説明

電子機器

【課題】ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすること。
【解決手段】電装ユニット303がシート後処理装置本体100に収納されている場合に、シート後処理装置本体100から電装ユニット303に電力を出力するための出力コネクタ333と、出力コネクタ333を介して電力を電装ユニット303に入力するための入力コネクタ335と、電装ユニット303がシート後処理装置本体100から引き出されている場合に、シート後処理装置本体100から電装ユニット303に電力を出力するための出力コネクタ333とは異なる出力コネクタ337と、出力コネクタ337を介して電力を電装ユニット303に入力するための入力コネクタ339と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、複合機、各種印刷機等の画像形成装置や、画像形成装置により画像を形成されたシート材を排出手段により排出するための後処理装置等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタや複写機等の画像形成装置では、シート後処理装置が画像形成装置の後段に接続され、画像形成装置本体側で印字されたシートについて、順次、後処理を施して排出するタイプのものが知られている。また一般的にシート後処理装置は、画像形成装置の側面や外装内部に配置されている。シート後処理装置におけるジャム処理時や、整合調整、貼位置調整、折り位置調整などの調整が必要な場合や、様々なテストモードの場合には、次のようにして対応するタイプのものが知られている。すなわち、外装蓋を開けて装置内部の電装ユニットや駆動ユニットの一部を、電気的に接続されたまま引き出すタイプのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば図10(a)で、シート後処理装置からステープルホルダHを引き出した状態(以下、交換ポジション状態)でもケーブルを接続した状態、すなわちコネクタ603とコネクタ604が勘合し電気的に接続した状態にする必要がある。このため、ケーブル605は長めに設定されていた。そのために、次にステープルホルダHの位置が装置内に格納された状態(以下、動作ポジション状態)になると、その長めのケーブルが、シート後処理装置内で複雑に折り曲がり、場合によっては線かみの可能があった。そこで、例えば図10(a)では、動作ポジション状態で長いケーブル605が折り曲がりや線かみを起こさないように線バネ606でケーブル605を保持している。また、図10(b)では、ケーブル605を伸縮するコイル状の樹脂コード(以下、カールコード)にすることにより、ステープルホルダHが交換ポジション状態ではカールコードが伸び切り、動作ポジション状態ではカールコードが縮む構成としている。そのため、ステープルホルダHの位置によらず常にケーブル605は最適な長さを保つことが可能となり、線かみが生じる可能性が少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−320502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなシート後処理機能を有する電装ユニットでは、装置外部に露出する引き出し束線により接続されているため、電装ユニットの移動に応じて引き出し線も連れ動かされ、少なからず長めの束線が必要になる。すなわち、束線を用いる構成では、電装ユニットを移動させる際に、束線が電装ユニットのケーシングとシート後処理装置本体の間に挟まってしまう線かみが発生する可能性が少なからず残っていた。そのために、束線自体や束線の周囲、またその接続部には高い信頼性を保つことが課題となっている。このため、束線を用いずに電力供給又は信号の送受信をすることが求められる。そして束線を用いない場合に、例えばユニットが装置本体に収納されているときと引き出されたとき等、ユニットの状態に応じた電力供給又は信号の送受信をすることが求められている。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0008】
(1)装置本体と、前記装置本体と電気的に接続され、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を備える電子機器であって、前記ユニットが前記装置本体に収納されている場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための第一出力部と、前記第一出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第一入力部と、前記ユニットが前記装置本体から引き出されている場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための前記第一出力部とは異なる第二出力部と、前記第二出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第二入力部と、を備えることを特徴とする電子機器。
【0009】
