説明

電子機器

【課題】カード型媒体脱着時に当該カード型媒体が落下することを防止できる電子機器を提供する。
【解決手段】メモリカード30を脱着自在とするスリット13bに対応する位置に、蓋部材21が取り付けられ、蓋部材21は、略帯板状に形成された帯板部21aと、帯板部21aの他端部21cに形成された前面の軸受け部に回転自在に嵌合している回転軸21b1と、帯板部21aの裏面21dの幅方向の端部に沿って立設している壁部21eと、を備え、蓋部材21がスリット13bを開放してメモリカード30がメモリカードスロットから脱着される方向と平行となる第2の位置に位置付けられている際は、壁部21eおよび帯板部21aがスリット13bへ挿入されるメモリカード30のガイドとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードなどのカード型媒体を機器に出し入れ自在となる挿入口が設けられている電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、SDメモリカード、B−CAS(BS-Conditional Access Systems)カード、SIM(Subscriber Identity Module)カードなどのカード型媒体が装着されて動作する電子機器が多くなっている。
【0003】
図1にカーナビゲーション装置の例を示す。図1は、カーナビゲーション装置101の側面図である。カーナビゲーション装置101は、本体部105と、グリル103と、駆動機構104と、を備えている。
【0004】
本体部105は、略箱状のケースにハードディスクやDVDプレーヤや各種基板および後述するカード型媒体130が装着されるカードスロット等が収容され、グリル103との相対面である前面110aにカード型媒体130を出し入れ自在とする不図示の挿入口が設けられている。グリル103は、使用者と相対する側に表示面114が設けられている。駆動機構104は、図示しないモータの駆動力によりアーム115がスライドすることによってグリル103の下端部が前面110aに対して突没するとともに、グリル103の上端部が前面110aに沿ってスライドして、前面110aの全体を覆う位置(図1(a))から前面110aに対して傾斜してカード型媒体130を脱着自在とする位置(図1(b))までグリル103を移動させる。
【0005】
図1のような構成のカーナビゲーション装置101などの電子機器において、カード型媒体130装着後の落下防止策としては、例えば特許文献1のようにカード挿入口にカードカバー(蓋)を設けることが考えられる。
【0006】
また、カード型媒体130を取り外す際における落下防止策としては、例えば、特許文献2のように摩擦抵抗を与えながら通過を許容する防塵部材を設けることでカード型媒体130を取り外す際の落下を防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平7−16964号公報
【特許文献2】特開2002−150225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カード型媒体130は、上述したように図1(b)に示したカード型媒体130を出し入れ自在とする位置にグリル103が位置付けられている場合に装着が可能となるが、この際に、図1(c)に示したように誤ってカード型媒体130を落としてしまう場合がある。この場合、カード型媒体130は、床等に落下したり、本体部105とグリル103の間に挟まってしまったりすることがある。特に、カード型媒体130のサイズが小さい場合は本体部105とグリル103の間に挟まってしまうと取り出すのが困難になるという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載のカード装着部構造は、カード型媒体が正しく装着されない場合などにカード型媒体が落下しないようにする、あるいは装着後に振動などによって落下しないようにするためにカードカバーを設けたものであり、カード型媒体脱着時に当該カードカバーは、カード型媒体の落下防止に何ら寄与しない。
【0010】
また、特許文献2に記載のメモリカード装置は、カード型媒体を取り外す際における落下防止策であり、カード型媒体装着時は何ら考慮されていない。
【0011】
