説明

電子機器

【課題】表示領域に任意の画像が表示された状態において、表示領域の前で人などの障害物が移動した場合でも、障害物によって画像の視認性が低下するのを抑制する技術を提供する。
【解決手段】電子機器(1)は、画像を表す画像信号を取得する画像信号取得部(60)と、表示領域(R0)において障害物が重なることにより視認が妨げられる部分である重なり部(Rp)を、前記表示領域に任意の画像が表示された状態において検知する検知部(12)と、前記画像信号取得部により取得された画像信号に基づいて前記表示領域内に表示される画像を、前記検知部により検知された前記重なり部と重ならないように制御する制御部(10)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する電子機器において表示領域に表示される画像の視認性を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をスクリーンなどに投影することにより表示するプロジェクターが広く用いられている。プロジェクターによってスクリーンや壁面等の投射対象に画像を表示する際、プロジェクターと投射対象との間に人や物などの障害物があると、障害物の影になった画像の部分を、適切に表示することができない。
【0003】
特許文献1には、障害物(例えば、机、観客等)が存在しない投写可能領域を自動的に決定し、ユーザーが投写位置の変更をより簡易に行うことを可能とする投射型画像表示システムが記載されている。特許文献1に記載の投射型画像表示システムでは、画像の非表示時、すなわち、何も表示していない状態または全面黒色の画像(キャリブレーション画像)を表示した状態で、投写対象領域をセンシングして投写対象領域のうち障害物の存在しない投写可能領域を決定する。
【0004】
特許文献2及び3には、スクリーンに対するプロジェクターの設置位置によりスクリーンに表示される画像に生じる台形状の歪み(キーストーン歪みとも言う)の補正に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−323084号公報
【特許文献2】特開2004−246242号公報
【特許文献3】特開2004−72483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、特許文献1に記載の投写型画像表示システムでは、投写対象領域のうち障害物の存在しない投写可能領域を決定するために、画像が非表示の状態またはキャリブレーション画像を投写して投射対象領域のセンシングを行う。そのため、例えば、投射対象領域に所望の画像が表示された状態で人がプレゼンテーションを行っている最中に、その人が投射対象領域の前で移動する場合、その動きに追従することができなかった。
これに対し本発明は、表示領域に任意の画像が表示された状態において、表示領域の前で人などの障害物が移動した場合でも、障害物によって画像の視認性が低下するのを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像を表す画像信号を取得する画像信号取得部と、表示領域において障害物が重なることにより視認が妨げられる部分である重なり部を、前記表示領域に任意の画像が表示された状態において検知する検知部と、前記画像信号取得部により取得された画像信号に基づいて前記表示領域内に表示される画像を、前記検知部により検知された前記重なり部と重ならないように制御する制御部とを有する電子機器を提供する。
この電子機器によれば、表示領域に任意の画像が表示された状態において、表示領域の前で人などの障害物が移動した場合でも、障害物によって画像の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0008】
好ましい態様において、前記制御部は、前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示してもよい。
この電子機器によれば、表示領域を移動しなくても、表示領域に表示された画像の視認が、表示領域に重なる人などの障害物によって妨げられるのを防止することができる。
【0009】
別の好ましい態様において、前記制御部は、前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示してもよい。
この電子機器によれば、表示領域を移動しなくても、表示領域に表示された画像の視認が、表示領域に重なる人などの障害物によって妨げられるのを防止することができる。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、前記電子機器は、投射レンズを有する画像投射部から物体の表面に画像を投射するプロジェクターであり、前記画像投射部は、前記表示領域を前記物体の表面上で移動させるべく前記投射レンズを移動させるレンズ移動機構を備え、前記制御部は、前記検知部により検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させるべく前記レンズ移動機構を制御してもよい。
この電子機器によれば、前記制御部が、前記検知部により検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させるべく前記レンズ移動機構を制御しない場合と比べて、表示領域に表示された画像の視認が、表示領域に重なる人などの障害物によって妨げられるのをより確実に防止することができる。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、前記制御部は、前記レンズ移動機構を制御する前に、前記検知部によって検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させた場合、前記表示領域が当該表示領域を移動可能な範囲である表示可能領域内に収まるか否かを判定し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記表示領域を移動させても、前記表示領域が前記表示可能領域内に収まると判定した場合に、前記レンズ移動機構を制御してもよい。
この電子機器によれば、表示領域が表示可能領域からはみ出すのが防止される。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記制御部は、(a1)前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、(a2)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示する制御モードである圧縮モードと、(b1)前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、(b2)前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、(b3)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、(b4)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示する制御モードである分割モードとを有し、当該電子機器は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記圧縮モードまたは前記分割モードを選択する制御モード選択部を有してもよい。
この電子機器によれば、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部が検知部によって検知されたとき、圧縮モードと分割モードのいずれの制御モードとするか選択することができる。
【0013】
別の好ましい態様において、前記電子機器は、投射レンズを有する画像投射部から物体の表面に画像を投射するプロジェクターであり、前記画像投射部は、前記表示領域を前記物体の表面上で移動させるべく前記投射レンズを移動するレンズ移動機構を備え、前記制御部は、(a1)前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、(a2)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示する制御モードである圧縮モードと、(b1)前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、(b2)前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、(b3)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、(b4)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示する制御モードである分割モードと、(c1)前記検知部により検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させるべく前記レンズ移動機構を制御する制御モードであるシフトモードとを有し、当該電子機器は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記圧縮モード、前記分割モードまたは前記シフトモードを選択する制御モード選択部を有してもよい。
この電子機器によれば、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部が検知部によって検知されたとき、圧縮モード、分割モード及びシフトーモードのうちいずれの制御モードとするか選択することができる。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、前記制御モードの各々に対応付けてユーザーにより設定された使用の可否を記憶したテーブルを格納する記憶部を有し、前記制御モード選択部は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記テーブルを参照し、ユーザーにより使用が許可された制御モードのいずれかを選択してもよい。
この電子機器によれば、使用可能な制御モードをユーザーにより設定することができる。
【0015】
