説明

電子機器

【課題】電子機器を配線基板に実装する際における電子機器と配線基板との隙間の不均一を抑制する。
【解決手段】
電子機器は、第1プレートと、前記第1プレート上に配置され、前記第1プレートと向かい合う面の反対面に複数の第1端子を有する配線基板と、前記配線基板上に配置され、前記配線基板と向かい合う面に複数の第2端子を有する電子部品と、前記配線基板と前記電子部品との間に配置され、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する接続手段と、前記電子部品上に配置された第2プレートと、前記電子部品の配置領域の外側の領域に配置され、前記第1プレートと前記第2プレートとの間隔を狭めるように前記第1プレート及び前記第2プレートに圧力を加える固定手段と、前記電子部品の配置領域の下方に配置され、前記配線基板を前記電子部品側に押し付ける押付手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CPU(Central Processing Unit)の微細化、メニーコア化が進むことにより
、半導体チップが大型化し、半導体チップを実装した半導体パッケージも大型化されている。大型化された半導体パッケージをメインボード(配線基板)に実装する方式については、BGA(Ball Grid Array)実装方式、PGA(Pin Grid Array)実装方式、LGA
(Land Grid Array)実装方式等がある。
【0003】
図1の(A)は、BGA実装方式による半導体パッケージ100とメインボード101との接続構造の一例を示す図である。BGA実装方式では、半導体パッケージ100の下面(裏面)に半田ボール102を設置し、半田ボール102を介して半導体パッケージ100とメインボード101とを接続する。図1の(B)は、PGA実装方式による半導体パッケージ100とメインボード101との接続構造の一例を示す図である。PGA実装方式では、半導体パッケージ100の下面に設けられたピン103を介して半導体パッケージ100とメインボード101とを接続する。図1の(C)は、LGA実装方式による半導体パッケージ100とメインボード101との接続構造の一例を示す図である。LGA実装方式では、半導体パッケージ100とメインボード101との間にLGAソケット104を設置し、LGAソケット104を介して半導体パッケージ100とメインボード101とを接続する。半導体パッケージとメインボードとの接続部の信頼性、交換頻度、コスト等から用途に応じた実装方式が選択される。
【0004】
半導体パッケージに荷重(圧力)をかけて半導体パッケージをメインボードに実装することにより、半導体パッケージとメインボードとの電気的接続を保持している。また、メインボードに搭載される半導体パッケージにおいては、半導体チップの高速動作化に伴って半導体チップの発熱量が増加しており、半導体パッケージを冷却することが求められる。放熱面積を広げるために、半導体パッケージ上にヒートシンクや冷却ユニット等の放熱機構を実装した冷却構造がある。半導体パッケージ上に放熱機構を実装した冷却構造においては、放熱機構に荷重をかけることにより、半導体パッケージとの接触面積を大きくし、熱抵抗を下げている。
【0005】
メインボードに対する半導体パッケージの実装や、半導体パッケージに対する放熱機構の実装には、荷重を加えるため、様々な荷重のかけ方による構造が提案されている。例えば、半導体パッケージに荷重を加えてメインボードに半導体パッケージを実装した後、半導体パッケージ上に放熱機構を実装する方式がある。また、例えば、メインボードに対する半導体パッケージの実装の際の荷重と、放熱機構に対する荷重とを、同一の荷重機構で行うことにより構造を簡素化する方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−1285号公報
【特許文献2】実用新案登録第3102365号公報
【特許文献3】特開平10−173091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体パッケージは大型化し、半導体パッケージが有する端子電極の数は増加傾向にあるため、メインボードに対する半導体パッケージの実装における荷重は増加している。放熱機構とメインボードとの間に半導体パッケージを挟み込み、半導体パッケージの外側の領域において放熱機構及びメインボードに荷重を加える場合、メインボードの中央部分に加わる荷重が弱く、メインボードの中央部分よりも外側部分に加わる荷重が強くなる。このように、メインボードに対して荷重が部分的に偏って加わると、メインボードに撓みが発生し、半導体パッケージとメインボードとの隙間が不均一となり、半導体パッケージとメインボードとの電気的接続が不十分になる場合がある。本件は、電子機器を配線基板に実装する際における電子機器と配線基板との隙間の不均一を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件の一観点による電子機器は、第1プレートと、前記第1プレート上に配置され、前記第1プレートと向かい合う面の反対面に複数の第1端子を有する配線基板と、前記配線基板上に配置され、前記配線基板と向かい合う面に複数の第2端子を有する電子部品と、前記配線基板と前記電子部品との間に配置され、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する接続手段と、前記電子部品上に配置された第2プレートと、前記電子部品の配置領域の外側の領域に配置され、前記第1プレートと前記第2プレートとの間隔を狭めるように前記第1プレート及び前記第2プレートに圧力を加える固定手段と、前記電子部品の配置領域の下方に配置され、前記配線基板を前記電子部品側に押し付ける押付手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本件によれば、電子機器を配線基板に実装する際における電子機器と配線基板との隙間の不均一を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1の(A)は、BGA実装方式による半導体パッケージとメインボードとの接続構造の一例を示す図である。図1の(B)は、PGA実装方式による半導体パッケージとメインボードとの接続構造の一例を示す図である。図1の(C)は、LGA実装方式による半導体パッケージとメインボードとの接続構造の一例を示す図である。
【図2A】図2Aは、比較例に係る電子機器について、LGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装する工程を示す図である。
【図2B】図2Bは、比較例に係る電子機器について、LGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装する工程を示す図である。
【図2C】図2Cは、比較例に係る電子機器について、LGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装する工程を示す図である。
【図2D】図2Dは、比較例に係る電子機器について、LGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装する工程を示す図である。
【図2E】図2Eは、比較例に係る電子機器について、LGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装する工程を示す図である。
【図3】図3は、比較例に係る電子機器について、半導体パッケージとメインボードとの隙間のイメージ図である。
【図4】図4は、比較例に係る電子機器の断面図であって、BGA実装方式によってメインボードに半導体パッケージを実装した場合を示した図である。