そこで、本発明は、例えば、カード型媒体脱着時に当該カード型媒体が落下することを防止できる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の電子機器は、カード型媒体が脱着可能なカード型媒体装着手段を備えたケースと、前記ケースの側面にカード型媒体が前記カード型媒体装着手段から脱着される際に該カード型媒体を出し入れ自在とする挿入口が設けられている電子機器において、前記挿入口の下端側に回転軸が設けられ、前記回転軸を中心として前記挿入口を覆う第1の位置と、前記挿入口を開放して前記カード型媒体装着手段から前記カード型媒体が脱着される方向と平行となる第2の位置と、の間で回動可能な蓋部材を備え、前記蓋部材は、前記第1の位置に位置付けられた際に前記挿入口と対向する側の面に、前記カード型媒体を前記挿入口へガイドするガイド手段が設けられていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術にかかるナビゲーション装置の構成を説明した側面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるナビゲーション装置の外観斜視図である。
【図3】図2に示されたカーナビゲーション装置のグリルが第1の位置に位置付けられた状態を示す断面図である。
【図4】図2に示されたカーナビゲーション装置のグリルが第2の位置に位置付けられた状態を示す断面図である。
【図5】図2および図3に示された蓋部材部分の拡大図である。
【図6】図5の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる蓋部材を示した斜視図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる蓋部材を示した斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる蓋部材を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる電子機器を説明する。本発明の一実施形態にかかる電子機器は、挿入口の下端側に設けられた回転軸を中心として挿入口を覆う第1の位置と、挿入口を開放して前記カード型媒体装着手段から前記カード型媒体が脱着される方向と平行となる第2の位置と、の間で回動可能な蓋部材を備えて、その蓋部材の第1の位置に位置付けられた際に挿入口と対向する側の面に、カード型媒体を挿入口へガイドするガイド手段が設けられているので、蓋部材を第2の位置に位置付けた際に、ガイド手段に沿ってカード型媒体を挿入することによりカード型媒体脱着時の落下を防止することができる。また、蓋部材が第1の位置に位置付けられている際は、挿入口への塵埃の進入を少なくすることができる。
【0015】
また、ガイド手段は、第1の位置に位置付けられた際に蓋部材の挿入口と対向する側の面となる第1ガイド部と、第1ガイド部の、カード型媒体がカード型媒体装着手段から脱着される方向と直交する方向の両端部のうち、少なくとも一方の端部から立設した第2ガイド部と、から構成されていてもよい。このようにすることにより、蓋部材を第2の位置に位置付けて第1および第2のガイド部に沿ってカード型媒体を挿入することによりカード型媒体脱着時の落下を防止することができる。
【0016】
また、蓋部材を第2の位置に固定する固定手段を備えていてもよい。このようにすることにより、挿入口からカード型媒体を脱着する時以外は第1の位置に固定されるので、蓋部材を収納することができるとともに、挿入口の蓋部材で覆われる部分からの塵埃の進入を防止することができる。
【0017】
また、第2ガイド部が、回転軸に近づくにしたがって高さが高くなるように形成されていてもよい。このようにすることにより、第2ガイド部の高さが高い部分でカード型媒体を安定して挿入することができる。また、第2ガイド部の高さを全て高くするよりも、蓋部材が第1の位置に位置付けられた際に第2ガイド部が挿入口に進入する面積を小さくすることができ挿入口内の端子等の配置の制限が少なくなる。
【実施例】
【0018】
本発明の一実施例にかかる電子機器としてのナビゲーション装置1を図2乃至図6を参照して説明する。ナビゲーション装置1は、移動体としての自動車のインストルメントパネルに装着される。ナビゲーション装置1は、図1に示すように、機器本体2と、操作表示ユニットとなるグリル3と、グリル3を後述の前面10a即ち機器本体2に対し移動させる駆動機構4(図3および図4に示す)などを備えている。
【0019】
機器本体2は、箱状に形成されたケース5と、このケース5内に収容される図示しないシャーシと、前記ケース5内に収容されるDVDプレーヤ7やカード型媒体装着手段としてのメモリカードスロット8および図示しないハードディスクなどを備えている。ケース5は、インパネに取り付けられると露出する側面である前面10aと、この前面10aの全ての辺に立設するように一体成形された複数の立設壁10cと、これら複数の立設壁10cの縁に連なった図示しない背面壁とを備えている。また、ケース5のうち少なくとも前面10aは樹脂等の弾性を持たすことが可能な材質で形成されている。なお、本実施形態ではカード型媒体としてメモリカード30で説明するが、それに限らず、SIMカードやB−CASカードなど各種カード型の記録媒体であればよい。