(2)装置本体と、前記装置本体と電気的に接続され、前記装置本体が有する回転軸を中心に回動し開状態又は閉状態となるユニットと、を備える電子機器であって、前記ユニットが閉状態である場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための第一出力部と、前記第一出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第一入力部と、前記ユニットが開状態である場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための前記第一出力部とは異なる第二出力部と、前記第二出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第二入力部と、を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例のシート後処理装置における概略図
【図2】実施例のシート後処理装置のブロック図
【図3】実施例の非接触給電の原理を示す図、非接触給電の機能回路図
【図4】実施例1の電装ユニットを収納したときと引き出したときの構成図
【図5】実施例2の電装ユニットを収納したときと引き出したときの構成図
【図6】実施例3の電装ユニットを収納したときと引き出したときの構成図
【図7】実施例4との比較のための従来の回動扉の構成図
【図8】実施例4の回動扉を閉めたときと開いたときの説明図
【図9】実施例4の回動扉を閉めたときと開ききったときの説明図
【図10】従来例のシート後処理装置の電装ユニットの接続構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
[シート後処理装置]
図1は、電子機器の一例としてのシート後処理装置と画像形成装置本体との接続を含めた構成を概略的に示す図である。画像形成装置本体(以下、単に本体とする)300の後段には、本体300から排出される画像形成の終了したシートを積載するシート後処理装置100が接続されている。このシート後処理装置100には、積載手段である複数の積載トレイ(例えば、本実施例では、下トレイ201、上トレイ200)が設けられている。画像が定着されたシートPは、本体300から排出ローラ対922により排出され、シート後処理装置100の入口ローラ対2に搬送される。シート後処理装置100の入口ローラ対2、3は、搬送方向に直交する方向に移動可能な搬送ローラである。また、搬送経路には、紙検知センサ4、搬送方向と平行なシート側端面を検知する横位置検知センサ5、搬送されてきたシートPの後端付近に穴あけをするパンチ・ダイ6を備えたパンチユニット7が順次設けられている。また、搬送大ローラ8は、押下コロ9、10、11によってシートPを押圧することにより、シートPを搬送するように構成されている。
【0014】
また、切り替えフラッパ12は、シートPの搬送先をノンソートパス13とソートパス14の一方に切り替え可能に構成されている。ノンソートパス13を通過したシートPは、上側の排出ローラ対15により、第1の排出口から上トレイ200に排出されて積載される。この上トレイ200は、上排紙紙面検知センサ25の検知結果に基づいて不図示の上トレイモータM1の駆動によって上下移動可能に構成され、上トレイ200のシートPの上面位置がシートPの排出に最適な位置に保たれるようになっている。即ち、トレイ上のシートPの積載状況(積載量)に応じて上トレイ200の位置が調整される。切り替えフラッパ16は、ソートパス14とシートPを一時蓄えて滞留させるためのバッファパス17の切り替えを行う。また、上トレイ200は、後述するシート束排出ローラ対20a,20bによりシートPが排出される第2の排出口よりも下側の位置まで移動可能に構成されている。従って、上トレイ200も、シート束排出ローラ対20a,20bにより排出されるシートを受け取ることが可能である。
【0015】
他方、ソートパス14には、搬送ローラ21及び不図示の排出ローラが設けられている。また、シートPを一時的に集積させて整合・ステープルを行うための処理トレイ23が設けられており、排出ローラによって、この処理トレイ23上にシートPが排出される。また、処理トレイ23に積載されたシートPを上トレイ200及び下トレイ201へ排出するため、シート束排出ローラ20bを上下に揺動する揺動ガイド24が設けられている。この揺動ガイド24に支持されたシート束排出上ローラ20bは、揺動ガイド24が閉位置にきたときに、処理トレイ23に配置されたシート束排出下ローラ20aと協働して、処理トレイ23上のシートPを上トレイ100または下トレイ201上に束排出する。シート束排出下ローラ20a及びシート束排出上ローラ20bから構成されるシート束排出ローラ対20により、処理トレイ23上のシート束を上トレイ100または下トレイ201上に排出させる第2の排出口が形成されている。
【0016】
下トレイ201は、不図示の下排紙紙面検知センサの検知結果に基づいて不図示の下トレイモータの駆動によって上下移動可能に構成され、下トレイ201のシートPの上面位置が排出に適切な位置に保たれるようになっている。即ち、トレイ上のシートPの積載状況(積載量)に応じてトレイの位置が調整される。本実施例では、上トレイ200、下トレイ201はそれぞれ別のモータで駆動されるが、1つのモータを用いてクラッチにより駆動連結を行う形態をとっても良い。また、図1に示すように、上トレイ200及び下トレイ201は、シート後処理装置100の外装内にある前支柱610a(図面手前)及び後支柱610b(図面奥)に機械的ギアで支持されている。また、これらの上トレイ200及び下トレイ201内に実装されたモータ(図示せず)により上下移動可能に構成されている。