【図5】図5は、実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図6A】図6Aは、支持軸が設けられたボルスタープレートの断面図である。
【図6B】図6Bは、支持軸が設けられたボルスタープレートの上面図である。
【図7】図7は、ボルスタープレート及びメインボードの断面図である。
【図8A】図8Aは、メインボードの上にLGAソケットを配置し、LGAソケットの上に半導体パッケージを配置した場合の実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図8B】図8Bは、メインボードの上にLGAソケットを配置し、LGAソケットの上に半導体パッケージを配置した場合の実施例1に係る電子機器の上面図である。
【図9】図9は、半導体パッケージの上にヒートシンクを配置した場合の実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図10】図10は、支持軸の先端にバネ及びナットを設置した場合の実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図11】図11は、実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図12】図12は、実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図13】図13は、実施例1に係る電子機器について、メインボードと半導体パッケージとの隙間のイメージ図である。
【図14】図14は、ボルスタープレートとメインボードとの間にあて板(板部材)を設けた場合の実施例1に係る電子機器の断面図である。
【図15】図15は、実施例2に係る電子機器の断面図である。
【図16】図16は、メインボードの上にLGAソケットを配置し、LGAソケットの上に半導体パッケージを配置した場合の実施例2に係る電子機器の上面図である。
【図17】図17は、ボルスタープレートとメインボードとの間にあて板(板部材)を設けた場合の実施例2に係る電子機器の断面図である。
【図18】図18は、実施例3に係る電子機器の断面図である。
【図19】図19は、ボルスタープレートとメインボードとの間にあて板(板部材)を設けた場合の実施例3に係る電子機器の断面図である。
【図20】図20は、ボルスタープレートの上面の外周部分に支持部を設け、支持部の上にあて板を配置した場合の実施例3に係る電子機器の断面図である。
【図21】図21は、実施例4に係る電子機器の断面図である。
【図22】図22は、ボルスタープレートとメインボードとの間にあて板(板部材)を設けた場合の実施例4に係る電子機器の断面図である。
【図23】図23は、ボルスタープレートの上面の外周部分に支持部を設け、支持部の上にあて板を配置した場合の実施例4に係る電子機器の断面図である。
【図24】比較例に係る電子機器と、実施例1、3及び4に係る電子機器との検証結果を示す図である。
【図25】図25は、実施例1において、BGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装した場合の電子機器1の断面図である。
【図26】図26は、実施例1において、PGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装した場合の電子機器1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈比較例〉
図2Aから図2Eは、比較例に係る電子機器51について、LGA実装方式によってメインボード52に半導体パッケージ53を実装する工程を示す図である。図2Aに示すように、メインボード52の下にボルスタープレート54を配置し、メインボード52の上にLGAソケット55を配置する。ボルスタープレート54には支持軸56が設けられている。支持軸56は、メインボード52に設けられた貫通孔を通り、メインボード52に設けられた貫通孔から突き出ている。
【0012】
図2Bに示すように、LGAソケット55の上に半導体パッケージ53を配置する。半導体パッケージ53の端子電極とLGAソケット55のピン(リード)とが接触し、メインボード52の端子電極とLGAソケット55のピン(リード)とが接触している。これにより、半導体パッケージ53の端子電極とメインボード52の端子電極とが、LGAソケット55を介して電気的に接続する。
【0013】
図2Cに示すように、半導体パッケージ53の上にヒートシンク57を配置する。ヒー
トシンク57は、ベースプレート58及びフィン59を有している。支持軸56は、ベースプレート58に設けられた貫通孔を通り、支持軸56の先端がベースプレート58から突出している。図2Dに示すように、支持軸56の先端にバネ60及びナット61を設置する。
【0014】
図2Eに示すように、ナット61を締め付けることによりバネ60が圧縮される。バネ60の復元力によって、ベースプレート58がボルスタープレート54に近づく方向に、バネ60からベースプレート58に荷重(圧力)が加わる。また、バネ60の復元力によって、支持軸56が引っ張られることにより、ボルスタープレート54がベースプレート58に近づく方向に、支持軸56からボルスタープレート54に荷重(圧力)が加わる。したがって、支持軸56、バネ60及びナット61によって、ボルスタープレート54とベースプレート58との間隔が狭くなるようにボルスタープレート54及びベースプレート58には荷重(圧力)が加わる。
【0015】
支持軸56はメインボード52及びベースプレート58を貫通するため、支持軸56は半導体パッケージ53の配置領域の外側の領域に配置されている。したがって、半導体パッケージ53の配置領域の外側の領域において、ボルスタープレート54及びベースプレート58に荷重が加わる。そのため、ボルスタープレート54の中央部分に加わる荷重が弱く、ボルスタープレート54の中央部分よりも外側部分に加わる荷重が強くなる。ベースプレート58の中央部分に加わる荷重が弱く、ベースプレート58の中央部分よりも外側部分に加わる荷重が強くなる。図2Eに示すように、半導体パッケージ53の配置領域の外側の領域においてボルスタープレート54に荷重が加わるため、ボルスタープレート54が凹形状に撓む。また、図2Eに示すように、半導体パッケージ53の配置領域の外側の領域においてベースプレート58に荷重が加わるため、ベースプレート58が凸形状に撓む。
【0016】
ボルスタープレート54が凹形状に撓むことに伴い、ボルスタープレート54の上に配置されたメインボード52も凹形状に撓む。そのため、メインボード52とLGAソケット55との隙間が不均一になる。例えば、LGAソケット55の中央部分では、メインボード52とLGAソケット55との隙間が大きくなり、LGAソケット55の端では、メインボード52とLGAソケット55との隙間が小さくなる。したがって、メインボード52とLGAソケット55との隙間の最大値と、メインボード52とLGAソケット55との隙間の最小値とにおいて大きな差が生じる。その結果、メインボード52の端子とLGAソケット55のピンとの接触が均一でなくなり、LGAソケット55を介したメインボード52と半導体パッケージ53との電気的接続が不十分になり、電子機器の信頼性が低下する。例えば、メインボード52の端子とLGAソケット55のピンとが接触しなくなったり、LGAソケット55のピンが折れ曲がったりする場合がある。
【0017】