さらに別の好ましい態様において、前記制御モード選択部は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記重なり部の位置の変動が予め定められた範囲内にある状態が予め定められた期間以上継続した場合、制御モードの選択を行い、前記重なり部の位置の変動が予め定められた範囲内にある状態が予め定められた期間以上継続しない場合、そのときの制御モードを維持してもよい。
この電子機器によれば、制御モードが頻繁に切り替わるのを抑制することができる。
【0016】
さらに別の好ましい態様において、前記表示領域は第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に広がり、前記検知部は、前記重なり部を、前記第1方向と前記第2方向の少なくとも一方に予め定められた長さを有する部分として検知してもよい。
この電子機器によれば、検知部が重なり部の第1方向と第2方向の少なくとも一方の長さを検知することができない場合でも、重なり部を特定することができる。
【0017】
さらに別の好ましい態様において、前記検知部は、撮像装置により撮影された前記表示領域の画像において前記表示領域に障害物が重なる部分と、前記障害物が重ならない部分との輝度の差に基づいて、前記重なり部を検知してもよい。
この電子機器によれば、表示領域に任意の画像を表示した状態で、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部を検知することができる。
【0018】
さらに別の好ましい態様において、前記制御部は、前記入力画像表示部以外の前記表示領域の部分に、予め定められた輝度度より高い輝度を有する画像を表示してもよい。
この電子機器によれば、入力画像表示部以外の表示領域の部分においても、表示領域に障害物が重なる部分と、障害物が重ならない部分との輝度の差に基づいて重なり部を検知することができる。
【0019】
さらに別の好ましい態様において、前記検知部は、前記表示領域に表示された画像を示す画像信号と、撮像装置により撮像された前記表示領域の画像を示す画像信号とを比較し、当該比較結果に基づいて前記重なり部を検知してもよい。
この電子機器によれば、表示領域に任意の画像を表示した状態で、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部を検知することができる。
【0020】
さらに別の好ましい態様において、前記制御部は、前記表示領域に重なる障害物の有無に応じて表示態様が変わる画像である検知用画像を任意の画像と共に前記表示領域に表示し、前記検知部は、撮像装置により撮影された前記表示領域の画像において、前記検知用画像の表示態様に基づいて、前記表示領域に重なる障害物を検知してもよい。
この電子機器によれば、表示領域に任意の画像を表示した状態で、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部を検知することができる。
【0021】
さらに別の好ましい態様において、前記障害物は人であり、前記検知部は、前記人に保持されたマーカーの位置を検知することで、前記人の位置を検知してもよい。
この電子機器によれば、表示領域に任意の画像を表示した状態で、表示領域において障害物が重なる部分である重なり部を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態に係るプロジェクターの構成の一例を示すブロック図。
【図2】プロジェクターの画像投射部の構成の一例を示す平面図。
【図3】画像が投射されたスクリーンを例示する模式図。
【図4】プロジェクターの機能構成を示すブロック図。
【図5】障害物検知方法の例を説明する図。
【図6】制御モード選択動作の例を示すフローチャート。
【図7】圧縮モードにおける制御部の動作を説明する図。
【図8】分割モードにおける制御部の動作を説明する図。
【図9】変形例1に係る入力画像表示部を例示する模式図。
【図10】変形例2に係るプロジェクターの機能構成を示すブロック図。
【図11】変形例2に係る画像表示制御を説明するための模式図。
【図12】変形例2に係る制御モード選択動作の例を示すフローチャート。
【図13】変形例3に係るユーザー設定テーブルの例を示す図。
【図14】変形例4に係る制御モード選択動作の例を示すフローチャート。
【図15】変形例5に係るプロジェクターの機能構成を示すブロック図。
【図16】変形例5に係る障害物検知方法の例を説明する図。
【図17】変形例6に係る障害物検知方法の例を説明する図。
【図18】変形例7に係るプロジェクターの機能構成を示すブロック図。
【図19】赤外線発光装置が人に保持された状態を示す模式図。
【図20】変形例8に係るプロジェクターの機能構成を示す模式図。
【図21】外付け撮像装置の配置例を示す模式図。
【図22】分割モードにおいて空白部に光が投射されないようにした場合の表示領域を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るプロジェクター1(電子機器の一例)の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、プロジェクター1は、制御部10、記憶部20、表示制御部30、ディスプレイ40、操作部50、画像信号取得部60、画像投射部70、及び撮像装置80を有する。制御部10、記憶部20、表示制御部30、操作部50、画像信号取得部60、画像投射部70、及び撮像装置80は、バス90を介して接続されている。
【0024】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、CPUが、ROMや記憶部20に記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することで、プロジェクター1の各部を制御する。記憶部20は、例えばハードディスクやフラッシュメモリーなどの記憶装置であり、各種のプログラムやデーターを記憶する。表示制御部30は、制御部10からの指示に基づいて、液晶ディスプレイなどのディスプレイ40の表示内容を制御する。操作部50は、例えば、テンキーなどのボタンやディスプレイ40に重ねて配置されたタッチパッドであり、ユーザーによる操作の内容に応じた操作信号を制御部10に送出する。
【0025】
画像信号取得部60は、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤーやパーソナルコンピューターなどの外部装置から画像信号を取得する。記憶部20に画像信号が格納されている場合、記憶部20から取得してもよい。ここで、画像信号は静止画像を表す画像信号でもよいし、動画像に含まれる各フレームの画像を表す画像信号でもよい。制御部10は、画像信号取得部60により取得された画像信号を、後述する制御モードに応じて処理し、画像投射部70に供給する。画像投射部70は、供給された画像信号に応じた画像をスクリーンに投射する。
【0026】
図2は、プロジェクター1の画像投射部70の構成の一例を示す平面図である。本例において、プロジェクター1は、液晶パネルをRGB各色のライトバルブとして用いた3板式プロジェクターである。
【0027】
図2に示されるように、プロジェクター1の画像投射部70には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット2102が設けられている。ランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0028】
プロジェクター1において、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの各々は、画素毎に透過率を設定可能な液晶パネルからなる。ライトバルブ100R、100G及び100Bには、R色、G色、B色のそれぞれの原色成分の階調レベルを指定する画像信号が供給され、供給された画像信号に応じて、ライトバルブ100R、100G及び100Bがそれぞれ駆動され、RGB各色の光を変調する。ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折し、G色の光は直進する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーンSCには、投射レンズ群2114によってカラー画像が投射される。投射レンズ群2114の光軸上の位置を変えることで、スクリーンSCに投影された画像の大きさを調節することができる。スクリーンSC上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をワイド端、スクリーンSC上の画像の大きさが最大になる投射レンズ群2114の位置をテレ端という。
【0029】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射される。したがって、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。尚、図2では、ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶パネルを透過型とし、透過型のプロジェクターを構成したが、液晶パネルを反射型とし、反射型のプロジェクターを構成してもよい。
【0030】
図3は、画像が投射されたスクリーンSCを例示する模式図である。本例においてスクリーンSCは、左右方向(横方向ともいう)に延びる長さ(幅とも言う)Wの辺と、上下方向(縦方向ともいう)に延びる長さ(高さとも言う)Hの辺とを有する矩形形状の部材である。スクリーンSCの中央部には、プロジェクター1の画像投射部70から投射された画像が表示されている。この画像が表示された領域を表示領域R0と言う。表示領域R0はライトバルブとして働く液晶パネル100R、100G、100Bによって変調された光が投射される領域であるので、表示領域R0上のある点の位置は、各液晶パネル100R、100G、100B上の対応する位置(画素)に関連付けられる。本例において、各液晶パネル100R、100G、100Bは、横方向の画素数が854で縦方向の画素数が480(854×480のように表すこともある)のアスペクト比16:9の液晶パネルであり、それに対応して、表示領域R0は横方向の辺の長さ(幅とも言う)W0と縦方向の辺の長さ(高さとも言う)H0との比が16:9の矩形形状を有する。ただし、液晶パネル100R、100G、100B及び表示領域R0のアスペクト比は16:9に限定されるものではなく、例えば、4:3など別のアスペクト比でもよい。尚、左右方向(横方向)は本発明の第1方向の一例であり、上下方向(縦方向)は本発明の第2方向の一例である。
