触感呈示部50の実装構造の一例を示す図である。図2(A)は要部断面図であり、図2(B)は要部平面図である。
【0031】
図2(A)に示すように、各種の表示を行う表示部30は、筐体90内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ94を介して、タッチセンサ20を保持する。なお、本実施の形態に係る電子機器1は、表示部30およびタッチセンサ20を平面視で矩形状とする。図2においては、タッチセンサ20は、正方形状として示してあるが、タッチセンサ20を実装する電子機器1の仕様に応じて、長方形等とすることもできる。また、この電子機器1は、タッチセンサ20を、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ94を介して、表示部30に保持する。
【0032】
また、筐体90には、表示部30の表示領域から外れたタッチセンサ20の表面領域を覆うようにアッパカバー92を設け、このアッパカバー92とタッチセンサ20との間に、弾性部材からなるインシュレータ96を配設する。
【0033】
なお、タッチセンサ20は、例えば、表面すなわち操作者による操作が行われる面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧荷重に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
【0034】
さらに、本実施の形態に係る電子機器1は、タッチセンサ20の表面の透明フィルム上で、アッパカバー92で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ20に加わる押圧荷重を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、タッチセンサ20の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、タッチセンサ20を振動させるための圧電素子または超音波振動子などを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す電子機器1は、図1に示した荷重検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、触感呈示部50を2つの振動子を用いて構成している。荷重検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値などから荷重を検出する。触感呈示部50は、例えば、2つの振動子を同相で駆動する。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体90、アッパカバー92、およびインシュレータ96の図示を省略している。
【0035】
次に、本実施の形態に係る電子機器1による処理について説明する。
【0036】
本実施の形態に係る電子機器1は、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う。ここで、複数の段階に区分した押圧荷重とは、荷重検出部40が検出する押圧荷重を、任意の複数の段階に区分したものとすることができる。以下の説明においては、説明の簡略化のために、荷重検出部40が検出する押圧荷重を、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を基準として区分した場合について説明する。これらの基準においては、便宜的に、第1の押圧荷重P1よりも、第2の押圧荷重P2の方が大きな(高い)押圧荷重の基準であるものとして説明する。なお、後述するように、これらの第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2は、予め定められた固定値ではなく、操作者の操作に基づいて設定される可変値である。
【0037】
以下の説明においては、荷重検出部40が検出する押圧荷重について、第1の押圧荷重P1を超える押圧荷重を第1段階の押圧荷重とし、さらに第2の押圧荷重P2を超える押圧荷重を第2段階の押圧荷重として区分する。そして、電子機器1は、検出された押圧荷重の変化量に応じて、上述した第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を基準として区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理として、第1の処理または第2の処理を行うものとして説明する。しかしながら、本発明による電子機器は、さらに多くの基準によって押圧荷重を区分して、さらに多数の異なる処理を行うこともできる。
【0038】
すなわち、以下の説明においては、電子機器1は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理として第1の処理を行い、また、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理として第2の処理を行う。ここで、第1の処理および第2の処理とは、電子機器1が行う任意の処理とすることができる。例えば、第1の処理は、電子機器1において実行される音楽プレーヤのアプリケーションにおいて、音楽ファイルの再生を開始する処理とすることができる。この場合において、第2の処理は、例えば、音楽ファイルの早送りを開始する処理とすることができる。
【0039】
図3は、本実施の形態に係る電子機器1による処理を説明するフローチャートである。本実施の形態による処理が開始するに際し、制御部10は、タッチセンサ20が検出する接触を監視するとともに、荷重検出部40が検出する押圧荷重を監視する。特に、本実施の形態において、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の変化の履歴を記憶部60に記憶しながら監視を行うのが好適である。また、以下の説明においては、荷重検出部40が検出する押圧荷重に基づく制御部10の処理について重点的に説明する。実際に電子機器1が行う処理においては、表示部30に表示された特定のオブジェクトに対応する位置における接触をタッチパネル20が検出した場合に、以下説明するような処理を行うのが好適である。
【0040】
図3に示す処理が開始すると、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が予め規定された所定値以上になったか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、ステップS11においては、操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を検出する。操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を行うと、その時点から、荷重検出部40が検出する押圧荷重は急激に増加する。したがって、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったことを判定することにより、操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を検出することができる。
【0041】
本実施の形態においては、操作者の意図に基づく押下操作を検出することができるように、押圧荷重の単位時間あたりの変化量の適切な所定値を予め規定して、例えば記憶部60に記憶させておく。また、押下操作が行われた際の押圧荷重の単位時間あたりの変化量は、操作者によって若干の個人差があることも想定される。このため、予め規定された変化量の所定値を後から変更して調整できるようにしたり、あるいは操作者が押圧操作を行う際の押圧荷重をサンプリングすることによって、押圧荷重の単位時間あたりの変化量の適切な所定値を規定するようにしてもよい。
【0042】
図4は、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の一例を説明するグラフである。図4において、横軸は時間の経過を表し、縦軸は荷重検出部40により検出された押圧荷重を表している。図4は、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持されているが、T0の時点(A点)からは操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行っている様子を表している。
【0043】
ステップS11においては、図4のA点に示すグラフの変化のように、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の傾きが急峻に変化する時点を検出する。なお、図4においては、操作者が原点Oにおいてタッチセンサ20に対する押圧操作を開始してからの押圧荷重の時間変化を2通り示してある。すなわち、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点を経て変化する場合と、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がC点を経て変化する場合と、を示してある。
【0044】
ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されない場合、制御部10は、その時点で検出されている押圧荷重を、検出される押圧荷重のゼロ点とする「ゼロ点補正」を行う(ステップS12)。図4に示した押圧荷重の時間変化のグラフにおいて、原点Oから操作者が操作開始してからA点までは、押圧荷重の単位時間あたりの変化量は大きくなく、所定値以上になっていない(ステップS11においてNo)。この場合、制御部10は、荷重検出部40が検出している荷重をゼロとして、ステップS11に戻って処理を続行する。このような処理の結果、図4に示すグラフのA点においては、A点で検出されている押圧荷重(P0)が基準のゼロ点となっている。
【0045】
一方、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されたら、制御部10は、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する(ステップS13)。本実施の形態において、第1の押圧荷重P1とは、第1段階の押圧荷重を規定する基準となる閾値であり、この第1段階の押圧荷重には第1の処理が関連付けられている。同様に、第2の押圧荷重P2とは、第2段階の押圧荷重を規定する基準となる閾値であり、この第2段階の押圧荷重には第2の処理が関連付けられている。
【0046】
ステップS13において設定される第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値は、以下のようにして設定することができる。まず、図4に示すように、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から、所定の短い時間ΔTが経過した時点T1を設定する。本実施の形態では、時点T1において操作者の操作による押圧荷重の段階を確定させるため、所定の短い時間ΔTは、操作者が押圧荷重の増加を開始してから当該押圧荷重の段階を確定させるのに適切な例えば1秒などの時間を予め規定しておくのが好適である。また、予め規定された時間ΔTを後から変更して調整できるようにしたり、あるいは操作者が押圧操作を行う際の押圧荷重の時間変化をサンプリングすることによって、適切な時間ΔTを規定するようにしてもよい。
【0047】
時点T1が設定されたら、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、押圧荷重P0に荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定する。この第1の押圧荷重P1が、第1段階の押圧荷重の基準となる。同様に、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、押圧荷重P0に荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定する。この第2の押圧荷重P2が、第2段階の押圧荷重の基準となる。このように、本実施の形態においては、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を設定することにより、荷重検出部40が検出する押圧荷重を複数の段階に区分する。
【0048】
ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS14)。
【0049】
ステップS14において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定された場合、制御部10は、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS15)。第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS16)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0050】