ベースプレート58が凸形状に撓むことに伴い、ベースプレート58の下に配置された半導体パッケージ53も凸形状に撓む。そのため、半導体パッケージ53とLGAソケット55との隙間が不均一になる。例えば、LGAソケット55の中央部分では、半導体パッケージ53とLGAソケット55との隙間が大きくなり、LGAソケット55の端部では、半導体パッケージ53とLGAソケット55との隙間が小さくなる。したがって、半導体パッケージ53とLGAソケット55との隙間の最大値と、半導体パッケージ53とLGAソケット55との隙間の最小値とにおいて大きな差が生じる。その結果、半導体パッケージ53の端子とLGAソケット55のピンとの接触が均一でなくなり、LGAソケット55を介したメインボード52と半導体パッケージ53との電気的接続が不十分になり、電子機器の信頼性が低下する。例えば、半導体パッケージ53の端子とLGAソケット55のピンとが接触しなくなったり、LGAソケット55のピンが折れ曲がったりする場合がある。
【0018】
図3は、比較例に係る電子機器51について、メインボード52と半導体パッケージ53との隙間のイメージ図である。図3に示すように、メインボード52の中央部分と半導体パッケージ53の中央部分との隙間が大きくなっており、メインボード52の端部と半導体パッケージ53の端部との隙間が小さくなっている。図3における矢印は、メインボード52及び半導体パッケージ53に加わる荷重を示している。図3における矢印の長さは、メインボード52及び半導体パッケージ53に加わる荷重の大きさを示している。メインボード52の端部及び半導体パッケージ53の端部に加わる荷重が大きいため、メインボード52の端部及び半導体パッケージ53の端部の撓みが大きくなり、メインボード52の端部と半導体パッケージ53の端部との隙間が小さくなる。
【0019】
平面方向におけるベースプレート58の大きさは、平面方向における半導体パッケージ53の大きさよりも大きい。そのため、ベースプレート58の撓みの大きさは、半導体パッケージ53の撓みの大きさよりも大きくなり、半導体パッケージ53とベースプレート58との間で隙間が発生する。半導体パッケージ53とベースプレート58とが直接接触している場合、半導体パッケージ53の中央部分とベースプレート58の中央部分とが非接触となる。その結果、半導体パッケージ53からヒートシンク57への熱の伝達が低下し、半導体パッケージ53の放熱性が低下する。また、半導体パッケージ53とベースプレート58との間に熱伝導材料を挟みこんでいる場合、熱伝導材料の中央部分が、半導体パッケージ53又はベースプレート58と非接触となる。その結果、半導体パッケージ53からヒートシンク57への熱の伝達が低下し、半導体パッケージ53の放熱性が低下する。
【0020】
図4は、比較例に係る電子機器51の断面図であって、BGA実装方式によってメインボード52に半導体パッケージ53を実装した場合を示している。BGA実装方式によってメインボード52に半導体パッケージ53を実装した場合、メインボード52と半導体パッケージ53との隙間が不均一となる。また、メインボード52と半導体パッケージ53の外周部分との隙間が狭くなり、半導体パッケージ53の下面(裏面)に配置された半田ボール62が変形する。特に、半導体パッケージ53の角部分に大きな荷重が加えられるため、半導体パッケージ53の下面の角部分に配置された半田ボール62に圧縮応力が集中し、半田ボール62が時間をかけてつぶれていく。そのため、半導体パッケージ53の下面の角部分に配置された半田ボール62のクリープ変形により、メインボード52と半導体パッケージ53との電気的接続が不十分になり、電子機器の信頼性が低下する。
【0021】
上記課題を解決するための実施形態に係る電子機器及びその製造方法を、図面を参照して、以下に説明する。以下の実施例の構成は例示であり、実施形態に係る電子機器及びその製造方法は実施例の構成に限定されない。
【実施例1】
【0022】
図5は、実施例1に係る電子機器1の断面図である。実施例1に係る電子機器1は、ボルスタープレート2、メインボード3、LGAソケット4、半導体パッケージ5、ヒートシンク6及び固定部7を有している。ボルスタープレート2は、第1プレートの一例である。メインボード3は、配線基板の一例である。LGAソケット4は、接続手段の一例である。半導体パッケージ5は、電子部品の一例である。メインボード3は、ボルスタープレート2の上に配置されている。LGAソケット4は、メインボード3の上に配置されている。半導体パッケージ5は、LGAソケット4の上に配置されている。ヒートシンク6は、半導体パッケージ5の上に配置されている。半導体パッケージ5は、パッケージ基板8、半導体チップ(半導体素子)9及びヒートスプレッダ10を有する。ヒートシンク6は、ベースプレート11及びフィン12を有する。ベースプレート11は、第2プレートの一例である。固定部7は、支持軸13、バネ14及びナット15を有する。固定部7は
、半導体パッケージ5の配置領域の外側の領域に配置されている。ボルスタープレート2の上面に突起部16が設けられている。突起部16は、押付手段の一例である。ボルスタープレート2の上面は、メインボード3が配置される面である。ボルスタープレート2とベースプレート11との間隔を狭めるように、固定部7によってボルスタープレート2及びベースプレート11に荷重(圧力)が加えられると、突起部16は、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付ける。すなわち、突起部16は、メインボード3を半導体パッケージ5の配置領域の方向に押し付ける。突起部16は、半導体パッケージ5の配置領域の下方に設けられている。そのため、突起部16が、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付けることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。
【0023】
図6Aから図12を参照して、実施例1に係る電子機器1において、LGA実装方式によってメインボード3に半導体パッケージ5を実装する工程を説明する。図6Aは、支持軸13が設けられたボルスタープレート2の断面図である。例えば、ボルスタープレート2及び支持軸13の材料としてステンレスを用いてもよい。ボルスタープレート2に設けられた軸穴に支持軸13を差し込むことにより、支持軸13をボルスタープレート2に固定するようにしてもよい。また、ボルスタープレート2を貫通する貫通孔をボルスタープレート2に設け、貫通孔にボルスタープレート2を通し、ボルスタープレート2の下面(裏面)から固定具により支持軸13を固定するようにしてもよい。ボルスタープレート2の下面は、メインボード3と向かい合う面の反対面である。
【0024】
図6Bは、支持軸13が設けられたボルスタープレート2の上面図である。図6A及び図6Bに示すように、ボルスタープレート2の上面には、ボルスタープレート2の中央部分に突起部16が設けられ、ボルスタープレート2の外周部分に支持部17が設けられている。したがって、ボルスタープレート2の中央部分と外周部分との間に段差が形成されている。例えば、突起部16及び支持部17の材料としてステンレスを用いてもよい。突起部16及び支持部17は、立方体形状であってもよいし、円柱形状であってもよい。突起部16と支持部17とは同じ高さである。実施例1では、突起部16と支持部17との間に位置するボルスタープレート2の上面の部分を、ボルスタープレート2の基底面と表記する。支持軸13は、ボルスタープレート2の基底面に設けられている。
【0025】
図7に示すように、ボルスタープレート2の上にメインボード3を配置する。例えば、メインボード3の材料として、樹脂基板を用いてもよい。支持軸13は、メインボード3に設けられた貫通孔20を通り、メインボード3に設けられた貫通孔20から突き出ている。なお、ボルスタープレート2の上にメインボード3を配置し、メインボード3に設けられた貫通孔20に支持軸13を通した後、ボルスタープレート2に設けられた軸穴に支持軸13を差し込むことにより、支持軸13をボルスタープレート2に固定するようにしてもよい。