【0031】
表示領域R0の大きさは、プロジェクター1からスクリーンSCまでの距離及びプロジェクター1の投射レンズ群2114の光軸上の位置を変えることで調整される。また、スクリーンSC内における表示領域R0の上下方向及び左右方向の位置は、スクリーンSCに対するプロジェクター1の上下方向及び左右方向の位置を変えることで調整される。スクリーンSC内の表示領域R0の位置は、例えば、スクリーンSCの四隅の一点(例えば、図3における左下の隅の点)から表示領域R0の四隅の一点(例えば、図3における左下の隅の点)までの縦方向の距離DV0及び横方向の距離DH0によって表される。ユーザーは、表示領域R0の位置及び大きさが所望の位置及び大きさとなるように、初期設定において、プロジェクター1の位置及び投射レンズ群2114の光軸上の位置を調節する。初期設定が終了すると、ユーザーは、操作部50を操作して、設定した表示領域R0の大きさ(幅W0及び高さH0)及び位置(DV0、DH0)をスクリーンSCの大きさ(幅W及び高さH)と共に入力する。入力されたこれらの情報は、記憶部20に記憶される。
【0032】
再度、図1を参照すると、撮像装置80は、例えば、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどの二次元イメージセンサーを有するビデオカメラであってよく、スクリーンSC上の表示領域R0に任意の画像が表示された状態で、表示領域R0を撮影し、撮影した表示領域R0の画像を表す画像信号を制御部10に供給する。スクリーンSCの前に、表示領域R0と重なるように障害物(人など)がある場合、表示領域R0と共に障害物も撮像装置80によって撮影される。撮像装置80は、台形歪み補正に用いられる撮像装置と兼用でよく、画像投射部70と共にプロジェクター1の本体に一体に設けてよい。
【0033】
図4は、プロジェクター1の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部10は、画像処理部11、障害物検知部12、制御モード選択部13、及び表示部特定部14を有する。障害物検知部12は、撮像装置80からの画像信号に基づいて、スクリーンSCの表示領域R0において障害物(例えば、人)が重なる部分(以後、「重なり部」と言う)をリアルタイムで検知する。より具体的には、撮像装置80が1秒間に30フレームの画像を含む動画像を表す画像信号を出力する場合、障害物検知部12は、撮像装置80から受信した画像信号から予め定められた間隔の(例えば、0.5秒(即ち、15フレーム)毎の)画像を表す画像信号を抽出し、抽出した画像信号に基づいて重なり部を検知する。撮像装置80から、予め定められた間隔の画像を表す画像信号を出力するようにしてもよい。制御モード選択部13は、障害物検知部12によって検知された重なり部の位置に応じて、後述する制御モードを選択する。表示部特定部14は、制御モード選択部13によって選択された制御モードに応じて、画像信号取得部60が取得した画像信号(入力画像信号と言う)により表される画像が表示される部分である入力画像表示部を表示領域R0内において特定する。画像処理部11は、表示部特定部14によって特定された入力画像表示部に、入力画像信号により表される画像が表示されるように、入力画像信号を処理して、処理された画像信号を画像投射部70に供給する。
【0034】
図5は、障害物検知部12による、表示領域R0における重なり部の検知方法の例を説明する図である。図5(A)は、障害物の一例としての人が、スクリーンSCの前に、画像が表示された表示領域R0に重なるように立っている様子を示す模式図である。このように、表示領域R0に重なるように人が立っている場合、撮像装置80によって撮影される表示領域R0の画像は、図5(B)に示すように、表示領域R0に表示された画像の一部が人で隠された画像となる。ここで、撮像装置80は、表示領域R0を撮影するように、初期設定時に位置や倍率などの調整がなされているものとする。撮像装置80が出力する画像信号によって表される画像(撮影画像)のサイズ(画素数)は、例えば、1920×1080である。撮像装置80の撮影画像のアスペクト比が表示領域R0のアスペクト比と一致しており、撮影画像に表示領域R0がちょうど収まる(即ち、表示領域R0の全体が撮影画像に含まれるが、表示領域R0の周辺部は撮影画像に含まれない)ことが理想的であるが、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、表示領域R0とその周辺部が撮影画像に収まるように、初期設定における撮像装置80の調整を行ってもよい。その場合、表示領域R0の周辺部はプロジェクター1の投射光が当たっていないことから、表示領域R0よりも輝度が低くなることを利用して、障害物検知部12において、表示領域R0とその周辺部とが写った画像から、表示領域R0の部分を切り出すとよい。また、撮像装置80がスクリーンSCをある角度で撮影し、その結果、撮影された表示領域R0の画像が台形状に歪む場合、公知の歪み補正技術を用いて、撮影された表示領域R0の画像が表示領域R0と同じアスペクト比の矩形となるように補正を施してもよい。以後の説明において、表示領域R0の撮影画像は、表示領域R0の周辺部を含ない、表示領域R0と同じアスペクト比の矩形の画像を指すものとする。従って、表示領域R0上のある点の位置は、撮像装置80により得られた表示領域R0の撮影画像における対応する位置(画素)に関連付けられる。
【0035】
図5(C)は、図5(B)に示した表示領域R0の撮影画像において、縦方向に並んだ画素からなる画素列の各々に対し画素の輝度を縦方向に積算することによって求められた輝度の積算値の横方向の分布を示すグラフである。図5(B)に示す表示領域R0の撮影画像において、人が写っている部分では、人によってプロジェクター1からの投射光が吸収されるため、人によって隠されていない表示領域R0の部分(即ち、プロジェクター1からの光がスクリーンSCに当たっている部分)より輝度が低くなる。そのため、図5(C)に示したグラフでは、人のいる位置に対応して、輝度の積算値が低下している。障害物検知部12は、表示領域R0の撮影画像の各画素列に対し輝度の積算値を算出し、輝度の積算値が予め定められた閾値Th1より小さい画素列が横方向の予め定められた範囲を越えて並んでいるとき、これら輝度の積算値が小さい画素列に対応した表示領域R0の部分を重なり部Rpとして検知する。
【0036】
図5(D)は、図5(C)に例示した輝度の積算値の分布を示すグラフに対応して検知された表示領域R0における重なり部Rpを示す図である。図5(D)において、重なり部Rpは、表示領域R0の撮影画像において輝度の積算値が閾値Th1より小さい画素列が横方向に並ぶ範囲(図5(C)のA1)に対応する幅Wpを有し、表示領域R0と同じ高さH0を有する。重なり部Rpの位置(左右方向位置)は、例えば、表示領域R0の左端から重なり部Rpの左右方向の中心までの距離Dpによって示される。このように、本実施形態においては、表示領域R0に任意の画像が表示された状態で、撮像装置80により得られた表示領域R0の撮影画像に基づいて、表示領域R0において人(障害物)が重なる部分である重なり部Rpの位置Dp及び幅Wpが検知される。尚、表示領域R0の撮影画像において、輝度の積算値が閾値Th1より小さくなる画素列が横方向の予め定められた範囲を越えて並ぶ部分がない場合、障害物検知部12は、表示領域R0に重なる障害物はないと判定する。
【0037】
図4を再度参照すると、障害物検知部12は、検知した重なり部Rpの位置Dp及び幅Wpを示す情報を制御モード選択部13へ送る。また、表示領域R0に重なる障害物がないと判定されたときは、障害物検知部12は、障害物がない旨を示す情報を制御モード選択部13へ送る。制御モード選択部13は、障害物検知部12からの情報に基づいて、後述する3つの制御モード、即ち、通常モード、圧縮モード、及び分割モードの中から一つを選択し、選択した制御モードを示す情報(モード選択情報と言う)を表示部特定部14に送る。
【0038】
図6は、制御モード選択部13の制御モード選択動作の例を示すフローチャートである。障害物検知部12からの情報が、表示領域R0に重なる障害物がないことを示す場合(ステップS1:NO)、制御モード選択部13は、ステップS2において、通常モードを選択し、通常モードが選択されたことを示すモード選択情報を表示部特定部14に送る。通常モードでは、表示部特定部14は、表示領域R0の全体を入力画像表示部として特定する。画像処理部11は、後に説明する画像の圧縮や分割を行うための処理を、画像信号取得部60が取得した入力画像信号に対して行うことなく、入力画像信号を画像投射部70に供給する。これにより、通常モードでは、入力画像信号により表される画像が表示領域R0の全体に表示される。
【0039】
ステップS1において、障害物検知部12からの情報が、表示領域R0に重なる障害物があることを示す場合(ステップS1:YES)、制御モード選択部13は、ステップS3において、表示領域R0において障害物が重なる部分である重なり部Rpの位置Dpが、表示領域R0の左右方向の中心から予め定められた距離Dth内(即ち、W0/2−Dth≦Dp≦W0/2+Dth)であるか否かを判定する。重なり部Rpの位置Dpが表示領域R0の左右方向の中心から予め定められた距離Dth内でない場合(ステップS3:NO)、制御モード選択部13は、ステップS4において、圧縮モードを選択し、圧縮モードが選択されたことを示すモード選択情報を、重なり部Rpの位置Dp及び幅Wpと共に表示部特定部14に送る。
【0040】