図4に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がC点に至る場合、時点T1において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0051】
一方、ステップS14において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されない場合、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS18)。第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS19)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0052】
図4に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点に至る場合、時点T1における押圧荷重は、第2の押圧荷重P2を超えていないが、第1の押圧荷重P1を超えている。この場合、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0053】
また、ステップS17において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合、制御部10は、第1の処理も第2の処理も開始せずに処理を終了する。なお、図3においては説明の便宜上処理の終了を示しているが、図3に示す処理が終了した際に、操作者による操作を検出するモードがまだ継続している場合には、再び開始に戻って処理を続行する。
【0054】
ステップS19で呈示する触感は、ステップS16で呈示する触感と同じものとすることもできるが、異なる触感とすることにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が開始した処理を、触感によって区別することができる。なお、本発明においては、ステップS16およびステップS19において触感を呈示することは必須ではない。例えば、触感の呈示に代えて、または触感の呈示とともに、表示部30における表示を変化させたり、または図示しない音声出力部から音声を出力することによって、第2の処理が開始された旨を操作者に認識させてもよい。
【0055】
このように、本実施の形態において、制御部10は、所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する。特に、上述した処理において、「所定時間」とは、基準時(T0)から所定時間経過した時点(T1)までの時間とするのが好適である。すなわち、制御部10は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に荷重検出部40により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するのが好適である。また、この場合において、「基準時」とは、荷重検出部40により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点(A点が判定される時点T0)とするのが好適である。しかしながら、本発明において、これら所定時間や基準時は上述した態様に限定されるものではなく、種々の態様で設定することができる。
【0056】
本実施の形態では、操作者が意図して押圧操作を開始した時点(A点)で検出されていた押圧荷重(P0)に基づいて、第1段階の押圧荷重の基準となる第1の押圧荷重P1および第2段階の押圧荷重の基準となる第2の押圧荷重P2が設定される。このため、操作者が予めタッチセンサ20に接触していた場合であっても、その時点の押圧荷重を基準として、所定時間において検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理が行われる。したがって、本実施の形態によれば、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0057】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0058】
第2実施の形態は、上述した第1実施の形態において、制御部10による処理を変更するものである。すなわち、第2実施の形態は、第1実施の形態に係る電子機器1において、図3で説明したステップS13から後の処理を変更するものである。具体的には、第2実施の形態では、荷重検出部40により検出される押圧荷重が第1段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1において判定し、当該押圧荷重が第2段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1よりも後の時点T2において判定する。
【0059】
第2実施の形態に係る電子機器2は、上記の点以外においては、上述した第1実施の形態で説明した電子機器1と基本的に同じ機器構成および制御により実現することができる。このため、以下、第1実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0060】
図5は、第2実施の形態に係る電子機器2による処理を説明するフローチャートである。
【0061】
図5に示す処理が開始すると、ステップS11において、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が予め規定された所定値以上になったか否かを判定する。ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されない場合、制御部10は、ステップS12においてゼロ点補正を行う。一方、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されたら、制御部10は、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する。
【0062】
以下、本実施の形態における第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定について説明する。
【0063】
上述した第1実施の形態においては、押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から時間ΔTが経過した時点に、T1を設定した。そして、時点T1が設定されたら、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定し、押圧荷重P0に荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定した。
【0064】
第2実施の形態においては、図6に示すように、押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から時間ΔT1が経過した時点に、時点T1を設定する。また、第2実施の形態においては、図6に示すように、時点T0から時間ΔT1よりも長い時間ΔT2が経過した時点に、時点T2を設定する。なお、図6は、図4と同様に、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の一例を説明するグラフである。図6においても、横軸は時間の経過を表し、縦軸は荷重検出部40により検出された押圧荷重を表している。
【0065】
そして、第2実施の形態においては、時点T1が設定されたら、図6に示すように、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定する。さらに、第2実施の形態においては、時点T2が設定されたら、図6に示すように、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、荷重ΔP1よりも大きな荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定する。
【0066】
第2実施の形態において、時間ΔT1は、第1実施の形態で説明した所定の短い時間ΔTとほぼ同様の趣旨に基づいて設定するものである。しかしながら、第2実施の形態において、時点T0から時間ΔT1が経過した時点T1は、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定するためにのみ用いる。このため、時間ΔT1は、第1実施の形態で説明した時間ΔTよりも若干短い時間、例えば0.5秒などの時間としてもよい。また、第2実施の形態において、時点T0から時間ΔT2が経過した時点T2は、押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定するためにのみ用いる。このため、時間ΔT2は、上述した時間ΔT1よりも長い時間とするのが好適であり、例えば1秒などの時間としてもよい。
【0067】
このようにして、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS21)。
【0068】
ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS22)。第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS23)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器2が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0069】
図6に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点に至る場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えている。この場合、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0070】
ステップS22で第1の処理が開始されステップS23で触感が呈示されたら、制御部10は、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS24)。なお、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合は、制御部10は、ステップS22およびステップS23の処理を行わずに、ステップS24の処理に移行する。
【0071】
ステップS24において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、ステップS22において第1の処理が開始されて実行中であるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において第1の処理が実行中であると判定されたら、制御部10は、当該第1の処理をキャンセルしてから(ステップS26)、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS27)。
【0072】
一方、ステップS25において第1の処理が実行中であると判定されない場合、制御部10は、ステップS26の処理を行わずに、ステップS27に移行して第2の処理を開始するように制御する。
【0073】
ステップS27において第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS28)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器2が適切に処理を開始したことを認識することができる。また、ステップS24において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないと判定されたら、制御部10は、図5に示す処理を終了する。
【0074】
図6は、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持されているが、T0の時点(A点)からは操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行っている様子を表している。
【0075】
図6に示す例において、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っており、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされるとともに、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0076】
このように、本実施の形態において、制御部10は、第1の所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行うように制御する。また、制御部10は、第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、第1の処理をキャンセルするとともに、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御する。
【0077】