【0020】
シャーシは、板金などからなり、平板状の底シャーシと、この底シャーシの幅方向の両縁から立設した側シャーシと、を備えている。底シャーシは、機器本体2のケース5の図2中の底に位置する一つの立設壁10c上に重ねられている。
【0021】
ケース5内には、DVDプレーヤ7やメモリカードスロット8および図示しないハードディスク等が収容され、例えば、グリル3に設けられた後述する押しボタン18等を使用者が押圧することによって動作する。
【0022】
また、前面10aには、図3および図4に示すように、DVDを挿入するための挿入口としてのスリット13aと、メモリカード30を挿入するための挿入口としてのスリット13bが設けられている。スリット13aは、機器本体2にDVDなどのDVDプレーヤ7で再生可能な円盤状の記録媒体を出し入れ自在とし、スリット13bはメモリカードスロット8で読み書き可能なメモリカード30などのカード型媒体を出し入れ自在とし、メモリカードスロット8にメモリカード30が脱着自在となる。なお、前面10aは、ケース5の底面に対して垂直になっているが、例えば、前面10aの上方に向かうにしたがって ケース5の奥行き方向(図3や図4の左側)に向かって傾斜している傾斜面としてもよい。
【0023】
また、前面10aのスリット13bに対応する位置には、蓋部材21が取り付けられている。図3および図4のスリット13b部分の拡大図を図5に示す。また、図5の斜視図を図6に示す。
【0024】
蓋部材21は、例えば樹脂等で形成され、図5や図6に示したように、略帯板状に形成された帯板部21aと、帯板部21aの一端部21bに形成されたロック突起21b1と、帯板部21aの他端部21cに形成されるとともに、スリット13bの下端側のケース5内に形成された図示しない軸受け部に回転自在に嵌合している回転軸21c1と、帯板部21aのスリット13bと相対する側の面である裏面21dの長手方向と直交する方向(帯板部21aの幅方向)の一方の端部から立設している壁部21eと、を備えている。
【0025】
蓋部材21は、図3乃至図6に示したように、回転軸21c1を中心としてスリット13bを覆う第1の位置と、スリット13bを開放してメモリカードスロット8からメモリカード30が脱着される方向と平行となる第2の位置と、の間で回動可能となっている。ここで、第2の位置のメモリカード30が脱着される方向と平行とは、メモリカード30の脱着操作に支障が無い範囲(数度程度)の角度のずれも含むものとする。
【0026】
帯板部21aは、長手方向がスリット13bを完全に覆うことができる長さに形成されている。ロック突起21b1は、帯板部21aの一端部21bから、帯板部21aの長手方向に突出するように形成されている。回転軸21c1は、帯板部21aの他端部21cから帯板部21aの幅方向に突出するように形成されている。壁部21eは、帯板部21a裏面21dの幅方向の一方の端部から突出するように形成され、蓋部材21が第1の位置に位置付けられた際に、スリット13b内に進入する。即ち、この壁部21eは、図6(b)に示したように、蓋部材21が第2の位置に位置付けられたる際に、メモリカード30がメモリカードスロット8から脱着される方向と直交する方向の一方の端部から立設している。
【0027】
また、蓋部材21が第1の位置に位置付けられている際は、蓋部材21は、前面10aに形成されたロック突起10bと、自身のロック突起21b1とが係合することで、当該位置に固定される。このロック突起10bは、スリット13bの上端から下方に向かって突出するように形成されており、ロック部材10bは、その突起部分が弾性変形するとともに、蓋部材21も弾性変形することによって蓋部材21のロック突起21b1がケース5の内側(図5(a)の状態)に通されて係合する。即ち、ロック突起10bとロック突起21b1とが、蓋部材21を第1の位置に固定する固定手段をなしている。
【0028】
そして、蓋部材21は、前記した第1の位置から手前側(使用者側)に向かって前記した第2の位置まで回動する。蓋部材21が第2の位置に位置付けられている際は、壁部21eおよび帯板部21a(裏面21d)がスリット13bへ挿入されるメモリカード30のガイドとして機能し、落下させること無くメモリカード30をスリット13bへ導く。即ち、裏面21dが第1ガイド部、壁部21eが第2ガイド部をなしている。つまり、これら2つのガイド部は、第1の位置に位置付けられた際にスリット13bと対向する側の面に設けられているガイド手段を構成している。メモリカード30を挿入または排出した後に、蓋部材21は、第2の位置から第1の位置まで回動してロック突起10bとロック突起21b1で固定される。