図7は、圧縮モードにおける制御部10の動作を説明する図である。図7(A)に示すように、スクリーンSCの前に立つ人が、表示領域R0の左右方向の端付近に位置している場合、上述したように、制御モード選択部13は、圧縮モードを選択する。制御モード選択部13により圧縮モードが選択されると、表示部特定部14は、位置Dp及び幅Wpによって特定される重なり部Rpと重ならない表示領域R0の部分を入力画像表示部R1として特定する。図7(B)に、入力画像表示部R1の一例を示す。図7(B)において、重なり部Rpの右端から表示領域R0の右端に渡って広がる、表示領域R0の幅W0より小さい幅W1及び表示領域R0の高さH0と同じ高さを有する矩形の部分が、入力画像表示部R1として選択されている。即ち、入力画像表示部R1は、表示領域R0を横方向に縮小比W1/W0で縮小した形状を有する。尚、図7(B)において、重なり部Rpの左端と表示領域R0の左端の間にも、重なり部Rpと重ならない表示領域R0の部分が存在するが、入力画像表示部R1はなるべく広いことが望ましいので、表示部特定部14は、重なり部Rpの右端から表示領域R0の右端に渡って広がる部分(即ち、表示領域R0の左右方向の中心を含む部分)を入力画像表示部R1として特定する。入力画像表示部R1の位置(左右方向位置)は、例えば、入力画像表示部R1の左端の表示領域R0の左端からの左右方向距離D1(図7(B)の例では、Dp+Wp/2に等しい)によって示される。表示部特定部14は、特定した入力画像表示部R1を示す情報(幅W1及び位置D1)を画像処理部11に送る。
【0041】
画像処理部11は、表示部特定部14から受信した入力画像表示部R1を示す情報に基づいて、画像信号取得部60により取得された入力画像信号を処理する。具体的には、図7(C)に示すように、画像処理部11は、入力画像信号により表される画像が、表示領域R0に対する入力画像表示部R1の縮小比に基づいて、表示領域R0に表示される場合よりも縮小されて入力画像表示部R1に表示され、入力画像表示部R1以外の表示領域R0の部分R2(図7(C)において、幅W2(=D1)を有し、高さH0を有する部分。以下、空白部と言う。)に、予め定められた輝度より高い一様な輝度を有する画像が表示されるように入力画像信号を処理する。図7(C)に示した例では、入力画像表示部R1は表示領域R0と同じ高さH0を有し、表示領域R0の幅W0より小さい幅W1を有するので、入力画像表示部R1に表示される画像は、表示領域R0に表示される場合(アスペクト比W0:H0)と比べて、横方向にW1/W0倍された画像(アスペクト比W1:H0)となる。
【0042】
入力画像信号の処理についてより具体的に説明する。上記したように、画像投射部70の各ライトバルブ(液晶パネル)100R、100G、100Bの画素数が854×480の場合、入力画像信号は各色につき854×480個の画素の各々の階調値(8ビットの場合、0〜255)を定めるデータを含む。例えば、入力画像表示部R1のアスペクト比が4:3の場合、各ライトバルブ100R、100G、100Bの640×480画素を含む領域が入力画像表示部R1に対応するので、画像処理部11は、入力画像信号に含まれるデータから、154列分の画素のデータを間引き処理して、入力画像表示部R1に対応する640×480画素分のデータを生成する。また、入力画像表示部R1以外の表示領域R0の部分である空白部R2には、各ライトバルブ100R、100G、100Bの154×480画素を含む領域が対応するので、画像処理部11は、当該領域の画素の各々に、当該領域の輝度が所望の輝度となるように選択された同じ階調値を定めるデータを生成する。画像処理部11は、こうして生成した入力画像表示部R1及び空白部R2に含まれる各画素の階調値を定めるデータを含む画像信号を、処理された画像信号として、画像投射部70に供給する。
【0043】
このように、表示領域R0に任意の画像が表示された状態で表示領域R0において障害物が重なる部分(重なり部Rp)を検知して、入力画像信号により表される画像を、重なり部Rpと重ならない入力画像表示部R1に、表示領域R0に対する入力画像表示部R1の縮小比に基づいて縮小して表示することにより、表示領域R0に任意の画像が表示された状態において、表示領域R0の前で人などの障害物が移動した場合でも、入力画像信号により表される画像が、障害物により妨げられることなく視認される。尚、空白部R2に表示される一様な画像の輝度は、当該空白部R2においても人等の障害物が重なる部分(位置及び幅)を、図4を参照して説明したように、人等の障害物が重なることによる輝度の低下に基づいて検知できるように十分高い輝度に設定されることが好ましい。空白部R2に表示される画像は、例えば白色などの単色の画像であってよい。
【0044】
図6を再度参照すると、重なり部Rpの位置Dpが表示領域R0の左右方向の中心から予め定めた範囲内にある場合(ステップS3:YES)、制御モード選択部13は、ステップS5において、分割モードを選択し、分割モードが選択されたことを示すモード選択情報を、重なり部Rpの位置Dp及び幅Wpと共に表示部特定部14に送る。
【0045】
図8は、分割モードにおける制御部10の動作を説明する図である。図8(A)に示すように、スクリーンSCの前に立つ人が、表示領域R0の左右方向の中心付近に位置している場合、制御モード選択部13は、分割モードを選択する。分割モードが選択されると、表示部特定部14は、重なり部Rpの位置Dpに応じて表示領域Rpを第1部分R3と第2部分R4の2つの部分に分ける。第1部分R3は、幅W3及び高さH0を有する矩形部分であり、第2部分R4は、幅W4及び高さH0を有する矩形部分である。即ち、本例において、第1部分R3及び第2部分R4の各々は、表示領域R0より小さい幅を有し、表示領域R0と同じ高さを有する。また、表示部特定部14は、第1部分W3及び第2部分W4をそれそれ縮小した形状を有し、位置Dp及び幅Wpによって特定される重なり部Rpと重ならないように重なり部Rpを間に挟んで位置する表示領域R0の2つの部分を第1入力画像表示部R5及び第2入力画像表示部R6として特定する。図8(B)に、第1入力画像表示部R5及び第2入力画像表示部R6の一例を示す。図8(B)において、第1入力画像表示部R5は、重なり部Rpの左端から表示領域R0の左端に渡って広がる、表示領域R0の幅W0より小さい幅W5及び表示領域R0の高さH0と同じ高さを有する矩形の部分として選択されている。同様に、第2入力画像表示部、重なり部Rpの右端から表示領域R0の右端に渡って広がる、表示領域R0の幅W0より小さい幅W6及び表示領域R0の高さH0と同じ高さを有する矩形の部分として選択されている。即ち、第1入力画像表示部R5は、表示領域R0の第1部分R3を横方向にW5/W3倍した形状を有し、第2入力画像表示部R6は、表示領域R0の第2部分R3を横方向にW6/W4倍した形状を有する。入力画像表示部R5、R6の位置は、例えば、入力画像表示部R5、R6の左下隅の表示領域R0の左下隅からの左右方向距離によって示される。表示部特定部14は、特定した2つの入力画像表示部R5、R6を示す情報(幅及び位置)を、表示領域R0の2つの部分R3、R4を示す情報とともに、画像処理部11に送る。
【0046】
画像処理部11は、表示部特定部14から受信した入力画像表示部R5、R6を示す情報に基づいて、画像信号取得部60により取得された入力画像信号を処理する。具体的には、画像処理部11は、入力画像信号によって表される画像のうち表示領域R0の第1部分R3に対応する部分が、表示領域R0の第1部分R3に対する第1入力画像表示部R5の縮小比(W5/W3)に基づいて横方向に縮小されて第1入力画像表示部R5に表示され、入力画像信号によって表される画像のうち表示領域R0の第2部分R4に対応する部分が、表示領域R0の第2部分R4に対する第2入力画像表示部R6の縮小比(W6/W4)に基づいて横方向に縮小されて第2入力画像表示部R6に表示されるように、入力画像信号を処理する。また、図8(C)に示すように、入力画像表示部R5及びR6以外の表示領域R0の部分である空白部R7(図8(C)において、幅Wpを有し、高さH0を有する部分。即ち、重なり部Rpと同じ部分)に、予め定められた輝度より高い輝度の一様な画像が表示されるように入力画像信号を処理する。
【0047】
従って、図8(C)に示した例では、第1入力画像表示部R5に表示される画像は、入力画像信号により表される画像を表示領域R0全体に表示した場合に第1部分R3に表示される画像を左右方向にW5/W3倍した画像となり、入力画像表示部R6に表示される画像は、入力画像信号により表される画像を表示領域R0全体に表示した場合に第2部分R4に表示される画像を左右方向にW6/W4倍した画像となる。尚、第1部分R3の幅W3、第2部分R4の幅W4、第1入力画像表示部R5の幅W5、及び第2入力画像表示部R6の幅W6は、第1部分R3の幅W3と第2部分R4の幅W4の和が表示領域R0の幅W0に等しく(W3+W4=W0)、且つ、第1部分R3に対応する画像を第1入力画像表示部R5に表示したときの縮小比(W5/W3)と、第2部分R4に対応する画像を第2入力画像表示部R6に表示したときの縮小比(W6/W4)とが等しくなるように(W5/W3=W6/W4)定めると、第1入力画像表示部R5に表示される画像と第2入力画像表示部R6に表示される画像とで違和感が生じないため好ましい。
【0048】
このように、表示領域R0に任意の画像が表示された状態で表示領域R0において障害物が重なる部分(重なり部Rp)を検知して、入力画像信号により表される画像を、重なり部Rpと重ならない2つの入力画像表示部R5とR6に分割して表示することにより、表示領域R0に任意の画像が表示された状態において、表示領域R0の前で人などの障害物が移動した場合でも、入力画像信号により表される画像が、障害物により妨げられることなく視認される。
【0049】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0050】
(変形例1)
上記実施形態では、圧縮モードが選択されたとき、表示部特定部14に特定される入力画像表示部R1は、表示領域R0の幅W0より小さい幅W1及び表示領域R0の高さH0と同じ高さを有する矩形の部分であり(即ち、表示領域R0を横方向にのみ縮小した形状を有する部分であり)、画像処理部11は、入力画像信号により表される画像を横方向にのみ縮小して入力画像表示部R1に表示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。入力画像表示部R1が表示領域R0の高さH0より小さい高さを有してもよい。
【0051】
図9は、変形例1に係る入力画像表示部を例示する模式図である。図9(A)に示す例では、圧縮モードにおける入力画像表示部R1は、表示領域R0の幅W0より小さい幅W1及び表示領域R0の高さH0より小さい高さH1を有する矩形形状を有する。即ち、入力画像表示部R1は、表示領域R0を横方向と縦方向の両方に縮小した形状を有する。この例では、入力画像表示部R1の幅W1と高さH1の比(アスペクト比)は、表示領域R0のアスペクト比に等しい。言い換えると、横方向の縮小比W1/W0と縦方向の縮小比H1/H0が等しい。従って、入力画像信号により表される画像は、同じ縮小比で縦方向及び横方向に縮小されて入力画像表示部R1に表示される。この場合、入力画像表示部R1に表示される画像に含まれる文字や図形は、当該画像が表示領域R0全体に表示された場合(即ち、圧縮処理を施されない場合)と同じ縦横の寸法比を有するので、文字や図形が歪まない。