以下、本実施の形態において行われる電子機器2の処理を、いくつかの例について説明する。以下の説明において、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持され、T0の時点(A点)から操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行うまでは従前と同じである。したがって、この時点までに行われる処理の説明は省略する。
【0078】
図7に示す例においては、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされずに第1の処理が行われたままになる。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理は行われない。
【0079】
図8に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えており、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされるとともに、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0080】
図9に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えているが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされずに第1の処理が行われたままになる。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理は行われない。
【0081】
図10に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないため、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理は行われない。一方、時点T2においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0082】
図11に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えておらず、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないため、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理は行われない。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理も行われない。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、第1実施の形態で説明した電子機器1と同様に、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0084】
また、第2実施の形態によれば、検出される押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する時点T1と、第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する時点T2とをずらして設定している。このように、大きな押圧荷重について判定するポイントを少し後にずらすことによって、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたか否か、および第2の押圧荷重P2を超えたか否かを、第1実施の形態よりも高い精度で判別することができる。
【0085】
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0086】
第3実施の形態は、第2実施の形態と同様に、第1実施の形態において、制御部10による処理を変更するものである。すなわち、第3実施の形態は、第2実施の形態に係る電子機器2において、図5で説明したステップS21から後の処理を変更するものである。具体的には、第3実施の形態でも、荷重検出部40により検出される押圧荷重が第1段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1において判定し、当該押圧荷重が第2段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1よりも後の時点T2において判定する。しかしながら、第3実施の形態においては、時点T1および時点T2における判定に基づいて、時点T2において、第1または第2の処理を行う。
【0087】
第3実施の形態に係る電子機器3は、上記の点以外においては、上述した第2実施の形態で説明した電子機器2と基本的に同じ機器構成および制御により実現することができる。このため、以下、第1および第2実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0088】
図12は、第3実施の形態に係る電子機器3による処理を説明するフローチャートである。
【0089】
図12に示す処理が開始すると、ステップS11からステップS13までの処理は第2実施の形態と同様に行う。なお、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する処理も、第2実施の形態と同様に行う。ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS21)。
【0090】
ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、それから、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS31)。
【0091】
ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS32)。
【0092】
ステップS32において第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS33)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器3が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0093】
一方、ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されない場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS34)。
【0094】
ステップS34において第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS35)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器3が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0095】
また、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合、制御部10は、それから、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS36)。
【0096】
ステップS36において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、ステップS32の処理に移行して第2の処理を開始してから、ステップS33において触感を呈示するように制御するのが好適である。一方、ステップS36において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないと判定されたら、制御部10は、図5に示す処理を終了する。
【0097】
以下、第3実施の形態に係る電子機器3による処理を、第2実施の形態で説明した図6を再度用いて説明する。
【0098】
上述したように、図6に示す例において、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っており、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超え、さらに時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、このT1の時点で第1の処理は開始されない。その後、時点T2においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えており、このT2の時点で第2の処理が開始される。
【0099】
このように、本実施の形態において、制御部10は、第1の所定時間および第2の所定時間の双方において荷重検出部40によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する。ここで、第2の所定時間は、第1の所定時間よりも長い時間とするのが好適である。
【0100】
以下、第2実施の形態と同様に、第3実施の形態において行われる電子機器3の処理を、図7乃至図11に示した例について説明する。
【0101】
図7に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T1の時点において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことに基づいて、時点T2において第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0102】
図8に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えており、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T2の時点において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えたことに基づいて、時点T2において第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0103】
図9に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えているが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T1の時点において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことに基づいて、時点T2において第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0104】
図10に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T2の時点において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えたことに基づいて、時点T2において第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0105】
図11に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えておらず、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においても時点T2においても、第1の処理も第2の処理も開始されない。
【0106】
このように、本実施の形態によれば、第1実施の形態で説明した電子機器1と同様に、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0107】
また、第3実施の形態においても、検出される押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する時点T1と、第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する時点T2とをずらして設定している。したがって、第3実施の形態においても、第2実施の形態と同様に、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたか否か、および第2の押圧荷重P2を超えたか否かを、第1実施の形態よりも高い精度で判別することができる。
【0108】
なお、図12においては、ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、ステップS34において第1の処理を開始するとともに、ステップS35において触感を呈示するものとして説明した。しかしながら、上述したように、本発明において、触感を呈示することは必須ではなく、例えば、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された際に(ステップS21のYesの後)、ステップS35のように触感を呈示してもよい。このようにすれば、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたと判定された際すぐに第1の処理が開始されなくても、触感が呈示されることにより、操作者は、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことを認識できる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、上述した各実施の形態においても適宜説明したように、幾多の変形または変更が可能である。また、図3、図5、および図12において説明した各実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートは、各実施の形態において行うことができる処理の流れの典型例の1つを示したものに過ぎない。したがって、各実施の形態における処理の流れは、論理的に矛盾が無いようにして、適宜変更を行ったり、ある処理を省略または付加したり、処理の順序を変更したりすることもできる。