【0017】
[シート後処理装置のブロック図]
図2は、図1に示すシート後処理装置100の構成を示すブロック図である。但し、シートPの排紙出口は一個の場合で説明する。シート後処理装置100は、シート後処理装置制御部302と、駆動部を含む電装ユニット303とを備える。電装ユニット303への電力供給は、出力コネクタ333と入力コネクタ335又は出力コネクタ337と入力コネクタ339が勘合することにより行われる場合と、結合部304により行われる場合とがある。以降、前者による電力供給を接触方式による給電といい、後者による電力供給を非接触方式による給電という。結合部304は、図3(a)を用いて後述する。
【0018】
シート後処理装置制御部302は、結合部304へ電力を供給する給電部305と、給電部305へ電源を供給する駆動電源供給部306と、給電部305を制御するI/F制御部308とを備える。また、シート後処理装置制御部302は、シート後処理装置制御部302や電装ユニット303全体を制御するCPU309を備える。また、シート後処理装置制御部302は、無線通信である制御線311を介して電装ユニット303と情報を送受する無線通信部1 310を備える。制御線311は、結合部304(非接触方式)やコネクタ(333、335、337、339)(接触方式)の電力線を除いたものである。更に、シート後処理装置制御部302は、コネクタ接合(接触方式)により電力を電装ユニット303に供給可能な電源出力部332と、電源出力部332に接続された出力コネクタ333、出力コネクタ337とを備える。
【0019】
結合部304は、一次コイルとして構成されている固定された給電線307と、二次コイルとして構成されている移動可能な受電線328とを有する。給電線307すなわち一次コイルに電流が流れると、移動可能なフェライトなどから成るピックアップ鉄心が発生した磁界(磁束)をピックアップし、これにより二次コイルすなわち受電線328に誘導電流が流れる。すなわち、結合部304において、一次と二次は電磁誘導により非接触結合されている。よって、受電線328を有する電装ユニット303は、給電線307に沿って電力供給を受けながら移動することが可能となる。このように、移動中も電力供給が可能であるため、このような非接触方式による給電方式を、移動式連続給電方式とよぶこととする。送電面341及び受電面343については後述する。尚、給電部305、結合部304、受電部321の詳細は、図3(b)で後述する。
【0020】
電装ユニット303は、結合部304から電力を供給される受電部321と、電装ユニット303の各種設定のための操作入力部323と、電装ユニット全体を制御するI/F制御部322とを備える。また、電装ユニット303は、受電部321からの電力により動作するモータドライバ324と、モータドライバ324により駆動される搬送1モータ325と、搬送2モータ326と、制御線311により情報を送受する無線通信部2 327と、を備える。更に、電装ユニット303は、コネクタ接合により電力をシート後処理装置制御部302から受取り可能な電源入力部334と、電源入力部334に接続された入力コネクタ335、入力コネクタ339とを備える。
【0021】
また、位置検知センサS1 331は、電装ユニット303のシート後処理装置100に対する相対位置が、結合部304による非接触給電側にあるか、出力コネクタ333と入力コネクタ335が結合された側にあるかを検知する。即ち、位置検知センサS1は検知手段として機能する。なお、位置検知センサS1は、例えばスイッチや光センサのような既知のセンサでよい。位置検知センサS1 331による検知結果は、例えばCPU309に出力され、CPU309は入力された検知結果に基づき、電装ユニット303がシート後処理装置100内に収納されているのか、引き出されているのかを判断する。そしてCPU309は、位置検知センサS1の検知結果に基づき、給電方式を切り替える。すなわち、CPU309は、位置検知センサS1の検知結果から、電装ユニット303がシート後処理装置100に収納されている状態から引き出された状態に変化した場合に、例えば、出力コネクタ333からの出力を出力コネクタ337の出力に切り替える。また、CPU309は、位置検知センサS1の検知結果から、電装ユニット303がシート後処理装置100から引き出されている状態から収納された状態に変化した場合に、例えば、出力コネクタ337から出力コネクタ333の出力に切り替える。即ち、CPU309は切替手段として機能する。尚、電装ユニット303がシート後処理装置100内に収納されているか、引き出されているかの判断は、位置検知センサS1に基づくものに限定されない。例えば、位置検知センサS1がない場合であっても、例えば電源入力部334の入力の有無に基づき判断する構成としてもよい。この場合、電源入力部334の入力の有無の情報は、例えば制御線311を介してシート後処理装置制御部302に送信される。更に、CPU309が判断を行う構成に限定されず、例えばその他の制御回路が判断を行う構成としてもよい。
【0022】
[非接触給電]