【0026】
図8Aに示すように、メインボード3の上にLGAソケット4を配置し、LGAソケット4の上に半導体パッケージ5を配置する。メインボード3の上面には、複数の端子電極が設けられている。メインボード3の上面は、半導体パッケージ5が配置される面であって、ボルスタープレート2と向かい合う面の反対面である。LGAソケット4は、接続端子としてのピン(リード)21を有している。LGAソケット4のピン21は、LGAソケット4を貫通し、LGAソケット4の上面及び下面から突出している。パッケージ基板8の上に半導体チップ9が設けられている。半導体チップ9は、例えば、フリップチップ接続によって、パッケージ基板8に電気的に接続(実装)される。ヒートスプレッダ10は、半導体チップ9の上面及び側面を覆うようにしてパッケージ基板8の上に設けられている。例えば、ヒートスプレッダ10の材料として銅等の金属を用いてもよい。パッケージ基板8の下面には、複数の端子電極が設けられている。すなわち、半導体パッケージ5
の下面(裏面)には、複数の端子電極が設けられている。半導体パッケージ5の下面は、メインボード3と向かい合う面であって、ヒートシンク6が配置される面の反対面である。
【0027】
メインボード3の端子電極とLGAソケット4のピン21とが接触し、半導体パッケージ5の端子電極とLGAソケット4のピン21とが接触する。したがって、LGAソケット4のピン21は、メインボード3の端子電極と半導体パッケージ5の端子電極とを電気的に接続する。これにより、LGAソケット4を介してメインボード3と半導体パッケージ5とが電気的に接続する。図8Bは、メインボード3の上にLGAソケット4を配置し、LGAソケット4の上に半導体パッケージ5を配置した場合の実施例1に係る電子機器1の上面図である。ここで、突起部16の設置位置について説明する。LGAソケット4が配置される領域を、支持軸13の設置数で分割する。支持軸13の設置数が4つの場合、LGAソケット4が配置される領域を4分割する。そして、突起部16の外周部分が各分割領域の重心点(図8BではG1〜G4)を通るように、突起部16がボルスタープレート2に設けられる。例えば、突起部16が立方体形状の場合、突起部16の上面の4つの角が各分割領域の重心点を通るように、突起部16がボルスタープレート2に設けられる。ただし、上述の突起部16の設置位置は例示であって、突起部16を上記以外の位置に設けるようにしてもよい。
【0028】
図9に示すように、半導体パッケージ5の上にヒートシンク6を配置する。例えば、ベースプレート11及びフィン12の材料として、アルミニウム、銅、窒化アルミニウム等を用いてもよい。半導体チップ9で発生した熱は、ヒートスプレッダ10を介してヒートシンク6に伝達され、ヒートシンク6によって放熱される。支持軸13は、ベースプレート11に設けられた貫通孔22を通り、支持軸13の先端がベースプレート11から突出している。なお、半導体パッケージ5とベースプレート11との間にアルミニウム、銅、窒化アルミニウム等の熱伝導材料を挟み込むようにしてもよい。
【0029】
図10に示すように、支持軸13の先端にバネ14及びナット15を設置する。ナット15を締め付けることによりバネ14が圧縮される。バネ14の復元力によって、ベースプレート11がボルスタープレート2に近づく方向に、バネ14からベースプレート11に荷重(圧力)が加わる。また、バネ14の復元力によって、支持軸13が引っ張られることにより、ボルスタープレート2がベースプレート11に近づく方向に対して、支持軸13からボルスタープレート2に荷重(圧力)が加わる。したがって、支持軸13、バネ14及びナット15によって、ボルスタープレート2とベースプレート11との間隔が狭くなるようにボルスタープレート2及びベースプレート11には荷重(圧力)が加わる。
【0030】
支持軸13はメインボード3及びベースプレート11を貫通するため、支持軸13はボルスタープレート2の外周部分に設けられている。すなわち、支持軸13は半導体パッケージ5の配置領域の外側の領域に配置されている。したがって、半導体パッケージ5の配置領域の外側の領域において、ベースプレート11に荷重が加わる。そのため、ベースプレート11の中央部分に加わる荷重が弱く、ベースプレート11の中央部分よりも外側部分に加わる荷重が強くなる。半導体パッケージ5の配置領域の外側の領域においてベースプレート11に荷重が加わった場合、ベースプレート11が凸形状に撓む。
【0031】
図10に示すように、突起部16及び支持部17は、メインボード3の下面(裏面)に接触し、ボルスタープレート2の基底面は、メインボード3の下面に接触していない。メインボード3の下面は、ボルスタープレート2と向かい合う面であって、半導体パッケージ5が配置される面の反対面である。図10に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間には、支持軸13の周囲に空間が形成されている。また、図10に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間には、突起部16の周囲に空間が
形成されている。これにより、支持軸13からボルスタープレート2に荷重が加わった場合、ボルスタープレート2は、図11の点線Aで示す部分が先に撓み、突起部16及び支持部17からメインボード3に荷重が加わる。すなわち、半導体パッケージ5側に向かって、突起部16がメインボード3の下面の中央部分に押し付けられる。そして、突起部16がメインボード3を半導体パッケージ側に押し付けることにより、突起部16からメインボード3の下面の中央部分に荷重が加わる。また、半導体パッケージ5側に向かって、支持部17がメインボード3の下面の外周部分に押し付けられる。そして、支持部17がメインボード3を半導体パッケージ側に押し付けることにより、支持部17からメインボード3の下面の外周部分に荷重が加わる。突起部16及び支持部17からメインボード3に荷重が加わることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続が得られる。
【0032】
突起部16からメインボード3の下面の中央部分に荷重が加わることにより、図12に示すように、メインボード3の中央部分が凸形状に撓む。すなわち、メインボード3の中央部分が、半導体パッケージ5側(半導体パッケージ5の配置領域の方向)に向かって隆起する。また、支持部17からメインボード3の下面に荷重が加わることにより、図12に示すように、メインボード3の外周部分が、半導体パッケージ5側(半導体パッケージ5の配置領域の方向)に向かって隆起する。図12の点線Bは、メインボード3の変形イメージを示している。
【0033】
LGAソケット4及び半導体パッケージ5は、メインボード3の上面の中央部分に配置されている。そのため、メインボード3の中央部分が凸形状に撓むことにより、LGAソケット4及び半導体パッケージ5が凸形状に撓む。メインボード3の中央部分が凸形状に撓むと共に、LGAソケット4が凸形状に撓むことにより、メインボード3とLGAソケット4との隙間の不均一が抑制される。また、LGAソケット4が凸形状に撓むと共に、半導体パッケージ5が凸形状に撓むことにより、LGAソケット4と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。したがって、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。その結果、メインボード3の端子電極とLGAソケット4のピン21とが均一に接触するとともに、LGAソケット4のピン21と半導体パッケージ5の端子電極とが均一に接触することにより、LGAソケット4を介したメインボード3と半導体パッケージ5との電気的接続が保持される。