【0110】
また、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出することにより、押圧荷重の段階を判別するものであるため、タッチセンサを備えた機器に限定されるものではない。例えば、本発明は、荷重検出部を備えるが、タッチセンサを備えない電子機器にも適用することができる。この場合、例えば、通常の操作部を構成するキーやボタン等に対して操作者が操作を行う際の押圧荷重を検出することができるように、当該キーやボタン等に対する押圧荷重を検出する荷重検出部を備えるようにするのが好適である。あるいは、特にキーやボタン等が押圧荷重を検出することが必須ではない場合には、例えば操作者が電子機器の筐体を直接押圧する際の押圧荷重を検出する荷重検出部を備えるような態様も考えることができる。
【0111】
また、上記実施の形態では、タッチセンサ20を用いて、当該接触検出部のタッチ面に対する接触を検出したが、荷重センサ(荷重検出部)を用いて、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、接触がなされたものと判定することもできる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチセンサ20に設けたものとして構成することができる。
【0112】
また、このような荷重検出部は、タッチセンサ20における接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0113】
また、触感呈示部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチセンサ20の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および触感呈示部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。この場合、触感呈示部50は、荷重検出部も兼ねる圧電素子の出力に基づいて押圧荷重を検出するとともに、例えば押圧荷重の基準が設定された際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。
【0114】
上述した実施の形態においては、タッチセンサ20を表示部30の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチセンサ20と表示部30とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチセンサ20を表示部30の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
【0115】
また、本実施の形態の説明における表示部30およびタッチセンサ20は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置に接触するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、接触の位置を検出することができる。
【0116】
さらに、上述した各実施の形態の説明においては、例えば所定量「以上」や、所定の押圧荷重を「超えて」いる、等の表現を用いているが、これらの数値が閾値としての端値を含むか否かの表現は、適宜置換できるものとする。例えば、「以上」と「未満」、および「超えている」と「以下」等の表現は、適宜置き換えることができるものとする。
【符号の説明】
【0117】
1 電子機器
10 制御部
20 タッチセンサ
30 表示部
40 荷重検出部
50 触感呈示部
60 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。より詳細には、本発明は、荷重検出部が検出する押圧荷重に応じた処理を行う電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末において、操作者による接触を検出する部材として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える電子機器が増えている。また、携帯端末以外に、電卓、券売機等の機器や、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等、タッチセンサを備える電子機器は広く使用されている。
【0003】
従来、タッチセンサは、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1は、生産コストが安価であり小型化が可能なアナログタイプの抵抗膜式タッチパネルを提案している。特許文献1に記載されているようなタッチパネルは、スペーサにより僅かな間隔を空けた2枚の導電膜により構成される。このタッチパネルは、導電膜が押圧されて接触した位置を、一方の導電膜にかけられた電圧勾配により、他方の導電膜で電圧として読み取る構成になっている。
【0004】
このようなタッチセンサには、抵抗膜方式の他にも、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。いずれの方式のタッチセンサも、操作者の指やスタイラスペン等による接触を検出する。タッチセンサを備えた電子機器は、一般的に、タッチセンサの裏面側に配置した液晶ディスプレイなどの表示部に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「オブジェクト」と記す)を表示する。表示部に表示されたオブジェクトに対して操作者が接触する操作を行うと、当該オブジェクトに対応する位置における接触をタッチセンサが検出するようになっている。
【0005】
このようなタッチセンサを備えた電子機器は、使用するアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)に応じて、種々のユーザインタフェースを、各種オブジェクトの表示によって構成することができる。したがって、タッチセンサを備えた電子機器は、種々のユーザインタフェースを高い自由度で構成することができる。このような電子機器は、操作者にとって操作がわかり易く使い勝手が良いため、タッチセンサを備えた電子機器は急速に普及している。
【0006】
また、最近では、タッチセンサに対して操作者が操作を行う際にかかる押圧荷重を検出する荷重検出部(圧力検出部)を備えた電子機器も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のタッチパネル式入力装置によれば、タッチセンサに対して操作者が操作を行う際に接触した位置を検出するのみならず、当該操作の際にかかる押圧荷重も検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−241898号公報
【特許文献2】特開2006−39745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載のタッチパネル式入力装置のように、操作者の操作による押圧荷重を検出する機構を備えた装置であれば、検出される押圧荷重に応じて異なる処理を関連付けることができる。例えば、このような装置は、第1段階の押圧荷重を検出すると処理Aを開始するが、第1段階の押圧荷重よりも大きな第2段階の押圧荷重を検出すると、処理Aとは異なる処理Bを開始する、などのように機能させることも可能である。
【0009】
しかしながら、このように複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器においては、押圧荷重を複数の段階に分ける際の閾値となる押圧荷重の基準は、通常、固定された値が用いられる。このような、押圧荷重を複数の段階に分ける際の閾値となる押圧荷重の基準は、操作者の好みに応じて変更できるようにしたとしても、予め設定または変更した閾値となる押圧荷重の基準は、操作者の操作中にはやはり固定されているのが通常である。
【0010】
このように、押圧荷重の閾値が固定されている電子機器は、操作者の操作による押圧荷重の段階を、操作者の意図通りに判別することができないことも想定される。
【0011】
例えば、通常の操作が行われる際の押圧荷重は、操作者によって相当な個人差がある。また、特にタッチセンサに対して連続して押圧する操作を行うような場合などは、操作者は、押圧荷重をかけてタッチセンサを押し込む押圧操作を開始する前からタッチセンサに接触していることも想定される。このような場合、操作者によって、極めて軽く接触しているだけのこともあれば、若干の押圧荷重を予めかけてしまっていることもあり得る。このため、閾値となる押圧荷重の基準が予め設定されている場合、操作者が第1段階の押圧荷重を超えて第2段階の押圧荷重をかけようとする際、当該第2段階の押圧荷重は操作者によっては大き過ぎたり、または小さ過ぎたりするという不都合がある。この場合、操作者によっては、なかなか第2段階の押圧荷重をかけることができなかったり、あるいは逆に、第1段階の押圧荷重で留めようとしたのに第2段階の押圧荷重の基準に達してしまうおそれがある。このような状況では、操作者は自らの意図通りにスムーズな操作を行うことができない。
【0012】
また、閾値となる押圧荷重の基準が予め設定されている場合、操作者の操作を検出する操作モードに移行する前から押圧荷重が検出されている状態で操作モードに移行すると、操作モードに移行した瞬間に、押圧荷重がある段階の基準を超えていることも想定される。このような場合、操作者が押圧荷重を加えて操作した意図がなくても、当該押圧荷重に関連付けられた処理が開始される。このような状況では、操作者は自らの意図通りにスムーズな操作を行うことができない。
【0013】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器であって、
押圧荷重を検出する荷重検出部と、
所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0015】
第2の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0016】
第3の観点に係る電子機器の発明は、第2の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点を基準時として、当該基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0017】
第4の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、第1の所定時間および当該第1の所定時間よりも長い第2の所定時間の双方において前記荷重検出部によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するものである。
【0018】
第5の観点に係る電子機器の発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、第1の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行い、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記第1の処理をキャンセルするとともに、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子機器において、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る電子機器の実装構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の例を説明するグラフである。
【図5】第2実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【図6】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の例を説明するグラフである。
【図7】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化の他の例を説明するグラフである。
【図8】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図9】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図10】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図11】第2実施の形態における操作者の操作による押圧荷重の時間変化のさらに例を説明するグラフである。