図3(a)は、非接触給電の原理を示す図である。一次巻線801は、図2の一次コイルすなわち給電線307に相当し、固定されている。また、二次巻線802は、図2の二次コイルすなわち受電線328に相当し、移動可能である。二次巻線802が巻き付けられたピックアップ鉄心803も、移動可能である。一次巻線801に図に示した方向に高周波電流Iが流れると、電磁エネルギーが発生し、それをピックアップ鉄心803で誘導すると、二次巻線802には、図示した誘導電流Iが流れる。すなわち、電磁誘導の原理である。これにより、シート後処理装置制御部302から電装ユニット303への非接触による電力供給(すなわち、非接触給電)が可能となる。
【0023】
図3(b)は、非接触給電の機能回路図である。給電部305は、図3(b)の給電用インバータ804と共振コンデンサ805に相当する。ここで、給電用インバータ804は、一次側に高周波の電圧を印加し、一次巻線801に高周波電流Iを流す。共振コンデンサ805は、給電線307のインダクタンスと直列共振回路を構成して伝送効率を向上させている。また、結合部304は、一次巻線801とピックアップ鉄心803と二次巻線802から構成されている。また、図3(b)の破線部は図1の電装ユニット303に相当し、共振コンデンサ806とダイオードブリッジなどの整流回路807と平滑コンデンサ808と負荷809から構成される。ここで、平滑コンデンサ806は、受電線328のインダクタンスと並列共振回路を構成して伝送効率を向上させている。また、負荷809は、電装ユニット303が備える搬送1モータ325と搬送2モータ326に相当する。
【0024】
以上の構成により、ユニットの状態に応じた出力部(例えば、結合部や出力コネクタ)から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。そして、束線を用いずに電力又は信号を出力し、ユニットの状態に応じて出力部を切り替えることができる。
【0025】
(実施例1)
上述の構成を適用した実施例1として、電装ユニット303が収納されているときのコネクタとは別のコネクタを用いて、電装ユニット303が引き出されたときの電力供給を行う例を説明する。実施例1は、電装ユニット303が収納されているときも引き出されているときも接触式による給電を行う。
【0026】
図4は、シート後処理装置100と、シート後処理装置100に格納され、シート後処理装置100の外に移動可能な電装ユニット303を示す図である。着脱可能な電装ユニット303は、電気的・機械的にシート後処理装置100に接続されている。電装ユニット303には、図2で説明したように制御基板やモータなどの駆動系を搭載している。図4(a)のように電装ユニット303がシート後処理装置100の内部に格納(収納)されているとき(収納時)は、出力コネクタ333(第一出力部)と入力コネクタ335(第一入力部)が勘合された状態となる。これにより、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が行われる。他方で、図4(b)のように、電装ユニット303が、シート後処理装置100から、外部に引き出された状態のとき(引き出し時)は、出力コネクタ337(第二出力部)と入力コネクタ339(第二入力部)が勘合された状態となる。これにより、この状態で、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が行われる。尚、電装ユニット303が収納された状態から外部に引き出されるまでの間の状態(以下、遷移状態という)、すなわち図4(a)と図4(b)の間の状態にある場合は、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が一時的に停止することになる。しかし、電装ユニット303はマイクロコンピュータなどのマスター機能を有しておらず、また駆動系の負荷系なので、一時的に電源供給が停止することはシーケンス的にも影響がない。
【0027】
また、電装ユニット303がシート後処理装置100の中から外部へ引き出された状態のとき(図4(b))は、サービスモードやメンテナンスの場合である。従って、同時に動作するモータなどの負荷が無かったり、最大電力(最大パワー)で動作する負荷が無かったりするため、電装ユニット303がシート後処理装置100の中に格納された状態の通常動作時よりも、必要とされる電力な少ない。以上の理由により、サービスモードやメンテナンスのときには、必要以上の電力を供給する必要がない。このため、必要のない電力を減らす省電力の観点からも、出力コネクタ337から供給される電力を、出力コネクタ333から供給される電力と同等にする必要はない。そこで、図2の電源出力部332から出力コネクタ337へ接続される電源のチャネルや供給可能容量は、出力コネクタ333へ接続される電源のチャネルや供給可能容量より少なくなっている。
【0028】
このように、電装ユニット303への電源供給は、電装ユニット303がシート後処理装置100の中に収納された状態でも、外部へ引き出された状態でも、いずれも確実に実現可能となる。尚、電装ユニット303と電装ユニット303が有する各種部材は、収納時から引き出し時又は引き出し時から収納時に状態が変わるときに移動するが、本実施例では、移動途中での給電はなされない。このため、例えばこのような方式の給電を、移動式非連続給電方式と呼ぶこととする。
【0029】