【0029】
また、スリット13b内側のケース5内にはスイッチ22が設けられている。スイッチ22は、蓋部材21が第1の位置に位置付けられている際にガイド部21eに押されることでONになり、蓋部材21が当該位置にあること、つまり、スリット13bが塞がれていることを検知している。このスイッチ22は、例えば、メモリカード30が挿入されている状態で、ONの場合にメモリカード30の読み書きを行うことで、誤って読み書き中にメモリカード30が取り出させることを防止したり、メモリカード30が挿入されている状態で、OFFの場合に自動的にメモリカード30を排出したりする動作を行わせることができる。
【0030】
グリル3は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などからなる画像情報等を表示する表示パネル14と、複数の押しボタン18とを備えている。グリル3は、表示パネル14に、ハードディスク等から読み出された地図情報等を表示する。
【0031】
押しボタン18は、グリル3の情報を表示する表示パネル14と同一平面上の外表面に複数設けられている。押しボタン18は、使用者により押圧されることにより操作される。これらの押しボタン18が操作されることにより、ケース5の内部に収容されたDVD、ハードディスクやメモリカード30の読み出し動作等、ナビゲーション装置の各種機能が動作する。
【0032】
グリル3は、上端部3aが前面10aに沿ってスライド自在にケース5即ち機器本体2に取り付けられ、下端部3bが前面10aから突没自在に設けられている。また、押しボタン18が操作されることにより、図3に示すグリル3がスリット13a、13bを覆い隠す閉じた位置と、図4に示すグリル3がスリット13a、13bを開放する開いた位置とに亘って移動される。このとき、グリル3の下端部3bが、前記前面10aから突没するとともに、グリル3の上端部3aが前面10aに沿ってスライドする。
【0033】
閉じた位置では、グリル3は、図2及び図3に示すように、前面10aの全体を覆っている。閉じた位置では、グリル3の情報を表示する表示パネル14が前面10aと平行に配置されている。
【0034】
開いた位置では、グリル3は、図4に示すように、前述した前面10aのスリット13a、13bを含む上側を開放している。開いた位置では、グリル3の情報を表示する表示パネル14が前面10aに対して傾いている。即ちグリル3が前面10aに対して傾いている。
【0035】
例えば、押しボタン18のうちのOPENボタンが押圧操作されると、閉じた位置にあるグリル3が駆動機構4によりスライド移動される。そして、OPENボタンが押圧操作されることにより、グリル3が機器本体2のケース5の前面10aに形成されたスリット13(蓋部材21)が開放される開いた位置までスライド移動される。そして、蓋部材21をスリット13bを覆う第1の位置からスリット13bを開放してメモリカードスロット8からメモリカード30が脱着される方向と平行となる第2の位置へ回動させることでメモリカード30がスリット13から出し入れ可能、つまり、メモリカードスロット8から脱着可能となり、蓋部材21を前記した第1の位置へ戻した後にOPENボタンが再度押圧操作されると、グリル3は、駆動機構4により前述した閉じた位置まで移動される。
【0036】
なお、グリル3のスライド移動は、図示せぬマイコン等が駆動機構4の図示しないモータの回転方向や回転数を制御することにより行われる。つまり、マイコンが使用者による押しボタン18の操作を認識して、その操作等に応じたスライド位置となるようにモータの回転方向やその回転数を制御して、グリル3をスライド移動させる。
【0037】
駆動機構4は、図2ないし図4に示すように、可動アーム15と、駆動源としての図示しないモータと、案内部16と、を備えている。可動アーム15は、一方向に沿って直線状に延びた帯状に形成されている。可動アーム15は、その長手方向が前述した前面10aに対し直交(交差)する状態でシャーシに支持されている。可動アーム15は、その長手方向に沿ってスライド自在に、シャーシに支持されている。このため、可動アーム15は、前面10aに対し直交(交差)する方向に沿ってスライド自在に設けられている。可動アーム15は、スライドすることで、特にグリル3寄りの一端部15aが前面10aから突没する。
【0038】
可動アーム15は、シャーシの両側のケース5の内面上に設けられている。また、各可動アーム15の一端部15aには、孔が形成されている。孔には、グリル3の下端部3bの両側面に設けられたピンが回転自在に嵌合している。このため、可動アーム15は、グリル3の下端部3bを回転自在に支持しており、グリル3とともに移動する。
【0039】