【図12】第3実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態においては、本発明による電子機器の一例として、携帯電話やスマートフォンまたはタブレット型コンピュータなどを想定して説明する。しかしながら、本発明による電子機器は、携帯電話やスマートフォンまたはタブレット型コンピュータなどに限定されるものではなく、例えばPDAなどタッチセンサを有する任意の機器などに適用できる。また、本発明は、携帯型の電子機器に限定されるものでもなく、例えば銀行のATMや駅の券売機など、タッチセンサを有する任意の機器にも適用することができる。さらに、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、後述するように、タッチセンサを有する機器に限定されるものでもなく、タッチセンサを備えない電子機器にも適用することができる。
【0022】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器1の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子機器1は、制御部10と、タッチセンサ20と、表示部30と、荷重検出部40と、触感呈示部50と、記憶部60と、を備えている。
【0023】
制御部10は、電子機器1を構成する各機能部をはじめとして、電子機器1の全体を制御および管理する。制御部10において行われる処理のうち、本実施の形態特有のものについては、後述する。
【0024】
タッチセンサ20は、通常、表示部30の前面に重畳させて配設することにより構成し、操作者の指やスタイラスなど(以下、「接触物」と総称する)による接触を検出する。このタッチセンサ20は、接触物による接触を検出することにより、当該接触が検出された位置に対応する信号を制御部10に出力する。このタッチセンサ20は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの方式のものを用いて構成する。なお、タッチセンサ20が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチセンサ20に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチセンサ20が光学式である場合は、タッチセンサ20は当該タッチセンサ20上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチセンサ20に触れることは不要である。
【0025】
表示部30は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、オブジェクトにより構成されるユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。さらに、表示部30は、各アプリケーションに応じて、入力結果など各種情報などの表示も行う。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0026】
荷重検出部40は、タッチセンサ20に対して操作者が操作を行う際にかかる押圧荷重を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。
【0027】
触感呈示部50は、タッチセンサ20を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。この触感呈示部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチセンサ20に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、触感呈示部50は、制御部10から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
【0028】
記憶部60は、例えばNAND型フラッシュメモリ等によって構成し、電子機器1において実行する各種のアプリケーションを記憶するのみならず、各種の情報を記憶することができる。特に、本実施の形態において、記憶部60は、タッチセンサ20が検出する接触の位置を、任意のタイミングで記憶することができ、さらに、当該接触の位置の履歴なども記憶することができる。また、本実施の形態において、記憶部60は、荷重検出部40が検出する押圧荷重も任意のタイミングで記憶することができ、さらに、当該押圧荷重の履歴なども記憶することができる。
【0029】
次に、上述したタッチセンサ20および表示部30と、荷重検出部40および触感呈示部50との構成上の関係について説明する。
【0030】
図2は、図1に示した電子機器1のタッチセンサ20、表示部30、荷重検出部40、および触感呈示部50の実装構造の一例を示す図である。図2(A)は要部断面図であり、図2(B)は要部平面図である。
【0031】
図2(A)に示すように、各種の表示を行う表示部30は、筐体90内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ94を介して、タッチセンサ20を保持する。なお、本実施の形態に係る電子機器1は、表示部30およびタッチセンサ20を平面視で矩形状とする。図2においては、タッチセンサ20は、正方形状として示してあるが、タッチセンサ20を実装する電子機器1の仕様に応じて、長方形等とすることもできる。また、この電子機器1は、タッチセンサ20を、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ94を介して、表示部30に保持する。
【0032】
また、筐体90には、表示部30の表示領域から外れたタッチセンサ20の表面領域を覆うようにアッパカバー92を設け、このアッパカバー92とタッチセンサ20との間に、弾性部材からなるインシュレータ96を配設する。
【0033】
なお、タッチセンサ20は、例えば、表面すなわち操作者による操作が行われる面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧荷重に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
【0034】
さらに、本実施の形態に係る電子機器1は、タッチセンサ20の表面の透明フィルム上で、アッパカバー92で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ20に加わる押圧荷重を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、タッチセンサ20の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、タッチセンサ20を振動させるための圧電素子または超音波振動子などを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す電子機器1は、図1に示した荷重検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、触感呈示部50を2つの振動子を用いて構成している。荷重検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値などから荷重を検出する。触感呈示部50は、例えば、2つの振動子を同相で駆動する。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体90、アッパカバー92、およびインシュレータ96の図示を省略している。
【0035】
次に、本実施の形態に係る電子機器1による処理について説明する。
【0036】
本実施の形態に係る電子機器1は、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う。ここで、複数の段階に区分した押圧荷重とは、荷重検出部40が検出する押圧荷重を、任意の複数の段階に区分したものとすることができる。以下の説明においては、説明の簡略化のために、荷重検出部40が検出する押圧荷重を、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を基準として区分した場合について説明する。これらの基準においては、便宜的に、第1の押圧荷重P1よりも、第2の押圧荷重P2の方が大きな(高い)押圧荷重の基準であるものとして説明する。なお、後述するように、これらの第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2は、予め定められた固定値ではなく、操作者の操作に基づいて設定される可変値である。
【0037】
以下の説明においては、荷重検出部40が検出する押圧荷重について、第1の押圧荷重P1を超える押圧荷重を第1段階の押圧荷重とし、さらに第2の押圧荷重P2を超える押圧荷重を第2段階の押圧荷重として区分する。そして、電子機器1は、検出された押圧荷重の変化量に応じて、上述した第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を基準として区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理として、第1の処理または第2の処理を行うものとして説明する。しかしながら、本発明による電子機器は、さらに多くの基準によって押圧荷重を区分して、さらに多数の異なる処理を行うこともできる。
【0038】
すなわち、以下の説明においては、電子機器1は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理として第1の処理を行い、また、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理として第2の処理を行う。ここで、第1の処理および第2の処理とは、電子機器1が行う任意の処理とすることができる。例えば、第1の処理は、電子機器1において実行される音楽プレーヤのアプリケーションにおいて、音楽ファイルの再生を開始する処理とすることができる。この場合において、第2の処理は、例えば、音楽ファイルの早送りを開始する処理とすることができる。
【0039】
図3は、本実施の形態に係る電子機器1による処理を説明するフローチャートである。本実施の形態による処理が開始するに際し、制御部10は、タッチセンサ20が検出する接触を監視するとともに、荷重検出部40が検出する押圧荷重を監視する。特に、本実施の形態において、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の変化の履歴を記憶部60に記憶しながら監視を行うのが好適である。また、以下の説明においては、荷重検出部40が検出する押圧荷重に基づく制御部10の処理について重点的に説明する。実際に電子機器1が行う処理においては、表示部30に表示された特定のオブジェクトに対応する位置における接触をタッチパネル20が検出した場合に、以下説明するような処理を行うのが好適である。
【0040】
図3に示す処理が開始すると、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が予め規定された所定値以上になったか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、ステップS11においては、操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を検出する。操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を行うと、その時点から、荷重検出部40が検出する押圧荷重は急激に増加する。したがって、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったことを判定することにより、操作者がタッチセンサ20を意図して押下した操作を検出することができる。
【0041】
本実施の形態においては、操作者の意図に基づく押下操作を検出することができるように、押圧荷重の単位時間あたりの変化量の適切な所定値を予め規定して、例えば記憶部60に記憶させておく。また、押下操作が行われた際の押圧荷重の単位時間あたりの変化量は、操作者によって若干の個人差があることも想定される。このため、予め規定された変化量の所定値を後から変更して調整できるようにしたり、あるいは操作者が押圧操作を行う際の押圧荷重をサンプリングすることによって、押圧荷重の単位時間あたりの変化量の適切な所定値を規定するようにしてもよい。
【0042】
図4は、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の一例を説明するグラフである。図4において、横軸は時間の経過を表し、縦軸は荷重検出部40により検出された押圧荷重を表している。図4は、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持されているが、T0の時点(A点)からは操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行っている様子を表している。