尚、本実施例では、電力供給について収納時に接触式、引き出し時に別のコネクタを用いた接触式とする構成を説明した。しかし、情報の信号(データ信号)を送受信する方式についても、束線を用いない本実施例と同様の構成とすることができ、これは以下の実施例においても同様である。接触方式によるデータ信号の送受信について、また、非接触方式によるデータ信号の送受信に関する例えば変調・復調等の技術については公知であり説明を省略する。
【0030】
以上実施例1によれば、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【0031】
(実施例2)
実施例2では、電装ユニット303が収納されているときは接触式による給電を行い、引き出されているときは非接触式による給電を行う。図5(a)のように電装ユニット303がシート後処理装置100の内部に収納されているときは、実施例1と同様に、出力コネクタ333(第一出力部)と入力コネクタ335(第一入力部)が勘合された状態となる。これにより、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が実行される。一方、図5(b)のように、電装ユニット303が、シート後処理装置100から外部に引き出された状態のときは、次のようにして電源供給が実行される。すなわち、図2や図3(b)で説明したように、結合部304に含まれる送電面341(実施例1の出力コネクタ337に相当)(第二出力部)と、受電面343(実施例1の入力コネクタ339に相当)(第二入力部)が非接触の状態で対面した状態となる。この状態でシート後処理装置100から電装ユニット303への非接触方式による電源供給が実行される。また図5の送電面341と受電面343については、次のようになる。すなわち、図5の送電面341は、図3(b)における一次巻線801のピックアップ鉄心803と対面する面である。同様に、図5の受電面343は、図3(b)におけるピックアップ鉄心803の一次巻線801と対面する面である。このとき、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給は非接触状態で実行される。このため、出力コネクタ337の送電面341は、送電コイル(一次巻線801)を備えた送電ユニットで、入力コネクタ339の受電面343は、受電コイル(二次巻線802)を備えた受電ユニットから構成されている。
【0032】
また、電装ユニット303がシート後処理装置100の内部から外部に引き出されるまでの遷移状態の間、シート後処理装置100からの電源供給が一時的に停止する。しかし、電装ユニット303には、マイコンなどのマスター機能を有しておらず、また駆動系の負荷系なのでシーケンス的にも影響がない。更に、図5では、送電コイル(一次巻線801)と受電コイル(二次巻線802)が対面したときのみ充電が実行される静止型非接触充電の構成で示しているが、これを、電装ユニット303が移動しながらでも充電が可能な移動型非接触充電の構成としてもよい。このように、電装ユニット303への電源供給は、電装ユニット303がシート後処理装置100の中に収納された状態でも、外部へ引き出された状態でも、いずれも確実に実現可能となる。
【0033】
また、実施例1と同様に、電装ユニット303が後処理装置100の中から外部へ引き出された状態のときは、収納された状態の通常動作時よりも、必要とされる電力な少ない。このため、実施例1と同様に、本実施例でも、出力コネクタ341から非接触の状態で給電される電力を、出力コネクタ333から接触方式(又は有線)で給電される電力と同等にする必要はない。図3(a)でも説明したように、非接触による給電方式の場合、一次巻線801に流れる電流により発生した磁界(磁束)をピックアップするピックアップ鉄心803により、二次巻線802に誘導電流が流れることで、一次側と二次側は電磁誘導結合されている。このため、その電力供給には変換時の電力損失が生じる。そこで、通常は、その損失分を考慮し増加させることで、一次側から電力供給しなければならないが、上述した理由により、本実施例では、その損失分を考慮することなく電力供給を行っている。
【0034】
以上実施例2によれば、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【0035】
(実施例3)
実施例3は、電装ユニット303が収納されているときも引き出されているときも接触式による給電を行う。実施例1との違いは、入力コネクタ335と入力コネクタ339を1つ(同一)の入力コネクタで構成した点である。図6(a)のように電装ユニット303がシート後処理装置100の内部に収納されているときは、出力コネクタ333(第一出力部)と入力コネクタ335(第一入力部)が勘合された状態となる。これにより、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が実行される。一方、図6(b)のように、電装ユニット303がシート後処理装置100から外部に引き出された状態のときは、出力コネクタ337(第二出力部)と収納時と同じ入力コネクタ335(第二入力部(=第一入力部))が勘合された状態となる。そしてこの状態でシート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給が実行される。また、電装ユニット303がシート後処理装置100の内部から外部に引き出されるまでの遷移状態の間に、シート後処理装置100からの電源供給が一時的に停止する。しかし実施例1と同様に電源供給の一時停止による影響がない。また、実施例1と同様に、電装ユニット303がシート後処理装置100の中に収納された状態の通常動作時よりも、引き出された状態のときは必要とされる電力な少ない。