【0052】
同様に、分割モードが選択された場合に、表示部特定部14により特定される2つの入力画像表示部R5、R6は、表示領域R0の高さH0より小さい高さを有してもよい。図9(B)に示す例では、分割モードにおける第1入力画像表示部R5は、表示領域R0の幅W0より小さい幅W5及び表示領域R0の高さH0より小さい高さH2を有する矩形形状であり、第2入力画像表示部R6は、表示領域R0の幅W0より小さい幅W6及び表示領域R0の高さH0より小さい高さH2を有する矩形形状である。この例では、第1入力画像表示部R5の幅W5と第2入力画像表示部R6の幅W6との和と、入力画像表示部R5またはR6の高さH2との比は、表示領域R0のアスペクト比に等しい((W5+W6):H2=W0:H0)。言い換えると、横方向の縮小比(W5+W6)/W0と縦方向の縮小比H2/H0が等しい。この場合、入力画像表示部R5、R6に表示される画像に含まれる文字や図形は、当該画像が表示領域R0全体に表示された場合(即ち、圧縮処理を施されない場合)と同じ縦横の寸法比を有する。尚、図9(B)の例では、重なり部Rpが表示領域R0の左右方向の中央に位置しており、入力画像表示部R5の幅W5と入力画像表示部R6の幅W6とが等しいが、重なり部Rpの位置によっては、これらは異なってもよい。また、第1入力画像表示部R5の幅W5、第2入力画像表示部R5の幅W6、及び重なり部Rpの幅Wpの和が表示領域R0の幅W0に等しくならなくてもよい。
【0053】
(変形例2)
上記実施形態では、表示領域R0に重なる障害物が検知された場合の制御部10の制御モードとして圧縮モード及び分割モードを設け、制御モード選択部13により圧縮モードまたは分割モードの選択を行ったが、本発明はこれに限定されない。表示領域R0に重なる障害物が検知された場合の制御部10の制御モードとして圧縮モードまたは分割モードの一方のみを有してもよい。あるいは、制御部10は、表示領域R0に重なる障害物が検知された場合の制御モードとして、圧縮モード及び分割モードに加えて、表示領域R0をスクリーンSC内で左右方向及び/または上下方向に移動させるシフトモードを有してもよい。
【0054】
図10は、変形例2に係るプロジェクター1の機能構成を示すブロック図である。図10において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図10に示すプロジェクター1は、画像投射部70が、投射レンズ群2114を左右方向及び/または上下方向に移動させるレンズシフト機構71を有し、制御部10がレンズシフト機構を制御するレンズ制御部15を有する点が、図4に示したプロジェクター1と異なる。レンズシフト機構71は、例えば、ステッパーモーターを用いた公知のシフト機構であってよい。
【0055】
図11は、変形例2に係る画像表示制御を説明するための模式図である。図11(A)は、人が、スクリーンSCの前に、表示領域R0に重なるように立っている様子を示す模式図である。図11(A)において、表示領域R0は初期設定時に設定された位置(DV0)にあり、初期設定時に設定された大きさ(幅W0、高さH0)を有するものとする。本例において、ユーザーは、初期設定時に、投射レンズ群2114の移動量と表示領域R0のスクリーンSC上での移動量との関係を操作部50を操作して入力する。投射レンズ群2114の移動量と表示領域R0のスクリーンSC上での移動量との関係は、例えば、投射レンズ群2114の移動量に対する表示領域R0のスクリーンSC上での移動量の比として表される。入力された投射レンズ群2114の移動量に対する表示領域R0のスクリーンSC上での移動量の比は、記憶部20に記憶される。
【0056】
図11(A)に示すように表示領域R0に重なるように人が立っている場合、上記したように、障害物検知部12は、表示領域R0において人が重なる部分である重なり部Rpを検知し、検知した重なり部Rpの幅Wp及び位置Dpを制御モード選択部13に供給する。
【0057】
図12は、変形例2に係る制御モード選択部13による制御モード選択動作の例を示すフローチャートである。図12において、図6と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図12に示したフローチャートは、ステップS3において、重なり部Rpの位置Dpが表示領域R0の左右方向の中心から予め定められた範囲内にないと判定された場合に、ステップS6でシフトモードが可能であるか判定し、シフトーモードが可能な場合は(ステップS6:YES)、ステップS7でシフトモードを選択し、シフトモードが可能でない場合は(ステップS6:NO)、ステップS4で圧縮モードを選択する点が、図6に示したフローチャートと異なる。ここで、シフトモードが可能であるかは、重なり部Rpと重ならないように表示領域R0を移動させた場合に、表示領域R0がスクリーンSCからはみ出すか否かに応じて判定する。即ち、本例では、幅W及び高さHにより定まるスクリーンSCの表面全体が、表示領域R0を移動可能な範囲である表示可能領域となっている。尚、スクリーンSCの表面の一部を表示可能領域としてもよい。その場合、ユーザーは、表示可能領域を規定する情報(例えば、表示可能領域の幅及び高さ)を操作部50を操作することで入力し、記憶部20に記憶させるとよい。
【0058】
再度図11を参照すると、図11(A)に示した例では、重なり部RpはスクリーンSCの左右方向の中心より左側に位置しているので、表示領域R0が重なり部Rpに重ならないようにするには、表示領域R0の左端が、重なり部Rpの右端より右に位置するように、図11(A)に示された位置から右に表示領域R0を移動させる必要がある。このとき必要な移動量は、Dp+Wp/2として算出される。制御モード選択部13は、表示領域R0を移動量Dp+Wp/2だけ図11(A)に示した位置(初期設定位置)から移動させた場合に、表示領域R0がスクリーンSCからはみ出るかを判定する。即ち、初期設定位置DV0と移動量Dp+Wp/2と表示領域R0の幅W0の和が、スクリーンSCの幅Wより大きいか判定する。初期設定位置DV0と移動量Dp+Wp/2と表示領域R0の幅W0の和が、スクリーンSCの幅Wより大きい場合は、表示領域R0はスクリーンSCからはみ出る、即ち、シフトモードは可能ではないと判定される。初期設定位置DV0と移動量Dp+Wp/2と表示領域R0の幅W0の和が、スクリーンSCの幅W以下の場合は、表示領域R0はスクリーンSCからはみ出ない、即ち、シフトモードは可能であると判定される。尚、シフトモードにおける表示領域R0の移動方向は、検知された重なり部Rpの位置に応じて決定するとよい(即ち、重なり部RpがスクリーンSCの左右方向の中央より左に位置している場合は、表示領域R0を右に移動し、重なり部RpがスクリーンSCの左右方向の中央より右に位置している場合は、表示領域R0を左に移動するとよい)。
【0059】
図10を再度参照すると、シフトモードが選択された場合、制御モード選択部13は、シフトモードが選択されたことを示す情報を表示部特定部14に送り、また、表示領域R0の移動量Dp+Wp/2をレンズ制御部15に送る。表示部特定部14は、通常モードと同様に、表示領域R0の全体を入力画像表示部として特定する。画像処理部11は、圧縮モードにおける画像の圧縮や分割モードにおける画像の分割を行うための処理を、画像信号取得部60が取得した入力画像信号に対して行うことなく、入力画像信号を画像投射部70に供給する。これにより、入力画像信号により表される画像が表示領域R0の全体に表示され、圧縮や分割に伴う画像の劣化がない。また、レンズ制御部15は、制御モード選択部13から受信した表示領域R0の移動量Dp+Wp/2を、記憶部20に記憶された投射レンズ群2114の移動量に対する表示領域R0のスクリーンSC上での移動量の比を参照して、投射レンズ群2114の移動量に変換する。レンズ制御部15は、こうして得られた投射レンズ群2114の移動量を実現するべく、レンズシフト機構71に制御信号を送り、レンズシフト機構71を駆動する。これにより、図11(C)に示すように、重なり部Rpと重ならない位置DV1(=DV0+Dp+Wp/2)に表示領域R0が移動される。
【0060】
尚、シフトモードを設ける場合、表示領域R0をスクリーンSC内で移動させても、撮像装置80が表示領域R0を撮影できるように、撮像装置80はスクリーンSC全体を撮影範囲に含むことが好ましい。あるいは、撮像装置80にも移動機構を設け、表示領域R0の移動に追従して撮像装置80を移動させてもよい。また、図11に示した例では、表示領域R0は左右方向に移動させたが、移動方向は左右方向に限らず、上下方向に移動させてもよい。
【0061】
(変形例3)
上記変形例2では、重なり部Rpの位置Dpが表示領域R0の左右方向の中心から予め定められた範囲内にない場合、シフトモードが可能であればシフトモードが選択され、シフトモードが可能でないときは圧縮モードが選択されたが、本発明はこれに限定されない。使用可能な制御モードをユーザーが設定し、制御モード選択部13は、ユーザーの設定に基づいて制御部10の制御モードを選択してもよい。
【0062】
図13は、変形例3に係るユーザー設定テーブルTB1の一例を示す図である。ユーザー設定テーブルTB1は記憶部20に格納されており、圧縮モード、分割モード及びシフトモードの各制御モードについて、ユーザーにより設定される使用の可否及びアスペクト比の保持/不保持を対応付けて記憶する。ユーザーは、操作部50を操作することで、ユーザー設定テーブルTB1の内容を書き換えることができる。ユーザー設定テーブルTB1において、各制御モードを全て使用不可に設定した場合には、障害物検知部12により表示領域R0に重なる障害物が検知された場合でも、プロジェクター1は通常モードで表示を行う。圧縮モードまたは分割モードにおいてアスペクト比を保つと設定された場合、表示部特定部14は、図9に示したように、圧縮モード時の入力画像表示部R1の大きさ(幅W1及び高さH1)及び分割モード時の入力画像表示部R5、R6の大きさ(幅W5、W6及び高さH2)を、アスペクト比(圧縮モードのときはW1:H1、分割モードのときは(W5+W6):H2)が表示領域R0のアスペクト比(W0:H0)と等しくなるように特定する。