前記モータは、各可動アーム15を長手方向に沿ってシャーシに対しスライド移動させる。つまり、モータの駆動力によって、各可動アーム15は前面10aの下方に形成された図示せぬ貫通孔を通してシャーシの内外方向に移動される。
【0040】
案内部16は、ローラ19と、ガイド溝20とを備えている。ローラ19は、円筒状に形成されかつグリル3の上端部3aの両側面に回転自在に支持されている。ローラ19は、ガイド溝20に係合して、軸芯周りに回転することでガイド溝20に沿って移動自在に設けられている。
【0041】
ガイド溝20は、閉じた位置に位置付けられたグリル3の両側に位置する立設壁10cのグリル3寄りの内面に設けられている。即ち、ガイド溝20は、機器本体2に設けられている。ガイド溝20は、鉛直方向に延在しており、立設壁10cの内面から凹に形成されている。
【0042】
前述した構成の駆動機構4は、モータからの駆動力を受けて、各可動アーム15がシャーシの内外方向に移動する。また、各可動アーム15がシャーシの内外方向に移動することで、グリル3の下端部3bが前面10aから突没し、該グリル3の上端部3aに設けられたローラ19がガイド溝20に沿って摺動する即ち上端部3aが前面10aに沿って移動する。
【0043】
すなわち、モータからの駆動力を受けて各可動アーム15が機器本体2のシャーシの外方向に移動することにより、グリル3は、その外表面が上方に向くようにして倒されて開いた位置に移動する。また、可動アーム15が機器本体2のシャーシの内方向に移動することにより、倒された状態にあるグリル3は前面10aを覆う閉じた位置に移動され、ローラ19はガイド溝20の上端に位置付けられる。
【0044】
前述したグリル3及び可動アーム15は、モータからの駆動力により機器本体2に対し閉じた位置と開いた位置とに亘って順に移動される。
【0045】
本実施形態によれば、メモリカード30を出し入れ自在とするスリット13bに対応する位置に、蓋部材21が取り付けられ、蓋部材21は、略帯板状に形成された帯板部21aと、帯板部21aの他端部21cに形成された前面10aの図示しない軸受け部に回転自在に嵌合している回転軸21b1と、帯板部21aの裏面21dの幅方向の端部に沿って立設している壁部21eと、を備え、蓋部材21が第2の位置に位置付けられている際は、壁部21eおよび帯板部21aの裏面21dがスリット13bへ脱着されるメモリカード30の下側と横側を支えるガイドとして機能するので、メモリカード30脱着時の落下を防止することができる。
【0046】
また、蓋部材21が第1の位置に位置付けられている際は、スリット13bを完全に塞ぐため、スリット13への塵埃の進入を防止することができる。
【0047】
また、蓋部材21は、帯板部21aの一端部21bにロック突起21b1が形成されているので、ケース5(前面10a)側に形成されたロック突起10bと係合することで、蓋部材を第1の位置に固定することができる。
【0048】
なお、上述した実施例では、壁部21eが全て同じ高さで形成されていたが、図7に示したように帯板部21aの他端部21cに向かうにしたがって高くなるように形成しても良い。このようにすることにより、第2ガイド部である壁部21eの高さが高い部分でメモリカード30を安定して挿入することができる。また、壁部21eの高さを全て高くするよりも、蓋部材21が第1の位置付けられた際に壁部21eがスリット13bに進入する面積を小さくすることができメモリカードスロット8内の端子等の配置の制限が少なくなる。
【0049】
また、上述した実施例では、挿入口としてのスリット13bは縦置き(メモリカード30を縦にして脱着する)で説明したが、図8に示すように横置き(メモリカード30を横にして脱着する)でも同様に本発明を適用できる。
【0050】
また、壁部21eは、帯板部21aの帯板部21aの幅方向の端部の一方に形成されていたが、図9に示すように両方に形成してもよい。図9は、蓋部材21の断面図である。
【0051】
また、上述した実施例では蓋部材21は、スリット13bを完全に覆う長さとしていたが、メモリカード30挿入時のガイドとして機能することができれば、完全に覆う長さよりも短くしてもよい。その場合は塵埃の防止機能が低下するが、少なくともメモリカード30脱着時の落下防止の機能は果たすことができる。また、壁部21eは、帯板部21aの長手方向の長さと同じ長さに形成されていたが、他端部21c1から帯板部21aの中間位置までなど、帯板部21aの長さよりも短くてもよい。壁部21eを帯板部21aの長さよりも短くすることで、図7の例と同様に壁部21eがスリット13bに進入する面積を小さくすることができる。
【0052】
また、蓋部材21を固定する固定手段も、帯板部21aの一端部21bを固定するに限らず、例えば、側面(幅方向の端部)を固定するようにしてもよいし、蓋部材21を第1の位置に固定できれば他の方法でもよい。