【0036】
以上の理由により、実施例1と同様に、出力コネクタ337から給電される電力を出力コネクタ333から給電される電力と同等にする必要はない。尚、シート後処理装置100から電装ユニット303への電源供給は物理的な勘合による接触給電でも良いし、物理的な勘合を伴わない非接触状態で実行されても良い。非接触の場合は、実施例2と同様の構成とすることができる。例えば、電装ユニット303が収納されているときも引き出されているときも両方とも非接触方式による給電を行う構成とすることもできる。この場合、入力コネクタ335の受電面343は、収納時と引き出し時とで変わることになる。また、例えば、電装ユニット303が収納されているときは接触方式による給電を行い、引き出されているときは非接触方式による給電を行う構成にもでき、さらにその逆の構成とすることもできる。すなわち、収納時又は引き出し時のいずれか片方だけを非接触とすることもできる。また非接触方式とする場合は、実施例2と同様に、静止型非接触充電(移動中は充電しない方式)の構成でも、移動型非接触充電の構成でもよい。
【0037】
以上実施例3によれば、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【0038】
(実施例4)
実施例4は、本体装置に回動扉を実施したときの構成を説明する。例えば、本体装置としては画像形成装置やシート後処理装置に適用できる。図7は、本実施例の本体装置1001に回動扉1002(ユニット)を実施したときの本実施例との比較のための従来例の構成図である。尚、以降の説明は、束線による電力供給又は信号の送受信と、以下に説明する本実施例の束線を用いない構成とが、混在している場合(図7と図8を併せた構成)にも適用できる。
【0039】
画像形成装置である本体装置1001は、その制御基板1003を、回転軸1008を中心に回動する回動扉1002内に搭載している。またその他の電装基板1004、1005、モータなどの駆動負荷1006は本体装置1001の枠体内に搭載しており、制御基板1003との電気的な接続は束線1007にて行われる。図8は、本実施例の本体装置1001に回動扉1002を実施したときの回動扉1002を開閉したときの構成図である。回動扉1002に搭載された制御基板1003への電源や制御系などの信号線は、回動扉1002が閉じているとき(閉状態)は(図8(a)の状態)、出力コネクタ1011(第一出力部)から入力コネクタ1012(第一入力部)へ伝達される。また、回動扉1002が開いているとき(開状態)は(図8(d)の状態)、出力コネクタ1013(第二出力部)から入力コネクタ1014(第二入力部)へコネクタが勘合していない状態、つまり非接触方式により伝達される。尚、図8(b)、図8(c)は回動扉1002が閉まった状態から開き切った状態となるまでの遷移状態である。尚、本実施例では、回動扉1002が開き切った状態を図示のようにしているが、回動扉が開き切った状態はこの角度に限定されない。
【0040】
図9(a)は、本実施例の回動扉1002を閉じたときの構成図である。ここで、回動扉1002に搭載された制御基板1003への電源や制御系などの信号線は、回動扉1002が閉じているので、勘合面1021にて、出力コネクタ1011から入力コネクタ1012へ伝達される。図9(b)は、本実施例の回動扉1002を開いたときの構成図である。ここで、回動扉1002に搭載された制御基板1003への電源や制御系などの信号線は、回動扉1002が開いているので、対面した状態で、出力コネクタ1013の送電面1031から入力コネクタ1014の受電面1032へ非接触の状態で伝達される。また、実施例1と同様に、回動扉1002が開いた状態のときは、回動扉1002が閉じた状態の通常動作時よりも、必要とされる電力な少ない。そこで、実施例1と同様に、出力コネクタ1013から非接触の状態で給電される電力は、出力コネクタ1011から給電される電力より小さくしている。
【0041】
尚、回動扉1002が閉じた状態か開いた状態かの判断は、実施例1のようにセンサを用いて検知する構成や、電源入力部の入力の有無により検知する構成等により、CPUや制御部が判断する構成でよい。
【0042】
以上実施例4によれば、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【0043】
[その他の実施例]
・実施例1〜3では、例えば電装ユニット303がシート後処理装置100に収納されているときも引き出されているときも、両方とも非接触による給電を行う構成とすることもでき、接触式、非接触式は、様々に組み合わせ可能である。
・実施例4では、例えば回動扉1002が閉じているときも開いているときも、両方とも非接触による給電を行う構成とすることもでき、接触式、非接触式は、様々に組み合わせ可能である。
・実施例1〜3では、装置本体をシート後処理装置とし、装置本体に着脱可能なユニットを電装ユニットとして説明した。しかし、従来、束線により電力供給又は信号の送受信をしていた装置とその装置に着脱可能なユニットの組み合わせであれば、例えば画像形成装置と画像形成装置本体に着脱可能なユニットをはじめ、その他の装置及びその装置に着脱可能なユニットに適用できる。