【0063】
このようにユーザーによって設定可能な制御モードの使用の可否を記録したテーブルTB1を有し、ユーザーの設定に応じて制御モードを選択することにより、プロジェクター1の使用環境等に応じて適切な制御モードを選択できる。
【0064】
(変形例4)
上記実施形態では、制御部10の障害物検知部12は、撮像装置80から受信した画像信号から予め定められた間隔(例えば、0.5秒毎)の画像を表す画像信号を抽出し、抽出した画像信号に基づいて重なり部Rpを検知し、制御モード選択部13は、障害物検知部12からの重なり部Rpの位置を示す情報に基づいて制御部10の制御モードを選択した。しかしながら、例えば、スクリーンSCに表示された画像を用いてプレゼンテーションを行う人が、スクリーンSCの前を頻繁に行き来する場合などに、制御モードが頻繁に切り替わると、表示されている画像がかえって見づらくなることがあり得る。従って、制御モードの過度に頻繁な切り替えを抑制することが望ましい。
【0065】
図14は、変形例4に係る制御モード選択動作の一例を示すフローチャートである。図14において、図6と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図14に示したフローチャートは、ステップS1において、障害物ありと判定された場合に、ステップS8で重なり部Rpの位置Dpの変動が予め定められた範囲内の状態(即ち、重なり部Rpの位置Dpが概ね一定の状態)が予め定められた期間以上継続したか否か判定し、重なり部Rpの位置Dpの変動が予め定められた範囲内の状態が予め定められた期間以上継続していない場合には(ステップS8:NO)、ステップS9に進み、現在の制御モードを維持する点が、図6に示したフローチャートと異なる。
【0066】
このようにすることにより、例えば、スクリーンSCに表示された画像を用いてプレゼンテーションを行う人が、表示領域R0に重ならない位置から表示領域R0に重なる位置に移動しても、短時間で表示領域R0と重ならない位置に戻った場合には、圧縮モードや分割モードでの制御を行うことなく、通常モードが維持される。また、圧縮モードまたは分割モードの一方が選択されている場合に(即ち、人が表示領域R0に重なる位置にいる場合に)、表示領域R0に重なる人の位置(即ち、重なり部Rpの位置Dp)が変わって圧縮モードまたは分割モードの他方に対応する位置となっても、その変化した位置が予め定められた期間維持されなければ、制御モードの切替えはなされない。
【0067】
尚、表示領域R0に人が重なる重なり部Rpの位置Dpが、表示領域R0の左右方向の中心から予め定められた距離Dth付近で小さく変動する場合、圧縮モードと分割モードが頻繁に切り替わる可能性がある。これを抑制するため、ステップS3の判定で用いられる予め定められた距離Dthの値を、制御モードが圧縮モードにある場合と、制御モードが分割モードにある場合とで変えてもよい。具体的には、制御モードが圧縮モードにある場合、予め定められた距離Dth=Dth1とし、制御モードが圧縮モードにある場合、予め定められた距離Dth=Dth2(ただし、Dth1<Dth2)とするとよい。
【0068】
(変形例5)
上記実施形態では、制御部10の障害物検知部12は、撮像装置80により取得された表示領域R0の画像に基づいて、表示領域R0に重なる障害物がある場所では輝度が低下することを利用して、障害物(より、詳細には、表示領域R0において障害物が重なる部分である重なり部Rp)を検知した。しかしながら、表示領域R0に表示される元の画像に輝度の低い部分がある場合、その低輝度部分を障害物と間違えて検知する可能性がある。従って、障害物があることにより輝度が低下した部分のみを検知できることが望まれる。
【0069】
図15は、変形例5に係るプロジェクター1の機能構成を示すブロック図である。図15において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図15に示すプロジェクター1は、画像処理部11から出力される画像信号が、画像投射部70だけでなく、障害物検知部12にも入力される点が、図4に示したプロジェクター1と異なる。
【0070】
図16は、変形例5に係る障害物検知方法の例を説明する図である。図16(A)は、圧縮モードが選択された場合に、表示領域R0に表示される画像を示している。図7を参照して説明したように、図16(A)に示した画像は、入力画像表示部R1に表示される画像信号取得部60により取得された入力画像信号により表される画像と、入力画像表示部R1以外の表示領域R0の部分である空白部R2に表示される、予め定められた輝度より高い輝度を有する画像とを含む。図16(A)に示す画像は、画像処理部11から画像投射部70の各ライトバルブ(液晶パネル)100R、100G、100Bに与えられる画像信号により表されるものであり、従って、液晶パネル100R、100G、100Bの画素数(例えば、854×480)に対応する画素数を有する。図16(B)は、図16(A)に示した画像がスクリーンSC上の表示領域R0に表示された状態で、表示領域R0に重なるように人が位置しているとき、撮像装置80により撮影された表示領域R0の画像(撮影画像)を示している。図16(B)に示す表示領域R0の撮影画像は、撮像装置80によって決まる画素数(例えば、1920×1080)を有する。図16(A)に示す画像を表す画像信号は、画像処理部11から障害物検知部12に入力され、図16(B)に示す画像を表す画像信号は、撮像装置80から障害物検知部12に入力される。
【0071】
一般に、画像処理部11から出力される画像信号によって表される画像(図16(A)に示す画像)の画素数(例えば、854×480)と、撮像装置80から出力される画像信号によって表される画像(図16(B)に示す画像)の画素数(例えば、1920×1080)は異なり得る。従って、障害物検知部12は、画像処理部11から入力された画像の画素数と、撮像装置80から入力された画像の画素数が一致するように、一方または両方の画素数(または画像サイズ)を変更する。この画素数(画像サイズ)の変更(リサンプリングとも言う)は、公知の任意の方法を用いて行ってよい。
【0072】
図16(A)に示す表示領域R0に表示される画像と、図16(B)に示す表示領域R0の撮影画像の画素数を揃えた後、障害物検知部12は、これら画像の対応する画素の輝度の差分(絶対値)を取り、縦方向に並んだ画素からなる画素列の各々に対し、輝度の差分を縦方向に積算することによって差分の積算値を算出する。図16(C)は、各画素列に対し算出された差分の積算値の横方向の分布を示す図である。図16(B)に示した画像において人が写っている部分では、図16(A)に示した画像の対応する部分との間で輝度に差異が生じ、他の部分では図16(A)に示した画像の対応する部分との間で輝度にほとんど差異が生じないため、図16(C)に示したグラフでは、人のいる位置に対応して、差分の積算値が増加している。障害物検知部12は、差分の積算値が予め定められた閾値Th2より高い画素列が横方向の予め定められた範囲を越えて並んでいるとき、これら画素列に対応した表示領域R0の部分を、表示領域R0において障害物が重なる部分(重なり部Rp)として検知する。図16(D)に示すように、重なり部Rpは、図16(A)に示した画像と図16(B)に示した画像の輝度の差分の縦方向の積算値が閾値Th2より高い画素列が横方向に並ぶ範囲(図16(C)のA2)に対応する幅Wpを有し、表示領域R0と同じ高さH0を有する。重なり部Rpの位置(左右方向位置)は、図5を参照して説明した障害物検知方法と同様に、例えば、表示領域R0の左端から重なり部Rpの左右方向の中心までの距離Dpによって示される。
【0073】
本例に基づく障害物検知方法では、表示領域R0に表示される画像に低輝度部があっても、表示領域Rpに表示される画像と表示領域R0の撮影画像との差分を取ったとき、当該低輝度部分に重なる障害物がなければ、当該低輝度部分において輝度の差分がほとんど生じないため、当該低輝度部分を障害物(重なり部分)と誤検知する可能性が低減する。このように、本例によれば、表示領域R0に表示される画像を表わす画像信号と表示領域R0の撮影画像を表す画像信号とを比較し、当該比較結果に基づいて表示領域R0において障害物が重なる部分である重なり部を検知することにより、重なり部を精確に検知することができる。
【0074】
(変形例6)
上記実施形態では、任意の画像が表示された状態で撮像装置80により撮影された表示領域R0の画像において、表示領域R0に人などの障害物が重なっている部分では、輝度が低くなることを利用して、障害物(より精確には、表示領域R0において障害物が重なっている部分である重なり部Rp)を検知した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、画像処理部11により、任意の画像が表示された表示領域R0の一部に、障害物検知のための予め定められた形状または模様の画像(検知用画像という)を表示し、表示領域R0の撮影画像における検知用画像の表示態様が、表示領域R0に重なる障害物の有無によって変わることを検知することで、障害物(重なり部Rp)を検知してもよい。
【0075】
図17は、変形例6に係る障害物検知方法の例を説明する図である。図17(A)は、障害物検知のための検知用画像M1の一例を示す模式図である。図示されているように、図17(A)の例では、検知用画像M1は、表示領域R0の下方部分に表示された、左右方向に所定の間隔Daで位置する複数のドットを含む。検知用画像M1を表す画像データは、例えば、記憶部20に予め格納されている。画像処理部11は、記憶部20に格納された検知用画像M1を表す画像データを用いて画像信号取得部60が取得した入力画像信号を処理して画像投射部70に供給し、画像投射部70によってスクリーンSCの表示領域R0に投射される画像内に検知用画像M1が含まれるようにする。障害物検知部12は、撮像装置80で撮影した表示領域R0の画像に含まれる検知用画像M1(ドット)を認識し、認識した検知用画像M1の態様に基づいて、表示領域R0に重なる障害物を検知する。
【0076】