【0043】
ステップS11においては、図4のA点に示すグラフの変化のように、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の傾きが急峻に変化する時点を検出する。なお、図4においては、操作者が原点Oにおいてタッチセンサ20に対する押圧操作を開始してからの押圧荷重の時間変化を2通り示してある。すなわち、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点を経て変化する場合と、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がC点を経て変化する場合と、を示してある。
【0044】
ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されない場合、制御部10は、その時点で検出されている押圧荷重を、検出される押圧荷重のゼロ点とする「ゼロ点補正」を行う(ステップS12)。図4に示した押圧荷重の時間変化のグラフにおいて、原点Oから操作者が操作開始してからA点までは、押圧荷重の単位時間あたりの変化量は大きくなく、所定値以上になっていない(ステップS11においてNo)。この場合、制御部10は、荷重検出部40が検出している荷重をゼロとして、ステップS11に戻って処理を続行する。このような処理の結果、図4に示すグラフのA点においては、A点で検出されている押圧荷重(P0)が基準のゼロ点となっている。
【0045】
一方、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されたら、制御部10は、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する(ステップS13)。本実施の形態において、第1の押圧荷重P1とは、第1段階の押圧荷重を規定する基準となる閾値であり、この第1段階の押圧荷重には第1の処理が関連付けられている。同様に、第2の押圧荷重P2とは、第2段階の押圧荷重を規定する基準となる閾値であり、この第2段階の押圧荷重には第2の処理が関連付けられている。
【0046】
ステップS13において設定される第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値は、以下のようにして設定することができる。まず、図4に示すように、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から、所定の短い時間ΔTが経過した時点T1を設定する。本実施の形態では、時点T1において操作者の操作による押圧荷重の段階を確定させるため、所定の短い時間ΔTは、操作者が押圧荷重の増加を開始してから当該押圧荷重の段階を確定させるのに適切な例えば1秒などの時間を予め規定しておくのが好適である。また、予め規定された時間ΔTを後から変更して調整できるようにしたり、あるいは操作者が押圧操作を行う際の押圧荷重の時間変化をサンプリングすることによって、適切な時間ΔTを規定するようにしてもよい。
【0047】
時点T1が設定されたら、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、押圧荷重P0に荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定する。この第1の押圧荷重P1が、第1段階の押圧荷重の基準となる。同様に、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、押圧荷重P0に荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定する。この第2の押圧荷重P2が、第2段階の押圧荷重の基準となる。このように、本実施の形態においては、第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2を設定することにより、荷重検出部40が検出する押圧荷重を複数の段階に区分する。
【0048】
ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS14)。
【0049】
ステップS14において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定された場合、制御部10は、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS15)。第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS16)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0050】
図4に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がC点に至る場合、時点T1において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0051】
一方、ステップS14において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されない場合、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS18)。第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS19)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0052】
図4に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点に至る場合、時点T1における押圧荷重は、第2の押圧荷重P2を超えていないが、第1の押圧荷重P1を超えている。この場合、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0053】
また、ステップS17において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合、制御部10は、第1の処理も第2の処理も開始せずに処理を終了する。なお、図3においては説明の便宜上処理の終了を示しているが、図3に示す処理が終了した際に、操作者による操作を検出するモードがまだ継続している場合には、再び開始に戻って処理を続行する。
【0054】
ステップS19で呈示する触感は、ステップS16で呈示する触感と同じものとすることもできるが、異なる触感とすることにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器1が開始した処理を、触感によって区別することができる。なお、本発明においては、ステップS16およびステップS19において触感を呈示することは必須ではない。例えば、触感の呈示に代えて、または触感の呈示とともに、表示部30における表示を変化させたり、または図示しない音声出力部から音声を出力することによって、第2の処理が開始された旨を操作者に認識させてもよい。
【0055】
このように、本実施の形態において、制御部10は、所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する。特に、上述した処理において、「所定時間」とは、基準時(T0)から所定時間経過した時点(T1)までの時間とするのが好適である。すなわち、制御部10は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に荷重検出部40により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御するのが好適である。また、この場合において、「基準時」とは、荷重検出部40により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点(A点が判定される時点T0)とするのが好適である。しかしながら、本発明において、これら所定時間や基準時は上述した態様に限定されるものではなく、種々の態様で設定することができる。
【0056】
本実施の形態では、操作者が意図して押圧操作を開始した時点(A点)で検出されていた押圧荷重(P0)に基づいて、第1段階の押圧荷重の基準となる第1の押圧荷重P1および第2段階の押圧荷重の基準となる第2の押圧荷重P2が設定される。このため、操作者が予めタッチセンサ20に接触していた場合であっても、その時点の押圧荷重を基準として、所定時間において検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理が行われる。したがって、本実施の形態によれば、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0057】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0058】
第2実施の形態は、上述した第1実施の形態において、制御部10による処理を変更するものである。すなわち、第2実施の形態は、第1実施の形態に係る電子機器1において、図3で説明したステップS13から後の処理を変更するものである。具体的には、第2実施の形態では、荷重検出部40により検出される押圧荷重が第1段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1において判定し、当該押圧荷重が第2段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1よりも後の時点T2において判定する。
【0059】
第2実施の形態に係る電子機器2は、上記の点以外においては、上述した第1実施の形態で説明した電子機器1と基本的に同じ機器構成および制御により実現することができる。このため、以下、第1実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0060】
図5は、第2実施の形態に係る電子機器2による処理を説明するフローチャートである。
【0061】
図5に示す処理が開始すると、ステップS11において、制御部10は、荷重検出部40が検出する押圧荷重の単位時間あたりの変化量が予め規定された所定値以上になったか否かを判定する。ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されない場合、制御部10は、ステップS12においてゼロ点補正を行う。一方、ステップS11において押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になったと判定されたら、制御部10は、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する。
【0062】
以下、本実施の形態における第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定について説明する。
【0063】
上述した第1実施の形態においては、押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から時間ΔTが経過した時点に、T1を設定した。そして、時点T1が設定されたら、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定し、押圧荷重P0に荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定した。
【0064】
第2実施の形態においては、図6に示すように、押圧荷重の単位時間あたりの変化量が所定値以上になった(A点)と判定された時点T0から時間ΔT1が経過した時点に、時点T1を設定する。また、第2実施の形態においては、図6に示すように、時点T0から時間ΔT1よりも長い時間ΔT2が経過した時点に、時点T2を設定する。なお、図6は、図4と同様に、操作者の操作による押圧荷重の時間変化の一例を説明するグラフである。図6においても、横軸は時間の経過を表し、縦軸は荷重検出部40により検出された押圧荷重を表している。
【0065】
そして、第2実施の形態においては、時点T1が設定されたら、図6に示すように、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として荷重ΔP1を付加することにより、第1の押圧荷重P1を設定する。さらに、第2実施の形態においては、時点T2が設定されたら、図6に示すように、時点T0におけるゼロ点補正された押圧荷重P0を基準として、荷重ΔP1よりも大きな荷重ΔP2を付加することにより、第2の押圧荷重P2を設定する。
【0066】
第2実施の形態において、時間ΔT1は、第1実施の形態で説明した所定の短い時間ΔTとほぼ同様の趣旨に基づいて設定するものである。しかしながら、第2実施の形態において、時点T0から時間ΔT1が経過した時点T1は、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定するためにのみ用いる。このため、時間ΔT1は、第1実施の形態で説明した時間ΔTよりも若干短い時間、例えば0.5秒などの時間としてもよい。また、第2実施の形態において、時点T0から時間ΔT2が経過した時点T2は、押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定するためにのみ用いる。このため、時間ΔT2は、上述した時間ΔT1よりも長い時間とするのが好適であり、例えば1秒などの時間としてもよい。