・実施例4は、画像形成装置やシート後処理装置への適用に限定されず、装置本体が有する回転軸を中心に回動し開閉状態となるユニットを備える装置であり、本体からユニットに電力供給又は信号の送受信を行う構成であれば適用できる。
以上その他の実施例においても、ユニットの状態に応じた出力部から電力又は信号を出力し、束線を用いない構成とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
100 シート後処理装置
303 電装ユニット
333、337 出力コネクタ
335、339 入力コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体と電気的に接続され、前記装置本体に対して着脱可能なユニットと、を備える電子機器であって、
前記ユニットが前記装置本体に収納されている場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための第一出力部と、
前記第一出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第一入力部と、
前記ユニットが前記装置本体から引き出されている場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための前記第一出力部とは異なる第二出力部と、
前記第二出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第二入力部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ユニットが収納されているか引き出されているかを検知する検知手段と、
前記検知手段による検知の結果、前記ユニットが前記装置本体に収納されている状態から引き出された状態に変化した場合は、前記装置本体から前記ユニットへの電力又は信号の出力を前記第一出力部から前記第二出力部へ切り替え、前記ユニットが前記装置本体から引き出されている状態から収納された状態に変化した場合は、前記第二出力部から前記第一出力部へ切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
装置本体と、前記装置本体と電気的に接続され、前記装置本体が有する回転軸を中心に回動し開状態又は閉状態となるユニットと、を備える電子機器であって、
前記ユニットが閉状態である場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための第一出力部と、
前記第一出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第一入力部と、
前記ユニットが開状態である場合に、前記装置本体から前記ユニットに電力又は信号を出力するための前記第一出力部とは異なる第二出力部と、
前記第二出力部を介して電力又は信号を前記ユニットに入力するための第二入力部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
前記ユニットが閉状態か開状態かを検知する検知手段と、
前記検知手段による検知の結果、前記ユニットが閉状態から開状態に変化した場合は、前記装置本体から前記ユニットへの電力又は信号の出力を前記第一出力部から前記第二出力部へ切り替え、前記ユニットが開状態から閉状態に変化した場合は、前記第二出力部から前記第一出力部へ切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第二出力部を介して出力される電力は、前記第一出力部を介して出力される電力に比べて小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第一出力部と前記第一入力部との接続は、接触によるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第一出力部と前記第一入力部との接続は、非接触によるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第二出力部と前記第二入力部との接続は、接触によるものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第二出力部と前記第二入力部との接続は、非接触によるものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第二入力部は、前記第一入力部と同一としたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記電子機器は、シートに画像を形成する画像形成装置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記電子機器は、画像が形成されたシートに後処理を行う後処理装置であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45056(P2013−45056A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184695(P2011−184695)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】