例えば、図17(B)に示すように、表示領域R0の前に人がいる場合、検知用画像M1に含まれる複数のドットの一部が人の上に位置する。障害物検知部12は、撮像装置80で撮影した表示領域R0の画像において、人の上に位置するドットを認識できない。そのため、人を挟んで隣り合うドットの間の距離Dbが、人の写っていない部分において隣り合うドット対の距離Daより大きくなる。従って、この例では、障害物検知部12は、表示領域R0の撮影画像に含まれる検知用画像M1の隣り合うドット対の距離が全て予め定められた距離以内のときは、障害物はないと判定し、予め定められた距離を越える隣り合うドット対があるとき、当該ドット対の間に障害物があると判定する。
【0077】
尚、入力画像信号により表される画像が、検知用画像と重ならないように、初期設定において(即ち、表示領域R0に重なる障害物がない状態において)、入力画像信号により表される画像が表示される入力画像表示部の大きさ及び位置を設定してよい。その後、表示領域R0に重なる位置に人などが移動して、制御モードとして分割モードや圧縮モードが選択された場合、表示部特定部14は、初期設定において設定された入力画像表示部の大きさ及び位置によって定められる範囲内で、選択された制御モードに対応する入力画像表示部を特定するとよい。
【0078】
また、図17に示した例では、検知用画像M1は左右方向に所定の間隔で位置する複数のドットを含むものとしたが、これに限らない。例えば、検知用画像M1を左右方向に延びる線とし、表示領域R0の撮影画像において、当該線が途切れた部分に障害物があると判定してもよい。要は、検知用画像M1は、表示領域R0に表示される画像であって、表示領域R0に重なる位置における障害物の有無に応じて、表示態様が変わる画像であればよい。
【0079】
このように、検知用画像M1を用いて障害物を検知することにより、例えば、人がスクリーンSCの色と同じ色の服を着ている場合のように、表示領域R0の撮影画像において障害物のある場所と障害物のない場所の輝度の違いに基づく障害物の検知が難しい場合でも、障害物を検知することができる。
【0080】
(変形例7)
表示領域R0の撮影画像における障害物のある場所と障害物のない場所の輝度の違いによらない障害物の別の検知方法として、障害物として人(例えば、スクリーンSCの前でプレゼンテーションを行う人など)が想定される場合、当該人に位置検知用のマーカーを持たせ、マーカーの位置を検知することで人の位置を検知てもよい。
【0081】
図18は、変形例7に係るプロジェクター1の機能構成を示すブロック図である。図18において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図18に示すプロジェクター1は、可視光を用いて表示領域R0の撮影を行う撮像装置80の代わりに設けられた赤外線撮像装置91(マーカー位置検知装置の一例)と、スクリーンSCの表示領域R0に重なる可能性のある人(例えば、スクリーンSCの前でプレゼンテーションを行う人)に保持されるマーカーとしての赤外線発光装置92とを有する点が、図4に示したプロジェクター1と異なる。赤外線撮像装置91は、赤外線を検知する2次元イメージセンサーを有する撮像装置であり、上記した撮像装置80と同様に、表示領域R0を撮影し、表示領域R0の撮影画像を表す画像信号を障害物検知部12に出力する。
【0082】
図19は、赤外線発光装置92が人に保持された状態を示す模式図である。図19に示す例では、赤外線発光装置92は、人の胸の位置に例えばクリップなどで装着される。赤外線発光装置92から赤外線が発せられると、当該赤外線は赤外線撮像装置91が撮影する表示領域R0の画像において、他の部分より明るい点として現れる。障害物検知部12は、この明るい点の位置を赤外線発光装置92の位置として検知することで、赤外線発光装置92を装着した人の位置を検知する。
【0083】
尚、赤外線発光装置92をマーカーとして用いて人の位置を検知する場合、人の位置は検知することができるが、人の幅を検知することができない。従って、予め設定された幅を記憶部20に格納しておくとよい。制御モードとして圧縮モードや分割モードが選択された場合、表示部特定部14は、記憶部20に格納された予め設定された幅と障害物検知部12により検知された障害物(人)の位置とに基づいて、これら幅と位置とによって特定される重なり部Rpと重ならない入力画像表示部を特定することができる。尚、この場合も、重なり部Rpの高さは表示領域R0の高さH0と同じとしてよいが、重なり部Rpの高さとして予め定められた高さを記憶部20に格納し、それを用いてもよい。
【0084】
また、人に保持される位置検知用のマーカーは、赤外線発光装置92に限らない。例えば、マーカーを再帰反射性を有するミラーとしもよい。その場合、図19に示した赤外線発光装置92を表示領域R0に向けて赤外線を発するのに用いるとよい。赤外線発光装置92により発せられた赤外線が、人に保持された再帰反射性ミラーによって反射され、赤外線撮像装置91に到達すると、当該赤外線は赤外線撮像装置91が撮影する表示領域R0の画像において、他の部分より明るい点として現れる。障害物検知部12は、この明るい点の位置を再帰反射性ミラーの位置として検知することで、再帰反射性ミラーを装着した人の位置を検知する。
【0085】
このように、人に保持される位置検知用のマーカーを用いて障害物としての人を検知することにより、例えば、人がスクリーンSCの色と同じ色の服を着ている場合のように、表示領域R0の撮影画像において障害物のある場所と障害物のない場所の輝度の違いに基づく障害物の検知が難しい場合でも、障害物を検知することができる。
【0086】
(変形例8)
上記実施形態では、障害物検知用の撮像装置80をプロジェクター1の本体に一体な台形歪み補正に用いられる撮像装置と兼用の装置としたが、障害物検知用の撮像装置80をプロジェクター1の本体とは別体の外付け撮像装置としてもよい。
【0087】
図20は、変形例8に係るプロジェクター1の機能構成を示す模式図である。図20において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図20に示すプロジェクター1は、プロジェクター1の本体とは別体の外付けの撮像装置93を有する点が、図4に示したプロジェクター1と異なる。この外付け撮像装置93は、撮像装置80と同様に、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどの二次元イメージセンサーを有するビデオカメラであってよい。
【0088】
図21は、外付け撮像装置93の配置例を示す模式図である。図21に示した例では、外付け撮像装置93はスクリーンSCが設けられた部屋の天井に設置され、スクリーンSCの前方の領域を表示領域R0の幅W0に渡って撮影する。ユーザーは、初期設定において、操作部50を操作することで、表示領域R0の前方に人がいない状態において外付け撮像装置93によって撮影された画像を、基準画像として記憶部20に格納する。人などの障害物が表示領域R0の前に位置すると、外付け撮像装置93により撮影される画像と、基準画像との間に障害物の位置に応じた差異が生じる。障害物検知部12は、記憶部20に格納された基準画像と、外付け撮像装置93により撮影された画像との差分をとることで、表示領域R0の前方に位置する人などの障害物を検知する。
【0089】
このように、表示領域R0が表示されるスクリーンSCの上方に設けられた外付け撮像装置93を用いて表示領域R0の前に位置する障害物を検知することにより、例えば、人がスクリーンSCの色と同じ色の服を着ている場合のように、表示領域R0の撮影画像において障害物のある場所と障害物のない場所の輝度の違いに基づく障害物の検知が難しい場合でも、表示領域R0に重なる障害物を検知することができる。
【0090】
(変形例9)
表示領域R0に重なる障害物として人が想定される場合、障害物検知部12は、撮像装置80から入力される画像信号に基づいて公知のアルゴリズムに基づいて顔認識を行い、顔が認識された位置を障害物の位置として検知してもよい。この場合も、人の位置は検知することができるが、人の幅を検知することは困難である。従って、予め設定された幅を記憶部20に格納しておくとよい。制御モードとして圧縮モードや分割モードが選択された場合、表示部特定部14は、記憶部20に格納された予め設定された幅と障害物検知部12により顔認識により検知された人の位置とに基づいて、入力画像表示部を特定する。
【0091】
(変形例10)
上記実施形態では、本発明が適用される電子機器としてプロジェクター1について説明したが、本発明はこれに限定されない。電子機器は、直視型のディスプレイでもよい。直視型のディスプレイの場合、ディスプレイの表示面が本発明の表示領域に相当する。直視型のディスプレイの場合、プロジェクターとは異なり台形歪み補正用の撮像装置が一体に設けらる必要がないので、ディスプレイの表示面(表示領域)に重なる障害物を検知するため、外付けの撮像装置で表示面を撮影するとよい。あるいは、電子機器は、別体のディスプレイに画像を表示させるパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0092】
(変形例11)
上記実施形態では、画像処理部11は、圧縮モードまたは分割モードにおいて、入力画像表示部(R1、R5、R6)以外の表示領域R0の部分である空白部(R2、R7)に、予め定められた輝度より高い輝度の画像が表示されるように入力画像信号を処理したが、本発明はこれに限定されない。空白部(R2、R7)に、画像投射部70から光が投射されないように、入力画像信号を処理してもよい。これにより、表示領域R0の前に位置する人に投射光が当たらないようにすることができる。ただし、この場合、空白部(R2、R7)の輝度が低くなるため、空白部(R2、R7)において、人などの障害物があることによる輝度の低下を検知するのが困難となる(即ち、空白部自体を障害物と誤検知する可能性がある)。従って、この場合、表示領域R0の撮影画像における障害物のある場所と障害物のない場所の輝度の違いによらない障害物検知方法(例えば、変形例6〜8のいずれかに記載した障害物検知方法)を用いるとよい。
【0093】