【0067】
このようにして、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS21)。
【0068】
ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS22)。第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS23)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器2が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0069】
図6に示すように、操作者が押圧操作を開始して、A点の時点において強めた押圧荷重がB点に至る場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えている。この場合、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0070】
ステップS22で第1の処理が開始されステップS23で触感が呈示されたら、制御部10は、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS24)。なお、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合は、制御部10は、ステップS22およびステップS23の処理を行わずに、ステップS24の処理に移行する。
【0071】
ステップS24において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、ステップS22において第1の処理が開始されて実行中であるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において第1の処理が実行中であると判定されたら、制御部10は、当該第1の処理をキャンセルしてから(ステップS26)、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS27)。
【0072】
一方、ステップS25において第1の処理が実行中であると判定されない場合、制御部10は、ステップS26の処理を行わずに、ステップS27に移行して第2の処理を開始するように制御する。
【0073】
ステップS27において第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS28)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器2が適切に処理を開始したことを認識することができる。また、ステップS24において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないと判定されたら、制御部10は、図5に示す処理を終了する。
【0074】
図6は、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持されているが、T0の時点(A点)からは操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行っている様子を表している。
【0075】
図6に示す例において、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っており、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされるとともに、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0076】
このように、本実施の形態において、制御部10は、第1の所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行うように制御する。また、制御部10は、第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において荷重検出部40により検出される押圧荷重の変化量に応じて、第1の処理をキャンセルするとともに、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御する。
【0077】
以下、本実施の形態において行われる電子機器2の処理を、いくつかの例について説明する。以下の説明において、操作者がタッチセンサ20に対して接触する操作を原点Oにおいて開始(操作開始)してから少しの間は押圧荷重が低く維持され、T0の時点(A点)から操作者がタッチセンサ20を意図して押下する操作を行うまでは従前と同じである。したがって、この時点までに行われる処理の説明は省略する。
【0078】
図7に示す例においては、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされずに第1の処理が行われたままになる。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理は行われない。
【0079】
図8に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えており、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされるとともに、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0080】
図9に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えているが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において開始された第1の処理は時点T2においてキャンセルされずに第1の処理が行われたままになる。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理は行われない。
【0081】
図10に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないため、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理は行われない。一方、時点T2においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0082】
図11に示す例においても、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っている。この例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えておらず、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないため、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理は行われない。また、時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないため、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理も行われない。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、第1実施の形態で説明した電子機器1と同様に、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0084】
また、第2実施の形態によれば、検出される押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する時点T1と、第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する時点T2とをずらして設定している。このように、大きな押圧荷重について判定するポイントを少し後にずらすことによって、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたか否か、および第2の押圧荷重P2を超えたか否かを、第1実施の形態よりも高い精度で判別することができる。
【0085】
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0086】
第3実施の形態は、第2実施の形態と同様に、第1実施の形態において、制御部10による処理を変更するものである。すなわち、第3実施の形態は、第2実施の形態に係る電子機器2において、図5で説明したステップS21から後の処理を変更するものである。具体的には、第3実施の形態でも、荷重検出部40により検出される押圧荷重が第1段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1において判定し、当該押圧荷重が第2段階の押圧荷重に達しているか否かを時点T1よりも後の時点T2において判定する。しかしながら、第3実施の形態においては、時点T1および時点T2における判定に基づいて、時点T2において、第1または第2の処理を行う。
【0087】
第3実施の形態に係る電子機器3は、上記の点以外においては、上述した第2実施の形態で説明した電子機器2と基本的に同じ機器構成および制御により実現することができる。このため、以下、第1および第2実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0088】
図12は、第3実施の形態に係る電子機器3による処理を説明するフローチャートである。
【0089】
図12に示す処理が開始すると、ステップS11からステップS13までの処理は第2実施の形態と同様に行う。なお、ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値を設定する処理も、第2実施の形態と同様に行う。ステップS13において第1の押圧荷重P1および第2の押圧荷重P2の値が設定されたら、制御部10は、時点T1において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する(ステップS21)。
【0090】
ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された場合、制御部10は、それから、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS31)。
【0091】
ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理を開始するように制御する(ステップS32)。
【0092】
ステップS32において第2の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS33)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器3が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0093】
一方、ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されない場合、制御部10は、第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理を開始するように制御する(ステップS34)。
【0094】
ステップS34において第1の処理が開始されたら、制御部10は、その旨を操作者に認識させるために、タッチセンサ20を振動させることにより触感を呈示するように触感呈示部50を制御する(ステップS35)のが好適である。これにより、操作者は、自己の押圧操作に基づいて電子機器3が適切に処理を開始したことを認識することができる。
【0095】
また、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定されない場合、制御部10は、それから、時点T2において荷重検出部40が検出する押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する(ステップS36)。
【0096】
ステップS36において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、制御部10は、ステップS32の処理に移行して第2の処理を開始してから、ステップS33において触感を呈示するように制御するのが好適である。一方、ステップS36において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていないと判定されたら、制御部10は、図5に示す処理を終了する。
【0097】
以下、第3実施の形態に係る電子機器3による処理を、第2実施の形態で説明した図6を再度用いて説明する。