【0034】
図13は、実施例1に係る電子機器1について、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間のイメージ図である。図13に示すように、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制されている。図13における矢印は、メインボード3及び半導体パッケージ5に加わる荷重を示している。図13における矢印の長さは、メインボード3及び半導体パッケージ5に加わる荷重の大きさを示している。
【0035】
実施例1に係る電子機器1は、突起部16からメインボード3の下面の中央部分に荷重が加わるため、比較例に係る電子機器51と比べて、半導体パッケージ5の撓みが大きい。したがって、実施例1に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一が抑制される。すなわち、実施例1に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。また、半導体パッケージ5とベースプレート11との間に熱伝導材料を挟みこんでいる場合、半導体パッケージ5と熱伝導材料との接触率及びベースプレート11と熱伝導材料との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。
【0036】
実施例1に係る電子機器1では、ボルスタープレート2に突起部16及び支持部17を
設け、突起部16及び支持部17からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装が行われる。突起部16からメインボード3に荷重を加えただけでは、半導体パッケージ5とメインボード3との電気的接続が不十分の場合がある。このような場合、ボルスタープレート2に突起部16及び支持部17を設け、突起部16及び支持部17からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続を得ることができる。ただし、突起部16からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続が得られる場合、ボルスタープレート2に支持部17を設けないようにしてもよい。
【0037】
実施例1に係る電子機器1においては、図14に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板(板部材)23を設けるようにしてもよい。すなわち、突起部16及び支持部17の上にあて板23を配置するようにしてもよい。あて板23は、ボルスタープレート2の下面に接着剤を介して貼り付けるようにしてもよい。あて板23は、メインボード3よりも剛性が高い材料を用いることが好ましい。あて板23の材料としてステンレスを用いてもよい。メインボード3の薄型化が進むにしたがってメインボード3の剛性は低下する。剛性が低いメインボード3の場合、突起部16及び支持部17からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3が折れ曲がる可能性がある。ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板23を設けることにより、突起部16及び支持部17からメインボード3に加わる荷重の部分的な集中が抑制され、メインボード3の折れ曲がりを抑止することができる。
【実施例2】
【0038】
図15は、実施例2に係る電子機器1の断面図である。なお、実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例2に係る電子機器1は、ボルスタープレート2の上面に複数の突起部24が設けられている。突起部24は、押付手段の一例である。突起部24の材料としてステンレスを用いてもよい。突起部24は、立方体形状であってもよいし、円柱形状であってもよい。突起部24と支持部17とは同じ高さである。ボルスタープレート2とベースプレート11との間隔を狭めるように、固定部7によってボルスタープレート2及びベースプレート11に荷重(圧力)が加えられると、複数の突起部24は、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付ける。すなわち、複数の突起部24は、メインボード3を半導体パッケージ5の配置領域の方向に押し付ける。複数の突起部24は、半導体パッケージ5の配置領域の下方に設けられている。そのため、複数の突起部24が、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付けることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。その結果、メインボード3の端子電極とLGAソケット4のピン21とが均一に接触するとともに、LGAソケット4のピン21と半導体パッケージ5の端子電極とが均一に接触することにより、LGAソケット4を介したメインボード3と半導体パッケージ5との電気的接続が保持される。
【0039】
実施例2に係る電子機器1は、複数の突起部24からメインボード3の下面の中央部分に荷重が加わるため、比較例に係る電子機器51と比べて、半導体パッケージ5の撓みが大きい。したがって、実施例2に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一が抑制される。すなわち、実施例2に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。また、半導体パッケージ5とベースプレート11との間に熱伝導材料を挟みこんでいる場合、半導体パッケージ5と熱伝導材料との接触率及びベースプレート11と熱伝導材料との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。
【0040】
実施例2に係る電子機器1では、ボルスタープレート2に支持部17及び複数の突起部24を設け、支持部17及び複数の突起部24からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装が行われる。複数の突起部24からメインボード3に荷重を加えただけでは、メインボード3と半導体パッケージ5との電気的接続が不十分の場合がある。このような場合、ボルスタープレート2に支持部17及び複数の突起部24を設け、支持部17及び複数の突起部24からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続を得ることができる。ただし、複数の突起部24からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続が得られる場合、ボルスタープレート2に支持部17を設けないようにしてもよい。
【0041】
図16を参照して、突起部24の設置位置について説明する。図16は、メインボード3の上にLGAソケット4を配置し、LGAソケット4の上に半導体パッケージ5を配置した場合の実施例2に係る電子機器1の上面図である。LGAソケット4が配置される領域を、支持軸13の設置数で分割する。支持軸13の設置数が4つの場合、LGAソケット4が配置される領域を4分割する。そして、複数の突起部24が各分割領域の重心点(図16ではG1〜G4)と重なるように、複数の突起部24(図16では、4つの突起部24)がボルスタープレート2に設けられる。ただし、上述の突起部24の設置位置は例示であって、突起部24を上記以外の位置に設けるようにしてもよい。また、突起部24の設置数は4つに限らず、他の設置数であってもよい。
【0042】