図22は、分割モードの場合に、空白部R7に光が投射されないようにした場合の表示領域R0を示す模式図である。空白部R7に光が投射されない場合、図8(C)に示した状態から、図22(A)に示すように、人が空白部R7と部分的に重なる位置へと左右方向に移動した状態で、輝度の差に基づき重なり部を検知すると、図22(B)に示すように、空白部R7の幅と空白部R7と重ならない人の部分の幅とを加えた幅Wp1を有する部分として、重なり部Rp1が検知される。その場合、検知された重なり部Rp1の左右の端E1、E2のうち一方(図22(B)では端E1)は移動しないので、前回検知された重なり部Rp(即ち、空白部R7)の左右の端の一方と概ね一致する。そこで、前回検知された重なり部Rpに対して移動しなかった方の端E1を、他方の端E2に近づくようにずらし、重なり部Rp1の幅を縮小して、新たな空白部R7としてもよい。これにより、空白部R7の幅が、人の幅より狭くなり、次回の重なり部の検知において、人の幅に対応した重なり部が検知される可能性が高まる。
【符号の説明】
【0094】
1…プロジェクター、10…制御部、11…画像処理部、12…障害物検知部、13…制御モード選択部、14…表示部特定部、15…レンズ制御部、20…記憶部、30…表示制御部、40…ディスプレイ、50…操作部、60…画像信号取得部、70…画像投射部、71…レンズシフト機構、80…撮像装置、90…バス、91…赤外線撮像装置、92…赤外線発光装置、93…外付け撮像装置、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ群、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ、SC…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表す画像信号を取得する画像信号取得部と、
表示領域において障害物が重なることにより視認が妨げられる部分である重なり部を、前記表示領域に任意の画像が表示された状態において検知する検知部と、
前記画像信号取得部により取得された画像信号に基づいて前記表示領域内に表示される画像を、前記検知部により検知された前記重なり部と重ならないように制御する制御部と
を有する電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、
前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、
前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、
前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、
前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器は、投射レンズを有する画像投射部から物体の表面に画像を投射するプロジェクターであり、
前記画像投射部は、前記表示領域を前記物体の表面上で移動させるべく前記投射レンズを移動させるレンズ移動機構を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させるべく前記レンズ移動機構を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記レンズ移動機構を制御する前に、前記検知部によって検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させた場合、前記表示領域が当該表示領域を移動可能な範囲である表示可能領域内に収まるか否かを判定し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記表示領域を移動させても、前記表示領域が前記表示可能領域内に収まると判定した場合に、前記レンズ移動機構を制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、
(a1)前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、(a2)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示する制御モードである圧縮モードと、
(b1)前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、(b2)前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、(b3)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、(b4)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示する制御モードである分割モードと
を有し、
当該電子機器は、
前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記圧縮モードまたは前記分割モードを選択する制御モード選択部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、投射レンズを有する画像投射部から物体の表面に画像を投射するプロジェクターであり、
前記画像投射部は、前記表示領域を前記物体の表面上で移動させるべく前記投射レンズを移動するレンズ移動機構を備え、
前記制御部は、
(a1)前記表示領域を縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならない前記表示領域の一部を入力画像表示部として特定し、(a2)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像を前記表示領域に対する前記入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記入力画像表示部に表示する制御モードである圧縮モードと、
(b1)前記表示領域における前記重なり部の位置に応じて前記表示領域を第1部分と第2部分の2つの部分に分け、(b2)前記表示領域の前記第1部分と前記第2部分をそれぞれ縮小した形状を有し、前記検知部によって検知された前記重なり部と重ならないように前記重なり部を間に挟んで位置する前記表示領域の2つの部分を第1入力画像表示部及び第2入力画像表示部として特定し、(b3)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第1部分に対応する部分を前記表示領域の前記第1部分に対する前記第1入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第1入力画像表示部に表示し、(b4)前記画像信号取得部により取得された画像信号により表される画像のうち前記表示領域の前記第2部分に対応する部分を前記表示領域の前記第2部分に対する前記第2入力画像表示部の縮小比に基づいて縮小して前記第2入力画像表示部に表示する制御モードである分割モードと、
(c1)前記検知部により検知された前記重なり部に重ならないように前記表示領域を移動させるべく前記レンズ移動機構を制御する制御モードであるシフトモードと
を有し、
当該電子機器は、
前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記圧縮モード、前記分割モードまたは前記シフトモードを選択する制御モード選択部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御モードの各々に対応付けてユーザーにより設定された使用の可否を記憶したテーブルを格納する記憶部を有し、
前記制御モード選択部は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記テーブルを参照し、ユーザーにより使用が許可された制御モードのいずれかを選択する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御モード選択部は、前記検知部によって前記重なり部が検知されたとき、前記重なり部の位置の変動が予め定められた範囲内にある状態が予め定められた期間以上継続した場合、制御モードの選択を行い、前記重なり部の位置の変動が予め定められた範囲内にある状態が予め定められた期間以上継続しない場合、そのときの制御モードを維持する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記表示領域は第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に広がり、
前記検知部は、前記重なり部を、前記第1方向と前記第2方向の少なくとも一方に予め定められた長さを有する部分として検知する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記検知部は、撮像装置により撮影された前記表示領域の画像において前記表示領域に障害物が重なる部分と、前記障害物が重ならない部分との輝度の差に基づいて、前記重なり部を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御部は、前記入力画像表示部以外の前記表示領域の部分に、予め定められた輝度度より高い輝度を有する画像を表示する
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記検知部は、前記表示領域に表示された画像を示す画像信号と、撮像装置により撮像された前記表示領域の画像を示す画像信号とを比較し、当該比較結果に基づいて前記重なり部を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記制御部は、前記表示領域に重なる障害物の有無に応じて表示態様が変わる画像である検知用画像を任意の画像と共に前記表示領域に表示し、
前記検知部は、撮像装置により撮影された前記表示領域の画像において、前記検知用画像の表示態様に基づいて、前記表示領域に重なる障害物を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記障害物は人であり、
前記検知部は、前記人に保持されたマーカーの位置を検知することで、前記人の位置を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−64827(P2013−64827A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202850(P2011−202850)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】