【0098】
上述したように、図6に示す例において、操作者がA点の時点において強めた押圧荷重は、B点を経てC点に至っており、時点T1において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超え、さらに時点T2において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、このT1の時点で第1の処理は開始されない。その後、時点T2においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えており、このT2の時点で第2の処理が開始される。
【0099】
このように、本実施の形態において、制御部10は、第1の所定時間および第2の所定時間の双方において荷重検出部40によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する。ここで、第2の所定時間は、第1の所定時間よりも長い時間とするのが好適である。
【0100】
以下、第2実施の形態と同様に、第3実施の形態において行われる電子機器3の処理を、図7乃至図11に示した例について説明する。
【0101】
図7に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているが、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T1の時点において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことに基づいて、時点T2において第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0102】
図8に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えており、T2の時点(C点)において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T2の時点において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えたことに基づいて、時点T2において第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0103】
図9に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を(さらに第2の押圧荷重P2も)超えているが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T1の時点において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことに基づいて、時点T2において第1段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第1の処理が開始される。
【0104】
図10に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていないが、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えている。この場合、時点T1においては第1の処理も第2の処理も開始されないが、T2の時点において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えたことに基づいて、時点T2において第2段階の押圧荷重に関連付けられた処理である第2の処理が開始される。
【0105】
図11に示す例においては、T1の時点(B点)においては押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えておらず、T2の時点(C点)においては押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていない。この場合、時点T1においても時点T2においても、第1の処理も第2の処理も開始されない。
【0106】
このように、本実施の形態によれば、第1実施の形態で説明した電子機器1と同様に、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出する際に、押圧荷重の段階を操作者の意図通りに判別することができる。
【0107】
また、第3実施の形態においても、検出される押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えているか否かを判定する時点T1と、第2の押圧荷重P2を超えているか否かを判定する時点T2とをずらして設定している。したがって、第3実施の形態においても、第2実施の形態と同様に、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたか否か、および第2の押圧荷重P2を超えたか否かを、第1実施の形態よりも高い精度で判別することができる。
【0108】
なお、図12においては、ステップS31において押圧荷重が第2の押圧荷重P2を超えていると判定されたら、ステップS34において第1の処理を開始するとともに、ステップS35において触感を呈示するものとして説明した。しかしながら、上述したように、本発明において、触感を呈示することは必須ではなく、例えば、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えていると判定された際に(ステップS21のYesの後)、ステップS35のように触感を呈示してもよい。このようにすれば、ステップS21において押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたと判定された際すぐに第1の処理が開始されなくても、触感が呈示されることにより、操作者は、押圧荷重が第1の押圧荷重P1を超えたことを認識できる。
【0109】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、上述した各実施の形態においても適宜説明したように、幾多の変形または変更が可能である。また、図3、図5、および図12において説明した各実施の形態に係る電子機器による処理を説明するフローチャートは、各実施の形態において行うことができる処理の流れの典型例の1つを示したものに過ぎない。したがって、各実施の形態における処理の流れは、論理的に矛盾が無いようにして、適宜変更を行ったり、ある処理を省略または付加したり、処理の順序を変更したりすることもできる。
【0110】
また、本発明は、タッチセンサを備えた電子機器に適用するのが好適であるが、操作者の操作による押圧荷重を複数の段階に区分して検出することにより、押圧荷重の段階を判別するものであるため、タッチセンサを備えた機器に限定されるものではない。例えば、本発明は、荷重検出部を備えるが、タッチセンサを備えない電子機器にも適用することができる。この場合、例えば、通常の操作部を構成するキーやボタン等に対して操作者が操作を行う際の押圧荷重を検出することができるように、当該キーやボタン等に対する押圧荷重を検出する荷重検出部を備えるようにするのが好適である。あるいは、特にキーやボタン等が押圧荷重を検出することが必須ではない場合には、例えば操作者が電子機器の筐体を直接押圧する際の押圧荷重を検出する荷重検出部を備えるような態様も考えることができる。
【0111】
また、上記実施の形態では、タッチセンサ20を用いて、当該接触検出部のタッチ面に対する接触を検出したが、荷重センサ(荷重検出部)を用いて、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、接触がなされたものと判定することもできる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチセンサ20に設けたものとして構成することができる。
【0112】
また、このような荷重検出部は、タッチセンサ20における接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0113】
また、触感呈示部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチセンサ20の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および触感呈示部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。この場合、触感呈示部50は、荷重検出部も兼ねる圧電素子の出力に基づいて押圧荷重を検出するとともに、例えば押圧荷重の基準が設定された際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。
【0114】
上述した実施の形態においては、タッチセンサ20を表示部30の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチセンサ20と表示部30とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチセンサ20を表示部30の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
【0115】
また、本実施の形態の説明における表示部30およびタッチセンサ20は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置に接触するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、接触の位置を検出することができる。
【0116】
さらに、上述した各実施の形態の説明においては、例えば所定量「以上」や、所定の押圧荷重を「超えて」いる、等の表現を用いているが、これらの数値が閾値としての端値を含むか否かの表現は、適宜置換できるものとする。例えば、「以上」と「未満」、および「超えている」と「以下」等の表現は、適宜置き換えることができるものとする。
【符号の説明】
【0117】
1 電子機器
10 制御部
20 タッチセンサ
30 表示部
40 荷重検出部
50 触感呈示部
60 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器であって、
押圧荷重を検出する荷重検出部と、
所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点を基準時として、当該基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、第1の所定時間および当該第1の所定時間よりも長い第2の所定時間の双方において前記荷重検出部によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、第1の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行い、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記第1の処理をキャンセルするとともに、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項1】
複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理を行う電子機器であって、
押圧荷重を検出する荷重検出部と、
所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が単位時間に所定量以上増加した時点を基準時として、当該基準時から所定時間経過した時点における前記基準時に前記荷重検出部により検出された押圧荷重からの変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、第1の所定時間および当該第1の所定時間よりも長い第2の所定時間の双方において前記荷重検出部によりそれぞれ検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、第1の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第1の処理として行い、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間において前記荷重検出部により検出される押圧荷重の変化量に応じて、前記第1の処理をキャンセルするとともに、前記複数の段階に区分した押圧荷重毎に関連付けられた処理のうち、いずれかの処理を第2の処理として行うように制御する、請求項1に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−37497(P2013−37497A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172392(P2011−172392)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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