実施例2に係る電子機器1においては、図17に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板(板部材)23を設けるようにしてもよい。すなわち、支持部17及び複数の突起部24の上にあて板23を配置するようにしてもよい。剛性が低いメインボード3の場合、支持部17及び複数の突起部24からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3が折れ曲がる可能性がある。ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板23を設けることにより、支持部17及び複数の突起部24からメインボード3に加わる荷重の部分的な集中が抑制され、メインボード3の折れ曲がりを抑止することができる。
【実施例3】
【0043】
図18は、実施例3に係る電子機器1の断面図である。なお、実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例3に係る電子機器1は、ボルスタープレート2の上面に複数の皿バネ30が設けられている。皿バネ30は、押付手段の一例である。皿バネ30は、小さい圧縮量で大きな復元力を得ることができる弾性体である。メインボード3の下面と、皿バネ30の上面とが接触している。ボルスタープレート2とベースプレート11との間隔を狭めるように、固定部7によってボルスタープレート2及びベースプレート11に荷重(圧力)が加えられると、複数の皿バネ30は、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付ける。すなわち、複数の皿バネ30は、メインボード3を半導体パッケージ5の配置領域の方向に押し付ける。複数の皿バネ30は、半導体パッケージ5の配置領域の下方に設けられている。そのため、複数の皿バネ30が、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付けることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。その結果、メインボード3の端子電極とLGAソケット4のピン21とが均一に接触するとともに、LGAソケット4のピン21と半導体パッケージ5の端子電極とが均一に接触することにより、LGAソケット4を介したメインボード3と半導体パッケージ5との電気的接続が保持される。
【0044】
実施例3に係る電子機器1は、複数の皿バネ30からメインボード3の下面の中央部分
に荷重が加わるため、比較例に係る電子機器51と比べて、半導体パッケージ5の撓みが大きい。したがって、実施例3に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一が抑制される。すなわち、実施例3に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。また、半導体パッケージ5とベースプレート11との間に熱伝導材料を挟みこんでいる場合、半導体パッケージ5と熱伝導材料との接触率及びベースプレート11と熱伝導材料との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。
【0045】
実施例3に係る電子機器1では、ボルスタープレート2に複数の皿バネ30を設け、メインボード3の下面と皿バネ30の上面とを接触させる。実施例3に係る電子機器1では、複数の皿バネ30からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装が行われる。皿バネ30の復元力によって、メインボード3を半導体パッケージ5側に効率よく押し付けることが可能となる。したがって、ボルスタープレート2に複数の皿バネ30を設け、複数の皿バネ30からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続を得ることができる。
【0046】
ボルスタープレート2に複数の皿バネ30を設けることにより、メインボード3を半導体パッケージ5側に効率よく押し付けることが可能となることから、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設けないようにすることが可能である。ただし、ボルスタープレート2に複数の皿バネ30を設け、更に、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設けるようにしてもよい。
【0047】
実施例3に係る電子機器1では、皿バネ30に替えてコイルバネ又はゴムバネ等の弾性体をボルスタープレート2の上面に設けてもよい。皿バネ30は、実施例2で説明した突起部24の設置位置と同じ位置に設けてもよい。また、皿バネ30を、実施例2で説明した突起部24の設置位置と異なる位置に設けるようにしてもよい。半導体パッケージ5のサイズに応じて、皿バネ30の設置位置や数を決定するようにしてもよい。例えば、半導体パッケージ5のサイズが小さい場合、ボルスタープレート2の上面の中央部分に皿バネ30を一つ設けるようにしてもよい。
【0048】
実施例3に係る電子機器1においては、図19に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板(板部材)23を設けるようにしてもよい。すなわち、複数の皿バネ30の上にあて板23を配置するようにしてもよい。剛性が低いメインボード3の場合、複数の皿バネ30からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3が折れ曲がる可能性がある。ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板23を設けることにより、複数の皿バネ30からメインボード3に加わる荷重の部分的な集中が抑制され、メインボード3の折れ曲がりを抑止することができる。なお、実施例3に係る電子機器1において、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設ける場合、図20に示すように、支持部17の上にあて板23を配置するようにしてもよい。
【実施例4】
【0049】
図21は、実施例4に係る電子機器1の断面図である。なお、実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例4に係る電子機器1は、ボルスタープレート2が、板バネ形状に加工されている。すなわち、ボルスタープレート2には、板バネ部40が一体的に形成されている。板バネ部40は、押付手段の一例である。図21に示すように、板バネ形状のボルスタープレート2の上にメインボ
ード3が配置されている。メインボード3の下面の中央部分と、ボルスタープレート2の板バネ部40の上面とが接触している。ボルスタープレート2とベースプレート11との間隔を狭めるように、固定部7によってボルスタープレート2及びベースプレート11に荷重(圧力)が加えられると、ボルスタープレート2の板バネ部40は、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付ける。すなわち、ボルスタープレート2の板バネ部40は、メインボード3を半導体パッケージ5の配置領域の方向に押し付ける。ボルスタープレート2の板バネ部40は、半導体パッケージ5の配置領域の下方に配置されている。そのため、ボルスタープレート2の板バネ部40が、メインボード3を半導体パッケージ5側に押し付けることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制される。その結果、メインボード3の端子電極とLGAソケット4のピン21とが均一に接触するとともに、LGAソケット4のピン21と半導体パッケージ5の端子電極とが均一に接触することにより、LGAソケット4を介したメインボード3と半導体パッケージ5との電気的接続が保持される。