【0053】
また、上述した実施例では、スリット13b(前面10a)とメモリカード30の脱着方向が略直角であったが、それに限らない。例えば、前面10aが傾斜面の場合は、スリット13bとメモリカード30の脱着方向が略直角とならない場合もある。その場合でも、蓋部材21が、第2の位置、つまりスリット13bを開放してメモリカードスロット8からメモリカード30が脱着される方向と平行となる位置まで回動するように構成することで脱着時の落下を防止することができる。
【0054】
また、上述した実施例では、グリル3が、下端部3bが前面10aから突没するとともに、上端部3aが前面10aに沿ってスライドすることで開閉する構成であったが、それに限らず、蓋部材21と同様に、下端部3bに回転軸を設け、その回転軸を中心として回動することで開閉する構成でも良いし、グリル3を備えずに蓋部材21が常時露出している構成でもよい。
【0055】
前述した実施例によれば、以下のナビゲーション装置1が得られる。
【0056】
(付記)メモリカード30が脱着可能なメモリカードスロット8を備えたケース5と、ケース5の前面10aにメモリカード30がメモリカードスロット8から脱着される際に該メモリカード30を出し入れ自在とするスリット13bが設けられているナビゲーション装置1において、
スリット13bの下端側に回転軸21c1が設けられ、回転軸21c1を中心としてスリット13bを覆う第1の位置と、スリット13bを開放してメモリカードスロット8からメモリカード30が脱着される方向と平行となる第2の位置と、の間で回動可能な蓋部材21を備え、
蓋部材21は、第1の位置に位置付けられた際に裏面21dに、メモリカード30をスリット13bへガイドする裏面21dおよび壁部21eが設けられている
ことを特徴とするナビゲーション装置1。
【0057】
これらのナビゲーション装置1によれば、蓋部材21を第2の位置にして裏面21dおよび壁部21eに沿ってメモリカード30を挿入することによりメモリカード30脱着時の落下を防止することができる。また、蓋部材21が第1の位置に位置付けられている際は、スリット13bへの塵埃の進入を少なくすることができる。
【0058】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーション装置(電子機器)
5 ケース
8 メモリカードスロット(カード型媒体装着手段)
10a 前面(側面)
10b ロック突起(固定手段)
13b スリット(挿入口)
21 蓋部材
21b1 ロック突起(固定手段)
21c1 回転軸
21d 裏面(ガイド手段、第1ガイド部)
21e 壁部(ガイド手段、第2ガイド部)
30 メモリカード(カード型媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード型媒体が脱着可能なカード型媒体装着手段を備えたケースと、前記ケースの側面に前記カード型媒体が前記カード型媒体装着手段から脱着される際に該カード型媒体を出し入れ自在とする挿入口が設けられている電子機器において、
前記挿入口の下端側に回転軸が設けられ、前記回転軸を中心として前記挿入口を覆う第1の位置と、前記挿入口を開放して前記カード型媒体装着手段から前記カード型媒体が脱着される方向と平行となる第2の位置と、の間で回動可能な蓋部材を備え、
前記蓋部材は、前記第1の位置に位置付けられた際に前記挿入口と対向する側の面に、前記カード型媒体を前記挿入口へガイドするガイド手段が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ガイド手段は、
前記第1の位置に位置付けられた際に前記蓋部材の前記挿入口と対向する側の面となる第1ガイド部と、
前記第1ガイド部の、前記カード型媒体が前記カード型媒体装着手段から脱着される方向と直交する方向の両端部のうち、少なくとも一方の端部から立設した第2ガイド部と、
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記蓋部材を前記第1の位置に固定する固定手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2ガイド部が、前記回転軸に近づくにしたがって高さが高くなるように形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92910(P2013−92910A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234534(P2011−234534)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】