【0050】
実施例4に係る電子機器1は、ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3の下面の中央部分に荷重が加わるため、比較例に係る電子機器51と比べて、半導体パッケージ5の撓みが大きい。したがって、実施例4に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一が抑制される。すなわち、実施例4に係る電子機器1によれば、半導体パッケージ5とベースプレート11との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。また、半導体パッケージ5とベースプレート11との間に熱伝導材料を挟みこんでいる場合、半導体パッケージ5と熱伝導材料との接触率及びベースプレート11と熱伝導材料との接触率が高くなる。その結果、半導体パッケージ5からヒートシンク6への熱の伝達が向上し、半導体パッケージ5の放熱性が向上する。
【0051】
実施例4に係る電子機器1では、板バネ形状のボルスタープレート2の上にメインボード3を配置し、メインボード3の下面の中央部分とボルスタープレート2の板バネ部40の上面とを接触させる。実施例4に係る電子機器1では、ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装が行われる。ボルスタープレート2の板バネ部40の復元力によって、メインボード3を半導体パッケージ5側に効率よく押し付けることが可能となる。したがって、ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3と半導体パッケージ5との安定した電気的接続を得ることができる。また、板バネ部40がボルスタープレート2に一体的に形成されているため、ボルスタープレート2の設置スペースを小さくしつつ、メインボード3を半導体パッケージ5側に効率よく押し付けることが可能となる。
【0052】
ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3を半導体パッケージ5側に効率よく押し付けることが可能となることから、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設けないようにすることが可能である。ただし、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設けるようにしてもよい。
【0053】
ボルスタープレート2の板バネ部40は、実施例1で説明した突起部16の設置位置と同じ位置に設けてもよい。また、ボルスタープレート2の板バネ部40を、実施例1で説明した突起部16の設置位置と異なる位置に設けるようにしてもよい。
【0054】
実施例4に係る電子機器1においては、図22に示すように、ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板(板部材)23を設けるようにしてもよい。すなわち、ボルスタープレート2の板バネ部40の上にあて板23を配置するようにしてもよい。剛性
が低いメインボード3の場合、ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3に荷重を加えることにより、メインボード3が折れ曲がる可能性がある。ボルスタープレート2とメインボード3との間にあて板23を設けることにより、ボルスタープレート2の板バネ部40からメインボード3に加わる荷重の部分的な集中が抑制され、メインボード3の折れ曲がりを抑止することができる。なお、実施例4に係る電子機器1において、ボルスタープレート2の上面の外周部分に支持部17を設ける場合、図23に示すように、支持部17の上にあて板23を配置するようにしてもよい。
【0055】
〈検証〉
実施例1、3及び4に係る電子機器1について、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の均一性の検証を行った。検証を行った半導体パッケージ5のサイズは40cm2とし、LGAソケット4のピン21の数を3000とし、メインボード3に加える荷重
は150kgとした。また、比較例に係る電子機器51について、メインボード52と半導体パッケージ53との隙間の均一性の検証を行った。検証を行った半導体パッケージ53のサイズは40cm2とし、LGAソケット55のピンの数を3000とし、メインボ
ード52に加える荷重は150kgとした。検証結果を図24に示す。
【0056】
図24の「比較例1」は、比較例に係る電子機器51の標準品を用いて検証を行った場合の検証結果を示している。図24の「比較例2」は、比較例に係る電子機器51の標準品よりもボルスタープレート54が薄い製品を用いて検証を行った場合の検証結果を示している。図24の「実施例1」は、実施例1の図5に示した電子機器1を用いて検証を行った場合の検証結果を示している。図24の「実施例3」は、実施例3の図19に示した電子機器1を用いて検証を行った場合の検証結果を示している。図24の「実施例4」は、実施例4の図22に示した電子機器1を用いて検証を行った場合の検証結果を示している。図24の「比較例1」及び「比較例2」に関して、「差分値」と記載されたフィールドにおける数値は、(メインボード52と半導体パッケージ53との隙間の最大値)−(メインボード52と半導体パッケージ53との隙間の最小値)によって算出した値である。図24の「実施例1」、「実施例3」及び「実施例4」に関して、「差分値」と記載されたフィールドにおける数値は、(メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の最大値)−(メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の最小値)によって算出した値である。
【0057】
図24に示すように、実施例1、3及び4に係る電子機器1は、比較例に係る電子機器51と比べて、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一が抑制されていることがわかる。なお、実施例2に係る電子機器1については、実施例1に係る電子機器1とほぼ同様の検証結果となるため、図24には実施例2の検証結果を示していない。
【0058】
実施例3に係る電子機器1について、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の均一性の検証を行った。検証を行った半導体パッケージ5のサイズは40cm2とし
、LGAソケット4のピン21の数を3000とし、メインボード3に加える荷重は150kgとした。また、比較例に係る電子機器51について、半導体パッケージ53とベースプレート58との隙間の均一性の検証を行った。検証を行った半導体パッケージ53のサイズは40cm2とし、LGAソケット55のピンの数を3000とし、メインボード
52に加える荷重は150kgとした。
【0059】
実施例3に係る電子機器1については、実施例3の図19に示した電子機器1を用いて検証を行った。比較例に係る電子機器51については、標準品を用いて検証を行った。実施例3に係る電子機器1については、0.05mm、比較例に係る電子機器51については、0.15mm、という検証結果が得られた。実施例3についての検証結果の数値は、(半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の最大値)−(半導体パッケージ5
とベースプレート11との隙間の最小値)によって算出した値である。比較例についての検証結果の数値は、(半導体パッケージ53とベースプレート58との隙間の最大値)−(半導体パッケージ53とベースプレート58との隙間の最小値)によって算出した値である。このように、実施例3に係る電子機器1は、比較例に係る電子機器51と比べて、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一が抑制されていることがわかる。
【0060】
半導体パッケージ5は大型化し、半導体パッケージ5の端子電極の数は増加傾向にあるため、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装における荷重は増加している。実施例1から実施例4に係る電子機器1によれば、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装における荷重が増加した場合であっても、メインボード3と半導体パッケージ5との隙間の不均一を抑制することができる。また、実施例1から実施例4に係る電子機器1によれば、メインボード3に対する半導体パッケージ5の実装における荷重が増加した場合であっても、半導体パッケージ5とベースプレート11との隙間の不均一を抑制することができる。
【0061】
実施例1から実施例4では、LGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装する例を示した。実施例1から実施例4では、LGA実装方式に替えて、BGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装するようにしてもよい。すなわち、BGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装し、実施例1から実施例4に係る電子機器1を製造してもよい。図25は、実施例1において、BGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装した場合の電子機器1の断面図である。図25に示すように、半導体パッケージ5の下面に半田ボール41が設置されている。半田ボール41は、接続手段の一例である。半田ボール41は、半導体パッケージ5の下面に設けられた端子電極と接合されている。半導体パッケージ5の下面に設けられた端子電極と半田ボール41との接合は、リフロー処理により半田ボール41を溶融させることによって行われる。メインボード3の端子電極と半田ボール41とが接合されている。メインボード3の端子電極と半田ボール41との接合は、リフロー処理により半田ボール41を溶融させることによって行われる。半田ボール41は、メインボード3の端子電極と半導体パッケージ5の端子電極とを電気的に接続する。これにより、半田ボール41を介してメインボード3と半導体パッケージ5とが電気的に接続する。
【0062】
また、実施例1から実施例4では、LGA実装方式に替えて、PGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装するようにしてもよい。すなわち、PGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装し、実施例1から実施例4に係る電子機器1を製造してもよい。図26は、実施例1において、PGA実装方式によって半導体パッケージ5をメインボード3に実装した場合の電子機器1の断面図である。図26に示すように、半導体パッケージ5の下面にピン42が設置されている。ピン42は、接続手段の一例である。ピン42の一方の端部は、半導体パッケージ5の下面に設けられた端子電極に接続されている。ピン42の他方の端部は、メインボード3の端子電極と接触している。ピン42は、メインボード3の端子電極と半導体パッケージ5の端子電極とを電気的に接続する。これにより、ピン42を介してメインボード3と半導体パッケージ5とが電気的に接続する。
【0063】
実施例1から実施例4では、半導体パッケージ5をメインボード3に実装する例を示した。これに限らず、半導体チップ9をメインボード3に実装する場合に、実施例1から実施例4を適用するようにしてもよい。例えば、半導体パッケージ3に替えて、半導体チップ9をメインボード3に実装し、半導体チップ9の上にヒートシンク6を配置するようにしてもよい。この場合、ヒートシンク6と半導体チップ9との間にアルミニウム、銅、窒化アルミニウム等の熱伝導材料を挟み込むようにしてもよい。実施例1から実施例4では
、ボルスタープレート2に4つの支持軸13が設置されている例を示した。ただし、実施例1から実施例4においては、支持軸13の設置数は4つに限られない。例えば、実施例1から実施例4において、支持軸13の設置数を2つにしてもよい。なお、実施例1から実施例4に係る電子機器1の構成を可能な限り組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、51 電子機器
2、54 ボルスタープレート
3、52 メインボード
4、55 LGAソケット
5、53 半導体パッケージ
6、57 ヒートシンク
7 固定部
8 パッケージ基板
9 半導体チップ
10 ヒートスプレッダ
11、58 ベースプレート
12、59 フィン
13、56 支持軸
14、60 バネ
15、61 ナット
16、24 突起部
17 支持部
20、22 貫通孔
21、42 ピン
23 あて板
30 皿バネ
40 板バネ部
41 半田ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと、
前記第1プレート上に配置され、前記第1プレートと向かい合う面の反対面に複数の第1端子を有する配線基板と、
前記配線基板上に配置され、前記配線基板と向かい合う面に複数の第2端子を有する電子部品と、
前記配線基板と前記電子部品との間に配置され、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する接続手段と、
前記電子部品上に配置された第2プレートと、
前記電子部品の配置領域の外側の領域に配置され、前記第1プレートと前記第2プレートとの間隔を狭めるように前記第1プレート及び前記第2プレートに圧力を加える固定手段と、
前記電子部品の配置領域の下方に配置され、前記配線基板を前記電子部品側に押し付ける押付手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記押付手段は、前記第1プレートと前記配線基板との間であって前記第1プレートに設けられた突起部であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押付手段は、前記第1プレートと前記配線基板との間であって、前記第1プレートに設けられた弾性体であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記押付手段は、前記第1プレートに一体的に形成された板バネ部であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1プレートの外周部分には、前記配線基板を前記電子部品側に押し付ける支持部が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1プレートと前記押付手段との間には、板部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1プレートと前記押付手段との間、及び、前記第1プレートと前記支持部との間には、板部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2013−77781(P2013−77781A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218289(P2011−218289)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】